(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】電動卓上クリーナ
(51)【国際特許分類】
A47L 9/00 20060101AFI20220309BHJP
A47L 9/02 20060101ALI20220309BHJP
A47L 9/06 20060101ALI20220309BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A47L9/00 Z
A47L9/02 D
A47L9/02 Z
A47L9/00 F
A47L9/06 Z
A47L5/24 A
(21)【出願番号】P 2018093288
(22)【出願日】2018-05-14
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】599041411
【氏名又は名称】株式会社アスカ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【氏名又は名称】中村 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100077241
【氏名又は名称】桑原 稔
(72)【発明者】
【氏名】相原 弘武
(72)【発明者】
【氏名】長濱 康裕
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-175526(JP,A)
【文献】特開平11-187988(JP,A)
【文献】実開昭52-101574(JP,U)
【文献】特開平1-153129(JP,A)
【文献】実開昭60-113771(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/00-9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動されるファンを納めてなる清掃対象物の吸引室と、
前記吸引室の下方に前記清掃対象物をためる貯留空間を形成する底部構成体と、
前記吸引室の側部及び前記底部構成体の側部との間にエアの環流空間を形成する環流用カバーとを備えており、
前記吸引室における前記ファンの下方には上側吸引口が形成され、前記吸引室の側部には排気口が形成され、前記吸引室の下部における前記上側吸引口と前記排気口との間には前記貯留空間に通じる前記清掃対象物の落下口が形成されており、
前記底部構成体における前記上側吸引口の下方には前記清掃対象物の下側吸引口が形成され、この下側吸引口と前記底部構成体の側部との間が前記貯留空間となっており、
前記環流用カバーにより前記排気口から送り出されたエアを前記環流空間を通じて前記下側吸引口側に案内するようになっていると共に、
前記環流用カバーに形成されて弾性によって前記排気口に入り込んだ係合爪を前記排気口から抜け出させるに足る力で引っ張ることで前記環流用カバーを取り外し可能とし、かつ、前記環流用カバーの前記取り外し後に前記底部構成体を取り外し可能としてなる、電動卓上クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータにより駆動されるファンを内蔵しており、このファンの駆動により、クリーナの底部側より清掃対象物を吸引しクリーナの内部にためるようにした電動卓上クリーナの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
卓上クリーナ(卓上掃除機)において、内蔵された吸気用のファンにより生成される排気の排気口を卓上クリーナの側面に設けた場合の不具合、上面に設けた場合の不具合を共に解消するために、排気口を側面に設けながら、風向制御壁により側方に吹き出させないようにしたものとして、特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の電動卓上クリーナにおいて、排気を実質的に零にする合理的手段の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、この発明にあっては、電動卓上クリーナを、モータにより駆動されるファンを納めてなる清掃対象物の吸引室と、
前記吸引室の下方に前記清掃対象物をためる貯留空間を形成する底部構成体と、
前記吸引室の側部及び前記底部構成体の側部との間にエアの環流空間を形成する環流用カバーとを備えており、
前記吸引室における前記ファンの下方には上側吸引口が形成され、前記吸引室の側部には排気口が形成され、前記吸引室の下部における前記上側吸引口と前記排気口との間には前記貯留空間に通じる前記清掃対象物の落下口が形成されており、
前記底部構成体における前記上側吸引口の下方には前記清掃対象物の下側吸引口が形成され、この下側吸引口と前記底部構成体の側部との間が前記貯留空間となっており、
前記環流用カバーにより前記排気口から送り出されたエアを前記環流空間を通じて前記下側吸引口側に案内するようになっていると共に、
前記環流用カバーに形成されて弾性によって前記排気口に入り込んだ係合爪を前記排気口から抜け出させるに足る力で引っ張ることで前記環流用カバーを取り外し可能とし、かつ、前記環流用カバーの前記取り外し後に前記底部構成体を取り外し可能としてなる、ものとした。
【0006】
クリーナの稼働時には、下側吸引口を一次側とし、上側吸引口と吸引室を通じて、排気口を二次側としたエアの流れが形成されることとなる。それと共に、排気口から送り出されたエアの大部分は前記環流空間を通じて再び前記下側吸引口より吸引され循環されるようになる。この結果、クリーナの稼働時に、この稼働に起因したエアの吹き出しを、クリーナの周囲に生じさせることがない。すなわち、この実施の形態にかかるクリーナにあっては、その稼働時に、クリーナの側方のみならず上方にも下方にもこの稼働に起因したエアの吹き出しを生じさせることがない。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、この種の電動卓上クリーナにおいて、構造の複雑化を招くことなく且つ合理的に、清掃対象物の吸引に起因して生じる排気を実質的に零にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、この発明の一実施の形態にかかるクリーナの断面構成図である。
【
図2】
図2は、前記クリーナの要部分離斜視構成図である。
【
図3】
図3は、前記クリーナの要部分離斜視構成図である。
【
図4】
図3は、前記クリーナの要部分離斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図4に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる電動卓上クリーナ1は、モータ2により駆動されるファン4を内蔵しており、このファン4の駆動により、クリーナ1の底部1a側より清掃対象物を吸引しクリーナ1の内部にためるようにしたものである。クリーナ1の内部にためられた清掃対象物は、クリーナ1の主体部5から後述の環流用カバー7を取り外すことで取り外し可能になる後述の底部構成体6を取り外すことでクリーナ1内から取り除き可能となる。
【0010】
前記クリーナ1は、主体部5と、底部構成体6と、環流用カバー7を備えてなる。
【0011】
主体部5は、モータ2により駆動されるファン4を納めてなる清掃対象物の吸引室8を有している。
【0012】
図示の例では、主体部5は、クリーナ1の頂部1bから底部1a側に向けて全高の実質的に3分の2の範囲を占めるパワーユニット収納部9の下方に前記吸引室8を形成させてなる。
【0013】
図示の例では、パワーユニット収納部9には、筒軸を垂直に配した筒状ケーシング10内にモータ2と、このモータ2の電源となる乾電池3と、乾電池3の電力によってモータ2を駆動するための回路(図示は省略する)とが納められており、また、前記回路を構成するスイッチ(図示は省略する)が備えられる。図示の例では、筒状ケーシング10の下部の中央から下方に向けて前記モータ2の回転軸2aを突き出させるように筒状ケーシング10内にモータ2が配されている。乾電池3は、モータ2の上側に納められるようになっている。乾電池3は、筒状ケーシング10を構成する図中符号11で示されるフードをモータ2および乾電池3のマウント側から取り外すことで交換可能になっている。
【0014】
吸引室8は、前記筒状ケーシング10の外径よりやや外径を小さくする仮想の円筒に倣うように形成された側部8aと、この側部8aにより囲繞された空間の下方を後述の上側吸引口8cと落下口8eとなる箇所を除き閉塞する下部8bとを備えてなる。筒状ケーシング10の下部10aと吸引室8の側部8aと吸引室8の下部8bとに囲まれた空間が吸引室8として機能するようになっている。
【0015】
上側吸引口8cは吸引室8の下部8bの中央に形成されている。ファン4は、前記モータ2の回転軸2aに組み合わされて前記吸引室8内に配されており、モータ2の駆動により回転して上側吸引口8cの下方にある清掃対象物(典型的には、デスク上の消しゴムのカス、塵埃など)を吸引室8内に吸い上げるエアの流れを生成するようになっている。
【0016】
吸引室8の側部8aには、前記ファン4の回転中心(前記回転軸2a)を周回する方向において、隣り合う排気口8dとの間に間隔を開けて、複数の窓状をなす排気口8dが形成されている。
【0017】
また、吸引室8の下部8bにおける前記上側吸引口8cと前記排気口8dとの間には後述の貯留空間6aに通じる前記清掃対象物の複数の落下口8eが、前記ファン4の回転中心を周回する方向において隣り合う落下口8eとの間に間隔を開けて形成されている。
【0018】
これにより、前記ファン4の回転により上側吸引口8cから排気口8dに向けたエアの流れがファン4の回転中心を巡る各位置において生じるようになっていると共に、吸い上げられた清掃対象物は吸引室8からエアが排気される前に落下口8eから後述の貯留空間6aに落下するようになっている。
【0019】
図示の例では、吸引室8は、図中符号8fで示す内側パーツと、符号8gで示す外側パーツとを組み合わせることで形成されている。内側パーツ8fには前記排気口8dからの清掃対象物の流出を防ぐフィルタ8hが備えられている。前記筒状ケーシング10には外側パーツ8gをもって一体化されている。外側パーツ8gには、吸引室8の下部8bから下方に突き出すと共に、前記上側吸引口8cを囲繞する短寸筒状部8iが形成されている。
【0020】
底部構成体6は、前記吸引室8の下方に前記清掃対象物をためる貯留空間6aを形成する。前記底部構成体6における前記上側吸引口8cの下方には前記清掃対象物の下側吸引口6bが形成され、この下側吸引口6bと前記底部構成体6の側部6cとの間が前記貯留空間6aとなっている。
【0021】
図示の例では、底部構成体6は、円板状体6dの中央に前記下側吸引口6bを形成すると共に、この円板状体6dの縁部に上側に向けて突き出す周回立ち上がり部6eを形成させてなる。この周回立ち上がり部6eによって底部構成体6の側部6cが形成されている。円板状体6dの上面には前記下側吸引口6bを囲繞する短寸筒状部6fが形成されており、図示の例では、吸引室8の下部8bの短寸筒状部8iの内側に円板状体6dの短寸筒状部6fをはめ込むようにして主体部5と底部構成体6とが組み合わされるようになっている。図中符号6gで示すのは、底部構成体6の下面に形成されたブラシ部であり、このブラシ部6gにより底部構成体6の下面6iと清掃面Dとの間に隙間が形成されると共に、清掃面Dをこすることができるようにしてある。
【0022】
底部構成体6の側部6cの内径は、主体部5の吸引室8の側部8aの外径と実質的に等しくなるようにしてある。それと共に、底部構成体6の側部6cの内側には、吸引室8の側部8aの外側に形成された係合溝8jに係合される係合爪6hが形成されている。図示の例では、係合爪6hは底部構成体6の下側吸引口6bを挟んだ両側にそれぞれ形成されており、吸引室8の係合溝8jもこれに対応した二カ所に形成されている。係合溝8jは、前記ファン4の回転中心を周回する方向に延びる。係合溝8jの一方の端末8kは閉塞されているが、係合溝8jの他方の端末8mは下方に向けて開放されている。図示の例では、係合溝8jの開放された他方の端末8mを利用して係合溝8j内に係合爪6hを導入した後、係合爪6hを係合溝8jの一方の端末8k側に移動させるように底部構成体6を回すことで主体部5に底部構成体6を取り外し可能に取り付けることができるようになっている。このように底部構成体6が主体部5に取り付けられた状態で吸引室8の下部8bと底部構成体6の円板状体6dの上面との間に形成される空間が前記貯留空間6aとして機能するようになっている。
【0023】
環流用カバー7は、前記吸引室8の側部8a及び前記底部構成体6の側部6cとの間にエアの環流空間7aを形成する。この環流用カバー7により前記排気口8dから送り出されたエアを前記環流空間7aを通じて前記下側吸引口6b側に案内するようになっている。
【0024】
環流用カバー7は、クリーナ1の底部1aから頂部1b側に向けて全高の実質的に3分の1の範囲を占める円筒状を呈している。環流用カバー7の筒上端7dの外径は主体部5の筒状ケーシング10の外径と略等しく、その一方で、環流用カバー7の内径は吸引室8の側部8aの外径及び底部構成体6の側部6cの外径よりもやや大きくなっている。また、環流用カバー7の筒下端7eには周回内鍔部7bが形成され、環流カバーの筒下端7eの開口径は底部構成体6の外径よりも小さいが、下側吸引口6bの径よりも大きく、環流用カバー7の筒下端7eの開口内に吸引口6bが位置するようになっている。環流用カバー7の筒側部7cと周回内鍔部7bとはアール状の断面をもって連続するように形成され、前記底部構成体6の側部6cと下面6iとの間もこれに対応したアール状の断面をもって連続するように形成されている。また、環流用カバー7の筒上端7dと周回内鍔部7bとの間の距離は筒状ケーシング10の下部10aと主体部5に組み合わされた底部構成体6の下面6iとの距離よりもやや大きく、環流用カバー7の周回内鍔部7bの内面と底部構成体6の下面6iとの間には環流空間7aの一部となる隙間が形成されるようになっている。
【0025】
環流用カバー7の筒側部7cの内面であって、その上下方向略中程となる位置には、係合爪7fが形成されている。図示の例では、主体部5に底部構成体6を取り付けた状態から、主体部5の吸引室8と底部構成体6を環流用カバー7内に納めるように環流用カバー7を組み合わせる操作を行うと、係合爪7fが底部構成体6の側部6cに及びこれに連なる吸引室8の側部8aに突き当たって環流用カバー7側がやや弾性変形すると共に、環流用カバー7の筒上端7dが筒状ケーシング10の下部10aに突き当たるようになる位置まで組み合わせ操作がされると、環流用カバー7が弾性復帰して係合爪7fが前記排気口8dに入り込み、これにより、主体部5側に取り外し可能に環流用カバー7が取り付けられるようになっている。そして、この取り付け状態において、前記ファン4の回転中心を巡る各位置において、前記環流用カバー7と吸引室8の側部8a及び底部構成体6の側部6c、さらには、前記周回内鍔部7bと前記底部構成体6の下面6iとの間に、前記環流空間7aが形成されるようになっている。
【0026】
クリーナ1の稼働時には、下側吸引口6bを一次側とし、上側吸引口8cと吸引室8を通じて、排気口8dを二次側としたエアの流れが形成されることとなる。それと共に、排気口8dから送り出されたエアの大部分は前記環流空間7aを通じて再び前記下側吸引口6bより吸引され循環されるようになる。この結果、クリーナ1の稼働時に、この稼働に起因したエアの吹き出しを、クリーナ1の周囲に生じさせることがない。すなわち、この実施の形態にかかるクリーナ1にあっては、その稼働時に、クリーナ1の側方のみならず上方にも下方にもこの稼働に起因したエアの吹き出しを生じさせることがない。
【0027】
貯留空間6a内にたまった清掃対象物は、前記排気口8dから係合爪7fを抜け出させるに足る力で環流用カバー7を下方に引っ張りこれを取り外した後、底部構成体6の係合爪7fが吸引室8の側部8aに形成された係合溝8jの他方の端末8mに至る位置まで底部構成体6を取り付け時と逆向きに回して係合溝8jから係合爪7fを抜き出すことで、主体部5側から底部構成体6を取り外して外部に捨てることができる。
【0028】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0029】
4 ファン
6 底部構成体
6a 貯留空間
6b 下側吸引口
6c 側部
7 環流用カバー
7a 環流空間
8 吸引室
8a 側部
8c 上側吸引口
8d 排気口
8e 落下口