(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/10 20060101AFI20220309BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A47L9/10 D
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2017206274
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2019-09-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
(72)【発明者】
【氏名】山谷 遼
(72)【発明者】
【氏名】山上 将太
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】鈴木 充
【審判官】金澤 俊郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-63476(JP,A)
【文献】特開2002-300990(JP,A)
【文献】特開2015-58021(JP,A)
【文献】特開2009-247360(JP,A)
【文献】実公昭46-17338(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/10,9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を発生させる電動送風機を収容する筐体と、
前記筐体の収容部に着脱可能な集塵ケースと、
前記集塵ケースに回動軸を介して回動自在に取り付けられるハンドルと、
前記ハンドルを起こした第1姿勢から寝かせた第2姿勢にすることで前記集塵ケースを前記収容部にロックするロック機構と、を備え、
前記筐体は、前記ハンドルが前記第2姿勢の状態で前記集塵ケースを前記収容部に取り付ける際、当該ハンドルを前記第2姿勢から前記第1姿勢に向けて回動させる回動力付与部を備え、
前記ロック機構は、前記ハンドルに設けられて当該ハンドルの回動動作とともに回動する抜け止め部と、前記抜け止め部が挿入され
る抜け止め凹部と、によって構成され、
前記抜け止め凹部は、水平な面で形成された上面部に開口し、当該上面部から鉛直方向下方に向けて延びる導入凹部と、前記導入凹部から後方に向けて延びる係止凹部と、を有し、
前記上面部には、前記抜け止め凹部の開口の後端縁から後方に向けて、水平方向に対して上昇するように傾斜する
前記回動力付与部である傾斜面が形成され、
前記傾斜面は、前記係止凹部と鉛直方向に重なる位置に形成され、
前記抜け止め部は、前記ハンドルを前記第2姿勢にしたときに、前記回動軸の中心を鉛直方向に通る中心線より前側において下方に向けて延びる導入部と、前記導入部から前記回動軸の前記中心線より後ろ側において後方に向けて延びる爪部と、を有し、
前記爪部は、前記第2姿勢において、下面が水平面によって形成され、後面が垂直面によって形成され、
前記ハンドルを前記第2姿勢にしたままで前記集塵ケースが前記回動軸より後側において上方から下向きに押圧されて前記収容部に装着される場合、前記水平面と前記垂直面との境界の角部が前記中心線よりも後側に位置した状態において前記傾斜面に上方から当接することで、当該ハンドルを
前記回動軸を中心として前記第2姿勢から前記第1姿勢に向けて回動させる方向
の力が発生し
、前記爪部が鉛直方向下向きで前記導入凹部に対向した状態になり、その後、当該ハンドルを前記第2姿勢に向けて回動させることで、前記爪部が前記導入凹部を通って前記係止凹部に当接し、前記集塵ケースが前記収容部にロックされ、
前記傾斜面は、前記ハンドルの左右両側の前記筐体に形成され、
一方の前記傾斜面の傾斜角度は、他方の前記傾斜面の傾斜角度と異なることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記傾斜面は、凸状に湾曲し、かつ、斜面下側の曲率が斜面上側の曲率より大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記筐体は、前記集塵ケースを前記収容部に収容した状態において、前記ハンドルが前記第1姿勢から前記第2姿勢に向けて変化したことを検知するセンサを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記集塵ケースは、前記収容部に対してスライド可能に案内する案内部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機として、室内を自律的に移動しつつ掃除する自律走行型電気掃除機が知られている。特許文献1には、着脱可能な集塵ケースを、集塵ケースのハンドルで掃除機本体にロックする構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す電気掃除機では、ハンドルをロック位置に置いたまま集塵ケースを掃除機本体に取り付けようとすると、ロック部材(突起部)が邪魔をして塵ケースを掃除機本体に取り付けにくくなる課題があった。
【0005】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、集塵ケースをハンドルでロックするものにおいて、集塵ケースを取り付ける際の操作性を向上させた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸引力を発生させる電動送風機を収容する筐体と、前記筐体の収容部に着脱可能な集塵ケースと、前記集塵ケースに回動軸を介して回動自在に取り付けられるハンドルと、前記ハンドルを起こした第1姿勢から寝かせた第2姿勢にすることで前記集塵ケースを前記収容部にロックするロック機構と、を備え、前記筐体は、前記ハンドルが前記第2姿勢の状態で前記集塵ケースを前記収容部に取り付ける際、当該ハンドルを前記第2姿勢から前記第1姿勢に向けて回動させる回動力付与部を備え、前記ロック機構は、前記ハンドルに設けられて当該ハンドルの回動動作とともに回動する抜け止め部と、前記抜け止め部が挿入される抜け止め凹部と、によって構成され、前記抜け止め凹部は、水平な面で形成された上面部に開口し、当該上面部から鉛直方向下方に向けて延びる導入凹部と、前記導入凹部から後方に向けて延びる係止凹部と、を有し、前記上面部には、前記抜け止め凹部の開口の後端縁から後方に向けて、水平方向に対して上昇するように傾斜する前記回動力付与部である傾斜面が形成され、前記傾斜面は、前記係止凹部と鉛直方向に重なる位置に形成され、前記抜け止め部は、前記ハンドルを前記第2姿勢にしたときに、前記回動軸の中心を鉛直方向に通る中心線より前側において下方に向けて延びる導入部と、前記導入部から前記回動軸の前記中心線より後ろ側において後方に向けて延びる爪部と、を有し、前記爪部は、前記第2姿勢において、下面が水平面によって形成され、後面が垂直面によって形成され、前記ハンドルを前記第2姿勢にしたままで前記集塵ケースが前記回動軸より後側において上方から下向きに押圧されて前記収容部に装着される場合、前記水平面と前記垂直面との境界の角部が前記中心線よりも後側に位置した状態において前記傾斜面に上方から当接することで、当該ハンドルを前記回動軸を中心として前記第2姿勢から前記第1姿勢に向けて回動させる方向の力が発生し、前記爪部が鉛直方向下向きで前記導入凹部に対向した状態になり、その後、当該ハンドルを前記第2姿勢に向けて回動させることで、前記爪部が前記導入凹部を通って前記係止凹部に当接し、前記集塵ケースが前記収容部にロックされ、前記傾斜面は、前記ハンドルの左右両側の前記筐体に形成され、一方の前記傾斜面の傾斜角度は、他方の前記傾斜面の傾斜角度と異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、集塵ケースをハンドルでロックするものにおいて、集塵ケースを取り付ける際の操作性を向上させた電気掃除機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る電気掃除機の外観斜視図である。
【
図3】ダストケースを取り外した収容部を前方から見たときの斜視図である。
【
図4】ダストケースを取り外した収容部を後方から見たときの斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る電気掃除機からダストケースを取り外した状態の平面図である。
【
図7】ダストケースを本体に取り付けたときの流路断面図である。
【
図8】ダストケースを装着する直前の状態を示す断面図である。
【
図9】ダストケースを装着する途中の状態を示す断面図である。
【
図10】ダストケースを装着する途中の状態を示す断面図である。
【
図11】ダストケースがロックする直前の状態を示す断面図である。
【
図12】ダストケースがロックした状態を示す断面図である。
【
図13】第2実施形態に係る電気掃除機を示す平面図である。
【
図14】(a)は一方の傾斜面の傾斜角度を示す側面図、(b)は他方の傾斜面の傾斜角度を示す側面図である。
【
図16】第3実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、電気掃除機1(
図1参照)が進行する向きのうち、電気掃除機1が通常進行する方向を前方、重力方向と反対の方向を上方、駆動輪118(
図6参照)が対向する方向を左右方向とする。すなわち、
図1などに示すように前後、上下、左右を定義する。
【0010】
また、本実施形態では、自走式の電気掃除機1を例に挙げて説明するが、自走式の電気掃除機に限定されるものではなく、キャニスタ式、スティック式、ハンディ式などの各種の電気掃除機に適用することができる。
【0011】
図1は、第1実施形態に係る電気掃除機の外観斜視図である。
図1に示すように、自走式電気掃除機(以下、電気掃除機と略記する)1は、掃除領域(例えば、室内)を自律的に移動しながら掃除する掃除機である。また、電気掃除機1は、外郭を構成する筐体11、ダストケース(集塵ケース)4を備えて構成されている。
【0012】
筐体11は、上壁(および一部の側壁)である上ケース111、底壁(および一部の側壁)である下ケース112、バンパ18を備えて構成されている。バンパ18は、筐体11の前面部18aと、左右の側面部18bの一部を構成している。
【0013】
上ケース111は、上面に略半円状の上面カバー111aを有している。また、上ケース111には、ダストケース4を着脱可能にするための切欠き111sが形成されている。また、上面カバー111aには、スイッチシート22の部分が円形に切欠かれた切欠き111tが形成されている。ダストケース4には、収納可能なハンドル43が設けられている。ハンドル43を収納(第2姿勢に)したときに、ハンドル43の表面とダストケース4の表面と上面カバー111aの表面とが面一になる。
【0014】
また、ダストケース4の上面には、ハンドル43を引き出す際のてがかりとなる窪み部4aが形成されている。この窪み部4aに指を入れて、ハンドル43の下面に指を当ててダストケース4に対して立ち上げることで、ハンドル43を寝かせた第2姿勢からハンドル43を起こした第1姿勢に回動する。
【0015】
また、上ケース111には、スイッチ22が設けられている。このスイッチ22は、電気掃除機1の制御装置(不図示)に対してユーザが指令を与える操作ボタンとしての、円形操作ボタン221と、この円形操作ボタン221の周囲を取り囲むように設けられる環形操作ボタン222と、を有して構成されている。
【0016】
図2は、ダストケースを示す斜視図である。なお、
図2では、ハンドル43を起こした第1姿勢の状態を示している。
図2に示すように、ダストケース4は、床面から吸引口117a(
図6参照)を介して吸い込まれた塵埃を蓄積する容器である。また、ダストケース4は、回収した塵埃を主に蓄積する主蓄積室41、吸引口117a(
図6参照)側に形成されたダクト42を備える。また、ダストケース4は、回動して主蓄積室41下方側(ダクト42側)の開口を開閉可能な逆流抑制弁44、蓄積した塵埃をフィルタ46側(上方側)から取り出し可能とする蓋45を備える。
【0017】
主蓄積室41は、例えば樹脂材で形成され、空間を内包する領域である。また、主蓄積室41は、蓋45および逆流抑制弁44によって塵埃が前記空間から外側に漏れることが抑制されている。
【0018】
ダクト42は、主蓄積室41の下方側に一端を、逆流抑制弁44によって開閉可能にされる他端を、有し、ダストケース4と一体に形成されている。また、ダクト42は、一端側が略上下方向に延在し、途中から他端側に向けて斜め下方向に延在する形状である。このように、全体的に見るとダクト42は、一端から他端に向けて斜め下に向かって延在している。
【0019】
逆流抑制弁44は、ダクト42の他端としての開口を塞ぐことができる主面441を有している。また、逆流抑制弁44は、主面441に一体または別体で取り付けられ、主面441に略平行な方向について、ダクト42より外側に突出した突出部442を有している。また、逆流抑制弁44は、主面441および突出部442を回動させる方向に付勢する付勢部443を有している。本実施形態では、突出部442が主面441に略平行な方向の外側それぞれに設けられている。
【0020】
付勢部443は、主面441が開口を塞ぐ方向に付勢する部材であり、種々公知のものを用いることができるが、例えばばねを用いることができる。このため、外力が働かない状態では、逆流抑制弁44はダクト42の他端を塞いでいる。
【0021】
突出部442は、ダストケース4を筐体11(
図1参照)に装着する際、ダストケース4が収納される領域(収容部111b)に設けられた、反付勢部としての案内段差119(
図3および
図4参照)に接触する。案内段差119は、筐体11のうち、ダストケース4を取り外すと目視可能な領域に設けられている2つの段差部分である。案内段差119はそれぞれ、ダストケース4の取付方向に沿って設けられており、本実施形態では上後方から下前方に向けて延在している。
【0022】
ダストケース4の本体(筐体11)への装着に伴うダストケース4の下方への移動で、突出部442は案内段差119それぞれに接触および摺動し、主面441が開口を開放する方向に力を受ける。これにより、逆流抑制弁44は付勢部443の付勢力に抗して、ダクト42の他端を開放する。本実施形態で例示する案内段差119のように、反付勢部および突出部442の接触により、主面441が付勢部443の付勢力とは反対向きの力を受けてダクト42の他端としての開口を開放できる。
【0023】
図2に示すように、ハンドル43は、主蓄積室41の上側を回動軸43aとして回動可能に設けられている部材であり、把持部431、抜け止め部432,432(ロック機構)、作用点部433、係止部434を有する。
【0024】
また、ハンドル43は、回動軸43aより前方から回動軸43aより上方までの概ね90°~100°程度を回動できる。なお、後述する作用点部433および係止部434の両者の作用を奏するためには、回動可能範囲は90°超、概ね135°以下、好ましくは120°以下である。ここでは、把持部431が寝た状態(係止部434に係止された状態)を回動角0°(
図1参照)としている。なお、
図2に例示するような状態が、回動角概ね90°である。
【0025】
把持部431は、ユーザがダストケース4を把持して着脱動作等に用い易い部分であり、前端に係止部434が設けられている。また、把持部431は、扁平な板状に形成され、平面視において略U字状(略コ字状)に形成されている。また、把持部431は、ダストケース4の前側に位置して左右方向(幅方向)に延びる本体部431aと、この本体部431aの左右両端から後方(回動軸43a側)に向けて延びる腕部431b,431cと、を有している。ダストケース4が筐体(本体)11に取り付けられた状態では、係止部434が上ケース111に設けられた被係止部111u(
図3および
図4参照)に係止され、ハンドル43をロックできる。
【0026】
抜け止め部432は、回動軸43aの近傍かつ回動軸43aよりも係止部434側(回動角度0°側)に設けられた突起状の部分である。ハンドル43が前側(寝かせた第2姿勢)に位置した状態では、抜け止め部432が筐体11内に入り込み、筐体11内の部分と接触して摩擦抵抗を生じさせる。これにより、ハンドル43の抜けを抑制する。
【0027】
作用点部433は、ハンドル43が上側(起こした第1姿勢)に位置した状態でさらにユーザが後方に向けて(回動角が90°を超える方向に向けて)力を付与すると、筐体11の上面側に接触する部分である。この状態で作用点部433は、ダストケース4が筐体11から持ち上げられる力の作用点となり、回動軸43aが支点となる。これにより、ダストケース4をユーザが取り外す際の補助とすることができる。
【0028】
図3は、ダストケースを取り外した収容部を前方から見たときの斜視図である。
図3に示すように、筐体11の上ケース111には、ダストケース4が収容される収容部(取付部)111bが形成されている。収容部111bは、右側に位置する右側面部111cと、左側に位置する左側面部111d(
図4参照)と、前側に位置する前面部111e(
図4参照)と、後側に位置する後面部111fと、を有している。後面部111fは、右側面部111c、左側面部111dおよび前面部111eよりも低く形成されている。
【0029】
また、収容部111bは、上面に略矩形状の開口が形成され、筐体11の中心よりも後方に位置している。収容部111bには、回転ブラシ14(
図6参照)を回転させる駆動源となる回転ブラシモータ(不図示)を覆うモータ逃げ部111gが収容部111b内に突出して形成されている。モータ逃げ部111gは、収容部111b内において、右側に偏って形成され、上ケース111と一体に形成されている。
【0030】
また、右側面部111cの上端には、幅方向外側(右側)に延びる右上面部111hが形成されている。右上面部111hは、水平な面で形成されている。この右上面部111hには、ダストケース4が収容部111bに収容されて、ハンドル43がロックされたことを検知するセンサ(検出部)113が形成されている。このセンサ113は、右上面部111hに対して上下方向に進退自在に動作する作動ピン113aを有している。ダストケース4が収容部111bに収容されるとともにハンドル43が第2姿勢になったときに、ハンドル43の下面(裏面)によって作動ピン113aが押圧される。これにより、収容部111bに対してダストケース4が収容されてロックされたことがセンサ113によって判定される。
【0031】
また、右上面部111hには、センサ113の後方に、抜け止め部432が挿入される抜け止め凹部114(ロック機構)が形成されている。この抜け止め凹部114は、上面が開口し、右上面部111hから鉛直方向下方に向けて延びる導入凹部114aと、導入凹部114aから後方に向けて延びる係止凹部114bと、を有している。また、抜け止め凹部114は、右側面部111cが開放するように、導入凹部114aおよび係止凹部114bが形成されている。
【0032】
また、右上面部111hには、抜け止め凹部114の後端縁から後方に向けて、水平方向に対して上昇するように傾斜する傾斜面115が形成されている。換言すると、傾斜面115は、後側から前側に向けて下るように傾斜し、抜け止め凹部114の開口につながっている。また、抜け止め凹部114の後端縁は、右上面部111hよりも低い位置に形成されている。また、傾斜面115は、抜け止め凹部114の幅よりも狭く形成されている。また、傾斜面115は、係止凹部114bと鉛直方向に重なる位置に形成されている。
【0033】
図4は、ダストケースを取り外した収容部を後方から見たときの斜視図である。
図4に示すように、収容部111bは、前面部111eに、電動送風機16に空気を吸い込む吸込口111iが形成されている。この吸込口111iは、円形に形成され、前面部111eの左右方向(幅方向)の中央に位置している。また、前面部111eの周囲には、四角形状の枠部111jが形成されている。枠部111jは、前面部111eよりも後方に突出して形成されている。
【0034】
ダストケース4を筐体11に装着したときに、蓋45(
図2参照)の周囲に四角枠状に形成された弾性部材が、吸込口111iの周囲に形成された枠部111jに密着する。これにより、ダストケース4のフィルタ46(
図2参照)を通過した空気がすべて吸込口111iを介して電動送風機16に取り込まれるようになっている。電動送風機16に取り込まれた空気は、筐体11の底面に形成された排気口などを通って電気掃除機1の外部に排出されるように構成されている。
【0035】
また、左側面部111dの上端には、幅方向外側(左側)に延びる左上面部111kが形成されている。左上面部111kは、右上面部111hと同じ高さ位置に形成されている。また、左上面部111kには、前記した抜け止め凹部114と同様にして、抜け止め凹部114と左右方向において対向する位置に抜け止め凹部116が形成されている。抜け止め凹部116には、抜け止め凹部114と同様に、導入部および係止部が形成されている。
【0036】
図5は、第1実施形態に係る電気掃除機からダストケースを取り外した状態の平面図である。
図5に示すように、収容部111bは、モータ逃げ部111gの左側方に吸引口117a(
図6参照)に通じる開口111mが形成されている。この開口111mには、吸引口117a(
図6参照)とダストケース4(
図6参照)との間に塵埃センサユニット12(
図6参照)が設けられている。
【0037】
傾斜面115の幅W1は、抜け止め凹部114の幅W2よりも短く(狭く)形成されている。これにより、傾斜面115に抜け止め部432が当接したときの抵抗を小さくでき、抜け止め部432が回動し易くなる。また、傾斜面115は、抜け止め凹部114の外側寄りに位置している。
【0038】
電気掃除機1は、左側および右側それぞれにサイドブラシ15を有している。各サイドブラシ15は、下ケース112(
図1参照)に搭載されたモータ(不図示)によって回転駆動される。本実施形態では、サイドブラシ15の回転速度をそれぞれ変更可能な構成としている。具体的には、電気掃除機1が、左側に壁が位置するように走行する壁際清掃モードを実行している場合、壁が位置する側と同じ側である左側のサイドブラシ15の回転速度を、他方のサイドブラシ15の回転速度よりも速くするように制御する。これにより、壁際の清掃をより効果的に行うことができる。壁際清掃モードは、種々公知の方法により実行することができる。
【0039】
図6は、
図5のA-A線断面図である。なお、
図6は、ダストケース4が装着されていない状態である。
図6に示すように、下ケース112の中心よりも後側には、回転ブラシ14を収容した吸口部117、掻取りブラシ13などが設けられている。下ケース112に形成される吸口部117は、ダストケース4(
図2参照)に連通する吸引口117aが形成されるとともに、掻取りブラシ13、回転ブラシ14を収容する部材である。吸引口117aは、斜め後かつ上向きに形成され、塵埃センサユニット12が取り付けられている。
【0040】
筐体11内には、前後方向の中央(下ケース112の中央)に電動送風機16が設けられている。この電動送風機16は、回転軸16aが横向きとなるように配置されている。また、電動送風機16は、回転軸16aのダストケース4側に設けられる遠心羽根車16bと、回転軸16aの遠心羽根車16bとは反対側に設けられる駆動部16cと、を有している。
【0041】
電動送風機16の前方には、リチウムイオン電池などで構成された充電池19が設けられている。また、電動送風機16の左右両側には、駆動輪118(右側の一部のみ図示)が設けられている。なお、図示していないが、下ケース112には、駆動輪118を駆動させる走行モータ、減速機構などが設けられている。これにより、駆動輪118自体が回転することで本体(電気掃除機1)を前進、後退、旋回させることができる。
【0042】
収容部111bの右上面部111hは、上ケース111の表面(上面)よりも低い位置に形成されている。また、センサ113は、作動ピン113aが上ケース111の表面から突出しないように形成されている。
【0043】
図7は、ダストケースを本体に取り付けたときの流路断面図である。
図7に示すように、ダストケース4が本体(筐体11)に装着されている状態では、逆流抑制弁44が、回転ブラシ14の上側に格納されている。ダストケース4を本体から取り外すと、付勢部443(
図2参照)の付勢力により逆流抑制弁44が回動し、ダクト42側の他端の開口を塞ぐ。これにより、ダクト42内に塵埃が蓄積されていても、ダストケース4から塵埃がこぼれ落ちることを抑制できる。なお、主面441(
図2参照)は、平板状でもよいし、塵埃の通過を抑制できる程度のメッシュ状でもよい。
【0044】
ダクト42は、ダクト42の一端側を形成し、高さ寸法94を有して上下に延在する直立部421を備えている。この直立部421は、塵埃が主蓄積室41からダクト42の他端側に漏れることを抑制する。
【0045】
電気掃除機1が塵埃を吸引すると、吸引した塵埃はまず主蓄積室41に蓄積され、主蓄積室41が満杯になるとダクト42にも蓄積される。ダクト42が重力方向より水平方向側を向いた斜め下向きであるため、ダクト42から塵埃が落下することを抑制できる。また、水平方向より重力方向側を向いているため、主蓄積室41が満杯になってから比較的すぐにダクト42に塵埃が蓄積され易く、塵埃センサユニット12により塵埃を検出し易い。
【0046】
次に、ダストケース4を本体(筐体11)に装着する動作について
図8乃至
図12を参照して説明する。
図8はダストケースを装着する直前の状態を示す断面図、
図9はダストケースを装着する途中の状態を示す断面図である。また、
図10はダストケースを装着する途中の状態を示す断面図、
図11はダストケースがロックする直前の状態を示す断面図である。また、
図12は、ダストケースがロックした状態を示す断面図である。なお、
図8乃至
図12では、ダストケース4が装着される部分のみを簡略化して図示している。
【0047】
図8に示すように、ハンドル43は、ダストケース4に回動軸43aを介して回動可能に支持されている。また、ハンドル43に形成された腕部431bには、抜け止め部432が形成されている。この抜け止め部432は、腕部431bから下方に突出して形成されている。抜け止め部432は、回動軸43aより前側に下方に向けて延びる導入部432aと、回動軸43aより後側に後方に向けて延びる爪部432bと、を有している。
【0048】
導入部432aの下面は、ハンドル43を寝かせた状態(第2姿勢)において、前側から後側に向けて下るように傾斜するテーパ432cが形成されている。爪部432bは、第2姿勢において、下面が水平面432dによって形成されている。また、爪部432bは、後面が垂直面432eによって形成されている。また、爪部432bは、上面が前側から後側に向けて下るように傾斜する湾曲面432fによって形成されている。
【0049】
これにより、ハンドル43は、回動軸43aを中心として、
図8に示す寝かせた姿勢(第2姿勢)と、
図2に示す起こした姿勢(第1姿勢)との範囲で回動する。寝かせた姿勢(第2姿勢)では、ハンドル43の上面と、ダストケース4の上面とが面一となる。また、寝かせた姿勢(第2姿勢)では、抜け止め部432の爪部432bが後方を向いている。
【0050】
一方、収容部111bの右側面部111cには、抜け止め凹部114が形成されている。抜け止め凹部114は、抜け止め部432に倣う形状であり、導入部432aに倣う導入凹部114aと、爪部432bに倣う係止凹部114bと、を有している。
【0051】
また、係止凹部114bの鉛直方向上方には、傾斜面115が形成されている。この傾斜面115は、後側の右上面部111hから前方に向けて下るように傾斜している。
【0052】
図8に示すように、ハンドル43が倒れた(寝た)姿勢でダストケース4が収容部111bに装着される場合、抜け止め部432の水平面432dと垂直面432eとの境界の角部432gが傾斜面115に当接する。なお、角部432gは、丸み(R)が形成され、ハンドル43を回動させ易くなっている。この状態において、ダストケース4を収容部111bに装着するために、ダストケース4に対して力F1が上方から下向きに与えられると、角部432gによって傾斜面115に対して鉛直方向下向きの力fが作用する。この力fは、傾斜面115に平行な分力f1と、傾斜面115に垂直な分力f2とに分解することができる。
【0053】
そして、分力f1が抜け止め部432の爪部432bに作用することによって、
図9に示すように、ハンドル43に回動軸43aを中心として図示時計回り方向に回動させる力が与えられる。このとき、角部432gが傾斜面115に接しながら、分力f1(
図8参照)が継続して作用することで、ハンドル43の立ち上がり角度θが徐々に大きくなる。
【0054】
そして、
図10に示すように、ダストケース4が収容部111bに対して所定の高さ(深さ)位置まで装着されると、ハンドル43が起立した姿勢(第1姿勢)に至る。このときのハンドル43の立ち上がり角度θは、約90度である。この場合、抜け止め部432が前方を向いた状態になる。また、抜け止め部432の爪部432bの先端が、後向きの状態から鉛直方向下向きの状態になる。また、爪部432bは、抜け止め凹部114の導入凹部114aと対向した状態である。なお、回動軸43aの前後方向の位置は、
図8に示す状態と
図10に示す状態とでは、ほぼ変化していない。
【0055】
そして、
図11に示すように、第1姿勢のハンドル43に対して力F2が前向きに与えられると、回動軸43aを中心として、第2姿勢に向けて回動する。そして、ハンドル43が第2姿勢に至る直前において、爪部432bが抜け止め凹部114における係止凹部114bの上部の湾曲面114cに当接する。このとき、ハンドル43の傾きは、0度よりも若干大きな角度になる。
【0056】
そして、
図11の状態からハンドル43に対して力F2がさらに付与されることで、ハンドル43が回動軸43aを中心として反時計回り方向に回動するとともに、爪部432bが係止凹部114bの奥側の水平面114dに向けて摺動する。そして、ハンドル43の係止部434(
図2参照)が収容部111bの被係止部111u(
図3参照)に係止されるまで、ハンドル43を押圧する。これにより、ダストケース4が収容部111b側に引き寄せられる方向に移動し、
図12に示す状態に至る。このように、テコの原理によって、ダストケース4が筐体11側に密着する方向にダストケース4が下降して、ダストケース4が本体にロックされる(装着が完了する)。また、ハンドル43の裏面によってセンサ113の作動ピン113aが押し下げられることで、ダストケース4が本体(筐体11)に装着されたことが検知される。
【0057】
ところで、ハンドル43によってダストケース4を本体(筐体11)にロックするロック機構(抜け止め部432および抜け止め凹部114)を備えた電気掃除機1では、傾斜面115が設けられていないと、ハンドル43を寝かせた状態で収容部111bに収容しようとしても、収容することが困難となる。このため、以下に示す操作が必要になる。すなわち、まずダストケース4に対してハンドル43を起こした状態で、ダストケース4を本体(収容部111b)に収容する。その後、ハンドル43を前側に倒すこと(寝かした状態)で、ダストケース4が本体(収容部111b)にロックされる(
図12参照)。例えば、ユーザがこのような操作を十分に理解していない場合、ハンドル43を起こさずに、ダストケース4を収容部111bに装着しようとする。そうすると、ハンドル43に設けられた抜け止め部432の爪部432bが邪魔をしてダストケース4を本体に装着することが困難になり、使い勝手が損なわれる。また、ダストケース4を収容部111bに無理やり押し込むことで、ダストケース4が収容部111bに未ロックのまま運転が行われるおそれがある。そこで、本実施形態では、抜け止め凹部114に傾斜面115を形成することで、ハンドル43を立ち上げずに(寝かせた状態で)ダストケース4を収容部111bに装着した場合、ハンドル43が立ち上がるようにしたものである。そして、ユーザは、ハンドル43を倒す(寝かせる)ことで、ダストケース4を本体(収容部111b)にロックすることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の電気掃除機1は、吸引力を発生させる電動送風機16を収容する筐体11(本体)と、筐体11の収容部111bに着脱可能なダストケース4と、を備える。また、電気掃除機1は、ダストケース4に回動自在に取り付けられるハンドル43を備える。また、電気掃除機1は、ハンドル43を起立した第1姿勢から倒れた第2姿勢にすることでダストケース4を収容部111bにロックするロック機構(抜け止め部432および抜け止め凹部114)を備える。筐体11は、ハンドル43を寝かせた状態(第2姿勢)でダストケース4を筐体11に装着する際、ハンドル43を第2姿勢から第1姿勢に向けて回動させる回動力付与部(傾斜面115)を備える。これによれば、ハンドル43を寝かせた状態でダストケース4を装着したとしても、回動力付与部によって、ハンドル43を寝かせた姿勢から起こした姿勢に回動させる力を与えることができる。その結果、ハンドル43が立ち上がることで、使用者に対して、ハンドル43を第1姿勢から第2姿勢にする動作を実行するように誘導することができる。よって、ダストケース4が未ロック状態で運転されるのを防止することができ、操作性を向上することが可能になる。
【0059】
また、本実施形態では、回動力付与部は、ハンドル43が筐体11に当接したときに、ハンドル43を回動させる方向に向けて分力f1を発生させる傾斜面115によって構成されている(
図8参照)。これによれば、筐体11の形状を簡単に変更することで操作性を向上させることができる。
【0060】
なお、
図12に示すように、本実施形態での傾斜面115の傾斜角度αは、約30度に設定されている。ちなみに、傾斜角度αが大きい方が、抜け止め部432の爪部432bが傾斜面115に当接したときの、ハンドル43に回動力を付与する分力f1(
図8参照)を大きくできる。しかし、その場合、爪部432bが傾斜面115に当接しなくなるおそれが高くなる。そこで、本実施形態では、傾斜角度αを30度以上45度以下に設定している。
【0061】
また、本実施形態では、筐体11は、ダストケース4を収容部111bに収容した状態において、ハンドル43が第1姿勢から第2姿勢に向けて変化したことを検知するセンサ113(
図6参照)を備える。これによれば、ハンドル43によってダストケース4が筐体11にロックされる機構のものにおいて、ダストケース4が収容部111bに収容されていることを確実に検知でき、ダストケース4が未収容状態で運転されるのを確実に防止できる。
【0062】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係る電気掃除機を示す平面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図13に示すように、第2実施形態の電気掃除機1Aは、右上面部111hに、傾斜面115Aが形成されるとともに、左上面部111kに、傾斜面115Bが形成されている。
【0063】
図14(a)は一方の傾斜面の傾斜角度を示す側面図、(b)は他方の傾斜面の傾斜角度を示す側面図である。なお、ハンドル43に設けられる抜け止め部432は、第1実施形態と同様に左右対称な形状である(
図2乃至
図4参照)。
図14(a)に示すように、傾斜面115Aの傾斜角度は、α1に設定されている。なお、α1は、第1実施形態と同様に、約30度に設定されている。
図14(b)に示すように、傾斜面115Bの傾斜角度は、α2に設定されている。なお、α2は、α1よりも大きい、約45度に設定されている。
【0064】
なお、前記した傾斜面115A,115Bの傾斜角度α1,α2は一例であって、前記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0065】
ところで、ダストケース4を収容部111bに装着する場合には、常に同じ向き(角度)ではなく、その時々において若干異なる向き(角度)で装着が行われる。このため、傾斜面が片側のみの場合、その傾斜面に対応した範囲でダストケース4が装着されないと、ダストケース4を装着する際にハンドル43を起立させる方向に分力f1(
図8参照)を発生させることが難しくなる。そこで、第2実施形態では、ハンドル43の右側と左側の双方に傾斜面115A,115Bを形成し、かつ、傾斜面115Aの傾斜角度α1と、傾斜面115Bの傾斜角度α2と、を異ならせたものである。これにより、ハンドル43を起立させる方向に分力f1を発生させる適用範囲を広げることができる。よって、ハンドル43を寝かせた姿勢でダストケース4が収容部111bに装着されたとしても、ハンドル43を起こす方向に力を発生させ易くなり、ダストケース4を収容部111bに取り付ける際の使い勝手を向上できる。
【0066】
なお、第2実施形態では、傾斜面115Aの傾斜角度α1と傾斜面115Bの傾斜角度α2とを異ならせる場合を例に上げて説明したが、傾斜角度α1と傾斜角度α2とを同じ角度にしてもよい。このように、傾斜面115A,115Bをハンドル43の左右両側に設けることによって、傾斜面115を片側に設ける場合(
図5参照)よりも、安定して、ハンドル43を起立させる方向に力を発生させることができる。なお、傾斜角度α1と傾斜角度α2とを異ならせる場合、小さい方の傾斜角度を45度以下または30度以下にするとき、分力の得られ方を考慮すると、大きい方の傾斜角度は小さい方の傾斜角度より10度以上大きいことが好ましい。
【0067】
図15は、傾斜面の変形例を示す側面図である。なお、
図15では、抜け止め部432の一部のみを示しているが、その他の構成については、第1実施形態と同様に構成されているものとする。また、傾斜面115Cに当接するハンドル43の抜け止め部432の図示を省略している。
【0068】
図15に示すように、傾斜面115Cは、第1実施形態の傾斜面115の変形例であり、凸状に湾曲し(凸状の曲面であり)、かつ、曲率が斜面上側から斜面下側に向けて大きくなるように形成されている。すなわち、傾斜面115Cの点P2における曲率は、点P1における曲率よりも大きく形成されている。これにより、点P1における抜け止め部432(
図4参照)から受ける力fによるハンドル43を回動させる方向の分力をf11とし、点P2における抜け止め部432(
図4参照)から受ける力fによるハンドル43を回動させる方向の分力をf12とした場合、f12>f11となる。
【0069】
このように、傾斜面115Cにおいて、曲率の小さい領域を設けることで、第1実施形態と同様に抜け止め部432が傾斜面115Cに当接し易くなる。また、曲率の大きい領域を設けることで、抜け止め部432が傾斜面115Cに当接した後に分力f12を大きくできる。よって、ハンドル43が回動し易くなる。これにより、抜け止め部432と傾斜面115Cとが接触し易くなるとともに、ハンドル43が回動し易くなり、双方の機能をバランスよく実現できる。
【0070】
なお、
図15では、右側に傾斜面115Cを設ける場合を例に挙げて説明したが、左右両側に同様な形状の傾斜面115Cを設けるようにしてもよい。また、傾斜面115Cを左右両側に設ける場合において、左右の傾斜面115Cの曲率を異ならせるようにしてもよい。
【0071】
また、傾斜面115Cのように湾曲した面ではなく、傾きの異なる平面を連続的に形成し、下側の傾きを上側の傾きよりも大きくなるようにしたものでも、同様の効果を得ることができる。
【0072】
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図である。なお、
図16(a)は、ダストケース4Aを前側から見たとき、(b)は、収容部111bを後側から見たときである。
図16(a)に示すように、ダストケース4は、側面に上下方向に延びる凸条部435(案内部)が形成されている。凸条部435は、ダストケース4の主蓄積室41(
図2参照)の底面に対応する位置から上方に直線状に延びている。
【0073】
図16(b)に示すように、収容部111bの左側面部111dには、上下方向に延びる凹条部111nが形成されている。凹条部111nの上端は、左上面部111kに開口して形成されている。これにより、ダストケース4を収容部111bに取り付ける際、凹条部111nによって凸条部435が上下方向にスライド可能に案内される。よって、ダストケース4を本体(筐体11)に取り付ける際、ダストケース4の前後方向の位置および傾きが一定にできる。つまり、ダストケース4を収容部111bの真上から挿入(装着)することができる。これにより、ダストケース4の抜け止め部432を、傾斜面115(
図8参照)に一定の位置および傾きで当てることが可能になるので、ダストケース4を収容部111bに安定して取り付けることができ、操作性を向上できる。
【0074】
なお、
図16では、ダストケース4側を凸条、収容部111b側を凹条としたが、その逆であってもよい。また、凸条部435と凹条部111nを、左側のみに形成した場合を例に挙げて説明したが、左右両側に設けるようにしてもよい。これにより、凸条部435と凹条部111nを片側のみに設ける場合よりも、ダストケース4を収容部111bに安定して取り付けることができる。
【0075】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改変・変更等することができることはいうまでもない。また、本実施形態においては、筐体11に対してダストケース4を上下方向に移動させるものを例に挙げて説明したが、上方から取り付けるものに限定されず、側面や後方などその他の方向から着脱できるようにしてもよい。
【0076】
また、前記した実施形態では、筐体11側に傾斜面115を設けた場合を例に挙げて説明したが、ハンドル43側に、ハンドル43を寝かせた姿勢(第2姿勢)から起こした姿勢(第1姿勢)に回動させる回動力付与部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,1A 電気掃除機
4 ダストケース(集塵ケース)
11 筐体
16 電動送風機
43 ハンドル
43a 回動軸
111b 収容部
111h 右上面部(上面部)
111n 凹条部
113 収容センサ(センサ)
114 抜け止め凹部(ロック機構)
114a 導入凹部
114b 係止凹部
115,115A,115B 傾斜面(回動力付与部)
432 抜け止め部(ロック機構)
432a 導入部
432b 爪部
432d 水平面
432e 垂直面
432g 角部
435 凸条部(案内部)
α1,α2 傾斜角度
f1,f11 分力