(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】共同防護シェルターのための小型NBCろ過システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20220309BHJP
A62B 11/00 20060101ALI20220309BHJP
A62B 13/00 20060101ALI20220309BHJP
A62B 23/04 20060101ALI20220309BHJP
E04H 9/06 20060101ALI20220309BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20220309BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20220309BHJP
F24F 8/95 20210101ALI20220309BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20220309BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
F24F7/06 B
A62B11/00
A62B13/00 Z
A62B23/04
E04H9/06
F24F7/06 D
F24F8/108 330
F24F8/80 125
F24F8/80 170
F24F8/80 260
F24F8/95
F24F13/02 B
F24F13/28
(21)【出願番号】P 2019502075
(86)(22)【出願日】2017-07-05
(86)【国際出願番号】 IL2017050747
(87)【国際公開番号】W WO2018015943
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-04-20
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504084199
【氏名又は名称】ベス-エル・ジクロン-ヤーコヴ・インダストリーズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BETH-EL ZIKHRON-YA’AQOV INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コエガー,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ジョナサン
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06328775(US,B1)
【文献】英国特許出願公告第00513699(GB,A)
【文献】英国特許出願公告第00985821(GB,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0079082(KR,A)
【文献】英国特許出願公開第00511258(GB,A)
【文献】西独国特許出願公開第3617593(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第3403197(DE,A1)
【文献】国際公開第2005/029506(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
A62B 11/00
A62B 13/00
A62B 23/04
E04H 9/06
F24F 8/108
F24F 8/80
F24F 8/95
F24F 13/02
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共同防護シェルターのための床面積節約型NBCろ過システムであって、NBCフィルタユニットと、電動送風機と、停電時の操作のための手動空気交換バックアップと、通常時又は
NBC災害以外の災害時に有効な換気モードとNBC災害時に有効なNBC防護モードとの間で前記NBCろ過システムの状態を切り換えるように構成された切換弁と、を備え、前記NBCろ過システムが、
シェルター居住者の範囲から外れた空間に固定的に収容され、
前記切換弁が、前記切換弁によって前記NBCろ過システムの状態を切り換えるための延ばされた状態セレクタハンドルの使用によって、前記シェルター居住者の前記範囲から遠隔で操作され、及び/又は、前記手動空気交換バックアップが、前記手動空気交換バックアップの操作のための人力インタフェース及び機械的リンク又は電気的リンクの使用によって、前記シェルター居住者の前記範囲から遠隔で操作される、床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項2】
前記人力インタフェースが前記手動空気交換バックアップに着脱可能に取り付けられ、前記手動空気交換バックアップが、停電の場合に前記人力インタフェースにアクセスするために、垂直下方に移動可能である、請求項1に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項3】
前記手動空気交換バックアップが、シザーリフト機構、垂直レール及びその上で移動可能なグライダー、並びに、スイベルアームからなる群から選択される移動機構によって、垂直下方に移動可能である、請求項2に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項4】
前記手動空気交換バックアップが、ドライブベルト、チェーン、駆動軸及び歯車、往復アームリンク機構、又は、前記列挙された選択肢の任意の組合せからなる群から選択される機械的動力伝達装置を通して、前記人力インタフェースによって遠隔で動かされる、請求項1に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項5】
前記人力インタフェースが、取り外し可能であり、通常時は取り外されて保管され、それにより、通常時、前記NBCろ過システムのための床面積を必要としない、請求項1に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項6】
前記手動空気交換バックアップが、前記人力インタフェースによって手動で回転する入力軸と、前記電動送風機を回転させるように係合される出力軸とを有する増速歯車を備える、請求項1に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項7】
前記手動空気交換バックアップが、前記電動送風機のための電力を生成するために、前記人力インタフェースによって手動で回転する発電機を備える、請求項1に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項8】
共同防護シェルターのための床面積節約型NBCろ過システムであって、NBCフィルタユニットと、電動送風機と、停電時の操作のための手動空気交換バックアップと、接続可能な可撓管であって、前記可撓管を互いに接続することによって通常時又は
NBC災害以外の災害時に有効な換気モードと、前記NBCフィルタユニットの入口及び出口に前記可撓管を接続することによってNBC災害時に有効なNBC防護モードとの間で前記NBCろ過システムの状態を切り換えるために構成される接続可能な可撓管と、を備え、前記NBCろ過システムが、
シェルター居住者の範囲から外れた空間に固定的に収容され、前記手動空気交換バックアップが、別個の手廻しクランク及び機械式動力伝達装置を使用して、遠隔で操作される、床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項9】
前記手廻しクランクが、使用中、前記手廻しクランクをしっかりと保持するために、一端では前記シェルターの壁に支持され、他端では取り外し可能な床スタンドで支持される、請求項8に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項10】
前記手廻しクランクが、適切な耐荷重の軸受を使用して、一端のみで前記シェルターの壁に取り付けられる、請求項8に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項11】
前記機械式動力伝達装置が、プーリを有するベルト駆動、スプロケットを有するチェーン駆動、傘歯車による駆動軸、及び、前記列挙された選択肢の任意の組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項12】
前記手廻しクランクが、取り外し可能であり、通常時は取り外して保管可能である、請求項8に記載の床面積節約型NBCろ過システム。
【請求項13】
共同防護シェルターのための空間節約型NBCろ過システムであって、前置フィルタと、微粒子フィルタ及び吸着フィルタを含むNBCフィルタユニットと、切換弁と、電動送風機と、人力インタフェースによって操作されるように構成された手動空気交換バックアップと、を備え、前記NBCろ過システムが、通常時又は
NBC災害以外の災害時には換気モードで、及び、NBC災害時にはNBC防護モードで機能し、前記前置フィルタが換気モード及びNBC防護モードの両方で使用され、一方、前記NBCフィルタユニットがNBC防護モードでのみ使用され、前記切換弁が、NBC防護災害時、前記NBCフィルタユニットを通る空気の向きを変えるために単一の状態セレクタハンドルによって切り換えられ、前記NBCフィルタユニットの入口及び出口が互いに近接して配置され、前記前置フィルタの出口が前記NBCフィルタユニットの前記入口及び出口に近接して配置され、前記切換弁がその間に配置され、空間節約型NBCろ過システム。
【請求項14】
前記電動送風機及び前記手動空気交換バックアップが、前記NBCフィルタユニットに取り付けられ、前記電動送風機に、前記切換弁の一次出口から空気を吸い込むために、小型曲りダクトが設けられる、請求項13に記載の空間節約型NBCろ過システム。
【請求項15】
前記NBCフィルタユニットが、前記前置フィルタの下で垂直に設置される、細長い形状であり、前記電動送風機及び手動空気交換バックアップが、前記NBCフィルタユニットに取り付けられる、請求項14に記載の空間節約型NBCろ過システム。
【請求項16】
前記切換弁が、前記前置フィルタの出口と流れ連通する一次入口と、前記NBCフィルタユニットの入口と流れ連通する二次出口と、前記NBCフィルタユニットの出口と流れ連通する二次入口と、前記電動送風機の吸込口と流れ連通する一次出口とを備える、請求項13に記載の空間節約型NBCろ過システム。
【請求項17】
前記切換弁が、2つのばね付勢フラップであって、前記一次入口及び前記一次出口が内部で接続されたバイパス状態から、前記一次入口が前記二次出口と内部で接続され、前記一次出口が前記二次入口と内部で接続されたNBCろ過状態に前記ばね付勢フラップの位置を変えるために、単一の状態セレクタハンドルによって同時に切り換えられる2つのばね付勢フラップを備える、請求項16に記載の空間節約型NBCろ過システム。
【請求項18】
前記バイパス状態において、前記ばね付勢フラップが、ガス、水分、及び粒子の侵入に対する前記NBCフィルタユニットの防護のための適切な密封性を有するエラストマーシールに対して押圧される、請求項17に記載の空間節約型NBCろ過システム。
【請求項19】
前記NBCろ過システムが、水平に配置される、請求項14に記載の空間節約型NBCろ過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共同防護シェルターのための空間及び床面積節約型核生物化学(NBC)ろ過システムに関し、より詳細には、居住定員が20~150人である共同防護シェルターのための空間及び床面積節約型NBCろ過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
イスラエルでは、オフィスビル、ショッピングモール、工業施設、娯楽施設などの公共建造物は、緊急時に使用するためのNBC防護空間を保持しなければならない。防護空間は、通常時は、他の定期的な目的のために使用してもよい。一般的な利用法は、重い家具を必要とせず、緊急事態の際、素早く片づけることができる会議室である。そのような建物における床面積の平方メートルあたりの高い費用のことからも、NBCろ過システムは最小限の空間を占めることが望ましい。大きな共同防護シェルターのための、現在利用可能なNBCろ過システムは、能力によって、1.5~4平方メートルの床面積を占めることがあり、それらの外観は魅力的でない。通常、現在のNBCろ過システムは、外観を改善して、汚損を回避するために、薄手の壁又はカーテンの背後に隠され、それにより、さらに多くの空間を消費する。
【0003】
そのような公共のNBCろ過システムは、前置フィルタと、微粒子フィルタ及び吸着フィルタから構成されるNBCフィルタユニットと、一定量の空気交換に適切な電動送風機とを含まなければならないことが規則では示されている。さらにまた、NBCろ過システムは、停電の場合の手操作のための手廻しクランクなどの、人力インタフェースによって操作される手動空気交換バックアップを有しなければならない。通常、手動空気交換バックアップは、手廻しクランクによって手動で回転する入力軸と、電動送風機を回転させるように係合される出力軸とを有する増速歯車を含む。手廻しクランクは、通常時は、空間を解放するために取り外し可能でもよい、しかしながら、NBC災害及び停電時に、手廻しクランクを都合よく作動させるために、システム全体が手の届く場所に見えるように用意されていなければならない。
【0004】
さらに、通常時又は従来の災害時に有効な換気モードと、NBC災害時に有効なNBC防護モードとの間でNBCろ過システム状態を切り換える必要がある。現在利用可能なシステムは、NBC警報の間のみ使用されるNBCフィルタユニットに対する、可撓管の取り外し及び再接続を必要とする。可撓管は場所をとり、それ以外の場合には商業目的のために使用される可能性がある手の届く場所に見えるように用意されていなければならない。さらにまた、ストレス下で可撓管を再接続することは、平均的な使用者には難しいことがある。共同シェルターのための現在利用可能なNBCろ過システムの例は、本出願人に対するイスラエル特許出願第235151号で見出すことができる。
【0005】
共同ろ過システムによって消費される空間を低減するために、独国特許第3403197号は、回転し、2つの位置(換気のための第1の位置及びろ過のための第2の位置)のうちの1つと適合することができる内部バイパスを有し、それにより、可撓管を除去するNBCフィルタを説明している。しかしながら、提案された内部換気バイパスはまったくろ過を行わないが、大きなNBCろ過システムでは、換気モードが少なくとも1つの前置フィルタを含むことが望ましい。さらに、比較的大きく重いフィルタを取り外し、上下反対に回転させて、再び取り付ける作業をストレス下で実行することは、平均的な使用者には難しいことがある。
【0006】
本出願人に対するイスラエル特許出願第214577号は、単一の操作のみで換気モードからNBCろ過モードに切り換えることができる、NBC空気ろ過システム内の双方向切換弁を説明している。切換弁は、その上に取り付けられる手動状態セレクタハンドルを有し、それにより、操作はより容易であるが、さらに、システム全体が手の届く場所に見えるように用意されていなければならない。
【0007】
さらに、切換弁は、換気モードがまったくろ過を行わない小さいシステムのために設計されたが、上記のように、大きなNBCろ過システムでは、換気モードが少なくとも1つの前置フィルタを含むことが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
よって、先行技術システムの欠点及び制限を克服し、床面積節約型及び一般的な空間節約型の、設置種類及び能力によって最大2平方メートルの床面積を占める、操作しやすい共同防護シェルターのためのNBCろ過システムを提供することが、本発明の主目的である。提供されるシステムは、より良好な外観も特徴とする。
【0009】
これらの及び他の主題は、少なくとも1つのNBCフィルタユニットと、電動送風機と、通常時又は従来の災害時に有効な換気モードとNBC災害時に有効なNBC防護モードとの間でNBCろ過システム状態を切り換えるための手段とを備える、共同防護シェルターのための床面積節約型NBCろ過システムを提供することにより、本発明によって実現される。本発明によると、NBCろ過システムは、シェルター居住者の快適な範囲から外れた空間に収容され、それにより、使用可能な床面積を節約する。一方、NBCろ過システム状態を切り換えるための手段は、シェルター居住者の快適な範囲内の位置から操作される。
【0010】
NBCろ過システムは、停電時の操作のための、手廻しクランク又は足踏みペダルなどの人力インタフェースを含む、手動空気交換バックアップをさらに備えてもよい。人力インタフェースは、シェルター居住者の快適な範囲内の位置から操作される。
【0011】
任意選択的に、共同防護シェルターのための空間節約型NBCろ過システムは、少なくとも1つの前置フィルタと、微粒子フィルタと吸着フィルタとを含むNBCフィルタユニットと、切換弁と、電動送風機と、人力インタフェースによって操作される手動空気交換バックアップとを備える。NBCろ過システムは、通常時又は従来の災害時には換気モードで、及び、NBC災害時にはNBC防護モードで機能する。前置フィルタは換気モード及びNBC防護モードの両方で使用され、一方、NBCフィルタユニットはNBC防護モードでのみ使用される。切換弁は、NBC防護災害時、NBCフィルタユニットを通る空気の向きを変えるために切り換えられる。本発明によると、NBCフィルタユニット入口及び出口は互いに非常に近接して配置され、前置フィルタ出口はNBCフィルタユニット入口及び出口に近接して配置され、切換弁はその間に配置される。結果として、先行技術の場所をとる可撓管に取って代わる切換弁により、簡単な操作及び空間の節約がもたらされる。
【0012】
本発明、及び本発明を実際に実行することができる方法は、非限定的な例としてのみ、以下の説明のための図を参照して理解され、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1a】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、システムは垂直に取り付けられている。
【
図1b】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、システムは垂直に取り付けられている。
【
図2】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、システムは、電動送風機及び手動空気交換バックアップ以外は、平均的な人の高さより高い位置に水平に取り付けられている。
【
図3】
図2の線A-Aに沿ってとられたNBCフィルタユニット及び切換弁を通る縦断面図である。
【
図4a】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、システム全体は平均的な人の高さより高い位置に取り付けられているが、その上に取り付けられる電動送風機及び手動空気交換バックアップを含むNBCフィルタユニットは、いくつかの機構を使用して低くすることができる。
【
図4b】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、システム全体は平均的な人の高さより高い位置に取り付けられているが、その上に取り付けられる電動送風機及び手動空気交換バックアップを含むNBCフィルタユニットは、いくつかの機構を使用して低くすることができる。
【
図5a】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、手動空気交換バックアップは遠隔で動かされる。
【
図5b】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、手動空気交換バックアップは遠隔で動かされる。
【
図5c】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、手動空気交換バックアップは遠隔で動かされる。
【
図6a】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、システム全体は平均的な人の高さより高い位置に取り付けられ、システム状態は、折り曲げ可能なスツールを用いた可撓管の再接続によって設定される。
【
図6b】本発明の実施形態によって作られるNBCろ過システムの斜視図であり、システム全体は平均的な人の高さより高い位置に取り付けられ、システム状態は、折り曲げ可能なスツールを用いた可撓管の再接続によって設定される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面に関して、実施形態のそれぞれの背後に示される破線は、共同防護シェルターの壁の隅部を示す。本発明の1つの実施形態によると、共同防護シェルターのための、全体が10で示された、空間及び床面積節約型NBCろ過システムが
図1aに示されている。NBCろ過システムは、任意選択の前置フィルタ12と、通常は微粒子フィルタ(
図3の11)と吸着フィルタ(
図3の13)とを含むNBCフィルタユニット14と、電動送風機15と、任意選択の手動空気交換バックアップ17とを備える。手動空気交換バックアップ17は、停電時に電動送風機15を動かすために、取り外し可能な手廻しクランク24又は足踏みペダル(図示せず)などの人力インタフェースを使用して操作される。通常時又は従来の災害時に有効な換気モードと、NBC災害時に有効なNBC防護モードとの間でNBCろ過システム10状態を切り換えるための、切換弁26などの手段が設けられる。前置フィルタ12は換気モード及びNBC防護モードの両方で使用され、一方、NBCフィルタユニット14はNBC防護モードでのみ使用される。切換弁26などのNBCろ過システム10状態を切り換えるための手段は、以下で説明されるように、NBC防護災害時、NBCフィルタユニットを通る空気の向きを変えるために、状態セレクタハンドル28によって切り換えられる。
【0015】
図1aに示されるように、電動送風機15は、(部分的に示された)可撓管32によって、切換弁26と空気流連通する独立したユニットとして構成される。同じ主要なシステム構成が
図1bにも示される、しかしながら、
図1bの電動送風機16は、NBCフィルタユニット14に固定的に取り付けられた小型構成要素として構成されている。電動送風機16は、小型の堅固な曲りダクト34を通して、切換弁26と空気流連通する。NBCろ過システムの前方の
図1bの破線は、NBCろ過システムを視覚的に隠し、さらに、分割壁を除去することなく操作を可能にする分割壁を表す。
【0016】
さらに、
図1bを参照すると、空間及び床面積の減少は、当該技術分野において知られている、壁に埋め込まれた通気管(図示せず)にフランジ40によって取り付けられた前置フィルタ12の下で垂直に設置される、好ましくは細長いNBCフィルタユニット14によって実現される。手動空気交換バックアップ18を有する電動送風機16は、平均的な身長の人による使用に適切な高さに配置されるNBCフィルタユニット14に取り付けられ、それにより、取り付けられた人力インタフェース、たとえば、手廻しクランク24は、さらなる調整なしに、停電時、容易に使用することができる。垂直に設置されたときのNBCフィルタユニット14の細長い直方体形状の小さい断面のために、利用される床面積利用は非常に小さい。
図1bの構成においてシステムによって消費される床面積は、約0.5平方メートルである。
【0017】
任意選択的に、
図1b及び
図2を参照すると、NBCろ過システム10は、シェルター居住者の快適な範囲から外れた空間に収容されてもよく、それにより、使用可能な床面積を節約する。NBCの非常事態の際の容易な操作のために、NBCろ過システム状態を切り換えるための手段は、シェルター居住者の快適な範囲内の位置から遠隔で操作される。たとえば、NBCろ過システム10を収容する空間は、
図2に示される平均的な人の高さより高い位置に配置されてもよく、
図1bの破線で示されるような分割壁の背後に配置されてもよく、又は、密封された安全な機器区画に閉じ込められてもよい。
【0018】
NBCろ過システム状態を切り換えるための手段は好ましくは、切換弁26である、しかしながら、可撓管ねじり機構、又はNBCフィルタユニットの再配置などの他の手段も可能であり、
図6a及び
図6bに関して以下で説明されるように、本発明の範囲に属する。
【0019】
切換弁26の状態セレクタハンドル28は、シェルター居住者の快適な範囲内の位置からの上記のような切換弁状態の遠隔切換のために、
図1bに示される分割壁の前、又は、
図2に示される平均的な身長の人の腕の高さなどまで延ばされてもよい。
【0020】
図2を参照すると、前置フィルタ12の形状は円筒形であり、共同防護シェルターの外部コンクリート壁に埋め込まれた通気管にフランジ40によって固定される。NBCフィルタユニット14は、好ましくは、しかし必ずしもそうではないが、細長い直方体形状を受け入れ、通気管の高さで水平に構成される。通気管及びフランジ40は、平均的な人の高さよりも高い位置に配置されてもよく、それにより、前置フィルタ12及びNBCフィルタユニット14の下の空間は、日常的な使用に利用可能である。
【0021】
たとえ、何かの理由で、通気管が平均的な人の高さより低い位置に配置される場合でも、さらに、他のシステム部品は、高さアダプタ管(図示せず)を設けることによって、平均的な人の高さより上に配置されてもよい。
【0022】
上記の手動空気交換バックアップ18は、停電時に電動送風機16が有効でないとき、新鮮な空気をシェルターに押し込むためのものである。
図2に示されるように、手動空気交換バックアップは、手廻しクランク24などの人力インタフェースによって操作される。NBCろ過システムは、平均的な人の高さより高い位置、又は、分割壁の背後に配置されてもよいが、手廻しクランク24などの人力インタフェースは、平均的な身長の人による使用に適切な高さの到達可能位置などの、シェルター居住者の快適な範囲内の位置から操作される。
図2に示される選択肢によって、空気交換バックアップ18及び手廻しクランク24などの人力インタフェースを有する電動送風機16は、平均的な身長の人による使用に適切な高さで、NBCフィルタユニット14の下に固定的に配置される。可撓管42は、電動送風機16と切換弁26との間の空気流を可能にする。
【0023】
さらに、
図2を参照すると、NBCろ過システム10が平均的な人の高さより高い位置に組み立てられるとき、切換弁26は、平均的な身長の人の腕の高さがほぼ到達可能な位置に配置される機械的又は電気的手段によって手動で切り換えられる。
図2に示されるように、機械的手段は、切換弁26に連結される延長軸44の端部に取り付けられる回転有能なノブ又は状態セレクタハンドル28である。機械的又は電気的手段は多くの異なるリンク機構システムを認めてもよく、それらはすべてが本発明の範囲に属することが理解されよう。
【0024】
図3を参照すると、
図2の線A-Aに沿ってとられた、NBCフィルタユニット14及び切換弁26を通る断面が示されており、空気流路及び切換弁方向フラップ72を示す。本発明の1つの態様を実現するために、NBCフィルタユニット14は好ましくは、細長い直方体形状を受け入れ、入口52及び出口54はその両方が、互いに非常に近接してNBCフィルタユニット14の一端に配置され、前置フィルタ出口56は、NBCフィルタユニット入口52及び出口54に近接して配置され、切換弁26はその間に配置され、結果として、状態セレクタハンドル(
図2の28)による切換弁26の簡単な操作、及び、先行技術の場所をとる交換可能な可撓管に取って代わる切換弁による空間の節約がもたらされる。
【0025】
切換弁26は好ましくは、断面が四角形であり、それぞれ、貫通路74を有する斜壁49によって分離される、第1及び第2の角柱状容積57、59を備える。切換弁26は、可撓管61によって前置フィルタ出口56と流れ連通する一次入口60と、NBCフィルタユニット入口52と流れ連通する二次出口53と、NBCフィルタユニット出口54と流れ連通する二次入口55と、可撓管42又は曲りダクト34(
図1b)によって電動送風機16の吸込口と流れ連通する一次出口58とをさらに備える。切換弁は、単一の状態セレクタハンドル28(
図1a及び
図2)によって同時に切り換えられる2つのばね付勢フラップ72をさらに備え、一次入口60及び一次出口58が流路74を通して内部で接続された、
図3に示されるようなバイパス状態から、一次入口60が第1の角柱状容積57を通して二次出口53と内部で接続され、一次出口58が第2の角柱状容積59を通して二次入口55と内部で接続され、流路74がフラップ72によって遮断された、NBCろ過状態に位置が変わる。
【0026】
通常時及び従来の災害時さえ、フラップ72の初期位置はバイパス状態であり、フラップは、NBCフィルタユニット14の入口52及び出口54のまわりに配置されたエラストマーシール78に対して押圧されている。シール78は、ガス、水分、及び粒子の侵入に対するNBCフィルタユニットの防護のための適切な密封性を有する。NBC災害時、切換弁状態は、フラップ72が流路74のまわりでエラストマーシール78に対して押圧されるように切り換えられ、それにより、バイパス経路は閉じられ、空気は、電動送風機16によって、NBCフィルタユニット14の入口52から、微粒子フィルタ11及び吸着フィルタ13を通して、NBCフィルタユニット14の出口54の方に押し戻される。
【0027】
図4a及び
図4bを参照すると、手動空気交換バックアップ18及びその上に取り付けられた手廻しクランク24などの人力インタフェースを有する電動送風機16が、NBCフィルタユニット14に取り付けられ、切換弁26の一次出口58(
図3)から空気を吸い込むための小型曲りダクト34を有する。NBCろ過システム10が平均的な人の高さよりの高い位置に組み立てられるとき、手動空気交換バックアップ18及びその上に取り付けられた手廻しクランク24などの人力インタフェースを有するその上に取り付けられた電動送風機16を含むNBCフィルタユニット14は、停電の場合に手廻しクランク24などの人力インタフェースにアクセスするために、垂直下方に移動可能であってもよい。移動機構は、シザーリフト機構82(
図4a)、垂直レール84及びその上で移動可能なグライダー(
図4b)、スイベルアーム(図示せず)、又は、任意の他の機構を含んでもよい。空気流路の連続性を完全なものにするために、可撓性延長管85が、前置フィルタ12の出口56と切換弁26の一次入口60との間に取り付けられる。
【0028】
図4aに示されるように、シザーリフト機構82には、望ましい高さに手動で移動させる間、NBCフィルタユニット14及び取り付けられた構成要素の重量のバランスをとるために、ガススプリングシリンダ86又は普通のばねが設けられてもよい。任意選択的に、シザーリフト機構82、さらに、
図4bに示されるレール84機構に関して、NBCフィルタユニットは、鋼線ロープの他端に懸架されたカウンターウェイトを有する、定滑車のまわりで湾曲した鋼線ロープと結ばれてもよい。望ましい高さでシステムを係止するために、係止機構が設けられてもよい。
【0029】
同様に、NBCろ過システム10全体が平均的な人の高さよりの高い位置に組み立てられるとき、手動空気交換バックアップ18及びその上に取り付けられた手廻しクランク24などの人力インタフェースを有する電動送風機16のみが、停電の場合に手廻しクランク24などの人力インタフェースにアクセスするために、垂直下方に移動可能であってもよいことが理解されよう。移動機構は、
図4a及び
図4bに関して上で言及されたのと同じ選択肢を採用してもよい。
【0030】
手動空気交換バックアップが平均的な人の高さより高い位置に配置されたNBCろ過システムを操作するさらに別の選択肢が
図5a~
図5cに示され、ここで、手廻しクランク94又は24(
図5c)又は足踏みペダル(図示せず)などの人力インタフェースは、手が届かないNBCろ過システムに、機械的又は電気的に遠隔に連結されている。
図5a及び
図5bに示されるように、手動空気交換バックアップは、平均的な身長の人による使用に適切な高さに独立したユニットとして配置された任意選択の二重クランク手廻しクランク94によって、遠隔で動かされる。手廻しクランク94は、使用中、手廻しクランク94をしっかりと保持するために、一方側では壁に支持され、任意選択的に、他方側では取り外し可能な床スタンド92で支持される。任意選択的に、手廻しクランク94は、床スタンド92を必要としないように、適切な耐荷重の軸受のみ使用して壁に取り付けられる可能性がある。動力は、
図5aに示されるように、手廻しクランク94及び電動送風機16の軸上に取り付けられたプーリ又はスプロケット98とともに、ドライブベルト又はチェーン96などの機械的動力伝達手段を通して伝達される。
【0031】
図5bに示される別の機械的リンクの選択肢は、駆動軸95、並びに、手廻しクランク94及び駆動軸95の下端の端部とともに駆動軸95の上端及び電動送風機軸(図示せず)に取り付けられた傘歯車99の対である。列挙した選択肢又は他の機械的手段の任意の組合せを使用することができ、すべてが本発明の範囲に属することが理解されよう。さらに別の機械的リンクの選択肢は、往復アームリンク機構(図示せず)である。
【0032】
通常、手動空気交換バックアップ18は、手廻しクランク24又は足踏みペダル(図示せず)などの人力インタフェースによって手動で回転する入力軸と、電動送風機を回転させるように係合される出力軸とを有する増速歯車を含む。任意選択的に、
図5cに示されるように、発電機69が手動空気交換バックアップとして機能してもよく、増速歯車にとって代わってもよい。発電機69は、平均的な身長の人による使用に適切な高さでシェルター壁に固定され、手廻しクランク24又は足踏みペダル(図示せず)などの人力インタフェースによって操作されて、ケーブル70で電動送風機16に伝送される電力を生成する。発電機を使用する利点は、増速歯車の除去、及び、シェルター居住者の快適な範囲内の位置からワイヤケーブルのみを使用して発電機を遠隔で動かすことの容易さであり、一方、NBCろ過システムは、シェルター居住者の快適な範囲から外れた、たとえば、平均的な人の高さより高い空間に収容される。
【0033】
図4a~
図5cに関して説明された上記の選択肢において、NBCフィルタユニットは好ましくは、通気管の高さで水平に配置される細長い直方体形状を受け入れ、それにより、通気管が平均的な人の高さより上に取り付けられるとき、又は、高さアダプタ管が上記のように設けられるとき、NBCろ過システム全体が平均的な人の高さより上に配置される。よって、NBCろ過システム10全体の下の空間は、通常時の日常的な使用に利用可能である。それらの開示された実施形態については、実際に、通常時は、NBCろ過システムのための床面積を必要としないことが理解されよう。床面積は、上で説明された方法のうちの1つを使用する、手動空気交換バックアップ18又は69の手廻しクランク94若しくは24又は足踏みペダル(図示せず)などの人力インタフェースの操作のために、停電時のみ必要である。取り外し可能な床スタンド92(
図5a及び
図5b)は、通常時は取り外して、非常用専用空間に保管されてもよい。
【0034】
上記のように、NBCろ過システム状態を切り換えるための手段は好ましくは、切換弁26である、しかしながら、他の手段も可能であり、本発明の範囲に属する。たとえば、
図6a及び
図6bは、切換弁がなく、平均的な人の高さより高い位置に配置されるNBCろ過システムを示す。2本の接続可能な可撓管62、64が設けられ、通常時又は従来の災害時は互いに接続され(
図6a)、それにより、空気は、前置フィルタ12から直接、シェルター空間に、電動送風機16によって吸い込まれる。NBC災害時、シェルター居住者は、その上に立つために、固定された又は折り曲げ可能なスツール66を使用して、
図6bに示されるように、管62がNBCフィルタユニット14の出口58(
図3)に接続され、管64がNBCフィルタユニット14の入口60(
図3)に接続されるように、可撓管の向きを変えてもよい。
【0035】
上で説明されて、添付図面に示される本発明の特定の実施形態は、単に例示のためだけに示されていることが理解されるであろう。本発明の他の変形、修正、及び応用を、当業者は容易に思いつくであろう。したがって、すべてのそのような変形が本発明の範囲及び精神内と考えられることが明らかになった。よって、本明細書で求められる防護は、以下の特許請求の範囲に記載される。