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▶ エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】ファスナ組立体
(51)【国際特許分類】
   B65C 7/00 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
B65C7/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017507977
(86)(22)【出願日】2014-12-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-08-31
(86)【国際出願番号】 US2014072911
(87)【国際公開番号】W WO2016025016
(87)【国際公開日】2016-02-18
【審査請求日】2017-09-14
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】14/456,417
(32)【優先日】2014-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517023758
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】シレイル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブロウト チャールズ ジェイ
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】平野 崇
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3765110(US,A)
【文献】特開2003-169731(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128727(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 7/00
G09F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する少なくとも1つの物品に結合されるようになったファスナ組立体であって、該ファスナ組立体は、
(a) 第1のクロスバーを備えるプラスチックファスナと、
(b) 前記プラスチックファスナおよび物品とは別体である剛性の変形しない中実のアンカー部材と、を含み、前記アンカー部材は、該アンカー部材が、前記第1のクロスバーを直接支持し、平らな頂面および平らな底面を含むタブの形態をするようにして、前記プラスチックファスナの前記第1のクロスバーと、前記少なくとも1つの物品の前記第1の面との間に配置されるようになっており、前記第1のクロスバーの寸法形状に対応しており、
前記少なくとも1つ物品は、商品ディスプレーカード、商品タグ正札、若しくは、1つまたはそれ以上の対応する衣類物品を含む、ファスナ組立体。
【請求項2】
前記アンカー部材は、プラスチックで作られている、請求項1に記載のファスナ組立体。
【請求項3】
前記アンカー部材は、正方形、矩形、または、丸形形状である、請求項2に記載のファスナ組立体。
【請求項4】
前記第1のクロスバーは、約0.375インチ(9.53mm)の長さを有する、請求項3に記載のファスナ組立体。
【請求項5】
前記アンカー部材は、約0.375インチ(9.53mm)の長さと、約0.375インチ(9.53mm)の幅と、を有する、請求項4に記載のファスナ組立体。
【請求項6】
前記プラスチックファスナは、
(a) 前記第1のクロスバーに対して間隔を隔てた平行な関係で延びる第2のクロスバーと、
(b) 前記第1のクロスバーと第2のクロスバーを相互連結する横断フィラメントと、をさらに含む、請求項5に記載のファスナ組立体。
【請求項7】
ファスナ分配装置を使用して、プラスチックファスナを少なくとも1つの物品に結合する方法であって、前記ファスナ分配装置は、尖らされた先端を備えた中空のニードルを有し、前記プラスチックファスナは、横断フィラメントに連結された第1のクロスバーを含み、前記少なくとも1つの物品は、第1の面を有する、方法において、該方法は、
(a) 前記プラスチックファスナおよび物品とは別体であり、前記第1のクロスバーを直接支持し、平らな頂面および平らな底面を含み、正方形、矩形、または、丸形形状である剛性の変形しない中実のアンカー部材であって、該アンカー部材の寸法形状が、前記第1のクロスバーの寸法形状に対応するアンカー部材を準備するステップと、
(b) 前記少なくとも1つの物品の前記第1の面に当てて前記アンカー部材の底面を位置決めするステップと、
(c) 前記ファスナ分配装置の前記中空のニードルを使用して、前記アンカー部材および前記少なくとも1つの物品を貫通するステップと、
(d) 前記第1のクロスバーが、前記アンカー部材の前記頂面上に直接横たわるように、前記第1のクロスバーを前記中空のニードルを通して前記尖らされた先端の外に排出するステップと、を含み、
前記前記少なくとも1つ物品は、商品ディスプレーカード、商品タグ正札、若しくは、1つまたはそれ以上の対応する衣類物品を含む、方法。
【請求項8】
前記中空のニードルは、前記アンカー部材の略中央を貫通する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アンカー部材は、プラスチックで作られている、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記アンカー部材は、約0.375インチ(9.53mm)の長さと、約0.375インチ(9.53mm)の幅と、を有する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出典を明示することによってその開示内容が本願の一部とされる2014年8月11日に出願された米国実用新案登録出願第14/456,417号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般的には、小売り産業に関し、さらに詳しくは、小売り産業で使用されるプラスチックファスナに関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックファスナは、2つまたはそれ以上の別個の物品を互いに結合する種々の異なる適用において小売り産業で普通に使用される。例えば、プラスチックファスナは、(i)靴下、手袋等のような1対の相補的な衣類物品を互いに、或いは、(ii)商品タグまたは正札を1つまたはそれ以上の衣類物品(例えば、ジーンズのウエストライン上に折り返された商品正札)に、および、(iii)手持ち物品(例えば、工具またはおもちゃ)をその対応する包装(例えば、平らな厚紙ディスプレーカードの前面に当てて配置されたねじ回し)に結合するのにしばしば使用される。
【0004】
出典を明示することによりその開示内容が本願の一部とされるA.R.Boneに付与された米国特許第4,039,078号には、いくつかの異なるタイプのプラスチックファスナが開示されている。この特許に記載された各プラスチックファスナは、2つの平行クロスバー、または、T-バーが、それらの間で直交して延びている単一の細い可撓性のフィラメントによって相互転結されている略H形形状に作られている。
【0005】
上記のタイプのプラスチックファスナは、ファスナストックの連続的に結合された供給体の一部として一般的に作られており、このファスナストックの連続的に結合された供給体もまた、そのはしご状の外観故に、当業者では一般的にはしごストックと呼ばれている。今、図1を参照すると、PLASTIC STAPLE(登録商標)およびELASTIC STAPLE(登録商標)プラスチックファスナのラインとしてカリフォルニアのAvery Dennison Corporation of Pasadenaによって現在製造および販売されているはしごストックの長さが示されている。わかるように、好ましくは、ナイロン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル等のような、1つまたは2つ以上の材料から作られたはしごストックが示されており、はしごストックは、全体的に参照番号11によって同定されている。はしごストック11は、複数の等距離に間隔を隔てて配置された架橋17によって相互連結されている1対の細長い連続的な側方部材、または、レール13および15を備える。
【0006】
個々のプラスチックファスナ18が、次々の架橋17の略中間で側方部材13および15を切断することによって、はしごストック11から得られる。わかるように、各ファスナ18は、細い可撓性のフィラメント23によって相互連結された1対のクロスバー19および21を備え、クロスバー19および21は、それぞれ、側方部材13および15の部分、並びに、架橋17からなるフィラメント23を備える。
【0007】
自動化されたプラスチックファスナ分配装置または機械が、当業界ではよく知られており、はしごタイプのファスナストックのリールから個々のプラスチックファスナを分配するのに一般的に使用される。例えば、出典を明示することによってその開示内容が本願の一部とされるW.J. Cooperたちに付与された米国特許第8,413,866号には、ST9500(登録商標)ファスナシステムとしてカリフォルニアのAvery Dennison Corporation of Pasadenaによって現在製造および販売されている1つのよく知られたタイプのプラスチックファスナ分配装置が開示されている。
【0008】
使用に際して、上記のタイプのファスナ分配装置を、特に、物品を、その対応する包装に取り付けるために、以下の仕方で使用することができる。詳しくは、物品を包装に当てて配置して、ファスナ分配装置上の1対のニードルを、物品の両側で(すなわち、物品をニードルの両側に位置決めして)包装を通して直線的に打ち込む。次いで、送り機構が、供給はしごストックの各レールを、対応する中空のニードルによって構成された長手方向ボアの背後で軸線方向に整合させる。各レールをそのように配置した状態で、切断機構が、2つの最も下側の架橋の間の略中間で各レールを切断し、それによって、個々のファスナをはしごストックの残部から分離する。個々のファスナをはしごストックから分離した後、排出機構が、分離されたファスナのクロスバーを、中空のニードル対のボアを通して、次いで、ニードルによって事前に貫通された包装を通して排出する。
【0009】
ファスナ排出工程中、各クロスバーを、その対応するニードルによって包装に形成された比較的小さい穴を貫通することを可能にするために、フィラメントに外側部分に対して実質的に平行な関係に捩る。一旦、各クロスバーが、包装に形成された穴を完全に通過した後、プラスチックファスナの弾力構成によって、各クロスバーは、フィラメントに対してその元の特定配向に戻される。したがって、ファスナ分配工程が完了したとき、各略円筒状のクロスバーの内側面は、略直線状の接触領域に沿って包装の1つの面に当たって平らに横たわる。同時に、伸縮性のフィラメントの大部分は、包装の反対側で物品を横切ってきつく延び、それによって、物品を、比較的しっかりした仕方で包装に保持する。
【0010】
今、図2(a)および図2(b)を参照すると、比較的平らな包装25の1つの面に当たって平らに横たわっている分配されたプラスチックファスナ18の1つのクロスバー19が示されている。そのように配置されると、フィラメント23は、対応するファスナ分配ニードルによって包装25に形成された比較的小さい穴27を通して嵌合的に突出し、次いで、包装25の反対側の面25-2に当たって配置された販売のために指定された物品(図示せず)を横切ってしっかりと延びる。この能力において、ぴんと張ったフィラメント23は、物品を包装25にしっかりと取り付ける。
【0011】
小売り産業では、包装25は、ボール紙、合板、厚紙等のような、厚い紙系材料を使用して、一般的に製造される。その紙系構成により、包装25は、性質として特に耐久性ではない。むしろ、意図した、或いは、意図しない仕方で、紙系包装25は、(i)包装25に取り付けられた物品上へのトルクの印加、或いは、(ii)プラスチックファスナ18自身の捩り、引っ張り、若しくは同様な操作のいずれかを通じて、ファスナ18によって容易に引き裂かれ、或いは、その他の仕方で変形され得る。特に、前述した作用により、しばしば、包装25に形成された穴27は、横断面が拡大化される。
【0012】
包装25に形成された穴27の幅が、クロスバー19の長さを越えて広げられると、ファスナ18は、包装25から容易に結合が外され、それによって、販売用の物品が、包装25から分離されることができるようになり、このことは、大変望ましくない。さもなくば、図2(c)に示されているように、包装25に形成された穴27がわずかに拡大化された状態で、顕著な力がフィラメント23に加えられことがあり、すると、クロスバー19が、その略中間箇所で座屈させられる(すなわち、クロスバー19の両端19-1および19-2が、包装25から遠ざかるように曲がり、または、回動する)。ファスナ18の両端に形成された略Y形形状により、上記の状態は、当業界では、一般的に「Y化」と呼ばれている。理解できるように、ファスナ18の両端が、狭いY形形状に座屈された状態で、損傷されたクロスバー19は、包装25に形成された穴27を通してより容易に引っ張られ、それによって、物品が、その包装から容易に分離されることができるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、少なくとも1つの物品に結合されるようになった新しい改良されたファスナ組立体を提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、ファスナ組立体が結合される前記少なくとも1つの物品に形成されたニードルにより形成される小さい穴を通して嵌合的に挿入されるように設計された上記のようなファスナ組立体を提供することである。
【0015】
本発明のさらにもう1つの目的は、ファスナ組立体が結合される少なくとも1つの物品から完全に除去することが困難である上記のようなファスナ組立体を提供することである。
【0016】
本発明のさらにもう1つの目的は、ファスナ組立体が結合される前記少なくとも1つの物品の任意の意図した、或いは、意図しない広がりの作用を最小にする上記のようなファスナ組立体を提供することである。
【0017】
本発明のさらにもう1つの目的は、限定された数の部品を有し、使用することが容易であり、製造する費用が安い上記のようなファスナ組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明の1つの特徴として、第1の面を有する少なくとも1つの物品に結合されるようになったファスナ組立体であって、該ファスナ組立体は、(a)第1のクロスバーを備えるプラスチックファスナと、(b)前記プラスチックファスナとは別体である一体的な中実のアンカー部材と、を含み、前記アンカー部材は、前記プラスチックファスナの前記第1のクロスバーと、前記少なくとも1つの物品の前記第1の面との間に配置されるようになっている、ファスナ組立体が提供される。
【0019】
本発明のもう1つの特徴として、ファスナ分配装置を使用して、プラスチックファスナを少なくとも1つの物品に結合する方法であって、前記ファスナ分配装置は、尖らされた先端を備えた中空のニードルを有し、前記プラスチックファスナは、横断フィラメントに連結された第1のクロスバーを含み、前記少なくとも1つの物品は、第1の面を有する、方法において、該方法は、(a)平らな頂面および平らな底面一体的な中空のアンカー部材を準備するステップと、(b)前記少なくとも1つの物品の前記第1の面に当てて前記アンカー部材の底面を位置決めするステップと、(c)前記ファスナ分配装置の前記中空のニードルを使用して、前記アンカー部材および前記少なくとも1つの物品を貫通するステップと、(d)前記第1のクロスバーが、前記アンカー部材の前記頂面上に直接横たわるように、前記第1のクロスバーを前記中空のニードルを通して前記尖らされた先端の外に排出するステップと、を含む方法が提供される。
【0020】
種々の他の特徴および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、本願の一部を形成する添付の図面が参照され、添付の図面には、例示として、本発明を実施するための実施形態が示されている。説明される実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に記載されており、他の実施形態を使用することができ、本発明の範囲を逸脱することなく、構造的変形を行うことができることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、制限的な意味で取られるべきでなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって最もよく画定される。
【0021】
図面において、同じ参照番号は、同じ部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】当業界で知られた連続的に連結されたはしごストックであって、1つの個々のプラスチックファスナが、はしごストックから分離されて示されているはしごストックの長さの分解正面斜視図である。
図2(a)】ファスナが物品に取り付けられて示されている、図1に示されたファスナの直角端分解斜視図である。
図2(b)】ファスナが物品に取り付けられて示されている、図1に示されたファスナの直角端平面図である。
図2(c)】ファスナは、そのクロスバーが、そのフィラメント上に顕著な力を受けたときに座屈状態になり、フィラメントが通る物品の穴が、横断面で著しく拡張されて示されている図2(a)のファスナの直角端分解斜視図である。
図3】本発明の教示により作られたファスナ組立体であって、物品と共に示されているファスナ組立体の直角端分解斜視図である。
図4図3に示されたファスナ組立体であって、物品に結合されて示されているファスナ組立体の直角端斜視図である。
図5(a)】ファスナ分配装置を使用して物品上に結合する際の種々の段階の1つにおける図3に示されたファスナ組立体の断面図である。
図5(b)】ファスナ分配装置を使用して物品上に結合する際の種々の段階の1つにおける図3に示されたファスナ組立体の断面図である。
図5(c)】ファスナ分配装置を使用して物品上に結合する際の種々の段階の1つにおける図3に示されたファスナ組立体の断面図である。
図6】アンカー部材が物品に接着された、本発明の教示によって作られたファスナ組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図3および図4を今参照すると、本発明の教示によって作られたファスナ組立体が示されており、ファスナ組立体は、全体的に参照番号111によって同定されている。以下でさらに説明するように、ファスナ組立体111は、1つまたはそれ以上の物品にしっかりと信頼できる仕方で結合されるように設計されている。
【0024】
簡単化の目的でのみ、本願では、ファスナ組立体111は、単一の物品113に取り付けられるように示され、以下で詳細に説明されている。しかしながら、ファスナ組立体111は、本発明の精神から逸脱することなく、同様に、2つまたはそれ以上の物品に結合されることもできることを理解すべきである。
【0025】
本例では、物品113は、第1の拡大化された略平らな面113-1、および、第2の拡大化された略平らな面113-2を含む拡大化された略矩形のディスプレーカードとして表わされている。物品113は、本願では、ディスプレーカードとして表わされているので、物品113は、好ましくは、一般的な小売り適用によく適合された適度に剛性の耐久性の包装材料から作られている。例えば、物品113は、プラスチック系材料、または、ボール紙、合板、厚紙等のような紙系材料から作られている。以下で詳細に説明するように、ファスナ組立体111は、たとえ物品113がわずかに引き裂かれ、切り裂かれ、或いはその他の仕方で変形されていたとしても、物品113に信頼できる仕方で取り付けられるように特に設計されており、これは、本発明の原則的な特徴である。
【0026】
物品113は、商品ディスプレーカード、或いは小売り包装の他の同様な形態に限定されないことに留意すべきである。むしろ、物品113は、プラスチックファスナが一般的に結合される任意の1つまたはそれ以上の物品を表わすものと理解すべきである。例えば、物品113は、代替的には、特に、(i)靴下、手袋等のような1対の相補的な衣類物品、或いは、(ii)商品タグ、若しくは正札、および、1つまたはそれ以上の対応する衣類物品(例えば、ジーンズのウエストライン上に折り返された正札)を表わすこともできる。
【0027】
ファスナ組立体111は、プラスチックファスナ115、および、アンカー部材117を含む。以下で詳細に説明するように、アンカー部材117は、物品113とファスナ115との間に配置され、ファスナ分配工程中、物品に形成されたニードル穴を通してプラスチックファスナ115が完全に引き出されること(すなわち、戻り抜け)を防止するように、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエステル、ポリウレタン等のような、剛性のポリマー系材料から作られている。
【0028】
プラスチックファスナ115は、プラスチックファスナ115が、好ましくは、ナイロン、ポリプロピレン、ポリウレタン等のような1つまたはそれ以上の可撓性プラスチック材料から作られるので、個々のプラスチックファスナ18と同様であり、細い可撓性の横断フィラメント121によって相互連結される1対の平行クロスバー119-1および119-2を含む。
【0029】
各クロスバー119は、本願では、横断面が略D字形を有し、0.125インチ(3.18mm)から0.375インチ(9.53mm)の範囲であるのがよい全体長さLを有するものとして表わされている。したがって、ファスナ115は、次々の架橋17の間の略中間点において側方部材13および15を切断することによって、従来技術のはしごストックから容易に得ることができる。このようにして、各クロスバー119は、大変望ましい、在来のファスナ分配装置の対応する中空のニードルを通して排出できるように正しく寸法形状決めされている。
【0030】
しかしながら、各クロスバー119は、特定の寸法および/または形状に限定されないことに留意すべきである。むしろ、各クロスバー119は、本発明の精神から逸脱することなくその寸法形状を変更することができることに留意すべきである。例えば、各クロスバー119は、横断面が略D字形であることもできる。さらに各クロスバー119の長さLは、その意図される用途におけるファスナ115に要求される試験的な強度に応じてより大きくも、或いは、より小さくもすることができる。
【0031】
アンカー部材117は、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンフタレートのような、変形に耐える剛性のプラスチック材料から作られる一体的な中実の板の形態をしている。わかるように、アンカー部材117は、本願では、平らな頂面117-1および平らな底面117-2を含む略正方形形状のタブとして表わされている。
【0032】
しかしながら、アンカー部材117は、正方形形状設計に限定されないことに留意すべきである。むしろ、アンカー部材117は、本発明の精神から逸脱することなく代替形状(例えば、円形の板として)形成することもできることを理解すべきである。例えば、アンカー部材117は、矩形、丸形、正方形等であるのがよい。
【0033】
アンカー部材117は、好ましくは、プラスチックファスナ115のクロスバー119の寸法形状に対応している。例えば、本実施形態では、アンカー部材117は、好ましくは、約0.375インチ(9.53mm)の長さL1 と、約0.375インチ(9.53mm)の幅W1 と、を有する。したがって、アンカー部材の長さL1 および幅W1 は、クロスバーの長さLに略等しいが、クロスバー119の長さLに必ずしも等しい必要はなく、クロスバー119の全体が、アンカー部材117によって直接支持され、物品113によっては支持されておらず、このことは、以下で明らかになる理由のために、大変望ましい。同時に、アンカー部材117は、物品113の全体的外観を損なわないように小さいほとんど認識されない寸法のままである。
【0034】
今、図5(a)-図5(c)を参照すると、ファスナ組立体111は、以下の仕方で物品113に結合されるように設計されている。特に、図5(a)に示されているように、中実のアンカー部材117は、最初にアンカー部材117の底面117-2が物品の第1の面113-1に当たって直接横たわるようにして、物品113に当てて所定位置に配置される。好ましくは、アンカー部材117は、以下に示すように、ファスナ分配装置のニードルが、アンカー部材117の略中央を貫通するように、物品113上に位置決めされる。
【0035】
アンカー部材117が、物品113に当てて位置決めされた状態で、ファスナ分配装置123は、中空のスロット付けされたニードル125が、図5(b)に示されているように物品113およびアンカー部材117に穴127を形成するように、物品113およびアンカー部材117の中央を貫通するように作動される。次いで、ファスナ115の1つのクロスバー119は、ニードル125内の長手方向ボア125-1を通して軸線方向に移動され、次いで、ニードル125の尖らされた先端125-2を通して外に排出される。その後、ニードル125は、アンカー部材117および物品113に形成された穴127から後退される。
【0036】
図5(c)からより明らかにわかるように、ニードル125の後退によって、クロスバー119は、アンカー部材117の面117-2に当たって平らに横たわるようになる。同時に、伸縮性のフィラメント121が 穴127を通してきつく引かれ、物品113の第2の面113-2を横切って(そして、物品113の第2の面上に位置決めされた任意の追加の物品に当たって)きつく延びる。
【0037】
本発明の原則的特徴として、剛性の変形しないアンカー部材117が、ファスナ115のクロスバー119を直接支持する。その結果、たとえ変形可能な紙系物品113が、穴127の横断面を拡張させるように切り裂かれ、或いは引き裂かれたとしても、ファスナ115は、いかなる容易な仕方でも、物品から完全に除去されることはできない。この能力において、アンカー部材117は、目立たない仕方で物品113の構造的一体性(特に穴のまわりの)を保存するのを助ける硬質プラスチックワッシャとして役立つ。
【0038】
上に示した実施形態は、単なる例示的なものとして意図され、当業者は、本発明の精神を逸脱することなく、上に示した実施形態に対して多くの変形および変更を行うことができるはずである。すべてのかかる変形および変更は、添付の特許請求の範囲で画定される本発明の範囲内にあることが意図される。
【0039】
例えば、本願には示されていないけれども、アンカー部材117は、ファスナ分配ニードルを嵌合的に受け入れるように寸法形状決めされた予め形成された中央ボアを含むように作ることができる。したがって、変更されたアンカー部材が物品に正しく当てて位置決めされた状態で、ファスナ分配装置123のニードル125は、中央ボアを好ましく貫通するであろう。その結果、ファスナ分配装置が留めるべき物品に加えてアンカー部材を貫通するために、追加の力をほとんど或いは全く必要としないであろう。
【0040】
図6に示されているもう1つの例では、アンカー部材117は、アンカー部材117の面上で感圧接着剤113aを介して物品113と接触している。この接着剤は、物品113に接着性を提供するであろう。
【符号の説明】
【0041】
111 ファスナ組立体
113 物品
115 プラスチックファスナ
117 アンカー部材
119-1 平行クロスバー
119-2 平行クロスバー
121 横断フィラメント
123 ファスナ分配装置
125 ニードル
127 穴
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6