IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-運搬機 図1
  • 特許-運搬機 図2
  • 特許-運搬機 図3
  • 特許-運搬機 図4
  • 特許-運搬機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】運搬機
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20220309BHJP
   B62B 5/06 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B62B3/00 G
B62B5/06 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017194473
(22)【出願日】2017-10-04
(65)【公開番号】P2019064533
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000201766
【氏名又は名称】ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101351
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】竹下 正敏
(72)【発明者】
【氏名】竹野 敦郎
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-000327(JP,A)
【文献】特開2016-037279(JP,A)
【文献】特開2009-208707(JP,A)
【文献】特開平11-171038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00
B62B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームによって着脱可能に保持され、移動時には自らの移動をアシストするための電源として使用され、移動先では汎用電源として使用されるエンジン発電機と、
前記エンジン発電機を搬送するための車輪と、
前記エンジン発電機によって発生される電力に基づいて前記車輪を駆動するためのアシスト力を生成可能な動力部と、
前記エンジン発電機を牽引または押進するために前記エンジン発電機に接続されるハンドル部と
前記エンジン発電機によって充電可能なバッテリとを備え、
前記動力部による前記アシスト力は、前記エンジン発電機および前記バッテリの少なくともいずれか一方からの電力に基づいて生成される、運搬機。
【請求項2】
フレームと、
前記フレームによって着脱可能に保持され、移動時には自らの移動をアシストするための電源として使用され、移動先では汎用電源として使用されるエンジン発電機と、
前記エンジン発電機を搬送するための車輪と、
前記エンジン発電機によって発生される電力に基づいて前記車輪を駆動するためのアシスト力を生成可能な動力部と、
前記エンジン発電機を牽引または押進するために前記エンジン発電機に接続されるハンドル部と
前記エンジン発電機を牽引または押進するために前記ハンドル部に加えられた力を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記動力部により生成される前記アシスト力を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記検出部の検出結果が小さいほどアシスト力が大きくなるようにアシスト力を制御するとともに、当該運搬機の移動速度が所定の移動速度を超えないようにアシスト力を調整する、運搬機。
【請求項3】
フレームと、
前記フレームによって着脱可能に保持され、移動時には自らの移動をアシストするための電源として使用され、移動先では汎用電源として使用されるエンジン発電機と、
前記エンジン発電機を搬送するための車輪と、
前記エンジン発電機によって発生される電力に基づいて前記車輪を駆動するためのアシスト力を生成可能な動力部と、
前記エンジン発電機を牽引または押進するために前記エンジン発電機に接続されるハンドル部と
前記エンジン発電機に設けられる傾斜センサと、
前記エンジン発電機の傾斜角度が所定の角度以上であることを前記傾斜センサが検出すると、前記エンジン発電機の稼働を停止させる制御部とを備える、運搬機。
【請求項4】
フレームと、
前記フレームによって着脱可能に保持され、移動時には自らの移動をアシストするための電源として使用され、移動先では汎用電源として使用されるエンジン発電機と、
前記エンジン発電機を搬送するための車輪と、
前記エンジン発電機によって発生される電力に基づいて前記車輪を駆動するためのアシスト力を生成可能な動力部と、
前記エンジン発電機を牽引または押進するために前記エンジン発電機に接続されるハンドル部と
前記フレームに固定される電磁石と、
前記電磁石の上方に位置しかつ前記エンジン発電機の下面に取り付けられる鉄板と、
前記エンジン発電機の稼働/停止に基づいて、前記電磁石の磁化/非磁化を制御し、前記鉄板と前記電磁石との間の吸引力の有無を制御する制御部とを備える、運搬機。
【請求項5】
前記エンジン発電機を牽引または押進するために前記ハンドル部に加えられた力を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記動力部により生成される前記アシスト力を制御する制御部とをさらに備える、請求項1に記載の運搬機。
【請求項6】
前記エンジン発電機を牽引または押進するために前記ハンドル部に加えられた力を検出する検出部をさらに含み、
前記制御部はさらに、前記検出部の検出結果に基づいて前記動力部により生成される前記アシスト力を制御する、請求項3または4に記載の運搬機。
【請求項7】
前記ハンドル部は、前記エンジン発電機を牽引するために前記エンジン発電機に接続される、請求項1から6のいずれかに記載の運搬機。
【請求項8】
前記エンジン発電機によって充電可能なバッテリをさらに含み、
前記動力部による前記アシスト力は、前記エンジン発電機および前記バッテリの少なくともいずれか一方からの電力に基づいて生成される、請求項から4および6のいずれかに記載の運搬機。
【請求項9】
前記ハンドル部の下端部に設けられかつ前記車輪の直径よりも小さい直径を有する補助輪をさらに含み、
前記車輪および前記補助輪は接地している、請求項1からのいずれかに記載の運搬機。
【請求項10】
前記車輪の駆動に伴って移動される1または複数の台車をさらに含む、請求項1からのいずれかに記載の運搬機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は運搬機に関し、より特定的には災害非常時やアウトドア活動時にエンジン発電機を運搬する運搬機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン発電機は、災害非常時やアウトドア活動時において有用であるので、所望の場所まで容易に搬送できることが望まれる。しかし、エンジン発電機は、たとえば定格出力が1.6kVAの小さいものでも20kgf程度の重さを有し、大きい重量を有するため、搬送が容易ではない。
【0003】
このようなエンジン発電機を容易に運搬するために、特許文献1に開示された台車牽引システムを用いることが考えられる。この台車牽引システムは、連結機構を用いて連結される牽引部と台車とを含み、たとえば電動アシスト車からなる牽引部によって台車を牽引するものであり、台車にエンジン発電機を載せることよって、エンジン発電機の搬送が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-202763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように搬送するためには、電動アシスト車からなる牽引部の電源を常時準備できなければならず、台車牽引システムの移動をアシストするための電源を準備できなければ、エンジン発電機を所望の場所まで容易に搬送できない。
【0006】
それゆえにこの発明の主たる目的は、エンジン発電機を常時所望の場所まで容易に搬送できかつエンジン発電機を所望の場所で汎用電源として確実に使用できる、運搬機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、エンジン発電機と、エンジン発電機を搬送するための車輪と、エンジン発電機によって発生される電力に基づいて車輪を駆動するためのアシスト力を生成可能な動力部と、エンジン発電機を牽引または押進するためにエンジン発電機に接続されるハンドル部とを備える、運搬機が提供される。
【0008】
この発明では、操作者がハンドル部を把持してエンジン発電機を牽引または押進して運搬機を移動させるとき、エンジン発電機によって発生される電力に基づいて、車輪を駆動するためのアシスト力を動力部によって生成できる。そして、そのアシスト力によって、車輪の駆動がアシストされ、それによってエンジン発電機を含む運搬機を移動させるときの操作者の負担を減少できる。このようなエンジン発電機は、移動時には自らの移動をアシストするための電源として機能し、移動先では汎用電源として機能する。したがって、エンジン発電機を、常時所望の場所まで容易に搬送できかつ所望の場所で汎用電源として確実に使用できる。
【0009】
好ましくは、エンジン発電機を牽引または押進するためにハンドル部に加えられた力を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて動力部により生成されるアシスト力を制御する制御部とをさらに備える。この場合、運搬機を移動させるときにハンドル部に加えられた力が検出部によって検出され、その検出結果に基づいて、制御部が動力部によって生成されるアシスト力を制御する。したがって、操作者の操作スキルや体力に応じたアシスト力を得ることができ、必要な距離を快適かつ容易に運搬機を移動させることができる。
【0010】
また好ましくは、ハンドル部は、エンジン発電機を牽引するためにエンジン発電機に接続される。この場合、エンジン発電機の排気ガスが運搬機の操作者に当たりにくくなり、運搬機を快適に牽引できる。
【0011】
さらに好ましくは、エンジン発電機によって充電可能なバッテリをさらに含み、動力部によるアシスト力は、エンジン発電機およびバッテリの少なくともいずれか一方からの電力に基づいて生成される。この場合、運搬機の使用環境に応じてエンジン発電機およびバッテリのうち適する方を選択して動力部によるアシスト力を生成させることができ、また、電源としてエンジン発電機とバッテリとを備えることによって、アシストによる運搬機の移動距離を長くできる。
【0012】
好ましくは、ハンドル部の下端部に設けられかつ車輪の直径よりも小さい直径を有する補助輪をさらに含み、車輪および補助輪は接地している。この場合、ハンドル部のステアリングが容易になるとともに、エンジン発電機ひいては運搬機の姿勢を安定させることができる。
【0013】
また好ましくは、車輪の駆動に伴って移動される1または複数の台車をさらに含む。この場合、1または複数の台車に必要な荷物を載せて運搬できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、エンジン発電機を常時所望の場所まで容易に搬送できかつエンジン発電機を所望の場所で汎用電源として確実に使用できる、運搬機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施形態に係る運搬機を示す図であり、(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示す。
図2】運搬機本体を示す側面図である。
図3】運搬機本体を示す正面図である。
図4】運搬機本体を示す平面図である。
図5】この発明の一実施形態に係る運搬機の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してこの発明の好ましい実施形態について説明する。なお、この発明の実施形態における、前後、左右、上下とは、運搬機10を牽引する状態を基準とした前後、左右、上下を意味する。
【0017】
図1を参照して、この発明の一実施形態に係る運搬機10は、運搬機本体12と、複数(この実施形態では、3つ)の台車14とを含む。運搬機本体12の後端部には、連結部16によって台車14が連結される。また、台車14同士も、連結部16によって連結される。
【0018】
図2~4を参照して、運搬機本体12は、フレーム18、エンジン発電機20、動力部としてのモータ22a,22b、車輪24a,24b、接続部26、補助輪28a,28b、ハンドル部30、バッテリ32、充電器34、および制御部36を有する。なお、図3においては、図面が煩雑になることを避けるため、台車14および後述する電装ボックス74の図示を省略する。
【0019】
フレーム18は、主フレーム38および補助フレーム40を有し、エンジン発電機20を着脱可能に保持する。主フレーム38は、側面視略L字の板状に形成され、平板部42および後壁部44を有する。平板部42は、平面視略凸字(図4参照)の平板状に形成される。平板部42の略中央には、平板部42を貫通する貫通孔46が形成される。貫通孔46の内方には、電磁石48が設けられる。電磁石48は、図示しない取付部材によって、平板部42に固定される。後壁部44は、左右方向に延びる板状に形成され、平板部42の後端部から後方斜め上方に延びる。補助フレーム40は、左右方向に延びる略凸字(図3参照)の板状に形成され、平板部42の前端部に取り付けられる。補助フレーム40は、主フレーム38に対して、前後方向に揺動可能(図2参照)に設けられる。補助フレーム40を前方に揺動させた状態で、平板部42上にエンジン発電機20を載置し、補助フレーム40を後方に揺動させて、補助フレーム40と後壁部44とでエンジン発電機20を前後方向に挟むことによって、フレーム18は、エンジン発電機20を保持する。補助フレーム40を前方に揺動させれば、エンジン発電機20を、フレーム18から容易に取り外すことができる。
【0020】
エンジン発電機20としては、公知の種々のエンジン発電機を用いることができるので、詳細な説明は省略するが、この実施形態では、エンジン発電機20は、右側面に排気口20aを有する。これによって、運搬機10が前進するとき、エンジン発電機20から排出される排気ガスは、エンジン発電機20の右側面から後方に流れる。また、エンジン発電機20には、鉄板50、傾斜センサ52、および回転センサ54(図5参照)が取り付けられる。鉄板50は、エンジン発電機20の下面に取り付けられる。エンジン発電機20がフレーム18に保持された状態において、鉄板50は、電磁石48の上方に位置する。傾斜センサ52は、エンジン発電機20の傾斜角度を検出できるように、エンジン発電機20の下部に取り付けられる。回転センサ54は、エンジン発電機20のエンジン回転数を検出できるように設けられる。
【0021】
モータ22aは、エンジン発電機20と車輪24aとの間においてフレーム18の左後部に支持され、モータ22bは、エンジン発電機20と車輪24bとの間においてフレーム18の右後部に支持される。この実施形態では、モータ22a,22bはそれぞれ、車輪24a,24bに接続されるインホイールモータとして構成され、モータ22a,22bによって生成されたアシスト力はそれぞれ、車輪24a,24bに伝達される。また、モータ22a,22bにはそれぞれ、運搬機10の移動速度(操作者1の歩行速度に相当)を検出するための回転センサ56a,56bが取り付けられる。
【0022】
車輪24a,24bはそれぞれ、フレーム18に保持されたエンジン発電機20等を搬送するために、モータ22a,22bを介してフレーム18に接続される。車輪24a,24bは、概ね平らな地面A上において、常時接地するように設けられる(図2図3参照)。
【0023】
接続部26は、固定部58および支持部60を有し、フレーム18の下面の前部中央から前方斜め下方に延びる。固定部58は、円板状に形成され、平板部42の下面の前部中央に取り付けられる。支持部60は、固定部58の下面から前方斜め下方に延び、固定部58に対して、左右方向に揺動可能に設けられる。これによって、支持部60は、フレーム18等に対しても、左右方向に揺動可能に設けられる。また、支持部60の下端部には、車軸62が回転可能に挿通される。
【0024】
補助輪28a,28bは、車軸62の両端に接続され、ハンドル部30の下端部に位置するように、車軸62を介して支持部60の下端部に回転可能に支持される。補助輪28a,28bの直径は、車輪24a,24bの直径よりも小さい。補助輪28a,28bは、概ね平らな地面A上において、常時接地するように設けられる(図2図3参照)。
【0025】
ハンドル部30は、円筒部64a,64b、外筒部66、内筒部68、把持部70、および引力センサ72を有し、フレーム18に保持されたエンジン発電機20等を牽引するために、車軸62を介して支持部60の下端部に支持される。円筒部64a,64bは、支持部60の下端部を挟むように設けられ、支持部60の下端部とともに円筒部64a,64bには、車軸62が回転可能に挿通される。外筒部66は、円筒部64aと円筒部64bとを連結しかつ円筒部64a,64bの外周面から角筒状に延び、円筒部64a,64bと一体的に形成される。円筒部64a,64bおよび外筒部66は、車軸62を介して支持部60の下端部に、前後方向に揺動可能に支持される。これによって、ハンドル部30は、接続部26やフレーム18等に対して、前後方向に揺動可能(図1(b)、図2参照)に設けられるので、運搬機10を移動する操作が容易になる。また、ハンドル部30は、支持部60および補助輪28a,28bとともに、フレーム18等に対して左右方向に揺動可能(図1(a)参照)に設けられるので、運搬機10を移動する操作が容易になる。内筒部68は、角筒状に形成され、外筒部66の内方を摺動可能に設けられる。これによって、ハンドル部30は、伸縮可能(図1(b)参照)に形成されるので、運搬機10を移動する操作が容易になるとともに、運搬機10(運搬機本体12)の収納スペースを小さくできる。把持部70は、略O字状に形成され、内筒部68の上端部に揺動可能に支持される。引力センサ72は、外筒部66の内部に設けられ、フレーム18に保持されたエンジン発電機20等を牽引するためにハンドル部30に加えられた力を検出する。この実施形態では、引力センサ72が、検出部に相当する。なお、上述した説明から明らかであるが、ハンドル部30は、車軸62、接続部26およびフレーム18を介して、エンジン発電機20に接続される。
【0026】
バッテリ32は、フレーム18の後端部に取り付けられる電装ボックス74内に設けられる。
【0027】
充電器34は、電装ボックス74内において、バッテリ32の下方に設けられる。
【0028】
制御部36は、電装ボックス74内において、充電器34の下方に設けられる。
【0029】
図1を参照して、各台車14は、荷台76および複数(この実施形態では、4つ)の車輪78を有する。荷台76は、箱状に形成され、中には荷物等を収納できる。各車輪78は、荷台76の下面の角部に回転可能に取り付けられる。台車14は、車輪24a,24bの駆動ひいては運搬機本体12の移動に伴って、移動される。
【0030】
ついで、図5を参照して、運搬機10の電気的構成について説明する。
【0031】
制御部36には、エンジン発電機20、モータ22a,22b、バッテリ32、電磁石48、傾斜センサ52、回転センサ54,56a,56b、および引力センサ72が接続される。
【0032】
制御部36は、引力センサ72および回転センサ56a,56bの検出結果に基づいて、モータ22a,22bにより生成されるアシスト力を制御する。このとき、制御部36は、引力センサ72および回転センサ56a,56bの検出結果に基づいて、バッテリ32またはエンジン発電機20からの電力をモータ22a,22bに供給し、モータ22a,22bはそれぞれ、与えられた電力に基づいて、車輪24a,24bを駆動するためのアシスト力を生成する。たとえば、制御部36は、バッテリ32の充電量が所定値以上であれば、バッテリ32からの電力をモータ22a,22bに供給し、一方、バッテリ32の充電量が所定値未満になれば、エンジン発電機20を稼働させて電力を発生させ、エンジン発電機20からの電力をモータ22a,22bに供給する。そして、制御部36は、引力センサ72の検出結果が小さいほどアシスト力が大きくなるようにアシスト力を制御するとともに、回転センサ56a,56bの検出結果が所定の移動速度(たとえば4km/h)を超えないようにアシスト力を調整する。これによって、運搬機10の移動速度が、操作者1の通常の歩行速度に近似するように、アシスト力を制御できる。なお、制御部36は、エンジン発電機20で発生した電力をモータ22a,22bに供給しながら、バッテリ32に充電させてもよい。このとき、バッテリ32は、充電器34を介して充電される。
【0033】
また、制御部36は、エンジン発電機20を稼働させると、バッテリ32またはエンジン発電機20からの電流を電磁石48に供給する。電磁石48は、与えられた電流に基づいて磁化し、エンジン発電機20の下面に取り付けられた鉄板50(図2参照)と電磁石48との間には、相互に引き合う力が発生する。これによって、エンジン発電機20が稼働しているときに、エンジン発電機20をフレーム18により確実に保持させることができ、エンジン発電機20が、フレーム18上を移動したり、フレーム18から脱落することを確実に防止できる。図示しないエンジン停止スイッチ等によりエンジン発電機20が停止し、回転センサ54が、エンジン発電機20の回転数が0rpmであることを検出すると、制御部36は、電磁石48への電流の供給を停止する。これによって、電磁石48は、磁化していない状態に戻る。なお、この状態においても、エンジン発電機20は、上述したようにフレーム18から脱落しないようにフレーム18によって保持されている。
【0034】
さらに、エンジン発電機20に設けられた傾斜センサ52が、エンジン発電機20の傾斜角度が所定の角度以上であることを検出すると、制御部36は、たとえば点火電流をカットし、エンジン発電機20の稼働を停止させる。
【0035】
なお、モータ22a,22bへの電力供給に関して、制御部36は、エンジン発電機20の燃料の残量が所定値以上であれば、エンジン発電機20からの電力をモータ22a,22bに供給し、一方、エンジン発電機20の燃料の残量が所定値未満になれば、バッテリ32からの電力をモータ22a,22bに供給するようにしてもよい。
【0036】
また、エンジン発電機20に図示しない選択スイッチを設けておき、操作者1が選択スイッチによってエンジン発電機20またはバッテリ32を選択し、その選択した方からの電力をモータ22a,22bに供給するようにしてもよい。
【0037】
運搬機10は、防災用の他、キャンプやアウトドア活動等にも利用できる。
【0038】
このような運搬機10によれば、操作者1がハンドル部30を把持してエンジン発電機20を牽引して運搬機10を移動させるとき、エンジン発電機20によって発生される電力に基づいて、車輪24a,24bを駆動するためのアシスト力をモータ22a,22bによって生成できる。そして、そのアシスト力によって、車輪24a,24bの駆動がアシストされ、それによってエンジン発電機20を含む運搬機10を移動させるときの操作者1の負担を減少できる。このようなエンジン発電機20は、移動時には自らの移動をアシストするための電源として機能し、移動先では汎用電源として機能する。したがって、エンジン発電機20を、常時所望の場所まで容易に搬送できかつ所望の場所で汎用電源として確実に使用できる。
【0039】
運搬機10を移動させるときにハンドル部30に加えられた力が引力センサ72によって検出され、その検出結果に基づいて、制御部36がモータ22a,22bによって生成されるアシスト力を制御するので、操作者1の操作スキルや体力に応じたアシスト力を得ることができ、必要な距離を快適かつ容易に運搬機10を移動させることができる。
【0040】
ハンドル部30を引いて運搬機1を移動させるので、エンジン発電機20の排気ガスが運搬機10の操作者1に当たりにくくなり、運搬機10を快適に牽引できる。
【0041】
運搬機10の使用環境に応じてエンジン発電機20およびバッテリ32のうち適する方を選択してモータ22a,22bによるアシスト力を生成させることができ、また、電源としてエンジン発電機20とバッテリ32とを備えることによって、アシストによる運搬機10の移動距離を長くできる。また、バッテリ32を所望の場所で汎用電源として使用することもできる。
【0042】
ハンドル部30の下端部に補助輪28a,28bを設け、車輪24a,24bおよび補助輪28a,28bを接地させることによって、ハンドル部30のステアリングが容易になるとともに、エンジン発電機20ひいては運搬機10の姿勢を安定させることができる。
【0043】
複数の台車14に必要な荷物を載せて運搬できる。
【0044】
上述した実施形態では、モータ22a,22bによるアシスト力が、バッテリ32およびエンジン発電機20のいずれかからの電力に基づいて生成される場合について説明したが、これに限定されない。モータ22a,22bによるアシスト力は、エンジン発電機20およびバッテリ32の両方からの電力に基づいて生成されてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、運搬機10が、バッテリ32を含む場合について説明したが、これに限定されない。運搬機は、バッテリ32を含まなくてもよい。この場合、モータ22a,22bによるアシスト力は、エンジン発電機20からの電力に基づいて生成される。
【0046】
上述した実施形態では、運搬機10は、3つの台車14(荷台76)を含む場合について説明したが、これに限定されない。運搬機は、台車14(荷台76)を含まなくてもよいし、1つまたは2つの台車14(荷台76)を含んでもよいし、4つ以上の台車14(荷台76)を含んでもよい。
【0047】
上述した実施形態では、車輪24a,24bはそれぞれ、モータ22a,22bを介してフレーム18に接続される場合について説明したが、これに限定されない。車輪は、回動可能にフレーム18またはエンジン発電機20に直接設けられてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、モータ22a,22bとしてインホイールモータが用いられたが、これに限定されず、その他のモータが用いられてもよい。また、動力部は、モータ22a,22bに限定されず、油圧モータであってもよい。
【0049】
上述した実施形態では、エンジン発電機20を牽引するためにエンジン発電機20に接続されるハンドル部30を用いた場合について説明したが、これに限定されない。エンジン発電機20を押進するためにエンジン発電機20に接続されるハンドル部が用いられてもよい。この場合、検出部(引力センサ72)に代えて、エンジン発電機20を押進するためにハンドル部に加えられた力を検出する検出部が用いられる。
【0050】
エンジン発電機20を牽引または押進するためのハンドル部は、フレーム18またはエンジン発電機20に直接接続されてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、傾斜センサ52が、エンジン発電機20に取り付けられる場合について説明したが、これに限定されない。エンジン発電機20の傾斜角度を検出するモジュールを制御部に内蔵してもよい。
【0052】
上述した実施形態では、運搬機本体12は、2つの車輪24a,24bと、2つの補助輪28a,28bとを含む場合について説明したが、これに限定されない。運搬機本体は、1つの車輪と2つの補助輪とを含んでもよく、また、2つの車輪と1つの補助輪とを含んでもよい。
【0053】
また、回転センサ56a,56bは、必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0054】
10 運搬機
12 運搬機本体
14 台車
20 エンジン発電機
20a 排気口
22a,22b モータ
24a,24b 車輪
28a,28b 補助輪
30 ハンドル部
32 バッテリ
34 充電器
36 制御部
72 引力センサ
図1
図2
図3
図4
図5