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▶ グルッポ チンバリ ソチエタ ペル アツィオニの特許一覧

<図1>
  • 特許-流体を連続加熱するための装置 図1
  • 特許-流体を連続加熱するための装置 図2
  • 特許-流体を連続加熱するための装置 図3
  • 特許-流体を連続加熱するための装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】流体を連続加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/57 20060101AFI20220309BHJP
   A23G 1/04 20060101ALI20220309BHJP
   A47J 27/17 20060101ALI20220309BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A47J27/57
A23G1/04
A47J27/17
A47J31/44 130
A47J31/44 410
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017141525
(22)【出願日】2017-07-21
(65)【公開番号】P2018029952
(43)【公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】102016000077849
(32)【優先日】2016-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506353563
【氏名又は名称】グルッポ チンバリ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・ロニョーニ
(72)【発明者】
【氏名】ミケーレ・トレソルディ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ・モスコーニ
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00485350(EP,A1)
【文献】特開平08-094284(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1959277(CN,A)
【文献】米国特許第04907418(US,A)
【文献】特開2000-046485(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103743265(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-27/64
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱蒸気を使用して流体を連続加熱するための装置であって、被加熱流体を源からその使用地点まで循環させる、1つの入口及び1つの出口を有する第1の管状回路と、加熱蒸気を循環させる第2の管状回路と、を備えている装置において、前記第1の管状回路は、両端(5、14)を閉じられた第1の中空円筒体(1)の軸方向長さの少なくとも1つの区分の周りに螺旋状に巻かれている区分(2)を備えており、両端(8、16)を閉じられた第2の中空円筒体(3)が前記第1の中空円筒体(1)と前記第1の回路の前記螺旋状に巻かれている区分(2)の両方を収納しており、半径方向通路(21)が前記第1の中空円筒体(1)の空洞部と前記第2の中空円筒体(3)の空洞部の間を連通させており、前記第1の中空円筒体(1)と前記第2の中空円筒体(3)と前記半径方向通路(21)は前記第2の管状回路の部分を形成しており、第1の接続手段(7)が前記第1の中空円筒体(1)を前記加熱蒸気源と接続し、第2の接続手段(20)が前記第2の中空円筒体(3)をその外部と接続しており、前記第1の中空円筒体(1)と前記第2の中空円筒体(3)の間を連通させる前記半径方向通路(21)の幾つかは、軸方向には、前記第1の管状回路の前記の円筒状螺旋へと巻かれている区分(2)に配列されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記第1の中空円筒体(1)は、前記第2の中空円筒体(3)の空洞部と連通していて前記第1の管状回路の前記区分(2)の外の前記中空円筒体(1)の軸方向部分に設けられている開口部(28)、を備えている、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の装置において、前記第1の中空円筒体(1)の周りに螺旋状に巻かれている前記区分(2)は、内径が前記第1の中空円筒体(1)の外径より大きい円筒状螺旋を形成するように巻かれている、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の装置において、前記被加熱流体は液体である、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記液体はミルクである、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置において、前記液体はチョコレートである、装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の装置において、前記被加熱流体は液体と気体の混合物である、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、前記混合物はミルクと空気から成る、装置。
【請求項9】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の装置において、前記第1の管状回路の前記螺旋状に巻かれている区分(2)の直線長さは700mmから1700mmの範囲にある、ということを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の装置において、前記第1の管状回路の少なくとも前記の円筒状螺旋へと巻かれている区分(2)の内径は2mmから3.6mmの範囲にある、ということを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の装置において、前記第1の管状回路の少なくとも前記の円筒状螺旋へと巻かれている区分(2)の外径は2.4mmから4.0mmの範囲にある、ということを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか一項に記載の装置において、当該装置は前記加熱蒸気の流れを調整するための手段を備えている、ということを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記加熱蒸気の流れを調整するための前記手段は前記第1の接続手段(7)に設置されている可変流量弁を備えている、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置において、前記加熱蒸気の流れを調整するための前記手段は前記半径方向通路(21、21b)の少なくとも1つの群を閉じるための手段(29、33)を備えている、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、前記半径方向通路(21)の少なくとも1つの群(21a)を閉じるための前記手段は、前記第1の中空円筒体(1)をその閉鎖端(5)に形成されている専用開口部を貫いて通り抜けている第3の中空円筒体(29)を備えており、前記第3の中空円筒体(29)は、前記第1の中空円筒体(1)の外部に位置する閉鎖端(30)と前記第1の中空円筒体(1)の内部に位置していてその空洞部と連通している開口端(31)を有し、前記第3の中空円筒体(29)は、前記第1の中空円筒体(1)の空洞部に対して半径方向のシール(32)と一体に伸縮式に滑動し、前記半径方向シール(32)と前記第3の円筒体が貫いて通り抜けている前記第1の中空円筒体(1)の前記閉鎖端(5)との間で前記の閉じられたままにされるべき半径方向通路(21a)の数に従って軸方向位置を取ることができ、前記第1の中空円筒体(1)を前記加熱蒸気源と接続するための前記第1の接続手段(7)は前記第3の中空円筒体(29)の前記閉鎖端(30)によって担持されていて当該第3の中空円筒体(29)の中へ開口している、ということを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項12に記載の装置において、前記加熱蒸気の流れを調整するための前記手段は、前記加熱蒸気流れを通過搬送させなくてはならない開口部(21b1、21b2、21b3、21b4)の群(A、B、C、D)を選択するための手段を備えている、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、前記加熱蒸気流れを通過搬送させなくてはならない開口部(21b1、21b2、21b3、21b4)の群(A、B、C、D)を選択するための前記手段は、前記中空円筒体(1)の壁に形成されている開口部(21b1、21b2、21b3、21b4)の複数の群(A、B、C、D)であって、当該開口部は各群内でそれぞれの螺旋分散に従って配列されている、開口部の複数の群、前記円筒体1内に同軸に収納されていてその中で角変位を被る第3の管状円筒体(33)、前記第3の管状体の壁に形成されている一連の窓(35b1、35b2、35b3、及び35b4)であって角度が互いから90°オフセットされていて開口部(21b1、21b2、21b3、21b4)のそれぞれの群(A、B、C、D)と同じ高さに位置決めできるように軸方向に離間されている一連の窓、を備えている、ということを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を又は液体と気体の混合物を、蒸気を使用して連続加熱するための装置であって、被加熱流体を又は液体と気体の被加熱混合物を循環させる、1つの入口及び1つの出口を有する第1の管状回路と、加熱蒸気を循環させる第2の管状回路と、を備えている装置に関する。
【0002】
具体的には、被加熱液体はミルク又はチョコレートであってもよく、気体との混合物は、好適には、空気を含んで泡立てられたミルクである。
【0003】
ここでの使用に際し、連続加熱するという用語は、被加熱流体と加熱流体という2つの流体が装置を通ってそれぞれ各自の回路を並流して又は向流して流れている間に加熱が実施される、ということを言い表すものとする。
【背景技術】
【0004】
先行技術では、例えば、欧州特許第0485350号に開示されている様に、被加熱流体を循環させる管状導管の形態をしている回路が、蒸気を循環させる同じく管状導管の形態をしている回路の内側に設置されており、熱交換が対流によって、主にはそれら流体の流れる回路を形成している管状要素の壁同士の間の対流によって起こる。
【0005】
しかしながら、この技術的な解には導管に沿って形成される蒸気凝縮物を蒸気流れから簡単に除去することができないという機能的な欠点があり、というのも、この技術的な解でのその様な流れは、凝縮物を被加熱液体の流れる導管の外側周囲に沿って動くように仕向け、凝縮物を導管の上部に向かって蓄積させてしまうきらいがあるからだ。
【0006】
凝縮物の存在は、熱交換を低下させる熱絶縁効果を生じさせ、加熱中に液体が一定した温度を維持することを確約できない。
【0007】
更には、凝縮物が重力によって落下すると蒸気流れの入口が塞がれ流れを不規則にさせてしまうかもしれない。
【0008】
加熱流体即ち蒸気の部分を被加熱流体の中へ導入させることをなおも必要とするのではあるが異なった配列が米国特許第2014/0299001A1号に開示されている。この配列によれば、蒸気の流れのための管状導管は被加熱流体の流れのための管状導管の内側に同心に設置されており、蒸気導管の壁には複数の半径方向の孔がその軸方向の広がりに沿って配列され被加熱流体のための導管の中へ開口して配置されている。
【0009】
この既知の技術の加熱配列は、水が被加熱液体へ加えられてしまいそれにより液体が希釈されるという欠点を伴う。
【0010】
この欠点は、加熱される液体がミルクであるか又は泡立てられたミルクを提供するミルクと空気の混合物である場合にとりわけ重大である。
【0011】
実際に、加熱中の空気含有ミルク流に当たる蒸気の衝撃は、抑えられているとはいえ、冷温泡立てに典型的とされる極めて緻密な泡がミルクと空気の混合物中の空気分子に及ぼす蒸気分子の運動学的効果のせいで実現不能となることの原因であると思われる。
【0012】
また、ミルク中のタンパク質分の希釈はミルクの泡形成能を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】欧州特許第0485350号
【文献】米国特許第2014/0299001A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、蒸気を使用して流体を連続加熱するための装置において、蒸気が被加熱流体と混合するのを許容せず、それにより蒸気中の水分子と関連付けられる運動学的効果及びミルクと空気の混合物に及ぼすその様な効果の影響を回避する装置を提供することである。
【0015】
更なる目的は、装置を分解すること無く凝縮液の除去を可能にさせ、それにより装置の諸部分の洗浄が容易になり効率的規則的な加熱が確約されるようにすることである。
【0016】
更に、装置の或る代わりの実施形態によれば、本発明の更なる目的は、加熱強度を必要に応じ被加熱流体の流量並びに流体そのものの性質や組成に基づき調節できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これら及び他の目的は、以下により詳しく解説されている様に、付随の特許請求の範囲の請求項1に定義されている本発明の連続加熱装置によって成就される。
【0018】
これより本発明を添付図面に示されている限定ではなく例示として与えられているその特定の好適な実施形態を参照しながら更に詳細に説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】加熱装置の外側の構造の斜視図を示している。
図2図1の装置の長手方向断面図を示している。
図3】装置内の加熱流体導管の、加熱流体流れの調節を可能にさせる部分の或る代わりの実施形態を概略的に示している。
図4】装置内の加熱流体導管の、加熱流体流れの調節を可能にさせる部分の更なる実施形態を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の図を参照して、加熱装置は、図2の長手方向断面図に示されているその実施形態によれば、第1の中空円筒体1と、当該第1の中空円筒体の軸方向長さの少なくとも1つの区分の周りに螺旋状に巻かれている管状区分2と、を備えている。
【0021】
螺旋状に巻かれている区分は、外径が2.4mmから4.0mmの範囲で内径が2.0mmから3.6mmの範囲にある鋼管又は銅管から成るのが好適である。
【0022】
円筒状螺旋へと巻かれている区分は、加熱流体の流れ、具体的には空気を加えられた又は加えられていないミルクの流れのための第1の管状回路の部分であり、限定するわけではないが700mmから1700mmの範囲の長さを延びているのが好適である。
【0023】
第1の中空円筒体1の周りに巻かれた区分2を画定している円筒形状は、前記第1の中空円筒体1の外径より大きい内径を有していて、当該円筒体1を相手にギャップ2aを形成しているのが好適である。
【0024】
装置は、更に、加熱流体の流れ具体的には蒸気の流れのための管状回路の部分である3と符号の付けられた第2の中空円筒体を備えている。当該第2の円筒体3は、前記第1の中空円筒体1と前記螺旋状に巻かれている区分2の両方を同軸に収納している。中空体1の端4は、示されていないがそれ自体は既知である蒸気源との接続部7へ接続されている孔6を有するフランジ様の閉鎖用の壁5を具備している。
【0025】
中空円筒体3へ堅く接合されている端8は、フランジ様の壁5と中空体1の端4をそれらとの間にシール9を挟んで囲んでいる。その様なフランジ様の壁5は、円筒体1のフランジ様の壁の縁12の上方に個々の座金11を用いてねじ10を係合させることによって端8へ締結されている。
【0026】
図1及び図2に符号10と付されている様なねじは、縁12の周りに配列され、円筒体3の端8に形成されている対応する孔10aに係合している。
【0027】
円筒体1の反対側の端13は、軸方向に円筒体1の空洞部の中へ環状シール15を介在させて嵌っているシャンク14によって閉じられている。
【0028】
シャンク15は、第2の中空円筒体3の端18を閉じているフランジ16へ環状シール17を介在させて堅く接合されている。
【0029】
フランジ16は開口部19を有しており、当該開口部19には接続部20が封止式に接続されて、加熱流体及び以下に更に明快に解説されている様に凝縮物が、それを流れ出てゆけるように及び第1の円筒体1の壁に形成されている複数の半径方向通路21を通って第2の円筒体3の空洞部の中へ流れ込めるようにしている。
【0030】
これらの半径方向通路は、0.5mmから2.0mmの範囲にある直径を有する円形の孔を円筒体1の壁に軸方向及び円周方向に配列させて成るのが好適であり、孔の数は装置が満たすべき加熱要件及び結果としての蒸気の分注量に依存する。
【0031】
フランジ16は、更に、螺旋状に巻かれた管状区分2の端24がシール23によって封止式に嵌め通されている更なる通路22を有しており、当該区分の他端25は円筒体3から端8に形成されているシール27付き開口部26を通って外へ出ている。
【0032】
端24と端25は、源から入ってきて図面には示されていないその使用地点へ方向付けられる被加熱流体の流れ、具体的には空気を含んで泡立てられている又は泡立てられていないミルクの流れのための第1の管状回路の入口と出口を或いは反対に出口と入口をそれぞれ形成している。
【0033】
前記第1の中空円筒体1と前記第2の中空円筒体3と前記半径方向通路21は前記第2の管状回路の部分を形成している。
【0034】
本発明によれば、中空円筒体1の壁は更に貫通孔28を有しており、当該貫通孔28は、円筒状螺旋へと巻かれている区分2の外の第2の中空円筒体3の中へ開口しており、従って蒸気流れの出口接続部20へ接続されている開口部19に近接して開口している
【0035】
貫通孔28は、通路21の直径に等しいか又はそれより小さい直径を有していて、円筒体1の壁に沿って形成され重力のみならず加熱流体回路の上流部分と下流部分の間の圧力差によっても捕集される凝集物を排出させるという目的を有している。
【0036】
排出は前記円筒体1内で出口接続部20と同じ高さで起こり、螺旋状に巻かれた管状導管2の周りに形成される凝縮物もまた、通路21から出てきてその様な螺旋状に巻かれた導管2の壁に半径方向にぶつかる蒸気流れによってはがされた後に、当該出口接続部20に近く流れる。
【0037】
表面に凝縮物の無い壁は熱交換効率を高める。加熱流体の流量、具体的には蒸気の流量は、様々なやり方で調節することができる。これらのやり方の1つは、当技術で知られている様に蒸気給送導管に挿入されていて従来式の制御処理ユニット(CPU)によって管理される電気制御式比例可変流量型又は形状記憶型の弁を提供することにある。
【0038】
可変流量型の弁の使用の或る代替として、円筒体1と円筒体3の間の開いたままにさせたい通路21の数を機械式に変えることによって加熱蒸気の流れを調節することもできる。
【0039】
装置内の加熱流体導管の加熱流体の流れを調節するための部分の或る代わりの実施形態を示している図3を参照すると、着目されることとして中空円筒体1は前記半径方向通路21の少なくとも1つの群を閉じるための手段を有しており、当然ながら残りの通路は開いたままにされる。
【0040】
なおも図3を参照して、装置は、第1の中空円筒体1をそのプレートで閉じられている端8を貫いて通り抜けている第3の中空円筒体29を備えている。
【0041】
前記第3の円筒体29はというと、前記第1の中空円筒体1の外部に位置するその閉鎖端30と、前記第1の中空円筒体1の内部に位置しその空洞部と連通している反対側の開口端31と、を備えている。
【0042】
前記第3の円筒体29は、前記第1の円筒体1の空洞部に対する半径方向封止効果を例えばOリング32によって提供させながら両方向矢印Fによって示されている様に伸縮式に滑動する様式に取り付けられていて、前記半径方向シール32と円筒体1のフランジ5の閉鎖端の間で、21aの符号の付された前記の閉じたままにされるべき半径方向通路21の数に従って所与の位置にて軸方向にロックできるようになっている。
【0043】
言うまでもなく、蒸気源との接続部7は、第3の中空円筒体29の閉鎖端30へ取り付けられていて当該円筒体29の中へ開口しているものと考えるべきであり、前記第3の円筒体29の軸方向運動を許容するように両者の間に可撓性要素を挟んで取り付けることも可能である。
【0044】
装置内の加熱流体導管の、加熱流体流れの調節を可能にさせる部分の更なる実施形態が図4に概略的に示されている。
【0045】
本図を参照して、中空円筒体1の壁が、互いから分離されていて図4のA、B、C、及びDの符号が付されたそれぞれの螺旋配列で円筒体1の壁に配置されている半径方向開口部の群21b1、21b2、21b3、及び21b4を有していることに着目されたい。異なった第3の円筒管状体33が円筒体1内に同軸に収容されるように設計されている。
【0046】
蒸気は円筒体33のその端34へ図示されていない可撓性接続要素を介して搬送される。底34aの閉じられた前記円筒体33には、一連の窓35b1、35b2、35b3、及び35b4が互いから90°の角度でオフセットされ軸方向には通路21bの同じ数だけの螺旋配列A、B、C、及びCに対応するように離間して形成されている。円筒体3を角変位させると、窓35b1、35b2、35b3、及び35b4の各々が孔配列21b1、21b2、21b3、及び21b4の孔を漸進的に開いてゆくので、それにより被加熱流体の流れのための導管2に向けた半径方向及び軸方向の両方向への蒸気の均一分配が可能になる。
【0047】
各増分的調節間隔は、各窓につき、開口通路21bの増加同等数に対応する。
【0048】
結果として、蒸気の流れは通路のうちそれぞれが面している窓と連通する通路にのみ搬送されることになるのに対し、残りの通路はみな閉じられている。
【0049】
窓35b1、35b2、35b3、及び35b4の角度位置、ひいては円筒体1内の蒸気拡散の角度位置のより容易な選択のために、管状体33の端34に番号付きリングナット36が提供されている。円筒体33の角変位は、手動で得られるようになっていてもよいし、又は代わりにモータを用いて得られるようになっていて、変位量がCPUのプログラムされた制御によって選択されるようになっていてもよい。
【0050】
以上より、本発明の加熱装置は被加熱流体のプログラムされた加熱を提供することができ、しかも凝縮物を効果的に除去するという目的を、被加熱流体のための導管に沿って流れる蒸気そのものの流れを利用して実現させ、それにより装置の高い機能性を確保することができる、ということが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0051】
1 第1の中空円筒体
2 螺旋状に巻かれている管状区分
2a ギャップ
3 第2の中空円筒体
4 端
5 フランジ様の閉鎖用の壁
6 孔
7 蒸気源との接続部
8 端
9 シール
10 ねじ
10a 孔
11 座金
12 縁
13 端
14 シャンク
15 環状シール
16 フランジ
17 環状シール
18 端
19 開口部
20 出口接続部
21 半径方向通路
21a 閉じたままにされる通路
21b 開いている通路
21b1、21b2、21b3、21b4 半径方向開口部の群
22 通路
23 シール
24、25 端
26 開口部
27 シール
28 貫通孔
29 第3の中空円筒体
30 閉鎖端
31 開口端
32 Oリング(半径方向シール)
33 異なった第3の円筒形管状体
34 端
34a 底
35b1、35b2、35b3、35b4 窓
36 番号付きリングナット
A、B、C、D 通路21bの螺旋配列
F 滑動方向
図1
図2
図3
図4