(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】吸気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/04 20060101AFI20220309BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20220309BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20220309BHJP
A61L 9/18 20060101ALI20220309BHJP
F03D 9/11 20160101ALI20220309BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20220309BHJP
F24F 8/167 20210101ALI20220309BHJP
【FI】
F24F7/04 A
F24F7/10 Z
A61L9/00 C
A61L9/18
F03D9/11
F24F7/003
F24F8/167
(21)【出願番号】P 2018059636
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康智
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-286384(JP,A)
【文献】特開2002-327944(JP,A)
【文献】特開2002-276999(JP,A)
【文献】特開2002-310470(JP,A)
【文献】特開2005-307610(JP,A)
【文献】特開平07-239141(JP,A)
【文献】特開2005-270748(JP,A)
【文献】特開2011-085336(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101590265(CN,A)
【文献】中国実用新案第201469719(CN,U)
【文献】台湾実用新案第M363568号明細書(TWU-M363568),2009年08月21日,第4頁第7行-第6頁最終行,第1-5図
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04
F24F 7/10
A61L 9/00
A61L 9/18
F03D 9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外と屋内とを連通する吸気風路に、光触媒フィルタと、前記吸気風路における屋外側から屋内側への通風により発電する風力発電部と、該風力発電部からの給電により前記光触媒フィルタに光を照射する光源と、が配設され
、
屋外からの吸気は自然吸気で行い、屋内からの排気を換気装置で行う3種換気での24時間換気が採用された建物の外壁に、前記吸気風路が形成されている吸気システム。
【請求項2】
前記光触媒フィルタと前記光源と前記風力発電部は、前記吸気風路に対して屋内側に露出する状態で脱着自在に設けられる屋内側ユニットに組付けられている請求項1記載の吸気システム。
【請求項3】
前記光触媒フィルタと前記光源と前記風力発電部は、この順番で前記吸気風路の屋内側から屋外側に配設される状態で前記屋内側ユニットに組付けられている請求項2記載の吸気システム。
【請求項4】
前記屋内側ユニットの屋内側部位には、前記光源の光を屋内側に漏洩させる光漏洩部が設けられている請求項2又は3記載の吸気システム。
【請求項5】
屋外と屋内とを連通する吸気風路に、光触媒フィルタと、前記吸気風路における屋外側から屋内側への通風により発電する風力発電部と、該風力発電部からの給電により前記光触媒フィルタに光を照射する光源と、が配設され、
前記光触媒フィルタと前記光源と前記風力発電部は、前記吸気風路に対して屋内側に露出する状態で脱着自在に設けられる屋内側ユニットに組付けられ、
前記屋内側ユニットには、前記風力発電部が組付けられている第1本体ユニットと、前記光触媒フィルタ及び前記光源が組付けられている第2本体ユニットと、前記吸気風路に対して屋内側から脱着自在に設けられる第3本体ユニットと、が備えられ、前記第3本体ユニットには、前記第1本体ユニットと前記第2本体ユニットが脱着自在に組付けられてい
る吸気システム。
【請求項6】
前記光源がLED光源であり、該LED光源は、前記光触媒フィルタのフィルタ面に対して斜めに配置されている請求項1~5のいずれか1項に記載の吸気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外と屋内とを連通する吸気風路から吸気される空気を清浄化する吸気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上述の吸気システムとして、例えば、特許文献1で開示されている換気装置が存在する。この換気装置は、建物の外壁に貫通形成されている換気通路(吸気風路の一例)の換気口に臨む状態で外壁の外側面に固定されている。換気装置は、外壁の外側面に取付けられる取付け部材に、活性炭と光触媒である酸化チタンとを含む光触媒フィルタと、光触媒フィルタの外面側を覆う状態で雨水の浸入を防止する複数の羽板を備えたガラリと、ガラリの外面側の上半部を覆う状態で雨水の浸入を防止するフードと、を有する。ガラリの羽根は、その表面が鏡面に形成され、羽根の表面で反射された太陽光の反射光が光触媒フィルタに照射されるように構成されている。フードは、略全面に渡って太陽光が透過する透明部を有する。
【0003】
そして、フードを透過し、ガラリの羽根で反射された太陽光の反射光が光触媒フィルタに照射されると、光触媒である酸化チタンが光励起反応を起こし、光触媒フィルタに吸着されている汚れや臭い、細菌等の有害物質が酸化分解される。最終的には、有害物質は無害な炭酸ガスと水に分解されて発散され、光触媒フィルタに付着した有害物質が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、建物の外壁の外側面に換気装置が取付けられているため、換気装置のフード及びガラリの羽板に汚れが付着し易く、この汚れの付着に伴ってフードの光透過率が低下するとともに、羽板の反射光量が低下する。これにより、光触媒フィルタに対する太陽光の照射光量の低下や照射光分布のばらつきを招き、酸化チタンの光励起反応による有害物質の酸化分解作用が低下する。また、光触媒フィルタに太陽光を照射するため、雨天時や夜間では酸化チタンの光励起反応が低下又は停止状態となり、有害物質の除去時間が制限される不都合がある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、光触媒フィルタに対して通風時に効率良く安定的に光を照射することのできる吸気システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、屋外と屋内とを連通する吸気風路に、光触媒フィルタと、前記吸気風路における屋外側から屋内側への通風により発電する風力発電部と、該風力発電部からの給電により前記光触媒フィルタに光を照射する光源と、が配設され、
屋外からの吸気は自然吸気で行い、屋内からの排気を換気装置で行う3種換気での24時間換気が採用された建物の外壁に、前記吸気風路が形成されている点にある。
【0008】
上記構成によれば、吸気風路に配設した光触媒フィルタにより、屋外側から吸気風路を経由して屋内側に吸気される空気中の汚れや臭い、細菌等の有害物質を付着除去することができる。この光触媒フィルタに対して光源から光が照射されると、光触媒フィルタに含まれる光触媒が光励起反応を起こし、光触媒フィルタに付着している有害物質が酸化分解される。最終的には、有害物質は無害な炭酸ガスと水に分解されて発散され、光触媒フィルタに付着した有害物質が除去される。
しかも、光源は、吸気風路内での通風によって発電する風力発電部からの給電によって発光するので、通風時には、光触媒フィルタに対して光源から光が照射される。これにより、光触媒フィルタに有害物質が最も付着し易い通風時に光が照射され、且つ、昼夜に関係なく通風を利用して光触媒フィルタに光を安定的に照射することができる。
したがって、光触媒フィルタに付着した有害物質を効率良く除去することができるので、屋内に有害物質が除去された清浄空気を安定的に供給することができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記光触媒フィルタと前記光源と前記風力発電部は、前記吸気風路に対して屋内側に露出する状態で脱着自在に設けられる屋内側ユニットに組付けられている点にある。
【0010】
上記構成によれば、吸気風路に配設される光触媒フィルタと光源と風力発電部が組付けられている屋内側ユニットは、吸気風路から屋内側に取り出すことができ、しかも、屋内側ユニットの一部は屋内側に露出するため、屋内側ユニットの取出し操作も容易に行うことができる。
したがって、光触媒フィルタと光源と風力発電部に対するメンテナンスや交換作業を屋内側において能率良く容易に実施することができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記光触媒フィルタと前記光源と前記風力発電部は、この順番で前記吸気風路の屋内側から屋外側に配設される状態で前記屋内側ユニットに組付けられている点にある。
【0012】
上記構成によれば、光源及び風力発電部よりもメンテナンス頻度の高い光触媒フィルタを、吸気風路の最も屋内側に配置することにより、光触媒フィルタに対するメンテナンスを能率良く容易に実施することができる。しかも、光触媒フィルタの屋外側には光源が配設されているので、光触媒フィルタと光源とを適切な配置関係に設定し易く、光触媒フィルタの全体に光を確実に照射することができる。さらに、風路軸芯方向での全長が最も大きな風力発電部は、吸気風路における光源よりも屋外側の空間を利用して容易に配置することができる。
【0013】
本発明の第4特徴構成は、前記屋内側ユニットの屋内側部位には、前記光源の光を屋内側に漏洩させる光漏洩部が設けられている点にある。
【0014】
上記構成によれば、屋内側ユニットの屋内側部位に設けた光漏洩部が漏洩光で明るくなっていることの目視により、通風で風力発電部が正常に発電し、その風力発電部からの給電で光源が正常に発光していることを容易に確認することができる。
【0015】
本発明の第5特徴構成は、屋外と屋内とを連通する吸気風路に、光触媒フィルタと、前記吸気風路における屋外側から屋内側への通風により発電する風力発電部と、該風力発電部からの給電により前記光触媒フィルタに光を照射する光源と、が配設され、
前記光触媒フィルタと前記光源と前記風力発電部は、前記吸気風路に対して屋内側に露出する状態で脱着自在に設けられる屋内側ユニットに組付けられ、
前記屋内側ユニットには、前記風力発電部が組付けられている第1本体ユニットと、前記光触媒フィルタ及び前記光源が組付けられている第2本体ユニットと、前記吸気風路に対して屋内側から脱着自在に設けられる第3本体ユニットと、が備えられ、前記第3本体ユニットには、前記第1本体ユニットと前記第2本体ユニットが脱着自在に組付けられている点にある。
【0016】
上記構成によれば、外筐となる第3本体ユニットに、個別に構成されている第1本体ユニット及び第2本体ユニットを組付けるだけで、屋内側ユニットを容易に構成することができる。また、第3本体ユニットから第1本体ユニット及び第2本体ユニットを取り出すことにより、第1本体ユニットに組付けられている風力発電部、及び、第2本体ユニットに組付けられている光触媒フィルタ及び光源に対するメンテナンスを能率良く容易に実施することができる。
【0017】
本発明の第6特徴構成は、前記光源がLED光源であり、該LED光源は、前記光触媒フィルタのフィルタ面に対して斜めに配置されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、例えば、LED光源を、光触媒フィルタのフィルタ面に対して直交方向に沿う姿勢で配置する場合に比して、少数のLED光源で光触媒フィルタのフィルタ面全体を漏れなく照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の吸気システムの構成を示す風路開通時の断面図
【
図2】吸気システムの構成を示す風路遮断時の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、
図2は、マンション等の建物のコンクリート製の外壁1に、屋外と屋内(室内)とを連通する吸気風路2が形成され、この吸気風路2の屋内側に、本発明の吸気システムを備えた屋内側ユニットAが配置され、吸気風路2の屋外側には、雨水の浸入を防止する屋外側ユニットBが配置されている。
吸気風路2は、外壁1の風路形成位置に貫通形成されている円形の第1貫通孔1aと、外壁1の屋内側の壁仕上材3の風路形成位置に貫通形成されている円形の第2貫通孔3aとにわたって樹脂製の円筒状の吸気スリーブ4を挿入することにより、屋内外に連通する吸気スリーブ4の内部空間をもって構成されている。
尚、
図1においては、吸気空気の流れを矢印で示している。
【0021】
本実施形態では、人が居住あるいは滞在する部屋の高気密化が進んだ建物を対象とするため、24時間換気が義務付けられている。換気には、第1種換気と第2種換気と第3種換気とがある。第1種換気は、屋外からの吸気と屋内からの排気との両方を換気装置で行う換気である。第2種換気は、屋外からの吸気を換気装置で行い、屋内からの排気を自然排気で行う換気である。第3種換気は、屋外からの吸気は自然吸気で行い、屋内からの排気を換気装置で行う換気である。本実施形態では第3種換気を採用している。
【0022】
吸気システムは、光触媒フィルタ5と、吸気風路2における屋外側から屋内側への通風により発電する風力発電部6と、該風力発電部6からの給電により光触媒フィルタ5に光を照射する光源7と、を備える。この吸気システムの光触媒フィルタ5と光源7と風力発電部6は、この順番で吸気風路2の屋内側から屋外側に配設されている。さらに、吸気システムの光触媒フィルタ5と光源7と風力発電部6は、吸気風路2に対して屋内側に露出する状態で脱着自在に設けられる屋内側ユニットAに組付けられている。
【0023】
光触媒フィルタ5は、活性炭を備えたシート状のフィルタ基材に光触媒を担持させて構成される。光触媒フィルタ5に使用する光触媒材料としては、伝導体と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギーの光が照射された場合に、価電子帯中の電子が励起して伝導電子と正孔を生成しうる物質であれば、特に限定されるものではない。
光触媒材料の具体例としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タングステン、ガリウムリン、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウムなどが挙げられる。この中でも可視光域の活性が高い白金ドープ型の酸化タングステンを好適に用いることができる。
【0024】
吸気風路2に配設した光触媒フィルタ5により、屋外側から吸気風路2を経由して屋内側に吸気される空気中の汚れや臭い、細菌等の有害物質を吸着除去することができる。この光触媒フィルタ5に対して光源7から光が照射されると、光触媒は、価電子帯中の電子が励起して伝導電子と正孔を生成し、伝導電子は空気中の酸素と反応してスーパーオキシドアニオンになる。一方、正孔は空気中の水分と反応してヒドロキシラジカルになる。これらは高い酸化力を有するため、光触媒フィルタ5に吸着している有害物質が酸化分解される。最終的には、有害物質は無害な炭酸ガスと水に分解されて発散され、光触媒フィルタ5に吸着された有害物質が除去される。
【0025】
光源7としては、光触媒が活性化される光源であればよく、光触媒材料に応じて適宜選択することができる。例えば、光触媒材料が酸化チタンの場合には、紫外線光を照射できる紫外線光源を用いる。紫外線光源としては、例えば、紫外線LED、メタルハライドランプ、水銀ランプ、白熱電球などが挙げられる。また、光触媒材料が白金ドープ型の酸化タングステンの場合には、400nm以上の可視光を照射する光源が用いられる。可視光の光源としては、白色LED、蛍光灯、白熱電球などが挙げられる。本実施形態では、発光波長ピークが400nm以上であるLED光源7が好適に用いられる。
【0026】
風力発電部6は、
図1、
図2、
図5に示すように、吸気風路2の風路軸線方向に沿う回転軸61に設けられる複数のブレード62と、回転軸61の回動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電モーター63と、を備える。ブレード62は、吸気風路2内の屋外側に配置され、発電モーター63は、吸気風路2内の屋内側に配置される。
複数のブレード62は、吸気風路2における屋外側から屋内側への通風により回転軸61と一体回転する。発電モーター63はLED光源7の電気回路に電気接続され、発電モーター63で発電された電気はLED光源7の電気回路に供給される。LED光源7は、発電モーター63からの給電で発光し、光触媒フィルタ5を可視光で照射する。
【0027】
上述のように、LED光源7は、吸気風路2内での通風によって発電する風力発電部6の発電モーター63からの給電によって発光するので、通風時には、光触媒フィルタ5に対してLED光源7から光が照射される。これにより、光触媒フィルタ5に有害物質が最も付着し易い通風時に光が照射され、且つ、昼夜に関係なく通風を利用して光触媒フィルタ5に光を安定的に照射することができる。
【0028】
屋内側ユニットAは、
図1、
図2、
図5に示すように、風力発電部6が組付けられている樹脂製の第1本体ユニット10と、光触媒フィルタ5及びLED光源7が組付けられている樹脂製の第2本体ユニット20と、吸気風路2を構成する吸気スリーブ4に対して屋内側から脱着自在に設けられる樹脂製の第3本体ユニット30と、が備えられている。第3本体ユニット30内には、第2本体ユニット20が脱着自在に嵌合状態で組付けられている。この第2本体ユニット20内の屋外側領域には、第1本体ユニット10が脱着自在に嵌合状態で組付けられ、第2本体ユニット20内の屋内側領域には、後述の光触媒ユニット40が脱着自在に嵌合状態で組付けられている。
【0029】
そして、上述の構成により、外筐となる第3本体ユニット30に、個別に構成されている第1本体ユニット10及び第2本体ユニット20を組付けるだけで、屋内側ユニットAを容易に構成することができる。また、第3本体ユニット30から第1本体ユニット10及び第2本体ユニット20を取り出すことにより、第1本体ユニット10に組付けられている風力発電部6、及び、第2本体ユニット20に組付けられている光触媒ユニット40の光触媒フィルタ5及びLED光源7に対するメンテナンスを能率良く容易に実施することができる。
【0030】
光触媒フィルタ5及びLED光源7は、
図3に示すように、一つの光触媒ユニット40として構成されている。この光触媒ユニット40のユニットケース41の屋内側部位には、光触媒フィルタ5が単層又は複数層で配置されている。ユニットケース41の屋外側の外周部で、且つ、風路軸線を中心線とする円周方向に90度ずつ変位した四箇所には、光触媒フィルタ5のフィルタ面に対して屋外側から適正な傾斜角度(30~70度)で光を照射するLED光源7が配置されている。
【0031】
上述の構成により、例えば、LED光源7を、光触媒フィルタ5のフィルタ面に対する直交方向(風路軸線方向)に沿う姿勢で配置する場合に比して、少数のLED光源7で光触媒フィルタ5のフィルタ面全体を漏れなく照射することができる。
【0032】
第3本体ユニット30は、
図1、
図2、
図5に示すように、壁仕上材3の表面3bに対して風路軸線方向から当接する鍔部31Aを備えた第3ケース31と、壁仕上材3の表面3bから屋内側に突出する後述の第2本体ユニット20の大径胴部21Aの外周囲部及び前部の一部を覆う第3カバー32と、を備える。第3カバー32は、風路軸線方向視において四角形状に構成されている。第3カバー32の前面板部32Aの中央には、後述の第2本体ユニット20の円形状の蓋カバー22が配置される円形の開口33が形成されている。この開口33の内径は、第1本体ユニット10の最大外径及び第2本体ユニット20の最大外径よりも大径に構成されている。そのため、第3カバー32の開口33を通して第1本体ユニット10及び第2本体ユニット20を脱着することができる。第3カバー32は、第3ケース31の鍔部31Aに対して風路軸線方向から脱着自在に係合連結されている。
【0033】
第3ケース31の第3筒胴部31Bは、
図1、
図2、
図5に示すように、吸気スリーブ4の内周面に摺動状態で挿入自在な円筒状に形成されている。第3ケース31の第3筒胴部31Bにおける先端側(屋外側)の底板部31Cの内面には、第3筒胴部31Bと同芯円状に配置される複数の円環状ガイド板34が一体的に突出形成されている。第3ケース31の底板部31Cには多数の第3通気孔35が貫通形成されている。詳しくは、第3通気孔35は、最小径の円環状ガイド板34の内側部位と、径方向で隣接する両円環状ガイド板34間の隣接間部位と、最大径の円環状ガイド板34と第3筒胴部31Bの内周面との対向面間部位と、に分散形成されている。
【0034】
第2本体ユニット20は、
図1、
図2、
図5に示すように、第3本体ユニット30の第3筒胴部31Bの内周面に摺動状態で挿入自在な第2ケース21と、第2ケース21の屋内側の開口端部21aを閉止する回転操作可能な非透光性の蓋カバー22と、を備える。
図6に示すように、蓋カバー22の内面22bと第2ケース21の開口端部21aとの相対向する円周方向の4箇所には、第2ケース21に対する蓋カバー22の回転操作で係脱される係合突起23と被係合突起24とが形成されている。
蓋カバー22の屋内側となる前面22aの周方向の2箇所には、
図4に示すように、蓋カバー22の直径方向に沿う回転操作摘み22Aが一体的に突出形成されている。この一対の回転操作摘み22Aによる蓋カバー22の回転操作により、蓋カバー22の係合突起23(
図6参照)が第2ケース21の被係合突起24に係合する閉じ状態と、蓋カバー22の係合突起23が第2ケース21の被係合突起24から円周方向に係合離脱した開き状態と、に切り替え自在に構成されている。
【0035】
第2ケース21は、
図1、
図2、
図5に示すように、第3本体ユニット30の第3筒胴部31Bの外径よりも大径に形成された短尺の大径胴部21Aと、第3本体ユニット30の第3筒胴部31Bに摺接状態で挿嵌される長尺の小径胴部21Bと、を備える。第2ケース21の小径胴部21Bにおける先端側(屋外側)の端部には、第3ケース31の第3通気孔35を閉止可能な複数個の閉止体25が同芯円状態で設けられている。詳しくは、
図2に示すように、閉止体25は、最小径の円環状ガイド板34の内周面に摺接状態で入り込んで該部位の第3通気孔35を閉止する中心部の円形状の閉止体25と、径方向で隣接する両円環状ガイド板34の対向内面に摺接状態で入り込んで該部位の第3通気孔35を閉止する中間の円環状の閉止体25と、最大径の円環状ガイド板34と第3筒胴部31Bの内周面との対面内面に摺接状態で入り込んで該部位の第3通気孔35を閉止する最外側の円環状の閉止体25と、を有する。
【0036】
そして、第3ケース31の円環状ガイド板34と第2ケース21の閉止体25とをもって、吸気風路2を開閉する風路開閉部8が構成されている。この風路開閉部8は、
図2に示すように、第3本体ユニット30に対して第2本体ユニット20を押し込み移動操作して、第2ケース21の閉止体25が第3ケース31の円環状ガイド板34内に入り込んだ状態が風路閉止位置になる。また、
図1に示すように、第3本体ユニット30に対して第2本体ユニット20を引き出し移動操作して、第2ケース21の閉止体25が第3ケース31の円環状ガイド板34から抜き出された状態が風路開通位置になる。
【0037】
第2本体ユニット20の第2ケース21と第3本体ユニット30の第3ケース31との間には、第2本体ユニット20の蓋カバー22の中心部に固着した押圧操作体26(
図6、
図7参照)の押圧操作の繰り返しにより、第2ケース21を風路開通位置と風路閉止位置とに交互に位置保持するロック機構(図示省略)が設けられている。
【0038】
風路開閉部8が風路開通位置にある状態では、
図1に示すように、第2本体ユニット20の蓋カバー22が第3カバー32の前面板部32Aよりも前方側に所定寸法だけ突出する。これにより、蓋カバー22の外周縁部22dと第3カバー32の前面板部32Aにおける開口33の周縁部との間に、光触媒ユニット40の光触媒フィルタ5を通過し、且つ、蓋カバー22の内面22bに沿って径方向外方に流動する浄化された吸気空気を屋内空間に吹き出す空気吹出口27が形成されている。
風路開閉部8が風路開通位置にある状態では、光触媒ユニット40の光触媒フィルタ5を通過したLED光源7の光は、蓋カバー22の外周縁部22dと第3カバー32の前面板部32Aにおける開口33の周縁部との間において円周方向に沿って開口する空気吹出口27から屋内側に漏洩する。
図4に示すように、空気吹出口27から屋内側に漏洩するLED光源7の光の一部は第3カバー32の前面板部32Aの表面に照射される。
図4においては、漏洩光の照射領域aをグレーで表示している。
そのため、風路開閉部8が風路開通位置にある状態で屋内側ユニットAの屋内側部位に形成される空気吹出口27をもって、LED光源7の光を屋内側に漏洩させる第1光漏洩部9Aに構成されている。
【0039】
図6、
図7に示すように、蓋カバー22の内面22bの中心部には、光触媒ユニット40の光触媒フィルタ5を通過した吸気空気を蓋カバー22の内面22bに沿って径方向外方に放射状に流動案内する球状ガイド面28aを備えた円形状の空気流ガイド部材28がビス29で固定されている。この空気流ガイド部材28は、光が透過可能な透明樹脂から構成されている。空気流ガイド部材28には、蓋カバー22の中心部に形成された中央貫通孔22cに嵌合する環状突起28Aが形成されている。空気流ガイド部材28の環状突起28Aの屋内側の先端面28bは、蓋カバー22の屋内側となる前面22aと面一に構成されている。また、空気流ガイド部材28の環状突起28Aに囲まれた凹部内には、非透光性の樹脂材料で製作された円板状の押圧操作体26が固着されている。
【0040】
図6、
図7に示すように、光触媒ユニット40の光触媒フィルタ5を通過したLED光源7の光は、蓋カバー22の内面22bの中心部に取付けられた空気流ガイド部材28を透過し、
図4に示すように、該空気流ガイド部材28の環状突起28Aの先端面28bから屋内側に漏洩する。この屋内側ユニットAの屋内側部位に配置される空気流ガイド部材28の環状突起28Aをもって、LED光源7の光を屋内側に漏洩させる第2光漏洩部9Bに構成されている。
【0041】
そして、上述の第1光漏洩部9A及び第2光漏洩部9BがLED光源7の漏洩光で明るくなっていることの目視により、吸気風路2内での通風で風力発電部6が正常に発電作動し、この発電状態にある風力発電部6からの給電でLED光源7が正常に発光していることを容易に確認することができる。
【0042】
図1、
図2に示すように、第2本体ユニット20の第2ケース21の小径胴部21B内には、後述する第1本体ユニット10の第1ケース11と光触媒ユニット40の屋外側端部が挿入配置される。第1ケース11が第2ケース21の小径胴部21B内の所定装着位置に挿入保持されたとき、第1ケース11の屋内側端部は、光触媒ユニット40の装着位置をユニットケース41との当接によって確定する位置決め用の当たり部に構成されている。
【0043】
第1本体ユニット10は、
図1、
図2、
図5に示すように、第2ケース21の小径胴部21Bの内周面に摺動状態で挿入自在な円筒状の第1ケース11を備え、この第1ケース11内に、風力発電部6のブレード62及び発電モーター63等が組付けられた風力発電ユニットに構成されている。第1ケース11の内周面の屋内側寄り部位には、屋内側ほど風路径が小となるテーパー状の風路絞りガイド部12が形成されている。この風路絞りガイド部12により、吸気風路2の風路開閉部8を通過した吸気空気は流速を速めた状態で光触媒ユニット40の光触媒フィルタ5の中央側に向かって流動案内される。
【0044】
屋外側ユニットBは、
図1に示すように、雨水の浸入を防止する複数の羽板81aを備えたガラリ81と、ガラリ81の外面側の上半部を覆う状態で雨水の浸入を防止するフード82と、を備えた周知構造の換気ユニットから構成されている。この屋外側ユニットBは、外壁1の外面に当接した状態で吸気スリーブ4の屋外側端部に嵌合固定され取付けベース83を備え、この取付けベース83にガラリ81とフード82が支持されている。
【0045】
〔その他の実施形態〕
(1)本発明の吸気システムが施工対象とする建物は、一般住宅、一般ビル、マンション、学校、病院、公民館、会社、工場、駅舎など、人が専ら住居し、あるいは不特定多数の人が利用する建物の全てが含まれる。
【0046】
(2)上述の実施形態では、吸気システムの光触媒フィルタ5と光源7と風力発電部6を、この順番で吸気風路2の屋内側から屋外側に配設したが、この順番に限定されるものではない。光触媒フィルタ5と光源7と風力発電部6の配置は任意に設定することができる。
【0047】
(3)上述の実施形態では、LED光源7を、光触媒フィルタ5のフィルタ面に対して斜めに配置したが、この構成に限定されるものではない。例えば、LED光源7を、光触媒フィルタ5のフィルタ面に対する直交方向(風路軸線方向)に沿う姿勢で配置してもよい。
【0048】
(4)上述の実施形態では、屋外からの吸気は自然吸気で行い、屋内からの排気を換気装置で行う第3種換気が採用された建物に、本発明の吸気システムを適用したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明の吸気システムは、屋外からの吸気と屋内からの排気との両方を換気装置で行う第1種換気が採用された建物、或いは、屋外からの吸気を換気装置で行い、屋内からの排気を自然排気で行う第2種換気が採用された建物にも適用することができる。
また、本発明の吸気システムは、24時間換気が義務付けられていない建物にも適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
A 屋内側ユニット
2 吸気風路
5 光触媒フィルタ
6 風力発電部
7 光源(LED光源)
9A 光漏洩部(第1光漏洩部)
9B 光漏洩部(第2光漏洩部)
10 第1本体ユニット
20 第2本体ユニット
30 第3本体ユニット