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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】バリューシェア予約システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20220309BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20220309BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q10/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021534869
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2019028519
(87)【国際公開番号】W WO2021014510
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-11-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】319010284
【氏名又は名称】マハロウェブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】水田 好律
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-287588(JP,A)
【文献】特開2010-026550(JP,A)
【文献】特開2001-222582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の役務を保有し、顧客の端末から前記複数の役務のうちの1又は複数の役務の予約を受け付けたのち販売する予約システムであって、
前記複数の役務の情報と、前記複数の役務のうち、付加価値を有しない1又は複数の役務の定価と、前記複数の役務のうち、付加価値を有する1又は複数の役務のそれぞれの前記付加価値に応じたそれぞれの指定料金を前記定価に加算したそれぞれの合計価格とを記憶する記憶部と、
前記複数の役務の情報と、前記付加価値を有しない1又は複数の役務の定価と、それぞれの前記指定料金を前記定価に加算したそれぞれの前記合計価格とを前記顧客の端末に送信する送信部と、
前記顧客から、前記1又は複数の役務の予約の依頼を受信し、前記予約の情報を前記記憶部に記憶させる受信部と、
前記付加価値を有する1又は複数の役務のうち、予約されたのち販売された全ての役務の前記指定料金の合計を算出し、算出された前記指定料金の合計を、前記付加価値を有しない1又は複数の役務のうち予約されたのち販売された役務を購入したそれぞれの顧客に対して、分配する計算部と、
を備え
前記計算部は、算出された前記指定料金の合計を、前記付加価値を有しない1又は複数の役務のうち予約されたのち販売された役務を購入したそれぞれの前記顧客が、前記予約されたのち販売された役務を購入する際に支払った代金に応じた割合で分配する
ことを特徴とする予約システム。
【請求項2】
前記計算部は、算出された前記指定料金の合計に、前記予約されたのち販売された役務を購入する際に支払った代金に応じた割合を掛けて値引価格を算出し、前記付加価値を有しない1又は複数の役務のうち予約されたのち販売された役務を購入したそれぞれの前記顧客に前記値引価格を提供することによって分配することを特徴とする請求項1に記載の予約システム。
【請求項3】
前記受信部は、前記記憶部に、前記複数の役務の情報を視聴した回数を記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載の予約システム。
【請求項4】
前記送信部は、前記受信部が、前記顧客から前記1又は複数の役務の予約の依頼を受信し、前記予約の情報を前記記憶部に記憶させたのち、前記複数の役務のうち、予約されたそれぞれの前記役務の予約された積算回数を前記顧客の端末に更に送信することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の予約システム。
【請求項5】
前記受信部が、前記顧客から前記1又は複数の役務の予約の依頼を受信する際に、前記顧客が予約の依頼をした前記1又は複数の役務のうち前記付加価値を有する役務が、すでに別の顧客によって予約されていた役務であった場合、前記顧客が予約の依頼をした前記1又は複数の役務のうち前記付加価値を有する役務の予約された積算回数に応じて前記顧客が予約の依頼をした前記1又は複数の役務のうち前記付加価値を有する役務の前記指定料金を減額することを特徴とする請求項に記載の予約システム。
【請求項6】
前記受信部が、前記顧客から前記1又は複数の役務の予約の依頼を受信する際に、前記顧客が予約の依頼をした前記1又は複数の役務のうち前記付加価値を有しない役務が、すでに別の顧客によって予約されていた役務であった場合、前記顧客が予約の依頼をした前記1又は複数の役務のうち前記付加価値を有しない役務の予約された積算回数に応じて、前記計算部が、算出された前記指定料金の合計を前記付加価値を有しない1又は複数の役務のうち予約されたのち販売された役務を購入したそれぞれの顧客に対して、分配する際の分配割合を増加させることを特徴とする請求項に記載の予約システム。
【請求項7】
前記受信部が、前記顧客から、前記1又は複数の役務の予約の依頼を受信し、前記予約の情報を前記記憶部に記憶させたのち、前記1又は複数の役務が販売されるまでの間の、予め設定された時点において、前記計算部は、前記付加価値を有する1又は複数の役務のうち、予約された全ての役務の前記指定料金の合計を算出し、更に、算出された前記指定料金の合計に、前記予約された役務を予約する際に提示された代金に応じた割合を掛けて値引価格を算出し、前記送信部は前記顧客の端末に前記値引価格を送信することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の予約システム。
【請求項8】
前記役務は宿泊施設の特定の部屋における宿泊であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の予約システム。
【請求項9】
前記役務は飲食店の特定の席における飲食であることを特徴とする請求項1又乃至のいずれかに記載の予約システム。
【請求項10】
前記複数の役務の情報は、前記複数の役務のそれぞれの3次元画像を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の予約システム。
【請求項11】
顧客の端末から複数の役務のうちの1又は複数の付加価値を有する役務と1又は複数の付加価値を有しない役務の予約を受け付けたのち販売する予約方法であって、
コンピュータが、
前記複数の役務の情報と、前記複数の役務のうち、付加価値を有しない1又は複数の役務の定価と、前記複数の役務のうち、付加価値を有する1又は複数の役務のそれぞれの前記付加価値に応じたそれぞれの指定料金を前記定価に加算したそれぞれの合計価格とを記憶する記憶部から前記複数の役務の役務情報と、前記付加価値を有しない1又は複数の役務の定価と、それぞれの前記指定料金を前記定価に加算したそれぞれの前記合計価格とを読出し、前記顧客の端末に前記役務情報を送信するステップと、
前記顧客の端末から前記1又は複数の付加価値を有する役務と前記1又は複数の付加価値を有しない役務のそれぞれの予約受付情報を受信するステップと、
前記記憶部にそれぞれの前記予約受付情報を記憶するステップと、
予約された前記1又は複数の付加価値を有する役務と前記1又は複数の付加価値を有しない役務が実際に販売されたのち、前記1又は複数の付加価値を有する役務の前記付加価値に対応するそれぞれの指定料金の合計金額を算出するステップと、
前記1又は複数の付加価値を有しない役務を購入した前記顧客に対して、前記合計金額を前記付加価値を有しない1又は複数の役務のうち予約されたのち販売された役務を購入したそれぞれの前記顧客が、前記予約されたのち販売された役務を購入する際に支払った代金に応じた割合に基づいて、それぞれの前記1又は複数の付加価値を有しない役務に対して還元するステップと
実行することを特徴とする予約方法。
【請求項12】
プロセッサにより実行されたときに、前記プロセッサに、顧客の端末から複数の役務のうちの1又は複数の付加価値を有する役務と1又は複数の付加価値を有しない役務の予約を受け付けたのち販売するための方法を実行させる命令を含むコンピュータ読取可能記憶媒体であって、
前記命令は前記プロセッサに
前記複数の役務の情報と、前記複数の役務のうち、付加価値を有しない1又は複数の役務の定価と、前記複数の役務のうち、付加価値を有する1又は複数の役務のそれぞれの前記付加価値に応じたそれぞれの指定料金を前記定価に加算したそれぞれの合計価格とを記憶する記憶部から前記複数の役務の役務情報と、前記付加価値を有しない1又は複数の役務の定価と、それぞれの前記指定料金を前記定価に加算したそれぞれの前記合計価格とを読出し、前記顧客の端末に前記役務情報を送信するステップと、
前記顧客の端末から前記1又は複数の付加価値を有する役務と前記1又は複数の付加価値を有しない役務のそれぞれの予約受付情報を受信するステップと、
前記記憶部にそれぞれの前記予約受付情報を記憶するステップと、
予約された前記1又は複数の付加価値を有する役務と前記1又は複数の付加価値を有しない役務が実際に販売されたのち、前記1又は複数の付加価値を有する役務の前記付加価値に対応するそれぞれの指定料金の合計金額を算出するステップと、
前記1又は複数の付加価値を有しない役務を購入した前記顧客に対して、前記合計金額を前記付加価値を有しない1又は複数の役務のうち予約されたのち販売された役務を購入したそれぞれの前記顧客が、前記予約されたのち販売された役務を購入する際に支払った代金に応じた割合に基づいて、それぞれの前記1又は複数の付加価値を有しない役務に対して還元するステップと
実行させる
ことを特徴とするコンピュータ読取可能記憶媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予約システム及び予約方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で、交通機関、飲食店、宿泊施設、娯楽施設等が提供する役務を予約するという予約方法が広く普及している(特許文献1及び2参照)。交通機関、飲食店、宿泊施設、娯楽施設等が提供する役務を利用する際に、例えば航空機であれば、予約時点において、窓側、通路側、前方、後方といった利用者の希望に合わせた座席を指定することができる。新幹線、映画館やコンサートホール、スタジアムや競技場でのスポーツ観戦等の座席指定についても同様に、予約時に、利用者の希望に合わせた座席を指定することができる。
【0003】
予約時点で座席を指定するにあたり、新幹線、映画館、スタジアム等の座席指定においては、例えば新幹線の場合、グリーン車指定席と普通指定席の料金が異なるなど、エリアに応じた料金の違いはあるものの、同一の種類の座席は価格が同一である。しかしながら、新幹線の場合、普通指定席においても、窓側の座席を希望する利用者が多く、窓側の座席が予約開始後早い時点で埋まってしまうことがある。通路側の座席を希望する利用者もいるが、3人掛けの中央の席を希望する利用客は少ない。窓側の座席は付加価値が高く、相対的に3人掛けの中央の席は付加価値が低いといえるが、利用者は、付加価値の異なる座席に同一の料金を支払っているといえる。
【0004】
航空機の場合、ビジネスクラス、エコノミークラス等のエリアに応じた料金の違いに加えて、例えばエコノミークラスの座席において、非常口前、前方通路側、前方窓側の座席を予約する場合には、追加料金を課すようになりつつある。通常、航空機のエコノミークラスの非常口前、前方通路側、前方窓側の席は、足元が広い、スムーズに乗り降りできる、等の理由で利用者に人気のある席である。これらの座席は付加価値が高く、付加価値に応じた追加料金が課せられるようになったといえる。しかしながら、エコノミークラスの非常口前、前方通路側、前方窓側の席と比較して相対的に付加価値の低い機内後方側の席は、相対的に付加価値が下がったとしても価格が下がるわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-202439号公報
【文献】特開2003-30288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
宿泊施設の場合、交通機関、娯楽施設等の予約とは異なり、特定の客室の指定はできない。シングルルーム、ツインルーム、禁煙ルーム、喫煙ルームなどの部屋の種類等を選択することは可能であるが、例えば、同一フロアの同一種類の部屋であっても、部屋ごとに窓からの眺望が異なる、フロントからの距離が近いか遠いか、等の違いがあり、これらの違いに基づいて特定の客室を指定することは通常できない。飲食店の場合も同様に、予約の時点では、人数、時間、個室やテーブル席等の指定は可能であるが、1つの飲食店内においても、例えば、眺望の良い席、出入口や厨房に近く騒がしい席、等の違いがあり、これらの違いに基づいて特定の席を指定することは通常できない。従って、同じ料金を支払ったのにもかかわらず、利用者の満足度が大きく異なるというケースが生じる。
【0007】
上記問題点を鑑み、本発明は、役務を利用者のニーズに合わせて選択でき、かつその役務に対して付加価値に適正に対応した料金を提示することで利用者の満足度を高め、利用者を安定的に確保することによって収益を安定化させる予約システム及び予約方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、複数の役務を保有し、顧客の端末から複数の役務のうちの1又は複数の役務の予約を受け付けたのち販売する予約販売システムであって、複数の役務の情報と、複数の役務のうち、付加価値を有しない1又は複数の役務の定価と、複数の役務のうち、付加価値を有する1又は複数の役務のそれぞれの付加価値に応じたそれぞれの指定料金を定価に加算したそれぞれの合計価格とを記憶する記憶部と、複数の役務の情報と、付加価値を有しない1又は複数の役務の定価と、それぞれの指定料金を定価に加算したそれぞれの合計価格とを顧客の端末に送信する送信部と、顧客から、1又は複数の役務の予約の依頼を受信し、予約の情報を記憶部に記憶させる受信部と、付加価値を有する1又は複数の役務のうち、予約されたのち販売された全ての役務の指定料金の合計を算出し、算出された指定料金の合計を、付加価値を有しない1又は複数の役務のうち予約されたのち販売された役務を購入したそれぞれの顧客に対して、分配する演算部と、を備えることを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、顧客の端末から複数の役務のうちの1又は複数の付加価値を有する役務と1又は複数の付加価値を有しない役務の予約を受け付けたのち販売する予約方法であって、記録部から複数の役務の役務情報を読出し、顧客の端末に役務情報を送信するステップと、顧客の端末から1又は複数の付加価値を有する役務と1又は複数の付加価値を有しない役務のそれぞれの予約受付情報を受信するステップと、記録部にそれぞれの予約受付情報を記録するステップと、予約された1又は複数の付加価値を有する役務と1又は複数の付加価値を有しない役務が実際に販売されたのち、1又は複数の付加価値を有する役務の付加価値に対応するそれぞれの価格の合計金額を算出するステップと、1又は複数の付加価値を有しない役務を購入した顧客に対して、合計金額をそれぞれの1又は複数の付加価値を有しない役務に対して還元するステップとを備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の態様は、プロセッサにより実行されたときに、プロセッサに、顧客の端末から複数の役務のうちの1又は複数の付加価値を有する役務と1又は複数の付加価値を有しない役務の予約を受け付けたのち販売するための方法を実行させる命令を含むコンピュータ読取可能記憶媒体であって、記録部から複数の役務の役務情報を読出し、顧客の端末に役務情報を送信するステップと、顧客の端末から1又は複数の付加価値を有する役務と1又は複数の付加価値を有しない役務のそれぞれの予約受付情報を受信するステップと、記録部にそれぞれの予約受付情報を記録するステップと、予約された1又は複数の付加価値を有する役務と1又は複数の付加価値を有しない役務が実際に販売されたのち、1又は複数の付加価値を有する役務の付加価値に対応するそれぞれの価格の合計金額を算出するステップと、1又は複数の付加価値を有しない役務を購入した顧客に対して、合計金額をそれぞれの1又は複数の付加価値を有しない役務に対して還元するステップとを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、役務を利用者のニーズに合わせて選択でき、かつその役務に対して付加価値に適正に対応した料金を提示することで利用者の満足度を高め、利用者を安定的に確保することによって収益を安定化させる予約システム及び予約方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る予約システムにおける操作画面の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る予約システムの一例の概略図である。
図3】実施形態に係る予約システムにおける予約可能な部屋の宿泊価格の算出方法を説明するための図である。
図4】実施形態に係る予約システムにおける追加チャージ及び値引きの価格を示す表である。
図5】実施形態に係る予約システムによる予約方法を説明するフローチャートである。
図6】実施形態に係る予約システムの変形例における操作画面の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る予約システムの変形例における各部屋の付加価値価格及び値引き価格を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成や配置、レイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
(実施形態)
本発明の実施形態に係る予約システムによって、ユーザ端末に表示される操作画面の一例として、宿泊施設の部屋の予約のための宿泊施設紹介画面10を図1に示す。図1に示す宿泊施設紹介画面10の上部画面105には、宿泊施設の代表的な部屋101の画像が表示されている。下部画面107には、宿泊施設の部屋、ロビー、土産店、飲食店等の複数の画像が並べて表示され、この複数の画像のうち、部屋102が選択されており、下部画面107の部屋102と同じ画像が上部画面105に表示されている。上部画面105の部屋の画像の左上には、宿泊施設104の名称が記載されており、本実施形態においては、一例として「高原リゾートホテル」という名称を記載している。
【0016】
上部画面105に表示される部屋101の画像は、上下左右、360度連続した画像となっており、表示変更ボタン106を選択又は画像上の任意の個所をマウスポインタにより選択してマウスポインタを上下左右に移動させることによって、部屋101の内部の様子や、窓からの景色を確認できる等、部屋101内を360度閲覧できるように設定されている。又、部屋101のテーブル上に置かれたメニュー108を選択すると、ルームサービスのメニューの一覧が表示される等、部屋101の画像上の複数の個所を選択することで、例えば、部屋の備品や、トイレ、バスといった部屋の設備に関連した情報が表示される。
【0017】
宿泊施設紹介画面10の上部画面105上の「今すぐWEB予約」と記載された予約ボタン103を選択すると、予約手続きの開始画面が表示される。予約手続きの開始画面には、複数の予約可能な部屋、複数の予約可能な部屋のそれぞれの予約時価格、複数の予約可能な部屋のそれぞれの間取りや面積等が記載されている。
【0018】
複数の予約可能な部屋のうち、閲覧したい部屋を選択すると、選択された部屋の詳細画面が表示される。選択された部屋の詳細画面には、選択された部屋の詳細な間取り、選択された部屋について選択可能な複数の宿泊プラン、複数の宿泊プランにおけるそれぞれの予約時価格とともに、選択された部屋の画像が表示される。選択された部屋の画像は、選択された部屋の詳細画面上に表示されてもよいし、選択された部屋の詳細画面とは別に、宿泊施設紹介画面10と同様の画面ではあるが、上部画面105に、宿泊施設の代表的な部屋101の画像ではなく、選択された部屋の画像が表示された画面が表示されてもよい。選択された部屋の画像は、図1に示す部屋101の画像と同様、上下左右、360度連続した画像となっており、マウスポインタ等により、選択された部屋の内部を360度閲覧できるように設定されている。
【0019】
選択された部屋の詳細画面において、利用者は、選択された部屋の詳細な情報を得ることができ、この情報を基に、選択された部屋を予約するか否かを決定することができる。選択された部屋の詳細画面から、選択された部屋を予約する手続きを進める予約画面を表示することができる。利用者は、選択された部屋を予約することを決定したのち、予約画面から、予約する手続きを行う。
【0020】
本発明の実施形態に係る予約システム20の一例の概略を図2に示す。予約システム20は、予約サーバ201、メールサーバ202、第1の宿泊施設端末203a及び第2の宿泊施設端末203bから構成される。予約サーバ201と第1の宿泊施設端末203a及び第2の宿泊施設端末203bとはデータの送受信を行う。予約サーバ201は更に、第1のユーザ端末205a、第2のユーザ端末205b、第3のユーザ端末205cと、インターネット等の通信回線204を介してデータの送受信を行う。第1~第3のユーザ端末205a~cは、パーソナルコンピュータ、モバイル端末等、通信回線204を介してデータの送受信を行うことができれば、いずれの形態の端末であっても構わない。ここで、第1の宿泊施設端末203a及び第2の宿泊施設端末203bは、同一の宿泊施設の端末であっても良く、又、同一の宿泊施設の端末でなくても構わない。また、予約サーバ201は、更に第1の宿泊施設端末203a及び第2の宿泊施設端末203bとは異なる1又は複数の宿泊施設端末とデータの送受信を行っても構わない。
【0021】
予約サーバ201は、受信部206、記憶部207、計算部208及び送信部209とから構成される。図1に示す宿泊施設紹介画面10の各画像、部屋の設備に関連した情報、予約手続きの開始画面に表示される、複数の予約可能な部屋、複数の予約可能な部屋のそれぞれの予約時価格、複数の予約可能な部屋のそれぞれの間取りや面積及び複数の予約可能な部屋のそれぞれの画像は、記憶部に記憶されている。計算部208は、記憶部207に記憶されたデータに基づき、複数の予約可能な部屋のそれぞれの宿泊価格を計算する。
【0022】
予約サーバ201は、第1~第3のユーザ端末205a~cのいずれかから受信部206へ、宿泊施設紹介画面10を表示するデータの要求を受信すると、記憶部207から宿泊施設紹介画面10に関するデータを読み出し、送信部209から宿泊施設紹介画面10を表示するデータを送り返す。利用者が宿泊施設紹介画面10上の予約ボタン103を選択して、予約サーバ201に対して予約手続きの開始画面を要求すると、予約サーバ201は、記憶部207から複数の予約可能な部屋、複数の予約可能な部屋のそれぞれの予約時価格、複数の予約可能な部屋のそれぞれの間取りや面積及び複数の予約可能な部屋のそれぞれの画像を読み出し、送信部209から利用者のユーザ端末に送り返す。
【0023】
利用者は、複数の予約可能な部屋のそれぞれの予約時価格、複数の予約可能な部屋のそれぞれの間取りや面積及び複数の予約可能な部屋のそれぞれの画像に基づき、予約する部屋を選択することができる。選択された部屋の詳細画面から、予約する手続きを進める予約画面を表示することができる。利用者は、予約画面において、利用者の氏名、連絡先、宿泊する日付等を入力し、予約の確定を選択すると、予約受付情報が利用者のユーザ端末から予約サーバ201へ送信される。予約受付情報は、利用者が選択した部屋、利用者の氏名、連絡先、宿泊する日付等が含まれる。ユーザ端末から予約受付情報を受信した受信部206は、予約受付情報を記憶部207に出力して記憶部407に記憶させる。送信部209からユーザ端末へ、予約が完了したことを伝える情報が送信され、予約が完了する。予約の完了と同時に、メールサーバ202から、利用者宛に、予約が完了したことを伝えるメールを送信してもよい。
【0024】
本実施形態に係る予約システムにおいて、受信部206がユーザ端末から予約受付情報を受信し、記憶部207に出力すると、計算部208は、記憶部207に記憶されている複数の予約可能な部屋のそれぞれの予約時価格と、複数の予約可能な部屋の予約状況から、複数の予約可能な部屋のそれぞれの宿泊価格を算出する。
【0025】
本実施形態に係る予約システムにおける、複数の予約可能な部屋のそれぞれの宿泊価格の算出方法を、図3を参照して説明する。図3に、宿泊施設紹介画面10に示された宿泊施設の部屋の配置図30を示す。配置図30には、一例として、面積、向き、配置等が互いに異なる17室の、部屋番号が801号室~817号室の部屋801~817及びエレベーター301が示されている。ここで、図3に示す各部屋に付した符号は、それぞれの部屋番号を示しており、以下、例えば、801号室の部屋801を801号室と記載する。814号室~817号室に囲まれたスペースはライトコート302である。図3に示された部屋に関する情報及び価格は、記憶部207に記憶されている。又、図3に示された部屋のうち、宿泊の予約が可能な部屋が予約手続きの開始画面に表示される。
【0026】
図3に示す各部屋801~817の面積、基本販売価格、平米単価、付加価値価格、予約時価格、値引価格、宿泊価格を図4に表にして示す。図4に示すように、801号室及び805号室の面積は10平方メートル、804号室、809号室、813号室、814号室、816号室及び817号室の面積は18平方メートル、802号室、803号室、805~808号室、810~812号室の面積は、22平方メートルである。平米単価はすべての部屋について同一の1000円である。
【0027】
図3に示す各部屋のうち、802号室~805号室は、最も景観の良い部屋であるとする。又、806号室及び807号室は、景観の良い部屋であるとする。これに対して、801号室、808号室~812号室は、景観の悪い部屋であるとする。又、813号室~817号室は、ライトコートに面しており、景観の悪い部屋であるとする。
【0028】
図3に示す各部屋のうち、例えば、802号室と、811号室とは、部屋の間取りは互いに反転しているものの、間取り、面積ともに互いに同じである。しかしながら、802号室の景観は最も良く、一方、811号室の景観は悪い。即ち、802号室は、812号室と比較して、景観が良いという点において、付加価値が高い部屋であるといえる。ここで、付加価値とは、本実施形態においては、特定の部屋が、他の部屋が有していない、利用者の満足度を左右させる特徴を有しており、この特徴に起因して生じる価値である。具体的には、本実施形態においては、利用者の満足度を左右させる特徴は、景観の良さである。付加価値が高い部屋とは、景観が良いため、利用客は、他の部屋よりも、宿泊したいという欲求が高められる部屋のことである。802号室と、803号室とは、部屋の間取りは同じであり、かついずれも景観は最も良いが、802号室はフロアの角に位置するため窓の総面積が803号室よりも多く、802号室は、803号と比較して、例えば、更に景観が良い点において、付加価値が高いとみなす。即ち、802号室~807号室は、付加価値が高いとみなせる部屋であり、802号室及び805号は、更に付加価値が高いとみなせる部屋である。
【0029】
本実施形態において、図4に示すように、図3に示す各部屋のうち、付加価値が高いとみなせる部屋である802号室~807号室について、それぞれ付加価値価格を設定している。付加価値価格は、それぞれの部屋の付加価値の高さに応じて値段が決定されている。景観の良さに応じて、それぞれの部屋の付加価値価格を、例えば、802号室及び805号室は2500円、803号室は2000円、806号室、807号室は1000円、804号室は500円とする。
【0030】
本実施形態においては、図3に示す各部屋のうち、付加価値が高いとみなせる部屋である802号室~807号室について、それぞれの部屋を指定して予約することができる。即ち、予約手続きの開始画面に、802号室~807号室のそれぞれが表示される。予約手続きの開始画面には、それぞれの部屋の予約時価格が表示されるが、付加価値が高いとみなせる部屋の予約時価格は、図4に示す基本販売価格と付加価値価格の合計である。なお、図3に示す各部屋の基本販売価格は、面積と、平米単価を掛け合わせたものである。予約に先立ち、付加価値が高いとみなせる部屋については、部屋の詳細を、選択された部屋の詳細画面で確認することができる。
【0031】
一方、付加価値が高いとみなせない部屋である801号室、808号室~817号室については、図4に示すように、付加価値はないとみなされ、付加価値価格は設定されていない。付加価値が高いとみなせない部屋の予約時価格は、基本販売価格と同じ価格であり、付加価値が高いとみなせない部屋の、面積が同一であれば、予約時価格も同一である。付加価値が高いとみなせない部屋について、予約時において、部屋の面積を指定して予約することはできるが、それぞれの部屋を指定して予約することはできないとする。即ち、予約手続きの開始画面に、付加価値が高いとみなせない部屋の、同一面積の部屋に関する情報と、同一面積の部屋の予約時価格とが表示される。同一面積の部屋に関する情報は、同一面積の部屋の面積であるが、付加価値が高いとみなせる部屋との差異に関する情報、例えば景観が望めない、等を含めてもよい。
【0032】
利用者が、付加価値が高いとみなせる部屋のいずれかを予約したのち、予約した部屋に宿泊日に宿泊したとする。利用者が支払う宿泊代金は、予約時に提示された予約時価格と同額である。宿泊施設は、宿泊代金の精算時に、第1の宿泊施設端末203a及び第2の宿泊施設端末203bから、予約サーバ201に対して、利用者の情報を要求する。予約サーバ201は、記憶部207から、利用者の予約受付情報を読み出す。利用者が付加価値が高いとみなせる部屋を予約したのち宿泊したことが特定された時点で、利用者の宿泊代金は予約時に提示された予約時価格と同額となり、利用者は宿泊代金を宿泊施設に支払う。
【0033】
これに対して、利用者が、付加価値が高くないとみなせる部屋を予約画面において予約したのち、予約した部屋に宿泊日に宿泊したとする。これと同日に他の利用者が付加価値が高いとみなせる部屋に宿泊し、支払った宿泊代金のうちの付加価値価格の、全ての付加価値が高いとみなせる部屋についての総額を算出する。付加価値が高くないとみなせる部屋を予約したのち宿泊した利用者は、算出した付加価値価格の総額を、これと同日に付加価値が高くないとみなせる部屋に宿泊した利用者のそれぞれに対して、付加価値が高くないとみなせる部屋のそれぞれの予約時価格に応じて分配した額を値引価格として受け取る。
【0034】
値引価格は、予約サーバの計算部208が算出する。宿泊施設は、宿泊代金の精算時に、第1の宿泊施設端末203a又は第2の宿泊施設端末203bから、予約サーバ201に対して、利用者の情報を要求する。予約サーバ201は、記憶部207から、利用者の予約受付情報を読み出す。利用者が付加価値が高いとみなせない部屋を予約したのち宿泊したことが特定されると、予約サーバ201は次のように、値引価格を算出する。計算部208は、その時点で確定している、利用者が宿泊した宿泊日と同日に、他の利用者が付加価値が高いとみなせる部屋に宿泊し、支払った宿泊代金のうちの付加価値価格を、全ての付加価値が高いとみなせる部屋について、記憶部207から読み出し、付加価値価格の総額を算出する。計算部208はさらに、記憶部207から、利用者が宿泊した宿泊日と同日に、他の利用者が宿泊した、付加価値が高くないとみなせる部屋の予約時価格を、全ての付加価値が高くないとみなせる部屋について読出し、予約時価格の総額を算出する。計算部208は、付加価値価格の総額に、利用者の予約時価格を予約時価格の総額で割った値を掛けた額を算出し、第1の宿泊施設端末203a又は第2の宿泊施設端末203bに値引価格として送信する。
【0035】
図4に示す値引価格は、図3に示す部屋が満室であるとしたときの、値引価格である。付加価値が高いとみなせる部屋である、802号室~807号室の部屋802~807の、付加価値価格の総額は9500円である。付加価値価格の総額を、付加価値が高くないとみなせる部屋の予約時価格に応じて分配した額が、値引価格である。値引価格の総額は、付加価値価格の総額とほぼ同額となる。図3において、値引価格の総額が付加価値価格の総額より若干大きくなっているが、これは値引価格を算出する際に、値引価格の小数点以下の数字を切り上げて、値引価格を整数としたためである。
【0036】
上記のような値段の設定により、付加価値の高い部屋での宿泊を希望する利用者は、付加価値が高いとみなせる部屋のそれぞれの画像を含む詳細及び付加価値価格に基づき、部屋を選択することができる。一方、付加価値がなくても、宿泊代金のより安い部屋での宿泊を希望する利用者は、付加価値が高いとみなせる部屋に対する相対的な付加価値の低さに応じた値引きを受けることができる。即ち、付加価値の高い部屋での宿泊を希望する利用者、付加価値がなくても、宿泊代金のより安い部屋での宿泊を希望する利用者ともに、利用者が期待した効用に合致した宿泊代金で宿泊できる。付加価値が高いとみなせる部屋に宿泊する利用者によって支払われる付加価値価格は、付加価値が高くないとみなせる部屋に宿泊する利用客に分配されるので、本実施形態に係る予約システムは、収益を上げ続けることを期待するシステムではなく、収益をより安定化させるシステムであると言える。
【0037】
付加価値が高くないとみなせる部屋に宿泊した利用客が宿泊代金を清算するときに、値引価格を算出する際、その時点で、付加価値が高いとみなせる部屋及び付加価値が高くないとみなせる部屋のいずれに対しても、利用状況が確定されている必要がある。宿泊施設が、宿泊施設に宿泊した利用客がチェックアウトの時点で清算する清算方法を採用している場合、精算の時点で、その前日の宿泊施設の利用状況は確定している。従って、精算の時点における、前日の宿泊施設の利用状況に基づいて値引価格を算出することができる。清算の時点で値引価格を算出できれば、予約時価格から値引価格を引いた価格を宿泊代金として支払うことができる。
【0038】
しかしながら、宿泊施設が、宿泊施設に宿泊した利用客がチェックインの時点で清算する清算方法を採用している場合、精算後に予約、チェックインする利用客や、キャンセルする利用客がいる可能性があり、精算の時点において、その日の宿泊施設の利用状況は確定していない。この場合、例えば、チェックインする日の前日の予め設定した時間において、本実施形態に係る予約システムによる予約を締め切り、締め切った時点で値引価格を算出すれば、チェックイン時の精算の際、予約時価格から値引価格を引いた価格を宿泊代金とすることができる。しかしながら、この方法によると、キャンセルが生じると損失が生じる可能性がある。従って、例えば、チェックイン時の精算の際、付加価値が高くないとみなせる部屋に宿泊した場合も、予約時価格を宿泊代金として支払い、後日、値引価格に相当する返金を受け取ればよい。
【0039】
返金方法としては、指定の銀行等の口座に現金を振り込む、電子マネー等による返金、等が考えられるが、利用客が、自身の銀行口座等の情報を宿泊施設に知らせることを望まない可能性がある。そのため、例えば、宿泊施設において会員制を導入し、会員登録を行った後宿泊施設の予約を行うように設定する。各会員は宿泊施設独自のポイントを有するとし、会員は、後日、値引価格に相当する返金の代わりに、値引価格に相当するポイントを受け取る。受け取ったポイントは、宿泊施設において、後日再び宿泊した際に、宿泊代金に充当してもよく、宿泊施設が例えば店舗等を併設している場合、店舗での商品の購入代金に充当してもよい。会員制を導入して、値引価格に相当するポイントを会員が受け取るという方法によって、利用者の宿泊施設の再利用も促される。
【0040】
本実施形態に係る予約システムによる宿泊代金の算出方法を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0041】
ステップS501において、宿泊施設は、宿泊代金の精算時に、第1の宿泊施設端末203a又は第2の宿泊施設端末203bから、予約サーバ201に対して、利用者の情報を要求する。
【0042】
ステップS502において、予約サーバ201は、記憶部207から、利用者の予約受付情報を読み出す。
【0043】
ステップS503において、利用者が、付加価値が高いとみなせる部屋と、付加価値が高くないとみなせる部屋のどちらを予約したのち宿泊したかを判断する。利用者が付加価値が高いとみなせる部屋を予約したのち宿泊した場合、ステップS504に進む。利用者が付加価値が高いとみなせない部屋を予約したのち宿泊した場合、ステップS505に進む。
【0044】
ステップS504において、利用者が付加価値が高いとみなせる部屋を予約したのち宿泊した場合、利用者の宿泊代金は予約時に提示された予約時価格と同額となり、利用者は宿泊代金を宿泊施設に支払ってフローチャートを終了する。
【0045】
ステップS505において、利用者が付加価値が高いとみなせない部屋を予約したのち宿泊した場合、計算部208は、その時点で確定している、利用者が宿泊した宿泊日と同日に、他の利用者が付加価値が高いとみなせる部屋に宿泊し、支払った宿泊代金のうちの付加価値価格を、全ての付加価値が高いとみなせる部屋について、記憶部207から読み出し、付加価値価格の総額を算出する。ステップS506に進む。
【0046】
ステップS506において、付加価値が高くないとみなせる部屋を予約した利用客に対して、値引き額を通知する。計算部208はさらに、記憶部207から、利用者が宿泊した宿泊日と同日に、他の利用者が宿泊した、付加価値が高くないとみなせる部屋の予約時価格を、全ての付加価値が高くないとみなせる部屋について読出し、予約時価格の総額を算出する。
【0047】
ステップS507において、計算部208は、付加価値価格の総額に、利用者の予約時価格を予約時価格の総額で割った値を掛けた額を算出する。
【0048】
ステップS508において、計算部208は、ステップS507において算出した値を、第1の宿泊施設端末203a又は第2の宿泊施設端末203bに値引価格として送信する。
【0049】
本実施形態に係る予約システムによる宿泊代金の算出方法によれば、付加価値の高くない部屋を予約した場合、予約申し込みの時点における宿泊代金は予約時価格である。予約後、宿泊日に宿泊し、精算を行うまで、宿泊施設の予約状況は日々変化する。予約後、宿泊日までの、いくつかの時点での宿泊施設の予約状況に基づき、付加価値の高くない部屋を予約した場合の値引価格を算出することができ、予約後、宿泊日まで、値引価格は日々変化する様子を示す。値引価格が日々変化する様子を利用者に知らせることによって、利用者は、割引価格がとりうる最大の価格を知ることができる。これにより、利用者が、割引価格ができるだけ最大の価格に近付くことを期待するようになる等、利用者の興味を引き、利用者の宿泊施設の再利用が促されることが期待される。
【0050】
値引価格が日々変化する様子は、次のように利用者に知らせることができる。例えば、予約後、宿泊日まで、予め設定した時間ごとに、例えばメールサーバ202から利用者へメール等により予め設定された時間における予約状況に基づいた値引価格を知らせてもよい。宿泊施設において会員制を導入しているのであれば、会員の情報を確認できる画面において、予め設定された時間における予約状況に基づいた値引価格を示してもよい。
【0051】
予約手続きの開始画面に、複数の予約可能な部屋、複数の予約可能な部屋のそれぞれの予約時価格、複数の予約可能な部屋のそれぞれの間取りや面積等に加えて、複数の予約可能な部屋のそれぞれの、予約がすでになされているかどうか、予約されていれば、予約されている宿泊日、キャンセル待ちは何件か、等の予約状況を表示してもよい。すでに予約されている部屋を更に予約する、即ちキャンセル待ちを申し込むと、キャンセル待ちとなる。予約が完了した際に送信部209からユーザ端末へ送信される、予約が完了したことを伝える画面に表キャンセル待ちの予約であることと、この予約の前に何人予約していたかを示してもよい。予約の完了と同時にメールサーバ202から利用者宛に送信されるメールに、キャンセル待ちの予約であることを記載してもよい。キャンセル待ちの予約を申し込む際には、例えば、申し込む部屋にキャンセルが発生しなかった場合、同等の部屋を紹介するように設定できるようにしてもよい。
【0052】
部屋の予約のキャンセルが発生したとき、メールサーバ202からキャンセル待ちで予約した利用者に、キャンセルの発生をメールの自動配信によって通知する。キャンセル待ちの一人目の利用者には、キャンセルの発生を知らせると同時に、予約を希望する場合は予約手続きを進めるよう促し、メールから選択することにより予約確認の画面を表示できるようにする。キャンセル待ち二人目以降の利用者には、キャンセル待ちの順位が上がったことをメールによって通知する。一定時間内に予約手続きがなされない場合、キャンセル待ち一人目の予約もキャンセルとなり、キャンセル待ち二人目に、メールによってキャンセルの発生を知らせ、予約手続きを進めるように促す。
【0053】
キャンセル待ちの状態で予約し、キャンセルの発生によって実際に予約の手続を行う際、付加価値の高いとみなせる部屋を予約している場合は、付加価値価格を下げてもよい。付加価値が高くないとみなせる部屋を予約している場合は、値引価格を上げる、値引率を上げる等してもよい。このようにして、キャンセルが発生したのち、付加価値価格を下げる、値引率を上げる、等により、再度の予約を成立しやすくし、キャンセルによってできるだけ空室が発生しないような設定にしてもよい。
【0054】
予約が成立したのち、宿泊を取りやめたにもかかわらず、キャンセルの連絡をしないケースがある。キャンセルする場合はその連絡を促すために、例えば、キャンセルの連絡をすると、キャンセルのポイントがたまり、ある一定以上のキャンセルのポイントがたまると、例えばキャンセル待ちの順位が上がるようにする等によって、キャンセルする場合のキャンセルの連絡を促してもよい。
【0055】
付加価値が高くないとみなせる部屋において、例えば、窓からの景観が特に悪い、狭いスペースに配置されており使用しにくい間取りである等、特に付加価値が低いとみなせる部屋がある場合がある。これらの部屋に宿泊した場合、付加価値価格がかからなくても、付加価値が特に低いために、利用者の満足度が下がってしまうことがある。こういった場合、利用者の満足度を安定させるために、予約の際に、予め付加価値が低いとみなせる理由を表記しておくと同時に、例えば値引価格を算出する際、値引率を高くする等の設定を行ってもよい。
【0056】
図1に示す宿泊施設紹介画面10、予約手続きの開始画面又は予約画面が送信部209からユーザ端末に送信される際に、これらの画面の視聴履歴を記憶部207に記憶させ、宿泊施設紹介画面10、予約手続きの開始画面又は予約画面が送信部209からユーザ端末に送信される際に、宿泊施設紹介画面10、予約手続きの開始画面又は予約画面に、視聴履歴や現在視聴している人数を表示してもよい。視聴履歴や現在視聴している人数を表示することで、多くの利用者がこの宿泊施設に興味があることを示し、利用者の購買意欲を掻き立てるようにする。
【0057】
記憶部207には、付加価値が高いとみなせる部屋の付加価値価格、各部屋の予約及び利用状況、支払合計金額、キャンセル、視聴回数等のデータベースが記憶される。このデータベースより、付加価値が高いとみなせる部屋の付加価値価格の適正な金額等を検討することができる。例えば、付加価値が高いとみなせる部屋の予約数が付加価値が高くないとみなせる部屋の予約数よりも少ない場合、付加価値価格の金額が適正な金額より高い可能性があり、付加価値価格のかからない部屋であっても、利用回数の極端に多い部屋や少ない部屋があった場合に、付加価値価格のかかる部屋に変更できる可能性がある等が考えられる。
【0058】
更に、視聴履歴と、実際の利用状況とを組み合わせることで、より詳細に適正金額の検討ができる。例えば、視聴回数が多いにもかかわらず、予約及び利用回数の少ない部屋は、付加価値が高いとみなせる部屋ではあるが、実際の付加価値に対して付加価値価格の額が適正価格より高いとみなせる。視聴回数は比較的多くないが、予約及び利用回数が多い部屋は、実際の付加価値に対して付加価値価格の額が適正価格より低い可能性があるといえる。また、視聴回数、予約及び利用回数ともに多く、キャンセル待ちが多い部屋は、実際の付加価値に対して付加価値価格の額が適正価格より非常に低く、付加価値価格の金額を上げるよう検討してもよいといえる。
【0059】
実際に宿泊施設に宿泊した利用者によって、宿泊した部屋について例えば5段階の評価付けを行ってもらい、評価の結果を適正金額の検討に反映させてもよい。例えば、付加価値の高いとみなせる部屋であって、付加価値価格の額が同じであるが、利用者による評価の結果によると、一方の部屋の評価は高く、もう一方の部屋の評価は低い場合、評価に合わせて付加価値価格の額を変える等の検討を行ってもよい。また、予約手続きの開始画面に、複数の予約可能な部屋、複数の予約可能な部屋のそれぞれの予約時価格、複数の予約可能な部屋のそれぞれの間取りや面積等に加えて、すでに宿泊した利用者による評価の結果を記載してもよい。
【0060】
(変形例)
本発明の実施形態に係る予約システムの変形例を図6に示す。図6に示す操作画面は、レストランの席の予約のための飲食店紹介画面60である。図1に示す飲食店紹介画面60は、宿泊施設104内のレストランの席を予約する場合を想定している。飲食店紹介画面60の動作は図1に示す宿泊施設紹介画面10と同様であるが、図6に示す画像はレストランの画像である。図6には、上部画面105に、宿泊施設104の庭に面した、テラス席を有するレストランの店内の画像が表示され、下部画面107には、宿泊施設104の土産店、飲食店、中庭等の画像が表示されている。下部画面107の複数の画像のうち中央に表示されたレストラン画像609が選択されており、上部画面105に表示されている。
【0061】
上部画面105のレストランの画像には、第1の席601、第2の席602、第3の席603、第4の席604、第5の席605、第6の席606が表示されている。第1~第6の席601~606は、それぞれのテーブル又は椅子の画像を選択すると、予約手続きの開始画面が表示される。上部画面105に表示される画像は、表示変更ボタン106を選択又は画像の任意の個所を選択し、上下左右に移動させることによって、それぞれの席からの景色を確認できる等、店内を360度閲覧できるように設定されている。又、例えば、第3の席603上に置かれたメニュー607を選択すると、レストランのメニューの一覧が表示される等、画面上の特定の個所を選択することでその個所に関連した情報を得ることができるようにしてもよい
【0062】
予約手続きの開始画面には、それぞれの席の付加価値に応じた追加チャージの金額が表示されている。図7は、各席の追加チャージを示す表である。図6に示すレストランの例においては、付加価値として、例えば、席からの景観が良い、静かな席である、等が挙げられる。例えば、第1及び第2の席601及び602は、テラスに設置された席であり、席からの景観が良く、付加価値が高いとみなされ、追加チャージを1000円とする。又、第6の席606は、最も奥の席ではあるが、例えば通常の椅子ではなくソファーを設置しており、付加価値が高いとみなされ、追加チャージを1000円とする。
【0063】
第1、第2及び第6の席601、602及び606と比較して、第3~第5の席603~605は、例えば出入り口や厨房に近く、騒がしい、景観が良くない等の理由で、追加チャージは課せられない。更に、第3~第5の席603~605を予約した利用者は、付加価値が高いとみなされた第1、第2及び第6の席601、602の追加チャージの合計金額を第3~第5の席603~605を予約した利用者でシェアし、値引きをする。例えば第1~第6の席601~606がすべて予約され、利用された場合、追加チャージの合計は3000円、これを第3~第5の席603~605を予約した利用者でシェアすると、1席1000円が値引きされる。
【0064】
レストランにおいて、全ての利用者は決まった時間に利用するわけではなく、通常は利用者の都合の良い時間を予約し、食事が終われば会計をする。第1~第6の席601~606がすべて予約され、利用された場合、追加チャージの合計は3000円、これを第3~第5の席603~605を予約した利用者でシェアするといった場合、第3~第5の席603~605を予約した利用者が会計を行う時点において追加チャージの合計が得られるとは限らない。従って、例えば、レストランに対して会員として登録したものだけが通信回線を通じて予約を出来るように設定し、追加チャージの合計を第3~第5の席603~605を予約した席の数で割った金額を、第3~第5の席603~605を予約ご利用した利用者に返金してもよい。また、返金する代わりに、次回レストラン利用時にその金額分値引きするようにしてもよい。会員登録して、追加チャージの合計を追加チャージのかからない席を利用した利用客でシェアする、という方法により、利用者の再利用を促す、という効果も期待できる。
【0065】
席ごとの追加チャージの代金は、予約時に決定していてもよいが、予約時には決定せず、利用代金に応じて代金を変動させてもよい。例えば、図1における第1の席601を予約し利用した際に、最も値段の高いコース料理を注文すれば追加チャージは500円、最も値段の低いコース料理を注文すれば追加チャージは1500円、等利用金額に応じた追加チャージに設定する。
【0066】
追加チャージの合計を追加チャージのかからない席を予約したのち利用した利用客でシェアするにおいて、追加チャージの合計金額を追加チャージのかからない席を予約したのち利用した席の数で割るだけでなく、利用金額に応じた金額を返金してもよい。追加チャージの合計金額を追加チャージのかからない席を予約したのち利用した利用者の利用代金の合計金額で割った値を、利用代金に掛けた値を値引きすればよい。例えば、追加チャージの合計金額が5000円、追加チャージのかからない席を予約したのち利用した利用者の利用代金の合計金額を100000円とすると、追加チャージのかからない席を予約したのち利用した利用者の利用代金は5%分返金されることになる。
【0067】
本発明の実施形態に係る予約システムにかかる値段の設定方法により、付加価値の高い席での飲食を希望する利用者は、付加価値が高いとみなせる席のそれぞれの画像を含む詳細及び追加チャージに基づき、席を選択することができる。一方、付加価値がなくても、追加チャージのかからない席での飲食を希望する利用者は、相対的な付加価値の低さに応じた値引きを受けることができる。即ち、付加価値の高い席での飲食を希望する利用者、チャージのかからない席での飲食を希望する利用者ともに、利用者が期待した効用に合致した代金で飲食することができる。
【0068】
本発明の実施形態に係る予約システムの一例及びその変形例は、宿泊施設及び飲食店が提供する役務を予約する場合である。実施形態に係る予約システムにおいては、宿泊施設が提供する役務とは、宿泊等を目的として宿泊施設の部屋を一定期間提供することである。又、宿泊施設が宿泊等を目的として一定期間提供可能な部屋を保有している状態を、役務を保有している状態であるとする。また、実施形態に係る予約システムの変形例においては、飲食店が提供する役務とは、飲食店の席を一定期間提供して食事等を提供することであり、飲食店が席を一定期間提供して食事等を提供することが可能な状態を、役務を保有している状態とする。
【0069】
実施形態に係る予約システム及びその変形例においては、宿泊施設及び飲食店を例として挙げたが、これらの他にも、交通機関、娯楽施設等が提供する役務への適用も可能である。例えば、コンサートでの鑑賞や、スタジアムでのスポーツ観戦での座席指定へ適用してもよい。コンサート会場で鑑賞する際、代金が同じ最前列の席であっても、最前列中央の席で、歌手の目前で鑑賞する場合と、最前列ではあるが端の席で、歌手が遠く離れている場合とでは、利用者の満足度は大きく異なると考えられる。一方、声が聞こえるのであれば歌手から遠くても構わないとする利用者もいると考えられる。本発明の予約システムによれば、役務の利用者のニーズに合わせた選択が可能であり、かつその役務に対して付加価値に適正に対応した料金を提示することで利用者の満足度を高めることができる。
【0070】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0071】
10 宿泊施設紹介画面
101、102 部屋
103 予約ボタン
104 宿泊施設
105 上部画面
106 表示変更ボタン
107 下部画面
108、607 メニュー
20 予約システム
201 予約サーバ
202 メールサーバ
203a 第1の宿泊施設端末
203b 第2の宿泊施設端末
204 通信回線
205a 第1のユーザ端末
205b 第2のユーザ端末
205c 第3のユーザ端末
206 受信部
207 記憶部
208 計算部
209 送信部
301 エレベーター
302 ライトコート
60 飲食店紹介画面
601 第1の席
602 第2の席
603 第3の席
604 第4の席
605 第5の席
606 第6の席
609 レストラン画像
801 801号室
802 802号室
803 803号室
804 804号室
805 805号室
806 806号室
807 807号室
808 808号室
809 809号室
810 810号室
811 811号室
812 812号室
813 813号室
814 814号室
815 815号室
816 816号室
817 817号室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7