(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】排水浄化装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/52 20060101AFI20220309BHJP
C02F 1/56 20060101ALI20220309BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20220309BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20220309BHJP
B01D 21/30 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
C02F1/52 J
C02F1/52 K
C02F1/56 J
C02F1/56 K
B01D21/01 D
B01D21/01 H
B01D21/24 R
B01D21/30 G
(21)【出願番号】P 2018062296
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390024914
【氏名又は名称】東京ガスケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松村 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小原 基
(72)【発明者】
【氏名】今村 智之
(72)【発明者】
【氏名】篠沢 諭
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-045494(JP,A)
【文献】特開2010-089047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/52-56
B01D 21/00-34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属、リン、および、フッ素のうち、いずれか1または複数の無機イオンと、凝結材とが混合された排水のpHを調整する反応槽と、
前記反応槽で生成された懸濁液から汚泥を沈降分離する沈殿槽と、
前記沈殿槽で沈降分離された前記汚泥を前記反応槽に返送する返送ポンプと、
前記反応槽の懸濁物の濃度を測定する濃度測定部と、
前記沈殿槽において沈降分離された前記汚泥の量を検出する汚泥量検出部と、
前記濃度測定部
によって測定された前記反応槽の懸濁物の濃度が、適正範囲未満および前記適正範囲内である場合に、前記返送ポンプを
駆動し、前記適正範囲を上回った場合に前記返送ポンプを停止する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記汚泥量検出部によって検出された前記汚泥の量が所定値未満である場合に前記返送ポンプを停止する排水浄化装置。
【請求項2】
前記反応槽は、
前記排水と前記凝結材とを混合する凝結槽と、
前記凝結材が混合された前記排水のpHを調整するpH調整槽と、
を有する請求項1に記載の排水浄化装置。
【請求項3】
前記反応槽は、pHが調整された前記排水と凝集剤とを混合する凝集槽をさらに有する請求項2に記載の排水浄化装置。
【請求項4】
前記濃度測定部は、前記pH調整槽の懸濁物の濃度を測定する請求項2または3に記載の排水浄化装置。
【請求項5】
前記返送ポンプは、前記凝結槽に前記汚泥を返送する請求項2から4のいずれか1項に記載の排水浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属、リン、フッ素等の無機イオンを含む排水を浄化する排水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重金属、リン、フッ素等の無機イオンを含む排水を浄化する技術として、排水のpHを調整する反応槽と、pHが調整された排水に高分子凝集剤を添加して凝集反応液を生成する高分子凝集剤添加手段と、凝集反応液を攪拌して凝集ペレット(汚泥)を成長させるペレット形成層と、汚泥を沈降分離する沈殿槽とを備える技術が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術では、沈降分離した汚泥に不溶化物生成剤を添加して、反応槽に返送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1等の従来技術において、沈殿槽から返送される汚泥の量が多すぎると、反応槽に接続された配管が閉塞するおそれがある。一方、沈殿槽から返送される汚泥の量が少なすぎると、反応槽における無機イオンの凝集効率が低下するという問題がある。したがって、沈殿槽から返送する汚泥の量を適切に制御する技術の開発が希求されている。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、返送する汚泥の量を適切に制御することが可能な排水浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の排水浄化装置は、重金属、リン、および、フッ素のうち、いずれか1または複数の無機イオンと、凝結材とが混合された排水のpHを調整する反応槽と、反応槽で生成された懸濁液から汚泥を沈降分離する沈殿槽と、沈殿槽で沈降分離された汚泥を反応槽に返送する返送ポンプと、反応槽の懸濁物の濃度を測定する濃度測定部と、沈殿槽において沈降分離された汚泥の量を検出する汚泥量検出部と、濃度測定部によって測定された反応槽の懸濁物の濃度が、適正範囲未満および適正範囲内である場合に、返送ポンプを駆動し、適正範囲を上回った場合に返送ポンプを停止する制御部と、を備え、制御部は、汚泥量検出部によって検出された汚泥の量が所定値未満である場合に返送ポンプを停止する。
【0007】
また、反応槽は、排水と凝結材とを混合する凝結槽と、凝結材が混合された排水のpHを調整するpH調整槽と、を有してもよい。
【0008】
また、反応槽は、pHが調整された排水と凝集剤とを混合する凝集槽をさらに有してもよい。
【0009】
また、濃度測定部は、pH調整槽の懸濁物の濃度を測定してもよい。
【0010】
また、返送ポンプは、凝結槽に汚泥を返送してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、返送する汚泥の量を適切に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態にかかる排水浄化装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
(排水浄化装置100)
図1は、本実施形態にかかる排水浄化装置100を説明する図である。
図1中、排水A、懸濁液B~D、汚泥E、上澄み液F、および、薬剤の流れを実線の矢印で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。また、沈殿槽140内の汚泥Eをハッチングで示す。
【0016】
図1に示すように、排水浄化装置100は、原水槽110と、送出ポンプ120と、反応槽130と、沈殿槽140と、抜出管142と、返送管144と、返送ポンプ150と、引抜ポンプ152と、濃度測定部160と、汚泥量検出部170と、制御部180とを含む。
【0017】
原水槽110は、工場等から排出された排水(原水)Aを貯留する。排水Aは、重金属、リン、および、フッ素のうち、いずれか1または複数の無機イオンを含む。送出ポンプ120は、原水槽110に貯留された排水Aを反応槽130(凝結槽220)に送出する。
【0018】
反応槽130は、槽本体210と、仕切板212a、212bと、攪拌機214a~214cと、凝結材供給部222と、調整剤供給部232と、凝集剤供給部242とを含む。
【0019】
槽本体210は、内部空間が、仕切板212a、212bによって、3つの空間に仕切られる。3つの空間は、水平方向に並列される。3つの空間のうち、
図1中左側に位置する空間が凝結槽220として機能し、
図1中右側に位置する空間が凝集槽240として機能し、凝結槽220と凝集槽240との間の空間がpH調整槽230として機能する。
【0020】
攪拌機214aは、凝結槽220内に設けられる。攪拌機214bは、pH調整槽230内に設けられる。攪拌機214cは、凝集槽240内に設けられる。
【0021】
凝結材供給部222は、タンク224と、注入ポンプ226とを含む。タンク224は、凝結材(薬剤)を貯留する。注入ポンプ226は、タンク224に貯留された凝結材を凝結槽220に供給する。凝結材は、鉄系凝結材やアルミニウム系凝結材である。凝結材は、排水Aに含まれる無機イオンを凝結(凝集)させる。したがって、凝結材供給部222によって凝結槽220に凝結材が供給されると、攪拌機214aによって排水Aと凝結材とが混合される。こうして、凝結槽220において、排水A中の無機イオンが凝結された懸濁液Bが生成される。懸濁液Bは、pH調整槽230に越流(オーバーフロー)する。
【0022】
調整剤供給部232は、タンク234と、注入ポンプ236とを含む。タンク234は、pH調整剤(薬剤)を貯留する。注入ポンプ236は、タンク234に貯留されたpH調整剤をpH調整槽230に供給する。pH調整剤は、アルカリ化合物や、酸化合物である。pH調整剤は、例えば、消石灰の水溶液である。pH調整剤は、懸濁液BのpHを調整(例えば、中和)する。したがって、調整剤供給部232によってpH調整槽230にpH調整剤が供給されると、攪拌機214bによって懸濁液BとpH調整剤とが混合される。こうして、pH調整槽230において、懸濁液BのpHが調整され、懸濁液Cが生成される。懸濁液Cは、凝集槽240に越流する。
【0023】
凝集剤供給部242は、タンク244と、注入ポンプ246とを含む。タンク244は、凝集剤(薬剤)を貯留する。注入ポンプ246は、タンク244に貯留された凝集剤を凝集槽240に供給する。凝集剤は、高分子凝集剤である。凝集剤は、懸濁液Cに含まれる無機イオンを凝集させる。したがって、凝集剤供給部242によって凝集槽240に凝集剤が供給されると、攪拌機214cによって懸濁液Cと凝集剤とが混合される。こうして、凝集槽240において、懸濁液C中の無機イオンが凝集された懸濁液Dが生成される。懸濁液Dは、沈殿槽140に越流する。
【0024】
沈殿槽140は、懸濁液Dから汚泥E(無機イオンが凝集されたもの)を沈降分離する。沈殿槽140によって汚泥Eが沈降分離されることで得られる上澄み液F(懸濁液Dから汚泥Eが分離された液)は、下水または河川に放流される。
【0025】
沈殿槽140には、抜出管142が接続されている。返送管144は、抜出管142と、凝結槽220とを接続する。返送管144には、返送ポンプ150が設けられる。返送ポンプ150は、送出ポンプ120が駆動されており、後述する汚泥量検出部170が検出した界面の高さが所定の下限高さ以上である場合に、沈殿槽140で沈降分離された汚泥Eを凝結槽220に返送する。抜出管142における返送管144との接続箇所の下流側には引抜ポンプ152が設けられる。したがって、沈殿槽140によって沈降分離された汚泥Eのうち、返送ポンプ150によって返送される分以外の汚泥Eは、抜出管142、引抜ポンプ152を通じて、後段の廃棄処理設備に送出され所定の廃棄処理が施される。
【0026】
返送ポンプ150を備える構成により、汚泥Eを、凝結材、pH調整剤、および、凝集剤として再利用することができる。したがって、凝結材供給部222によって供給される凝結材、調整剤供給部232によって供給されるpH調整剤、および、凝集剤供給部242によって供給される凝集剤を低減することができる。これにより、後段の廃棄処理設備に送出される汚泥Eの量を削減することが可能となる。つまり、汚泥Eの減容化を図ることができる。
【0027】
濃度測定部160は、pH調整槽230の懸濁液C中の懸濁物(凝集物)の濃度を測定する。濃度測定部160は、例えば、SS濃度計(濁度計)、または、MLSS濃度計で構成される。
【0028】
汚泥量検出部170は、界面センサ(レベルセンサ)または濁度計で構成される。汚泥量検出部170は、沈殿槽140の底面から、沈降分離された汚泥Eと上澄み液Fとの界面までの高さを検出する。汚泥量検出部170は、送出ポンプ120が駆動されている間のみ稼動される。
【0029】
制御部180は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して排水浄化装置100全体を管理および制御する。
【0030】
制御部180は、インターネット、専用回線等の通信網10を介して、管理サーバ20に接続される。制御部180は、取得した情報を、通信網10を介して管理サーバ20に送信する。制御部180は、例えば、送出ポンプ120および返送ポンプ150の駆動状況を示す情報、注入ポンプ226、236、246の駆動状況を示す情報、攪拌機214a~214cの駆動状況を示す情報、濃度測定部160の測定結果を示す情報、および、汚泥量検出部170の検出結果を示す情報を管理サーバ20に送信する。
【0031】
したがって、管理サーバ20は、制御部180から連続的に情報を取得できる。そして、管理サーバ20は、取得した情報を確認したり、分析したりする。これにより、管理サーバ20は、排水浄化装置100の状況を把握したり、排水浄化装置100に対しメンテナンスが必要か否かを把握したりすることができる。
【0032】
また、本実施形態において、制御部180は、濃度測定部160の測定結果および汚泥量検出部170の検出結果に基づいて、返送ポンプ150を制御する。
【0033】
具体的に説明すると、制御部180は、濃度測定部160の測定結果が、所定の適正範囲となるように、返送ポンプ150を制御する。
【0034】
沈殿槽140から返送される汚泥Eの量が多すぎると、反応槽130に接続された配管が閉塞するおそれがある。一方、沈殿槽140から返送される汚泥Eの量が少なすぎると、反応槽130(凝結槽220、pH調整槽230、凝集槽240)内において、凝結材、pH調整剤、および、凝集剤として機能する汚泥Eが少なくなる。そうすると、反応槽130における無機イオンの凝集効率が低下してしまう。
【0035】
そこで、無機イオンの凝集効率が所定の許容値となる汚泥Eの返送量が適正範囲の下限値に設定され、配管の閉塞を防止できる汚泥Eの最大の返送量が適正範囲の上限値に設定される。ここで、許容値は、例えば、上澄み液Fに含まれる無機イオンの放流基準値に基づいて決定される。
【0036】
このように、制御部180が、濃度測定部160の測定結果が適正範囲となるように、返送ポンプ150を制御する構成により、返送する汚泥Eの量を適切に制御することができる。これにより、反応槽130に接続された配管の閉塞を防止し、かつ、反応槽130における無機イオンの凝集効率を維持することが可能となる。
【0037】
なお、沈殿槽140において汚泥Eの量が少ない場合、返送ポンプ150を駆動しても、汚泥Eは、ほとんど返送されない。つまり、反応槽130における無機イオンの凝集効率は向上しない。そこで、制御部180は、送出ポンプ120が駆動されており、汚泥量検出部170が検出した界面の高さが所定の下限高さ未満である場合に、返送ポンプ150を停止する。これにより、不要に返送ポンプ150を駆動する事態を回避することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の排水浄化装置100は、反応槽130に返送する汚泥Eの量を適切に制御することができる。したがって、反応槽130に接続された配管の閉塞を防止し、かつ、反応槽130における無機イオンの凝集効率を維持することが可能となる。
【0039】
また、上記したように、濃度測定部160は、pH調整槽230の懸濁物の濃度を測定する。pH調整槽230は、返送された汚泥Eが実質的に均一に分散される槽である。したがって、pH調整槽230の懸濁物の濃度を測定することにより、反応槽130の懸濁物の濃度を精度よく測定することが可能となる。
【0040】
(変形例)
図2は、変形例の排水浄化装置300を説明する図である。
図2中、排水A、懸濁液B~D、汚泥E、上澄み液F、および、薬剤の流れを実線の矢印で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。なお、
図2中、制御部380とバルブ390、392との間の信号の流れを示す破線は、図面の簡明化のため図示を省略する。また、沈殿槽140内の汚泥Eをハッチングで示す。
【0041】
図2に示すように、排水浄化装置300は、原水槽110と、送出ポンプ120と、反応槽130と、沈殿槽140と、抜出管142と、返送管144と、返送ポンプ350と、濃度測定部160と、汚泥量検出部170と、制御部380と、バルブ390、392とを含む。なお、上述した排水浄化装置100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
返送ポンプ350は、抜出管142における沈殿槽140と、返送管144との接続箇所との間に設けられる。変形例において、返送ポンプ350は、送出ポンプ120が運転されており、かつ、汚泥量検出部170が検出した界面の高さが所定の下限高さ以上である場合に運転される。
【0043】
バルブ390、392は開閉弁である。バルブ390は、抜出管142における返送管144との接続箇所の下流側に設けられる。バルブ392は、返送管144に設けられる。
【0044】
制御部380は、濃度測定部160の測定結果および汚泥量検出部170の検出結果に基づいて、バルブ390、392を開閉制御する。なお、バルブ390、392は、排他的に開閉制御される。
【0045】
具体的に説明すると、制御部380は、濃度測定部160の測定結果が上記適正範囲未満である場合、および、上記適正範囲内である場合、バルブ390を閉弁して、バルブ392を開弁する。また、制御部380は、濃度測定部160の測定結果が上記適正範囲を上回った場合に、バルブ392を閉弁して、返送ポンプ350を停止する。
【0046】
このように、制御部380が、濃度測定部160の測定結果が適正範囲内となるように、返送ポンプ350の運転制御およびバルブ392の開閉制御を行う構成により、返送する汚泥Eの量を適切に制御することができる。これにより、反応槽130に接続された配管の閉塞を防止し、かつ、反応槽130における無機イオンの凝集効率を維持することが可能となる。
【0047】
また、変形例の返送ポンプ350は、汚泥Eを凝結槽220に返送する機能と、汚泥Eを外部に廃棄する機能とを有する。したがって、排水浄化装置300のコンパクト化を図ることができる。また、排水浄化装置300のイニシャルコストおよびメンテナンスコストを低減することが可能となる。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0049】
例えば、上記実施形態および変形例において、凝結槽220、pH調整槽230、および、凝集槽240が、一体形成される構成を例に挙げて説明した。しかし、凝結槽220、pH調整槽230、および、凝集槽240は、別体で構成されてもよい。
【0050】
また、上記実施形態および変形例において、反応槽130が、凝結槽220、凝結材供給部222、pH調整槽230、調整剤供給部232、凝集槽240、および、凝集剤供給部242を有する構成を例に挙げて説明した。しかし、凝集槽240および凝集剤供給部242は必須の構成ではない。
【0051】
また、上記実施形態および変形例において、反応槽130は、槽本体210と、仕切板212a、212bとを有する構成を例に挙げて説明した。しかし、反応槽130は、仕切板212a、212bを有さずともよい。この場合、槽本体210において、まず、排水Aと凝結材とが混合され、続いて、凝結材が混合された懸濁液BのpHが調整される。その後、pHが調整された懸濁液Cと凝集剤が混合される。
【0052】
また、上記実施形態および変形例において、濃度測定部160は、pH調整槽230の懸濁物の濃度を測定する構成を例に挙げて説明した。しかし、濃度測定部160は、反応槽130の懸濁物の濃度を測定することができれば、測定位置に限定はない。例えば、濃度測定部160は、pH調整槽230に加えて、または、代えて、凝結槽220もしくは凝集槽240の懸濁物の濃度を測定してもよい。
【0053】
また、上記実施形態および変形例において、返送ポンプ150、350は、凝結槽220に汚泥Eを返送する構成を例に挙げて説明した。しかし、返送ポンプ150、350は、反応槽130に汚泥Eを返送できれば、返送箇所に限定はない。例えば、返送ポンプ150、350は、凝結槽220に加えて、または、代えて、pH調整槽230もしくは凝集槽240に汚泥Eを返送してもよい。
【0054】
また、上記実施形態および変形例において、汚泥量検出部170が界面センサで構成される場合を例に挙げて説明した。しかし、汚泥量検出部170は、沈殿槽140において沈降分離された汚泥Eの量を検出することができれば構成に限定はない。汚泥量検出部170が汚泥Eの量を検出する場合、制御部180、380は、汚泥量検出部170によって検出された汚泥Eの量が所定値未満である場合に返送ポンプ150、350を停止する。
【0055】
また、例えば、汚泥量検出部170は、沈殿槽140の所定の第1箇所の濁度を測定する第1のSS濃度計と、第1箇所より上方の第2箇所の濁度を測定する第2のSS濃度計とで構成されてもよい。この場合、制御部180は、第1のSS濃度計によって測定された汚泥Eの量が所定値未満である場合に返送ポンプ150を停止する。また、制御部180は、第2のSS濃度計によって測定された汚泥Eの量が所定値以上である場合に、沈殿槽140内の汚泥Eを後段の廃棄処理設備に送出する。
【0056】
また、上記実施形態および変形例において、凝結材供給部222、調整剤供給部232、および、凝集剤供給部242が、注入ポンプ226、236、246を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、タンク224、234、244を凝結槽220、pH調整槽230、凝集槽240の上方に配置し、タンク224、234、244から凝結槽220、pH調整槽230、凝集槽240に薬剤を自重で供給できる場合、注入ポンプ226、236、246に代えて、開閉弁を備えてもよい。この場合、制御部180は、開閉弁を開閉制御する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、重金属、リン、フッ素等の無機イオンを含む排水を浄化する排水浄化装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
100、300 排水浄化装置
130 反応槽
140 沈殿槽
150、350 返送ポンプ
160 濃度測定部
170 汚泥量検出部
180、380 制御部
220 凝結槽
230 pH調整槽
240 凝集槽