(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】高周波帯域で動作するRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
H01Q 7/00 20060101AFI20220309BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20220309BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q1/22 Z
H01Q1/44
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019119382
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2019-10-16
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】イアン ジェイ フォースター
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0309703(US,A1)
【文献】特開2003-087044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0076238(US,A1)
【文献】国際公開第2017/126418(WO,A1)
【文献】中国実用新案第208423178(CN,U)
【文献】米国特許第10311355(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 7/00
H01Q 1/22
H01Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電磁場放出に耐性がある無線周波数識別(RFID)タグであって、
RFIDチップと、
導電性アンテナ要素
であって、前記導電性アンテナ要素の中心部及び外縁部は、インダクタを形成する導電性トレースによって互いに橋渡しされている、前記導電性アンテナ要素と、
分割リング導体と、
前記導電性アンテナ要素と前記分割リング導体との間に配置された誘電体と、
を備え、前記分割リング導体は、前記導電性アンテナ要素の少なくとも一部と2.45GHzにおいて容量的に結合しているRFIDタグ。
【請求項2】
前記分割リング導体は、前記誘電体の一方側の面に形成され、前記導電性アンテナ要素は、前記誘電体の反対側の面に形成されている、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記導電性アンテナ要素は、間隙を含む、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記RFIDチップは、前記間隙内に配置されている、請求項3に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記分割リング導体は、前記導電性アンテナ要素の大部分を覆っている、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記分割リング導体は、前記導電性アンテナ要素を覆わない間隙を含む、請求項
5に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
加熱装置内で使用される無線周波数識別(RFID)タグであって、
RFIDチップと、
導電性アンテナ要素
であって、前記導電性アンテナ要素の中心部及び外縁部は、インダクタを形成する導電性トレースによって互いに橋渡しされている、前記導電性アンテナ要素と、
第1の分割リング導体と、
第2の分割リング導体と、
を備え、前記第1の分割リング導体、前記第2の分割リング導体、及び前記導電性アンテナ要素は、2.45GHzにおいて容量的に結合しているRFIDタグ。
【請求項8】
前記導電性アンテナ要素は、前記第1の分割リング導体と前記第2の分割リング導体との間に配置されている、請求項
7に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記導電性アンテナ要素は、前記第1の分割リング導体及び前記第2の分割リング導体に2.45GHzにおいてブリッジを生じるように容量的に結合されている、請求項
8に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
前記第1の分割リング導体は、第1の間隙を含み、前記第2の分割リング導体は、第2の間隙を含む、請求項
7に記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記第2の分割リング導体は、前記第1の間隙が前記第2の間隙と整列しないように、前記第1の分割リング導体と反対に回転されている、請求項
10に記載のRFIDタグ。
【請求項12】
前記RFIDチップは、前記導電性アンテナ要素の間隙に配置されている、請求項
7に記載のRFIDタグ。
【請求項13】
マイクロ波場で使用される無線周波数識別(RFID)タグであって、
遮蔽ストラップに固定されたRFIDチップと、
導電性アンテナ要素
であって、前記導電性アンテナ要素の中心部及び外縁部は、インダクタを形成する導電性トレースによって互いに橋渡しされている、前記導電性アンテナ要素と、
分割リング導体と、
を備え、前記分割リング導体は、前記導電性アンテナ要素の少なくとも一部と2.45GHzにおいて容量的に結合しているRFIDタグ。
【請求項14】
前記RFIDチップ及び前記遮蔽ストラップは、前記導電性アンテナ要素上に配置されている、請求項
13に記載のRFIDタグ。
【請求項15】
前記分割リング導体は、前記導電性アンテナ要素上に配置された前記RFIDチップ及び前記遮蔽ストラップ上に配置されている、請求項
13に記載のRFIDタグ。
【請求項16】
共振回路をさらに備えている、請求項
13に記載のRFIDタグ。
【請求項17】
前記分割リング導体は、前記導電性アンテナ要素の少なくとも一部と間隙内で2.45GHzにおいて容量的に結合している、請求項1又は
6に記載のRFIDタグ。
【請求項18】
前記分割リング導体は、前記導電性アンテナ要素の少なくとも一部と間隙内で誘電体を介して2.45GHzにおいて容量的に結合している、請求項
17に記載のRFIDタグ。
【請求項19】
前記導電性アンテナ要素は、前記第1の分割リング導体及び前記第2の分割リング導体に第1の間隙及び第2の間隙内で2.45GHzにおいてブリッジを生じるように容量的に結合されている、請求項
9又は
10に記載のRFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2018年6月27日に出願された米国仮実用特許出願第62/690,723号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に、限定するわけではないが電子レンジなどの高放射場(high-emission field)に耐えることができる無線周波数識別(「RFID」)タグ、及び高放射場耐性RFIDタグを使用して電子レンジなどによる加熱工程の側面を制御する方法に関する。具体的には、電子レンジなどの装置における調理又は加熱前に、製品又は食品からRFIDタグを取り外す必要がない。本発明の電子レンジ対応RFIDタグ(microwave safe RFID tag)はアークが形成されるのを防ぎ、従って取り付け先の製品又は食品を損なうことなく電子レンジ内に配置することができる。従って、このRFIDタグは、強力な高電磁場中又はマイクロ波放出中にRFIDリーダシステムによる読み取り又は質問を受けることができる。
【0003】
他のRFID技術を使用することもできるが、本開示は、13.56MHzで動作する高周波(「HF」)、並びに欧州の865~868MHz及び米国の902~928MHzを含む世界的に様々な帯域で動作する超高周波(「UHF」)技術に焦点を当てる。従って、本明細書は、これらに対する具体的な言及を行う。しかしながら、本発明主題の態様は、他の同様の用途にも等しく適用することができると理解されたい。
【0004】
一般的に言えば、無線周波数識別は、電磁エネルギーを使用して(RFID「タグ」又はトランスポンダとして知られている)応答デバイスを刺激してデバイス自体を識別し、場合によってはタグに付加的に記憶されているデータを提供するものである。通常、RFIDタグは、一般に「チップ」と呼ばれる半導体素子を含み、チップ上には、メモリと、アンテナに接続された動作回路とが形成される。通常、RFIDタグはトランスポンダとして機能し、質問器とも呼ばれるリーダから受け取った無線周波数(「RF」)質問信号に応答して、チップメモリに記憶された情報を提供する。パッシブRFIDデバイスの場合には、質問信号のエネルギーが、RFIDタグデバイスの動作に必要なエネルギーも提供する。
【0005】
RFIDタグは、追跡すべき物品に組み込み又は取り付けることができる。タグは、接着剤、テープ又はその他の手段を用いて物品の外部に取り付けることができる場合もあれば、パッケージに含めたり、物品の容器内に配置したり、又は衣服に縫い込んだりして物品に挿入できる場合もある。RFIDタグは、典型的には検査数字が添えられた数バイトの単純なシリアル番号である一意の識別番号を伴って製造される。この識別番号は、製造中にタグに組み込まれる。ユーザは、このシリアル/識別番号を変更することができず、メーカーは、各シリアル番号が一度しか使用されないことを保証する。通常、このような読み取り専用のRFIDタグは、追跡すべき物品に恒久的に取り付けられ、取り付けられた時点で、コンピュータデータベース内でタグのシリアル番号が取り付け先物品(host article)に関連付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在のところ、電子レンジ内で調理される食品に実装されたRFID技術は、電子レンジの高電磁場放出を耐え抜くことができない。具体的に言えば、通常、RFIDタグは、電子レンジ空洞内で破壊され、RFIDタグの取り付け先の食品を損なうこともある。従って、電子レンジ内で機能することができて取り付け先の食品を損なわない電子レンジ対応RFIDタグデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電子レンジ内で調理、加熱、再加熱及び/又は解凍される食品又はその他の製品に固定された、マイクロ波工程の開始前に食品又は製品から取り外す必要がない電子レンジ対応RFIDタグを開示する。さらに、このRFIDタグは、RFIDタグが取り付けられた食品又は製品を損なわずに電子レンジ内に配置できるとともに、調理過程を制御するためのデータを提供する。
【0008】
以下、開示する技術革新のいくつかの態様の基本的理解をもたらすために簡略化した概要を示す。この概要は、広範にわたる概説ではなく、主要/重要な要素の識別、或いはその範囲の説明を意図するものではない。この概要の唯一の目的は、後で提示するさらに詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化した形で示すことである。
【0009】
本明細書に開示して特許請求する主題は、その1つの態様において、電子レンジ内で調理、加熱、再加熱及び/又は解凍される食品又はその他の製品に固定された電子レンジ対応RFIDタグデバイスを含む。このRFIDタグは、以下に限定するわけではないが、取り付け先の製品、RFIDタグのユーザ、電子レンジの操作指示などに関する情報を含む様々な情報を含むことができる。
【0010】
電子レンジ対応RFIDタグは、誘電体の一方側の面に形成された分割リング(又は遮蔽)導体と、誘電体の他方側の面に形成されたコイルアンテナ導体と、RFIDチップとを含むことが好ましい。分割リング導体は、誘電体によってコイルアンテナ導体から分離される。さらに、分割リング導体は、誘電体を介してコイルアンテナ導体に容量的に結合するように、コイルアンテナ導体の大部分を覆う。また、分割リング導体は、コイルアンテナ導体を通じてマイクロ波電流が流れるようにする間隙を含むが、間隙内のコイルアンテナ導体の部分がマイクロ波電流と相互作用せず、これによりアーク放電を防ぐ。
【0011】
別の実施形態では、電子レンジ対応(安全)RFIDタグデバイスが、導体の間隙が整列せず、間隙に電流が流入しないように、第1の分割リング導体と反対側に回転された第2の分割リング導体を含む。コイルアンテナ導体は、第1及び第2の分割リング導体間に配置され、これら導体に容量的に結合してコイルアンテナ導体と第1及び第2の分割リング導体とを効果的に短絡させて、コイルアンテナ導体に沿ったアーク放電及び過電流を防ぐ。
【0012】
本発明のさらなる実施形態では、電子レンジ対応RFIDタグが、コイルアンテナ導体上に配置されたRFIDチップ及び遮蔽ストラップを含み、RFIDチップ及び遮蔽ストラップ上には分割リング導体が形成される。具体的に言えば、RFIDチップは、コイルアンテナ導体の中心部及び外縁部に固定されて共振回路を形成する。
【0013】
本明細書に含まれる説明は、調理、解凍、加熱又は再加熱目的で電子レンジ内に配置された食品を主に参照するが、本発明は、食品との併用に限定されるものではないと理解されたい。具体的に言えば、本発明は、製造工程などにおいて電子レンジ又はマイクロ波場内又はその付近に配置すべき物品にRFIDタグを取り付けることが望ましい他のあらゆる設定又は工程にも応用される。
【0014】
上述の及び関連する目的を達成するために、本明細書では、以下の説明及び添付図面に関連して、開示する技術革新のいくつかの例示的な態様について説明する。しかしながら、これらの態様は、本明細書に開示する原理を採用できるとともに全てのこのような態様及びその同等物を含むように意図された様々の方法のうちのほんのわずかしか示していない。以下の詳細な説明を図面と共に検討すれば、他の利点及び新規の特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】開示するアーキテクチャによる基本的なHF RFIDタグの上面透視図である。
【
図2】開示するアーキテクチャによる電子レンジ対応RFIDタグの上面透視図である。
【
図3】開示するアーキテクチャによる、HFコイルアンテナを含む電子レンジ対応RFIDタグの透視図である。
【
図4】開示するアーキテクチャによる、電子レンジ対応RFIDタグの遮蔽導体(shield conductor)間の間隙の正面透視図である。
【
図5】開示するアーキテクチャによる、基板の反対側の面に形成された遮蔽体と、導体をブリッジ又は橋渡しする接続部とを含む電子レンジ対応RFIDタグの上面透視図である。
【
図6A】開示するアーキテクチャによる、電子レンジ対応RFIDタグの底部遮蔽導体の上面透視図である。
【
図6B】開示するアーキテクチャによる、電子レンジ対応RFIDタグのHF RFIDインレーの上面透視図である。
【
図6C】開示するアーキテクチャによる、電子レンジ対応RFIDタグの頂部遮蔽導体の上面透視図である。
【
図7】開示するアーキテクチャによる、コイル導体間に狭いレーザー切断間隙が形成された電子レンジ対応RFIDタグの上面透視図である。
【
図8A】開示するアーキテクチャによる遮蔽ストラップの上面透視図である。
【
図8B】開示するアーキテクチャによる、ストラップを覆って配置される遮蔽導体の上面透視図である。
【
図8C】開示するアーキテクチャによる、電子レンジ対応RFIDタグのコイル導体の上面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、全体を通じて同じ参照番号を用いて同じ要素を示す図面を参照しながら技術革新の説明を行う。以下の説明では、説明を完全に理解できるように、説明目的で数多くの具体的な詳細を示す。しかしながら、この技術革新は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施できることが明らかである。その他の場合、周知の構造及びデバイスについては、これらの説明を容易にするためにブロック図形式で示している。
【0017】
本発明は、電子レンジなどの装置における調理、解凍、加熱及び/又は再加熱前に食品などの製品から取り外す必要がなく、調理過程を制御するデータを提供できるような、高電磁場放出に耐え、電子レンジ対応と見なすことができるRFIDタグを開示する。1つの実施形態では、このRFIDタグが、基板(又は誘電体)の一方側の面に形成された分割リング(又は遮蔽)導体と、基板の反対側の面に形成されたコイルアンテナ導体と、RFIDチップとを含む。分割リング導体は、誘電体を介してコイルアンテナ導体に容量的に結合し、分割リング導体の間隙がアーク放電を防ぐ。さらに、RFIDチップは、RFIDが取り付けられた製品又は食品、及び/又は電子レンジが実行する必要がある工程に関するデータを含むこともできる。このRFIDチップのデータをRFIDリーダシステムが読み取って、例えば食品の調理、加熱、再加熱又は解凍などのマイクロ波工程を許可及び/又は制御する。
【0018】
最初に図面を参照すると、
図1に、標準的な高周波(HF)RFIDタグデバイス100を示す。1つの実施形態では、HF RFIDタグデバイス100が、螺旋形構成の導電性アンテナ要素102の平面構造、又は当業で周知の他のいずれかの好適な構成である。さらに、平面構造を矩形として示しているが、円形、正方形又は三角形などの当業で周知のあらゆる好適な形状とすることができる。螺旋形構成を有する平面構造は、導電性アンテナ要素102間に複数の間隙104を形成する。また、RFIDチップ108の位置には、RFIDチップ108が導電性アンテナ要素102のコイル内に配置されるように、導電性アンテナ要素102自体の間隙106も存在する。さらに、HF RFIDタグデバイス100の中心部112及び導電性アンテナ要素102の平面構造の外縁部114は、HF RFIDタグデバイス100を横切るインダクタ(又はブリッジ導体)110を形成して所望の周波数で共振する導電性トレース116によって互いにブリッジ又は橋渡しされる。
【0019】
通常、HF RFIDタグは、100kHz~15MHzの帯域で動作し、特定的な13.56MHzの標準周波数で動作する。さらに、典型的な読み取り範囲は最大約1mであるが、近距離通信(NFC)規格に従って動作する携帯電話機などのモバイル装置を含む多くの用途では、範囲が、RFIDタグのサイズに応じてわずかに10~15mmとなることもある。タグとリーダとの間の距離は近接場内に存在し、結合は主に磁気的に行われ、典型的にはRFIDチップ容量と共振するように設計されたインダクタンスのコイル型アンテナが使用される。
【0020】
図2に、取り付け先の食品及びその他の製品を損なうことなく加熱装置内に配置されるように設計された、高放射場耐性を有し一般に電子レンジ対応として認識されるRFIDタグ200を示す。RFIDタグ200は、GRAS(安全食品認定)接着剤などの当業で周知のいずれかの好適な手段によって食品に固定することができる。さらに、RFIDタグ200は、デュアルモードタグ又はシングルモードタグとすることができ、
図1で説明したように、HFリーダシステムと通信するHFコアコンポーネントを含むことができる。通常、RFIDタグ200は、本発明の包括的概念に影響を与えない、当業で周知のいずれかの好適なサイズ、形状及び構成とすることができる。当業者であれば、
図2に示すRFIDタグ200の形状及びサイズは例示を目的としたものにすぎず、RFIDタグ200の他の多くの形状及びサイズも本開示の範囲内に十分に収まると理解するであろう。RFIDタグ200の寸法(すなわち、長さ、幅及び高さ)は、優れた性能のための重要な設計パラメータであるが、RFIDタグ200は、使用中の最適な性能を保証するあらゆる形状又はサイズとすることができる。
【0021】
1つの実施形態では、この電子レンジに耐えることができるRFIDタグデバイス200が、螺旋形構成又は当業で周知の他のいずれかの好適な構成の導電性アンテナ要素202の平面構造を含む。本発明は、導電性アンテナ要素202が金属製であるように企図するが、当業で周知のあらゆる好適な材料で製造することができる。さらに、平面構造を矩形として示しているが、円形、正方形又は三角形などの当業で周知のあらゆる好適な形状とすることができる。螺旋形構成を含む平面構造は、導電性アンテナ要素202間に間隙204を形成する。また、RFIDチップ208の位置には、RFIDチップ208が導電性アンテナ要素202のコイル内に配置されるように、導電性アンテナ要素202自体の少なくとも1つの間隙206も存在する。
【0022】
さらに、電子レンジ対応RFIDタグデバイス200の中心部218及び導電性アンテナ要素202の平面構造の外縁部220は、電子レンジ対応RFIDタグデバイス200を横切るインダクタ(又はブリッジ導体)210を形成して所望の周波数で共振する導電性トレース222によって互いにブリッジ又は橋渡しすることができる。さらに、電子レンジ対応RFIDタグデバイス200は、分割リングの形態、又は当業で周知の他のいずれかの好適な形状の第2の導体212も含む。この第2の導体(又はリング導体)212は、誘電体214によってブリッジ導体(又はコイル導体)210から分離されている。この誘電体214は、典型的にはプラスチック又は接着剤、或いは当業で周知の他のいずれかの好適な誘電体材料である。
【0023】
リング導体212は、
図2に示すように導電性アンテナ要素又はコイル202の大部分を覆い、コイル202を覆わない狭い間隙216又は開放空間を残すことが好ましい。分割リング導体212の形状及びサイズは、全体的な電子レンジ対応RFIDタグデバイス200の構造の一部として、マイクロ波場との制御された相互作用をもたらして加熱を最小化しアーク放電を防ぐように設計される。通常、分割リング導体212の設計は様々であり、当業で周知のあらゆる好適な形状の導体を使用することができる。さらに、分割リング導体212は、丸みを帯びた隅部、マイクロ波周波数の波長と比較した規定の辺の長さ、及びリング要素(すなわちコイル202)間の制御された間隙を共通の特徴とする。
【0024】
分割リング導体212は、誘電体214を介してコイル202に容量的に結合する。例えば、10mmの正方形面積及びk=3の25μm厚の誘電体では、容量が~106pF(ピコファラッド)である。13.56MHzでは、コイル202に対する等価の結合インピーダンスが、110オームであり、これはコイル動作への影響を最小限に抑える。2.45GHzでは、結合インピーダンスが、~0.61オームであり、コイルとリングを効果的に短絡させる。これにより、コイル要素間のアークと、コイル導体202の全長にわたって流れる過電流とが防がれる。従って、アークを防ぐことによって電子レンジ対応RFIDタグ200に付与されるエネルギーが減少し、電子レンジ対応RFIDタグ200の加熱も最小限に抑えられる。従って、高出力の、すなわち2.45GHzのマイクロ波の放出前又は放出中に電子レンジ対応RFIDタグ200を読み取ることができる。
【0025】
リング導体212は、短絡巻線として作用するのを防ぐように分割部(又は間隙)216を有し、磁場内に配置された時に電流が流入すると、コイルアンテナ202と磁気的に相互作用する。分割部(又は間隙)216の領域では、コイル導体202が両側でリング導体212に強力に結合しているので、リング導体212の間隙216によって定められる長さにわたってコイル導体202を通じてマイクロ波電流が流れる。間隙216のサイズは、間隙216におけるコイル202の任意の構造がマイクロ波場と相互作用しないように選択され、本発明では、このサイズをマイクロ波周波数の波長の10分の1未満、又は約12mm未満とすべきである。
【0026】
また、電子レンジ対応RFIDタグ200のRFIDチップ208は、電子レンジが実行する必要がある工程に関するデータを含む。具体的に言えば、RFIDチップ208から受け取られるデータは、以下に限定するわけではないが、RFIDタグ200の一意の識別子、製品識別、製品「使用」期限、製品「賞味」期限、アレルゲン情報、食品の調理パラメータ、加熱、攪拌、及び加熱後の滞留時間などの指示を含むことができる。
【0027】
例えば、期限切れ製品の「使用」期限又は「賞味」期限に関して言えば、RFIDチップ208を使用して、電子レンジが手動での上書きを伴わずに動作して食品の解凍、調理、加熱又は再加熱を行うのを防ぐことにより、もはや消費に適していない食品をユーザが知らずに消費するのを防いで病気を予防することができる。この特徴は、例えば製品の「使用」期限又は「賞味」期限を含む情報に関する印刷がもはや人間の目で読み取ることができず、又は食品から分離している時に特に有用である。
【0028】
また、異なる食品及び/又は異なるユーザでは、RFIDチップ208の上書きを行うのに必要な許可も異なることができる。例えば、幼児向けの食品、海産食品、又は特定の既知のアレルゲンを含む食品(例えば、ピーナツを有する食品)に必要とされる上書きは高リスクと考えることができ、単純なはい/いいえ、又は口頭確認ではなくむしろ特定のパスワードを必要とすることができる。さらに、この特定の製品データをアレルゲン情報などのユーザに関するデータと組み合わせて、調理行動を防ぎ、警報を鳴らし、口頭確認を求めることなどもできる。さらに、食品が解凍されているか、冷却されているか、それとも冷凍されているかを検出できるセンサにRFIDチップ208を関連付け、センサからの情報又は出力を使用して、さらなるユーザインタラクションを伴わずに適切に調理パラメータを修正することもできる。例えば、冷凍食品の場合には、センサ出力を使用して、最初に1つのマイクロ波電力設定で食品を解凍し、その後に異なる電力設定で食品を調理するように電子レンジに指示することができる。或いは、食品が既に解凍されているとセンサが判断した場合には、センサ出力を使用して、解凍過程を迂回してそのまま調理過程に進むように電子レンジに指示することにより、解凍過程中に電子レンジを動作させるのに必要な時間とエネルギーの両方を節約することができる。
【0029】
図3に示す別の実施形態には、HF RFIDコイルアンテナ(又はコイル導体)304に近接する遮蔽導体302を含む電子レンジ対応RFIDタグデバイス300を示す。さらに、遮蔽導体302は、プラスチック又は接着剤など、或いは当業で周知の他のいずれかの好適な材料などの誘電体(又は基板)306を介してコイル導体304から分離される。また、電子レンジ対応RFIDタグデバイス300は、様々な方法で形成することができる。例えば、PET基板306などの基板(又は誘電体)306の一方の面にコイル導体304をエッチングし、他方の面に遮蔽導体302をエッチングすることにより、PET基板306の両面に遮蔽導体302及びコイル導体304を配置することができる。
【0030】
或いは、PET基板306の一方の面でコイル導体304をレーザー切断し、PET基板306の他方の面で遮蔽導体302をレーザー切断することにより、PET基板306の両面に遮蔽導体302及びコイル導体304を配置することもできる。或いは、PET基板306の一方の面でコイル導体304をレーザー切断し、PET基板306の他方の面で遮蔽導体302をダイカットすることにより、PET基板306の両面に遮蔽導体302及びコイル導体304を配置することもできる。或いは、PET基板306の一方の面でコイル導体304をレーザー切断又はエッチングし、PET基板306の他方の面で遮蔽導体302を予め切断して接着剤を塗布することにより、PET基板306の両面に遮蔽導体302及びコイル導体304を配置することもできる。
【0031】
或いは、PET基板306の1つの表面上でコイル導体304をレーザー切断又はエッチングし、遮蔽導体302を予め切断してPET基板306の同じ面に接着剤と共に追加部品として付与することにより、遮蔽導体302及びコイル導体304がPET基板306の同じ面に存在することもできる。或いは、最後に、PET基板306の裏面又はコイル導体304上のいずれかに遮蔽導体302を印刷構造として適用し、間にワニスなどの好適な誘電体セパレータ、又は当業で周知の他のいずれかの好適な誘電体材料を伴うことにより、遮蔽導体302及びコイル導体304がPET基板306の同じ面又は両面のいずれかに存在することもできる。
【0032】
図4に、電子レンジ対応RFIDタグ400の、具体的には、分割リング(又は遮蔽)導体404の間隙402がHFコイルアンテナ導体406を覆う領域の図を示す。間隙402は、両側の広いオーバーラップ領域408を明らかにする。広いオーバーラップ領域408は、コイル巻線の両側でコイルアンテナ導体406に低インピーダンス結合をもたらす。というのは、コイル巻線が遮蔽導体404によって互いに容量的に容量的されるからである。従って、遮蔽導体404は、間隙402を横切って電流を流すことができる単一の幅広い導体として機能する。これにより、コイル要素(又は巻線)間のアークと、コイルアンテナ導体406の全長にわたって流れる過電流とが防がれる。間隙402の領域では、コイルアンテナ導体406が両側において分割リング導体404に強力に結合しているので、間隙402によって定められる長さにわたってコイル要素を通じてマイクロ波電流が流れる。間隙402のサイズは、間隙402におけるコイル要素の任意の構造がマイクロ波場と相互作用しないように選択され、例えば間隙402のサイズは、マイクロ波周波数の波長の10分の1未満、又は約12mm未満とすべきである。
【0033】
図5に、基板(又は誘電体)514の一方側の面に形成された分割リング(又は遮蔽)導体502と、基板514の反対側の面に形成されたコイルアンテナ導体504と、RFIDチップ506とを含む電子レンジ対応RFIDタグデバイス500のさらなる実施形態を示す。電子レンジ対応RFIDタグデバイス500では、分割リング遮蔽導体502が、コイルアンテナ導体504の中心部508と縁部510との間のHFブリッジ516として機能して、連続導体を13.56MHzでRFIDチップ506と共振させる。このブリッジ機能は、頂部導体と底部導体と(すなわち、遮蔽導体502とコイルアンテナ導体504と)の間の圧着接続部512、又は貫通穴などの他の接続手段、或いは当業で周知の他のいずれかの好適な接続手段を使用して、低抵抗(すなわち、10オーム)経路を設けることによって形成される。間に基板514を介在させることなくコイルアンテナ導体504上に遮蔽導体502をさらなる導体として直接適用する場合には、当業で周知の好適な導電接着剤によって接続を行うことができる。
【0034】
図6A~
図6Cに、2つの分割リング遮蔽体(遮蔽体1 602及び遮蔽体2 604)と、HF RFIDコイルアンテナ導体(又はHF RFIDインレー)610と、RFIDチップ616とを含む電子レンジ対応RFIDタグデバイス600のさらなる実施形態を示す。電子レンジ対応RFIDタグデバイス600は、底縁部608に間隙606が形成された第1の分割リング(又は遮蔽)導体(遮蔽体1)602を含み、遮蔽1導体602は、コイルアンテナ導体610の一方側の面に配置される。電子レンジ対応RFIDタグ600は、上縁部614に間隙612が形成された第2の分割リング(又は遮蔽)導体(遮蔽体2)604も含み、遮蔽2導体604は、コイルアンテナ導体610の反対側の面に配置される。
【0035】
互いに対して回転された2つの遮蔽導体(すなわち、遮蔽体1 602及び遮蔽体2 604)を有することにより、遮蔽導体(602及び604)の間隙606及び612が異なる場所に位置するようになる。従って、両遮蔽導体(602及び604)は、コイルアンテナ導体610に短絡巻線を提示しないが、遮蔽体1及び遮蔽体2(602及び604)の間隙(606及び612)が異なる場所に存在するので、これらの遮蔽体が2.45GHzにおいて互いに橋渡しすると、いずれの点においてもコイルアンテナ導体610に電流が流入しない。従って、2つの遮蔽導体(602及び604)を含む電子レンジ対応RFIDタグデバイス600は、コイルアンテナ導体610の電流を最小化する。
【0036】
図7に、基板(又は誘電体)704の一方側の面に形成された分割リング(又は遮蔽)導体702と、基板704の反対側の面に形成されたコイルアンテナ導体706と、RFIDチップ718とを含む電子レンジ対応RFIDタグデバイス700のさらなる実施形態を示す。電子レンジ対応RFIDタグデバイス700では、コイルアンテナ導体706が、コイルアンテナ導体706の中心部710と縁部712との間のHFブリッジ708として機能して、連続導体を13.56MHzでRFIDチップ706と共振させる。このブリッジ機能は、圧着接続714、又は貫通穴などの他の接続手段、或いは当業で周知の他のいずれかの好適な接続手段を使用して低抵抗(すなわち、10オーム)経路を設けることによって形成される。
【0037】
さらに、コイルアンテナ導体706は、10μm~100μmの、又は当業で周知の他のいずれかの好適なサイズの領域の狭い間隙716を含む。この狭い間隙716を使用して、コイルアンテナ導体706のコイルの巻線を隔離する。間隙716が狭いので、コイル巻線間の結合容量は、2.45GHzで低インピーダンスであり、コイルアンテナ導体706のコイルを2.45GHzで間隙のない固体リングのように見せてアーク放電を防ぐ。
【0038】
図8A~
図8Cに、ストラップ808に接続されたRFIDチップ806を含み、RFIDチップ806及びストラップ808がコイルアンテナ導体820上に配置され、RFIDチップ806及びストラップ808上に分割リング(又は遮蔽)導体802が形成された、電子レンジ対応RFIDタグデバイス800の実施形態を開示する。具体的に言えば、RFIDチップ806は、コイルアンテナ導体820の中心部814及び外縁部816にRFIDチップ806を接続(又は橋渡し)して共振回路をもたらすように設計された2つの線810及び2つのパッド812に接続される。このブリッジ(又は接続)機能は、圧着接続818、又は貫通穴などの他の接続手段など、或いはRFIDチップ806の2つの線810及び2つのパッド812と接続するための当業で周知の他のいずれかの好適な接続手段を使用することによって形成される。
【0039】
さらに、ストラップ808は、遮蔽ストラップ808を形成する頂部遮蔽金属被膜加工を含む。この遮蔽ストラップ808は、コイルアンテナ導体820上の連続導体として機能する。また、遮蔽導体802は、上述したような分割リング(又は間隙)804を含んでコイルアンテナ導体820上に配置され、リング(又は遮蔽)導体802の間隙804は、遮蔽ストラップ808及び容量結合によって2.45GHzにおいて短絡する。従って、この電子レンジ対応RFIDタグデバイス800は、分割リング遮蔽導体802に間隙804が存在する地点でコイルアンテナ導体820に電流が流入するのを防いでアーク放電を防ぐ。
【0040】
重要なこととして、RFIDチップ806上に含まれる「使用」期限又は「賞味」期限などのデータは、メーカーからの又は特定のユーザに関する他のデータと組み合わせて、異なる調理パラメータ、調理パラメータを上書きするのに必要な許可レベルなどを有効にすることができる。ユーザに関するデータは、以下に限定するわけではないが、アレルギー反応、調理時刻、ユーザの年齢などに関する情報を含むことができる。このデータ、並びにメーカーデータ及び/又は製品データは、特定のマイクロ波動作(例えば、解凍、加熱、再加熱、調理など)が許可されているかどうかを制御するように機能し、直接許可されていない場合には、ユーザからのさらなる動作を必要とする。このユーザによるさらなる動作は、パスワードの入力、RFIDカードの使用、近距離通信(NFC)対応電話の使用など、或いは措置を講じるための当業で周知の他のいずれかの好適な動作を含むことができる。
【0041】
具体的に言えば、この工程は、RFIDタグ800に読み取り又は質問を行い、RFIDタグ付き製品に関するデータを収集して分析することから開始することができる。RFIDタグ800の読み取り又は質問は、利用中の特定のRFIDリーダシステムに応じて、マイクロ波空洞の内部又は外部のいずれかで行うことができる。次に、この収集されたデータに基づいて、RFIDタグ800から読み取られたデータが、タグ付き製品が期限切れである(すなわち、その「使用」期限又は「賞味」期限を超えている)ことを示すかどうかを判定することができる。製品が期限切れでない場合には、マイクロ波工程を継続して、電子レンジコントロールパネルが、RFIDタグ付き製品に対する適切なマイクロ波機能(例えば、解凍、加熱、再加熱又は調理)を制御する。一方で、製品が期限切れである場合には、製品が危機的製品(critical product)であるかどうかをさらに判定することができる。製品が「危機的製品」であるかどうかは、あらゆる数のユーザ固有パラメータによって定めることができる。例えば、「危機的製品」は、ベビー用品、期限切れの場合に食中毒を引き起こしやすい製品などを含むことができる。製品が危機的製品でない場合、マイクロ波工程は、そのまま所望のマイクロ波機能(すなわち、解凍、加熱、再加熱、調理など)に進み、電子レンジコントロールパネルが所望のマイクロ波機能を制御することができる。
【0042】
例えば、RFIDタグ付き製品がその「賞味期限」を超えている(すなわち、期限切れである)が、(例えば、食中毒確率の低さに基づいて)例えば野菜などの危機的製品ではない場合、電子レンジは、そのまま所望のマイクロ波機能に進むことができる。この工程は、RFIDタグからの調理指示などの他のパラメータの有無にかかわらずに行うことができる。一方で、製品が期限切れであって危機的製品でもある場合には、手動での上書き又は何らかの形の検証を継続することが必要になり得る。例えば、製品が甲殻類又は離乳食などの危機的製品のカテゴリーに該当する場合、電子レンジは、排除を上書きするパスワードなどのさらなる許可を必要とする。アレルゲン含有食品の製品にも同じ工程が当てはまることができる。ユーザが、例えばピーナツアレルギーの人物が電子レンジを使用する可能性があると前以て定めていた場合、ピーナツを含むいずれかの製品を電子レンジに提示する際には高レベルの上書き(例えば、パスワード)が必要になり、場合によって警報が鳴る。
【0043】
別の態様は、ユーザの年齢に関連することができる。例えば、高レベルの砂糖シロップを含むものなどの、調理中に非常に高温になることを示す製品は、子供が食品を加熱しすぎてやけど又は熱傷を負うのを防ぐために、家庭内に子供がいるかどうかの上書きを必要とする。工程は、さらなる許可が行われた後にそのまま所望のマイクロ波機能(例えば、調理、解凍、加熱、再加熱など)に進み、電子レンジは、RFIDタグ付き製品に対するマイクロ波工程を制御する。上述したように、問題の危機的性質及び/又はユーザの特定のニーズに応じて異なる許可レベルを設定することができる。
【0044】
上述したように、RFIDタグ800は、何らかの形のセンサをさらに含むことができる。例えば、センサは、RFIDタグ付き製品が解凍されているか、冷蔵されているか、それとも冷凍されているかを示すことができる温度センサ、又は水分センサなどの当業で周知の他のいずれかのセンサなどとすることができる。電子レンジは、センサ状態及びRFIDデータに基づいて、RFIDタグ付き製品から読み取ったデータを利用して実施すべき適切なマイクロ波機能を選択するオーブンコントローラが決定した通りに(すなわち、例えば既に食品が解凍されているか、冷蔵されているか、それとも冷凍されているかに基づいて)適切な調理法を選択することができる。
【0045】
例えば、冷凍食品の場合には、センサからの出力を使用して、最初に1つのマイクロ波電力設定で食品を解凍し、その後に異なる電力設定で食品を調理するように電子レンジコントローラに指示することができる。或いは、食品が既に解凍されているとセンサが判断した場合には、センサ出力を使用して、解凍過程を迂回してそのまま調理過程に進むように電子レンジコントローラに指示することにより、この特定の用途では不要である解凍過程中に電子レンジを動作させるのに必要な時間とエネルギーの両方を節約することができる。
【0046】
また、RFIDタグ800から取得されたタグデータは、その特定の食品の正しい調理パラメータについての、オンラインウェブサービス又は外部データベースからの検索を引き起こすこともできる。具体的に言えば、電子レンジコントローラは、オンラインシステム/ウェブサービス又は外部データベースにユーザインターフェイスデータを送信して、食品に関する追加情報及びその調理方法を取得することができる。例えば、ウェブサービスは、食品をマイクロ波で最良に調理する方法についてのヒント、使用するのに適した電力設定、或いは食品がより良く調理、解凍、冷蔵又は冷凍されるかどうかなどの、食品に関する追加情報を提供することができる。次に、これらの調理パラメータを、例えば肉の調理状態、又は野菜、パンなどの所望の柔らかさなどの、いくつかの食品についてのユーザの好みと組み合わせることができる。この結果、オーブンコントローラは、ウェブサービス又は他の外部データベースからの調理パラメータとユーザの好みとを利用して、食品のマイクロ波調理過程を制御することができる。
【0047】
図9に、本発明の別の実施形態を示す。
図9には、上述した分割リングに対する遮蔽体の別の形態を示しており、図示のように、この別の形態は、コイル内の中心点からコイル外の空間に一連の線が放射状に広がる星形905である。線幅は、コイルの線に容量的に結合などの適切な結合をもたらすことにより、2.45GHzで短絡して間隙901間の空間において狭いアークの間隙を終端させるが、HFアンテナのコイル間に比較的低い結合をもたらして性能を維持するように形成される。間隙が、例えばλ/20又はそれよりも狭い、波長907の少ない割合に保持される場合、間隙と2.45GHzエネルギーとの間の相互作用が最小化される。星形上のアーム数は、必要な間隙終端レベルに応じて変化することができると理解されるであろう。
【0048】
上述した内容は、特許請求する主題の実施例を含む。当然ながら、特許請求する主題を説明する目的で部品又は方法の全ての考えられる組み合わせを説明することはできないが、当業者であれば、特許請求する主題の多くのさらなる組み合わせ及び並べ替えが可能であると認識することができる。従って、特許請求する主題は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に含まれる全てのこのような代替例、修正例及び変形例を含むように意図される。さらに、詳細な説明又は特許請求の範囲において「含む(includes)」という用語を使用する点について、このような用語は、特許請求の範囲において移行部として使用する際に解釈される「備える(comprising)」という用語と同様に包括的なものであるように意図される。