(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
H01L21/306 B
(21)【出願番号】P 2018169035
(22)【出願日】2018-09-10
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】林 秀和
【審査官】田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-73577(JP,A)
【文献】特開2006-203031(JP,A)
【文献】特開2002-184751(JP,A)
【文献】特開平11-195568(JP,A)
【文献】国際公開第2014/020642(WO,A1)
【文献】特開2013-105909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに貼り合わされた第1基板と第2基板とを含む被加工基板に、環状の形状を有する環状部材を、前記第1基板を包囲するように装着する装着部と、
前記環状部材が装着された前記被加工基板を保持する保持部と、
前記保持部により保持された前記被加工基板の前記第2基板に第1流体を供給する第1流体供給部と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
互いに貼り合わされた第1基板と第2基板とを含む被加工基板を保持する保持部と、
前記保持部により保持された前記被加工基板の前記第2基板に第1流体を供給する第1流体供給部と、
前記第1基板と前記第2基板との境界に第2流体を供給する第2流体供給部と、
を備える半導体製造装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1および第2基板が横向きになるように前記被加工基板を保持する、請求項1または2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記第1および第2基板のうちの前記第1基板のみに接触するように前記被加工基板を保持する、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記第1流体は、前記第2基板をエッチングするエッチング液である、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記第1流体供給部は、前記第2基板に前記第1流体を吐出する複数のノズルを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記第1流体供給部は、前記第2基板に含まれる半導体基板の厚みを検出する検出部を備え、前記検出部により検出された前記厚みに基づいて前記半導体基板に前記第1流体を供給し、前記半導体基板の少なくとも一部を前記第1流体により除去する、請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記第1基板と前記第2基板との境界に、前記第1流体による前記第1基板の除去を抑制する第2流体を供給する第2流体供給部をさらに備える、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記第1基板が下部に位置し、前記第2基板が上部に位置するように前記被加工基板を受け取り、前記第1基板が上部に位置し、前記第2基板が下部に位置するように前記被加工基板の向きを反転させ、反転させた前記被加工基板を前記装着部に提供する反転部をさらに備える、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記半導体製造装置内の空間を、前記装着部、保持部、および前記第1流体供給部を有する第1空間と、前記半導体製造装置に対する前記被加工基板の出入口が設けられた第2空間とに分離するバッファ部をさらに備える、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
互いに貼り合わされた第1基板と第2基板とを含む被加工基板に、環状の形状を有する環状部材を、前記第1基板を包囲するように装着し、
前記環状部材が装着された前記被加工基板を保持し、
保持された前記被加工基板の前記第2基板に第1流体を供給する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハ同士を貼り合わせて、一方のウェハの所定の部分(例えばシリコンウェハ部分)をエッチングなどにより除去する場合、他方のウェハの部分が除去されることは望ましくないことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
互いに貼り合わされた基板の一部を適切に除去することが可能な半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体製造装置は、互いに貼り合わされた第1基板と第2基板とを含む被加工基板に、環状の形状を有する環状部材を、前記第1基板を包囲するように装着する装着部を備える。前記装置はさらに、前記環状部材が装着された前記被加工基板を保持する保持部を備える。前記装置はさらに、前記保持部により保持された前記被加工基板の前記第2基板に第1流体を供給する第1流体供給部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の多連ノズルの構造を示す上面図である。
【
図3】第1実施形態の保護リングの構造を示す上面図および断面図である。
【
図4】第1実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す上面図である。
【
図5】第2実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。
【
図6】第3実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。
【
図7】第4実施形態の半導体装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1~
図7において、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。
【0009】
本実施形態の半導体製造装置は例えば、被加工ウェハをウェットエッチングにより処理するエッチング装置である。
図1は、互いに貼り合わされた第1ウェハ1と第2ウェハ2とを含む被加工ウェハを示している。第1ウェハ1は第1基板の一例であり、第2ウェハ2は第2基板の一例であり、被加工ウェハは被加工基板の一例である。
【0010】
図1では、環状(リング状)の形状を有する保護リング3が、第1ウェハ1を取り囲むように被加工ウェハに装着されている。保護リング3は、第2ウェハ2をエッチングする際に、第1ウェハ1のエッチングを抑制するために被加工ウェハに装着されている。保護リング3は、環状部材の一例である。
【0011】
図1は、第1ウェハ1や第2ウェハ2の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、第2ウェハ1や第2ウェハ2の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。
【0012】
図1の半導体製造装置は、保持部の一例であるバキュームチャック11と、エッチング液タンク12と、エッチング液ポンプ13と、第1流体供給部の一例である多連ノズル14と、ウェハ収容部15と、第2流体供給部の一例である保護液ノズル16と、ガスノズル17と、制御部18とを備えている。ウェハ収容部15は、包囲壁15aと、排水部15bと、排気部15cとを備えている。
【0013】
バキュームチャック11は、被加工ウェハを保持し回転させる。本実施形態のバキュームチャック11は、第1ウェハ1が上部に位置し、第2ウェハ2が下部に位置するように被加工ウェハを保持する。また、バキュームチャック11は、バキュームチャック11が第2ウェハ2のエッチングの邪魔にならないように、第1ウェハ1と第2ウェハ2のうちの第1ウェハ1のみに接触するように被加工ウェハを保持する。具体的には、バキュームチャック11は、第1ウェハ1の上面に接触して被加工ウェハを保持する。矢印A1で示すように、バキュームチャック11は、第1ウェハ1や第2ウェハ2の中心軸を中心に被加工ウェハを回転させる。
【0014】
本実施形態の半導体装置は、後述するように、被加工ウェハに保護リング3を装着したり、被加工ウェハから保護リング3を脱離したりするリング脱着部を備えている。本実施形態では、保護リング3が装着された被加工ウェハが、リング脱着部からバキュームチャック11に搬送され、
図1に示すようにバキュームチャック11により保持される。
【0015】
エッチング液タンク12は、第2ウェハ2をエッチングするためのエッチング液を貯留している。エッチング液は、第1流体の一例である。エッチング液ポンプ13は、エッチング液タンク12内のエッチング液を多連ノズル14へと移送する。多連ノズル14は、バキュームチャック11により保持された被加工ウェハの第2ウェハ2にエッチング液を供給する。その結果、第2ウェハ2の少なくとも一部がエッチング液により除去され、例えば、第2ウェハ2に含まれるシリコンウェハ部分が除去される。本実施形態では、第2ウェハ2の下面にエッチング液が吐出され、第2ウェハ2が下面からエッチングされる。
【0016】
ウェハ収容部15は、バキュームチャック11により保持された被加工ウェハを収容する。本実施形態のエッチング液は、バキュームチャック11により回転されている被加工ウェハに吐出されるため、被加工ウェハから遠心力により横方向に飛散し、包囲壁15aに衝突する。包囲壁15aに衝突したエッチング液は、下方へと落下し、矢印A2で示すように排水部15bから外部に排出される。本実施形態の半導体製造装置内で使用されたその他の液体も、排水部15bから外部に排出される。一方、本実施形態の半導体製造装置内で使用されたガスは、矢印A3で示すように排気部15cから外部に排出される。
【0017】
保護液ノズル16は、第1ウェハ1と第2ウェハ2との境界に、上記のエッチング液による第1ウェハ1のエッチングを抑制するための保護液を吐出する。これにより、被加工ウェハにおいてエッチングしたくない部分を、保護リング3および保護液により保護することが可能となる。保護液は、第2流体の一例である。保護液は例えば純水であり、この場合、第1ウェハ1と第2ウェハ2との境界をリンスするためにこの純水を使用することも可能である。
【0018】
ガスノズル17は、第1ウェハ1と第2ウェハ2との境界にガスを吐出する。このガスは例えば、境界の冷却や乾燥のために使用される。このガスの例は窒素ガスである。
【0019】
制御部18は、半導体製造装置の種々の動作を制御する。制御部18の例は、プロセッサ、電気回路、PC(Personal Computer)などである。例えば、制御部14は、バキュームチャック11の回転や、エッチング液ポンプ13の動作や、多連ノズル14、保護液ノズル16、ガスノズル17からの吐出などを制御する。
【0020】
図2は、第1実施形態の多連ノズル14の構造を示す上面図である。
【0021】
図2に示すように、多連ノズル14は、複数のエッチング液ノズル14aと、複数のリンス液ノズル14bと、複数のガスノズル14cと、検出部の一例である厚みモニタ14dとを備えている。
【0022】
エッチング液ノズル14aは、第2ウェハ2の下面に上記のエッチング液を吐出して、第2ウェハ2をエッチング液によりエッチングする。エッチング液は例えば、フッ酸水溶液、硝酸水溶液、アルカリ水溶液などである。本実施形態では、列状に配置されたエッチング液ノズル14aから回転中の被加工ウェハにエッチング液を吐出することで、第2ウェハ2の下面全体にエッチング液を供給することができる。
【0023】
リンス液ノズル14bは、第2ウェハ2の下面にリンス液を吐出して、第2ウェハ2をこのリンス液によりリンスする。リンス液は例えば、純水である。本実施形態では、列状に配置されたリンス液ノズル14bから回転中の被加工ウェハにリンス液を吐出することで、第2ウェハ2の下面全体にリンス液を供給することができる。
【0024】
ガスノズル14cは、第2ウェハ2の下面にガスを吐出する。このガスは例えば、第2ウェハ2の下面の冷却や乾燥のために使用される。このガスの例は窒素ガスである。本実施形態では、列状に配置されたガスノズル14cから回転中の被加工ウェハにガスを吐出することで、第2ウェハ2の下面全体にガスを供給することができる。
【0025】
厚みモニタ14dは、第2ウェハ2に含まれるシリコンウェハの厚みを検出し、厚みの検出結果を制御部18に出力する。制御部18は、厚みモニタ14dにより検出された厚みに基づいて、エッチング液ノズル14aからこのシリコンウェハにエッチング液を吐出する。これにより例えば、シリコンウェハを完全に除去するまでエッチングすることや、シリコンウェハを所定の厚みまで薄膜化することが可能となる。
【0026】
図3は、第1実施形態の保護リング3の構造を示す上面図および断面図である。
図3(a)および
図3(b)は上面図に相当し、
図3(c)は断面図に相当する。
【0027】
図3(a)に示すように、保護リング3は、円弧部21と、円弧部21の一端に設けられた凸部22と、円弧部21の他端に設けられた凸部23とを含む第1部分3aと、円弧部31と、円弧部31の一端に設けられた凸部32と、円弧部31の他端に設けられた凸部33とを含む第2部分3bとを備えている。
【0028】
第1部分3aは、円弧部21の両端に凸部22、23を備えるとともに、第2部分3bの凸部32、33を挿入するための凹部を円弧部21の両端に備えている。同様に、第2部分3bは、円弧部31の両端に凸部32、33を備えるとともに、第1部分3aの凸部22、23を挿入するための凹部を円弧部31の両端に備えている。よって、これらの凸部22、23、32、33をこれらの凹部に挿入することで、被加工ウェハの第1ウェハ1の周囲に保護リング3を装着することができる(
図3(b))。逆に、これらの凸部22、23、32、33をこれらの凹部から抜き出すことで、被加工ウェハの第1ウェハ1の周囲から保護リング3を脱離することができる。
【0029】
図3(c)は、保護リング3の断面を示しており、具体的には、第1部分3aの円弧部21の一端と、円弧部21の一端に設けられた凸部22と、円弧部21の一端の凹部に挿入された凸部32とを示している。
図3(c)はさらに、これらの凸部22や凹部を包囲するように円弧部21の一端に設けられたシール部材を示している。本実施形態の保護リング3は、円弧部21の両端や円弧部31の両端にこのようなシール部材を備えている。これにより、第1部分3aと第2部分3bとの間の隙間を密閉することが可能となり、隙間から被加工ウェハへとエッチング液が入り込むことを抑制することが可能となる。
【0030】
なお、本実施形態の第1部分3aと第2部分3bは、上記のような凸部および凹部を備える代わりに、複数のばねにより互いに接続されていてもよい。例えば、円弧部21の一端と円弧部31の一端がばねにより接続され、円弧部21の他端と円弧部31の他端がばねにより接続されていてもよい。この場合、ばねを伸ばしたり縮めたりすることで、被加工ウェハに保護リング3を装着することや、被加工ウェハから保護リング3を脱離することが可能となる。
【0031】
図4は、第1実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す上面図である。
【0032】
本実施形態の半導体製造装置は、
図1に示す構成要素に加え、ロード部41a~41dと、インタフェース部42と、第1アーム43と、反転部44と、バッファ部45と、搬送レール46と、第2アーム47と、装着部の例であるリング脱着部48a~48dと、ウェット処理部49a~49dとを備えている。
【0033】
ロード部41a~41dは、半導体製造装置に搬入する被加工ウェハや、半導体製造装置ら搬出する被加工ウェハを載置するテーブルである。ロード部41a~41dには、4個の被加工ウェハを載置することができる。半導体製造装置に搬入する被加工ウェハは、第1ウェハ1が下部に位置し、第2ウェハ2が上部に位置する状態で、ロード部41a~41dのいずれかに載置される。
【0034】
インタフェース部42は、半導体製造装置に対する被加工ウェハの出入口に相当する。ロード部41a~41dのいずれかに載置された被加工ウェハは、第1アーム43によりインタフェース部42に搬入され、反転部44に移送される。
【0035】
反転部44は、第1ウェハ1が下部に位置し、第2ウェハ2が上部に位置する状態の被加工ウェハを受け取り、第1ウェハ1が上部に位置し、第2ウェハ2が下部に位置するように被加工ウェハの向きを反転させる。向きが反転された被加工ウェハは、第1アーム43により反転部44からバッファ部45に移送される。
【0036】
バッファ部45は、半導体製造装置内の空間を、搬送レール46、第2アーム47、リング脱着部48a~48d、ウェット処理部49a~49dを有する第1空間と、インタフェース部42、第1アーム43、反転部44を有する第2空間とに分離している。バッファ部45は例えば、ウェット処理部49a~49dなどがダストなどにより汚染されることを防止するために設けられている。リング脱着部48a~48dが、ウェット処理部49a~49dと同じ第1空間内に設けられていることに留意されたい。
【0037】
搬送レール46は、第2アーム47が移動するためのレールである。バッファ部45に搬入された被加工ウェハは、第2アーム47によりリング脱着部48a~48dのいずれかに移送される。リング脱着部48a~48dはそれぞれ、リフトピンP1~P4を備えている。リング脱着部48a~48dの各々には、あらかじめ保護リング3が収容されている。
【0038】
例えば、被加工ウェハは、第1ウェハ1が上部に位置し、第2ウェハ2が下部に位置する状態でリング脱着部48aに搬入され、リフトピンP1上に載置される。リング脱着部48aは、この被加工ウェハの第1ウェハ1の周囲に保護リング3を装着する。この際、第1ウェハ1の高さと保護リング3の高さとの位置合わせは、リフトピンP1により実施される。以上の説明は、リング脱着部48b~48dにも同様に適用される。
【0039】
保護リング3が装着された被加工ウェハは、リング脱着部48a~48dのいずれかからウェット処理部49a~49dのいずれかに移送される。ウェット処理部49a~49dの各々は、
図1に示す構造を有している。
【0040】
例えば、保護リング3が装着された被加工ウェハは、第1ウェハ1が上部に位置し、第2ウェハ2が下部に位置する状態でリング脱着部48aからウェット処理部49aに搬入され、この状態で
図1のバキュームチャック11により保持される。ウェット処理部49aは、
図1を参照して説明したように、被加工ウェハのエッチング、リンス、冷却、乾燥などを行う。
【0041】
その後、この被加工ウェハは、ウェット処理部49aからリング脱着部48aに搬出される。リング脱着部48aは、この被加工ウェハの第1ウェハ1の周囲から保護リング3を脱離する。この際、第1ウェハ1の高さと保護リング3の高さとの位置合わせは、リフトピンP1により実施される。次に、この被加工ウェハは、リング脱着部48aからバッファ部45を介して反転部44に搬出される。以上の説明は、リング脱着部48b~48dやウェット処理部49b~49dにも同様に適用される。
【0042】
反転部44は、第1ウェハ1が上部に位置する状態の被加工ウェハをバッファ部45から受け取り、第1ウェハ1が下部に位置するように被加工ウェハの向きを反転させる。向きが反転された被加工ウェハは、第1アーム43により反転部44からロード部41a~41dのいずれかに移送される。このようにして、本実施形態の半導体製造装置により被加工ウェハの処理が終了する。
【0043】
以上のように、本実施形態の半導体製造装置は、第1ウェハ1の周囲に保護リング3が装着された状態で、第2ウェハ2をエッチング液によりエッチングする。よって、本実施形態では、第1ウェハ1のエッチングを抑制しつつ、第2ウェハ2をエッチングすることができる。このように、本実施形態によれば、互いに貼り合わされた第1ウェハ1と第2ウェハ2とを含む被加工ウェハの一部を適切にエッチングすることが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、第1ウェハ1の上面をバキュームチャック11によりチャックし、第2ウェハ2の下面にエッチング液を吐出する。この場合、第2ウェハ2に接触した後のエッチング液は、重力の作用により落下しやすく、第1ウェハ1の方向には移動しにくい。これにより、エッチング液による第1ウェハ1のエッチングを抑制することが容易となる。ただし、第1ウェハ1や第2ウェハ2の向きはこれに限るものではなく、例えば後述する第3実施形態のような向きとなっていてもよい。
【0045】
なお、本実施形態のエッチングは、エッチング液以外の流体(例えばエッチングガス)を用いて行ってもよい。また、本実施形態の第1ウェハ1と第2ウェハ2との境界は、保護液以外の流体(例えば保護ガス)を用いてエッチングから保護してもよい。また、本実施形態の被加工ウェハの一部は、エッチング以外の手法で除去してもよい。
【0046】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。
【0047】
本実施形態の半導体製造装置は、
図1と
図5とを比較すれば分かるように、第1実施形態の半導体製造装置と同様の構成要素を備えている。しかしながら、本実施形態では、被加工ウェハに保護リング3を装着せずに被加工ウェハをエッチングする。このようなエッチングは例えば、保護ノズル16からの保護液だけで被加工ウェハを十分にエッチングから保護できる場合に行うことが望ましい。
【0048】
本実施形態によれば例えば、半導体製造装置にリング着脱部48a~48dを設ける必要がなくなり、半導体製造装置を小型化することや、半導体製造装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0049】
逆に第1実施形態において、保護リング3だけで被加工ウェハを十分にエッチングから保護できる場合には、半導体製造装置に保護ノズル16を設けなくてもよい。
【0050】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態の半導体製造装置の構造を模式的に示す断面図である。
【0051】
本実施形態の半導体製造装置は、
図5と
図6とを比較すれば分かるように、第2実施形態の半導体製造装置と同様の構成要素を備えている。しかしながら、本実施形態の多くの機器の向きは、第2実施形態の対応する機器の向きとほぼ90度異なっており、縦方向と横方向とが互いに逆になっている。その結果、バキュームチャック11は、第1ウェハ1や第2ウェハ2が横向きになるように被加工ウェハを保持している。
【0052】
なお、第1ウェハ1や第2ウェハ2の表面は、ここではZ方向に平行になっているが、Z方向に対して傾いていてもよい。すなわち、バキュームチャック11は、第1ウェハ1や第2ウェハ2が真横を向くように被加工ウェハを保持していてもよいし、第1ウェハ1や第2ウェハ2が斜め横を向くように被加工ウェハを保持していてもよい。また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、被加工ウェハに保護リング3を装着して被加工ウェハをエッチングしてもよい。
【0053】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態の半導体装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
【0054】
図7(a)に示すように、本実施形態の第1ウェハ1は、第1半導体ウェハ1aと、第1膜1bと、複数の第1パッド1cとを備えており、本実施形態の第2ウェハ2は、第2半導体ウェハ2aと、第2膜2bと、複数の第2パッド2cとを備えている。
【0055】
第1半導体ウェハ1aは例えば、シリコンウェハである。第1膜1bは例えば、種々の層間絶縁膜や配線層を含む積層膜である。第1パッド1cは例えば、Cu(銅)層などの導電金属層である。これは、第2半導体ウェハ2a、第2膜2b、複数の第2パッド2cについても同様である。
【0056】
本実施形態の被加工ウェハは、互いに貼り合わされた第1ウェハ1と第2ウェハ2とを含んでいる。被加工ウェハは例えば、次のように作製される。まず、第1ウェハ1と第2ウェハ2とを機械的圧力により貼り合わせる。これにより、第1膜1aの表面の絶縁膜と第2膜2aの表面の絶縁膜とが接着される。次に、第1ウェハ1と第2ウェハ2とをアニールする。これにより、第1パッド1cと第2パッド2cとが接合される。
【0057】
次に、本実施形態では、第1から第3実施形態のいずれかの半導体製造装置を用いて被加工ウェハをエッチングする(
図7(b))。
図7(b)は、このエッチングにより第2ウェハ2の半導体ウェハ2aが除去された被加工ウェハを示している。
【0058】
被加工ウェハはその後、複数のチップに切断されて複数の半導体装置となる。このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。なお、第1ウェハ1の例は、種々のトランジスタを含む回路ウェハであり、第2ウェハ2の例は、3次元メモリアレイを含むアレイウェハである。
【0059】
本実施形態によれば、互いに貼り合わされた第1ウェハ1と第2ウェハ2とを含む被加工ウェハを適切にエッチングして、半導体装置を製造することが可能となる。
【0060】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0061】
1:第1ウェハ、1a:第1半導体ウェハ、1b:第1膜、1c:第1パッド、
2:第2ウェハ、2a:第2半導体ウェハ、2b:第2膜、2c:第2パッド、
3:保護リング、3a:第1部分、3b:第2部分、
11:バキュームチャック、12:エッチング液タンク、
13:エッチング液ポンプ、14:多連ノズル、14a:エッチング液ノズル、
14b:リンス液ノズル、14c:ガスノズル、14d:厚みモニタ、
15:ウェハ収容部、15a:包囲壁、15b:排水部、15c:排気部、
16:保護液ノズル、17:ガスノズル、18:制御部、
21:円弧部、22:凸部、23:凸部、31:円弧部、32:凸部、33:凸部、
41a~41d:ロード部、42:インタフェース部、43:第1アーム、
44:反転部、45:バッファ部、46:搬送レール、47:第2アーム、
48a~48d:リング着脱部、49a~49d:ウェット処理部