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特許7037399電子診療記録の更新中にデータを保存する方法、プログラム、及びコンピューターシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】電子診療記録の更新中にデータを保存する方法、プログラム、及びコンピューターシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/20 20180101AFI20220309BHJP
【FI】
G16H30/20
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018053751
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019091396
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】15/708,713
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518032971
【氏名又は名称】コニカ ミノルタ ヘルスケア アメリカズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 寛之
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506926(JP,A)
【文献】特開2013-065216(JP,A)
【文献】特開2013-242745(JP,A)
【文献】特開2008-204378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子診療記録の更新中にデータを保存する方法であって、
コンピューターが、
第1のソースから、前記電子診療記録の第1のデータフィールドに書き込まれる第1の電子診療記録データを取得することと、
第2のソースから、前記電子診療記録の第2のデータフィールドに書き込まれる第2の電子診療記録データを取得することと、
前記第1及び第2の電子診療記録データを書き込む前後の前記電子診療記録の比較に基づいて、前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なるか否かを判断することと、
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第1及び第2のデータフィールドに、それぞれ前記第1及び第2の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得ることと、
を有する、方法。
【請求項2】
コンピューターが、
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが同一であると判断した場合に、前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であるか否かを判断することと、
前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第のデータフィールドに、前記の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得ることと、
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンピューターが、
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが同一であると判断した場合に、前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であるか否かを判断することと、
前記第1及び第2の電子診療記録データが互いに異なると判断した場合に、前記第1及び第2のソースにコンフリクトを通知することと、前記第1のソースから、前記第1及び第2の電子診療記録データの1つを前記電子診療記録の前記第1のデータフィールドに保存する選択診療記録データとして特定する、コンフリクトを解消する入力を取得することと、前記第2のソースに前記コンフリクトの解消について通知することと、を有するコンフリクトの解消を行うことと、
前記電子診療記録の前記のデータフィールドに保存する選択電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得ることと、
を更に有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
コンピューターが、
前記電子診療記録の他のコピーを前記更新済み電子診療記録と同期することを更に有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記電子診療記録の他のコピーの少なくとも1つが、ローカルリポジトリ上にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電子診療記録の他のコピーの少なくとも1つが、ローカルリポジトリと同期する中央リポジトリ上にある、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記中央リポジトリが、クラウドベースである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のソースが、前記電子診療記録にデータを入力するユーザーである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のソースが、前記電子診療記録の第1のコピーを有する第1のローカルリポジトリであり、
前記第2のソースが、前記電子診療記録の第2のコピーを有する第2のローカルリポジトリであり、
記更新済み電子診療記録が、中央リポジトリに保存されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の電子診療記録データが、患者の属する層のデータ及び患者の病歴の要素からなる群から選択される少なくとも1つを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピューターに、電子診療記録の更新中にデータを保存する動作を実行させるためのプログラムであって、
前記動作は、
第1のソースから、前記電子診療記録の第1のデータフィールドに書き込まれる第1の電子診療記録データを取得することと、
第2のソースから、前記電子診療記録の第2のデータフィールドに書き込まれる第2の電子診療記録データを取得することと、
前記第1及び第2の電子診療記録データを書き込む前後の前記電子診療記録の比較に基づいて、前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なるか否かを判断することと、
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第1及び第2のデータフィールドに、それぞれ前記第1及び第2の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得ることと、
を有する、プログラム。
【請求項12】
前記コンピューターに
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが同一であると判断した場合に、前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であるか否かを判断することと、
前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第のデータフィールドに、前記の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得ることと、
を有する動作を更に実行させるための請求項11に記載のプログラム
【請求項13】
前記コンピューターに
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが同一であると判断した場合に、前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であるか否かを判断することと、
前記第1及び第2の電子診療記録データが互いに異なると判断した場合に、前記第1及び第2のソースにコンフリクトを通知することと、前記第1のソースから、前記第1及び第2の電子診療記録データの1つを前記電子診療記録の前記第1のデータフィールドに保存する選択診療記録データとして特定する、コンフリクトを解消する入力を取得することと、前記第2のソースに前記コンフリクトの解消について通知することと、を有するコンフリクトの解消を行うことと、
前記電子診療記録の前記のデータフィールドに保存する選択電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得ることと、
を有する動作を更に実行させるための請求項11又は12に記載のプログラム
【請求項14】
前記コンピューターに、前記電子診療記録の他のコピーを前記更新済み電子診療記録と同期することを有する動作を更に実行させるための請求項11~13のいずれか一項に記載のプログラム
【請求項15】
前記電子診療記録の他のコピーの少なくとも1つが、ローカルリポジトリと同期する中央リポジトリ上にある、請求項14に記載のプログラム
【請求項16】
電子診療記録の更新中にデータを保存するコンピューターシステムであって、前記コンピューターシステムは、
中央サーバーと、
中央サーバーに付随する中央リポジトリと、を有し、
前記中央サーバーは、
第1のソースから、前記電子診療記録の第1のデータフィールドに書き込まれる第1の電子診療記録データを取得し、
第2のソースから、前記電子診療記録の第2のデータフィールドに書き込まれる第2の電子診療記録データを取得し、
前記第1及び第2の電子診療記録データを書き込む前後の前記電子診療記録の比較に基づいて、前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なるか否かを判断し
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第1及び第2のデータフィールドに、それぞれ前記第1及び第2の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得る、コンピューターシステム。
【請求項17】
前記中央サーバーは、更に、
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが同一であると判断した場合に、前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であるか否かを判断し
前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第のデータフィールドに、前記の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得る、請求項16に記載のコンピューターシステム。
【請求項18】
前記中央サーバーは、更に、
前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが同一であると判断した場合に、前記第1及び第2の電子診療記録データが同一であるか否かを判断し、
前記第1及び第2の電子診療記録データが互いに異なると判断した場合に、前記第1及び第2のソースにコンフリクトを通知し、前記第1のソースから、前記第1及び第2の電子診療記録データの1つを前記電子診療記録の前記第1のデータフィールドに保存する選択診療記録データとして特定する、コンフリクトを解消する入力を取得し、前記第2のソースに前記コンフリクトの解消について通知する、コンフリクトの解消を行い、
前記電子診療記録の前記のデータフィールドに保存する選択電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得る、請求項16又は17に記載のコンピューターシステム。
【請求項19】
前記中央サーバーは、更に、前記電子診療記録の他のコピーを前記更新済み電子診療記録と同期する、請求項16~18のいずれか一項に記載のコンピューターシステム。
【請求項20】
前記電子診療記録の他のコピーの少なくとも1つが、ローカルリポジトリと同期する中央リポジトリ上にある、請求項19に記載のコンピューターシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医用画像やその他の医療データを含む電子診療記録は、患者の診断に重要な役割を果たしている。医療施設(例えば病院)では、電子的に保存された診療記録の有益性が認識されるようになっている。医用画像及びデータをデジタル化すると、ユーザーが医用画像及び医療データに容易にアクセスできるようになるだけでなく、複数の医療施設の間で画像及びデータを容易に共有することができるようになる。
【0002】
医療産業では、画像保管通信システム(「PACS」)と呼ばれるシステムの使用が、医用画像の保存及びアクセスに便利であることから一般的になりつつある。一般的に、PACSには多数の装置が含まれ、これらが協働して、コンピューター断層撮影(CT)、核磁気共鳴映像法(MRI)、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、超音波、X線等の様々な撮像モダリティにより生成された医用画像をデジタル的に取得、保存、管理、配布及び表示する。PACSによれば、内部及び外部で取得されたあらゆる種類の画像を、様々な医療施設で共有することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より最近では、従来のPACSの効率及びアクセス性を改善する手段として、クラウドベースのPACSが出現している。一般に、「クラウド」とは、様々な場所にある複数のコンピューター及びデバイスに、コンピューティングリソース及びデータへの遠隔かつオンデマンドのアクセスをインターネット経由で提供するオンライン記憶システムと理解することができる。クラウドベースPACSは、様々な場所にある遠隔またはオフサイトのデータセンターを医用画像の保存に用いるベンダーによって提供されうる。
【0004】
上記のコンセプトは、画像データに限られない。例えば、臨床検査及び結果等のあらゆる種類の医療データを、同様の方法で取得し、加工し、保存しうる。一般的に、上記のコンセプトは、あらゆる種類の画像データ及び/またはあらゆる種類の非画像データを含みうる、あらゆる種類の電子診療記録に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概して、一つの側面によると、本発明は、電子診療記録の更新中にデータを保存する方法であって、コンピューターが、第1のソースから、前記電子診療記録の第1のデータフィールドに書き込まれる第1の電子診療記録データを取得することと、第2のソースから、前記電子診療記録の第2のデータフィールドに書き込まれる第2の電子診療記録データを取得することと、前記第1及び第2の電子診療記録データを書き込む前後の前記電子診療記録の比較に基づいて、前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なるか否かを判断することと、前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第1及び第2のデータフィールドに、それぞれ前記第1及び第2の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得ることと、を有する方法に関する。
【0006】
概して、一つの側面によると、本発明は、コンピューターに、電子診療記録の更新中にデータを保存する動作を実行させるためのプログラムであって、前記動作は、第1のソースから、前記電子診療記録の第1のデータフィールドに書き込まれる第1の電子診療記録データを取得することと、第2のソースから、前記電子診療記録の第2のデータフィールドに書き込まれる第2の電子診療記録データを取得することと、前記第1及び第2の電子診療記録データを書き込む前後の前記電子診療記録の比較に基づいて、前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なるか否かを判断することと、前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第1及び第2のデータフィールドに、それぞれ前記第1及び第2の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得ることと、を有する。
【0007】
概して、一つの側面によると、本発明は、電子診療記録の更新中にデータを保存するコンピューターシステムであって、前記コンピューターシステムは、中央サーバーと、中央サーバーに付随する中央リポジトリと、を有し、前記中央サーバーは、第1のソースから、前記電子診療記録の第1のデータフィールドに書き込まれる第1の電子診療記録データを取得し、第2のソースから、前記電子診療記録の第2のデータフィールドに書き込まれる第2の電子診療記録データを取得し、前記第1及び第2の電子診療記録データを書き込む前後の前記電子診療記録の比較に基づいて、前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なるか否かを判断し前記第1のデータフィールドと前記第2のデータフィールドが異なると判断した場合に、前記電子診療記録の前記第1及び第2のデータフィールドに、それぞれ前記第1及び第2の電子診療記録データを受け入れて、更新済み電子診療記録を得る、コンピューターシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の1つ以上に係るシステムの模式図を示す。
図2】本発明の実施形態の1つ以上に係る電子診療記録の例を示す。
図3】本発明の実施形態の1つ以上に係るコンフリクトを起こした電子診療記録が含まれる状況の例を示す。
図4】本発明の実施形態の1つ以上に係る、電子診療記録の同期中にコンフリクトしたデータを保存する方法のフローチャートを示す。
図5】本発明の実施形態の1つ以上に係る、コンフリクトの解消を行う方法のフローチャートを示す。
図6】本発明の実施形態の1つ以上に係るコンピューターシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、添付の図面を参照しながら具体的な実施形態を詳細に説明する。一貫性を保つため、各図面における類似の要素には、類似の参照番号を付している。簡便のため、すべての図において類似の要素に符号を付しているわけではない。
【0010】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明には、本発明のより完全な理解のために、多数の細部が具体的に記載されている。しかし、当業者であれば、これらの具体的な細部が無くとも本発明を実施しうることが明らかであろう。また、説明が不必要に複雑になるのを避けるため、周知の特徴については詳細に記載しないこととした。
【0011】
本出願を通して、序数(第1、第2、第3等)は、要素(すなわち、本出願におけるあらゆる名詞)の形容詞として用いうる。序数の使用は、例えば「前」、「後」、「単数の」や、その他の用語を使用して明示的に開示されていない限り、要素の特定の序列を示唆するものでも、要素に特定の序列をつけるものでもなく、ある要素を単数に限定するものでも無い。つまり、序数の使用は、要素の区別を目的としている。例えば、第1の要素は、第2の要素と区別され、また、第1の要素は、2つ以上の要素であってもよく、要素の順序付けとしては第2の要素の後(または前)であってよい。
【0012】
文脈上明確に示されていない限り、単数形の「a」、「an」及び「the」は、複数も対象として含まれると理解すべきである。よって、例えば「水平ビーム(a horizontal beam)」への言及には、1つ以上のビームへの言及が含まれる。
【0013】
「おおよそ」、「実質的に」等の用語は、記載される特徴、パラメータまたは値が正確に達成される必要が無いことを意味し、例えば許容度、測定誤差、測定の精度限界及びその他の当業者に公知の要因等を含む偏差または変動が、その特徴により得られるとされる効果を阻害しない程度で起こりうることを意味する。
【0014】
フローチャートに示す工程は、その1つ以上について、省略され、繰り返され、及び/または記載とは異なる順序で実行されうることを理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、フローチャートに示す具体的な工程順に限定されると解するべきではない。
【0015】
多項従属項は導入していないものの、本発明の1つ以上の実施形態についての従属項の主題を、他の従属項と組み合わせうることは、当業者にとって明らかであろう。
【0016】
概して、本発明の実施形態の1つ以上によれば、電子診療記録の更新及び保存や、電子診療記録のローカルからクラウドへの同期を行うよう構成され、当該更新及び/または同期中に発生しうるコンフリクトに対処する機構を備えた、方法、非一時的なコンピューター読み取り可能な記録媒体及びシステムが提供される。「コンフリクト」は、一般的に、複数の関係者が1つの電子診療記録を編集することにより起こりうるもので、診療記録データの不一致または不適合を引き起こしうる。本発明の実施形態の1つ以上に係るクラウドベースのシステム、例えばPACSによれば、クラウドのデータリポジトリまたはデーターベース(「クラウドリポジトリ」)へのアクセスが許可されたすべての医療施設、例えば同じ病院グループ内の施設において、医用画像及び/または他のデータを共有することが可能となる。医用画像及び/または他のデータは、電子診療記録に保存されうる。医療施設は、「ネットワーク内の」(すなわち、クラウドリポジトリの同一部分へのアクセスが許可された)他の医療施設において得られた患者の医用画像及び/または他のデータにアクセスして、それを取得することができる。具体的には、本発明の実施形態の1つ以上によれば、ネットワーク内の医療施設は、クラウドベースPACSをより効果的に利用して、ネットワーク内の複数の医療施設を頻繁に訪れる患者(すなわち、ネットワーク内の2箇所以上の医療施設で共有または共通の患者)について、医用画像及び/または他のデータを共有し、更新することができる。データのコンフリクトは、例えば、2箇所の医療施設が電子診療記録にアクセスして、当該電子診療記録に対して異なる操作が行われた時に起こりうる。例えば、ボブという名の患者が、眼科及び皮膚科を訪れる状況について検討する。眼科医は、彼の名を含むボブの基本患者情報を確認し、既存のボブの電子診療記録に更に診断結果を入力する。入力された情報は、ローカルに保存される。その後、ボブが皮膚科を訪れると、そこでもボブの基本患者情報が確認される。皮膚科医は、ボブを、ジョンという名の別の患者と間違えて、ボブの電子診療記録中の名前を「ジョン」に更新する。その結果、情報のコンフリクトが起こる。これは、最終的には、眼科医及び皮膚科医のオフィスのコンピューターシステムにローカル保存された電子診療記録が、中央クラウドリポジトリに同期される時に検出される。
【0017】
複数の関係者により電子診療記録が編集されると、いずれの場合もコンフリクトが発生する可能性がある。しかし、複数の編集が必ずしもコンフリクトを引き起こすわけではない。例えば、ある関係者が名前を編集する一方で、他の関係者が生年月日を編集する場合、どちらの変更も許可されて、自動的に更新済の電子診療記録に併合される。本発明から逸脱しない範囲で、ローカル及び/またはクラウドベースの電子診療記録に対して、更にいかなる編集をも行いうる。よって、コンフリクトの可能性は、即座に(例えば、1つのローカルまたは中央の電子診療記録が2人の関係者により直接編集された時)、または遅れて(例えば、電子診療記録の複数のローカルコピーになされた変更が、当該電子診療記録の中央のコピー(例えばクラウドベースのコピー)に同期される時)生じうる。
【0018】
本発明の実施形態の1つ以上は、こうした状況に対してコンフリクトの解消を提供するものである。コンフリクトの検出後、コンフリクトしている情報を提供した関係者は、通知を受けて、保存すべき正しい電子診療記録を特定する情報を提供するよう求められる。その後、本発明の実施形態の1つ以上によれば、正しいと確認された電子診療記録データにより、リポジトリが更新される。
【0019】
しかし、関係者によりなされた編集が、コンフリクトの解消を行わずに電子診療記録に併合することができるものである場合は、自動併合が行われ、更新済みの電子診療記録が得られる。コンフリクトの解消が更新済み電子診療記録の利用の遅れに繋がる一方、自動併合では、遅滞なく更新済み電子診療記録が生成されうる。
【0020】
図1は、本発明の実施形態の1つ以上に係るシステム(100)を示す。システム(100)は、クラウドリポジトリ(114)を備えるクラウドサーバー(112)を有するクラウド(110)を有する。実施形態の1つによれば、システムは、さらに複数のサイト(120A~120N)を有する。各サイトは、例えば公立または私立の病院、医療クリニック、歯科クリニック、医院等の医療施設である。各サイト(120A~120N)は、ローカルサーバー(122A~122N)(例えば、アプリケーションプロキシサーバー(APS))及びローカルリポジトリ(124A~124N))を備えうる。複数の各ローカルサーバー122A~122Nは、クラウドサーバー(112)へのアクセス/閲覧が許可されていてよい。クラウドサーバー(112)上のリモートデータへのアクセス権に加えて、特定のローカルサーバー(122A~122N)は、リモートデータの編集権も持っていてよい。
【0021】
図1にも示すように、システム(100)の各医療施設は、ローカルサーバー(122A~122N)と組み合わされた1つ以上のユーザーコンピューター装置(126A~126N)(ここでは「ローカルコンピューター」と称する)を有する。ローカルコンピューター(126A~126N)は、パーソナルコンピューター(PC)、ラップトップ、モバイルコンピューター装置(例えば、タブレットPC、スマートフォン等)、サーバー、メインフレーム、キオスク等であってよい。
【0022】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、クラウドリポジトリ(114)を備えるクラウドサーバー(112)は、クラウドベースPACSを提供するベンダーまたはそうしたベンダーと関連する別のサードパーティーによって運用されうる。本発明の実施形態の1つ以上によれば、クラウドサーバー(112)は、アプリケーション及び情報の処理を行う現実の及び/または仮想のコンピューターインフラストラクチャーである。例えば、クラウドサーバー(112)は、インターネットを介してリモートアクセスされる仮想または実際のサーバーであってよい。実施形態の1つ以上によれば、クラウドリポジトリ(114)は、データのオンラインリポジトリである。例えば、クラウドリポジトリは、インターネットを介してリモートアクセスされる仮想データルーム(VDR)またはデータベース(またはデータベース群)であってよい。クラウドリポジトリ(114)には、複数の電子診療記録が記憶される。クラウドリポジトリ(114)は、例えばディレクトリとして構築されていてよく、あるいは、例えばPACS内の多数の電子診療記録を格納するよう構成されたデータベースであってもよい。
【0023】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、クラウドサーバー(112)は、ローカルサーバー(122A~122N)から送信された医用画像及び/または他のデータを受け取り、それら医用画像及び/または他のデータをクラウドリポジトリ(114)にリモートデータとして保存するよう構成されている。
【0024】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、各ローカルサーバー(122A~122N)は、それが付随する医療施設により運用される。ローカルサーバー(122A~122N)は、ローカルコンピューター(126A~126N)から受け取った医用画像及び/または他のデータを、クラウドサーバー(112)上のクラウドリポジトリ(114)に送信するよう構成されている。各ローカルリポジトリ(124A~124N)は、それが付随する医療施設により運用・保守される。ローカルリポジトリ(124A~124N)は、ローカルサーバー(122A)及びクラウドリポジトリ(114)から受け取った医用画像及び/または他のデータをローカルで保存しうる。
【0025】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、ローカルコンピューター(126A~126N)は、それぞれの医療施設の医療専門家により運用され、医療施設内の1つ以上のモダリティ(図示せず)から取得した医用画像及び/または他のデータをローカルサーバー(122A~122N)に送信するよう構成されている。本発明の実施形態の1つ以上によれば、ローカルコンピューター(126A~126N)は、ローカルサーバー(122A~122N)として構成されうる。本発明の実施形態の1つ以上によれば、ローカルコンピューター(126A~126N)の1つ以上は、ローカルリポジトリ(124A~124N)も有していてもよい。
【0026】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、ローカルコンピューター(126A~126N)は、クラウド(110)を運営するベンダーにより提供されるアプリケーションを記憶するよう構成されている。本発明の実施形態の1つ以上によれば、アプリケーションは、ベンダーと関連するサードパーティーにより提供されうる。アプリケーションは、独立したソフトウェアアプリケーションであるか、またはローカルコンピューター(126A~126N)からクラウド(110)へのアクセスを可能にするグラフィカルユーザーインターフェース(「GUI」)を備えるウェブブラウザーベースのアプリケーションであってよい。
【0027】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、図1に示すシステム(100)の例では、ネットワーク内の複数の医療施設(120A~120N)が、クラウド(110)と相互に通信しうる。図1に示すように、ネットワーク内の医療施設は、ローカルで取得した医用画像及び/または他のデータをクラウド(110)に送信し、それらを他のネットワーク内の医療施設がアクセス可能なリモートデータとしてクラウドリポジトリ(114)に保存しうる。本発明の実施形態の1つ以上によれば、ネットワーク内の医療施設は、医用画像及び/または他のデータをクラウド(110)から取得し、それらをそれぞれのローカルリポジトリ(124A~124N)にローカルデータとして保存しうる。
【0028】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、クラウドリポジトリ(114)に保存されているリモートデータの全てを、ネットワーク内の医療施設が取得してローカルデータとして保存する必要はない。ローカルデータとして取得され保存されるリモートデータは、そのサイズや医療施設での必要性によって、あるいはローカルコンピューター(126A~126N)の設定(またはローカルコンピューターを使用する医療専門家による設定)によって様々であってよい。例えば、ネットワーク内のある医療施設は、その施設の患者である特定の個人に基づいて、リモートデータを取得し、ローカルリポジトリ(124A~124N)にローカルデータとして保存しうる。よって、特定の個人がネットワーク内の特定の医療施設の患者ではない場合、当該医療施設は、当該患者の医用画像及び/または他のデータを、ローカルデータとしてクラウド(110)から取得し保存しなくてもよい。これは、記憶装置や処理能力が限られる小規模なローカルサーバー(122A~122N)及びローカルリポジトリ(124A~124N)を備える小規模な医療施設にとって特に有益でありうる。本発明の実施形態の1つ以上によれば、ネットワーク内のある医療施設は、当該施設の患者である特定の個人に基づくのではなく、特定の医用検査、医用シリーズ、医用画像または医用レポートに基づいて、リモートデータをローカルリポジトリ(124A~124N)にローカルデータとして取得し保存してもよい。
【0029】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、ネットワーク内の各医療施設におけるローカルコンピューター(126A~126N)のユーザーは、クラウドサーバー(112)に記憶されているウェブブラウザーベースのバージョンのアプリケーションを介して、クラウドリポジトリ(114)に保存されている医用画像及び/または他のデータを閲覧しうる。ユーザーは、ローカルコンピューター(126A~126N)に記憶されているローカルバージョンのアプリケーションを介しても、画像を閲覧しうる。例えば、医療専門家は、ローカルリポジトリ(124A~124N)に保存されたローカルデータのいずれかが、ネットワーク内の他の医療施設に属する別の医療専門家により更新されたかどうかを判断し、クラウドリポジトリ(114)から更新されたデータを取得して現在のローカルデータと置き換えてもよい。実施形態の1つ以上によれば、こうしたローカルデータの更新は、例えばローカルコンピューター(126A~126N)に記憶されたアプリケーションを通して、システム(100)によって自動的に行われてもよい。
【0030】
例えば、ある個人は、ネットワーク内の複数の医療施設の患者でありうる。ネットワーク内のこれらの各医療施設は、その個人の医用画像及び/または他のデータをローカルデータとして保存しうる。本発明の実施形態の1つ以上によれば、ネットワーク内の医療施設の1つによって、その個人の医用画像及び/または他のデータがクラウドリポジトリ(114)において更新されると、その個人が患者であるネットワーク内の他の医療施設は、自動的にその個人の更新済みの画像及び/または他のデータを取得(同期)して、ローカルリポジトリ(124A~124N)のローカルデータを最新の状態に保ちうる。このクラウドリポジトリ(114)の自動更新及び/または関連するローカルリポジトリ(124A~124N)の同期は、個人の医用画像及び/または他のデータがクラウド上で更新されるたびに行われても、あるいは所定の間隔で行われてもよい。
【0031】
ネットワーク内の1つ以上の医療施設とクラウド(110)との間の接続は、時折切断されうる。この状態では、アプリケーションは、接続が切れた医療施設において影響を受けたローカルコンピューター(126A~126N)及びローカルサーバー(122A~122N)を自動的に設定して、これらがローカルリポジトリ(124A~124N)に保存されているローカルデータにアクセスするようにする。本発明の実施形態の1つ以上によれば、接続が切れた医療施設では、接続が切れている間に取得されたり更新されたりした医用画像及び/または他のデータは、引き続きローカルリポジトリ(124A~124N)に保存され続ける。これにより、接続が切れた医療施設を、クラウド(110)からの切断に起因するダウンタイムを被ること無く、連続的に稼働することができる。
【0032】
そして、接続が切れた医療施設とクラウド(110)との接続が再度確立されると、再接続された医療施設のローカルコンピューター(126A~126N)及びローカルサーバー(122A~122N)は、ローカルリポジトリに保存されている、接続が切れている間に取得されたり更新されたりした全ての医用画像及び/または他のデータをクラウド(110)に送信するようアプリケーションによって設定されうる。そうした医用画像及び/または他のデータは、新たなリモートデータとしてクラウドリポジトリ(114)に保存されうる。クラウド(110)が再接続された医療施設からの医用画像及び/または他のデータにより更新される際、ネットワーク内の他の施設のローカルコンピューター(126A~126N)に記憶されているアプリケーションは、それぞれのローカルリポジトリ(124A~124N)を新たなリモートデータで自動的に更新しうる。
【0033】
当業者であれば、システム(100)の構造が、図1に示す構成要素に限定されないことに気づくであろう。例えば、サーバー(112)及びリポジトリ(114)は、クラウドベースである必要はない。代わりに、クラウドサーバー(112)及びクラウドリポジトリ(114)は、それぞれいかなる種類の中央サーバー及び中央リポジトリであってもよい。例えば、医療サービス提供者のネットワークが、独自のサーバー及びリポジトリを保持していてもよく、これらはクラウドベースであっても無くてもよい。また、システム(100)は、本発明から逸脱しない範囲で、いかなる数、サイズ、種類のサイト(120A~120N)を有していてもよい。また、本発明の実施形態に係るシステムは、完全に中央サーバー無しで動作しうる。そのようなシステムは、多数のローカルリポジトリを有しうるが、単一のローカルリポジトリのみを有してもよい。
【0034】
図2は、本発明の実施形態の1つ以上に係る電子診療記録の例を示す。この電子診療記録は、クラウドリポジトリ及び/または1つ以上のローカルリポジトリに保存されうる。よって、この電子診療記録の例は、センターまたはローカルの電子診療記録でありうる。本発明の実施形態の1つによれば、電子診療記録は、特定の患者に特有のものであり、少なくとも患者記述子(202)及び1つ以上の検査(study)(210A~210N)を含む。次に、これらの要素について説明する。
【0035】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、患者記述子(202)には、性別、年齢、住所等の基本患者情報または患者の属する層(patient demograpihcs)が含まれる。患者記述子には、更に患者固有の患者IDが含まれる。患者記述子(202)には、患者に関連するが検査(210A~210N)に特有ではない他のいかなる種類の情報が更に含まれていてもよい。
【0036】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、患者検査には、例えば咽頭痛や骨折等といった、患者の懸念事項または患者の問題点の情報が含まれる。患者の懸念事項/問題点を理解し及び/またはそれに対処するために、診断及び/または治療行為が行われうる。例えば、診断画像が撮影されうる。こうした画像は、後述するように逐次保存されうる。
【0037】
図2の診療記録の例には画像の保存のみしか記載されていないが、当業者であれば、診断及び/または治療行為に関する他の医療データも、本発明から逸脱しない範囲で電子診療記録に保存しうることがわかるであろう。以下のリストは、患者に行いうる非限定的な検査の例である。
身体検査 -患者の体の診査及び観察であり、一般的に、聴診、触診、手技(manipulation)、調査(probing)及び患者が行った感覚及び運動課題の結果が含まれる。
臨床検査 -血液、尿、だ液、痰、便等の容易に得られる検体の化学的、顕微鏡的及び微生物学的分析。これらは、現場で処理されるか、臨床検査施設に送られる。
医用画像 -X線、コンピューター断層撮影(CT)、核磁気共鳴映像法(MRI)、超音波(US)、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、インピーダンストモグラフィー、放射性同位体画像化等の専用の装置を用いて、身体組織の平面または3D描写を得る。一般的に、これらでは、患者を撮像装置に送る必要がある。
電気生理学 -心電図検査(ECG)、脳波記録(EEG)、筋電図検査(EMG)等の専用の機器を用いて生理的機能に関連する電気信号を測定する。一般的に、これらでは、患者を測定機器に送る必要がある。
機能試験 (患者に早歩き、深呼吸、排尿等の特定の課題を行わせながら様々な特殊な検査を行うことにより、様々な生理機能を評価することができる。)通常、これらでは患者を専門の研究施設に送る必要がある。
【0038】
上記の行為の各例は、患者に対して診断及び/または治療目的で行われうる。そして、各行為は電子診療記録に検査(210A~210N)として記録される。
【0039】
本発明の実施形態の1つによれば、検査(210A~210N)には、例えば診断/治療行為の説明及び行為の結果が含まれる。行われた行為の種類によって、検査に含まれる記録は本発明から逸脱しない範囲で変化しうる。
【0040】
図2に示す検査の例(210A)には、患者に行われた撮像方法の記録が含まれる。例えば、患者が股関節骨折で緊急治療室に運ばれたと仮定する。股関節骨折を正しく診断するために、一シリーズのX線像が撮影される。後に、治癒過程を評価するために、複数のシリーズの画像が追加で撮影されうる。
【0041】
本発明の実施形態の1つによれば、検査には、検査記述子(212)及び1つ以上のシリーズ(series)(220)が含まれる。検査記述子(212)には、行われた/行われる検査の記述データが含まれる。検査記述子は、管理のためのものであってよく、また、医師または他の医療専門家が検査に関連する情報を得られるようにするものであってよい。本発明の実施形態の1つによれば、検査記述子(212)には、固有の識別子(ID)、受入番号、検査記述及び/または検査日が含まれる。当業者であれば、検査記述子(212)には他のあらゆる種類の検査に関連する記述データが更に含まれうることがわかるであろう。
【0042】
本発明の実施形態の1つによれば、固有IDは、検査に固有の識別子として機能する。例えば、固有IDは、ランダムまたは体系的に生成された英数字であってよい。固有IDには、検査を行う医師または看護師の名前、あるいは検査に関連する他のあらゆる情報がさらに含まれうる。
【0043】
本発明の実施形態の1つによれば、受入番号は、検査の識別子として機能する。受入番号は、検査が行われた時、または検査が電子診療記録に記録された時に生成されうる。受入番号は、10進数、英数字コードまたは検査の識別に好適な他のあらゆる種類の識別子であってよい。
【0044】
検査記述は、行われている検査の一般的な説明を提供しうる。上記の股関節を骨折した患者の例では、検査記述には、「股関節骨折」と記載されてよく、股関節骨折を正しく診断するために行われるまたは行われた画像撮影についての詳細を特定するものである必要はない。検査日は、検査がオーダーされる/オーダーされた日付、検査が行われる/行われた日付、特定のシリーズの検査が行われる/行われた日付等であってよい。
【0045】
前述のように、本発明の実施形態の1つ以上によれば、検査には、1つ以上のシリーズ(220)が含まれる。上記の股関節を骨折した患者の例では、時間の経過に伴い複数のシリーズが生成されうる。例えば、最初のシリーズであるX線像は、股関節骨折の診断のために生成されうる。その後、複数の追加の検査が、例えば治癒の経過を評価するために生成されうる。
【0046】
本発明の実施形態の1つによれば、シリーズ(220)には、シリーズ記述子(222)及び1枚以上の画像(230)が含まれる。シリーズ記述子(222)には、画像(230)の記録に用いられうるあらゆる種類のデータが含まれうる。例えば、シリーズ記述子には、モダリティ(例えば、X線画像またはCT画像が撮影された旨の記載)、撮影された身体の部位、側性(撮影箇所の情報を提供する)等が含まれる。シリーズ記述子には、固有ID(前述)がさらに含まれうる。シリーズの固有IDは、検査を識別するための固有IDとは異なるものであってよい。
【0047】
1枚以上の画像(230)は、いかなる種類の医用画像であってよい。股関節を骨折した患者の例では、画像は、X線画像またはCT画像であってよい。これらの画像は、医療で一般に用いられるフォーマット、例えば、DICOM規格、及び/または一般的なTIFF、JPEG等の圧縮または非圧縮フォーマット等のその他のあらゆる画像フォーマットを含むいかなるフォーマットで保存されていてもよい。
【0048】
本発明の実施形態の1つによれば、画像(230)は、画像記述子(232)を伴う。画像記述子は、固有ID、画像番号、画像圧縮の情報、行と列の情報、写真が撮影された日付等の画像に特有の情報を提供するものである。
【0049】
患者データは、図2では患者診療記録の形式で保存されているが、本発明から逸脱しない範囲で、他の形式でも保存されうる。例えば、画像通信保管システム(PACS)では、完全な電子診療記録は存在しなくてよい。また、本発明の実施形態は、画像データに加えてまたは画像データに代えて、非画像データの保存にも同様に好適である。また、電子診療記録を用いて患者データを保存するシステムの場合、電子診療記録には、臨床行為及びその結果を記録するフィールド等の追加セクションが含まれうる。こうした結果には、診断情報が含まれうるが、これは、例えばICD-9またはICD-10等の国際疾病分類(ICD)を用いてコード化されていてもよい。また、電子診療記録中のあらゆるデータは、暗号化または非暗号化形式のいずれでも保存されうる。
【0050】
以下の電子診療記録についての記載では、電子診療記録中のあらゆる入力データに対して、用語「電子診療記録データ」が用いられる。こうした入力データは、画像またはあらゆる他の情報であってよく、例えば、患者の名前や診断等の患者情報が含まれうる。患者の電子診療記録中の全ての電子診療記録データが完全であることにより、その患者の病歴の記録が形作られる。電子診療記録データは、電子診療記録のデータフィールドに書き込まれ、また、そこから読み取られる。電子診療記録データに複数の要素(例えば、画像及びシリーズ記述子の要素)が含まれる場合、これらの各要素は、別個のデータフィールド(すなわち、画像に対してデータフィールドが1つ、シリーズ記述子の各要素につきデータフィールドが1つ存在する)に書き込まれ、また、そこから読み取られる。
【0051】
図3は、本発明の実施形態の1つ以上に係る、電子診療記録データのコンフリクトが含まれる状況の例を示す。
【0052】
クラウドサーバー(112)のクラウドリポジトリ(114)に多くの電子診療記録が中央保存されているシステム(100)について検討する。各電子診療記録レコードは、固有の患者と関連付けられている。また、ある患者の電子診療記録が、例えば当該患者が2つのサイト(120A、120B)を訪れることから、これらのサイトで共有されていると仮定する。したがって、中央の電子診療記録(300C)は、両方のサイト(300A、300B)により取得されて、ローカルリポジトリ(124A、124B)にローカル電子診療記録(300A1、300B1)として保存される。ローカル電子診療記録(300A1~300B1)は、例えば医師によりローカルコンピューター(126A~126B)を介して編集されない限り、対応する中央の電子診療記録(300C)と同一である。
【0053】
ここで、ユーザー1及びユーザー2の2人の関係者が、この電子診療記録にアクセスしていると仮定する。ユーザーがローカルコピーに変更を加える前であれば、これらは、クラウドリポジトリ(114)に保存された中央の診療記録(300C)と同一である。よって、これらローカルコピーを、「原ローカル電子診療記録」(300A1、300B1)と称する。そして、原ローカル電子診療記録(300A1)は、例えば医師であるユーザー1により編集され、患者名が「ボブ」から「ジョン」に更新されると、編集済みローカル電子診療記録(300A2)となる。よって、編集済みローカル電子診療記録(300A2)は、中央の電子診療記録(300C)と同一ではない。ローカル電子診療記録(300A2)の変更をシステム(100)全体で確実に利用できるようにするには、中央の電子診療記録(300C)をローカル電子診療記録(300A2)と同期することが必要である。
【0054】
また、原ローカル電子診療記録(300B1)は、例えば医師であるユーザー2により編集され、患者の生年月日が更新されると、編集済みローカル電子診療記録(300B2)となる。よって、編集済みローカル電子診療記録(300B2)は、中央の電子診療記録(300C)と同一ではない。ローカル電子診療記録(300B2)の変更をシステム(100)全体で確実に利用できるようにするには、中央の電子診療記録(300C)をローカル電子診療記録(300B2)と同期することが必要である。
【0055】
編集済みローカル電子診療記録(300A2)及び編集済みローカル電子診療記録(300B2)からの情報を用いて中央の電子診療記録(300C)を同期すると、結果としてローカル電子診療記録(300A2、300B2)が自動的に併合されて更新済み電子診療記録が形成され、これが中央の電子診療記録(300C)として保存されることとなる。
【0056】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、同期作業はいつ行われてもよい。より具体的には、中央の電子診療記録の対応するローカル電子診療記録との同期は、例えばローカル電子診療記録が編集された後に、スケジュールされた間隔、例えば毎時間ごとまたは1日のある時間等に行われうる。同期は、負荷に合わせて、例えばシステムの負荷が軽い時に更に行われてもよい。あるいはまたはそれに加えて、同期は、トリガーイベントが検出された時に行われうる。こうしたトリガーイベントとしては、ローカル電子診療記録が編集されたことの検出、ローカル電子診療記録と対応する中央の電子診療記録との間の内容の相違の検出、ローカル電子診療記録を持つサイトとクラウドとの間のデータ接続の検出(例えば、こうしたデータ接続は、中断の後に回復される。)及び/またはユーザーによる同期の要求、例えば医師によるローカルコンピューターを用いたローカル電子診療記録へのアクセスの検出、がありうる。
【0057】
本発明の実施形態の1つ以上によれば、同期作業は、電子診療記録全体について行われても、電子診療記録の1つ以上の要素について行われてもよい。図3に示す上記の同期の例では、同期において患者名のみが更新されてもよいし、あるいは電子診療記録全体または電子診療記録の一部が更新されてもよい。
【0058】
図3の状況例は、中央の電子診療記録、例えばクラウドベースの電子診療記録の更新を示すものだが、本発明から逸脱しない範囲で、更新済み電子診療記録は、ローカルリポジトリ上にあってもよい。電子診療記録が完全にクラウドベースであるか、ローカルコピーを伴うクラウドベースであるか、それとも完全にローカルであるかにかかわらず、電子診療記録の更新は同様に行われうる。
【0059】
図4は、本発明の実施形態の1つ以上に係るフローチャートを示す。本発明の実施形態の1つ以上によれば、図4に記載の処理は、電子診療記録の同期中における、コンフリクトしていないデータ及びコンフリクトしているデータの保存に用いられうる。図4の1つ以上のステップは、図1を参照して上述したシステム(100)の構成要素により実行されうる。本発明の実施形態の1つによれば、図4に示すステップは、コンフリクト解消エンジン(図示せず)により実行され、これは、コンピューター装置、例えば図6のコンピューター装置と同様であってよいクラウドサーバー(112)において実行される。よって、コンフリクト解消エンジンには、図4の方法を実行するソフトウェア命令が含まれうる。図4のステップの1つ以上は、ローカルまたは中央のリポジトリ上の電子診療記録が更新される時に常に実行されうる。フローチャートでは、2つのソースから提供されるコンフリクトしたデータの扱いを説明しているが、当業者であれば、コンフリクトしたデータは、本発明から逸脱しない範囲で、いかなる数のソースから取得されたものであってもよい。
【0060】
本発明の実施形態の1つ以上において、図4に示す工程は、その1つ以上について、省略され、繰り返され、及び/または図4の記載とは異なる順序で実行されうる。したがって、本発明の範囲は、図4に示す具体的な工程順に限定されると解するべきではない。
【0061】
ステップ400において、電子診療記録データを、第1のローカルソースから取得する。第1のローカルソースは、電子診療記録にデータを入力する第1のユーザーであるか、または中央の診療記録と同期されるローカル電子診療記録であってよい。取得した電子診療記録データは、ローカルで保存されている患者の完全な電子診療記録であるか、あるいは電子診療記録の1つ以上の要素であってよい。本発明の実施形態の1つによれば、取得した電子診療記録データは、中央の診療記録に由来するが、第1のユーザーによって編集されている。電子診療記録データは、例えば第1のユーザーが電子診療記録データを電子診療記録に入力した時に、自動的に取得してもよい。あるいは、電子診療記録データは、ローカルユーザーによる電子診療データの中央リポジトリとの同期の要求等のトリガーイベントの発生に応じて取得してもよく、あるいは、(例えば、周期的にリポジトリ間の同期を行うよう構成されたシステムにおいて)事前に定めた時間の経過後に取得してもよい。あるいは、電子診療記録データは、クラウドサーバーが、電子診療記録用のローカルリポジトリと組み合わされたローカルサーバーに問い合わせることにより取得してもよい。
【0062】
ステップ402において、電子診療記録データを第1のローカルソースとは異なる第2のローカルソースから取得する。第1のローカルソースと同様に、第2のローカルソースも、ユーザーまたはローカルに保存された電子診療記録であってよい。本発明の実施形態の1つによれば、取得した電子診療記録データは、中央の診療記録に由来するが、第2のユーザーにより編集されている。本発明の実施形態の1つによれば、第1及び第2のローカルソースから取得した電子診療記録データは、同一の患者のものであり、当該患者の電子診療記録の同一のまたは異なるデータフィールドに関するものである。ステップ400及び402は、いつ実行されてもよい。具体的には、ステップ400及び402は、同時にまたは逐次実行されうる。
【0063】
ステップ404において、第1及び第2の電子診療記録データが、電子診療記録の同一のデータフィールドを対象としているかどうかを判断する。この判断は、第1及び第2の電子診療記録データを書き込む前後の電子診療記録の比較に基づいて行われる。この比較により、第1及び第2の電子診療記録データの書き込みにより影響を受けるそれぞれのデータフィールドが示されうる。異なるデータフィールドが対象である、言い換えれば第1及び第2のデータフィールドが異なると判断された場合、処理は、ステップ406の実行に進む。しかし、第1及び第2のデータフィールドが同一である場合、処理はステップ408の実行に進む。
【0064】
ステップ406において、第1及び第2の電子診療記録データを、それぞれ電子診療記録の第1及び第2データフィールドに書き込む。言い換えれば、第1及び第2の電子診療記録データは、自動的に電子診療記録に併合されて、更新済み電子診療記録となる。
【0065】
ステップ404に戻り、第1及び第2のデータフィールドが同一であると判断された場合、処理はステップ408に進んでよく、第1及び第2の電子診療記録データが同一であるかどうかを判断する。第1及び第2の電子診療記録データが同一であった場合、処理はステップ406に進み、(データは同一であるため)第1及び第2の電子診療記録データのいずれかを対象とするデータフィールドに書き込む。
【0066】
ステップ408に戻り、第1及び第2の電子診療記録データが異なると判断された場合、処理はステップ410に進む。
【0067】
ステップ410では、コンフリクトの解消を行って、第1及び第2の電子診療記録データのいずれを電子診療記録に書き込むかの判断を可能にする。本発明の実施形態によれば、コンフリクトの解消では、保存用に選択された診療記録データが特定される。コンフリクトの解消の詳細を、図5に記載する。
【0068】
ステップ412において、選択された電子診療記録データを電子診療記録に書き込み、更新済み電子診療記録を得る。
【0069】
ステップ414では、電子診療記録データが更新済み電子診療記録に保存されると、更新済み電子診療記録が他の場所、例えばクラウドリポジトリに配布される。例えば、更新済み電子診療記録は、ローカルに保存されている場合は、中央と同期されて、そこから他の場所へと配布される。
【0070】
当業者であれば、図4に示す処理の実行における様々なステップの時間間隔は、様々であることがわかるであろう。前述したように、第1及び第2の電子診療記録データの取得は同時にまたは逐次起こりうる。また、コンフリクトは、第2の電子診療記録データを受け取った直後に検出されるか、あるいは、例えば第1及び第2の電子診療記録データが即座に比較されなかった場合などは、後になって検出される。これは、中央リポジトリの更新が固定スケジュールに基づいて行われるシステムにおいて起こりうる。
【0071】
図5は、本発明の実施形態の1つ以上に係るコンフリクトの解消処理のフローチャートを示す。
【0072】
ステップ500において、それぞれ第1及び第2の電子診療記録データを提供した第1及び第2のソースに、コンフリクトが通知される。通知を受けるソースは、コンフリクトしている第1及び第2の電子診療記録データを入力したユーザーであってよい。例えば、通知は、eメールのメッセージ、ポップアップウインドウ、例えば携帯装置に送信されるテキストメッセージ、またはコンフリクトを伝えるのに好適ないかなる種類のメッセージであってよい。あるいはまたはそれに加えて、通知は、サードパーティー、例えばコンフリクトの解消を専門に行う人物に送られてもよい。第1と第2のユーザーによるコンフリクトしている電子診療記録データの入力とコンフリクトの検出との間には時間差があることから、コンフリクトの通知についても、コンフリクトしている電子診療記録データが入力された後、直ちにユーザーに送られるわけではない。
【0073】
ステップ502において、ステップ500において連絡した関係者の1人から、コンフリクトを解消する入力が得られる。例えば、第2の電子診療記録データを入力したユーザーから、通知に対する応答が得られうる。応答は、種々の方法により提供されうる。通知がポップアップウインドウにより提供された場合、当該ポップアップウインドウには電子診療記録データのコンフリクトしている2つのバージョンが示され、さらにユーザーが電子診療記録に保存するバージョンを選択できるようになっていてもよい。あるいは、コンフリクトの通知に応答したユーザーが、電子診療記録データを入力したインターフェース、例えばウェブクライアントに返答して、入力した電子診療記録データを確定または編集しうる。
【0074】
ステップ504において、ステップ502において得たコンフリクトを解消する入力に基づいて、電子診療記録に保存する電子診療記録データを選択する。
【0075】
ステップ506において、他の関係者に、電子診療記録に保存する電子診療記録データを通知する。例えば、ステップ502において、第2のユーザーからコンフリクトを解消する入力が得られたとすると、第1のユーザーに、第2のユーザーによる選択を通知する。通知は、例えばポップアップウインドウ、eメールまたはテキストメッセージとして提供しうる。あるいは、編集履歴に、選択された電子診療記録データ及び/または選択されなかった電子診療記録データを記録してもよい。編集履歴は、第1及び第2のユーザーを含むユーザーグループによりアクセス可能であってよい。編集履歴を通知として使用する場合、ユーザーへの通知の送付は不要である。
【0076】
図6は、本発明の実施形態の1つ以上に係るコンピューターシステムを示す。本発明の実施形態は、使用されるプラットフォームにかかわらず、実質的にいかなる種類のコンピューターシステム上で実行されてもよい。例えば、コンピューターシステムは、1つ以上のモバイル機器(例えば、ラップトップコンピューター、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント、タブレットコンピューターまたは他のモバイル機器)、デスクトップコンピューター、サーバー、サーバーシャーシのブレードまたは他のあらゆる種類のコンピューター装置であってよく、あるいは、少なくとも本発明の実施形態の1つ以上を実行するための最小限の処理能力、メモリー、出入力装置を備える装置であってよい。例えば、図6に示すように、コンピューターシステム(600)は、1つ以上のコンピュータープロセッサー(602)、付随するメモリー(604)(例えば、ランダムアクセスメモリー(RAM)、キャッシュメモリー、フラッシュメモリー等)、1つ以上の記憶装置(606)(例えば、ハードディスク、コンパクトディスク(CD)ドライブまたはデジタルバーサタイルディスク(DVD)ドライブ等の光学ドライブ、フラッシュメモリースティック等)及び他の多数の要素及び機能部を有する。コンピュータープロセッサー(602)は、指示を実行するための集積回路であってよい。例えば、コンピュータープロセッサーは、プロセッサーの1つ以上のコアまたはマイクロコアであってよい。コンピューターシステム(600)は、1つ以上の入力装置(610)も有し、これは、タッチスクリーン、キーボード、マウス、マイクロフォン、タッチパッド、電子ペン、または他のあらゆる種類の入力装置等である。また、コンピューターシステム(600)は、1つ以上の出力装置(608)を有し、これは、スクリーン(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、タッチスクリーン、陰極線管(CRT)モニター、プロジェクターまたはその他のディスプレイ装置)、プリンター、外部記憶装置またはその他のあらゆる出力装置等である。出力装置の1つ以上は、入力装置と同一であっても異なっていてもよい。コンピューターシステム(600)は、ネットワークインターフェイス接続(図示せず)を介して、ネットワーク(612)(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN)、モバイルネットワークまたは他のあらゆる種類のネットワーク)に接続されうる。出入力装置は、コンピュータープロセッサー(602)、メモリー(604)及び記憶装置(606)に、ローカルまたはリモート(例えば、ネットワーク(612)を介して)で接続されうる。コンピューターシステムは様々な異なる種類が存在し、上記の出入力装置は、他の形態であってもよい。
【0077】
本発明の実施形態を実行するためのコンピューター読み取り可能なプログラムコードの形態のソフトウェア命令は、その全部または一部が、一時的または永久的に、CD、DVD、記憶装置、ディスケット、テープ、フラッシュメモリー、物理メモリーまたは他のあらゆるコンピューター読み取り可能な記憶媒体等の非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体に記憶されうる。具体的には、ソフトウェア命令は、プロセッサーにより実行されると本発明の実施形態を実行するように構成された、コンピューター読み取り可能なプログラムコードに相当しうる。
【0078】
また、上記のコンピューターシステム(600)の要素の1つ以上が、遠隔地に位置し、ネットワーク(612)を介して他の要素と接続されていてもよい。また、本発明の実施形態の1つ以上は、複数のノードを有する分散システムにおいて実施されてもよく、本発明の各部分は、分散システム内の異なるノード上に位置しうる。本発明の実施形態の1つによれば、ノードは、別個のコンピューター装置である。あるいは、ノードは、付随の物理メモリーを備えるコンピュータープロセッサーに相当しうる。あるいは、ノードは、共有メモリー及び/またはリソースを備えるコンピュータープロセッサーまたはコンピュータープロセッサーのマイクロコアに相当しうる。
【0079】
本発明の様々な実施形態は、以下の利点の1つ以上を有する。コンフリクトを解消する機構が利用可能であることから、診療記録データの併合が可能な場合には、自動的に併合を行うことが可能になる。自動的な併合によって、例えば同期することで全ネットワークに渡って即座に配布可能な更新済みの電子診療記録が得られる。従って、データの入力後ほぼ瞬時に更新済みデータが利用可能となりうる。コンフリクトの解消が利用可能であることから、ある関係者が電子診療記録を編集する際に、診療記録をロックする必要がなく、第2の関係者は、当該電子診療記録を同時に編集しうる。クラウドサーバーに加えてローカルサーバーを組み合わせた自動併合及びコンフリクト解消の方法により、電子診療記録の利用しやすさが改善されうる。これらのローカルサーバーには、クラウドサーバー上に中央で保存されている電子診療記録のコピーが保存されていてよい。本発明の実施形態の1つ以上に係る自動併合とコンフリクトの解消により、コンフリクトが起こった場合でも、ローカルと中央とで保存されている電子診療記録間の同期が確実に維持される。したがって、例えばクラウドサーバーと1つ以上のローカルサーバーとの間のネットワーク接続が切れた場合に、ユーザーは、クラウドサーバー上のコピーではなく電子診療記録のローカルコピーにアクセスできることから、遅延が最小化され、利用しやすさが増す。
【0080】
以上、限られた数の実施形態により本発明を説明したが、本開示の利益を受ける当業者であれば、ここに開示される発明の範囲から逸脱しない範囲で、他の実施形態を考案できることがわかるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によってのみ限定されるべきものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6