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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】サービス提供用通信システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20220309BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
G06Q50/16
H04M9/00 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017169830
(22)【出願日】2017-09-04
(65)【公開番号】P2019046265
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500487882
【氏名又は名称】株式会社ファミリーネット・ジャパン
(73)【特許権者】
【識別番号】502031751
【氏名又は名称】大和ライフネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】金城 智杓
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】中谷 浩志
(72)【発明者】
【氏名】千谷 卓朗
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-366841(JP,A)
【文献】特開2006-031619(JP,A)
【文献】特開2006-238304(JP,A)
【文献】特開2001-118170(JP,A)
【文献】特開2000-259970(JP,A)
【文献】特開2002-032466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0100894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス提供会社が管理するサーバと、
予め指定された建物内に設置され、該建物に居住又は滞在する利用者が、前記サービス提供会社が提供する生活関連事項に関するコンシェルジュサービスの利用を申し込む際に利用する専用端末と、
前記利用者に関する登録情報を記憶する記憶装置と、を備え、
前記コンシェルジュサービスの利用は、前記専用端末を通じて申し込み可能であり、
前記記憶装置は、前記サービス提供会社が提供するのサービスを申し込んだ前記利用者であるかどうかを識別するための識別情報を含む前記登録情報を記憶しており、
前記サーバは、
前記コンシェルジュサービスの利用を申し込むために用いられた前記専用端末を特定するための特定データを取得する処理と、
前記識別情報を含む前記登録情報を前記記憶装置から読み出す処理と、
取得した前記特定データから特定される前記専用端末を用いて前記コンシェルジュサービスの利用を申し込んだ前記利用者が、前記のサービスの利用を申し込んだ者であるかどうかを、読み出した前記登録情報中の前記識別情報から判定する処理と、
取得した前記特定データから特定される前記専用端末を用いて前記コンシェルジュサービスの利用を申し込んだ前記利用者が、前記のサービスの利用を申し込んだ者であると判定したとき、前記コンシェルジュサービスの利用を許可するためのサービス利用許可データを、取得した前記特定データから特定される前記専用端末に向けて送信する処理と、を実行することを特徴とするサービス提供用通信システム。
【請求項2】
前記専用端末は、前記建物である集合住宅の各住戸に設置されたインターフォン付きの端末であることを特徴とする請求項1に記載のサービス提供用通信システム。
【請求項3】
前記記憶装置は、前記利用者が利用した前記コンシェルジュサービスの内容及び各内容の前記コンシェルジュサービスの利用回数を示すサービス利用履歴情報を、前記利用者別に記憶し、
前記サーバは、前記記憶装置から前記サービス利用履歴情報を読み出すことが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のサービス提供用通信システム。
【請求項4】
前記のサービスは、前記サービス提供会社がプロバイダとして、前記利用者が有するユーザ端末をインターネットに接続するための電気通信サービスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサービス提供用通信システム。
【請求項5】
前記専用端末と通信可能な制御装置を更に備え、
前記利用者が前記専用端末を通じて前記コンシェルジュサービスの利用を申し込む際、前記専用端末が前記制御装置と通信し、
前記制御装置が、前記コンシェルジュサービスの利用を申し込むために用いられた前記専用端末を特定するための前記特定データを生成し、
前記サーバは、前記特定データを取得する処理では、前記制御装置から前記特定データを取得し、前記サービス利用許可データを送信する処理では、前記制御装置を経由して前記専用端末に向けて前記サービス利用許可データを送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のサービス提供用通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス提供会社がサービスを提供する際に用いられるサービス提供用通信システムに係り、特に、予め指定された建物の利用者に対して上記のサービスを提供するためのサービス提供用通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サービス提供会社が通信システムを通じてサービスを提供することは、既に知られている。その一例としては、特許文献1に記載の居住不動産コンシェルジュサービスシステムが挙げられる。当該システムは、マンションの住民に対して、生活関連事項に関するサービス(例えば、レンタカー予約、衣類クリーニングの取次、及び宅配物や郵便物の配達取次等であり、以下、「コンシェルジュサービス」という)を提供するために構築された通信システムである。このシステムでは、マンションの住民がPCや携帯電話を利用してコンシェルジュサービスの利用を申し込み、管理サーバ装置が当該申し込みを受け付ける。そして、管理サーバ装置は、申し込みに係るサービスの実施者(サービス実施業者)に対してサービスの実施を依頼するための処理、具体的にはサービス実施業者のコンピュータ端末に対して依頼メールを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-198375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したコンシェルジュサービスを利用する権限については、特定の者に限定して認められる場合がある。具体的に説明すると、コンシェルジュサービスの提供会社と提携している不動産会社や建設会社等が管理する建物の利用者のみが、コンシェルジュサービスを利用し得るようなスキームが考えられる。
【0005】
また、上記のスキームにおいて更なる制限を設けてもよく、例えば、サービス提供会社が提供する他のサービスを申し込んだ者に対してのみ、コンシェルジュサービスの利用を認めることが考えられる。このようにすれば、サービス提供会社が提供する他のサービスを申し込んだ者をより優遇することが可能となる。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サービス提供会社が提供するサービスを、所定の建物の利用者で、且つ、サービス提供会社が提供する他のサービスを申し込んだ者に限定して利用させることを実現するための通信システムを構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明のサービス提供用通信システムによれば、サービス提供会社が管理するサーバと、予め指定された建物内に設置され、該建物に居住又は滞在する利用者が、前記サービス提供会社が提供する生活関連事項に関するコンシェルジュサービスの利用を申し込む際に利用する専用端末と、前記利用者に関する登録情報を記憶する記憶装置と、を備え、前コンシェルジュサービスの利用は、前記専用端末を通じて申し込み可能であり、前記記憶装置は、前記サービス提供会社が提供するのサービスを申し込んだ前記利用者であるかどうかを識別するための識別情報を含む前記登録情報を記憶しており、前記サーバは、前コンシェルジュサービスの利用を申し込むために用いられた前記専用端末を特定するための特定データを取得する処理と、前記識別情報を含む前記登録情報を前記記憶装置から読み出す処理と、取得した前記特定データから特定される前記専用端末を用いて前記コンシェルジュサービスの利用を申し込んだ前記利用者が、前記のサービスの利用を申し込んだ者であるかどうかを、読み出した前記登録情報中の前記識別情報から判定する処理と、取得した前記特定データから特定される前記専用端末を用いて前記コンシェルジュサービスの利用を申し込んだ前記利用者が、前記のサービスの利用を申し込んだ者であると判定したとき、前記コンシェルジュサービスの利用を許可するためのサービス利用許可データを、取得した前記特定データから特定される前記専用端末に向けて送信する処理と、を実行することにより解決される。
【0008】
上記のように構成された本発明のサービス提供用通信システムでは、予め指定された建物内に設置された専用端末を通じて、サービス提供会社が提供するコンシェルジュサービス(第一のサービスの利用を申し込める。さらに、上記のシステムによれば、サービス提供会社が提供する他のサービス(第二のサービス)を申し込んだ者に限定して、第一のサービスの利用が許可される。具体的に説明すると、予め指定された建物の利用者に関する登録情報を読み出し、第一のサービスの利用を申し込んだ建物の利用者が第二のサービスの利用を申し込んでいるかどうかを判定する。そして、第二のサービスの利用を申し込んでいる者であるという判定結果が得られた場合、その者が用いる専用端末に向けて、第一のサービスの利用を許可するためのデータ(サービス利用許可データ)が送信される。
以上の構成によれば、第一のサービスを、予め指定された建物の利用者で、且つ、サービス提供会社が提供する第二のサービスを申し込んだ者に限定して利用させることが可能となる。
【0009】
また、上記の構成において、前記専用端末は、前記建物である集合住宅の各住戸に設置されたインターフォン付きの端末であってもよい。
以上の構成では、集合住宅の各住戸の住民が、第一のサービスの利用を申し込む際に、自己の住戸に設置されたインターフォン付きの端末を用いる。これにより、第一のサービスの利用を集合住宅の住民に限定することが、より容易に実現できる。
また、第一のサービスの利用を申し込むために用いられる専用端末がインターフォンとして兼用されるため、インターフォンの設置スペースを専用端末の設置スペースとして利用することが可能である。
【0010】
また、上記の構成において、前記記憶装置は、前記利用者が利用した前記コンシェルジュサービスの内容及び各内容の前記コンシェルジュサービスの利用回数を示すサービス利用履歴情報を、前記利用者別に記憶し、前記サーバは、前記記憶装置から前記サービス利用履歴情報を読み出すことが可能であるとよい。
以上の構成では、サーバが、記憶部に記憶されたサービス利用履歴情報を読み出すことが可能である。これにより、過去に利用された第一のサービスの内容と利用回数を、利用者毎に特定することが可能となる。この結果、サーバを管理するサービス提供会社は、第一のサービスの利用状況を把握することが可能となる。
【0011】
また、上記の構成において、前記のサービスは、前記サービス提供会社がプロバイダとして、前記利用者が有するユーザ端末をインターネットに接続するための電気通信サービスであってもよい。
上記の構成では、第二のサービスであるインターネット接続サービスを申し込んだ者に限定して、第一のサービスの利用を許可することが可能となる。
【0012】
また、上記の構成において、前記専用端末と通信可能な制御装置を更に備え、前記利用者が前記専用端末を通じて前記コンシェルジュサービスの利用を申し込む際、前記専用端末が前記制御装置と通信し、前記制御装置が、前記コンシェルジュサービスの利用を申し込むために用いられた前記専用端末を特定するための前記特定データを生成し、前記サーバは、前記特定データを取得する処理では、前記制御装置から前記特定データを取得し、前記サービス利用許可データを送信する処理では、前記制御装置を経由して前記専用端末に向けて前記サービス利用許可データを送信してもよい。
上記の構成では、利用者が専用端末を通じて第一のサービスの利用を申し込む際、専用端末が制御装置と通信する。制御装置は、第一のサービスの利用を申し込むために用いられた専用端末を特定するための特定データを生成し、サーバに向けて特定データを送信する。これにより、サーバは、専用端末から取得した特定データから、第一のサービスの利用を申し込むために用いられた専用端末(すなわち、第一のサービスの利用申し込みの発信元)を適切に特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のサービス提供用通信システムによれば、サービス提供会社が提供するサービスを、所定の建物の利用者で、且つ、サービス提供会社が提供する他のサービスを申し込んだ者に限定して利用させることが可能になる。これにより、所定の建物の利用者で、且つ、他のサービスの申し込んだ者を優遇し、各サービスへの申し込みの促進を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るサービス提供用通信システムの構成を示す図である。
図2】インターフォン付きの専用端末を示す図である。
図3】登録情報についての説明図である。
図4】サービス利用履歴情報についての説明図である。
図5】サービス申し込みの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係るサービス提供用通信システムについて図面を参照しながら説明する。先ず、本実施形態に係るサービス提供用通信システム(以下、本システムS)について、図1を参照しながら、その用途を説明する。図1は、本システムSの構成を示すブロック図である。
【0016】
本システムSは、マンション管理会社P1、回線提供会社P2及びサービス提供会社P3の3社によって運用される。そして、マンション管理会社P1が管理するマンションMに住む各住戸の住民は、本システムSを通じて、サービス提供会社P3が提供するコンシェルジュサービスの利用を申し込むことが可能である。ここで、マンション管理会社P1が管理するマンションMは、コンシェルジュサービスの利用が認められる対象物件として予め指定された建物であり、当該マンションMの各住戸の住民は、マンション(建物)の利用者に該当する。
【0017】
サービス提供会社P3が提供するコンシェルジュサービスについて説明すると、コンシェルジュサービスは、本発明の第一のサービスに相当し、マンションMの各住戸の住民の生活を支援するために提供されるサービスであり、一例としては以下のものが挙げられる。
・マンションM内の共用施設の予約
・室内の修繕や補修、リフォームに関する相談や施工の手配
・室内クリーニングの手配
・セキュリティに関する相談や対策の手配
・ガス栓の閉め忘れや鍵の掛け忘れ等、緊急時対応の手配
・衣類クリーニングや洗車の手配
・タクシー等の配車の手配
なお、上記以外のサービスがコンシェルジュサービスに含まれていてもよい。
【0018】
上記のコンシェルジュサービスは、マンション管理会社P1が管理するマンションMの各住戸の住民に限って利用することが可能である。具体的に説明すると、マンションMの各住戸には、図1に示すように、コンシェルジュサービスを申し込むための専用端末1が設置されている。各住戸の住民は、コンシェルジュサービスの利用を申し込む際には、専用端末1を通じて申し込む必要がある。換言すると、コンシェルジュサービスの利用は、専用端末1を通じてのみ申し込み可能である。
【0019】
さらに、本実施形態では、サービス提供会社P3が提供する他のサービスを申し込んでいる者に対してのみ、コンシェルジュサービスの利用が認められている。具体的に説明すると、サービス提供会社P3は、契約者が有するユーザ端末をインターネットに接続するための電気通信サービスを提供している。つまり、サービス提供会社P3は、プロバイダ(厳密には、インターネットサービスプロバイダ)としての事業を行っており、第二のサービスとして、インターネット接続サービスを提供している。
【0020】
以上のように、本実施形態では、マンション管理会社P1が管理するマンションMの各住戸の住民であり、且つ、サービス提供会社P3が提供するインターネット接続サービスを申し込んだ者(換言すると、サービス提供会社P3とプロバイダ契約を交わした住民)に限り、コンシェルジュサービスを利用することが可能である。
【0021】
なお、サービス提供会社P3とプロバイダ契約を交わした住民は、自己のユーザ端末(例えば、宅内に設置されたパソコン2)をインターネットに接続する際、回線提供会社P2が提供するネット回線を通じてインターネットに接続することになっている。
【0022】
次に、本システムSの全体構成について説明する。本システムSは、図1に示すように、マンションMの各住戸の専用端末1と、マンションMの管理室に設置された制御装置10と、サービス提供会社P3が管理するサーバ20及びデータベース30と、によって構築されている。
【0023】
専用端末1は、インターフォン付きの操作パネルであり、マンション管理会社P1が管理するマンションMの各住戸内にのみ設置されている。各住戸の住民は、図2に図示の専用端末1にて所定の入力操作を行ってコンシェルジュサービスの利用を申し込む。図2は、専用端末1の外観を示す図である。
【0024】
そして、サービス利用の申し込み操作が完了すると、専用端末1は、その操作内容に応じたデータを生成し、制御装置10に向けて当該データを送信する。ここで、専用端末1が送信する上記のデータは、サービス利用の申し込み内容、及び、データの送信元である専用端末1を示すデータであり、以下、「コンシェルジュサービス依頼用のデータ」と呼ぶこととする。
【0025】
制御装置10は、マンション管理会社P1が管理するマンションMの管理室に設置された通信機器であり、マンションM内に構築された通信網を通じて、マンションMの各住戸の専用端末1と通信可能である。そして、マンションM内のある住戸の住民が専用端末1を通じてコンシェルジュサービスの利用を申し込むと、専用端末1が制御装置10との通信を開始する。
【0026】
具体的に説明すると、専用端末1がコンシェルジュサービス依頼用のデータを制御装置10に向けて送信し、制御装置10が当該データを受信する。制御装置10は、受信したデータから、サービス利用の申し込み内容を特定すると共に、データの送信元である専用端末1を特定する。さらに、制御装置10は、特定した専用端末1から、当該専用端末1を所有する住民(すなわち、コンシェルジュサービスの利用申し込み者)のID番号を割り出す。詳しく説明すると、制御装置10は、特定した専用端末1の情報(機器情報)から当該専用端末1を所有する住民のID番号へ変換するテーブル(変換テーブル)を記憶しており、この変換テーブルを参照して、コンシェルジュサービスを依頼した住民(サービス依頼元)のID番号を割り出す。
【0027】
その後、制御装置10は、コンシェルジュサービスの依頼内容やサービス依頼元のID番号を示すデータを生成し、サーバ20に向けて当該データを送信する。ここで、制御装置10がサーバ20に向けて送信する上記のデータは、コンシェルジュサービスの利用を申し込むために用いられた専用端末1を特定するための特定データに相当し、以下、「コンシェルジュサービス依頼伝達用のデータ」と呼ぶこととする。
【0028】
サーバ20は、サービス提供会社P3が管理するサーバコンピュータであり、インターネットあるいはVPN(Virtual Private Network)を通じて制御装置10と通信可能である。具体的に説明すると、本実施形態において、制御装置10は、外部機器と通信するための回線を備えており、不図示の外線アダプターを通じて、外部機器であるサーバ20と通信することが可能である。
【0029】
サーバ20は、一般的なサーバコンピュータと同様のハードウェア構成となっている。また、サーバ20には、サービス提供用のデータ処理を実行するためのプログラムがインストールされている。このプログラムが読み取られて各種のデータ処理が実行されることにより、サーバ20は、その機能を発揮する。そして、サーバ20の機能により、コンシェルジュサービスの利用を、マンション管理会社P1が管理するマンションMの住民であって、且つ、サービス提供会社P3が提供するインターネット接続サービスの申し込み者に限定して許可することが可能となる。
なお、サーバ20が実行する各種のデータ処理については、後に詳述する。
【0030】
データベース30は、記憶装置に相当し、マンション管理会社P1が管理するマンションMの住民に関する登録情報を記憶している。より詳しく説明すると、データベース30には、図3に図示のテーブルが記憶されている。図3は、マンション管理会社P1が管理するマンションMの住民に関する登録情報を収録したテーブルを示す図である。
【0031】
図3に図示のテーブルには、マンション管理会社P1が管理するマンションMの各住戸の住民のうち、サービス提供会社P3が提供するインターネット接続サービスを申し込んだ者(以下、プロバイダ契約者)に関する登録情報が収録されている。具体的には、プロバイダ契約者の氏名、住所、ID番号及び契約期間(インタネット接続サービスの利用可能期間)が含まれている。これらの情報は、コンシェルジュサービスの利用申し込み者がプロバイダ契約者であるかどうかを識別するための識別情報に相当する。
なお、本実施形態において、ID番号は、マンション管理会社P1が管理するマンションMの各住戸の住民に対して付与される番号であり、各住民固有の番号である。
ちなみに、プロバイダ契約者に関する登録情報については、図3に図示した情報以外の情報が含まれていてもよい。
【0032】
また、データベース30は、コンシェルジュサービスの利用履歴に関する情報としてのサービス利用履歴情報を更に記憶している。より詳しく説明すると、データベース30には、図4に図示のテーブルが記憶されている。図4は、サービス利用履歴情報を収録したテーブルを示す図である。
【0033】
図4に図示のテーブルには、テーブル利用履歴情報として、マンションMの住民がコンシェルジュサービスを実際に利用したときのサービス内容及び各内容のサービス利用回数を示す情報が収録されている。なお、図4に示すように、サービス利用履歴情報を収録したテーブルは、コンシェルジュサービスを利用した住民別にデータベース30に記憶されている。
【0034】
以上のように登録情報やサービス利用履歴情報を記憶しているデータベース30に、サーバ20は、アクセスすることが可能である。すなわち、サーバ20は、データベース30から登録情報やサービス利用履歴情報を読み出すことが可能である。また、サーバ20は、データベース30から読み出したサービス利用履歴情報を、回線提供会社P2が管理するコンピュータ40に対して配信することが可能である。これにより、サービス提供会社P3及び回線提供会社P2は、マンションMの住民が利用してきたコンシェルジュサービスの内容とその利用回数を共有することが可能となる。
【0035】
次に、マンション管理会社P1が管理するマンションMの住民がコンシェルジュサービスの利用を申し込むときの流れについて、図5を参照しながら説明する。図5は、マンションMの住民がコンシェルジュサービスの利用を申し込むときの流れを示す図である。
【0036】
マンションMの住民がコンシェルジュサービスの利用を申し込む際には、先ず、当該住民が自宅に設置されている専用端末1を操作して、コンシェルジュサービスの利用を申し込む。具体的には、専用端末1を通じて、要求するサービスの内容、サービス利用日時及びサービス利用人数等を入力する。専用端末1は、かかる入力操作を受け付ける(S001)。
【0037】
専用端末1は、受け付けた操作の内容に応じてコンシェルジュサービス依頼用のデータを生成し、当該データを制御装置10に向けて送信する(S002)。コンシェルジュサービス依頼用のデータには、サービス利用の申し込み内容を示すデータ、及び、データ送信元である専用端末1を示すデータが組み込まれている。なお、コンシェルジュサービス依頼用のデータの送信元である専用端末1については、以下、「送信元端末」と呼ぶこととする。
【0038】
送信元端末から送信されたコンシェルジュサービス依頼用のデータは、制御装置10によって受信される(S003)。制御装置10は、その後、受信したコンシェルジュサービス依頼用のデータを解析して送信元端末を特定し、さらに、特定した送信元端末からコンシェルジュサービスを依頼した住民(サービス依頼元)のID番号を割り出す(S004)。そして、制御装置10は、コンシェルジュサービスの依頼内容やサービス依頼元のID番号を示すデータ、すなわち、コンシェルジュサービス依頼伝達用のデータを生成し、当該データをサーバ20に向けて送信する(S005)。
【0039】
サーバ20は、コンシェルジュサービス依頼伝達用のデータを制御装置10から受信する(S006)。ここで、コンシェルジュサービス依頼伝達用のデータは、前述したように、コンシェルジュサービスの利用を申し込むために用いられた専用端末1(すなわち、送信元端末)を特定するための特定データである。したがって、コンシェルジュサービス依頼伝達用のデータを制御装置10から受信するステップS006は、サーバ20が制御装置10から特定データを取得する処理に該当する。
【0040】
その後、サーバ20は、受信したコンシェルジュサービス依頼伝達用のデータを解析し、当該データからサービス依頼元のID番号を特定する処理を実行する(S007)。さらに、サーバ20は、データベース30にアクセスしてプロバイダ契約者の登録情報を読み出す処理を実行する(S008)。
【0041】
その後、サーバ20は、読み出したプロバイダ契約者の登録情報中の各収録情報(識別情報)から、コンシェルジュサービスの依頼元である住民がプロバイダ契約者(つまり、サービス提供会社P3が提供するインターネット接続サービスを申し込んだ者)であるかどうかを判定する処理を実行する(S009)。
【0042】
上記の判定処理について説明すると、サーバ20は、先ず、ステップS007にて特定したサービス依頼元のID番号が、データベース30に記憶されたプロバイダ契約者のID番号の中に含まれているかどうかを判定する。そして、サービス依頼元のID番号がプロバイダ契約者のID番号の中に含まれていると判定したとき、サーバ20は、当該サービス依頼元のプロバイダ契約期間(サービス提供会社P3が提供するインターネット接続用サービスの利用可能期間)が満了していないかどうかを判定する。
【0043】
サービス依頼元のプロバイダ契約期間が満了していないと判定したとき、サーバ20は、サービス依頼元の住民がプロバイダ契約者であると判定する。一方、サービス依頼元のID番号がデータベース30に記憶されたプロバイダ契約者の登録情報中に含まれていない場合、あるいは、サービス依頼元のプロバイダ契約期間が既に満了している場合、サーバ20は、サービス依頼元の住民がプロバイダ契約者ではないと判定する。
【0044】
判定処理においてサービス依頼元の住民がプロバイダ契約者であると判定したとき、サーバ20は、サービス利用許可データを生成する処理を実行する(S010)。そして、サーバ20は、生成したサービス利用許可データを、サービス依頼元の住民がコンシェルジュサービスの利用を申し込む際に用いた専用端末1(すなわち、送信元端末)に向けて送信する処理を実行する(S010)。ここで、サービス利用許可データとは、コンシェルジュサービスの利用を許可するためのデータであり、例えば、サービス利用の申し込みが許可された旨を送信元端末のディスプレイに表示させるためのデータである。
【0045】
なお、本実施形態において、サービス利用許可データは、制御装置10に一旦受け取られた後、制御装置10から送信元端末に向けて送信される。このように本実施形態では、サーバ20がサービス利用許可データを送信する際、制御装置10を経由して送信元端末に向けてサービス利用許可データを送信することになっている。
【0046】
一方、判定処理においてサービス依頼元の住民がプロバイダ契約者ではないと判定したとき、サーバ20は、サービス利用不能データを生成する処理を実行する(S011)。そして、サーバ20は、生成したサービス利用不能データを送信元端末に向けて送信する処理を実行する(S011)。ここで、サービス利用不能データとは、コンシェルジュサービスの利用を許可しないときに送信されるデータであり、例えば、サービス利用の申し込みが許可されなかった旨を送信元端末のディスプレイに表示させるためのデータである。
【0047】
なお、本実施形態において、サービス利用不能データは、サービス利用許可データと同様、制御装置10を経由して送信元端末に向けて送信されることになっている。
【0048】
そして、サービス利用許可データが送信された場合には、コンシェルジュサービスの利用の申し込みがサービス提供会社P3側で受理され、サービス実施のために各種の調整や手配が進められることになる。
一方、サービス利用不能データが送信された場合には、コンシェルジュサービスの利用の申し込みが不受理となる。
【0049】
以上のように本実施形態では、マンションMの住民がコンシェルジュサービスの利用を申し込んだとき、その住民(サービス依頼元の住民)がプロバイダ契約者であるかどうかを判定する。そして、プロバイダ契約者であるという判定結果が得られた場合にのみ、コンシェルジュサービスの利用を許可する(厳密には、サービス利用許可データを送信する)。このような構成であれば、サービス提供会社P3が提供するコンシェルジュサービスを、マンション管理会社P1が管理するマンションMの各住戸の住民であって、且つ、サービス提供会社P3が提供する他のサービス(具体的には、インターネット接続用サービス)を申し込んだ者に限定して利用させることが可能となる。
【0050】
以上までに本発明のサービス提供用通信装置について一例を挙げて説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、本発明には、当然ながらその等価物が含まれ得る。
【0051】
また、上記の実施形態では、インターフォン付きの専用端末1を用いてコンシェルジュサービスの利用を申し込むことになっており、具体的には、専用端末1にてサービス申し込み用の入力操作を行うこととした。ただし、これに限定されるものではなく、音声によるサービス申し込みを行い、専用端末1が当該音声情報を伝送する形式であってもよい。かかる実施形態(変形例)について以下に詳しく説明する。
【0052】
変形例では、専用端末1に搭載されたインターフォンを利用して、サービス提供会社P3の従業員又はサービス提供会社P3と提携しているコールセンターの従業員と通話することが可能である。そして、マンション管理会社P1が管理しているマンションMの各戸の住民は、専用端末1のインターフォンを通じて上記の従業員と通話し、コンシェルジュサービスの利用を申し込む。このとき、通話内容(すなわち、サービス依頼内容)を示す情報が、その発信元である専用端末1を特定するための情報と共に伝送される。
【0053】
伝送された情報は、制御装置10によって取得される。そして、制御装置10は、取得した情報から、当該情報の発信元である専用端末1を所有している住民(すなわち、サービス依頼元)のID番号を割り出し、割り出したID番号を示すデータをサーバ20に向けて送信する。サーバ20は、制御装置10から上記のデータを受信すると、当該データからサービス依頼元のID番号を特定する処理を実行し、さらに、特定したID番号から識別される住民がプロバイダ契約者であるかどうかを判定する処理を実行する。以降の手順については、上述した実施形態と略同様であるため、説明を省略することとする。
【0054】
また、上記の実施形態では、サービス提供会社P3が提供するコンシェルジュサービスを利用するための条件として、サービス提供会社P3が提供するインターネット接続用サービスを申し込んでいる必要があることとした。ただし、コンシェルジュサービスを利用する上で申し込む必要がある他のサービスについては、インターネット接続用サービスに限定されるものではなく、例えば、サービス提供会社P3がガスや電気等のエネルギー供給会社である場合には、エネルギー利用サービスを申し込んでいることをコンシェルジュサービスの利用条件としてもよい。また、サービス提供会社P3が衣類クリーニング等のサービスを提供している場合には、当該サービスを申し込んでいることをコンシェルジュサービスの利用条件としてもよい。
【0055】
また、上記の実施形態では、マンション管理会社P1が管理しているマンションMの住民がコンシェルジュサービスを利用するケースを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。そして、本発明は、マンションM以外の建物、例えば、所定のエリアに建てられた戸建住宅に住む住民がコンシェルジュサービスを利用するケースにも適用可能であり、あるいは、病院等の施設に滞在(入院)している者がコンシェルジュサービスを利用するケースにも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 専用端末
2 パソコン(ユーザ端末)
10 制御装置
20 サーバ
30 データベース(記憶装置)
40 コンピュータ
M マンション(建物)
P1 マンション管理会社
P2 回線提供会社
P3 サービス提供会社
S 本システム(サービス提供用通信システム)
図1
図2
図3
図4
図5