(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】電解水供給装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
C02F1/461 A
(21)【出願番号】P 2018022363
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】山内 悠平
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-085091(JP,U)
【文献】特開平11-253950(JP,A)
【文献】特開平10-000467(JP,A)
【文献】特開2004-223310(JP,A)
【文献】特開2000-000567(JP,A)
【文献】特開平11-253951(JP,A)
【文献】特開2018-012075(JP,A)
【文献】特開2010-156117(JP,A)
【文献】米国特許第04152238(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46-1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解することによって電解水素水及び電解酸性水を生成する電解水生成装置と、前記電解酸性水を貯えるためのタンクを有する貯水装置と、を備えた電解水供給装置であって、
前記タンクは、
前記電解酸性水を受け入れるための入水口と、
前記タンクに貯えられている前記電解酸性水を取り出すための取水口と、
前記タンク内で予め定められた水位を超える前記電解酸性水を排出するための排水口とを備え、
前記排水口は、前記取水口よりも上方に配され、
前記電解水生成装置は
、
前記電解酸性水を吐出するための電解水吐出口を有し、
前記電解水吐出口が前記タンクの前記入水口と連通され
て、前記電解水吐出口から前記電解酸性水及び前記電解水素水のいずれか一方を選択的に吐出するように構成されており、
前記電解水吐出口と前記入水口とをつなぐ水路を備え、
前記水路には、前記電解水生成装置によって生成された前記電解水素水が前記タンクに侵入することを防げる、弁装置が設けられ、
前記水路を流れる水が、電解水素水か、電解酸性水か、又は電気分解されなかった中性の水か、を特定するための信号を送信する送信手段を有し、
前記貯水装置は、前記電解水生成装置から出力された前記信号を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記信号に基づいて、前記弁装置を制御する制御手段とを有する、
電解水供給装置。
【請求項2】
前記タンクの上方に、前記電解水生成装置を設置するための載置部を備える、請求項1記載の電解水供給装置。
【請求項3】
前記水位は、前記電解水生成装置よりも下方に設定されている、請求項1又は2に記載の電解水供給装置。
【請求項4】
前記電解水生成装置は、前記貯水装置に対して着脱自在である、請求項2記載の電解水供給装置。
【請求項5】
前記電解水生成装置が前記載置部に設置されることにより、前記電解水吐出口が前記タンクの前記入水口と接続されるように構成されている、請求項4記載の電解水供給装置。
【請求項6】
前記送信手段は、無線信号を送信する、請求項5記載の電解水供給装置。
【請求項7】
前記電解水生成装置は、第1電解室及び第2電解室を有する電解槽と、第1電解室及び第2電解室の下流側の流路と前記電解水吐出口との接続を切り替えるための流路切替弁とをさらに有する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電解水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を電気分解することによって生成された電解酸性水を貯える電解水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気分解によって電解水を生成する電解水生成装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
電解水生成装置では、陰極側の電解室で電解水素水が生成され、陽極側の電解室で電解酸性水が生成される。電解水素水は、胃腸症状の改善に優れた効果を発揮するとして注目されている。また、電解水素水は、活性酸素の除去に適しているとして、注目されている。一方、電解水素水を生成する際に副次的に生成される電解酸性水は、通常、排水管から流し台のシンク等に排出されている。
【0004】
上記電解酸性水は、食器の洗浄や洗濯等に用いることができる。このため、環境保護意識の強いユーザーは、たらい等の容器をシンク内に配置し、排水管から排出される電解水を貯め、利用していた。
【0005】
しかしながら、上述した利用形態では、容器から溢れ出る電解酸性水を考慮すると、容器をシンク内に配設する必要があり、シンク内の一部が容器によって占有されるため、シンクの使い勝手が低下する。また、電解水素水を生成するたびごとに上記容器をシンク内に配設し、排水管を容器に接続する場合、その作業が面倒である。さらに、容器に貯えられた電解酸性水を利用する際の使い勝手が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、シンクの使い勝手の低下を抑制しつつ、副次的に生成される電解水を自動的に溜め込んで、容易に利用可能とする電解水供給装置等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電解水供給装置は、水を電気分解することによって電解水素水及び電解酸性水を生成する電解水生成装置と、前記電解酸性水を貯えるためのタンクを有する貯水装置とを備えた電解水供給装置であって、前記タンクは、前記電解酸性水を受け入れるための入水口と、前記タンクに貯えられている前記電解酸性水を取り出すための取水口と、前記タンク内で予め定められた水位を超える前記電解酸性水を排出するための排水口とを備え、前記排水口は、前記取水口よりも上方に配され、前記電解水生成装置は、前記電解酸性水を吐出するための電解水吐出口を有し、前記電解水吐出口が前記タンクの前記入水口と連通されている。
【0009】
前記電解水供給装置において、前記タンクの上方に、前記電解酸性水を生成する電解水生成装置を設置するための載置部を備える、ことが望ましい。
【0010】
前記電解水供給装置において、前記水位は、前記電解水生成装置よりも下方に設定されている、ことが望ましい。
【0011】
前記電解水供給装置において、前記電解水生成装置は、前記電解水吐出口から前記電解酸性水及び前記電解水素水のいずれか一方を選択的に吐出するように構成されており、前記電解水吐出口と前記入水口とをつなぐ水路を備え、前記水路には、前記電解水生成装置によって生成された前記電解水素水が前記タンクに侵入することを防げる、弁装置が設けられている、ことが望ましい。
【0012】
前記電解水供給装置において、前記電解水生成装置は、前記水路を流れる水の性質に関する信号を送信する送信手段を有し、前記貯水装置は、前記電解水生成装置から出力された前記信号を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記信号に基づいて、前記弁装置を制御する制御手段とを有する、ことが望ましい。
【0013】
前記電解水供給装置において、前記電解水生成装置は、前記貯水装置に対して着脱自在である、ことが望ましい。
【0014】
前記電解水供給装置において、前記電解水生成装置が前記載置部に設置されることにより、前記電解水吐出口が前記タンクの前記入水口と接続されるように構成されている、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電解水供給装置は、水を電気分解することによって電解水素水及び電解酸性水を生成する電解水生成装置と、貯水装置と、を備える。貯水装置は、電解酸性水を貯えるためのタンクを備える。タンクは、電解酸性水を受け入れるための入水口と、タンクに貯えられている電解酸性水を取り出すための取水口とを備える。電解水生成装置は、前記電解酸性水を吐出するための電解水吐出口を有し、電解水吐出口はタンクの入水口と連通されている。従って、電解水生成装置によって電解水素水を生成する際に副次的に生成される電解水を、自動的に溜め込んで容易に利用可能となる。従って、たらい等の容器を準備することなく電解酸性水を自動的に貯えることができ、使い勝手がよい。また、貯えられた電解酸性水を取水口から容易に取り出すことができ、使い勝手がよい。
【0016】
また、予め定められた水位を超える電解酸性水を排出するための排水口を備えるので、例えば、排水口から排出される電解酸性水を容易にシンクに導くことが可能となり、電解酸性水を貯えるためのタンクをシンクの外側に配設することが可能となる。さらに、排水口は、取水口よりも上方に配されているので、タンク内に大量の電解酸性水を貯えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態の電解水供給装置の概略構成を示す図。
【
図3】上記電解水供給装置の電解水生成装置の概略構成を示す図。
【
図4】上記電解水生成装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図5】上記電解水供給装置の貯水装置の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1及び2は、本実施形態の電解水供給装置1の概略構成を示している。電解水供給装置1は、貯水装置2と電解水生成装置3とを備えている。
【0019】
電解水供給装置1は、例えば、流し台の水栓10に隣接して配設される。水栓10のスパウト10aの先端部には、蛇口11が装着され、電解水供給装置1と蛇口11とは、ホース12及び13にて接続されている。
【0020】
ホース12は、水栓10から供給される原水を電解水生成装置3に供給する。原水には、一般的には水道水が利用されるが、その他、例えば、井戸水、地下水等を用いることができる。電解水生成装置3は、供給された原水を電気分解して、電解水を生成する。ホース13は、電解水生成装置3にて生成された電解水を蛇口11に戻す。蛇口11には、操作ハンドル11aが設けられ、ユーザーは、操作ハンドル11aを操作することにより、蛇口11から原水又は電解水を吐出することができる。
【0021】
貯水装置2は、その外壁を構成する本体ケース2Cと、電解水生成装置3が水を電気分解することによって生成された電解酸性水を貯えるためのタンク20と、を備える。タンク20は、本体ケース2Cの内部に収容されている。本体ケース2Cは、電解水生成装置3を載置可能な天壁20Tを有している。本体ケース2Cによって天壁20T上に載置された電解水生成装置3の荷重が支持される。本体ケース2Cとタンク20とが一体的に形成されていてもよく、タンク20自体が本体ケース2Cを兼ねるように構成されていてもよい。貯水装置2は、例えば、流し台のシンク100に隣接して配設されている。
【0022】
タンク20は、電解酸性水を受け入れるための入水口21と、タンク20に貯えられている電解酸性水を取り出すための取水口22と、タンク20内で予め定められた水位Hを超える電解酸性水を排出するための排水口23とを備えている。排水口23は、取水口22よりも上方に配されている。これにより、タンク20内に大量の電解酸性水を貯えることができる。
【0023】
入水口21は、タンク20の上部に設けられている。本実施形態では、タンク20の天壁20Tに装着された管継手24によって入水口21が構成されている。入水口21は、例えば、タンク20の天壁20Tに形成された開口であってもよい。タンク20に入水口21が設けられることにより、たらい等の容器を準備することなく、電解酸性水を自動的に貯えることができ、貯水装置2の使い勝手が向上する。
【0024】
取水口22は、タンク20の下部に設けられている。これにより、タンク20に貯えられている電解酸性水が少量である場合であっても、容易に取り出すことが可能となる。取水口22には、取水弁25を介して取水管26が取り付けられている。ユーザーは、取水弁25を適宜操作することにより、タンク20に貯えられている電解酸性水を取水管26から取り出すことができる。すなわち、タンク20に貯えられた電解酸性水は、取水口22及び取水管26から容易に取り出すことができるので、貯水装置2の使い勝手が向上する。なお、取水口22は、タンク20に直接的に接続された取水弁25の先端部に設けられていてもよい。
【0025】
排水口23は、タンク20の上部であって、タンク20の内底面からの水位Hに相当する高さに設けられている。水位Hは、タンク20内の高さ以下の値として予め定められている。これにより、入水口21から水位Hを超える電解酸性水が供給されたとき、排水口23から排出される。これにより、タンク20の内底面からの水位は、常にH以下に維持され、電解酸性水がタンク20から流し台等に溢れたり、電解水生成装置3に逆流したりすることがない。従って、排水口23から排出される電解酸性水を容易にシンク100に導くことが可能となり、電解酸性水を貯えるためのタンク20をシンク100の外側に配設することができ、シンク100の使い勝手が向上する。
【0026】
本実施形態では、排水口23には、排水管27が装着されている。排水管27は、排水口23からシンク100の側壁等に亘って配されている。これにより、タンク20内で水位Hを超える電解酸性水を、容易かつ確実にシンク100に導くことが可能となる。
【0027】
本実施形態の貯水装置2は、電解水生成装置3を設置するための載置部28を備えている。載置部28は、タンク20の上方に配されている。載置部28は、例えば、貯水装置2の天壁2Tに設けられている。これにより、電解水供給装置1の設置に要する面積が縮小され、キッチン等でのレイアウトの自由度が高められる。また、電解水生成装置3からタンク20に至る水路の水圧を高めることなく、電解酸性水が、電解水生成装置3からタンク20に自然に落下し流入する。
【0028】
なお、載置部28は、タンク20自体に設けられていてもよい。この場合、本体ケース2Cの上部は開放され、タンク20は、電解水生成装置3を支持できるように強化される。
【0029】
貯水装置2と電解水生成装置3とは、着脱自在に設置されているのが望ましい。これにより、貯水装置2と電解水生成装置3とが、それぞれ単独でも使用可能となり、組み合わせても使用可能となる。
【0030】
図3は、電解水生成装置3の概略構成を示している。
図4は、電解水生成装置3の電気的構成を示している。電解水生成装置3は、水を電気分解することによって、電解水素水及び電解酸性水を生成する。電解水生成装置3は、浄水カートリッジ31と、電解槽32とを備える。
【0031】
浄水カートリッジ31は、水路61を介してホース12と接続されている。浄水カートリッジ31は、ホース12から供給された原水を浄化して、電解槽32に供給する。
【0032】
電解槽32には、電解室40が形成されている。電解室40は、隔膜43によって第1電解室40aと第2電解室40bとに区分される。浄水カートリッジ31と電解室40とは、水路62を介して接続されている。水路62は、二方に分岐して、浄水カートリッジ31によって浄化された浄水を第1電解室40a及び第2電解室40bに導く。
【0033】
電解室40に流入した浄水は、電解室40で電気分解される。電解室40の内部には、互いに極性が異なる第1給電体41及び第2給電体42が対向して配置されている。
【0034】
第1給電体41と第2給電体42との間には隔膜43が配設されている。隔膜43は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)親水膜によって構成されている。
【0035】
隔膜43は、電解室40を第1給電体41側の第1電解室40aと第2給電体42側の第2電解室40bとに区分する。隔膜43を介して第1給電体41と、第2給電体42とが電気的に接続される。
【0036】
第1給電体41及び第2給電体42のうち、一方は陽極給電体として適用され、他方は陰極給電体として適用される。電解室40の第1電解室40a及び第2電解室40bの両方に水が供給され、第1給電体41及び第2給電体42に直流電圧が印加されることにより、電解室40内で水の電気分解が生ずる。
【0037】
例えば、
図3に示される状態では、第1給電体41には正の電荷が帯電し、第1電解室40aは、陽極室として機能している。一方、第2給電体42には負の電荷が帯電し、第2電解室40bは、陰極室として機能している。すなわち、第2電解室40bでは電気分解により発生した水素ガスが溶け込んだ還元性の電解水素水が、第1電解室40aでは電気分解により発生した電解酸性水がそれぞれ生成される。
【0038】
第1給電体41及び第2給電体42に印加される電圧の極性は、制御手段51によって制御される。第1給電体41及び第2給電体42の極性が適宜切り替えられることにより、第1給電体41及び第2給電体42が陽極給電体又は陰極給電体として機能する機会が均等化される。これにより、第1給電体41及び第2給電体42等へのスケールの付着が抑制される。
【0039】
以下、本明細書では、特に断りのない限り、第1給電体41が陽極給電体として、第2給電体42が陰極給電体として、それぞれ機能している場合が説明される。
【0040】
電解槽32の下流側には、流路切替弁63が設けられている。流路切替弁63は、電解槽32の下流側の流路、すなわち、第1電解室40a及び第2電解室40bと水路64及び65との接続、を切り替える。流路切替弁63は、制御手段51によって制御される。
【0041】
制御手段51は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)及びCPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリ等を有している。制御手段51の各種の機能は、CPU、メモリ及びプログラムによって実現される。
【0042】
制御手段51は、第1給電体41及び第2給電体42に印加する電圧の極性と、流路切替弁63の動作を同期して制御することにより、第1給電体41及び第2給電体42等へのスケールの付着を抑制しつつ、水路64から電解水素水を水路65から電解酸性水をそれぞれ吐出しうる。
【0043】
水路64は、ホース13と接続されている。これにより、陰極側の第2電解室40bで生成された電解水素水がホース13を介して、蛇口11に戻される。
【0044】
水路65は、電解水生成装置3のフレーム(図示せず)等に固定され、貯水装置2のタンク20に向ってのびている。水路65の先端部には、電解水吐出口65aが設けられている。電解水吐出口65aは、タンク20の入水口21と連通されている。これにより、陽極側の第1電解室40aで生成された電解酸性水は、タンク20に回収され、再利用可能となる。
【0045】
上記水位Hは、電解水生成装置3の電解水吐出口65aよりも下方に設定されている。これにより、タンク20から溢れる水が電解水吐出口65aに逆流することが抑制される。
【0046】
貯水装置2は、電解水吐出口65aと入水口21とをつなぐ水路29を備えている。水路29によって、電解水吐出口65aから吐出される電解酸性水が、より確実にタンク20に回収される。
【0047】
電解水生成装置3は、例えば、制御手段51が第1給電体41及び第2給電体42に印加される電圧の極性を切り替えることにより、水路64及びホース13を介して電解酸性水を吐出可能である。このとき、電解水吐出口65aからは、電解水素水が吐出される。すなわち、電解水吐出口65aは、電解酸性水及び電解水素水のいずれか一方を選択的に吐出する。
【0048】
貯水装置2の天壁2Tは、電解水生成装置3の底部に対応する形状に形成されているのが望ましい。例えば、
図1、2に示されるように、天壁2Tには、電解水生成装置3の底部33に対応する凹部80が形成されている。さらに凹部80には、電解水生成装置3の突起状の脚部34が嵌合される孔81が形成されている。これにより、貯水装置2の載置部28に電解水生成装置3を搭載する際に、底部33が凹部80にガイドされ、電解水生成装置3を容易に設置することが可能となる。そして、脚部34と孔81との嵌合により、電解水生成装置3が貯水装置2の所定の場所に、正確に位置決めされる。
【0049】
さらに、例えば、
図1及び2に示されるように、電解水吐出口65aが入水口21又は入水口21から上方にのびる水路29の内部に収容されるように構成されていてもよい。本実施形態では、脚部34と孔81との嵌合により、貯水装置2に対して電解水生成装置3が正確に位置決めされるので、電解水生成装置3が貯水装置2の載置部28に設置されることにより、電解水吐出口65aが入水口21又は入水口21から上方にのびる水路29の内部に収容され、電解水吐出口65aと入水口21とが容易に接続される。従って、煩わしい管の接続作業が不要となる。
【0050】
そこで、電解水吐出口65aと接続される水路29には、弁装置(図示せず)が設けられているのが望ましい。弁装置は、電解水生成装置3によって生成された電解水素水がタンク20に侵入することを防げるように機能する。弁装置は、例えば、三方弁によって構成できる。弁装置には、電解水吐出口65aから吐出される電解水素水をシンク100にバイパスさせるためのバイパス水路(図示せず)が接続されている。これにより、タンク20には、電解酸性水のみを貯えることができる。弁装置には、ダックビル弁等も適用されうる。この場合、バイパス水路は、弁装置の上流側の水路29に配される。
【0051】
バイパス水路は、貯水装置2の天壁2T又はタンク20の天壁20Tに形成することができる。例えば、天壁2T等に凹状の溝を設けることにより、バイパス水路が構成されうる。また、天壁2T又は天壁20Tの一部を盛り上げることにより、バイパス水路が構成されていてもよい。
【0052】
弁装置は、手動によって水路を切り替える構成とすることができる。弁装置を手動とすることにより、貯水装置2の構成を簡素化し、コストダウンを図ることができる。
【0053】
また、弁装置は、電力を動力源とする電磁弁にて構成することもできる。この場合、弁装置は、自動で制御されうる。
【0054】
図5は、自動で制御される弁装置を含む貯水装置2のブロック図である。この貯水装置2と対応する電解水生成装置3は、
図4にて示される。
【0055】
電解水生成装置3は、水路29を流れる水の性質に関する信号を送信する送信手段53を有している。「水の性質に関する信号」とは、水路29を流れる水が、電解水素水か、電解酸性水か、又は電気分解されなかった中性の水(浄水)か、を特定するための信号である。水路29を流れる水は、電解水吐出口65aから吐水される水であり、制御手段51は、第1給電体41及び第2給電体42に印加される電圧の極性並びに流路切替弁63の状態から上記水の性質を特定し、送信手段53から上記信号を送信させる。
【0056】
一方、貯水装置2は、受信手段72と、制御手段71と、を有している。送信手段53と受信手段72とは、有線又は無線によって通信可能に構成されている。受信手段72は、電解水生成装置3の送信手段53から出力された上記信号を受信する。
【0057】
制御手段71は、制御手段51と同様にCPU等によって構成される。制御手段71は、受信手段72が受信した上記信号に基づいて、水路29を流れる水の性質を特定し、弁装置73を制御する。これにより、自動的に弁装置73が制御され、電解水素水がタンク20に流入することが妨げられる。
【0058】
以上、本発明の電解水供給装置1及び貯水装置2が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、貯水装置2は、少なくとも、水を電気分解することによって生成された電解酸性水を貯えるためのタンク20を備え、タンク20は、電解酸性水を受け入れるための入水口21と、タンク20に貯えられている電解酸性水を取り出すための取水口22と、タンク20内で予め定められた水位Hを超える電解酸性水を排出するための排水口23とを備えていればよい。
【0059】
また、電解水供給装置1は、少なくとも、貯水装置2と、水を電気分解することによって、電解水素水及び電解酸性水を生成する電解水生成装置3とを備え、電解水生成装置3は、電解酸性水を吐出するための電解水吐出口65aを有し、電解水吐出口65aがタンク20の入水口21と連通されていればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 :電解水供給装置
2 :貯水装置
3 :電解水生成装置
20 :タンク
21 :入水口
22 :取水口
23 :排水口
28 :載置部
29 :水路
51 :制御手段
53 :送信手段
65a :電解水吐出口
71 :制御手段
72 :受信手段
73 :弁装置
H :水位