(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】リチウム電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20220309BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20220309BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20220309BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20220309BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220309BHJP
H01M 4/1395 20100101ALI20220309BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20220309BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220309BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M4/70 Z
H01M10/0562
H01M4/66 A
H01M10/052
H01M4/1395
H01M4/134
H01M4/13
(21)【出願番号】P 2018567138
(86)(22)【出願日】2017-06-22
(86)【国際出願番号】 NL2017050417
(87)【国際公開番号】W WO2017222378
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-05-25
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】595115802
【氏名又は名称】ネーデルランセ オルハニサチエ フォール トゥーヘパスト-ナツールウェーテンシャッペルック オンデルズク テーエヌオー
【氏名又は名称原語表記】Nederlandse Organisatie voor toegepast-natuurwetenschappelijk onderzoek TNO
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ハーフェルカーテ、ルーカス アウフスティヌス
(72)【発明者】
【氏名】ウニクリシュナン、サンディー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス、ドロテ クリスティネ
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-219392(JP,A)
【文献】国際公開第2015/126248(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/030215(WO,A2)
【文献】特開平08-050917(JP,A)
【文献】特開2013-214501(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2015-0000984(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39
H01M 6/18
H01M 4/66-70
H01M 4/02-62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板集電体を有する電池の製造方法であって、
前記方法は、
基板の基板面上に、直立壁を有する細長い整列した導電性構造体
を形成することにより、前記基板集電体を設けることと、
前記
直立壁を覆う第1の電極層
を形成することと、
前記第1の電極層上
に固体電解質層
を形成することと、
前記
固体電解質層を覆うことによって第2の電極
層を形
成することと、
前記第2の電極
層と電気的に接触する上部集電体層
を形成することと、を備え、
前記方法は、前記導電性構造体から前記第2の電極層を遮蔽する絶縁体によって、前記導電性構造体の端部側に隣接し
て前記導電性構造体の一部を覆
い、前記第1の電極
層と前記第2の電極
層との間のイオン輸送経路
を阻止
し、それによって前記導電性構造体の前記端部側の付近に発生する応力
を緩和
することを備える、
基板集電体を有する電池の製造方法。
【請求項2】
前記上部集電体
層は、前記基板面上の前記導電性構造体の上部に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記上部集電体
層は、前記導電性構造体のベースに前記基板集電体から前記上部
集電体層を遮蔽する前記絶縁体が設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁体は、前記第1の電極層を部分的に覆う、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の電極層は、リチウム金属層である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記リチウム金属層は、前記
固体電解質層上にシード層を堆積させる工程と、金属めっき処理において前記シード層をリチウム金属でめっきする工程と、において提供される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記細長い整列した導電性構造体は、50ナノメートルより大きい曲率半径を有する金属の又は金属化されたピラーを備え、
前記めっき処理は、前記金属
の又は金属化されたピラーと前記シード層との間に電圧を印加することによって、前記第1の電極層から前記リチウム金属を抽出する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記めっき処理は、前記シード層と前記シード層から分離された対電極との間に電圧を印加することによって提供され、前記シード層と接触している前記対電極及び/又は前記
固体電解質
層は、リチウム源を備える、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記上部集電体層は、前記直立壁に沿って延びる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記導電性構造体を分離する
導電性の足場構造体を備える空間構造
を設け
ることと、
前記第2の電極
層が前記空間構造内に延び
るように、前記足場構造体をめっきすることと、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記導電性
の足場
構造体は、中空又は多孔質の金属構造体によって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記導電性
の足場
構造体は、導電性ナノ粒子によって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、隣接する
前記導電性構造体を分離する空間構造
を設け
ることを備え、
前記空間構造は、
前記電池のめっき又は充電時、及び、剥離又は放電時の体積変化に適応し、並びに、前記第2の電極
層をコンフォーマルに覆う、圧縮層を備え
る、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記導電性構造体同士の間の空間構造
を設けることを備え、
前記空間構造は、前記第2の電極
層を設けるためにリチウムイオン導電性材料を備える圧縮層を備え、
前記圧縮層は、
前記電池のめっき又は充電時、及び、剥離又は放電時の体積変化に適応し、並びに、前記第2の電極
層をコンフォーマルに覆う、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
基板の基板面上に
おいて直立壁を有する細長い整列した導電性構造体を備え
る基板集電体を有する電池であって、
前記
電池は、前記
直立壁を覆う第1の電極層と、前記第1の電極層上に設けられた固体電解質層と
、前記
固体電解質層を覆
う第2の電極
層と、前記第2の電極と電気的に接触
する上部集電体層と、を備え、
前記第2の電極
層は、前記導電性構造体の端部側に隣接し前記導電性構造体の一部を覆う絶縁体によって前記導電性構造体から遮蔽され、前記第1の電極
層と前記第2の電極
層との間のイオン輸送経路が阻止され、それによって前記
導電性構造体の前記端部側の付近に発生する応力が緩和される、
基板集電体を有する電池。
【請求項16】
前記細長い整列した導電性構造体は、50ナノメートルより大きい曲率半径を有するピラーを備える、請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記ピラーは、10マイクロメートルより高い、請求項16に記載の電池。
【請求項18】
前記基板は、
前記細長い整列した導電性構造体を備える両面を有する金属箔である、請求項15~17のいずれか1項に記載
の電池。
【請求項19】
並列に積層される又は直列に積層される複数の集電体を有する、請求項15~18のいずれか1項に記載
の電池。
【請求項20】
金属の前記基板は、有機箔上に積層されている、請求項
15~19のいずれか1項に記載
の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学装置又は電気光学装置用のリチウム電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器、及び、例えば(ハイブリッド)電気自動車(EV、PHEV)用の自動車などの用途のため、最小のシステム重量及び体積を提供する最適なエネルギー密度を有する電池システムが望ましい。金属のエネルギー密度が約3800mAh/gの高レベルに達することがあるので、高エネルギー密度を可能にするために、リチウム金属系の電池(すなわち、アノードとしてリチウム金属を有する)は魅力的である。特許文献1は、リチウムを有する金属間化合物を形成しないアノード集電体上に、リチウムをめっきすることによって初期充電中にその場で形成されるリチウム金属アノードの平面設計を開示している。アノード集電体は、固体電解質とその上にある層との間に挟まれている。
【0003】
非平面設計の集電体を有する充電式リチウムイオン固体電池を有することも知られている。既知のタイプの薄膜電池構造体は、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。例えば、全固体組成物は、3Dマイクロパターン化構造体上に堆積されている。この点において、初期の電池構造体が液体電解質を利用する場合、全固体組成物は、使用において本質的により安全である固体タイプの電解質を利用する。これらの構造体では、例えば特許文献3に開示されているように、多種多様な材料がそれぞれの電極に使用されてきた。
【0004】
特許文献4は、ピラーの上部を隔離することによってピラーの上部の樹状突起の形成が防止される、液体電解質のためのピラー形状を開示している。ピラーは、電解質の流体又はゲル内に延びており、カソードシートから離れている。
【0005】
放電電池モードでは、アノードは、「正電極」であるカソードからの正電流が流れる「負電極」である。充電中には、これらの機能は逆になる。それぞれの充電モードに関係なく、電気化学的関係は、負極材料と正極材料との間の電荷交換によって特徴付けることができ、負極材料は、正極材料の仕事関数又は酸化還元電位よりも低い仕事関数又は酸化還元電位を有する。
【0006】
例えば、公知の負極(アノード)材料は、Li4Ti5O12(LTO)、LiC6(グラファイト)、Li4.4Si(シリコン)、及び、Li4.4Ge(ゲルマニウム)であり、公知の正極(カソード)材料は、LiCO2(LCO)、LiCoPO4、(ドープされた)LiMn2O4(LMO)、LiMnPO4、LiFePO4(LFP)、LiFePO4F(LFPF)、LiCO1/3Ni1/3Mn1/3O2(LCNMO)、硫黄、又は、LixSなどの硫黄系化合物である。
【0007】
公知の(固体状態の)電解質は、Li7La3Zr2O12(LLZO)などのガーネット、La0.57Li0.33TiO3(LLTO)などのペロブスカイト、ヨウ化リチウム(LiI)、リン酸リチウム(Li3PO4)、及び、リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)が挙げられる。さらに、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどの有機溶媒中における、LiPF6、LiBF4又はLiClO4などのリチウム塩は、室温で約10mS/cmの典型的な導電率を有することが知られている。電解質は、初期充電時に分解し、固体電解質界面(SEI)と呼ばれる固体層を形成する。
【0008】
ポリエチレンオキシド(PEO)のような固体ポリマーセパレータも含まれてもよく、そのようなポリマーは、最先端技術において知られているように、しばしばその中に配置されたリチウム塩を有することが原因で、輸送能力を有する。リチウム及びハロゲン化物材料、特にいくつかの例では、四フッ化リチウムアルミニウム(LiAlF4)などの四ハロゲン化リチウムアルミニウムについて、研究が行われてきた。
【0009】
そのような構造体が曲げ可能な金属箔上に作製されると、それらは大規模処理、例えば以下のことが可能なロールツーロール(roll-to-roll)処理で製造できる。1)単位体積当たりのエネルギー密度又は出力密度を増加させるために、それをコイル巻き、巻回又は積み重ねる。2)フレキシブルディスプレイ、サイネージなどのようなフレキシブルデバイスに統合する。
【0010】
高アスペクト比構造体はナノメートルスケールで作製することができるが、これらの高アスペクト比構造体の高さ又は深さは、電池に十分な充電容量を供給するためにマイクロメートルの範囲にある必要がある。これらの構造体が好ましい理由は、それらの表面全体へのアクセスが容易なためである。従来技術において、これらを製造するための多くの方法は非経済的である(例えば、シリコンの微細加工及び長時間の電着を含む)。さらに、これらのうちのいずれかを実行するために、スタックの設計は最適化を必要としている。さもなければ、巻回中又は屈曲中に、ピラー構造体が損傷して装置の適切な電気化学的作用を阻害する可能性があるからである。さらに、既存の固体(例えば)Li系インターカレーション電解質は、寿命を制限しサイクル期間の数を減少させる可能性がある、高アスペクト比構造体内の応力を誘発することが注目されるようになった。レート性能を犠牲にすることなく、電気化学的に不活性な電子集電装置の相対量を最小にすることが課題である。本質的な安全性と高いエネルギー密度との両方を備えた設計を提供するための全固体構造体を有する、3D薄膜電池設計のための方法及び構造体を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第6168884号明細書
【文献】国際公開第2010/032159号
【文献】米国特許出願公開第2011/0117417号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011121681号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、高い比電荷収集面積及び電力を有することができる集電体を有し、適切な寸法を有するが、簡単且つ迅速な技術を使用して達成され、その結果堅牢な構造が得られる、電子装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、一態様によれば、基板集電体を有する電池の製造方法が提供される。方法は、基板面上に、直立壁を有する細長い整列した導電性構造体であって、壁は、壁を覆う第1の電極層と、第1の電極層上に設けられた固体電解質層と、から形成され、電解質層を電極層で覆うことによって第2の電極層を形成する、導電性構造体を形成することと、第2の電極層と電気的に接触する上部集電体層であって、第2の電極層は、その端部側に隣接する導電性構造体の一部を覆う絶縁体によって導電性構造体から遮蔽される、上部集電体層を形成することと、を備える。例えば、絶縁キャップは、ピラーの上部をリチウム金属層との直接の電気的接触から遮蔽する。他の例では、ピラー構造体のベース部は、絶縁体で覆われていてもよい。
【0014】
ピラーは、ラミネート内の電池構造体用の集電体として機能し、この集電体はベース基板を介して電気的に接続されている。隣接するピラー間では、高さ寸法とピラー間距離とのアスペクト比、すなわち、ベースに沿って同一平面上にある壁に垂直な長さ寸法は、比較的大きく、すなわち、50より大きく、さらには80より大きく、又は、100より大きい。典型的な配置では、ピラーは、高さ寸法、すなわち約25~200マイクロメートル、好ましくは50~100マイクロメートルの平面からベース面を隔てる高さを有することができ、長さ寸法、すなわち対向するピラーを隔てる長さは、1~10マイクロメートルのオーダー、好ましくは2~4マイクロメートルにすることができる。このような構造体では、本明細書に開示されているような基板は、著しく増加した集電体の表面積を有する導電性であり、これは集電体の電荷収集容量を向上させる。さらに、そのような構造体の場合、多層コーティングの機能性を損なうことなくコンフォーマル(conformal)多層コーティングを施すことが可能である。そのような機能性の例は、電池多層若しくは光起電性多層などの多層、又は、単層のコーティングであり得る。
【0015】
さらに、本発明の一態様によれば、そのような高アスペクト比構造体について、最適な集電性能を被覆ピラーの形態で提供することができ、高アスペクト比構造体は、50ナノメートルより大きい曲率半径を有する金属の又は金属化されたピラーを備える。改善された性能の一態様は、より小さいピッチを要求する高アスペクト比の構造体の密度と周囲のコンフォーマルコーティングとによって見出されるトレードオフである。この点において、電池多層中の電極厚さは変えることができ、充電及び/又は放電中のリチウムイオンに対するそれらの体積貯蔵容量とマッチするように相関される。既知のマッチング関係は、当技術分野で公知のCレート数によって管理されている。Cレートは、電池の最大容量に対する充電又は放電のレートの尺度である。例えば、特定のCレートにおける電極層の容量は、層の厚さ及び材料組成を制御することによって調整される。
【0016】
本発明の別の態様は、「コンフォーマルコーティング」が、高アスペクト比構造体のピラーを少なくとも共形的に(conformally)コーティングする複数の層を備え得るコーティングであることである。さらに、この出願では、「第1の電極層」は積層体の一部であってもよく、そして最下層、すなわち最小の曲率半径を有する層であってもよい。「第2の電極」は、積層体の最上層、すなわち最も高い曲率半径を有する層を示すために使用することができる。電極構造体は、多孔質複合構造体として集電構造体に併合され得るので、積層体は必須ではないことに留意されたい。そのような実施形態では、集電体構造体と組み合わされる電極構造体の間に電解質層が設けられる。
【0017】
米国特許出願公開第2009/214956号明細書では、電解質材料が導電性ナノワイヤ上に共形的にコーティングされ、第2の導電性材料と電気的に接続されたカソード材料が電解質コーティングされたナノワイヤの間に相互貫入する、構造体が提案されている。
【0018】
厚さとは、「平均厚さ」を意味し、これは特定の数学的厚さと同等の機能を果たし得る。層が被覆される用途では、それらの機能位置におけるこれらのコーティングは実質的に共形的(conformal)であることが意図されているが、機能層が内部抵抗とエネルギー密度との間でトレードオフに達する厚さを有するように設計される限り、これは必須ではない。本明細書では、文脈に応じて、機能層は他の機能構造体と直接接触していなくてもよいが、それらの間に中間層又は構造体を有してもよく、それによって機能が強化され得る。その点において、当業者は、例えば、電極層が電荷コレクタと「接触している」「層」であると記載されている場合、機能を強化する可能なリチウム拡散バリア層、集電層、処理保護層などを排除することなく、「電気的に接触している」と解釈することを理解するであろう。これは、同様に、負極層又は正極層と「接触している」電解質層の意味を含む。
【0019】
本発明のこれらの及び他の態様は、図面を参照してより詳細に説明され、図面では、同じ参照番号は同じ要素を指す。図面は例示を目的として提示されており、添付の特許請求の範囲を限定するために使用されてはならないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】
図1aは、一実施形態の幾何学的構造体を示す断面図である。
【
図1c】
図1cは、一実施形態の代替の幾何学的構造体を示す断面図である。
【
図2】
図2は、さらなる実施形態を示す断面図である。
【
図3a】
図3aは、本発明の一態様によるさらなる実施形態を示す断面図である。
【
図3b】
図3bは、本発明の一態様によるさらなる実施形態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一態様によるさらなる実施形態を示す断面図である。
【
図5a】
図5aは、電解質層をリチウム金属で覆うことによって第2の電極層を形成するための例示的な処理工程を示す図である。
【
図5b】
図5bは、電解質層をリチウム金属で覆うことによって第2の電極層を形成するための例示的な処理工程を示す図である。
【
図5c】
図5cは、電解質層をリチウム金属で覆うことによって第2の電極層を形成するための例示的な処理工程を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一態様による断面図のさらなる実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一態様によるさらなる実施形態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一態様によるさらなる実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施例において、本発明のより詳細な態様は、電気化学装置、より具体的には例えばリチウムイオン型の電池装置、より具体的にはコレクタの電荷収集比面積を高めるための3Dコレクタ構造体を有する電池装置の形態で示される。3Dコレクタ構造体は、電池の多層、特にその負極層と電気的に接触している。
【0022】
図1aは、導電性ピラー10が基板面100上に形成されている実施形態の幾何学的構造体を断面図で示している。電池に関する一般的な課題は、レート性能を犠牲にすることなく電気化学的に不活性な電子集電体(CC)の相対量を最小にすることである。3D構造体化された下部CC(ピラー、穴、又は、板/溝)は、寸法(アスペクト比)が技術的な限界によって制限されているため、体積及び重量の観点から比較的大量の不活性材料を必要とする。加えて、ピラーのような2D閉じ込め構造体では、半径が小さすぎると、底部電極が好ましくない寸法、すなわち拡散が制限された厚すぎる層に近づくことを強いられる可能性がある。さらに、非常に薄くて高アスペクト比のピラーを製造することは加工上の課題である。(3DTFBスタックを堆積した後の)ピラー間の最終的な間隔は、典型的には上部集電体20で充填される。
【0023】
図1bは、
図1aの構造体を平面図で示す。この図では、単一のピラー10が、相互間距離sPを有する多数のピラーの1つの構造体の一部として示されている。例えば、ピラーの壁の間の相互間距離sPは500-2500nmの範囲である。
【0024】
電子装置は、高アスペクト比のピラー構造体10を形成する面を有する金属基板によって形成された集電体100を備えた電子回路(図示せず)を備える。壁は、例えば、10より大きい、さらには50より大きいアスペクト比を有する。ピラーは、例えば、微細パターンマスクによって形成することができ、その結果、孤立した微細ピラーが形成される。本明細書では、「ピラー」又は「マイクロピラー」という用語は、「高密度」ナノピラー構造体と区別するために使用されている。そのような稠密な構造体は、対照的に、300nmよりも小さい、又はさらに50若しくは10nmよりも小さい直径寸法と、およそ数百nm、例えば50~300nmの範囲内、よりも小さい相互間距離dと、を有する細長い管を有することができる。これらの管は、それらの上に多層スタックをコンフォーマルにコーティングするための十分なギャップがなく密集して充填し過ぎている。
【0025】
マイクロピラー構造体は、10μmを超えるピラー高さhP、少なくとも前記10nmを超える、典型的には100nmを超える任意の細長い形状及び直径dPを有することができ、この点に関して、典型的には高アスペクト比構造体として認められる。以下では、ピラー半径は0.5dPである。
【0026】
最も単純な概念化では、電池装置は2つの集電体10、20を備える。一方は、電極層で起こる酸化処理によって電子を供給し、実施形態ではアノード12と呼ばれ、他方は、その電極で起こる還元処理によって電子を消費し、カソード11と呼ばれる。放電電池モードでは、アノード12は、「正電極」であるカソードから、そこに正の電流が流れる「負電極」である。充電中、これらの機能は逆になる。充電モードに関係なく、電気化学的関係は、負極材料と正極材料との間の電荷交換によって特徴付けることができ、負極材料は、正極材料の仕事関数又は酸化還元電位よりも低い仕事関数又は酸化還元電位を有する。
【0027】
薄膜固体リチウムイオン型のものを含む薄膜イオン電池は、互いに接着されて電池装置を形成する負極12(例えばLMNO)、正極11(例えばLTO)、及び、電解質材料13(例えばLIPON)を製造するために様々な堆積技術から調製することができる。そのような技術は、典型的には、「薄膜」電池を製造するために、真空蒸着又は同様の薄膜をもたらす他の技術を使用してそのような材料の薄膜を堆積することを含み得る。図では、被覆ピラー110と、平坦な表面100上に一次導電性構造体を形成する「裸の」ピラー10との間に違いが示されている。
【0028】
薄膜電池は、スペース及び重量を節約することが好ましく、非常に長いサイクル寿命が望まれることがある用途にしばしば使用される。上部集電体20は、任意の有機又は無機材料であり得る。それは、例えば集電体のような他のいくつかの追加の機能性を有することができ、場合によっては、電池スタックの活性層が堆積された後にピラー上に電気めっきすることができる。また、集電体は、高アスペクト比構造体を平坦化する平坦化上部として使用することができる。
【0029】
一態様によれば、第2の電極12は、電解質層13を覆うことによって形成される。そして、上部集電体層20は、第2の電極12と電気的に接触して形成され、第2の電極12は、その端部側に隣接する前記導電性構造体10の一部を覆う絶縁体30によって導電性構造体10から遮蔽される。導電性構造体の一部を遮蔽することによって、第1の電極と第2の電極との間の(イオン)電流経路は導電性構造体の端部から離れる方向に向けられる。これにより、導電性構造体の端部での電気化学的活性が低下し、電極材料の不均一な膨張が緩和され、これは典型的にはめっき又はインターカレーティング又はスプレーコーティング又は気相堆積法などの方法によって形成できる。
【0030】
より具体的な態様によれば、
図1に見られるように、第2の電極層12は、電解質層13をリチウム金属で覆うことによって形成される。そして上部集電体層20はリチウム金属層12と接触させられる。リチウム金属層12は、ピラー上部をリチウム金属層12から遮蔽し且つ充電/放電電流経路を横方向に向ける絶縁キャップ30によって導電性ピラー11から遮蔽されている。
【0031】
ピラー形状100は、隣接するピラー10に対する半径方向の応力を防止しながら、アノードが完全にめっきされた状態(すなわち、電池が充電された状態)でリチウム金属が最大限に膨張するように設計することができる。
【0032】
リチウム金属を軸方向にめっきすることによって発生する可能性がある応力を防ぐために、ピラー上部は、例えばAl2O3の堆積によって形成される実質的な抵抗率の抵抗性薄層30によって隔離される。これは、リチウムイオンを軸方向に移動させる可能性がある、ピラー上部と上部集電体との間の直接伝導を阻止するためである。抵抗キャップ設計により、リチウムイオンは実質的にピラーの半径方向に移動し、上部集電体20に電気的に接続された実質的にコンフォーマルな電極層12を形成する。図示の図では、上部集電体20は、第1の電極層11を部分的に覆う導電性構造体の上に形成されている。又は、
図2に示すように、バリアを電解質層13の上に形成してもよい。両方の場合において、層30はイオン輸送に対して高い抵抗率を有するべきである。他の方法は、
図1cに見られるように、金属ピラー10上に直接抵抗バリア層30を形成することである。その場合、抵抗層は、ピラー10から電極11への電子の移動を阻止し、それによって層11の電子伝導度が(実質的に)イオン伝導度よりも低いならば、電気化学的活性を横方向に向け直すことができる。
【0033】
その場合、上部基板との電気的接続に有利になるように、余分なリチウム121をピラー上部の近くで利用させるというさらなる利点が提供される。従って抵抗障壁は、ピラー10の上部における電気化学的活性を減少させる。これは、部分的な上部集電体の貫通及びリチウム過剰領域とともに、接触を最大化し、この領域における体積応力を最小化して、サイクル安定性を向上させる。
【0034】
形成前、完全にリチウム化されたカソード11で、上部のリチウムの一部が、充電中に下部領域に向かって拡散するまで、その層に沿ってリチウムが輸送されるような障壁の抵抗が好ましい(矢印A)。
【0035】
界面シード層40は、イオン導電性-非導電性-電解質を覆う薄い導電性構造体を形成する。従って、電解質層上にシード層40を堆積し、金属めっき処理でシード層40をリチウム金属でめっきする工程において、リチウム金属層12を設けることができる。この導電性シード層40は、電解質層13の側壁上に選択的に堆積させることができ、例えばNi、Cu、Pd、Pt、Au、Ti又はそれらの組み合わせを備えることができる。層40は、薄膜無電解堆積又はめっき又はALD又はCVD技術によって提供される数nmから約10nmまで比較的薄くてもよい。後に電池が充電及び放電操作を受けるとき、それらがLiイオンに対して透過性であるならば、より厚いシード層が可能である。
【0036】
界面シード層40は、有利には上部基板20との直接的な電気的接続を提供する。ここに描かれている1つのシナリオでは、リチウム金属は、リチウム金属対電極を含むことができる外部リチウム源を使用し、前記シード層40を介して電解質13上にめっきするように液体電解質浴を使用して化合物をめっきすることによって、堆積処理において直接堆積される。
【0037】
図2は、シード層40を介して、コレクタ100の電流金属ピラー10と上部基板20との間に電圧を供給することによって、めっき処理がリチウム化すなわち「装填された」第1の電極層14からリチウム金属を抽出できるシナリオを示す。従って、めっき処理は、上部集電体20を介して金属ピラー10とシード層40との間に電圧を供給することによって、第1の電極層11からリチウム金属12を抽出する。シード層40がリチウム金属電極層12を取り囲む描かれたシナリオとは対照的に、シード層40が電解質13と直接接触したままである
図1のシード層についての違いに留意されたい。さらに、この実施形態では、シード層は、数nmから2~3百nmの厚さであり得る。このようにして、アノード層を形成するリチウム金属が、それぞれシード層40及びピラー10を介して上部集電体20及び基板100の間に電圧差を与え、それによって電池装置を充電することによって提供される「リチウムフリー」製造処理を提供できる。さらなる改良として、より速く、改善された電気的接触を提供するために、上部集電体20は部分的にピラー間領域内に延び、すなわちシード層40は部分的に上部集電体20内に延びている。従って、上部集電体層20は、ピラー10の直立壁に沿って延在部200を備える。同様に、隔離されたピラーキャップ30は、上部集電体20内に延びることができる。導電層40は、リチウム金属が例えば2~10nmの厚さでめっきされると崩壊する犠牲層として形成されてもよい。それはまた、より高い電力で均一にめっきするために、約100nmの厚さで、集電体及び足場構造体(scaffolding structure)として形成されてもよい。有利には、隔離されたキャップ30によって覆われている材料14は、上部集電体領域において過剰のリチウム金属を提供する。
【0038】
図3aは、さらなる実施形態を示している。リチウム金属は、部分的に多孔質である、遷移構造体12として堆積される。それは、上部集電体の近くで向上した電気伝導度を有するように(例えば、上部集電体20からピラー10間の空間内に延びる多孔質金属構造体15によって)、及び、形成サイクル中にプリリチウム化されたカソード材料からピラー間空間S内にリチウムを収容するために、である。気孔率は、拡散律速輸送が達成され樹枝状のリチウム成長が起こるまで、例えば膜形成後に充電速度を上昇させることにより、調整することができる。
【0039】
従って、上部集電体層は、絶縁キャップと並んで直立壁に沿って延在し、ピラー上部から離れる方向に電流を流し、上部コレクタ20との広い電気的接触領域を提供する。リチウム金属の直接蒸着によって、めっきシード層を省略することができる。これらの技術は組み合わせて使用することができる。
【0040】
図3bに示す別の例では、リチウム堆積物12は、充填剤粒子14を使用することによって配置することができ、その結果、リチウム構造体は、ピラー10の高さに沿って密度及び気孔率が調整される。これにより、上部集電体との強化された安定した電気的接触を提供することができ、これは、導電性粒子の形態でもあり得る多孔質構造体15によってさらに強化することができる。それはまた、ピラー間空間S内でのリチウム金属の応力及び制御された使用を防止する。
【0041】
従って、隣接する導電性構造体10を分離するピラー間空間Sには、第2の電極12及び/又は上部集電体20が空間構造内に延びるように足場構造体14、15が設けられ、前記空間構造は導電性足場構造体14を備える。例えば、めっき状態のリチウム金属として形成されたアノード層12は、パーコレーション閾値よりも(ちょうど)上のナノ粒子で部分的に(予め)充填され、その結果、残りの空間は(部分的に)リチウム金属で充填される。そのようなナノ粒子は、ハイブリッドアノードを提供するシリコンナノ粒子であり得る。これらの粒子は導電性シェルで形成されてもよい。別の例では、そのような充填剤粒子は、軟質ポリマーマトリックス中に組み込まれ得る炭素質粒子(例えばカーボンブラック)であってもよい。
【0042】
図4はさらなる強化を示しており、ここで前記ピラー間スペースは第2の電極に
コンフォーマルである圧縮層50を備える。リチウム化又は装填された第1の電極に対して、前記圧縮層は、第2の電極がリチウム欠乏であるときに優先的に設けられてもよい。リチウム金属層12は、充電及び放電中にリチウム金属層内の応力を吸収することができる軟質圧縮層50によって覆われている。特に高いCレートでは、そのような層は、リチウム金属のめっき(電池充電)と剥離(電池放電)との間の大きな体積変化に適応するように、アノード層12に200リング荷重(ring load)と同様の機械的圧力を加えることができるので有利である。層50は、ポリマーと電子伝導性充填剤粒子との混合物であり得る圧縮性ポリマーから製造することができ、その結果、ハイブリッド構造体は
図3と同様に形成される。
【0043】
以下では、直立壁を有する基板面上の細長い整列した構造体の基板面上にピラーから形成された基板集電体を備えるリチウム電池を提供するための例示的な処理工程が与えられる。壁は、前記壁を覆う第1の電極層と、第1の電極層上に設けられた固体電解質層と、で形成される。そして、電解質層をリチウム金属で被覆することによって第2の電極層が形成される。第1の処理工程では、テンプレート基板を犠牲テンプレートを用いて調製することができる。この基板は、例えば、アルミニウム、銅、又はシリコン基板とすることができる。ピラーは、例えばフォトレジスト材料、酸化アルミニウム(AAO)層、又はカーボンナノチューブ/ワイヤ層CNT/CNWから作ることができる。これらの構造体は、当業者に知られている処理工程の組み合わせによって提供され得る。例えば、第1の工程において、例えばテンプレート処理によってピラー構造体100が提供される。ピラーは、例えばAl2O3基板にリソグラフィで提供することができる、成長したテンプレートである。孔はバックエッチングされ、ピラーはめっき工程によって形成される。又は、ピラー構造体は、導電性ナノチューブ、例えばカーボンナノチューブなどによって提供されてもよい。第二の処理工程において、平滑な集電体層を堆積させることができる。例えば、無電解めっき若しくは電気めっきによって堆積されたNi若しくはCu、又は、原子層堆積によるTiNであり、これは25nmから500nmの間の厚さ範囲内にあり得る。好ましくは、高アスペクト比のピラー(φ>2μm及び>60μmの高さ)に対してさえも構造体が十分に堅いことを保証するために、100nmの厚さの堆積層が設けられる。中空ピラーのベース(すなわち、構造体化されていない平坦な領域)は、取り扱いのためにより厚くすることができる(約5μm)。
【0044】
次に、さらなる処理工程において、集電体構造体が残るように、例えば従来のエッチング工程によって、犠牲基板構造体を除去することができる。
【0045】
構造体という用語は、ここでは、コンフォーマルな積層体又は足場形状のいずれかにおいて、集電体と電極との複合機能を提供するように示されている。コーティングの両側の層の厚さは、容量とレート性能のマッチとの間の最適なトレードオフが2つの層の間で達成されるように調整される。それ故、電極層の実際的な厚さは100~3000nmの間で変化し、そしてコレクタ内に併合されたときにはさらに薄くなり得る。
【0046】
図5aは、2段階処理によって提供され得るリチウム堆積方法を示す。第1の工程では、シード層12と対電極Aとの間に電圧が供給され、それは液体電解質Eによってシード層から分離されている。12用のシード層は、3D構造体化電池箔100のリチウムスパッタリングによって設けることができる。又は、金属40は、例えばNi、Cu、Pd、Pt、Au、Ti又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0047】
スパッタリング処理は、電池箔100の上部及び下部の固体電解質層13を覆う。従って、シード層は、液体電解質Eに曝される最上層として設けられる。対電極又は電解質溶液は、例えば、Hendersonの“High rate and stable cycling of lithium metal anode”, Nature Communications, February 2015, Volume 6, Article number 6362、及び、Takeiの“Electrolytic deposition of lithium from non-aqueous solutions”, Journal of Applied Electrochemistry September 1979, Volume 9, Issue 5, pp 587-593.、に記載されているように、リチウム源として作用し得る。リチウムアノードの底部を電気的に接続することによって、アノード層12を下から上に成長させることができる。
【0048】
図5bはスケールアップされた形態を示しており、めっき処理は、対向するアノードによって電気めっきされている複数の両面集電体構造体に対して行われる。箔は、対電極Aに隣接する化学浴501内に配置される。電解質502は、対電極と3DTFB箔100との間にイオン伝導を提供する。箔100は、堆積されるべき領域のみが対電極Aの位置と一致するように浴501内にあるように配置される。この場合、材料特性及び形状の調整は、シード層全体へのリチウム層の最大限可能なコンフォーマル成長を実現する。これは、シード層40を通る電子輸送速度が電解質を通るイオン輸送と同程度であることを必要とする。これを達成するために、電解質導電率を(例えば塩濃度を下げることによって)下げることができる。また、充電率を下げることができる。又は、コンフォーマル成長は、カソード材料中のリチウムを使用して形成サイクルによって得ることができる。この場合、ピラーに沿ったオーミック損失によるレート制限を回避するために電荷速度が十分に低いという条件で、シード層はピラー表面全体にわたって電子を輸送することができさえすればよい。
【0049】
図5cはさらなるスケールアップを示しており、電圧接続401が以下の方法で電池箔100に提供されていることが分かる。接続アーム401は、箔縁部110の上部に設けられた導電層302と電気的に接触し、導電層302と対電極Aとの間に電圧を供給する。導電層302は、ピラー上にリチウムをめっきするための任意の犠牲電子伝導経路を形成する、約1~10nmの例えばNi、Cu、Pd、Pt、Au、Tiが堆積されたシード層40と接触する。このシード層40は、例えばスパッタリングによってリチウムのシード層を設ける前に、Cu若しくはTiNの堆積層又は他の電子伝導層を設けるための、無電解めっき又は例えば原子層堆積によって構造体100上に設けることができる。シード層の電子伝導率は>10-3S/cmであるべきである。箔縁部110上には、比較的厚いレジスト層301が堆積されて、接続アーム401の間の圧力間の短絡を回避する。レジスト層は、接続アーム401と接触する導電層302で覆われる。浴中の電解質は連続的にリフレッシュすることができる。
【0050】
図6及び7は、複数の実施形態を示す。第2の電極層12は、電解質層13をリチウム金属で被覆することと、リチウム金属層と電気的に接触する上部集電体層を形成することと、によって形成され、リチウム金属層12は、その端部側に隣接する前記導電性構造体の一部を覆う絶縁体30、35によって導電性構造体から遮蔽される。ベース上部集電体200により、電池充電中に成長するリチウムアノード層12は、基板100から離れる方向に単純に広がることができる。
【0051】
図6は、工程IA、IBにおける第1の実施形態を示す。第1の工程では、薄い(約30~300nm)導電層45(金属)がベース導体45としてピラー間領域のベースに選択的に堆積され、連続した工程で電気めっきのための電流経路を提供する。これは、例えば蒸着によって提供することができ、適切に調整することによって、ごくわずかな量がピラーの側壁に堆積する。構造体の上には、ピラー上にリチウムをめっきするための(場合によっては犠牲となる)電子伝導経路を形成する、約1~10nm(120)の例えばNi、Cu、Pd、Pt、Au、Tiの薄いシード層40が堆積される。これは、Cu、TiN又は他の電子伝導層を提供するために、無電解めっきによって、又は原子層堆積によって提供され得る。シード層の電子伝導度は、10-3S/cmより大きいことが好ましい。続いて、リチウム金属がピラー間領域Sの底部に堆積される。典型的には数μmのこの層12は、金属45と共に、上部集電体200として作用する、すなわち箔方向に沿って電子を輸送するのは過剰量のリチウムであり、セルの充電/放電を著しく妨げることはない。堆積は、電解槽を使用する外部供給源による電気めっきによって、又は蒸着のような指向性堆積技術によって達成することができる。電気めっき処理を調整することによって、ピラー間構造体のベースにおけるリチウム層の選択的成長を提供することができ、シード層40全体の上ではない。電解質Eを通るイオン輸送速度がシード層を通る電子輸送よりも効果的に速い場合、選択的-好ましくはコンフォーマル-成長が達成される。これは、電解質(タイプ、塩濃度など)、電気めっきの電流速度、ならびに導電層45及びシード層40の層厚及び材料タイプの組み合わせの適切な選択によって調整することができる。めっきの代わりにリチウム層12を蒸着する場合、導電層45を省略することができる。循環めっきによる組み合わせも可能である。
【0052】
最後に、最後の実施形態IBでは、残りのピラー間空間を柔軟な材料(ポリマー)50で満たすことができることを示している。これは、リチウム層が完全にカソード層11に空乏化したときに実行されるのが好ましい。代替として、層50は、例えばポリエチレンオキシドPEOとリチウム塩LiXとのブレンドであるポリマーリチウムイオン伝導性電解質などの圧縮性電解質から作製することができる。これは、圧縮層が、リチウムの欠乏の前に提供され、圧縮性層59の上部に一時的に設けることができる外部リチウム源を介して電解質として機能し得る、という利点を有する。
【0053】
図7は、工程IIA、IIBにおける別の実施形態を示す。ここで、上部集電体200には、導電性構造体のベースに、上部集電体を基板集電体100から遮蔽する絶縁体35が設けられる。
【0054】
第1の工程では、薄い(約30~300nm)導電層46(金属)をピラー間領域Sのベースに選択的に堆積させて、例えば蒸着による連続工程で電着のための電流経路を設けることができる。蒸着によって層46もピラーの上部にあるが、ピラーの側壁上でごくわずかな量に適切に調整することによってであることに留意されたい。続いて、導電性シード層46は、ピラー間領域のベースにおけるバリア層35の電着に用いられる。この絶縁体35(バリア層)は、ベース部における電気化学的活性に起因して発生し得る応力を最小限に抑えることによってサイクル安定性をさらに改善することができる。層35は20~200nmの厚さを有し、ピラー表面の下部も部分的に覆うことができる。材料:例えばAl2O3。又は、バリア層35は蒸着によって達成することができ、その場合にはシード層46は不要である。バリア35の上部に、実施形態IAと同様に、リチウム層12の電気めっきのためのシード層45を堆積させて、導電性構造体のベースに上部集電体200を形成することができる。
【0055】
最後に、最後の実施形態IIBでは、残りのピラー間空間を柔軟な材料(ポリマー)50で満たすことができることを示している。これは、リチウム層が完全にカソード層11に空乏化したときに実行されるのが好ましい。
【0056】
代替的に、実施形態IIIは、ピラー間領域のベース上に上部集電体200を電着するためのバリア層35の上部の追加のシード層47、典型的には数マイクロメートルの厚さを示す。シード層47は、約30~300nmの無電解めっきされた、例えばNi、Cu、Pt、Au、Tiであってもよい。又は、ALDを有するTiN又は他の電子伝導層。上部集電体200は、約300nm~5μmの、例えば電着されたNi、Cu、Pt又はTiであってもよい。
【0057】
代替として、隔離層によって覆われたベース集電体200及び両方のピラー端側部30、35を有する実施形態IVが示されている。この実施形態では、リチウム層は、前記導電性構造体100のベース部、又はそれぞれピラー10の端部側を覆う絶縁体30、35によって導電性構造体100から遮蔽されている。これにより、ピラー10の端部付近でのリチウムのめっき処理による応力の発生が防止される。
【0058】
図8は、IIAと同様の他の実施形態Vを示すが、第2の電極12をめっきする前に、ピラー間空間が可撓性材料50で充填され、層50がリチウム源として作用する対電極55と直接接触している。外部電源55を上部集電体200と電気的に接続することによって、第2の電極12のめっきは、実施形態IIBによって示されるように達成され得る。その後、残りの外部リチウム源55層を除去することができる。
【0059】
さらなる例は、以下のいずれかの上に設けられた絶縁体又はバリア層である。
1.第1のカソード電極11の上部
2.電解質13の上部
3.ピラー10の上部
4.第2のアノード電極12の上部
【0060】
ケース1及び2では、バリア層はイオン輸送を遮断し、イオン輸送を導電性構造体10の端部から遠ざける。
【0061】
ケース3及び4では、障壁層が電極への電子の移動を阻止し、電子の輸送を導電性構造体10の端部から遠ざける。これは、イオン輸送と比較して制限された電子伝導性を有するLixTiO2及びLTOのような電極材料と関連して特にうまく機能する。
【0062】
一実施形態では、基板集電体を有する電池の製造方法において、絶縁体バリアが設けられていない。製造方法は、基板面上に、直立壁を有する細長い整列した導電性構造体であって、壁は、前記壁を覆う第1の電極層と、第1の電極層上に設けられた固体電解質層と、から形成され、第2の電極は、電解質層を覆うことによって形成され、第2の電極が空間構造内に延びるように、隣接する導電性構造体を分離する空間構造が設けられる、導電性構造体を形成することと、第2の電極と電気的に接触する上部集電体層であって、前記間隙構造体は、第2の電極にコンフォーマルである圧縮層を備え、前記圧縮層は、第2の電極がリチウム欠乏のときに設けられる、又は、前記圧縮層は、第2の電極を設けるためのリチウムイオン導電性材料を備える、上部集電体層を形成することと、を備える。
【0063】
別の実施形態では、基板集電体を有する電池の製造方法が提供される。製造方法は、基板面上に、直立壁を有する細長い整列した導電性構造体であって、壁は、壁を覆う第1の電極層と、第1の電極層上に設けられた固体電解質層とで形成され、第2の電極は、電解質層を覆うことによって形成され、第2の電極が空間構造内に延びるように、隣接する導電性構造体を分離する空間構造が設けられる、導電性構造体を形成することと、第2の電極と電気的に接触する上部集電体層であって、上部集電体には、導電性構造体のベースに、基板集電体から上部を遮蔽する絶縁体が設けられる、上部集電体層を形成することと、を備える。
【0064】
これらの薄膜電池の例は、自動車に提供されてもよい。薄膜電池は、例えば、これらの電池を使用する自動車部品のパッケージ又はカバーに設けられる。従って、高アスペクト比構造体を有する金属基板は、ケーシング構造体としてモノリシックに形成することができる。アルミニウムで作られたカバーを有する他の装置があり、この概念が適用され得る。又は、金属基板を有機箔上に、すなわち炭化水素含有物、例えばPEN、PETなどを含有するか、又はプラスチック成形構造体上に積層することができる。今日の大部分の装置のパッケージ/カバーがプラスチックで成形されているとしても、それでもその上又はその中に電池を作るために、プラスチック上にイオン液体によって数十マイクロメートルのアルミニウムを無電解めっきすることができる。
【0065】
任意で、容易に曲げることを可能にするために、ピラーを基板箔全体にわたって有する代わりに、ピラークラスターの孤立した島を金属箔にパターニングしてそれの一体部分を形成する。一例では、高アスペクト比のクラスタは、10e4 マイクロメートル2未満の面積にわたることができる。そして、平面ゾーンは、50マイクロメートルより大きい幅を有するストリップとして形成されてもよいが、他の範囲は、容易な屈曲を可能にするためにクラスタリングの同じ効果に対して適切に使用され得る。そのような電池を対費用で効果的にするためには、この技術を例えばロールツーロール処理用の大面積の金属箔に移転することが有利である。
【0066】
本発明の特定の実施形態を上に説明したが、本発明は説明した以外の方法で実施できることを理解されよう。さらに、異なる図を参照して論じられた、単離された特徴は組み合わされてもよい。
【0067】
(付記)
(付記1)
基板面上に、直立壁を有する細長い整列した導電性構造体であって、前記壁は、前記壁を覆う第1の電極層と、前記第1の電極層上に設けられた固体電解質層と、から形成され、前記電解質層を覆うことによって第2の電極が形成される、導電性構造体を形成することと、
前記第2の電極と電気的に接触する上部集電体層であって、前記第2の電極は、前記導電性構造体の端部側に隣接し前記導電性構造体の一部を覆う絶縁体によって前記導電性構造体から遮蔽され、前記第1の電極と前記第2の電極との間のイオン輸送経路が阻止され、それによって前記導電性構造体の前記端部側の付近に発生する応力が緩和される、上部集電体層を形成することと、を備える、
基板集電体を有する電池の製造方法。
【0068】
(付記2)
前記上部集電体は、前記基板面上の前記導電性構造体の上部に形成される、付記1に記載の方法。
【0069】
(付記3)
前記上部集電体は、前記導電性構造体のベースに前記基板集電体から前記上部を遮蔽する前記絶縁体が設けられる、付記1に記載の方法。
【0070】
(付記4)
前記絶縁体は、前記第1の電極層を部分的に覆う、付記1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
(付記5)
前記第2の電極層は、リチウム金属層である、付記1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
(付記6)
前記リチウム金属層は、前記電解質層上にシード層を堆積させる工程と、金属めっき処理において前記シード層をリチウム金属でめっきする工程と、において提供される、付記5に記載の方法。
【0073】
(付記7)
前記めっき処理は、前記金属ピラーと前記シード層との間に電圧を印加することによって、前記第1の電極層から前記リチウム金属を抽出する、付記6に記載の方法。
【0074】
(付記8)
前記めっき処理は、前記シード層と前記シード層から分離された対電極との間に電圧を印加することによって提供され、前記シード層と接触している前記対電極及び/又は前記電解質は、リチウム源を備える、付記6又は7に記載の方法。
【0075】
(付記9)
前記上部集電体層は、前記直立壁に沿って延びる、付記1に記載の方法。
【0076】
(付記10)
隣接する導電性構造体を分離する空間構造が設けられ、前記第2の電極は、前記空間構造内に延びており、前記空間構造は、導電性足場を備える、付記1に記載の方法。
【0077】
(付記11)
前記導電性足場は、中空又は多孔質の金属構造体によって形成される、付記10に記載の方法。
【0078】
(付記12)
前記導電性足場は、導電性ナノ粒子によって形成される、付記10に記載の方法。
【0079】
(付記13)
隣接する導電性構造体を分離する空間構造が設けられ、前記第2の電極は、前記空間構造内に延びており、前記空間構造は、前記第2の電極に適合する圧縮層を備え、前記圧縮層は、前記第2の電極がリチウム欠乏であるときに設けられる、付記1に記載の方法。
【0080】
(付記14)
前記導電性構造体同士の間の空間構造は、前記第2の電極に適合する圧縮層を備え、前記圧縮層は、前記第2の電極を提供するためのリチウムイオン導電性材料を備える、付記1に記載の方法。
【0081】
(付記15)
基板面上に、直立壁を有する細長い整列した導電性構造体を備え、前記壁は、前記壁を覆う第1の電極層と、前記第1の電極層上に設けられた固体電解質層と、から形成され、前記電解質層を覆うことによって第2の電極が形成され、上部集電体層が前記第2の電極と電気的に接触し、前記第2の電極は、前記導電性構造体の端部側に隣接し前記導電性構造体の一部を覆う絶縁体によって前記導電性構造体から遮蔽され、前記第1の電極と前記第2の電極との間のイオン輸送経路が阻止され、それによって前記ピラーの前記端部側の付近に発生する応力が緩和される、
基板集電体を有する電池。
【0082】
(付記16)
高アスペクト比の構造体は、50ナノメートルより大きい曲率半径を有するピラーを備える、付記15に記載の電池。
【0083】
(付記17)
前記ピラーは、10マイクロメートルより高い、付記16に記載の電池。
【0084】
(付記18)
前記基板は、高アスペクト比構造体を形成する両面を有する金属箔である、付記15~17のいずれか1つに記載のリチウム電池。
【0085】
(付記19)
並列に積層される又は直列に積層される複数の集電体を有する、付記15~18のいずれか1つに記載のリチウム電池。
【0086】
(付記20)
金属の前記基板は、有機箔上に積層されている、付記1~19のいずれか1つに記載のリチウム電池。