(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】工作機械用装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20220309BHJP
B23B 27/00 20060101ALI20220309BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20220309BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20220309BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220309BHJP
H02J 50/30 20160101ALI20220309BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20220309BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220309BHJP
H02J 50/05 20160101ALI20220309BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
B23B27/00 D
B23Q17/24 Z
B23Q17/09 A
H02J50/10
H02J50/30
H02J50/20
H02J7/00 301D
H02J50/05
B23Q3/155 F
(21)【出願番号】P 2020124720
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2021-01-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】山本 一之
【審査官】中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146805(JP,A)
【文献】特開2010-273226(JP,A)
【文献】特開2005-150963(JP,A)
【文献】特開2010-054399(JP,A)
【文献】特開2020-003391(JP,A)
【文献】特開2018-103286(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0297906(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00 -17/24
B23B 27/00
B23B 29/12
B23Q 3/155-3/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械制御装置によって制御される工作機械の取付部に自動交換装置によって着脱可能な工作機械用装置であって、
データを生成するデータ生成部と、
前記データ生成部で生成されたデータを情報処理装置に送信する第1通信部と、
前記第1通信部を起動し制御する第1制御部と、
前記情報処理装置との間で常時通信可能な第2通信部と、
前記第2通信部に対して電力を供給するバッテリと、
前記第2通信部が前記情報処理装置から起動指令を受け取った場合に、前記第1制御部に対して前記バッテリから電力を供給し、前記第1制御部を起動する第2制御部と、
外部から供給された電力を受電し、前記第2制御部に対して伝達する受電部と、
前記工作機械制御装置から、前記情報処理装置に対して起動指令が出力され、前記工作機械に対して前記自動交換装置を用いた前記工作機械用装置の取り付け指令が出力された場合、
前記第2通信部は、前記情報処理装置を介して前記起動指令を受け取ると、前記自動交換装置によって前記取付部に前記工作機械用装置が取り付けられるまでに、前記第1制御部を起動して、前記第1通信部と前記情報処理装置との間の通信を確立させる工作機械用装置。
【請求項2】
前記取付部は、前記工作機械の主軸であり、
前記バッテリは、前記第2通信部に対して、常時、電力を供給し、
前記第1通信部は、前記情報処理装置に対して、大容量リアルタイム通信を行い、
前記第2通信部は、前記情報処理装置との間で、省電力低速通信を行う、請求項
1に記載の工作機械用装置。
【請求項3】
前記第1通信部は、Wi
-Fi(登録商標)、LTE(登録商標)、Flash-OFDM(登録商標)、第4世代移動通信システム(4G)、第5世代移動通信システム(5G)およびiBurst(登録商標)の少なくともいずれか1つの通信規格を利用して通信を行い、
前記第2通信部は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、UWB、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)(登録商標)、ANT(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、Z-wave(登録商標)、Wireless HART(登録商標)、およびEnOcean(登録商標)の少なくともいずれか1つの通信規格を利用して通信を行う、請求項
1または2に記載の工作機械用装置。
【請求項4】
前記受電部は、前記取付部に前記工作機械用装置が取り付けられた状態で、前記取付部に設けられた送電部から電力供給を受け、
前記受電部は、前記送電部から無接点で電力供給を受け、
前記受電部は、前記送電部から、電磁誘導方式、磁界共振方式、環状ソレノイド方式、エバネッセント波方式、レーザ方式、電解結合方式、およびマイクロ波方式の少なくともいずれか1つの方式により無接点電力供給を受ける、請求項1~
3のいずれか1項に記載の工作機械用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、本体部12とコレットチャック18とによって構成され、本体部12の先端は、内蔵する非接触式センサが出射したレーザ光LをワークWに照射するための発光窓14と、ワークWの表面で反射したレーザ光(反射光)Rを受光するための受光窓16と、を有し、本体部12の後端には、マシニングセンタの工具マガジンに収容されている各工具が備えるコレットチャックと同じ形状を有するコレットチャック18が取り付けられているセンサヘッド10が開示されている。このセンサヘッド10は、二次電池106と無線LANユニット102とを備え、ワークWとの距離に関する測定情報を含んだ測定データを無線通信によって送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、スリープ状態からの復帰のトリガーを「振動」としているため、機構が複雑になり、誤動作による復帰も発生しやすい。これにより、二次電池106の残量が少なくなり、スリープ状態から復帰できなくなる場合が生じる恐れがあった。一方、二次電池106を大型化すると、センサヘッド自体も大型化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る一の装置は、
工作機械制御装置によって制御される工作機械の取付部に自動交換装置によって着脱可能な工作機械用装置であって、
データを生成するデータ生成部と、
前記データ生成部で生成されたデータを情報処理装置に送信する第1通信部と、
前記第1通信部を起動し制御する第1制御部と、
外部から供給された電力を受電し、前記第1制御部に対して伝達する受電部と、
前記情報処理装置との間で常時通信可能な第2通信部と、
前記第2通信部に対して電力を供給するバッテリと、
前記第2通信部が前記情報処理装置から起動指令を受け取った場合に、前記第1制御部に対して前記バッテリから電力を供給し、前記第1制御部を起動する第2制御部と、
前記工作機械制御装置から、前記情報処理装置に対して起動指令が出力され、前記工作機械に対して前記自動交換装置を用いた前記工作機械用装置の取り付け指令が出力された場合、
前記第2通信部は、前記情報処理装置を介して前記起動指令を受け取ると、前記自動交換装置によって前記取付部に前記工作機械用装置が取り付けられるまでに、前記第1制御部を起動して、前記第1通信部と前記情報処理装置との間の通信を確立させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、工作機械の取付部に着脱可能かつ、データ送信可能な工作機械用装置においてバッテリの小型化またはバッテリの小容量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る工作機械用装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】第2実施形態に係る工作機械システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】第2実施形態に係る工作機械システムの構成を示す外観図である。
【
図4】第2実施形態に係る工作機械システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】第2実施形態に係る工作機械システムの消費電力およびバッテリ残量の変化を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態としての工作機械用装置100について、
図1を用いて説明する。工作機械用装置100は、工作機械110の工作機械用装置取付部(以降単に取付部と称す)111に着脱可能な装置である。
【0010】
工作機械用装置100としては、例えば、カメラ、測定装置、レーザスキャナ、振動や温度などをセンシングするセンサを備えたインテリジェント工具、レーザなどの光源などが挙げられる。
【0011】
工作機械用装置取付部111としては、例えば、工具取付部としての工作機械の主軸、マガジンのポット、刃物台、工作機械のカバーの固定部、工作機械の側壁の固定部などが挙げられる。
【0012】
図1に示すように、工作機械用装置100は、データ生成部101と、通信部102,103と、制御部104,105と、受電部106と、バッテリ107とを備える。
【0013】
データ生成部101は、データを生成するユニットである。通信部102は、データ生成部101で生成されたデータを情報処理装置120に送信する。
【0014】
制御部104は、通信部102を起動し制御する。受電部106は、外部から供給された電力を制御部104に対して伝達する。通信部103は、情報処理装置120との間で常時通信を行う。バッテリ107は、通信部103に対して蓄積した電力を供給する。
【0015】
制御部105は、通信部103が情報処理装置120から起動指令を受け取った場合に、制御部104に対して電力を供給し、制御部104を起動する。
制御部104に供給される電力は、バッテリ107から供給されてもいいし、別体の他のバッテリから供給されてもよい。さらに、外部からのワイヤレス電力伝送で供給される電力でもよい。
【0016】
本実施形態の構成によれば、常時通信可能な通信部103を介して起動指令を受け取ったことをトリガーにして、制御部104を起動し、通信部102をも起動できるため、工作機械用装置100に設けられた取付部108を、工作機械110の取付部111に取り付けた直後から工作機械用装置100を使用してデータを情報処理装置120に送信できる。
【0017】
[第2実施形態]
次に第2実施形態に係る工作機械システム200について、
図2以降を用いて説明する。
図2は、工作機械システム200の機能構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、工作機械システム200は、工作機械201と、工作機械用装置としての一例であるATC(Auto Tool Changer)カメラ202と、外部制御装置203とNC(Numerical Control)装置204と、を備えている。
【0019】
工作機械201は、アクチュエータ(軸駆動アクチュエータ、スピンドル駆動アクチュエータ、ツール交換アクチュエータ、ワーク/パレット交換アクチュエータ、冷却機構アクチュエータ、チップ搬送アクチュエータ等)と、センサ(温度センサ、振動センサ、衝突センサ、光センサ、タッチセンサ等)を含み、プログラム制御されている。
【0020】
NC装置204は、内部に数値コントローラ(NC)とプログラマブルロジックコントローラ(PLC)とを有する。PLCは、PLCレジスタ等に格納されている内部PLC制御ロジックとセンサやNCから受信したデータまたは信号とに基づいて工作機械201の複数のアクチュエータを制御する。NCは、ユーザ入力と手動または自動で生成されたNCプログラム(加工プログラム)とセンサから受信したデータまたは信号とに基づいて、複数のアクチュエータおよびPLCを制御する。
【0021】
工作機械201は、工具取付部の一例としての主軸211と、主軸211から工作機械用装置の一例としてのATCカメラ202に大容量外部電源の電力を供給する主軸送電部212と、工具マガジン213とを備える。ここでは一例として工具マガジン213を示しているが、工具タレットでもよい。
【0022】
工作機械用装置の一例としてのATCカメラ202は、取付部229を介して工作機械201の主軸211および工具マガジン213に着脱可能である。ATCカメラ202は、データ生成部としての撮像部221と、通信部222と、制御部としての高性能CPU(Central Control Unit)224とをメインユニットとして備えている。
【0023】
また、ATCカメラ202は、通信部223と、電力制御部225と、バッテリ227と、省電力CPU228とを、サブユニットとして備えている。
【0024】
さらにATCカメラ202は、主軸送電部212から非接触で電力供給(ワイヤレス電力伝送)を受ける主軸受電部226を備えている。
【0025】
ここでは、工作機械用装置としてATCカメラを例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、測定装置、レーザスキャナまたはインテリジェント工具を工作機械用装置として装着してもよい。例えばATCカメラの場合、データ生成部としての撮像部221は、画像データまたは映像データを生成する。これが測定装置の場合には、測定データとして、温度データや振動データや歪データなどを、レーザスキャナの場合には、スキャニングデータを生成する。インテリジェント工具とは、ワークの加工中に工具の加工抵抗や振動や工具温度などをセンシングするセンサを備えたセンサ内蔵工具であり、その場合、センサで検知したデータを生成する。
【0026】
撮像部221は、工作機械201の内部を撮像する。撮像された画像は、例えば切屑の位置や量を検知するために用いられる。
【0027】
通信部222は、撮像部221で生成された画像データを情報処理装置としての外部制御装置203に送信する。外部制御装置203は例えば工作機械201に付随して設けられたコンピュータである。外部制御装置203は、通信部232,233と、制御部234とを含む。通信部223と通信部233との間は、省電力低速通信方式で常時接続されている。つまり、通信部223は、外部制御装置203との間で常時通信を行う。省電力低速通信方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、UWB、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)(登録商標)、ANT(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、Z-wave(登録商標)、Wireless HART(登録商標)、およびEnOcean(登録商標)の少なくともいずれか1つの通信規格を採用すればよい。920MHz帯の省電力無線を利用してもよい。消費電力が0.01W以上0.60W以下であるか、または、ピーク消費電流が20mA以下である通信方法が好ましい。このような通信方法として、例えば、消費電力が0.01W以上0.50 W以下であり、ピーク消費電流が15mA以下であるBluetooth Low Energy(登録商標)の通信規格がある。
【0028】
インテリジェント工具制御部234は、NC装置204から起動指令を受け取ると、通信部233および通信部223を介して、電力制御部225に対して、メインユニットの起動を指示する。
【0029】
電力制御部225は、通信部223が外部制御装置203から起動指令を受け取った場合に、電力制御部225に対してバッテリ227の電力を供給し、メインユニット(つまり高性能CPU224)を起動する。高性能CPU224は、通信部222を起動し制御する。
【0030】
バッテリ227は通信部223に対しては、蓄積した電力を常時供給している。
【0031】
通信部222は、ガイズ制御装置に対して、大容量リアルタイム通信を行う。大容量リアルタイム通信としては、第4世代移動通信システム(4G)、第5世代移動通信システム(5G)、Wi-Fi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)、Flash-OFDM(登録商標)、およびiBurst(登録商標)の少なくともいずれか1つの通信規格を利用すればよい。また、大容量リアルタイム通信は、4Gや5G以外の公衆回線通信網を利用した通信でもよい。
【0032】
主軸受電部226は、主軸送電部212から供給された電力を電力制御部225に対して伝達する。
【0033】
主軸受電部226は、主軸211にATCカメラ202が取り付けられた状態で、主軸211に設けられた主軸送電部212から電力供給を受ける。主軸受電部226は、主軸送電部212から無接点で電力供給を受ける。主軸受電部226は、主軸送電部212から、電磁誘導方式、磁界共振方式、環状ソレノイド方式、エバネッセント波方式、レーザ方式、電解結合方式、およびマイクロ波方式の少なくともいずれか1つの方式により無接点電力供給を受ける。主軸受電部226は、主軸送電部212から、Qi(登録商標)規格による電力供給を受けてもよい。
【0034】
通信部223は、主軸211にATCカメラ202が取り付けられる前に、外部制御装置203から起動指令を受け取り、主軸211にATCカメラ202が取り付けられるまでに、メインユニットを起動して、通信部222と外部制御装置203との間の通信を確立させる。
【0035】
ATCカメラ202が工作機械201の工具マガジン213のツールホルダに装着され、外部からの電力供給を受けない状態で、少なくとも1ヶ月間、望ましくは2ヶ月以上、通信部223による連続通信を実現する容量をバッテリ227が備えている。
【0036】
外部制御装置203は、ここでは、工作機械201の外部に設けられた例を示すが、内部に設けられてもよい。外部制御装置203は、NC装置204から、起動指令を受け取ると、その起動指令を通信部223に送信する。メインユニット、つまり高性能CPU224は、起動と同時に、通信部222を起動して、通信を確立する。
【0037】
ATCカメラ202と外部制御装置203とで情報処理システムを構成する。
【0038】
図3は、工作機械システム200の外観図である。
図3では、工作機械201が立形のマシニングセンタである場合の例を示しているが、これに限定されない。工作機械201としては、数値制御装置で数値制御された工作機械であれば、例えば、フライス機械、旋盤、旋削/フライス機械、フライス/旋削機械、ターニングセンタ、マシニングセンタ、複合加工機でもよい。さらに、工作機械は、金属粉末の付加加工などの付加加工機(Additive Manufacturing Device)でもよい。
【0039】
工作機械201は、ベッド301と、ベッド301上に立設されたコラム302と、コラム302に支持され、上下方向に移動可能な主軸頭303とを備えている。また、工作機械201は、主軸頭303によって、回転自在に支持された主軸304と、主軸304の下方のベッド301上に配設されたテーブル305と、主軸304を回転させる主軸回転駆動機構と、主軸頭303の側方に配設された工具マガジン213とを備える。工作機械201は、工具マガジン213の下端部に設けられ、主軸304に取り付けられた工具306と工具マガジン213の工具収納部に格納されたATCカメラ202とを交換する工具交換アーム307とを含む。
【0040】
送り機構308に動作指令を送信して、この送り機構308によって主軸頭303とともに主軸304の移動を開始し、工具交換アーム307を正方向に90°回転させ、工具202と工具306とを把持した後、工具交換機構307を逆方向に180°回転させて、ATCカメラ202を主軸304に取り付けるとともに、工具306を工具収納部に保持させる。
【0041】
以上のように、工作機械201によれば、NC装置204の指示に従い、工具交換を自動で行い、主軸304にATCカメラ202を取り付けることができる。そしてそれに連動して、外部制御装置203がATCカメラ202内部の大容量通信機能を起動させることができる。
【0042】
図4は、工作機械システム200に含まれる各装置間での信号のやり取りを示すシーケンス図である。
【0043】
まず、主軸に装着されていないスリープ状態のATCカメラ202と外部制御装置203との間では、通信部223により省電力通信方式での常時接続が行われている(S400)。
【0044】
次に、NC装置204から外部制御装置203に起動指令が送られ(S401)、その後、NC装置204から工作機械201に工具交換指令が送られる(S402)。
【0045】
次に、起動指令を受け取ったことをトリガーにして、外部制御装置203がATCカメラ202に対して、メインユニットの起動を指示する(S403)。
【0046】
ATCカメラ202では、外部制御装置203からの指示を受けて、メインユニットを起動させる(S404)。ATCカメラ202は、「起動通知」を受け、大容量通信を確立するための最低限の機能を起動する。この段階では、カメラやセンサなど、大容量通信を確立する機能以外は起動しない(内蔵バッテリーで稼働中のため、省電力とするため)。これに連動して、ATCカメラ202では、例えばWi-Fi(登録商標)といった、通信部222による大容量通信方式の起動が行われる(S405,S406)。
【0047】
工作機械201は、NC装置204からの工具交換指令に基づいてATCカメラ202の装着を行う(S407)。ATCカメラ202がATCエリアからワークエリアに移動中に大容量通信機能の立ち上げが終了している。
【0048】
さらに、工作機械201は、ATCカメラ202に対して送電処理を行い(S408)、ATCカメラ202では、受電処理を行う(S409)。ATCカメラ202では、これによってバッテリ227の充電処理を開始し(S410)、同時に撮像部221など電力を使用する機能を立ち上げて、撮像処理を行う(S411)。撮像処理により生成された画像データは、大容量通信によって、外部制御装置203に送られる(S412)。
【0049】
NC装置204からの次の工具交換指令および終了指令があれば(S413、S414)、ATCカメラ202はメインユニットを停止させ(S415)、工作機械201は、ATCカメラを工具マガジンへ装着させる。
【0050】
図5は、時間軸に沿った消費電力とバッテリ残量の変化を示すタイミングチャートである。
【0051】
外部制御装置203とATCカメラ202との間では、通信部223により省電力通信方式での常時接続が行われているステップ400の間は、消費電力は少なく、バッテリ残量が大きく減ることはない。
【0052】
ATCカメラ202が外部制御装置203からの起動指示を受けて、メインユニットを起動させ、通信部222による大容量通信方式の起動が行われる(S403~S406)と、消費電力が大きくなり、バッテリの残量が大きく減る。想定できる最大の待機時間(S400)をヘて、大容量通信方式の起動後の主軸装填(S407)までに電力残量が確保できるに、バッテリ容量の設定されている。
【0053】
このようにして、バッテリ使用期間の消費電力の低減を図り、バッテリが完全放電してしまう前に、外部制御装置へのアラームも可能となる。さらにATCカメラを充電のためだけに主軸に取り付けて充電を行うこともできる。
【0054】
バッテリ227を搭載したATCカメラ202などのインテリジェントな装置は省電力を要求され、使用されない期間はバッテリ227の使用を止める。そうすると、主軸周辺より電力供給を行い動作させることになるが主軸201に取り付けてからATCカメラ202に電力が供給されると、無線伝送を使った工具においては、立上り時間が長くかかってしまう。かといって、常時大容量通信を確立していると、待機時間を確保するためにはバッテリ227の大型化が不可避になり、ATCカメラ202自体が大型化・複雑化してしまう。
【0055】
そこで本実施形態では、上述のように、完全なケーブルレスを実現した主軸取付装置であって、高機能、高性能でありながら、小型化を実現した装置を実現している。特に、主軸装着し、使用できるまでの時間が短い装置(理想は0秒起動:ワーク近くに移動時には既に使用できる状態)を実現できる。さらに、数週間~数ヶ月の間、ツールホルダ・マガジンに装着したままでバッテリの残量を確保できる。高性能とは、大容量高速な通信(静止画や動画などの画像伝送や低遅延が要求される測定データなど)を伝送できることを意味し、さらに、バッテリ充電にマガジン内充電機構、オフライン充電機構などを使用しないで継続運用が可能な主軸取付装置を実現した。
【0056】
本実施形態では、バッテリ駆動にて常時省電力無線で外部制御装置と繋がり、主軸に装着される直前に省電力無線より指示を受け、メインユニットおよび大容量通信を起動する。これにより、主軸に装填される前にメインシステムが起動している状態となる。
【0057】
これによりバッテリを小型化または小容量化しつつ、通信は「常時」「大容量」を確保できる。工具にバッテリを搭載するが、主に主軸に取り付けた状態で無線伝送を行うメインの伝送路(大容量通信)を持ちながら、もう一方で、省電力で微小な通信のみを行う無線伝送(省電力通信)を使った伝送路を搭載する。バッテリは、主に省電力通信用として使う。主軸に取り付けた状態で無接点給電によりバッテリは充電される。主軸に取り付けられた状態は時間的に短いが、小型のバッテリであるため、短い時間で充電が完了する。
【0058】
さらに省電力通信にて、ATCカメラなどの工作機械用装置が未使用の状態でも、バッテリ容量や使用履歴(時間)などの情報を、が把握することができる。これにより、外部制御装置203の空き時間を利用した充電プロセス(ダミー交換など)を実行できる。このことにより工作機械用装置のバッテリ切れを防止できる。万が一、バッテリが切れた場合でも、主軸に取り付けてから工作機械用装置を使用できるまでの時間が増えるだけで、使用できる(スマートリカバリーが可能)。以後、充電は、使用中に完了するので、起動時間短縮機構が機能するようになる。
【0059】
以上のように、優れた工作機械システムが構築できる。装着後すぐに大容量無線を利用できるため、サイクルタイムを短くできる。
【0060】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるサーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。