(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】部品の断熱及び温度制御
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H03B5/32 A
(21)【出願番号】P 2018143344
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-07-30
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ユンダ・ワン
【審査官】橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06236145(US,B1)
【文献】特開2015-173309(JP,A)
【文献】特開2011-044932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
恒温チャンバと、
前記恒温チャンバに結合された複数の毛細管と、
前記恒温チャンバを収容するための低圧チャンバを有する外側シェルと、
を備え、前記複数の毛細管が、前記恒温チャンバを支持し、前記恒温チャンバを外部構造に動作可能に結合する、パッケージ化電子デバイス。
【請求項2】
少なくとも前記毛細管のサブセットが、前記恒温チャンバから前記恒温チャンバを収容する
前記外側シェルのピンへの電気的接続を提供するために導電性コーティングを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記恒温チャンバの内側に収容された水晶発振器をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記恒温チャンバの外面が、アルミニウム、銀、銅、金、またはパラジウムのうちの1つでコーティングされている、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実装例は、電子部品の熱管理に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの電子部品は、温度の変化に基づいてそれらの動作が変化する。正確な動作パラメータを維持するために、そのような部品は温度制御され得る。温度を制御することは、1つ以上の加熱要素と1つ以上の温度センサーの使用を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
記載される実施形態及びその利点は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。これらの図面は、記載される実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、記載される実施形態に当業者によってなされ得る形状及び詳細のいかなる変更も決して制限しない。
【0004】
【
図1】いくつかの実施形態による、毛細管によって支持された恒温チャンバを含む装置を示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、毛細管によって支持された恒温チャンバを含む装置を示す図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、毛細管の断面を示す図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、毛細管の断面を示す図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、導電性コーティングしている毛細管の断面を示す図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、導電性コーティングしている毛細管の断面を示す図である。
【
図4C】いくつかの実施形態による、導電性コーティングしている毛細管の断面を示す図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、恒温チャンバを外部部品に接続する毛細管を有する装置を示す図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、毛細管に結合された恒温チャンバを有する装置を示す図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、毛細管に結合された恒温チャンバを有する装置を示す図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、毛細管に結合された恒温チャンバを有する装置を示す図である。
【
図9A】いくつかの実施形態による、製造工程の一部における恒温槽付水晶発振器の部品を示す。
【
図9B】いくつかの実施形態による、製造工程の一部における恒温槽付水晶発振器の部品を示す図である。
【
図9C】いくつかの実施形態による、製造工程の一部における恒温槽付水晶発振器の部品を示す図である。
【
図9D】いくつかの実施形態による、製造工程の一部における恒温槽付水晶発振器の部品を示す図である。
【
図9E】いくつかの実施形態による、製造工程の一部における恒温槽付水晶発振器の部品を示す図である。
【
図9F】いくつかの実施形態による、製造工程の一部における恒温槽付水晶発振器の部品を示す図である。
【
図9G】いくつかの実施形態による、製造工程の一部における恒温槽付水晶発振器の部品を示す図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、熱管理のための毛細管を有する恒温部品を製造する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ある特定の電子部品は、温度変動で動作特性を変化させる。特定の用途では、そのような部品の温度を制御することにより、部品の動作の精度を改善することができる。例えば、そのような部品は、恒温チャンバ内に収容されてもよい。チャンバの温度は、ヒーター及び温度センサーを介して制御することができる。恒温部品の温度を制御すると、いくつかの用途では相当量の電力を使用することがある。いくつかの実装例では、電力消費の大部分は、恒温部品とシステムの他の部分との間の熱損失に起因する場合がある。そのために、恒温デバイスの熱管理を改善することによって、電力消費を低減することができる。
【0006】
恒温槽付水晶発振器「OCXO」は一般的な恒温デバイスである。OCXOによって供給される振動の周波数が正確で安定したままであるように、OCXOの温度を制御することができる。OCXOは、無線送信機、携帯電話基地局、軍事通信機器の正確な周波数制御、及び精密な周波数測定に使用できる。
【0007】
特に、軍用及び民間用の携帯無線デバイス及び他の送受信デバイスのようなバッテリ駆動デバイスの場合、非常に低い電力消費なしで安定性を提供する水晶発振器に対する需要が高まっている。低電力OCXOの他の用途には、UAV及びドローン、低軌道(LEO)衛星、誘導システム、位相ロックループ、シンセサイザーなどがある。それらは、GPSカバレッジが利用できない場合に使用されるデバイスにおいて、正確なタイミング及び同期を提供するために使用することもできる。低電力OCXOは、磁気共鳴撮像(MRI)マシンやその他の画像診断ツールなどのハイテク医療機器にも用途がある。
【0008】
様々なOCXOは、約1W~3Wの電力消費レベルを有することができる。他の低電力OCXOは約135mW~180mWの消費電力を有することができる。上述のように、電力消費の原因は、OCXOからシステムの他の部品への熱損失である可能性がある。そのために、OCXOのヒーターが熱損失を補うためにシステムに追加の熱を供給することがある。したがって、OCXOの熱管理を改善することによって、OCXOの効率及び電力要件を改善することができる。加えて、OCXOの熱管理を改善すると、OCXOのウォームアップ期間が短縮される可能性がある。例えば、いくつかのOCXOでは、水晶の周囲の空気または材料を最も安定した出力を提供する温度まで温めるのに約1分かかる場合がある。しかしながら、OCXO周囲の熱損失を低減することによって、その期間を短縮することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ウォームアップ期間は約10秒に短縮することができる。
【0009】
本開示の態様は、恒温デバイスにおける熱管理を改善するためのデバイス、システム、及び方法を記載する。概して、実施形態の多くは、OCXOを参照して記載することができる。しかしながら、記載された熱管理部品は、他の恒温デバイスにも適用され得る。さらに、熱管理部品は、温度制御されないがシステムの他の部品からの断熱の恩恵を受けることができるデバイスに適用されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、恒温部品を恒温チャンバの内側に配置することができる。恒温チャンバは、ガスで充填され、かつ封止されてもよい。いくつかの実施形態では、恒温チャンバは、その内に恒温部品を埋め込んだ固体材料であってもよい。例えば、固体材料には、エポキシ、ポリマー、プラスチック材、ガラスなどが含まれ得る。いくつかの実施形態では、恒温チャンバは、恒温チャンバからその外部環境への熱放射を介した熱損失を低減するために、アルミニウム、銀、銅、金、またはパリダムを含むが、これに限定されない低放射率材料でコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは数十ナノメートルから数十ミクロンまで変わる。
【0011】
いくつかの実施形態では、毛細管を機械的支持構造として使用することができる。毛細管は、恒温チャンバをその外部環境から断熱しながら恒温チャンバを支持することができる。毛細管は、恒温チャンバを外部部品に動作可能に結合することもできる。いくつかの実施形態では、毛細管は、中空コアを有する管体材料を含むことができる。例えば、毛細管は、中空コア光ファイバと構造的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、管体が、強化コーティングでコーティングされて、毛細管に構造的支持を追加することができる。したがって、毛細管は、強化コーティング層、管体層、及びコアを有することができる。いくつかの実施形態では、強化コーティングは、管体材料を強化し保護するポリマーコーティングであってもよい。例えば、強化コーティング材には、ポリイミド、ポリアミド、パリレン、PDMSなどが含まれる。
【0012】
いくつかの実施形態では、管体材料は低熱伝導性材料である。例えば、管体材料には、シリカ、セラミック、ポリマーなどが含まれ得る。いくつかの実施形態では、コアは中空である。いくつかの実施形態では、コア材は、低熱伝導性材料であり、シリカ、セラミック、ポリマーなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、管体の内径は、約0~数百マイクロメートルの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、毛細管の外径は、約70ミクロン~数百マイクロメートルの範囲であってもよい。上記のような強化コーティングしている毛細管構造は、細い毛細管に強度、非脆性及び耐久性の特性を提供する。そのために、機械的支持体として使用される強化コーティングされた毛細管は、機械的に堅牢であり、良好な断熱構造であり得る。
【0013】
機械的支持に加えて、恒温チャンバは、電気部品と共にシステムの他の部分に接続されてもよい。例えば、OCXOは、恒温チャンバの外側の部品に電気的に結合されて、発振信号を供給することができる。恒温部品から外部部品に恒温部品を電気的に結合するためのワイヤは、熱損失の別の経路を提供し得る。そのために、熱的に制御された部品と外部部品との間の電気的接続のための低い熱損失経路を提供することにより、恒温部品の電力消費をさらに低減することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、強化コーティングされた毛細管は、電気的接続を提供するために導電性である薄膜層でコーティングされてもよい。例えば、フィルム材には、銅、金、銀、伝導性エポキシ、インジウムスズ酸化物、チタン、ニッケル、または他の伝導性材料が含まれ得る。いくつかの実施形態では、導電性材料の少なくとも1つの層と、導電性層(複数可)の工事に役立つ、接着、保護または他の補助的理由からの他の層とを有する複数の薄膜層が存在する。いくつかの実施形態では、導電性層は、約数十ナノメートルから約数マイクロメートルの範囲であり得る。導電性材料のコーティング方法には、蒸発、スパッタリング、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)、スプレーコーティング及びエアロゾルジェット印刷が含まれるが、これらに限定されない。そのために、導電性層は、恒温部品から外部部品への電気的接続を提供することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の強化コーティングされた毛細管を使用して、恒温部品を支持することができる。例えば、毛細管は、ポリマー、エポキシ、接着剤、はんだ、またはシリカを使用して、恒温チャンバにくっつけ、または接着されてもよい。いくつかの実施形態では、導電性の理由から伝導性材料が接続材として使用される。例えば、伝導性接合材は、銀エポキシまたは、はんだを含むことができる。いくつかの実施形態では、接続ジョイントは2つ以上の材料を有することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、恒温チャンバに物理的にくっつけ、または接着されたいくつかの毛細管(主支持毛細管)及び主支持毛細管と点接触する追加の毛細管(補助支持毛細管)がある。補助支持毛細管は、主要支持毛細管と補助支持毛細管との間の点接触に起因する熱伝導を介した熱損失を加えることなく、追加の機械的支持を提供することができる。いくつかの実施形態では、主支持毛細管と補助支持毛細管がメッシュを形成する。
【0017】
図1は、強化コーティングされた毛細管によって支持された恒温チャンバを含むシステム100の例示的な実施形態を示す図である。システム100は、恒温チャンバ110及び外側チャンバ120を含む。チャンバ内にはシステムの制御された温度に依存して動作する複数の部品があり得る。いくつかの実施形態では、部品は1つ以上の水晶発振器112を含むことができる。システムは、システムの温度を決定するために使用される温度114を含むこともできる。恒温チャンバ110は、設定のための温度を設定するヒーター116を含むこともできる。いくつかの実施形態では、ヒーター116は、恒温チャンバ110の外側に、かつ、恒温チャンバ110に接触して配置され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、恒温チャンバ110は、毛細管130を介して外部エレクトロニクスに動作可能に結合されてもよい。恒温チャンバ110は、低放射放射率コーティングでコーティングされて、恒温チャンバ110からの熱損失を低減することができる。いくつかの実施形態では、毛細管130は、ピンコンタクト140を介して追加の基板材料に結合されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、恒温チャンバ110は、第2のチャンバ120内に配置されてもよい。第2のチャンバ120は、空気対流及び伝導熱損失に起因する損失を低減するための排気チャンバであってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、
図2に示されるように、
図1に示される低圧排気チャンバ110ではなく、固体材料を使用して恒温要素に一貫した温度を提供することができる。
図2に示されるような固体充填物、または
図1に示されるような恒温チャンバは、恒温チャンバからの熱放射損失を低減するために低放射性材料でコーティングされてもよい。
【0020】
図1及び
図2では、毛細管130を恒温チャンバ130に結合することができる。さらに、恒温チャンバ110または210は、外部ピン140への追加の基板構造に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、記載された構造に加えて、恒温チャンバ110または210は、異なる構造または形状であってもよい。加えて、
図1または2に示されたヒーター116は、異なる位置に配置されてもよい。例えば、ヒーター116は、恒温チャンバ110または210の外側にあってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、追加のエレクトロニクスを、恒温チャンバ110または210内または外側に配置することができる。
【0021】
図3A及び3Bは、
図1及び2を参照して記載された例示的な毛細管300を示す。
図3Aは、毛細管300の縦軸に垂直な毛細管300の断面図を示す。
図3Bは、縦軸に沿った毛細管300の断面図を示す。
図3A及び3Bにおいて、毛細管300は、繊維体材料310、コア320、及び強化コーティング330を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、繊維体材料310は、約数百ミクロンの範囲の内径を有することができる。繊維体材料310の外径は、約数十ミクロン~約数百ミクロンの範囲であってもよい。したがって、繊維体材料310の本体の厚さは、約数十ミクロン~約数百ミクロンの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、繊維体材料310は、恒温チャンバの断熱性を改善するために、低熱伝導特性を有する材料で作られてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、繊維体材料310は、シリカ、セラミック、またはポリマー材料のうちの1つであってもよい。いくつかの実施形態では、繊維体材料310は内径を有さなくてもよく、コア320がなくてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、コア320は、繊維体材料310内の中空空間であってもよい。いくつかの実施形態では、コア320は、低熱伝導特性を有する材料であってもよい。例えば、コアは、シリカ、セラミック、またはポリマー材料であってもよい。
図3A及び3Bは、繊維体材料310及びコア320を示すが、いくつかの実施形態では、毛細管300内に追加の層が存在し得る。例えば、コア320内に複数の層があってもよい。いくつかの実施形態では、中空コア320を有する繊維体材料310の複数の層が存在してもよい。
【0024】
強化コーティング330は、毛細管300の構造的特性を改善することができる。コア320を有する繊維体材料310は、
図1及び2を参照して記載した恒温チャンバの動作を改善するのに十分な断熱特性を提供することができる。しかしながら、追加の構造的支持または耐久性を提供するために、強化コーティング330は、毛細管300の特性を改善し得る。いくつかの実施形態では、強化コーティング330はポリマーコーティングであってもよい。例えば、強化コーティング材料には、ポリイミド、ポリアミド、パリレン、PDMSなどが含まれる。いくつかの実施形態では、強化コーティング330は、非ポリマー材料を含む別の材料であってもよい。いくつかの実施形態では、強化コーティングの厚さ350は、約数十ナノメートル~約数十マイクロメートルであり得る。
【0025】
図3A及び
図3Bは円筒形状の毛細管300を示しているが、いくつかの実施形態では、毛細管は異なる形状であってもよい。例えば、毛細管300は、長方形、卵形、多角形、または任意の他の輪郭であってもよい。加えて、毛細管300の異なる部分は、1つ以上の部品に対して異なる厚さを有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、
図3A及び3Bに示されているよりも少ない、または追加の、毛細管300のための層があってもよい。
【0026】
図4A、4B及び4Cは、導電性層440を有する毛細管400の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態では、毛細管400は、追加の導電性層440を有し、参照例3A及び3Bで記載した毛細管300と同じ、または同様であってもよい。例えば、毛細管400は、
図3A及び3Bを参照して記載したように繊維体410、コア420、及び強化コーティング430を有することができる。
【0027】
上記のように、導電性層440は、恒温チャンバを外部回路に電気的に結合するために使用され得る。例えば、導電性層440は、一端が恒温チャンバに結合され、反対側の端部が外部回路のピンに結合されている。いくつかの実施形態では、導電性層440は、毛細管の外側に塗布された薄膜であってもよい。例えば、フィルム材には、銅、金、銀、伝導性エポキシ、インジウムスズ酸化物、チタン、ニッケル、または他の伝導性材料が含まれ得る。いくつかの実施形態では、導電性材料の少なくとも1つの層と、導電性層440に追加の特性を提供する接着、保護または他の補助的理由からの他の層とを有する複数の薄膜層が存在する。
【0028】
いくつかの実施形態では、導電性層440は、約数十ナノメートルから約十マイクロメートルの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、導電性材料のコーティング方法には、蒸発、スパッタリング、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)、スプレーコーティング及びエアロゾルジェット印刷が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、導電性層440は連続的であり、
図4Aに示すように毛細管を完全に覆う。例えば、毛細管400は、毛細管400の全ての側面を覆うように、堆積工程中に回転させることができる。いくつかの実施形態では、導電性層440は連続的であり、
図4Bに示すように毛細管を部分的に覆う。例えば、指向性堆積工程の間、毛細管は、一方の側で連続的にコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、導電性層440は連続的でなく、
図4Cに示すように毛細管を部分的に覆う。例えば、エアロゾルジェット印刷を使用して、毛細管400は、恒温チャンバから外部回路への2つのトレースを提供するようにコーティングされてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、毛細管400は、恒温チャンバへ、または恒温チャンバから複数の信号を伝えることができる。さらに、いくつかの実施形態では、導電性層440は、毛細管400の全長を覆うことができる。いくつかの実施形態では、導電性層440は、毛細管400のある長さの部分を覆うことができる。例えば、ある長さの毛細管400の異なる部分は、不連続な導電性層440を有することができる。
【0029】
図5は、恒温チャンバを外部部品に接続する毛細管510を有するシステム500の一例を示す。毛細管510は、
図3A、3B、及び4A~4Cを参照して記載したものと同様の、または同じ構造を有することができる。電気的接続を提供するために、毛細管510は、導電性層520を有してもよい。
【0030】
毛細管510は、恒温チャンバを銀エポキシまたは、はんだ530で支持する基板540に結合されてもよい。銀エポキシまたは、はんだ530は導電性層520を基板540上の金属トレース525に結合することができる。毛細管510の他端は、デバイスのシェルの一部である基板565に同様に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、銀エポキシまたは、はんだ550は導電性層520をシェルの金属トレース560に結合することができる。いくつかの実施形態では、基板565は、チャンバを外部エレクトロニクスに結合するためのピン570を含むことができる。したがって、恒温デバイスから外部エレクトロニクスへの電気的接続を提供することができる。いくつかの実施形態では、毛細管520を外部エレクトロニクスに結合するために他の構造を使用することができる。さらに、銀エポキシまたは、はんだ530に加えて、機械的支持のために追加の接合が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、毛細管510、基板540及び基板565の間に電気的接続を形成するために他の材料を使用することができる。
【0031】
図6は、接続点610を介して毛細管620に結合された恒温チャンバ630の例示的な装置600を示す。毛細管620は、
図3A、3B、及び4A~4Cを参照して記載したものと同様の、または同じ構造を有することができる。いくつかの実施形態では、電気的接続を提供するために、1つ以上の毛細管620が導電性層を有してもよい。例えば、全ての毛細管620が導電性層を有してもよく、毛細管620のサブセットが導電性層を有してもよく、または毛細管620のいずれも導電性層を有さなくてもよい。
【0032】
図6に示された装置は4つの毛細管620を含むが、いくつかの実施形態では、より少ない、または追加の毛細管620があってもよい。加えて、毛細管620は、異なる配置を有してもよく、または異なる接続点で接続されてもよい。例えば、恒温チャンバの全ての側面に取り付けられた毛細管620、恒温チャンバの角に取り付けられた毛細管620、または示されていない他の角度で取り付けられた毛細管620があってもよい。加えて、いくつかの実施形態では、恒温チャンバは長方形でなく、別の形状であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、毛細管620は、接続点610を介して恒温チャンバ630に機械的または電気的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、異なる接続点610は、接続点が毛細管620と恒温チャンバ630との間に電気的接続を提供しているかどうかに応じて、異なる接合材を有することができる。例えば、接続点610のサブセットは、銀エポキシまたははんだを含む接合材を有することができるが、他の接合材はポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の接続点610は、ポリマー、エポキシ、接着剤、はんだ、シリカなどであってもよい。いくつかの実施形態では、毛細管620は、複数の材料または材料の層を使用して恒温チャンバ630に結合されてもよい。
【0034】
図7は、接続点715を介して毛細管710に結合された恒温チャンバ705の例示的な装置700を示す。加えて、例示的な装置700は補助毛細管720を含むことができる。毛細管710及び補助毛細管720は、
図3A、3B、及び4A~4Cを参照して記載したものと同様の、または同じ構造を有することができる。いくつかの実施形態では、電気的接続を提供するために、1つ以上の毛細管710が導電性層を有してもよい。いくつかの実施形態では、全ての毛細管710が導電性層を有してもよく、毛細管710のサブセットが導電性層を有してもよく、または毛細管710のいずれも導電性層を有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、補助毛細管720が恒温チャンバ705に結合されていないため、補助毛細管720は導電性層を有し得ない。
【0035】
いくつかの実施形態では、補助毛細管720は、点接触を介して毛細管710に結合されてもよい。例えば、毛細管710は、補充毛細管720上に載ることができる。したがって、補助毛細管720は、支持及び追加の耐久性を提供しながら毛細管710との最小量の接触を有することができる。最小の接触により、補助毛細管720を介した熱損失をさらに低減し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、追加の毛細管があってもよい。例えば、
図8は、接続点830を介して毛細管820に結合された、恒温チャンバ810の例示的な装置800であって、追加の補助毛細管830を有する装置800を示す。毛細管820及び補助毛細管830は、メッシュを形成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、メッシュは、毛細管820と補助毛細管830との間の点接触を維持しながら、追加の機械的支持及び耐久性を提供することができる。いくつかの実施形態では、装置800は、異なる数の接続点830、毛細管820、補助毛細管830、または異なる恒温チャンバ810を有することができる。
【0037】
図9A~9Gは、製造工程の一部におけるOCXOの部品を示す。いくつかの実施形態では、OCXOを製造する工程は、より少ないステップまたは追加のステップを含むことができる。さらに、
図9A~9Gに示される工程は、異なる順序で実行されてもよい。工程はOCXOについて示されているが、恒温チャンバ内に異なるエレクトロニクスを有することにより、外部部品から断熱された他のタイプのデバイスを恒温チャンバ内に提供することになる。例えば、毛細管を使用して、他の部品に比べて冷却された状態に保たれる部品の断熱を提供することができる。さらに、いくつかの実施形態では、毛細管を使用して、温度制御されていない部品間の断熱を提供することができる。
【0038】
図9Aの状態で開始して、恒温デバイス900のエレクトロニクスが基板上に組み立てられる。例えば、OCXOは、水晶振動子912、温度センサー914、ヒーター916、及び潜在的に付加的なエレクトロニクス918を含むことができる。いくつかの実施形態では、恒温デバイス900は、図示された部品よりも少ない、または追加の部品を含むことができる。加えて、他の恒温デバイス900は、用途に応じて異なる部品を含むことができる。いくつかの実施形態では、部品は、シリコンウェハまたは他の基板などの基板上に組み立てられてもよい。いくつかの実施形態では、エレクトロニクスは、他の構造上に組み立てられてもよい。エレクトロニクスに加えて、いくつかの実施形態では、金属または他の電子伝導性トレース922を基板に適用して、基板からの電気的接続を提供することができる。例えば、毛細管に取り付けるために金属トレースを使用することができる。
【0039】
図9Bにおいて、毛細管930は、エポキシまたは別の接合材925を用いて基板に取り付けられてもよい。エポキシを使用してファイバ(金属化ファイバ)を基板に取り付ける。例えば、エポキシはポリマーベースの接合材であってもよい。
図9Cにおいて、毛細管を金属トレース922に電子的に結合することができる。例えば、銀エポキシ、はんだ、または他の導電性接合材925を使用して、金属トレース922を毛細管930に電子的に結合することができる。
【0040】
図9Dにおいて、恒温チャンバ960は、組み立てられたエレクトロニクスの周囲に密封されてもよい。いくつかの実施形態では、恒温チャンバ960は、ガスで充填され、ガスが漏れないように封止されてもよい。
図9Eは、電子部品がエポキシ、ポリマーまたは他の固体充填物のような固体材料内に封止されている代替の実施形態を示す。
図9Dまたは9Eに示す実施形態のいずれにおいても、放射損失を低減するために低放射材料でコーティングすることができる。例えば、恒温チャンバ960は、金、銅、アルミニウム、ポリマー、または他の低放射材料のような金属965でコーティングすることができる。
【0041】
図9Fにおいて、恒温デバイス900を外部部品に電子的に結合するために毛細管930が基板970に取り付けられる。例えば、毛細管930は、
図9B及び9Cを参照して記載したように、毛細管930を基板920及び金属トレース922に結びつけるために使用された接合材と同様の、または同じ接合材980及び導電性接合材975を介して結合されてもよい。
【0042】
図9Gにおいて、恒温チャンバ960は、真空パッケージ990内で真空封止されてもよい。例えば、真空パッケージは、恒温デバイス900の外側の対流に起因する熱損失を低減することができる。いくつかの実施形態では、真空パッケージ990内の恒温チャンバ960を真空封止する代わりに、恒温チャンバ960をガスで充填されたチャンバ内に封止することができる。例えば、外側チャンバ990は、充填されたアルゴンまたは低熱伝導性を有する別のガスであってもよい。加えて、ピン985は、基板995及び真空パッケージ990からなるシェルを介して提供されてもよい。したがって、恒温デバイス900は、恒温チャンバ960内に封止されて、シェルを介して外部エレクトロニクスに接続されてもよい。
【0043】
図10は、熱管理のための毛細管を有する恒温デバイスを製造する例示的な工程のフロー
図1010を示す。ブロック1000で始まり、複数の毛細管が基板に取り付けられる。例えば、毛細管は、先の図を参照して記載したものと同様であってもよい。いくつかの実施形態では、毛細管は、ポリマー、エポキシ、接着剤、はんだ、シリカなどの接合材で取り付けられてもよい。
【0044】
ブロック1020に目を移すと、毛細管は、基板に取り付けられた電子部品に電子的に結合される。例えば、毛細管の電子伝導性コーティングを基板上の金属トレースに結合することができる。いくつかの実施形態では、導電コーティングのための接続材として伝導性材料が使用される。例えば、伝導性接合材は、銀エポキシまたは、はんだを含むことができる。いくつかの実施形態では、接続ジョイントは2つ以上の材料を有することができる。
【0045】
ブロック1030において、恒温チャンバ内に電子部品が封入されてもよい。例えば、電子部品は、
図9Dに示されるようなチャンバ、または
図1を参照して記載されたような恒温チャンバ110内に封入することができる。
【0046】
ブロック1040において、複数の毛細管が第2の基板に取り付けられる。例えば、第2の基板は、恒温部品を外部電気部品に電子的に結合するためのピンを有することができる。例えば、第2の基板は、毛細管に取り付けられた金属トレースまたは他の電子部品を有することができる。
【0047】
ブロック1050において、複数の毛細管、恒温チャンバ及び基板は、第2のチャンバ内に真空封止されてもよい。例えば、第2のチャンバは、
図9Gの部品990、または
図1への参照で部品120を参照して記載したとおりであってもよい。
【0048】
様々な動作は、複数の個別の動作として、ひいては、本開示を理解する上で最も有用な方法で記載されるが、説明の順序は、これらの動作が必ずしも順序どおりであることを意味するとは解釈されない。特に、これらの動作は、提示順に実行される必要はない。
【0049】
前述の説明は、本開示のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、部品、方法などの例のような多くの具体的な詳細を述べている。しかしながら、当業者には、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。他の例では、周知の部品または方法は、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細には記載されておらず、または単純なブロック図形式で示されている。したがって、記載された特定の詳細は単に例示的である。特定の実施形態は、これらの例示的な詳細と異なり得、依然として本開示の範囲内にあると考えられる。
【0050】
なお、いくつかの実施形態は、マシン可読媒体が複数のコンピュータシステム上に記憶され、及び、または複数のコンピュータシステムによって実行される分散コンピューティング環境で実施することができる。加えて、コンピュータシステム間で転送される情報は、コンピュータシステムを接続する通信媒体を横切ってプルされてもプッシュされてもよい。
【0051】
特許請求される主題の実施形態は、本明細書に記載された様々な動作を含むが、これらに限定されない。これらの動作は、ハードウェアコンポーネント、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実行されてもよい。
【0052】
本明細書の方法の動作は特定の順序で示され説明されているが、各方法の動作の順序は、ある特定の動作が逆順で実行されるように変更されてもよく、その結果、ある特定の動作が少なくとも部分的に他の動作と並行して実行されてもよい。別の実施形態では、別個の動作の命令または副動作は、間欠的または交互の方法であってもよい。
【0053】
要約書に記載されているものを含めて、本発明の図示された実装例の上記の説明は、網羅的であること、または開示された厳密な形態に本発明を限定することを意図したものではない。本発明の具体的な実装例及び例は、例示目的のために本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な均等な変更が可能である。「例」または「例示的」という用語は、本明細書では、例、事例、または例示としての役割を果たすことを意味するために使用される。本明細書において「例」または「例示的」と記載された任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計以上に好ましいまたは有利と解釈されるべきではない。むしろ、用語「例」または「例示的」の使用は、概念を具体的に提示することを意図している。本出願で使用される場合、用語「または」は排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意図する。すなわち、他に具体化されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」とは、自然な包括的置換のいずれかを意味することを意図する。すなわち、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがA及びBの両方を含む、いずれかの場合に、「XはAまたはBを含む」が満足される。加えて、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an]」は、他に具体化されない限り、または単数形に向けられる文脈から明らかでない限り、概して、「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。その上、「実施形態」または「一実施形態」または「実装例」または「一実装例」という用語の至る所での使用は、そのように記載されない限り、同じ実施形態または実装例を意味すると意図しない。さらに、本明細書で使用される「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などという用語は、異なる要素を区別するためのラベルを意味し、必ずしもそれらの数値指定に従った序数的な意味を有さない。
【0054】
上記で開示された及び他の特徴及び機能の変形、またはそれらの代替物は、他の異なるシステムまたはアプリケーションに組み合わされてもよいことが理解されよう。当業者であれば、現時点で予想外の、または予期せぬ様々な代替、改変、変形、または改良を後で行うことができ、それは、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。特許請求の範囲は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実施形態を包含することができる。