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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
A63F7/02 315A
A63F7/02 311A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017177205
(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公開番号】P2019051040
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 豪
(72)【発明者】
【氏名】折原 健介
【審査官】中野 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-223529(JP,A)
【文献】特開2015-070902(JP,A)
【文献】特開2003-260248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者の操作に応じた強度で遊技球を発射させる発射手段と、
前記発射手段によって所定の強度未満で発射された遊技球が流下可能な第一の遊技領域と、前記発射手段によって、第1の発射強度及び当該第1の発射強度よりも強い第2の発射強度を含む所定の強度以上で発射された遊技球が流下可能な第二の遊技領域とを含む遊技領域と、
前記第1の発射強度で発射されて前記第二の遊技領域を流下する遊技球が流下可能な第1の流下通路及び前記第2の発射強度で発射されて前記第二の遊技領域を流下する遊技球が流下可能な第2の流下通路と、
前記第1の流下通路を流下する遊技球及び前記第2の流下通路を流下する遊技球が通過可能な通過領域と、
前記第1の流下通路を流下する遊技球及び前記第2の流下通路を流下する遊技球が入球可能であって、前記通過領域を遊技球が通過することに基づいて遊技球の入球の難易度が変化可能な入賞口と、を備え、
前記第1の流下通路を流下する遊技球が前記入賞口へ入球する難易度と、前記第2の流下通路を流下する遊技球が前記入賞口へ入球する難易度とが異なることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、詳しくは、遊技球が流下可能な遊技領域が設けられた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、遊技領域に設けられた始動入賞口に遊技球が入球することに基づいて大当たりの抽選が行われ、大当たりに当選した場合に、大入賞口が開放されるラウンド遊技が複数回行われる特別遊技を実行可能なものや、始動入賞口に遊技球が入球することで大入賞口が開放し、開放中の大入賞口に入球した遊技球が所定の進入領域に進入することで、上述のラウンド遊技が複数回行われる特別遊技を実行可能なもの等が知られている。
これらの遊技機においては、遊技に対する遊技者の興趣の向上を図るために、機種ごとに、様々な遊技領域の構成(遊技球が入球可能な各種入賞口や遊技球が通過可能なゲートの設置位置、遊技球が流下する流下通路の構造等)が採用されている。たとえば、遊技領域の右側に、ブロック部材を挟んで並設される2つの流下通路を設け、遊技球の発射強度に応じて遊技球がいずれかの流下通路を流下可能となる遊技機が考案されている(特許文献1参照)。この遊技機によれば、遊技領域の右側へ向けて打ち出された遊技球の流下経路のバリエーションが増え、遊技領域の右側へ向けて遊技球を打ち出す場合に、いずれの流下通路を狙って遊技球を打ち出すかという点について遊技者に関心を抱かせることができ、ひいては、遊技球の流下経路に対する遊技者の興趣を高めることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-212557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような遊技機は、遊技球がいずれの流下通路を流下した場合であっても、遊技内容や遊技性能に特段の変化が生じるものではないため、遊技者がいずれの流下通路を狙って遊技球を打ち出すか、すなわち、遊技球の発射強度を調節して遊技球が流下する経路を選択することについて、遊技者に対して十分に関心を抱かせることができておらず、遊技者の興趣を低下させてしまうとのおそれが生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、上述した事情によりなされたものであり、遊技球が流下する経路を選択することに対する遊技者の関心を高めるとともに、遊技者の興趣が低下するのを防止可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
以下、本発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。なお、下記の符号及び記載は、本発明の構成に相当する発明の実施の形態における構成の符号及び名称を示したものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
(1)本発明は、遊技者の操作に応じた強度で遊技球を発射させる発射手段(発射装置)と、前記発射手段によって所定の強度未満で発射された遊技球が流下可能な第一の遊技領域と、前記発射手段によって、第1の発射強度及び当該第1の発射強度よりも強い第2の発射強度を含む所定の強度以上で発射された遊技球が流下可能な第二の遊技領域とを含む遊技領域と、前記第1の発射強度で発射されて前記第二の遊技領域を流下する遊技球が流下可能な第1の流下通路(第1流下通路51)及び前記第2の発射強度で発射されて前記第二の遊技領域を流下する遊技球が流下可能な第2の流下通路(第2流下通路52)と、前記第1の流下通路を流下する遊技球及び前記第2の流下通路を流下する遊技球が通過可能な通過領域(ゲート20)と、前記第1の流下通路を流下する遊技球及び前記第2の流下通路を流下する遊技球が入球可能であって、前記通過領域を遊技球が通過することに基づいて遊技球の入球の難易度が変化可能な入賞口(第2始動入賞口16)と、を備え、前記第1の流下通路を流下する遊技球が前記入賞口へ入球する難易度と、前記第2の流下通路を流下する遊技球が前記入賞口へ入球する難易度とが異なることを特徴とする遊技機(パチンコ機P)である。
【0008】
本発明に係る遊技機によれば、遊技球が流下する経路(第1の流下通路、第2の流下通路)によって提供される遊技性能が異なるため、遊技球が流下する経路を選択することに対する遊技者の関心を高めることができ、遊技者の興趣が低下するのを防止することができるのである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遊技球が流下する経路を選択することに対する遊技者の関心を高めるとともに、遊技者の興趣が低下するのを防止可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】パチンコ機の外観斜視図である。
図2】パチンコ機の前扉を開けた状態の外観斜視図である。
図3】パチンコ機の遊技盤の正面概略図である。
図4】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
図5】パチンコ機の主制御基板におけるメイン処理の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(パチンコ機Pの外部構成)
本形態に係る遊技機は、遊技媒体として遊技球を使用するパチンコ機Pである。特に図示していないが、パチンコ機Pが設置される遊技場においては、島と呼ばれる遊技機の設置領域に、複数台のパチンコ機Pが並べて配設されるとともに、遊技球を貸し出すための遊技球貸出装置が各パチンコ機Pに隣接して設置される。また、各パチンコ機Pは対応する遊技球貸出装置Rに接続されている。
遊技球貸出装置Rは、紙幣の投入や遊技球の貸し出しに必要な価値情報が記憶される記憶媒体(カード)の挿入が可能となっている。そして、遊技球貸出装置Rに紙幣を投入(又は、カードを挿入)した上で、パチンコ機Pに対して所定の操作を行うことにより、遊技球貸出装置Rから遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。
【0013】
本形態に係るパチンコ機Pは、図1又は図2に示すように、島に固定される四角形状の枠体であって、中空部(特に図示しておらず)を有する機枠1と、この機枠1にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられる四角形状の枠体であって、中空部(特に図示しておらず)を有する本体枠2と、この本体枠2にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられ、正面に開口部(特に図示しておらず)が形成された前扉3と、を備えている。
【0014】
機枠1の左下部には、図2に示すように、音声出力装置10としてのスピーカが設けられている。また、本体枠2の中空部には、遊技領域12を形成するための遊技盤11が収容されている。また、前扉3には、開口部を覆う透明板4と、透明板4の下方に位置し遊技球を受容可能な上皿6及び受皿7と、受皿7の右方に取り付けられ遊技球の発射操作を行うための操作ハンドル5と、透明板4の左右上方にそれぞれ1個ずつ取り付けられた音声出力装置10としてのスピーカと、が設けられている。
【0015】
このパチンコ機Pでは、機枠1に対して本体枠2を閉じ、さらに、前扉3を閉じると、遊技盤11の前方に間隙を挟んで透明板4が位置することとなる。これにより、透明板4を介して、後方に位置する遊技盤11を視認することができるようになっている。
【0016】
また、上皿6には、遊技球貸出装置Rにより貸し出される遊技球や、パチンコ機Pから払い出される賞球が導かれるようになっている。上皿6は、所定量の遊技球を受容可能となっているが、この上皿6が遊技球で一杯になると、その後に貸し出されたり、払い出されたりする遊技球は受皿7に導かれるようになっている。また、受皿7の底面には、特に図示していないが、貯留されている遊技球を排出するための排出孔と、排出孔を開閉可能な開閉板と、が設けられている。常態において、排出孔は開閉板により閉じられているものの、開閉板と一体に取り付けられた開閉レバー8(図1参照)を横方向に移動させることで、開閉板も同方向に移動し、排出孔が開放される。これにより、遊技球を排出孔から落下させて、受皿7の外に排出することができるようになっている。
【0017】
また、操作ハンドル5は、遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように形成されている。そして、遊技者が操作ハンドル5を回転操作すると、上皿6に受容されている遊技球が発射装置(特に図示しておらず)に送られ、操作ハンドル5の回転角度に応じた強度で、発射装置によって遊技球が遊技領域12へ向けて発射される。このように発射された遊技球は、遊技盤11に固定された一対のレール13a、13bに案内されて上昇し、遊技領域12に到達する。
【0018】
ここで、遊技領域12は、機枠1に対し本体枠2及び前扉3を閉じた状態で遊技盤11と透明板4との間に形成される空間のうち、遊技盤11に固定された一対のレール13a、13bにより略円形状に仕切られた部分であって、遊技球が流下可能な領域である。
この遊技領域12は、図3に示すように、パチンコ機Pに対向する遊技者から見て左側の領域である第1遊技領域12aと、パチンコ機Pに対向する遊技者から見て右側の領域である第2遊技領域12bとから構成されている。これら2つの遊技領域12は、発射装置の発射強度により、遊技球の進入可能性が異なるようになっている。具体的には、発射装置の発射強度が所定の強度未満(発射装置により発射される遊技球が遊技領域12の最高地点に到達しない程度の強度)の場合には、遊技球は第1遊技領域12aに進入する。これに対して、発射装置の発射強度が所定の強度以上(発射装置により発射される遊技球が遊技領域12の最高地点に到達可能な強度)の場合には、遊技球は第2遊技領域12bに進入する。
【0019】
また、第2遊技領域12bには、図3に示すように、発射装置の発射強度に応じて遊技球が流下可能となる第1流下通路51及び第2流下通路52が構成されている。具体的には、第2遊技領域12bには、多数の釘及び上下方向に延びる仕切り壁50が配置されており、仕切り壁50を挟んで左側に第1流下通路51が形成され、右側に第2流下通路52が形成されている。
【0020】
発射装置の発射強度が最大強度(操作ハンドル5を最大の回転角度まで回転操作したときの強度)であった場合には、発射された遊技球が、遠心力によりレール13a(図2参照)に沿って第2遊技領域12bに進入し、仕切り壁50の上端を越えて第2流下通路52の上端に到達する。そして、この遊技球は、第2流下通路52を流下することとなる。
これに対して、発射装置の発射強度が上述の所定の強度(発射装置により発射される遊技球が遊技領域12の最高地点に到達可能な強度)以上であって最大強度未満であった場合には、発射された遊技球が、レール13a及びレール13aの下方に配置された多数の釘により構成される進行通路53内を当該釘に案内されて右方向に進み、第2遊技領域12bに進入する。ここで、進行通路53は、上述の釘の配置により、第2遊技領域12bに右側に向かうに従って次第に下方向に傾斜し、第1流下通路51の上端まで至るように形成されている(図3参照)。したがって、上述の発射強度で発射され第2遊技領域12bに進入した遊技球は、上述の釘に案内されて第1流下通路51の上端に到達する。そして、この遊技球は、第1流下通路51を流下することとなる。
【0021】
また、この遊技領域12内には、図3に示すように、遊技球の流下方向を不規則にするための風車及び多数の釘と、遊技球が入球可能な一般入賞口14と、始動領域としての第1始動入賞口15及び第2始動入賞口16と、遊技球が通過可能なゲート20と、所定条件を満たすことで作動するアタッカー装置17と、遊技球を遊技領域12外へ導くアウト口19と、遊技の進行等に伴って演出を行う演出装置としての演出表示装置21と、が設けられている。
【0022】
一般入賞口14は、図3に示すように、第2遊技領域12bにおける第2流下通路52内に設けられている。すなわち、一般入賞口14へは、第2遊技領域12bに進入した遊技球のうち、第2流下通路52を流下する遊技球のみが入球可能であり、第1流下通路51を流下する遊技球は入球できないようになっている。
また、本形態に係るパチンコ機Pでは、第2流下通路52を流下する遊技球のうち20パーセントの遊技球が一般入賞口14へ入球可能となるように(たとえば、100個の遊技球が第2流下通路52を流下する場合には、当該100個のうち20個の遊技球が一般入賞口14へ入球可能となるように)、釘や一般入賞口14の位置が調整されている。
そして、一般入賞口14へ遊技球が入球すると、所定個数(本形態では4個)の賞球が払い出される。
なお、一般入賞口14の設置個数や設置位置は特に限定されるものではない。
【0023】
第1始動入賞口15は、図3に示すように、遊技領域12の中央からやや下寄りの位置に設けられている。第1始動入賞口15へは、第1遊技領域12aに進入した遊技球が入球可能となっており、第2遊技領域12bに進入した遊技球は入球できないようになっている。
これに対して、第2始動入賞口16は、図3に示すように、第2遊技領域12b内であって第1流下通路51及び第2流下通路52の下流に、具体的には、第1流下通路51の下端の直下、かつ、第2流下通路52の下端の左下方に設けられている。そして、第2始動入賞口16へは、第2遊技領域12bに進入した遊技球のうち、第1流下通路51を流下する遊技球及び第2流下通路52を流下する遊技球のいずれもが入球可能となっており、第1遊技領域12aに進入した遊技球は入球できないようになっている。
【0024】
また、第2始動入賞口16には、図3に示すように、左右に開閉可能な可動片16b(普通電動役物)が設けられている。そして、可動片16bが閉じているときには第2始動入賞口16が閉状態となっており、第2始動入賞口16への遊技球の入球は不可能又は困難である。これに対して、可動片16bが開くと、第2始動入賞口16が開状態となるとともに、この可動片16bが遊技球を第2始動入賞口16へ向けて案内するガイド部材として機能することにより、第2始動入賞口16への遊技球の入球が容易となる。
また、本形態に係るパチンコ機Pでは、第1流下通路51を流下する遊技球のうち60パーセントの遊技球が第2始動入賞口16へ入球可能となるように(たとえば、100個の遊技球が第1流下通路51を流下する場合には、当該100個のうち60個の遊技球が第2始動入賞口16へ入球可能となるように)、かつ、第2流下通路52を流下する遊技球のうち15パーセントの遊技球が第2始動入賞口16へ入球可能となるように(たとえば、100個の遊技球が第2流下通路52を流下する場合には、当該100個のうち15個の遊技球が第2始動入賞口16へ入球可能となるように)、釘や第2始動入賞口16の位置が調整されている。
なお、第1始動入賞口15や第2始動入賞口16の設置位置は特に限定されるものではない。
【0025】
そして、第1始動入賞口15又は第2始動入賞口16へ遊技球が入球すると、所定個数の賞球が払い出されるとともに、大当たりの抽選が行われ、予め定められた複数の特別図柄の中から1の特別図柄が決定される。各特別図柄には種々の遊技利益が対応付けられており、決定された特別図柄の種別に応じて、遊技者にとって有利な特別遊技の実行、所定の遊技状態の設定等の遊技利益を得られるようになっている。
また、本形態に係るパチンコ機Pでは、第1始動入賞口15へ遊技球が入球すると、3個の賞球が払い出され、第2始動入賞口16へ遊技球が入球すると、1個の賞球が払い出されるように設定されている。なお、第1始動入賞口15又は第2始動入賞口16への遊技球の入球に基づいて払い出される賞球は、1個以上であれば特に限定されるものではなく、いかなる個数にしてもよい。また、可動片16bが設けられている始動入賞口(第2始動入賞口16)と可動片16bが設けられていない始動入賞口(第1始動入賞口15)とでは、賞球の数を同一にしてもよいし、異ならせてもよい。
【0026】
ゲート20は、図3に示すように、第2遊技領域12b内であって第1流下通路51及び第2流下通路52の下流に、具体的には、第2始動入賞口16の右下方に設けられている。そして、第2遊技領域12bに進入した遊技球のうち、第1流下通路51を流下する遊技球及び第2流下通路52を流下する遊技球のいずれもがゲート20を通過可能となっており、第1遊技領域12aに進入した遊技球は通過できないようになっている。
このゲート20を遊技球が通過すると、後述する普通図柄の抽選が行われる。そして、当該抽選の結果が当たりであった場合、上述の第2始動入賞口16に設けられた可動片16bが所定時間開かれるようになっている。
【0027】
アタッカー装置17は、図3に示すように、第2遊技領域12b内であってゲート20の下方に設けられている。このアタッカー装置17は、遊技球が入球可能な大入賞口18と、この大入賞口18を開閉する開閉扉18bと、を備えている。常態においては、開閉扉18bが閉じられ大入賞口18は閉鎖されているため、当該大入賞口18への遊技球の入球は不可能となっているものの、上述の特別遊技が実行されると、開閉扉18bが開き大入賞口18が開放されるとともに、開閉扉18bが遊技球を大入賞口18へ導く受皿部材として機能することにより、大入賞口18への遊技球の入球が可能となる。
また、大入賞口18へは、第2遊技領域12bに進入した遊技球のうち、第1流下通路51を流下する遊技球及び第2流下通路52を流下する遊技球のいずれもが入球可能となっており、第1遊技領域12aに進入した遊技球は入球できないようになっている。
そして、大入賞口18へ遊技球が入球すると、所定個数(本形態では15個)の賞球が払い出される。
【0028】
アウト口19は、図3に示すように、遊技領域12の最下部に設けられており、一般入賞口14、第1始動入賞口15、第2始動入賞口16及び大入賞口18のいずれにも入球しなかった遊技球を受け入れるものである。そして、アウト口19に受け入れられた遊技球は、遊技盤11の背面側に導かれ回収される。
【0029】
本形態に係るパチンコ機Pは、演出装置として、演出表示装置21のほか、上述の音声出力装置10としてのスピーカや、種々の色や点灯パターンで発光することにより演出を行う演出照明装置23としてのランプ(図1参照)を備えている。演出表示装置21には、動画や静止画等の画像を表示するための表示部21aが設けられており、この表示部21aには、背景画像が表示されるほか、演出図柄(特に図示しておらず)が変動表示され、各演出図柄の停止表示態様により後述する大当たりの抽選の結果を遊技者に報知する変動演出が行われるようになっている。また、演出装置としては、これらに限定されるものではなく、たとえば、種々のタイミングや態様で可動する演出役物装置等を備えてもよい。
また、上皿6の前方位置には、遊技者が操作することにより遊技中や待機中等に実行される演出の進行や切り替えが可能な演出操作装置9が設けられている。この演出操作装置9は、回転操作が可能な操作ダイヤル9aと押下操作が可能な操作ボタンとから構成されている。
【0030】
また、図3に示すように、遊技盤11の右下部であって、かつ、遊技領域12の外側には、遊技についての種々の状況を表示するための装置として、第1特別図柄表示装置30、第2特別図柄表示装置31、第1特図保留表示装置38、第2特図保留表示装置39、普通図柄表示装置32及び普通図柄保留表示装置33が設けられている。
【0031】
また、上述の如く、本形態に係るパチンコ機Pには、遊技球貸出装置Rが電気的に接続されているが、遊技球の貸し出しやカードの排出等の遊技球貸出装置Rに対する操作を、パチンコ機Pで受け付けられるようにしている。そのため、パチンコ機Pには、図1に示すように、カードに記憶されている価値情報(残高情報)を表示する価値情報表示装置35と、押下操作が可能な球貸ボタン36と、押下操作が可能なカード返却ボタン37と、が設けられている。
【0032】
(パチンコ機Pの制御手段の構成)
次に、パチンコ機Pの遊技や演出を制御する制御手段について説明する。
上述の制御手段は、図4に示すように、主制御基板100、発射払出制御基板200、副制御基板300及び遊技球貸出制御基板400により構成されている。
また、図4に示すように、主制御基板100には、発射払出制御基板200及び副制御基板300が接続され、また、発射払出制御基板200には、遊技球貸出制御基板400が接続されている。さらに、主制御基板100及び発射払出制御基板200には、遊技進行上の種々の情報をパチンコ機Pの外部(たとえば、遊技場のホールコンピュータ等)に出力するための外部情報端子基板500が接続されている。
また、特に図示していないが、本形態に係るパチンコ機Pが備える各基板には電源基板が接続されている。この電源基板にはバックアップ電源が設けられており、パチンコ機Pに供給される電源の電圧値が所定値以下になった場合に電断と判断し、主制御基板100に電断信号を出力する。
【0033】
主制御基板100は、パチンコ機Pにおいて行われる遊技を制御するものであり、具体的には、遊技球が第1始動入賞口15又は第2始動入賞口16へ入球することを契機に開始される特図遊技、及び、遊技球がゲート20を通過することを契機に開始される普図遊技を制御する。
この主制御基板100は、図4に示すように、メインCPU101と、メインROM102と、メインRAM103と、を備えている。そして、メインCPU101は、後述する各検出センサやタイマからの信号に基づき、メインROM102に格納されている制御プログラムを読み出して演算処理を行うとともに、メインCPU101に接続されている各種装置の制御や、演算処理の結果に基づく他の基板へのコマンド送信等を行う。
【0034】
また、図4に示すように、主制御基板100には、一般入賞口14へ遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出センサ14aと、第1始動入賞口15へ遊技球が入球したことを検出する第1始動入賞口検出センサ15aと、第2始動入賞口16へ遊技球が入球したことを検出する第2始動入賞口検出センサ16aと、大入賞口18へ遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出センサ18aと、ゲート20を遊技球が通過したことを検出するゲート検出センサ20aと、遊技盤11に向けられる磁気や電波及び遊技盤11を揺らす等により生ずる振動を検出する不正検出センサ35と、が接続されている。そして、これらの各検出センサから出力される検出信号が、主制御基板100に入力されるようになっている。
【0035】
さらに、主制御基板100には、制御の対象となる機器として、第2始動入賞口16の可動片16bを開閉駆動する始動入賞口ソレノイド16cと、大入賞口18の開閉扉18bを開閉駆動する大入賞口ソレノイド18cと、第1特別図柄表示装置30と、第2特別図柄表示装置31と、普通図柄表示装置32と、第1特図保留表示装置38と、第2特図保留表示装置39と、普通図柄保留表示装置33と、が接続されている。
そして、主制御基板100によって、各ソレノイドが駆動されることで第2始動入賞口16や大入賞口18の開閉制御がなされ、また、各表示装置の表示制御がなされるようになっている。
【0036】
発射払出制御基板200は、特に図示していないが、主制御基板100と同様に、CPU、ROM及びRAMを備えており、主制御基板100と双方向に通信可能となるように接続されている。
図4に示すように、発射払出制御基板200には、遊技球の発射を制御するための機器として、操作ハンドル5に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ5aと、操作ハンドル5の操作角度(回転角度)を検出する操作ボリューム5bと、遊技球の発射を停止する発射停止スイッチ5cと、上皿6に受容されている遊技球を発射装置(図示しておらず)に送る球送りソレノイド60と、遊技球を発射する発射モータ61と、が接続されている。また、タッチセンサ5a、操作ボリューム5b及び発射停止スイッチ5cから出力される制御信号が、発射払出制御基板200に入力されるようになっている。
そして、タッチセンサ5a及び操作ボリューム5bからの制御信号が発射払出制御基板200に入力されると、球送りソレノイド60及び発射モータ61を通電して遊技球を発射させる制御がなされる。これに対して、発射停止スイッチ5cからの制御信号が発射払出制御基板200に入力されると、球送りソレノイド60及び発射モータ61の通電を止めて遊技球の発射を停止させる制御がなされる。
【0037】
また、発射払出制御基板200には、図4に示すように、遊技球の払い出しを制御するための機器として、遊技球貯留部(特に図示しておらず)に貯留されている遊技球を賞球として払い出す払出モータ62と、払い出された遊技球を検出して計数する払出計数スイッチ63と、発射モータ61により遊技球が発射されたことを検出する発射球検出センサ64とが接続されている。そして、主制御基板100から送信される払出数コマンドを発射払出制御基板200が受信すると、当該発射払出制御基板200は、この払出数コマンドに基づいて所定個数の遊技球(賞球)を払い出すように払出モータ62を制御する。このとき、払い出された遊技球の個数が払出計数スイッチ63によって計数され、所定個数の遊技球(賞球)が払い出されたか否かの判定が可能となっている。
【0038】
さらに、発射払出制御基板200には、図4に示すように、前扉3の開放状態を検出する前扉開放検出センサ3aと、受皿7の満タン状態を検出する受皿満タン検出センサ7aと、が接続されている。
【0039】
また、上述の如く、発射払出制御基板200には、遊技球貸出装置Rへの操作を中継する遊技球貸出制御基板400が接続されている。図4に示すように、発射払出制御基板200には、遊技球貸出制御基板400を介して、価値情報表示装置35と、球貸ボタン36の押下操作を検出する球貸スイッチ36aと、カード返却ボタン37の押下操作を検出するカード返却スイッチ37aと、が接続されている。
球貸ボタン36が押下操作されると、遊技球貸出装置Rにより、記憶されている価値情報から所定の価値情報を減算する処理がなされるとともに、減算された価値情報に対応する個数の遊技球を払い出す制御がなされる。また、カード返却ボタン37が押下操作されると、遊技球貸出装置Rによりカードを排出する制御がなされる。
【0040】
副制御基板300は、遊技中や待機中等に実行される演出を制御するものである。
この副制御基板300は、図4に示すように、各種演算処理を行うサブCPU301と、演出を実行するための制御プログラム、演出の実行に必要なデータやテーブル等を格納するサブROM302と、演算処理時の一時記憶領域等として用いられるサブRAM303と、を備えており、主制御基板100から副制御基板300への一方向に通信可能となるように接続されている。
サブCPU301は、主制御基板100から送信されるコマンドやタイマからの信号に基づき、サブROM302に格納されている制御プログラムを読み出して演算処理を行うとともに、画像表示を制御するための画像制御基板(特に図示しておらず)、音声出力を制御するための音声制御基板(特に図示しておらず)、照明の点灯を制御するための電飾制御基板(特に図示しておらず)に、演出実行用のコマンドを送信する。
【0041】
また、副制御基板300には、画像制御基板を介して演出表示装置21が接続され、音声制御基板を介して音声出力装置10が接続されている。また、副制御基板300には、電飾制御基板を介して、演出照明装置23と、操作ダイヤル9aの回転操作を検出する回転操作検出センサ9cと、操作ボタン9bの押下操作を検出する押下操作検出センサ9dと、が接続されている。
そして、副制御基板300から送信されたコマンドに基づき、画像制御基板は演出表示装置21による画像表示を制御し、音声制御基板は音声出力装置10からの音声出力を制御し、電飾制御基板は演出照明装置23による照明の点灯を制御する。
【0042】
(パチンコ機Pの遊技の概略)
次に、本形態のパチンコ機Pにおける遊技の概略を説明する。
上述の如く、本形態のパチンコ機Pにおいては、特図遊技と普図遊技とが並行して進行する。また、これら両遊技を進行する際の遊技状態としては、大当たりの抽選によって大当たりに当選する確率が異なる低確率遊技状態(いわゆる非確変状態)及び高確率遊技状態(いわゆる確変状態)のいずれかの遊技状態と、可動片16bの開放し易さが異なる非時短遊技状態及び時短遊技状態のいずれかの遊技状態と、が組み合わされたいずれかの遊技状態が設定される。
具体的には、本形態に係るパチンコ機Pでは、低確率遊技状態及び非時短遊技状態を組み合わせた遊技状態(以下、通常遊技状態という)又は高確率遊技状態及び時短遊技状態を組み合わせた遊技状態(以下、高確率時短遊技状態という)のいずれかの遊技状態が設定される。
なお、工場出荷直後やリセット後の初期状態においては、通常遊技状態が設定されるようになっている。
【0043】
本形態に係るパチンコ機Pでは、発射装置(図示しておらず)により発射され遊技領域12を流下する遊技球が第1始動入賞口15又は第2始動入賞口16へ入球すると、所定の乱数が取得され、当該取得された乱数に基づいて大当たりの抽選が行われるとともに、第1始動入賞口15へ遊技球が入球した場合には、第1特別図柄表示装置30において特別図柄の変動表示が開始され、第2始動入賞口16へ遊技球が入球した場合には、第2特別図柄表示装置31において特別図柄の変動表示が開始される。大当たりの抽選では、上述の乱数に基づいて、大当たりに当選したか否か(大当たり又はハズレ)が決定されるとともに、予め定められた複数の特別図柄の中から、当該決定の結果(大当たり又はハズレ)に対応付けられたいずれかの特別図柄が決定されるようになっている。また、第1特別図柄表示装置30又は第2特別図柄表示装置31において特別図柄の変動表示が開始されると、これに伴って、演出表示装置21の表示部21aでは大当たりの抽選の結果を報知する変動演出が開始される。
その後、所定の変動時間が経過すると、第1特別図柄表示装置30又は第2特別図柄表示装置31において、特別図柄の変動表示が停止し、大当たりの抽選により決定された特別図柄が停止表示される。すなわち、大当たりに当選した場合には大当たりに対応付けられた特別図柄が停止表示され、ハズレの場合にはハズレに対応付けられた特別図柄が停止表示されることとなる。また、特別図柄が停止表示されると、これに伴って、演出表示装置21において行われていた変動演出が終了し、大当たりの抽選の結果が報知される。
そして、大当たりに対応付けられた特別図柄が停止表示された場合には、大入賞口18が開放され当該大入賞口18へ遊技球を入球させることが可能となる特別遊技が開始される。
【0044】
特別遊技中においては、大入賞口18が開放されてから、予め定められた開放時間が経過するか又は大入賞口18へ所定個数の遊技球が入球するかのいずれかの条件が成立することで終了するラウンド遊技が複数回実行される。ラウンド遊技の数、大入賞口18の開放時間等は、大当たりの抽選において決定された特別図柄の種別に応じて定められているため、特別遊技中には、特別図柄の種別に応じた数の賞球を獲得できるようになっている。
そして、特別遊技の終了後には、高確率時短遊技状態が設定され、その後、大当たりに当選することなく大当たりの抽選が予め定められた回数行われると、通常遊技状態へ移行する。なお、特別遊技の終了後には必ず、高確率時短遊技状態を設定するのではなく、大当たりの抽選において決定された特別図柄の種別に応じた遊技状態が設定されるようにしてもよい。また、大入賞口18内に遊技球が進入可能な特別領域を設け、特別遊技中において所定数の遊技球が特別領域を通過したか否かに応じた遊技状態が設定されるようにしてもよい。
【0045】
ここで、本形態に係るパチンコ機Pにおいては、第1遊技領域12aに進入した遊技球は、第1始動入賞口15への入球が可能となっている。また、第2遊技領域12bに進入した遊技球は、一般入賞口14への入球、大入賞口18への入球、ゲート20の通過、第2始動入賞口16への入球が可能となっている。そして、通常遊技状態中は、遊技球が第1始動入賞口15へ入球するように、遊技者に第1遊技領域12aへ向けての遊技球の打ち出し(いわゆる左打ち)を行わせ、高確率時短遊技状態中は、遊技球がゲート20を通過及び一般入賞口14又は第2始動入賞口16へ入球するように、また、特別遊技中は、遊技球がゲート20を通過及び一般入賞口14、第2始動入賞口16又は大入賞口18へ入球するように、遊技者に第2遊技領域12bへ向けての遊技球の打ち出し(いわゆる右打ち)を行わせる。
具体的には、高確率時短遊技状態中及び特別遊技中は、演出表示装置21において第2遊技領域12bへ向けて遊技球を打ち出す旨を指示する表示が行われ、通常遊技状態が設定されると、演出表示装置21において第1遊技領域12aへ向けて遊技球を打ち出す旨を指示する表示が行われる。
【0046】
また、本形態に係るパチンコ機Pでは、第1始動入賞口15又は第2始動入賞口16へ遊技球が入球すると、設定されている遊技状態に応じた変動時間が決定され、この決定された変動時間の間、特別図柄の変動表示及び変動演出が実行されるようになっている。
具体的には、本形態に係るパチンコ機Pでは、通常遊技状態中に第1始動入賞口15へ遊技球が入球した場合には、後述する保留数の数に応じて、3秒、6秒、15秒、30秒又は60秒のいずれかの変動時間が決定され、高確率時短遊技状態中に第2始動入賞口16へ遊技球が入球した場合には、保留数の数によることなく、1秒の変動時間が決定されるようになっている。
なお、決定され得る変動時間の種類は、これらに限定されるものではない。たとえば、高確率時短遊技状態中においても複数種類の変動時間の中からいずれかの変動時間が決定されるようにしてもよい。
【0047】
またここで、第1特別図柄表示装置30又は第2特別図柄表示装置31において特別図柄の変動表示が行われている間、又は特別遊技の実行中に、第1始動入賞口15又は第2始動入賞口16へ遊技球が入球した場合には、当該入球に基づいて取得される乱数が記憶(保留)され、第1始動入賞口15への遊技球の入球に基づく乱数の記憶数(保留数)は第1特図保留表示装置33に、第2始動入賞口16への遊技球の入球に基づく保留数は第2特図保留表示装置34に、それぞれ表示される。本形態に係るパチンコ機Pでは、第1特図保留表示装置33及び第2特図保留表示装置34はそれぞれ4つのランプにより構成されており、点灯するランプの数により、保留数が報知されるようになっている。そして、特別図柄の変動表示が終了し又は特別遊技が終了した場合には、保留されていた乱数に基づいて大当たりの抽選が行われる。保留数は最大4個までとなっており、保留されていた乱数に基づいて大当たりの抽選が行われると保留数が減じられ、これに伴って、第1特図保留表示装置33又は第2特図保留表示装置34の表示も減じられる。
【0048】
また、本形態に係るパチンコ機Pでは、ゲート20を遊技球が通過すると、所定の乱数が取得され、当該取得された乱数に基づいて、第2始動入賞口16に設けられた可動片16bを開いて第2始動入賞口16を開放されるか否かの抽選が行われる。この抽選は、第2始動入賞口16の開放(当たり)、非開放(ハズレ)にそれぞれ対応付けられた複数種類の普通図柄の中から一の普通図柄を決定する普通図柄の抽選として行われる。そして、当該抽選の結果が当たりであった場合、可動片16bが所定時間開き、第2始動入賞口16が開放されるようになっている。
【0049】
また、ゲート20を遊技球が通過すると、普通図柄表示装置32において、普通図柄の変動表示が開始される。その後、所定の普通図柄変動時間が経過すると、普通図柄表示装置32において、普通図柄の変動表示が停止し、上述の抽選の結果を示す普通図柄が停止表示される。すなわち、当たりの場合には当該当たりに対応付けられた普通図柄が停止表示され、ハズレの場合にはハズレに対応付けられた普通図柄が停止表示される。当たりに対応付けられた普通図柄が停止表示されると、第2始動入賞口16が開放される。第2始動入賞口16が開放されている場合には、より多くの遊技球を第2始動入賞口16へ入球させることができ、大当たりの抽選を受ける機会が増え、第2始動入賞口16が開放されていない場合よりも有利な状態とすることができる。
【0050】
また、普通図柄表示装置32において普通図柄の変動表示が行われている間に、ゲート20を遊技球が通過した場合には、上記と同様に、当該通過に基づいて取得される乱数が最大4個まで保留され、普通図柄保留表示装置35に保留数が表示される。そして、普通図柄の変動表示が終了した場合には、保留に基づいて普通図柄の抽選が行われ、保留数が減じられるとともに普通図柄保留表示装置35の表示が減じられる。
【0051】
(高確率時短遊技状態中における遊技性能について)
次に、高確率時短遊技状態中における遊技性能について説明する。
本形態に係るパチンコ機Pでは、上述の如く、高確率時短遊技状態中には第2遊技領域12bへ向けての遊技球の打ち出しが行われるが、発射装置による発射強度に応じて第1流下通路51又は第2流下通路52のいずれかを遊技球が流下することとなる。
ここで、上述の如く、第1流下通路51を流下する遊技球については、60パーセントの遊技球が第2始動入賞口16へ入球可能となっているため、たとえば、100個の遊技球(1分間に打ち出される遊技球の最大個数)が第1流下通路51を流下する場合には、60個の遊技球が第2始動入賞口16へ入球することとなる。そして、第2始動入賞口16へ遊技球が入球すると1個の賞球が払い出されるため、100個の遊技球が第1流下通路51を流下する場合に払い戻される遊技球数(ベース値)は「60(=1×60)」となる。また、高確率時短遊技状態中に第2始動入賞口16へ遊技球が入球した場合には、上述の如く、1秒の変動時間が決定されるようになっているため、第1流下通路51へ向けて1分間(100個の遊技球が打ち出される間)遊技球が打ち出された場合に特別図柄の変動表示及び変動演出が実行される回数(S2値)は「60」となる。
【0052】
これに対して、第2流下通路52を流下する遊技球については、15パーセントの遊技球が第2始動入賞口16へ入球し、20パーセントの遊技球が一般入賞口14へ入球可能となっているため、たとえば、100個の遊技球が第2流下通路51を流下する場合には、15個の遊技球が第2始動入賞口16へ入球し、20個の遊技球が一般入賞口14へ入球することとなる。そして、一般入賞口14へ遊技球が入球すると4個の賞球が払い出されるため、100個の遊技球が第2流下通路52を流下する場合に払い戻される遊技球数は「90(=1×15+4×20)」となる。また、第2流下通路52へ向けて1分間遊技球が打ち出された場合に特別図柄の変動表示及び変動演出が実行される回数は「15」となる。
【0053】
このように、本形態に係るパチンコ機Pでは、高確率時短遊技状態中において、第1流下通路51を流下可能となるような発射強度で遊技球を打ち出した場合には、第2流下通路52を流下可能となるような発射強度で遊技球を打ち出した場合よりも、所定個数の遊技球の打ち出しに対する遊技球の払い戻し率が低くなるものの、所定時間あたりに特別図柄の変動表示が実行される回数(すなわち、大当たりの抽選が行われる回数)が多くなる。
すなわち、第1流下通路51を流下可能となるような発射強度で遊技球を打ち出した場合には、遊技球の払い戻し数が少ないことから遊技球の消費スピードは速いものの、大当たりの抽選が行われる回数が多くなるという遊技性能を提供することができるのに対し、第2流下通路52を流下可能となるような発射強度で遊技球を打ち出した場合には、遊技球の払い戻し数が多いことから遊技球の消費スピードは遅いものの、大当たりの抽選が行われる回数が少なくなるという遊技性能を提供することができる。
すなわち、本形態に係るパチンコ機Pによれば、遊技球が流下する経路(第1流下通路51、第2流下通路52)によって提供される遊技性能が異なるため、遊技球が流下する経路を選択することに対する遊技者の関心を高めることができ、遊技者の興趣が低下するのを防止することができるのである。また、遊技者の好みや遊技可能な時間の長短等に応じた遊技球の打ち出し態様により遊技を行うことができるので、遊技者の興趣を高めることができるのである。
【0054】
(パチンコ機Pにおける処理の概要)
次に、主制御基板100で実行されるメイン処理の概要について、図5のフローチャートを用いて説明する。
ステップ100において、メインCPU101は、工場出荷直後やリセット後の初期状態である場合に、初期状態におけるメインRAM103への各種データの記憶等を行う初期設定処理を実行する。そして、次のステップ101に進む。
ステップ101において、メインCPU101は、各種タイマカウンタを更新するタイマ更新処理を実行する。そして、次のステップ102に進む。
【0055】
ステップ102において、メインCPU101は、第1始動入賞口15又は第2始動入賞口16への遊技球の入球に基づいて、大当たりの抽選、取得された乱数の保留に関する処理、特別図柄の変動表示や停止表示等の各種処理を行う特図遊技制御処理を実行する。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、メインCPU101は、上記ステップ102の特別遊技制御処理における大当たりの抽選により大当たりに当選した場合に、特別遊技の実行、特別遊技終了後の遊技状態の設定等の各種処理を行う特別遊技制御処理を実行する。そして、次のステップ104に進む。
【0056】
ステップ104において、メインCPU101は、遊技球がゲート20を通過することに基づいて、普通図柄の抽選、取得された乱数の保留に関する処理、普通図柄の変動表示や停止表示、普通図柄の抽選の結果に応じた可動片16bの作動制御等の各種処理を行う普図遊技制御処理を実行する。そして、次のステップ105に進む。
ステップ105において、メインCPU101は、一般入賞口検出センサ14a、第1始動入賞口検出センサ15a、第2始動入賞口検出センサ16a、大入賞口検出センサ18aからの検出信号が入力された場合に、それぞれの検出信号に対応する払出個数指定コマンドを発射払出制御基板200に送信する。これにより、発射払出制御基板200により、それぞれの検出信号に対応する数の賞球の払い出しが行われる。そして、次のステップ106に進む。
【0057】
ステップ106において、メインCPU101は、パチンコ機Pの遊技状態を当該パチンコ機Pの外部に出力するための外部情報データ、第2始動入賞口16の可動片16bを開閉するための始動入賞口ソレノイドデータ、大入賞口18の開閉を制御するための大入賞口ソレノイドデータ、各種表示装置(第1特別図柄表示装置30、第2特別図柄表示装置31、普通図柄表示装置32、第1特図保留表示装置38、第2特図保留表示装置39及び普通図柄保留表示装置33)の表示データ等の作成を実行する。そして、次のステップ107に進む。
ステップ107において、メインCPU101は、上述のステップ106で作成した各データの信号を出力するポート出力、及び、演出用伝送データ格納領域に記憶されたコマンドを送信するコマンド送信等の処理を行う出力制御処理を実行する。そして、メイン処理を終了する。
【0058】
(変形例)
上述の実施の形態では、第2遊技領域12bへ進入した遊技球が流下する経路に応じて異なる遊技性能を提供するために、第2遊技領域12bに第1流下通路51及び第2流下通路52を設けていたが、これに限定されるものではない。
たとえば、第1遊技領域12aに、一般入賞口14を設けるとともに、上述の実施の形態と同様の構成の第1流下通路51及び第2流下通路52を設け、遊技球が流下する流下通路に応じて第1始動入賞口15及び一般入賞口14への遊技球の入球のし易さが異なるように釘等を配置することで、第1遊技領域12aへ進入した遊技球が流下する経路に応じて異なる遊技性能を提供するようにしてもよい。
【0059】
なお、上述の実施の形態における発射装置は、本発明の発射手段に相当する。また、上述の実施の形態における第2遊技領域12bは、本発明の遊技領域に相当する。また、上述の実施の形態における第1流下通路51は、本発明の第1の流下通路に相当する。また、上述の実施の形態における第2流下通路52は、本発明の第2の流下通路に相当する。また、上述の実施の形態におけるゲート20は、本発明の通過領域に相当する。また、上述の実施の形態における第2始動入賞口16は、本発明の入賞口に相当する。また、上述の実施の形態におけるパチンコ機Pは、本発明の遊技機に相当する。また、上述の実施の形態における一般入賞口14は、本発明の特定入賞口に相当する。
【符号の説明】
【0060】
P パチンコ機
12a 第1遊技領域
12b 第2遊技領域
14 一般入賞口
16 第2始動入賞口
20 ゲート
図1
図2
図3
図4
図5