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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】照光装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20220309BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220309BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20220309BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20220309BHJP
   B60K 35/00 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
G09F13/04 P
G09F13/04 D
F21V19/00 150
F21V7/00 510
F21V7/28
B60K35/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018228858
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020091410
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 剛忠
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-116876(JP,A)
【文献】国際公開第2011/042986(WO,A1)
【文献】特開2014-044970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/04
F21V 19/00
F21V 7/00
F21V 7/28
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に透過部を有する前面部材と、
前記透過部に対向して前記前面部材の裏面側から前記透過部を照明する複数の発光体と、
複数の前記発光体の各々を実装した回路基板と、
複数の前記発光体の全てを囲む1対の仕切壁と、を備えた照光装置であって、
複数の前記発光体は、前記透過部の外形の最大幅より広い範囲で分散配置され、
前記仕切壁の内壁は、反射処理が施され、前記前面部材から前記回路基板に広がる方向に傾斜を持たせ、
前記回路基板は、前記発光体の周囲に反射処理が施され、
一対の前記仕切壁により形成される前記前面部材側に位置する開口部は、複数の前記発光体の分散配置される幅より小さい幅であることを特徴とする照光装置。
【請求項2】
前記仕切壁の内壁は、前記仕切壁全体が光を反射する材料で形成されることで反射処理されることを特徴とする請求項1記載の照光装置。
【請求項3】
前記仕切壁の内壁は、前記仕切壁の内壁を前記仕切壁の基材よりも反射率の高い反射部材で形成することで反射処理されることを特徴とする請求項1記載の照光装置。
【請求項4】
前記回路基板は、前記回路基板の表面に前記回路基板の基材よりも反射率の高い塗料を塗布して覆うことで反射処理されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の照光装置。
【請求項5】
前記回路基板は、前記回路基板の表面に前記回路基板の基材よりも反射率の高い樹脂材料で形成したカバー層で前記発光体および前記回路基板を上から覆うことで反射処理されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の照光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照光装置に関し、例えば、車載機器の操作パネルの操作スイッチの照光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の照光装置として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1には、回路基板に実装された発光ダイオードと、発光ダイオードの周囲を囲む筒状の仕切壁と、発光ダイオードの前方側に配置され発光ダイオードの発光により透過する透過部が設けられた前面部材と、を備えた照光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-271557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような照光装置においては、1つの発光ダイオードで1つの透過部を照明する構成であり、透過部の中心が明るく周辺が暗くなり、輝度ムラが生じてしまうという問題点がある。また、熱が集中するという問題点がある。別の構成として、複数の発光ダイオードを分散配置して1つの透過部を照明する構成も考えられる。これによれば熱の集中と輝度ムラは軽減できる。しかし、遮光部で光が吸収され、光の利用効率が下がってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、透過部の輝度ムラを低減させ、発光体の熱の集中を防ぎ、光の利用効率を高めることが可能な照光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
所定の位置に透過部を有する前面部材と、前記透過部に対向して前記前面部材の裏面側から前記透過部を照明する複数の発光体と、複数の前記発光体の各々を実装した回路基板と、複数の前記発光体の全てを囲む1対の仕切壁と、を備えた照光装置であって、複数の前記発光体は、前記透過部の外形の最大幅より広い範囲で分散配置され、前記仕切壁の内壁は、反射処理が施され、前記前面部材から前記回路基板に広がる方向に傾斜を持たせ、前記回路基板は、前記発光体の周囲に反射処理が施され、一対の前記仕切壁により形成される前記前面部材側に位置する開口部は、上方から見たとき、透過部を内側に含んだものである。
【発明の効果】
【0007】
透過部の透過輝度をほぼ均一化させ、発光体の熱の集中を防ぎ、さらに光の利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態と第2実施形態とを示す照光装置の正面図である。
図2】第1実施形態における照光装置の断面図(図1におけるA-A断面)である。
図3】第1実施形態における照光装置の分解斜視図である。
図4】光学シミュレーション結果の表である。
図5】第2実施形態における照光装置の断面図(図1におけるA-A断面)である。
図6】第2実施形態における照光装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0009】
本発明の第1実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
【0010】
照光装置は、回路基板1に実装された複数の発光体3と、この複数の発光体3の周囲を囲む仕切壁4と、複数の発光体3の前方側に配置され複数の発光体3の発光により透過する透過部5が設けられた前面部材6と、を備えている。
【0011】
前面部材6は、例えば光透過性の合成樹脂(例えばポリカーボネート樹脂)からなるシート基材6Aの表面側に、不透過性の遮光層6Bを抜き印刷することによって車載音響装置の作動状態を表す透過部5を形成し、不透過性の遮光層6Bの表面側に無色透明な保護層6Cを印刷したものである。なお、印刷による表示内容は、図示したものに限ったものではなく、操作内容や機器の種類によって異なるものである。
【0012】
複数の発光体3(例えばLED)は、透過部5に対向するように、各々の発光体(第1の発光体3Aおよび第2の発光体3Bおよび第3の発光体3C)の間に間隔をあけて設けられる。また、複数の発光体3の分散配置の幅W3は、透過部5の外形の最大幅W1より大きいものである。なお、本実施形態においては、発光体の数を3個としているが、発光体の数は2個以上であれば何個でもよい。また、本実施形態においては、透過部5を回路基板1上に投影した時、投影された透過部5の外形より外側に配置される発光体の数を2個としているが、投影された透過部5の外形より外側に配置される発光体の数は1個以上であれば何個でもよい。
【0013】
仕切壁4は、反射率が高く遮光性のある白色の合成樹脂からなり、前面部材6と回路基板1の間に、前面部材6から回路基板1に広がる方向に傾斜を持たせる。また、仕切壁4の前面部材6側に位置する開口部の幅W2は、透過部5の外形の最大幅W1より大きく、発光体3の分散配置の幅W3より小さいものである。また、上方から見たとき、開口部は透過部を内側に含むものである。
【0014】
回路基板1は、発光体3の周囲を白色の塗料で塗布し、回路基板上に白色の塗料の層2を形成することで反射率を高めたものである。
【0015】
このように構成された照光装置の透過部5は、複数の発光体3が発光すると、光が前面部材6側に向かい、透過照明される。前面部材6側に向かった光には、直接シート基材6Aを通り抜けて透過照明する光と、仕切壁4の内壁と回路基板1の上の白い塗料の層2とで光の反射を繰り返した後にシート基材6Aを通り抜けて透過照明する光とがある。
【0016】
光の反射を繰り返した後に透過照明する光は、反射を繰り返すことで光が拡散し、透過部5の透過輝度が均一化される。
【0017】
このように、回路基板1に実装された複数の発光体3と、複数の発光体3の周囲を囲むように配置される仕切壁4と、複数の発光体3の前方側に配置され複数の発光体3の発光により透過する透過部5が設けられた前面部材6と、を備えた照光装置において、複数の発光体3の分散配置の幅W3を透過部5の外形の幅W1より大きくし、仕切壁4を反射率が高い樹脂とし前面部材6から回路基板1に広がる方向に傾斜を持たせ、回路基板1の複数の発光体3の周囲を白い塗料で覆って白色の塗料の層2を回路基板1上に形成し、仕切壁4の前面部材6側に位置する開口部の幅W2は、透過部5の外形の最大幅W1より大きく、複数の発光体3の分散配置の幅W3より小さくし、かつ、上方から見たとき開口部は透過部5を内側に含むものとしたことにより、透過部5を照明する光には、直接シート基材6Aを通り抜けて透過照明する光の他に、仕切壁4の内壁と、回路基板1の上の白い塗料の層2と、で光の反射を繰り返し拡散した後に、シート基材6Aを通り抜けて透過照明する光が加わり、透過部5の透過輝度をほぼ均一化させ、さらに光の利用効率を高めることができる。また、熱の集中も防ぐことができる。
【0018】
図4は仕切壁4の角度の有無と白い塗料の層2の有無による照度の差を光学シミュレーションで確認した結果である。光学シミュレーションのソフトはOPTIS社のSPEOSを用いた。
【0019】
図4に示すように、本実施形態例の白い塗料の層2と仕切壁4の傾斜があるパターンの場合、直接シート基材6Aを通り抜けて透過照明する光の他に、仕切壁4の内壁と、回路基板1の上の白い塗料の層2と、で光の反射を繰り返した光が透過部を照明する光に加わるため、他のパターンと比較し、照度が高い結果である。よって、本実施形態例は、光の利用効率を高めることができると言える。なお、白い塗料の層2がなく仕切壁4の傾斜があるパターンと、白い塗料の層2があり仕切壁4の傾斜がないパターンのものは、照度はほとんど変化していない。これに対して、両方の対策をしたパターンは、大幅な照度の上昇が見られる。
【0020】
図1図5図6に基づいて本発明の第2実施形態を説明する。図5は第2実施形態における本照光装置の断面図である。第2実施形態における照光装置は、第1実施形態で回路基板1の上に形成される白い塗料の層2の代わりに、光反射率の高いフィラーを含有する樹脂材からなるカバー層7を有すること以外、第1実施形態と同様の構成を備える。なお、前記第1実施形態と同一箇所には同一符号を付し、第1実施形態と同様の機能部に関しては、説明を省略する。
【0021】
回路基板1は、複数の発光体3の上を覆うようにして、反射率が高いカバー層7を回路基板1の上に配置することで反射率を高めたものである。
【0022】
このように構成された照光装置の透過部5は、複数の発光体3が発光すると、カバー層7を通り抜けた後に、前面部材6側に向かい、透過照明される。前面部材6側に向かった光には、直接シート基材6Aを通り抜けて透過照明する光と、仕切壁4の内壁と回路基板1の上のカバー層7とで光の反射を繰り返した後にシート基材6Aを通り抜けて透過照明する光とがある。
【0023】
光の反射を繰り返した後に透過照明する光は、反射を繰り返すことで光が散乱し、透過部5の透過輝度が均一化される。
【0024】
このように、回路基板1に実装された複数の発光体3と、複数の発光体3の周囲を囲むように配置される仕切壁4と、複数の発光体3の前方側に配置され複数の発光体3の発光により透過する透過部5が設けられた前面部材6と、を備えた照光装置において、複数の発光体3の分散配置の幅W3を透過部5の外形の幅W1より大きくし、仕切壁4を反射率が高い樹脂とし前面部材6から回路基板1に広がる方向に傾斜を持たせ、発光体3の上を覆うようにして、反射率が高い樹脂材料で形成したカバー層7を回路基板1の上に配置し、仕切壁4の前面部材6側に位置する開口部の幅W2は、透過部5の外形の最大幅W1より大きく、複数の発光体3の分散配置の幅W3より小さくし、かつ、上方から見た時、開口部は透過部5を内側に含むものとしたことにより、透過部5を照明する光には、直接シート基材6Aを通り抜けて透過照明する光の他に、仕切壁4の内壁と、回路基板1の上のカバー層7と、で光の反射を繰り返し拡散した後に、シート基材6Aを通り抜けて透過照明する光が加わり、透過部5の透過輝度をほぼ均一化させ、さらに光の利用効率を高めることができる。また、熱の集中を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0025】
1 回路基板
2 白い塗料の層
3 複数の発光体
3A 第1の発光体
3B 第2の発光体
3C 第3の発光体
4 仕切壁
5 透過部
6 前面部材
6A シート基材
6B 不透過性の遮光層
6C 無色透明な保護層
7 カバー層
図1
図2
図3
図4
図5
図6