(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】かぶれ防止パッド及び衛生用品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/505 20060101AFI20220309BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20220309BHJP
A61F 13/84 20060101ALI20220309BHJP
A61F 13/472 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A61F13/505
A61F13/511 300
A61F13/511 410
A61F13/511 400
A61F13/84
A61F13/472
(21)【出願番号】P 2021171040
(22)【出願日】2021-10-19
【審査請求日】2021-10-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521458959
【氏名又は名称】杉山 円佳
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】杉山 円佳
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-522598(JP,A)
【文献】特開2002-345887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0367901(US,A1)
【文献】特開平04-279159(JP,A)
【文献】実公昭55-37129(JP,Y2)
【文献】実開昭60-166323(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61F5/44-5/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に装着される衛生用品のうち、人体の陰部の外側に対応する領域に間隔をおいて取り付けられるシート状の2個の粘着剤層と、
2個の前記粘着剤層が前記衛生用品に取り付けられる前の状態で、2個の前記粘着剤層のうち、前記衛生用品に取り付けられる第1表面にそれぞれ貼り付けられる剥離テープと、
2個の前記粘着剤層のうち、前記第1表面とは反対に位置する第2表面にそれぞれ設けられるシート状の2個のシリコン層と、
を有する、かぶれ防止パッド。
【請求項2】
人体の皮膚に接触される皮膚接触材を有する衛生用品において、
前記皮膚接触材のうち、人体の陰部の外側に対応する領域に人体の左右方向に間隔をおいて取り付けられたシート状の2個の粘着剤層と、
2個の前記粘着剤層のうち、前記皮膚接触材に取り付けられた第1表面とは反対に位置する第2表面にそれぞれ設けられたシート状の2個のシリコン層と、
を有する、衛生用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生用品を人体に装着した場合に、皮膚のかぶれを抑制することの可能な、かぶれ防止パッド及び衛生用品に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生用品を人体に装着した場合に、皮膚のかぶれを抑制する技術の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている使い捨て吸収性物品は、吸収性本体と、前部ウエストセクションと、背部ウエストセクション及び前部及び背部ウエストセクションを接続する中間セクションとからなり、体側に面する少なくとも一部にローション配合物を有する。このため、吸収性物品の着用者の皮膚がかぶれること、摩擦および不快感を受けること、が少なくなると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載されている使い捨て吸収性物品は、体側に面する少なくとも一部にローション配合物を有するため、皮膚がべたつく可能性がある、という課題を認識した。
【0005】
本開示の目的は、衛生用品を人体に装着した場合に、皮膚のかぶれを抑制でき、かつ、皮膚のべたつきを抑制可能な、かぶれ防止パッド及び衛生用品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のかぶれ防止パッドは、人体に装着される衛生用品のうち、人体の陰部の外側に対応する領域に間隔をおいて取り付けられるシート状の2個の粘着剤層と、2個の前記粘着剤層が前記衛生用品に取り付けられる前の状態で、2個の粘着剤層のうち、前記衛生用品に取り付けられる第1表面にそれぞれ貼り付けられる剥離テープと、2個の前記粘着剤層のうち、前記第1表面とは反対に位置する第2表面にそれぞれ設けられるシート状の2個のシリコン層と、を有する、かぶれ防止パッドである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、衛生用品を人体に装着した場合に、皮膚のかぶれを抑制でき、かつ、皮膚のべたつきを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)は、かぶれ防止パッドの平面図、(B)は、かぶれ防止パッドの底面図、(C)は、かぶれ防止パッドの側面図である。
【
図2】かぶれ防止パッドを生理用ナプキンに取り付けた状態の平面図である。
【
図3】
図2の生理用ナプキンをIII-III線に沿って破断した断面図である。
【
図4】
図2の生理用ナプキンをIV-IV線に沿って破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の内容に限定されない。
図1、
図3及び
図4に示すかぶれ防止パッド10は、生理用品の一例である生理用ナプキン11に装着、つまり、取り付けられる。かぶれ防止パッド10は、2個を1組として生理用ナプキン11に取り付けられる。かぶれ防止パッド10は、シリコン層12、粘着剤層13及び剥離テープ(剥離シート)14を有する。シリコン層12は、シロキサン結合による主骨格を持つ合成高分子化合物製であり、かつ、シート状である。
【0010】
図1(A)のように、かぶれ防止パッド10を平面視すると、シリコン層12の2側縁12A,12Bは平行であり、かつ、同じ方向に湾曲している。このため、シリコン層12の幅方向の中心を通る仮想線B1は、円弧形状または湾曲形状で表される。かぶれ防止パッド10の平面視で、シリコン層12の幅L1は、一例として、5mm乃至5cm程度の範囲内である。かぶれ防止パッド10の平面視で、シリコン層12の全長L2は、一例として、5cm乃至10cm程度の範囲内である。かぶれ防止パッド10の平面視で、シリコン層12の長さ方向の両端は、略半円形である。
図1(C)のように、かぶれ防止パッド10を側面視すると、シリコン層12の厚さW1は、一例として5mm程度である。かぶれ防止パッド10の平面視は、シリコン層12の厚さ方向に対して垂直な平面視と同じ意味である。
【0011】
粘着剤層13は、シート状であり、かつ、シリコン層12の片方の表面全体に亘り、一例として1mm程度の厚さで設けられている。言い換えると、粘着剤層13の厚さ方向の両側に位置する第1表面13A及び第2表面のうち、第2表面13Bの全域に亘ってシリコン層12が接着されている。第1表面13Aは、剥離テープ14が剥がされると、
図3のように、生理用ナプキン11に接着される表面である。粘着剤層13を構成する粘着剤は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、等のうちの何れでもよい。剥離テープ14は、粘着剤層13の第1表面13Aの全体を覆うように、第1表面13Aに設けられている。剥離テープ14は紙製であり、粘着剤層13の粘着力で粘着剤層13に仮止めされている。
【0012】
かぶれ防止パッド10が取り付けられる生理用ナプキン11は、皮膚接触材15、防漏材16、吸収体17及び接着部18を有する。皮膚接触材15は、人体の皮膚に接触する部位であり、皮膚接触材15は、経血が通過することの可能な要素であり、皮膚接触材15は、不織布及びメッシュを重ねて構成されている。防漏材16は、吸収体17が吸収した経血が、生理用ナプキン11の外部にじみ出ることを防止する要素である。防漏材16はシート状であり、防漏材16の外縁は、皮膚接触材15に固定されている。皮膚接触材15と防漏材16との間に収容室20が設けられている。収容室20は空間である。
【0013】
吸収体17は、収容室20に収容されている。吸収体17は、経血を吸収する要素であり、吸収体17は、綿状パルプ、吸収紙、高分子吸収材等により構成されている。接着部18は、防漏材16における皮膚接触材15が固定されている表面とは反対の表面に設けられている。接着部18は、生理用ナプキン11を下着19、例えば、ショーツまたはパンティー等に固定するための要素である。
図2のように、接着部18の両側には、羽根21が2つずつ設けられている。
図2において、生理用ナプキン11は下着19に対して装着されると、前後方向の寸法は、左右方向の寸法より大きい。
図2に示す生理用ナプキン11は、前後方向の中央を基準として前側及び後側に区別される。領域A1は、生理用ナプキン11の前後方向の中央を基準として前側及び後側に亘って位置する。なお、接着部18の表面には接着剤層が設けられているが、便宜上、接着剤層の図示を省略する。
【0014】
次に、2個のかぶれ防止パッド10を生理用ナプキン11に取り付けて使用する例を説明する。先ず、
図3のように、剥離テープ14を粘着剤層13から剥がす。そして、2個のかぶれ防止パッド10の粘着剤層13を生理用ナプキン11の皮膚接触材15に向けた状態で、かぶれ防止パッド10を生理用ナプキン11に近づける。さらに、粘着剤層13を皮膚接触材15の表面に密着させることにより、
図2のように、2個のかぶれ防止パッド10を生理用ナプキン11に固定する。生理用ナプキン11の前後方向において、2個のかぶれ防止パッド10は、前端同士の間隔L3及び後端同士の間隔L3が、2個のかぶれ防止パッド10の中央の間隔L4より狭くなるように、2個のかぶれ防止パッド10が湾曲された向きを決めて、生理用ナプキン11に取り付けられる。つまり、2個のかぶれ防止パッド10は、生理用ナプキン11の皮膚接触材15に対して、人体22の左右方向に間隔をおいて取り付けられる。人体22の左右方向と、生理用ナプキン11の左右方向とは、同じであるものとする。
【0015】
2個のかぶれ防止パッド10取り付けられた生理用ナプキン11は、下着に取り付けられる。具体的には、接着部18が下着19の内面に接着される。さらに、4つの羽根21は折り返され、かつ、下着19の外面に接着される。このため、生理用ナプキン11が下着19に対してずれることを防止できる。2個のかぶれ防止パッド10は、下着19を人体22に装着した場合に、2個のかぶれ防止パッド10のシリコン層12のそれぞれが、生理用ナプキン11の前後方向で人体22の陰部の両側の外陰部に対応する領域、例えば、
図2に示す領域A1において、
図4のように人体22の皮膚(肌)23に接触される。
【0016】
本実施形態における2個のかぶれ防止パッド10を取り付けた生理用ナプキン11を利用すると、生理用ナプキン11と皮膚23との間にかぶれ防止パッド10が位置する。このため、かぶれ防止パッド10がクッションの役割を果たし、生理用ナプキン11と皮膚23との摩擦によるかぶれを抑制できる。また、シリコン層12は、シリコン製であるため、皮膚23がべたつくことを防止できる。さらに、かぶれ防止パッド10は、皮膚23に直接貼る訳ではないので、肌荒れを抑制できる。なお、生理用ナプキン11の前後方向、及び左右方向において、2個のかぶれ防止パッド10を生理用ナプキン11に取り付ける位置は、人体22の体形、かぶれ易い位置等の条件により、利用者が任意に決定する。
【0017】
[補足説明]
本実施形態で説明した技術的事項の意味の一例は、次の通りである。生理用の生理用ナプキン11は、衛生用品の一例である。シリコン層12は、シリコン層の一例である。粘着剤層13は、粘着剤層の一例である。剥離テープ14は、剥離テープの一例である。かぶれ防止パッド10は、かぶれ防止パッドの一例である。皮膚接触材15は、皮膚接触材の一例である。防漏材16は、防漏材の一例である。収容室20は、収容室の一例である。吸収体17は、吸収体の一例である。接着部18は、接着部の一例である。
【0018】
本実施形態で説明したかぶれ防止パッドは、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、2個のかぶれ防止パッドが取り付けられる衛生用品は、生理用のナプキン、尿漏れパッド、オムツ等のうちの何れでもよい。また、シリコン層の厚さ、幅、全長等を異ならせたかぶれ防止パッドを、複数種類用意することもできる。さらに、シリコン層は、厚さ方向に対して垂直な平面視で、2側縁が直線状であってもよい。また、シリコン層は、厚さ方向に対して垂直な平面視で、長方形であってもよい。何れの場合も、シリコン層の幅方向の中心を通る仮想線は直線である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本開示のかぶれ防止パッド、衛生用品及び生理用ナプキンは、利用者の皮膚がかぶれることを抑制する場合に利用可能である。
【符号の説明】
【0020】
10…かぶれ防止パッド、11…生理用ナプキン、12…シリコン層、13…粘着剤層、13A…第1表面、13B…第2表面、14…隔離テープ、15…皮膚接触材、16…防漏材、17…吸収体、18…接着部、20…収容室
【要約】
【課題】衛生用品を人体に装着した場合に、皮膚のかぶれを抑制でき、かつ、皮膚のべたつきを抑制可能な、かぶれ防止パッドを提供する。
【解決手段】人体に装着される衛生用品のうち、人体の陰部の外側に対応する領域に間隔をおいて取り付けられるシート状の2個の粘着剤層13と、2個の粘着剤層13が衛生用品に取り付けられる前の状態で、2個の粘着剤層13のうち、衛生用品に取り付けられる第1表面13Aにそれぞれ貼り付けられる剥離テープ14と、2個の粘着剤層のうち、第1表面13Aとは反対に位置する第2表面13Bにそれぞれ設けられるシート状の2個のシリコン層12と、を有するかぶれ防止パッド10を設けた。
【選択図】
図1