(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】多方向弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/524 20060101AFI20220309BHJP
F16K 11/18 20060101ALI20220309BHJP
F16K 49/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
F16K31/524 A
F16K11/18 Z
F16K49/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017085760
(22)【出願日】2017-04-25
【審査請求日】2020-04-20
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510020974
【氏名又は名称】ジーイー・エナジー・プロダクツ・フランス・エスエヌセー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・マハー・アブジャビ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ジーン・ルイス・ヴィニョーロ
(72)【発明者】
【氏名】エツィオ・マウリシオ・ペーニャ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン・カトリン
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6959728(US,B2)
【文献】国際公開第2002/061516(WO,A1)
【文献】特開平3-168474(JP,A)
【文献】特開昭56-60633(JP,A)
【文献】特開2015-57563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/44 - 31/62
F16K 11/00 - 11/24
F16K 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ハウジング(2)を備える多方向弁(1)であって、前記外側ハウジング(2)に、
内部キャビティ(3)と、
前記
内部キャビティ
(3)内の流体の少なくとも1つの入力(4,5,
6)
であってシール手段(12,13,14)を備える少なくとも1つの入力(4,5,6)及び
前記内部キャビティ(3)内の流体の少なくとも1つの出力(10,35,36)
と、
前記内部キャビティ(
3)内に配置され
て前記シール手段(12,13,1
4)の開放を引き起こすように
構成されたアクチュエータ(16)
と
が設けられており、前記アクチュエータ(16)の断面が前記内部キャビティ(
3)の断面よりも小さ
く、前記外側ハウジング(2)が冷却流体を循環させるための第2のキャビティ(30)を備える、多方向弁
(1)。
【請求項2】
前記シール手段(12,13,1
4)
の開放が
、前記アクチュエータ(16)に配置され
た突出要素(23,
27,44)によって引き起こされる
、請求項1
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項3】
前記アクチュエータ(16)の回転軸の周りで前記
回転軸と直交す
る同一平面内に
複数の突出要素が配置される
、請求項2
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項4】
前記突出要素(23,
27,44)のうちの少なくとも1つは、それと協働する前記シール手段(12,13,1
4)を移動させるように
構成されたカムである
、請求項2又は
請求項3
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項5】
前記シール手段(12,13,1
4)
が逆止弁を備える
、請求項1乃至
請求項4のいずれか1項
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つ
の出力(10,35,36)が前記アクチュエータ(16)により作用さ
れる出力シール手段(15,39,4
0)を備える
、請求項1乃至
請求項5のいずれか1項
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つ
の出力(10,35,3
6)の前記
出力シール手段(15,39,4
0)が逆止弁を備える
、請求項6
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項8】
前記アクチュエータ(16)
が、回転可能であ
り、かつ前記外側ハウジング(2)の一端に配置され
たトルク発生器(19)に接続される
、請求項1乃至
請求項7のいずれか1項
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの入力(4,5,6)が、燃料のための入力ポート(7)に接続される
第1の入力(4)と、空気の
ための入力ポート(9)に接続される
第2の入力(6)と、水のための入力ポート(8)に接続される
第3の入力(5)とを備える
、請求項1乃至
請求項8のいずれか1項
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの出力(10,35,36)が前記内部キャビティ(3)からの2つの出力(35,36)を備える
、請求項1乃至
請求項9のいずれか1項
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項11】
当該多方向弁(1)が、前
記外側ハウジング(2)に
並設された第2のハウジング(49)
をさらに備えており、前記アクチュエータ(16)が前記第2のハウジング(49)内
に延在
している
、請求項1乃至
請求項10のいずれか1項
に記載の多方向弁
(1)。
【請求項12】
前記第2のハウジング(49)
が、前記
外側ハウジング(2)の
少なくとも1つの入力(4,5,6)
の入口ポート(7,8,9)に
流体接続され
た少なくとも1つの入力(50,51,52)を備える、請求項
11に記載の多方向弁
(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンなどの熱機器内の燃焼室へ向かう流体の通過を可能にするようになっている弁、特に多方向弁の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンは、始動及びメンテナンスのために幾つかの流体を必要とする。
【0003】
まず最初に、可燃性の気体燃料又は液体燃料が燃焼室内へ注入され、この燃焼室内で燃料が圧縮空気と混合されて燃やされる。
【0004】
ガスタービンの動作中に発生される窒素酸化物(NOx)を更に減少させるために水注入が必要とされる場合もある。加えて、水注入は、例えば液体燃料動作をガス燃料動作へ変えた後又はガスタービンを停止した後に、ガスタービンの回路内の可燃性残留物を排出するべくパージするために使用される場合がある。
【0005】
更に、ガス燃料動作中にノズルにもはや液体燃料が供給されないときにノズルを冷却するようになっているパージ又は掃引のために、空気がガスタービンの燃焼室内へ注入される場合がある。
【0006】
これらの流体のうちの1つ又は幾つかの選択的な通過を調整するために、燃焼室の上流側に多方向弁を設ける必要がある。
【0007】
加えて、液体燃料動作は、NOx排出物の更なる発生を高める。
【0008】
したがって、ガスタービンには、部分負荷動作で及び定格負荷動作で延ばされる液体燃料の注入によってNOx排出量の減少を可能にする2つの別個の注入回路、すなわち、一次回路及び二次回路が設けられる場合がある。
【0009】
ガスタービンは、そのようにして、一次回路のみが可燃性物質を供給している第1のモードにしたがって動作することができる。このモードは、限られた予め選択された燃焼温度に関して始動、加速、及び、部分負荷のために使用される。
【0010】
第2の動作モードによれば、一次回路及び二次回路に同時に供給されてもよい。このモードは、全負荷まで制限される部分負荷動作のために、2つの予め選択された燃焼温度又は燃焼室内の動圧などの燃焼により必要とされる別のパラメータの間で使用される。
【0011】
したがって、ガスタービン内の燃焼室のこれらの異なる動作モードを確保するために、各回路の開閉、特に各回路の入口及び出口の開閉を管理することが必要である。
【0012】
液体燃料を使用することは、前述したように、タービン回路内で不可欠な水パージステップ及び空気掃引ステップをもたらす。加えて、淀んだ液体燃料は、空気及び高温の存在下で固体になる傾向がある。これはコークス化として知られており、そのため、ガスタービン停止中であっても、液体又は気体可燃物間の任意の変化の前後にこれらのステップを実行することが重要である。
【0013】
残留液体燃料の量を減らすためには、燃焼室に可能な限り近接して分配弁を配置し、それにより、出力ステップとしても知られるパージ中に燃焼室へ送られる可燃性物質の量に起因する突然の出力の増大を回避することが必要である。
【0014】
今までは、幾つかの多方向弁が幾つかの開発の主題となってきた。米国特許第6 289 668号は、特に、液体可燃物及び/又は水を燃料室へ選択的に供給できるようにする回転機構に基づく解決策について記載する。開示される弁が2つの同心シリンダを備え、内側シリンダが外側シリンダの内側に取り付けられて回転する。内側シリンダのその回転軸周りの位置に応じて、内側シリンダは、その表面を使用して、外側シリンダへ供給する回路の開口を塞ぎ、或いは、その表面に設けられたスロットを通じてこれらの開口を開放する。要素のこの構成は、内側シリンダの回転によって幾つかの流体の選択的な流れを可能にする。
【0015】
しかしながら、この機構は、これらの2つのシリンダ間に金属摩擦を引き起こし、それにより、大きなトルクが印加されて、シリンダの急速な摩耗がもたらされる場合があり、結果として、ポート間の漏れのリスクが高まる可能性がある。
【0016】
また、米国特許第3 098 506号は、ハウジングと可動アクチュエータとを備える多方向弁を開示する。緊密性のための手段は、ハウジングと回転アクチュエータとの間に配置されるテトラフルオロエチレン(PTFE)のポリマーの2つの変形可能なスリーブを備える。スリーブの材料は、それらの間の摩擦を防止する。アクチュエータのための有効なベアリングとして及びアクチュエータとハウジングとの間の有効なシールとしてのいずれにも役立つ一対の変形可能なスリーブにより、効果的なシールが可動アクチュエータとハウジングとの間で維持される。
【0017】
これらの変形可能なスリーブは、比較的硬質な中間部材によって分離され、また、変形可能なスリーブにより与えられるシールの有効性は、変形可能なスリーブの外縁に対して軸力を印加する手段によって制御され、この手段は、共通のアクチュエータ構成にとって有効なベアリングとしての機能を依然として果たしつつ変形可能なスリーブのそれぞれを中間の硬質部材に対して押し付ける。
【0018】
しかしながら、この解決策は、ハウジングと可動アクチュエータとの間の摩擦に打ち勝つために可動アクチュエータに対して大きなトルクも与える。加えて、この解決策は、連続的なシールを維持するために手動動作を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】米国特許出願公開第2015/0308577号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の目的は、これらの欠点を回避して、アクチュエータにより供給されるそのトルクがポートにおける緊密性に経時的に関連付けられない、信頼できる機構を有する製造が容易な多方向弁を提案することである。
【0021】
多方向弁は、内部キャビティと、少なくとも1つの流体入口ポート及び出口ポートと、入口をシールするための手段と、内部キャビティ内に配置されるとともにシール手段が閉状態にあるときにシール手段のためにこれらの手段を開放しようとする回転アクチュエータとが設けられるハウジングを備える。
【0022】
更に、回転アクチュエータの断面は、ハウジングとアクチュエータとの間の任意の摩擦に打ち勝つべく、内部キャビティの断面よりも小さい。
【0023】
有利には、少なくとも1つのシール手段の開放は、アクチュエータに配置される突出要素によって実現される。
【0024】
更に一層有利には、突出部を形成する幾つかの要素は、アクチュエータの回転軸の周りで前記軸の同じ直交断面内に配置される。したがって、アクチュエータのそれ自体の回転軸周りの位置に応じて、幾つかの動作シーケンスを弁に与えることができる。
【0025】
好ましくは、これらの突出要素のうちの少なくとも1つは、協働してシール手段を開放するように形成されるカムを有することができる。カム形状要素は、アクチュエータの回転によってシール手段を開放するための容易な手段である。
【0026】
ポートに配置されるシール手段のうちの少なくとも1つは、例えば、入口ポートを閉鎖する/開放するための信頼できる手段を与える逆止弁を備える。
【0027】
別の実施形態において、少なくとも1つの出口ポートは、出口ポートを閉鎖する/開放するための信頼できる手段を与えるシール手段を備える。
【0028】
好適には、少なくとも1つの出口ポートのシール手段が逆止弁を備える。
【0029】
加えて、アクチュエータは、回転可能であるとともに、ハウジングの一端に配置され得るトルク発生器によって駆動され得る。したがって、ハウジング内の入口/出口ポートに作用するアクチュエータの動作のために必要な空間も減少される。
【0030】
好ましくは、ハウジングは、流体通路を含む弁体に備えられる要素を冷却するための流体冷却剤を流すようになっている第2の内部キャビティを備える。
【0031】
本発明の別の特徴によれば、弁は、液体燃料供給源に接続される入口ポートと、空気供給源に接続される入口ポートと、水供給源に接続される入口ポートとを備えることができる。したがって、タービンの全ての燃焼動作モードのために燃焼室へ向かう流体の流れを容易に制御できる。
【0032】
好適には、ハウジングが2つの出口ポートを備える。したがって、考慮されるべき燃焼動作モードによれば、1つ又は2つのノズルに流体を供給できる。例えば、1つの一次回路及び1つの二次回路がNOx減少燃焼モードに関して当てはまる。
【0033】
より好適には、第2のハウジングが第1のハウジングに並設され、第1のハウジングのアクチュエータが第2のハウジング内で延在する。このようにすると、複数のインジェクタ、例えば一次回路及び二次回路への流体の流通を制御できる。更に、単一の共通のアクチュエータの存在は、2つのハウジングの入口ポート及び出口ポートの開閉の制御を簡略化する。
【0034】
好ましくは、第2のハウジングの少なくとも1つの入口ポートは、第1のハウジング内の入口ポートに接続される供給源に接続され、これにより、入口ポートの供給回路により弁の外周で占められる空間を減らすことができる。
【0035】
添付図面を参照して、本発明の別の目的、利点、及び、特徴について詳しく説明するが、これは純粋に例示のために与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る多方向弁の断面図であり、入口ポート及び出口ポートが流体連通を不可能にする閉状態で示される。
【
図2】入口ポートと出口ポートとの間の流体連通を可能にする弁の状態を例示する、
図1に示される実施形態に係る多方向弁の断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る多方向弁の断面図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態に係る多方向弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1及び2は、一例として、全体的な参照番号を1と指定されている発明に従った多方向弁を例示する。例示した例では、弁はガスタービンの燃焼室(図示せず)の近くに配置される。
【0038】
本発明に係る弁1は外側ハウジング2を備え、この外側ハウジング2内には内部キャビティ3が形成される。図示のように、ハウジング2は、3つの入力4,5,6を有する流体用のキャビティ3を備えてもよく、各入力は、フィード供給回路に接続される入口ポート7,8,9にそれぞれ接続されることが好ましい。好ましくは、入力4に接続される入口ポート7には液体燃料が供給され、入力5に接続される入口ポート8には水が供給され、また、入力6に接続される入口ポート9には空気が供給される。勿論、外側ハウジング2は、3つよりも多い又は少ない入口ポートを含んでもよい。
【0039】
図示の例において、内部キャビティ3を有するハウジング2は、出口ポート11に接続される流体出力10を備えている。出力10は、好適には、出口ポート11により、流体を燃焼室内へ注入するための図示しないノズルと流体連通している。
【0040】
図示の入力4,5,6及び出力10は内部キャビティ3に対して開放している。燃焼室の直ぐ近傍における装置のサイズを減少させるために、この例において、入口ポートは、それらが出口ポート11の同じ平面内に位置合わせされて配置されるようになっており、入口ポートがキャビティ3の一方側に配置されるとともに、出口ポート11が反対側に配置される。しかしながら、入口ポート又は出口ポートに関しては、それらが同じ平面内に位置合わせされない又は配置されないように、別の配置を考えることもできる。
【0041】
閉状態にあるシール手段12,13,14が入力4,5,6に配置される。有利には、これらの手段が逆止弁を備える。
【0042】
しかしながら、別の実施例では、シール手段が閉状態から開状態へ動作可能である入力を入口ポートのキャビティに対して開放できるスプリング弁又は任意の他の適した手段を備えることが考慮されてもよい。
【0043】
図示のように、キャビティの出力10は、閉状態にあるシール手段15を含んでもよい。加えて、シール手段15が逆止弁を含んでもよい。そのような装置は、特に入口ポート7,8,9が異なる圧力を有する場合に、入力を通じた弁の入口ポートへの流体の再循環を回避する。実際に、出力の逆止弁15を開放するために必要な圧力は、好ましくは、入力の逆止弁の最小開放圧力未満に選択される。したがって、逆止弁は、内部キャビティ内に生み出される静圧に起因する入口ポート間の流体の戻りを防止する。
【0044】
キャビティ内の入力と同様に、シール手段がスプリング弁又は他の適した手段を備えるようにしてもよい。
【0045】
入力4,5,6のシール手段の開放をもたらすようになっている回転アクチュエータ16が内部キャビティ3内に配置される。加えて、アクチュエータ16の断面は、内部キャビティ3の断面よりも小さくなるように選択される。
【0046】
好ましくは、アクチュエータ16は、軸18に沿って延びる回転シャフト17を備える。図示の例において、回転アクチュエータ16は、その端部の一方が、ハウジング2をシール状態で貫通して延びるシャフト17を用いて、ハウジング2の外側に配置されるトルク発生器19に接続される。好ましくは、トルク発生器19は、外側ハウジング2に並設される又は近接するハウジング20内に配置される。
【0047】
加えて、図示のトルク発生器19は、ステータ21とロータ22とを備える電気式のものである。或いは、発生器19が機械式、液圧式、又は、空気圧式であるようにしてもよい。
【0048】
図1において、入力4,5,6は、出力10も同様に、それらのそれぞれの逆止弁を用いて閉状態にある。このとき、キャビティ内において入力4,5,6のうちの1つと出力10との間で流体連通は不可能である。
【0049】
逆に、
図2は、キャビティ内における入力4及び出力10を通じた入口ポート7と出口ポート11との間の流体連通を示す。図示の例では、アクチュエータ16のシャフト17が突出要素23,24,25,26,27,28を備える。突出要素23,24はそれぞれ、シール手段の状態の変化をもたらすために入力4及び出力10と対向して配置される。突出要素23,24は、そのそれぞれのシール手段12,15と協働して入力4及び出力10を開放するとともに、それを開放状態に維持する。
【0050】
回転アクチュエータにおける各突出要素の位置は、アクチュエータ16の時計回り方向又は反時計回り方向の回転によって入口ポート又は出口ポートを選択的に開放するように選択される。例えば、突出要素25は、入力5のシール手段の閉状態からの開放をもたらし、また、突出要素27は、入力6のシール手段14の閉状態からの開放をもたらす。
【0051】
図示のように、幾つかの突出要素24,26,28は、アクチュエータ16の回転軸18と直交する同じ平面内でアクチュエータ16の回転軸18の周りに位置決めされる。この例では、直交平面が出力10及びシール手段15の中心を通る。
【0052】
アクチュエータ16における突出要素の数及び分布は、弁の動作シーケンスの数を決定し、各シーケンスは、アクチュエータ16のその回転軸18周りの位置の関数である。図示の第1の実施形態は、例えば、弁の4つの動作シーケンスを与える。90°の回転は、1つのシーケンスから次のシーケンスへと連続的に切り換える。
【0053】
勿論、回転アクチュエータの突出をキャビティ内のそれぞれの入力及び出力と対向して平行に位置決めすることによって少なくとも2つの入口ポートを出口と連通させることができる。
【0054】
突出要素がシール手段と対向して配置されない
図1に示される第1の位置は、キャビティ内の入口及び出口を通じた入口ポートと出口ポートとの間のいかなる流体接続も全く不可能にする。この位置は、特に、ガスタービンの燃焼を停止するときに必要とされる。
【0055】
突出要素23,24がそれぞれシール手段12,15と対向している
図2に示される第2の位置は、キャビティ3内の入力4及び出力10の同時開放、したがって、燃料が供給される入口ポート7と出口11との間の流体連通をもたらす。図示の方法により、インジェクタが、出口ポート11が接続される燃焼室(図示せず)内へ燃料を供給できるようになる。そのような位置は、例えば、タービンの燃料を用いた動作を可能にする。
【0056】
図示しない第3の位置では、突出要素25,26がそれぞれキャビティ内の入力5及び出力10と対向して配置される。アクチュエータ16のこの位置は、例えば燃料油などの燃料の流れを停止した後のタービンの水回路パージ中に必要とされる、入口ポート8からキャビティ3を通じた出口ポート11への水の通過を可能にする。
【0057】
突出要素27,28がそれぞれシール手段14,15と対向して配置される図示しない第4及び最後の位置は、入力6からキャビティ3を通じた出力10への空気の通過を可能にする。この位置では、燃料ガスを用いてタービンを動作させることができる。このとき、空気流はインジェクタを冷却することができ、一方、図示しない弁の外部の独立の接続部は、ガスタービンにおける動作のために気体燃料を燃焼室内へ供給する。勿論、本発明の変形では、弁1の外部のこの独立の接続部も付加的な又は空気入力6に共通である入口ポートを介して弁1に含まれるようにしてもよい。
【0058】
好ましくは、突出要素は、シール手段、例えば逆止弁と協働するカムであってもよい。しかしながら、シール手段が閉状態にあるときに突出要素がシール手段を作動させてキャビティ3内の入力及び出力を開放することができる場合には、突出要素がそれらの性質、それらの形状、又は、それらの材料からして図示の突出要素とは異なるようにしてもよい。加えて、突出要素は、有利には、シール手段との間の力又は摩擦を減らすように選択され、例えば、突出要素をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で設計することができる。
【0059】
有利には、ハウジング2は、アクチュエータ16の回転中の突出要素の通過のために内部キャビティ3と対向して配置される溝29を含む。
【0060】
加えて、図示の弁は、弁1内の一定温度を保つために水などの冷却流体を循環させるようになっている第2のキャビティ30を含む。温度の上昇は、例えば、燃焼室に対する弁の近接によってもたらされる場合がある。キャビティ30は、冷却流体が入力4,5,6、出力10、及び、トルク発生器19の付近で循環できるようにハウジング2内に形成されてハウジング20へと延在してもよい。図示のように、キャビティ30は、有利には、ハウジング2及びハウジング20にそれぞれ位置される入口ポート31及び出口ポート32で開放する。
【0061】
キャビティ30をシールするためにプラグなどのシール手段33,34が冷却剤の回路に配置されてもよい。
【0062】
図3は、NOx排出量を減らすため、マルチインジェクタによるタービンの動作のために適合される本発明に係る多方向弁の第2の実施形態を示す。
【0063】
この態様において、弁は、例えば一次回路及び二次回路に供給するために必要とされる流体の通過のためにキャビティ3内に2つの出力35,36を備え、一方はタービンの点火のためのものであり、他方はタービンの連続動作のためのものである。外側ハウジング2は、勿論、3つ以上の出口ポートを含んでもよい。
図1及び
図2に描かれる弁要素1は、同様の参照符号を有する
図3に描かれる弁1の要素と同一である。
【0064】
この第2の実施形態に示される弁は、依然としてアクチュエータ16のその回転軸18に対する位置の関数である6つの動作シーケンスを有する。この例では、60°の回転が1つのシーケンスから次のシーケンスへ連続的に移行できるようにする。
【0065】
突出要素23,43がそれぞれシール手段12,39と対向している
図3に示される第1の位置は、キャビティ内の入力4及び出力35の同時開放をもたらし、したがって、油などの燃料が供給される入力4とキャビティ内の出力35との間で流体の流れをもたらす。そのため、単一のインジェクタ回路に液体燃料が供給され、これは特にタービンの点火のために必要な動作である。
【0066】
図示しない第2の位置では、突出要素47,48並びに要素47,48とは反対の方向に配向される
図3に示されない別の要素とがそれぞれシール手段39,40,12と対向して配置される。このシーケンスは、キャビティ内で入力4から出力35,36への油などの燃料の通過を可能にし、したがって、液体燃料を用いたタービンの動作のために、燃焼室インジェクタの2つの回路に燃料を同時に供給する。
【0067】
図示しない第3の位置では、突出要素45,46と、要素45,46とはそれぞれ反対の方向に配置されて配向される
図3には見えない要素とが、シール手段39,40,13と対向する。
【0068】
アクチュエータ16のこの位置は、入力5からキャビティ3を通じた出力35,36への水の通過をもたらす。この動作は、例えば、液体のガス燃料への変化前に弁1及びインジェクタの回路の洗浄を可能にするとともに、燃焼室付近の空気及び熱により引き起こされる燃料の凝固を防止する。
【0069】
第4の位置では、突出要素44並びに要素44とは反対の方向に配向される
図3には見えない2つの要素とがそれぞれ、シール手段14,39,40と対向して配置される。このシーケンスは、入力6から出力35,36への空気の通過を可能にし、したがって、空気を燃焼室の2つのインジェクタに同時に供給する。このとき、通過する空気がインジェクタを連続的に冷却することができ、一方、図示しない弁の外部の独立の接続部が、ガスタービンにおける動作のために、気体燃料を燃焼室内へ供給する。
【0070】
最後の2つの位置では、突出要素が、シール手段と対向して位置されず、弁1の入力4,5,6と出力35,36との間のいかなる流体連通も不可能にする。この位置では、タービンの燃焼の停止をもたらすことができる。
【0071】
勿論、この実施形態では、少なくとも1つの出口ポートに対して少なくとも2つの入口ポートを同時に開放することができる。
【0072】
図4は、本発明に係る弁の第3の実施形態を示す。
図1,2,3に描かれる弁要素1は、同様の参照符号を有する
図4に描かれる弁1の要素と同一である。
【0073】
更に、弁1は、この実施形態では、第1の外側ハウジング2に並設される第2の外側ハウジング49を備える。内部キャビティ62が第2のハウジング49内に形成される。
【0074】
好ましくは、第1の外側ハウジング2のアクチュエータ16は、第2のハウジング49内で延在し、したがって2つのハウジングに共通している。
【0075】
図示の例において、第2のハウジング49及びそのキャビティ62は、逆止弁に対応するシール手段54,55,56,57を備える3つの入力50,51,52と出力53とをそれぞれ含む。
【0076】
燃料が供給されるようになっている入力50は、好ましくは、燃料が供給される第1の外側ハウジング2の入口ポート7に接続ライン59によって接続される。同様に、入力51,52は、水及び空気がそれぞれ供給される入口ポート8,9にそれぞれ接続導管60,61を介して接続される。キャビティ62内の出力53を出力ポート58に接続できる。
【0077】
この例では、アクチュエータ16の突出要素が示されなかった。しかしながら、例えば回転アクチュエータ16が弁1の少なくとも7つの動作シーケンスを与えることができるように、いくつかの突出要素がアクチュエータ16に設けられてもよい。
【0078】
これらの位置のうち、1つのシーケンスがタービンの燃焼を停止する際に入口ポート及び出口ポートのいずれかを開放しないようにしてもよい。
【0079】
第2の位置によれば、アクチュエータ16が、特にタービンの点火時に燃料の通過のためにそれぞれのシール手段と対向して配置される突出要素を使用することによって、キャビティ3内の入力4及び出力35を同時に開放するようにしてもよい。
【0080】
第3の位置において、アクチュエータ16は、入力4からキャビティ3を通じた出力35,36への燃料の通過、及び、入力52からキャビティ62を通じた出力53への空気の通過のために、第1の外側ハウジング2の入力4、第2の外側ハウジング49の入力52、並びに、弁1の3つの出力35,36,53を同時に開放できる。
【0081】
第4の位置は、燃焼室のインジェクタへのかなりの量の燃料の通過のために、キャビティ3内の入力4、キャビティ62内の入力50、キャビティ3内の出力35,36、及び、キャビティ62内の出力53の同時開放を可能にするように与えられてもよい。
【0082】
アクチュエータ16の第5の位置では、入力4からキャビティ3を通じた出力35,36への燃料の通過、及び、入力51からキャビティ62を通じた出力53への水の通過のために、キャビティ3内の入力4、キャビティ62内の入力51、キャビティ3内の出力35,36、及び、キャビティ62内の出力53を同時に開放するようにしてもよい。このとき、外側ハウジング49内で水パージを行なうことができる。
【0083】
第6の位置では、入力5からキャビティ3を通じた出力35,36への水の通過、及び、入力52からキャビティ62を通じた出力53への空気の通過のために、キャビティ3内の入力5、キャビティ62内の入力52、キャビティ3内の出力35,36、及び、キャビティ62内の出力53をアクチュエータ16が同時に開放するようにしてもよい。この位置は、ガスタービンにおける動作を可能にする。
【0084】
最後の位置では、入力6からキャビティ3を通じた出力35,36への空気の通過、及び、入力52からキャビティ62を通じた出力53への空気の通過のために、キャビティ3内の入力6、キャビティ62内の入力52、キャビティ3内の出力35,36、及び、キャビティ62内の出力53をアクチュエータ16が同時に開放するようにしてもよい。この位置は、ガスタービンにおける動作を可能にする。
【0085】
勿論、弁1の使用及び動作シーケンスにしたがって、各突出要素の数及び位置、並びに、入口及び/又は出口のキャビティに対するそのそれぞれの入力/出力が同時に開放される数が異なってもよい。
【0086】
この第3の実施形態では、発生器19とは反対の側でハウジング2内にブラインドフランジを設けることができる。したがって、その場合には、ハウジング49などの別の本体を付加するため、2つのハウジング2,49を固定するべくブラインドフランジの代わりにハウジング49の接続フランジを取り付けることができる。
【0087】
また、単一のアクチュエータ16を維持しつつ弁1に関連付けられるより多くの組み合わせ及び機能を可能にするべく入口ポート及び出口ポートを増大させる別の更なるハウジングを付加できるようにする接続フランジを発生器19とは反対側の本体49の端部に有することもできる。例えば、それにより、気体燃料の通過のためのポートを有するハウジングを付加することができる。
【0088】
別の実施形態によれば、本発明に係る多方向弁の両方のハウジング2,49は、1つではなく幾つかの内部キャビティ3,62を備えることができ、各内部キャビティは、流体通過のための1つ以上の入力及び出力を備える。
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
内部キャビティ(3)と、流体の少なくとも1つの入口(4,5,6,50,51,52)と、流体の少なくとも1つの出口(10,35,36)と、閉状態へと付勢される入力(4,5,6,50,51,52)のシール手段(12,13,14,54,55,56)と、内部キャビティ(3,49)内に配置されて入力(4,5,6,50,51,52)のシール手段の開放を引き起こすようになっているアクチュエータ(16)とが設けられる外側ハウジング(2)を備えるマルチチャネル弁であって、アクチュエータ(16)の断面が内部キャビティ(3,49)の断面よりも小さいことを特徴とする多方向弁。
[実施態様2]
少なくとも1つのシール手段(12,13,14,54,55,56)の前記開放が前記アクチュエータ(16)に配置される突出要素(23,29,43,44)によって成されることを特徴とする実施態様1記載の多方向弁。
[実施態様3]
幾つかの突出部材は、アクチュエータ(16)の回転軸の周りで前記軸と直交する同じ平面内に位置決めされることを特徴とする実施態様2記載の多方向弁。
[実施態様4]
突出要素(23,29,43,44)のうちの少なくとも1つは、それと協働するシール手段(12,13,14,54,55,56)を移動させることができるカムに対応することを特徴とする実施態様2又は3記載の多方向弁。
[実施態様5]
入力(4,5,6,50,51,52)に配置されるシール手段(12,13,14,54,55,56)のうちの少なくとも1つが逆止弁を備えることを特徴とする実施態様1乃至4のいずれか1項記載の多方向弁。
[実施態様6]
少なくとも1つの出口(10,35,36)が閉状態へと付勢されるシール手段(15,39,40,57)を備えることを特徴とする実施態様1乃至5のいずれか1項記載の多方向弁。
[実施態様7]
少なくとも1つの出口(10,35,36,57)のシール手段(15,39,40,57)が逆止弁を備えることを特徴とする実施態様6記載の多方向弁。
[実施態様8]
アクチュエータ(16)は、回転可能であるとともに、外側ハウジング(2)の一端に配置されるトルク発生器(19)に接続されることを特徴とする実施態様1乃至7のいずれか1項記載の多方向弁。
[実施態様9]
前記外側ハウジング(2)が冷却剤の循環のための第2のキャビティ(62)を備えることを特徴とする実施態様1乃至8のいずれか1項記載の多方向弁。
[実施態様10]
燃料のための供給導管(7)に接続される入力(4)と、空気の供給ダクト(9)に接続される入力(6)と、水の供給ダクト(8)に接続される入力(5)とを備えることを特徴とする実施態様1乃至9のいずれか1項記載の多方向弁。
[実施態様11]
外側ハウジング(2)が2つの出力(35,36)を備えることを特徴とする実施態様1乃至10のいずれか1項記載の多方向弁。
[実施態様12]
第1の外側ハウジング(2)には外側から第2のハウジング(49)が並設され、第1のハウジング(2)のアクチュエータ(16)が第2のハウジング(49)内で延在することを特徴とする実施態様1乃至11のいずれか1項記載の多方向弁。
[実施態様13]
第2のハウジング(49)の少なくとも1つの入口(50,51,52)が第1のハウジング(2)の入口(4,5,6)に接続される供給導管(7,8,9)に接続されることを特徴とする実施態様10記載の多方向弁。
【符号の説明】
【0089】
1 弁
2 外側ハウジング
3 内部キャビティ
4,5,6 入力
7,8,9,31 入口ポート
10 出力
12,13,14、15、33,34 シール手段
11,32 出口ポート
16 アクチュエータ
17 シャフト
18 軸、回転軸
19 トルク発生器
20 ハウジング
21 ステータ
22 ロータ
23,24,25,26,27,28、29 突出要素
29 溝
30 第2のキャビティ
35,36 出力
39,40 シール手段
43,44、45,46,47,48 突出要素
49 第2の外側ハウジング
50,51,52 入力
53 出力
54,55,56,57 シール手段
58 出力ポート
59 接続ライン
60,61 接続導管
62 内部キャビティ