(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】電子スイッチおよび調光器
(51)【国際特許分類】
H05B 45/10 20200101AFI20220309BHJP
H05B 45/31 20200101ALI20220309BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B45/31
(21)【出願番号】P 2020535632
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(86)【国際出願番号】 US2018059564
(87)【国際公開番号】W WO2019133110
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-25
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518393506
【氏名又は名称】インテレソル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テレフス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ハリー
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/196572(WO,A1)
【文献】特開2015-026878(JP,A)
【文献】特開2015-065504(JP,A)
【文献】特開平07-264030(JP,A)
【文献】特開2016-039483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00,47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2入力端子と、第1および第2出力端子とを有する、双方向スイッチであって、
第2入力端子および第2出力端子は相互接続され、
前記双方向スイッチは、
a.直列接続された第1および第2電子スイッチ素子であって、
各スイッチ素子は、ドレイン端子、ソース端子およびゲート端子を有し、前記ゲート端子および前記ソース端子の間に指定される閾値電圧によって特徴付けられ、
前記第1スイッチ素子の前記ドレイン端子は、前
記双方向スイッチの前記第1入力端子を構成し、
前記第2スイッチ素子のドレイン端子は、前
記双方向スイッチの前記第1出力端子を構成し、
前記第1および第2スイッチ素子の各前記ソース端子は、第1制御端子において相互接続され、
前記第1および第2スイッチ素子の各前記ゲート端子は、第2制御端子において相互接続される、
第1および第2電子スイッチ素子と、
b.前記第1制御端子および前記第2制御端子の間に接続される第1制御スイッチと、
c.第2制御スイッチを介して前記第2制御端子に接続されるバイアス端子と、
d.前記バイアス端子および前記第1制御端子の間に接続される電圧調整素子と、
e.前記電圧調整素子と並列に接続されるコンデンサと、
f.前記
双方向スイッチの前記第1入力端子から、前記バイアス端子に、第1電流制限抵抗を介して接続される、第1整流素子と、
g.前記
双方向スイッチの前記第2出力端子から、前記バイアス端子に、第2電流制限抵抗を介して接続される、第2整流素子と、
h.制御信号を有するスイッチ制御回路であって、前記制御信号は前記第1制御スイッチおよび前記第2制御スイッチを制御し、これによって、前記第2制御スイッチが開離している時に第1制御スイッチが閉成するようにされ、およびその逆となるようにされる、スイッチ制御回路と、
を備える、双方向スイッチ。
【請求項2】
前記第1制御スイッチおよび前記第2制御スイッチはフォトトランジスタであり、前記制御信号は光信号である、請求項1に記載の双方向スイッチ。
【請求項3】
前記第1および第2電子スイッチ素子はMOSFETである、請求項1に記載の双方向スイッチ。
【請求項4】
前記スイッチ制御回路にDC電力を供給するAC/DCコンバータをさらに備える、請求項1に記載の双方向スイッチ。
【請求項5】
前記AC/DCコンバータは、
a
.AC電源に接続される分圧器と、
b.入力および出力を有する第1半導体スイッチであって、その入力を介して前記分圧器に接続される第1半導体スイッチと、
c.入力および出力を有する第2半導体スイッチであって、その入力が前記第1
半導体スイッチの前記出力に接続される、第2半導体スイッチと、
d.ダイオードを介して前記第2
半導体スイッチの前記出力に接続される蓄電コンデンサと、
e.前記蓄電コンデンサおよび前記分圧器の間に接続され、それによってフィードバック制御を提供する検知抵抗と、
f.前記第2半導体スイッチの前記入力および出力の間に接続されるツェナーダイオードであって、それによって、前記第2半導体スイッチの前記出力および入力の電圧を、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧にクランプする、ツェナーダイオードと、
g.前記蓄電コンデンサに接続される
前記スイッチ制御回路と、
を備える、請求項4に記載の双方向スイッチ。
【請求項6】
前記第1半導体スイッチを通って流れる電流を制限するために、前記第1半導体電子スイッチと前記蓄電コンデンサとの間に配置される、電子回路をさらに備える、請求項5に記載の双方向スイッチ。
【請求項7】
前記第1半導体スイッチおよび前記第2半導体スイッチは、いずれもMOS電界効果トランジスタである、請求項5に記載の双方向スイッチ。
【請求項8】
AC電源か
ら負荷への相制御を提供するために、前記AC電源と同期して前記制御信号がパルスされる、請求項1に記載の双方向スイッチ。
【請求項9】
前記制御信号は
、AC主波形と同期したパルス列であり、負荷に伝達される平均電流/電力を制御するために調整可能なパルス幅を有し、それによって、光源負荷に対して調光効果を提供し、ACモータ負荷に対して速度制御を提供する、請求項1に記載の双方向スイッチ。
【請求項10】
AC電源から負荷に電力を供給するための電気回路であって、
前記電気回路はラインおよびリターンを有し、
前記電気回路は、
a.前記ラインに接続された第1双方向スイッチであって、前記第1双方向スイッチは、
i.直列接続された第1および第2電子スイッチ素子であって、
各スイッチ素子は、ドレイン端子、ソース端子およびゲート端子を有し、前記ゲート端子および前記ソース端子の間に指定される閾値電圧によって特徴付けられ、
前記第1スイッチ素子の前記ドレイン端子は、前記
第1双方向スイッチの入力端子を構成し、
前記第2スイッチ素子のドレイン端子は、前記
第1双方向スイッチの出力端子を構成し、
前記第1および第2スイッチ素子の各前記ソース端子は、第1制御端子において相互接続され、
前記第1および第2スイッチ素子の各前記ゲート端子は、第2制御端子において相互接続される、
第1および第2電子スイッチ素子と、
ii.前記第1制御端子および前記第2制御端子の間に接続される第1制御スイッチと、
iii.第2制御スイッチを介して前記第2制御端子に接続されるバイアス端子と、
iv.前記バイアス端子および前記第1制御端子の間に接続される電圧調整素子と、
v.前記電圧調整素子と並列に接続されるコンデンサと、
vi.前記
第1双方向スイッチの前記入力端子から、前記バイアス端子に、第1電流制限抵抗を介して接続される、第1整流素子と、
vii.前記リターンから前記バイアス端子に、第2電流制限抵抗を介して接続される、第2整流素子と、
viii.制御信号を有するスイッチ制御回路であって、前記制御信号は前記第1制御スイッチおよび前記第2制御スイッチを制御し、これによって、前記第2制御スイッチが開離している時に第1制御スイッチが閉成するようにされ、およびその逆となるようにされる、スイッチ制御回路と、
を備える、第1双方向スイッチと、
b.前記スイッチ制御回路にDC電力を供給するAC/DCコンバータであって、前記AC/DCコンバータは、
i.前記AC電源に接続される分圧器と、
ii.入力および出力を有する第1半導体スイッチであって、その入力を介して前記分圧器に接続される第1半導体スイッチと、
iii.入力および出力を有する第2半導体スイッチであって、その入力が前記第1
半導体スイッチの前記出力に接続される、第2半導体スイッチと、
iv.ダイオードを介して前記第2
半導体スイッチの前記出力に接続される蓄電コンデンサと、
v.前記蓄電コンデンサおよび前記分圧器の間に接続され、それによってフィードバック制御を提供する検知抵抗と、
vi.前記第2半導体スイッチの前記入力および出力の間に接続されるツェナーダイオードであって、それによって、前記第2半導体スイッチの前記出力および入力の電圧を、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧にクランプする、ツェナーダイオードと、
vii.前記蓄電コンデンサに接続される
前記スイッチ制御回路と、
viii.前記第1半導体スイッチを通って流れる電流を制限するために、前記第1半導体電子スイッチと前記蓄電コンデンサとの間に配置される、電子回路と、
を備える、AC/DCコンバータと、
を備える、電気回路。
【請求項11】
第2双方向スイッチをさらに備え、
前記第2双方向スイッチは、前記AC電源の前記リター
ン内において、前記第1双方向スイッチの前記第2整流素子と、前記負荷との相互接続間に、配置され、
前記第2双方向スイッチは、前記第2双方向スイッチの前記第2整流素子が、前記AC電源と前記第1双方向スイッチの前記入力端子との間のラインに接続される点を除いて、前記第1双方向スイッチと同一に構成され、
前記スイッチ制御回路は、前記第1双方向スイッチおよび前記第2双方向スイッチを制御する、
請求項10に記載の電気回路。
【請求項12】
前記第1双方向スイッチおよび前記第2双方向スイッチは、同期して開離し閉成する、請求項11に記載の電気回路。
【請求項13】
前記負荷をバイパスする第3双方向スイッチをさらに備え、
前記第3双方向スイッチは、前記第3双方向スイッチの前記第2整流素子が前記第3双方向スイッ
チの前記出力に接続される点を除いて、前記第1および第2双方向スイッチと同一に構成され、
前記スイッチ制御回路は、前記第1双方向スイッチ、前記第2双方向スイッチおよび第3双方向スイッチを制御する、
請求項11に記載の電気回路。
【請求項14】
前記第1双方向スイッチが閉成している時には前記第3双方向スイッチが開離し、前記第1双方向スイッチが開離している時には前記第3双方向スイッチが閉成する、請求項13に記載の電気回路。
【請求項15】
前記負荷への前記AC電
源の相制御を提供するために、前記AC電源と同期して前記スイッチ制御回路がパルスされる、請求項10に記載の電気回路。
【請求項16】
前記スイッチ制御信号は
、AC主波形と同期したパルス列であり、前記負荷に伝達される平均電流/電力を効率的に制御するために調整可能なパルス幅を有し、それによって、光源負荷に対して調光効果を提供し、ACモータ負荷に対して速度制御を提供する、請求項10に記載の電気回路。
【請求項17】
AC電源から負荷に電力を供給するための電気回路であって、
前記電気回路はラインおよびリターンを有し、
前記電気回路は、
a.前記ラインに接続された第1双方向スイッチであって、前記第1双方向スイッチは、
i.直列接続された第1および第2電子スイッチ素子であって、
各スイッチ素子は、ドレイン端子、ソース端子およびゲート端子を有し、前記ゲート端子および前記ソース端子の間に指定される閾値電圧によって特徴付けられ、
前記第1スイッチ素子の前記ドレイン端子は、前記
第1双方向スイッチの入力端子を構成し、
前記第2スイッチ素子のドレイン端子は、前記
第1双方向スイッチの出力端子を構成し、
前記第1および第2スイッチ素子の各前記ソース端子は、第1制御端子において相互接続され、
前記第1および第2スイッチ素子の各前記ゲート端子は、第2制御端子において相互接続される、
第1および第2電子スイッチ素子と、
ii.前記第1制御端子および前記第2制御端子の間に接続されて、スイッチ制御信号を受信する制御装置と、
iii.前記制御装置に接続されるバイアス端子と、
iv.前記第1制御端子および前記第2制御端子の間に接続される電圧調整素子と、
v.前記制御装置と並列に接続されるコンデンサと、
vi.前記
第1双方向スイッチの前記入力端子から、前記制御装置の前記バイアス端子に、第1電流制限抵抗を介して接続される、第1整流素子と、
vii.前記リターンから、前記制御装置に、第2電流制限抵抗を介して前記制御装置の前記バイアス端子に、接続される、第2整流素子と、
を備える、第1双方向スイッチと、
b.前記制御装置にDC電力を供給するAC/DCコンバータと、
を備える、電気回路。
【請求項18】
前記AC/DCコンバータは、
i.前記AC電源に接続される分圧器と、
ii.入力および出力を有する第1半導体スイッチであって、その入力を介して前記分圧器に接続される第1半導体スイッチと、
iii.入力および出力を有する第2半導体スイッチであって、その入力が前記第1
半導体スイッチの前記出力に接続される、第2半導体スイッチと、
iv.ダイオードを介して前記第2
半導体スイッチの前記出力に接続される蓄電コンデンサと、
v.前記蓄電コンデンサおよび前記分圧器の間に接続され、それによってフィードバック制御を提供する検知抵抗と、
vi.前記第2半導体スイッチの前記入力および出力の間に接続されるツェナーダイオードであって、それによって、前記第2半導体スイッチの前記出力および入力の電圧を、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧にクランプする、ツェナーダイオードと、
vii.前記蓄電コンデンサに接続される
前記制御装置と、
viii.前記第1半導体スイッチを通って流れる電流を制限するために、前記第1半導体電子スイッチと前記蓄電コンデンサとの間に配置される、電子回路と、
を備える、請求項17に記載の電気回路。
【請求項19】
第2双方向スイッチをさらに備え、
前記第2双方向スイッチは、前記AC電源の前記リター
ン内において、前記第1双方向スイッチの前記第2整流素子と、前記負荷との相互接続間に、配置され、
前記第2双方向スイッチは、前記第2双方向スイッチの前記第2整流素子が、前記AC電源と前記第1双方向スイッチの前記入力端子との間のラインに接続される点を除いて、前記第1双方向スイッチと同一に構成され、
前記スイッチ制御
信号は、前記第1双方向スイッチおよび前記第2双方向スイッチを制御する、
請求項17に記載の電気回路。
【請求項20】
前記第1双方向スイッチおよび前記第2双方向スイッチは、同期して開離し閉成する、請求項1
9に記載の電気回路。
【請求項21】
前記負荷をバイパスする第3双方向スイッチをさらに備え、
前記第3双方向スイッチは、前記第3双方向スイッチの前記第2整流素子が前記第3双方向スイッチ回路の前記出力に接続される点を除いて、前記第1および第2双方向スイッチと同一に構成され、
前記スイッチ制御
信号は、前記第1双方向スイッチ、前記第2双方向スイッチおよび第3双方向スイッチを制御する、
請求項1
9に記載の電気回路。
【請求項22】
前記第1双方向スイッチが閉成している時には前記第3双方向スイッチが開離し、前記第1双方向スイッチが開離している時には前記第3双方向スイッチが閉成する、請求項20に記載の電気回路。
【請求項23】
前記負荷への前記AC電
源の相制御を提供するために、前記AC電源と同期して前記スイッチ制御
信号がパルスされる、請求項17に記載の電気回路。
【請求項24】
前記スイッチ制御信号は
、AC主波形と同期したパルス列であり、前記負荷に伝達される平均電流/電力を効率的に制御するために調整可能なパルス幅を有し、それによって、光源負荷に対して調光効果を提供し、ACモータ負荷に対して速度制御を提供する、請求項17に記載の電気回路。
【請求項25】
前記制御装置は、それぞれ出力を有するオン/オフスイッチ素子およびパルス幅変調装を備え、各前記出力はNORゲートおよび増幅器を介して前記第2制御端子に接続される、請求項17に記載の電気回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システム、ならびに、電子スイッチおよび調光制御を提供する方法に関する。
【0002】
[関連出願への相互参照]
本出願は、同一の発明者によって2017年12月28日に出願され、現在係属中の「Electronic Switch and Dimmer」と題する米国仮特許出願62611460号の優先権を主張する。
【0003】
[関連する背景技術]
従来、家庭およびビジネス環境における、交流(AC)電力へのアクセスは、施設電気系に有線接続された機械的なコンセントによって提供されている。これらのコンセントは、ヒューズおよび回路ブレーカ等の電気機械素子を用いて、過剰な電気的負荷や潜在的に危険な接地事故から保護される。同様に、従来の室内用電気機器(照明や天井ファン等)の制御は、電気機械的スイッチを用いて行われる。これらの基本的な機械的制御素子は、単純なオン・オフ制御を提供して不可避的に摩耗し、時間が経過すると、短絡や潜在的に危険なアーク放電を起こし得る。
【0004】
一般的な電気機器の、よりニュアンス化された制御は、典型的には、AC主波形をサイクル単位で割り込み可能とするトライアック等の電子素子によって提供される(いわゆる相制御)。トライアックは、以前からあった加減抵抗器や単巻変圧器よりは大幅に効率的であるが、大規模な電気的負荷を制御するための小型筐体内で効果的に用いるには依然として非効率に過ぎ、施設電気系に電気的ノイズを発生し得る。
【0005】
したがって、施設電気系において、広範な用途に対して、より信頼性があり高度に効率的な制御オプションを幅広く提供する、改良された電子制御システムが必要である。さらに、そのような制御システムとして、先進的電力制御機能のために他の回路に組み込むことが可能な半導体素子を用いて実現可能であり、低コストで製造可能なものが必要である。
【0006】
[発明の簡単なサマリー]
本発明は、単純なコンセントオン・オフ切り替えから、印加されるAC電力の連続的変化にまでわたる、施設電気系を通したAC電力の制御(たとえば電灯の調光)のための新規な手法に関する。より詳細には、本発明は、一実施形態においてオン・オフおよびAC主波形の相制御の双方を提供する機能の組み合わせに関する。
【0007】
一実施形態は、AC主電源と所望の負荷との間に接続される、非常に低い「オン」抵抗を持つ電子スイッチとして、パワーMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)を用いる。典型的なパワーMOSFETは、本質的に導電チャネルと平行にボディダイオードを組み込んでいるため、素子対をバックツーバック構成で接続してソース端子を共通とし、真に双方向の(AC)スイッチ構成が提供される。パワーMOSFETのスイッチング動作を制御するために、新規の浮動制御回路が採用される。これは、ゲート・ソースバイアス電圧をプレチャージするためにドレインに接続され、それによって両素子を「オン」にする整流ダイオードと、孤立した光源によって照明された場合に素子を強制的に「オフ」状態とするために共通のソース端子にゲート端子を短絡させる光結合フォトトランジスタとを用いる。したがって、パワーMOSFETスイッチは、光制御信号によって強制的に「オフ」にされない限り、常時「オン」である。光制御信号は、負荷に伝達される電力の通常のオン・オフ制御について連続的に適用されるか、または、相制御を提供するためにAC主波形と同期され得る。光制御信号のための統合制御回路は、スイッチ反応性負荷に好適な立ち上がりエッジ相制御、または、LED等の非線形負荷に好適な立ち下がりエッジ相制御、のいずれかを提供し得る。個別の例は、本発明の概念を応用例に限定するよう意図されるものではない。本発明の他の態様および利益は、添付図面および詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】基本的パワーMOSFET双方向スイッチユニットの概略図である。
【
図2】光電子バイアス生成を用いる従来の双方向スイッチの概略図である。
【
図3】改良された双方向スイッチの基本的要素の概略図である。
【
図4】改良された双方向スイッチの一実施形態の概略図である。
【
図5】総スイッチ「オン」抵抗を低減し、総スイッチ「オフ」抵抗を増加させるために2つのスイッチング要素を用いる、
図3の実施形態の概略図である。
【
図6】
図3の実施形態に類似するが、AC電源の両アームにスイッチング要素を持つ実施形態の概略図である。
【
図7】総スイッチ「オン」抵抗をさらに低減し、総スイッチ「オフ」抵抗をさらに増加させるために4つのスイッチング要素を用いる、
図5の実施形態の概略図である。
【
図8】基本的パワーMOSFET双方向スイッチを示す概略図である。
【
図9A】AC主波形の正半サイクルの間アクティブな、
図8の回路要素を示す概略図である。
【
図9B】AC主波形の負半サイクルの間アクティブな、
図8の回路要素を示す概略図である。
【
図9C】ゲート電圧の昇圧を可能にする、
図9Bの半回路を示す概略図である。
【
図11】デュアルポールスイッチを用いる、
図10の回路の一実施形態を示す概略図である。
【
図12A】デュアルポールスイッチのためにフォトトランジスタを用いる、
図11の回路の一実施形態を示す概略図である。
【
図12B】オン・オフ制御のために非絶縁制御装置を用いる一実施形態を示す概略図である。
【
図13】電流センサを含む双方向スイッチの一実施形態である。
【
図14】負荷にわたって配置される追加の双方向スイッチを含む、双方向スイッチ回路の一実施形態である。
【
図15】AC/DCコンバータが整流器を要しない回路の一実施形態である。
【
図16】
図15に示す実施形態における回路要素の、特定の非限定的な例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、AC電源101から負荷108に伝達される電力を制御する基本的パワーMOSFET双方向スイッチを示す概略図である。パワーMOSFET102および103は、それぞれボディダイオード104および105を含む。スイッチ106は、パワーMOSFET102および103に印加されるゲート・ソースバイアス電圧を制御する。「オン」位置では、バイアス電圧107は各パワーMOSFETのゲート端子に印加される。電圧107は、各パワーMOSFETの閾値電圧(典型的には5~10ボルト)より高く、反転層を形成して、各素子のドレインからソースまで延びる導電チャネルを生成する。この「オン」状態では、各パワーMOSFETのドレインからソースまでの振る舞いは、低値抵抗器R
dsとしてモデル化できる。ドレインとソースとの間の電圧降下が約0.6ボルト未満に留まる限り、ボディダイオードは非導電性のままであり、無視できる。「オン」状態では、
図1の回路は、AC電源101に値2R
dsの直列抵抗を介して接続される負荷108と等価である。
【0010】
スイッチ106の「オフ」位置では、各パワーMOSFETのゲート端子がソース端子に短絡され、ドレイン・ソース間電圧がボディダイオードの降伏電圧未満に留まる限り、ドレイン・ソース間の導電チャネルが消失する。「オフ」状態では、
図1の回路は、AC電源101にバックツーバックボディダイオード104および105を介して接続される負荷108と等価であり、実質的に負荷108を電源101から切り離す。
【0011】
「オフ」状態において、各パワーMOSFETのドレイン・ソース間電圧がボディダイオードVbrの降伏電圧未満に留まるという要件は、ボディダイオードの降伏電圧がAC電源101のピーク電圧を超えることを要求する。したがって、たとえば、電源101が一般的な120ボルト(rms)AC主電源に対応すると仮定すると、各ボディダイオードの降伏電圧は、170ボルトというピーク電源電圧を超えなければならない。
【0012】
パワーMOSFET構造のより詳細な分析によれば、ボディダイオードは、実質的に、MOSFETチャネルと並列に接続されたバイポーラトランジスタのベース・コレクタ接合である。追加の寄生要素は、ベース・コレクタ接合の容量と、ベース・エミッタ間の寄生抵抗とである。このAC結合回路は、ベース・エミッタ接合の順バイアスを回避するために、ドレイン・ソース間電圧の変化率dVds/dtに制約を課し、これによって、MOSFETチャネルが「オフ」である間、バイポーラトランジスタを導通させる。結果として生じる漏れ電流は、負荷108に電力を供給するには不十分な可能性があるが、効率や安全性の懸念を追加で発生させるほど大きい可能性がある。
【0013】
同様に、「オン」状態における制約の考慮は、各パワーMOSFETのドレイン・ソース間電圧降下(Rds*Iloadによって与えられる)が約0.6ボルト未満であることを要求する。潜在的により重要なのは、過剰な温度上昇を避けるために、「オン」状態において各パワーMOSFETで散逸する電力(Rds*Iload2によって与えられる)が数ワット未満に留まらなければならないということである。したがって、たとえば、20アンペアの典型的な制限を有する、120ボルトAC主電源からの一般的な家庭回路ををスイッチングすることは、各パワーMOSFETのRdsが0.005オーム(5ミリオーム)未満であることを要求する。
【0014】
ボディダイオードの降伏電圧は、デバイスの構造およびドーピングレベルを変化させることにより、Rdsの値に対して有利にトレードオフできるということが、従来技術において周知である。とくに、Rdsの値はVbr
2.5に比例することが示されている。したがって、たとえば、Vbrを半分にカットすると、結果としてRdsが係数5.7だけ減少する。
【0015】
図1の回路によれば、スイッチ106および電圧源107を備える概念的バイアススイッチング回路が、バックツーバックのパワーMOSFET102および103の共通ソース端子を有して電気的に浮動するということが示され、これは電源101のピークツーピーク範囲全体にわたって変化する。概念的には単純であるが、この回路を低コストで実現するのは困難な可能性がある。
【0016】
図2は、制御回路に関する従来の手法の概略図を示す。
図1の電圧源106が、光起電力ダイオードスタック201に置き換えられている。光起電力ダイオードスタック201は、発光ダイオード(LED)206(分離された低電圧電源203によって電力を供給され、電流制限抵抗205を介してスイッチ204によって制御される)によって照明されると、必要なゲート・ソースバイアス電圧を提供する。要素203~206は、ダイオードスタック201の光学的近傍にあると仮定する。LED206がオフに切り替えられると、ダイオードスタック201にかかる電圧が抵抗器202を介してドレインされ、各パワーMOSFETは「オフ」状態に入る。
【0017】
図2の回路は、単純なオン・オフ切り替え用途について機能するが、バイアス回路を介して各パワーMOSFETのゲート・ソース間容量を充電または放電することに係る時定数は大きいので、50/60HzのAC主電源において相制御を実現することができない。
【0018】
図3は、改良されたスイッチ回路の基本的要素を示す概略図である。各パワーMOSFETは、下記で説明する好適な実施形態のスイッチング素子であるが、当業者には、改良された回路において、他の種類の電界効果トランジスタも有利に採用できるということが明らかである。
図1のように、パワーMOSFET102および103を「オン」状態にバイアスするために、電圧107が用いられる。
図1の回路の動作とは逆に、各パワーMOSFETは、スイッチ106が開離している間だけ「オン」となる。スイッチ106が閉成すると、ゲートおよびソースが相互に短絡して電圧107が抵抗器300で低下するので、各パワーMOSFETは強制的に「オフ」状態に入る。
【0019】
図4は、進歩的な回路の一実施形態を示す概略図である。
図1の電圧源107は、各パワーMOSFETの閾値電圧より高いツェナー電圧を持つツェナーダイオード402を持つスイッチングユニット400に置き換えられる。ツェナーダイオード402は、整流ダイオード404および406(それぞれ、パワーMOSFETのドレイン端子に接続され、電流制限抵抗器403および405によって保護される)を介してバイアスされる。したがって、照明がない場合には、抵抗器・ダイオード枝403-404および405-406は、いずれかのドレイン端子がツェナー電圧を超えると、ツェナーダイオード402に対してバイアスを提供し、パワーMOSFET102および103を「オン」状態とする。LED206によって照明されると、フォトトランジスタ401は、バイアス電流を枝403-404および405-406から各パワーMOSFETのソース端子に分流させ、これらを「オフ」状態とする。この回路では、ターンオン時定数は、電流制限抵抗器403および405の値と、各パワーMOSFETのゲート・ソース間容量とに支配され、ターンオフ時定数は、LED206が提供する照明レベルにおけるフォトトランジスタ401の飽和電流に支配される。これらの時定数はいずれも、AC主電源の周期よりはるかに短く設計することができ、これによって、オン・オフおよび相制御モードの双方において本実施形態を動作させることができる。
【0020】
図5は、回路の性能を向上させるために2つのスイッチユニット400を用いる、
図4の実施形態の概略図である。この実施形態では、各パワーMOSFETは、
図4で用いたユニットの降伏電圧の半分を持つように選ばれると仮定する。したがって、
図4の回路と比較して、上述のように、それぞれのスイッチユニットのオン抵抗は係数5.7だけ減少し、直列接続された2つのスイッチユニットの総オン抵抗は係数2.8だけ減少すると期待される。また、「オフ」状態における各スイッチユニットにわたる電圧降下が半減し、これによって、各ユニットが経験するdV
ds/dtが係数2だけ減少し、結果として、「オフ」状態の漏れ電流が減少する。
【0021】
また、
図5は、LED206の照明を制御するための電子スイッチ回路を含む。電圧源203からLED206を通る電流は抵抗器205によって制限され、トランジスタ500によって制御される。トランジスタ500は、制御端子501に印加される外部制御電圧によって制御される。これによって、調光器の用途で用いられる場合のように、印加されるAC波形の相制御を提供するための外部制御回路(図示せず)を介し、AC主波形と同期したLEDの迅速な切り替えが可能になる。別の実施形態では、制御信号はAC主波形と同期したパルス列であり、負荷に提供される平均電流/電力を効果的に制御するために調整可能なパルス幅を有し、これによって、光源負荷に対しては調光効果を提供し、ACモータ負荷に対しては速度制御を提供する。別の実施形態では、制御信号はAC主波形とは独立した固定または可変周波数を持つパルス列であり、これによって、無線充電器/発電機として用いるための負荷端子において、無線周波数(RF)電力波形を生成する。別の実施形態では、制御信号はLEDの可変照明を可能にする可変DC電圧であり、これによって、各MOSFETが線形モードで動作可能となる。
【0022】
図6は、
図5に類似するが、AC電源の各アームにそれぞれ別個のスイッチユニット400が配置された実施形態の概略図である。本発明者は、この回路構成により、各スイッチ素子のターンオフ特性が向上し、漏れ電流がさらに低減するということを見出した。
【0023】
図7は、回路の性能をさらに向上させるために、AC電源の各アームに2つのスイッチユニット400を用いる、
図6の実施形態の概略図である。この実施形態では、各パワーMOSFETが、
図3で用いたユニットの1/4の降伏電圧を持つように選ばれると仮定する。したがって、上述のように、
図4の回路に比較して、それぞれのスイッチユニットのオン抵抗は係数32だけ減少し、直列接続された2つのスイッチユニットの総オン抵抗は、係数8だけ減少すると期待される。また、「オフ」状態におけるスイッチユニットそれぞれにわたる電圧降下は1/4となり、これによって、各ユニットが経験するdV
ds/dtが係数4だけ減少し、結果として、
図4の回路に比べて「オフ」状態の漏れ電流がさらに減少する。上述のように、本発明者は、この回路構成によって、スイッチ素子のターンオフ特性がさらに向上し、漏れ電流がさらに低減するということを見出した。
【0024】
従来のMOSFETスイッチにおける既知の問題の一つは、MOSFETの寄生である。場合によっては、寄生のため、負荷への電力を完全に遮断できなくなる。
図8~
図13は、補償または除去によってこの寄生の影響を克服するための、上述の電子スイッチにおける改良を示す。改良は、システムのアーキテクチャに対する変更と、スイッチ自体の内部構成要素に対する変更とを含む。
【0025】
図8は、AC電源801から負荷806に伝達される電力を制御する、基本的パワーMOSFET双方向スイッチを示す概略図である。パワーMOSFET802および803は、それぞれボディダイオード804および805を含む。ツェナーダイオード811は、パワーMOSFET802および803の閾値電圧VTより高いツェナー電圧を示す。ツェナーダイオード811は、整流ダイオード808および810(それぞれ、パワーMOSFETのドレイン端子に接続され、電流制限抵抗器807および809によって保護される)を介してバイアスされる。したがって、スイッチ812が開離している場合には、抵抗器・ダイオード枝807-808および809-810は、いずれかのドレイン端子がツェナー電圧を超えると、ツェナーダイオード811に対してバイアスを提供するよう意図され、これによって、パワーMOSFET802および803を「オン」状態とする。スイッチ812は、閉成すると、バイアス電流を枝807-808および809-810から各パワーMOSFETのソース端子に分流させ、これらを「オフ」状態とする。この回路では、ターンオン時定数は、電流制限抵抗器807および809と、各パワーMOSFETのゲート・ソース間容量とに支配され、ターンオフ時定数は、MOSFET容量と、スイッチ812のオン抵抗とに支配される。これらの時定数はいずれも、AC主電源の周期よりはるかに短く設計することができ、これによって、オン・オフおよび相制御モードの双方において本実施形態を動作させることができる。
【0026】
しかしながら、実際には、ツェナーダイオード811がそのツェナー電圧に達することはなく、MOSFET802および803のゲート・ソース間電圧が閾値電圧VTを超えることは稀である。したがって、MOSFET802および803はいずれも完全な「オン」にはならないので、各ユニット内での過剰な電力散逸がなく、負荷806への電流供給が低減することもない。
図9Aは、電圧源801がAC主波形の正半サイクルにある時の
図8のアクティブな構成要素を示す。スイッチ812が開離し、MOSFET802が「オン」状態になることが可能になると、MOSFET802のゲート電圧がソース801の正のエクスカーションに追従し始めるが、ソース電圧はゼロボルトである。ゲート電圧がMOSFET802の閾値電圧に達すると、電流が負荷806へと流れ始め、MOSFET803からのボディダイオード805は順バイアスされる。その後、MOSFET802のソース電圧はゲート電圧の上昇に「追従」し、閾値電圧に追加のバイアスを加えた値だけ遅れて、負荷に供給される電流に対応する。この状態は、電圧源801の波形が負になるまで維持される。結果として、MOSFET802のドレイン・ソース間電圧は、MOSFET802のドレイン・ソース間抵抗に関わらず、AC主波形のゼロ交差周辺を除いて閾値電圧未満に落ちることはなく、スイッチにおいて散逸する電力はID*VTである。ゲート電圧が閾値電圧を大幅に超えて昇圧可能である場合には、散逸する電力はID2*rds(ただしrdsはスイッチの「オン」抵抗)で与えられる。この値はID*VTよりはるかに小さくすることができる。
【0027】
図9Bは、電圧源801がAC主波形の負半サイクルにある時の
図8のアクティブな構成要素を示す。MOSFET803のゲート電圧は0Vから始まり、ソース電圧が-VTまで落ちるとソース電圧を負に追従し始め、ここで電流が負荷806を介して流れ始め、MOSFET802のボディダイオード804は順バイアスされる。MOSFET803のドレイン電圧は実質的にゲート電圧にクランプされるので、電圧源801の波形が正になるまでドレイン・ソース間電圧はVTに留まる。結果として、MOSFET803のドレイン・ソース間電圧は、素子のドレイン・ソース間抵抗に関わらず、AC主波形のゼロ交差周辺を除いて閾値電圧未満に落ちることはなく、スイッチにおいて散逸する電力は負半サイクルでもID*VTである。
【0028】
図9Cは、ゲート電圧が昇圧できるようにする
図9Bの半スイッチの概略図である。
図9Bの回路とは、ダイオード810およびバイアス抵抗809を含む枝がMOSFET803のドレインからAC主電源ニュートラルラインに移動したという点が異なる。この構成により、
図9Bの構成において発生するクランプ動作が回避され、MOSFET803のソースが-VZに落ちるとツェナーダイオード811がツェナー電圧VZに達することができるようになる。これによって、MOSFET803のゲート・ソース間電圧がVZ(これはVTよりかなり大きくすることができる)となるので、rdsは小さい値を示し、電力散逸を低減する。さらに、この昇圧されバイアスされたゲート・ソース間電圧は、MOSFET802および803のゲート・ソース間容量に蓄えられ、続くAC主波形の正半サイクルの間維持される。このように、スイッチ812が閉成するまで、両素子は最小限のrds構成に留まる。
【0029】
図10は、
図8の回路の改良版を示し、正半サイクル初期のターンオン特性を改良するようバイアス要素807および808が維持され、また、昇圧されたゲート・ソース間電圧の蓄電がより頑強となるように、MOSFET802および803の各ゲート・ソース間容量と並列に追加のコンデンサ1001が含まれる。この実施形態における1つの制限は、スイッチ回路が相制御モードで使用され、AC主波形の各サイクル中で所定期間だけスイッチ812が閉成する場合に発生する。スイッチ812が閉成している間はコンデンサ1001がこれを介して放電するので、MOSFET802および803を「オン」にするのに必要なゲート・ソース間バイアスは、各サイクルで再確立しなければならない。この結果、スイッチ812が閉成すると負半サイクル中に提供された昇圧がリセットされるので、AC主波形の正半サイクル中にスイッチ812が開離する場合には、MOSFET802は常に準最適モードで動作する。
【0030】
図11は、
図10の回路の一実施形態を示すが、スイッチ812がデュアルポールスイッチ1101に置換されている。デュアルポールスイッチ1101は、MOSFET802および803それぞれのゲートを、位置1にある時にはそれぞれの相互接続されたソースに、または、位置2にある時にはツェナーダイオードバイアス回路に、接続する。これらの位置はスイッチ制御回路1102によって決定される。この実施形態では、MOSFET802および803を「オフ」にするためにスイッチ1101を位置1に配置すると、ツェナーダイオードバイアス回路が各ゲートから切断され、これによってコンデンサ1001は、外部回路を介して放電するかスイッチ1101が位置2に配置されるまで、ツェナー電圧を蓄えられるようになる。結果として、蓄えられたツェナー電圧がゲート回路に再印加され、その後、負半サイクル中のゲート・ソース間バイアス電圧がリフレッシュされる。
【0031】
図12Aは、
図11の回路の一実施形態を示すが、スイッチ1101が一対のフォトトランジスタ1201および1202に置き換えられる。これらはそれぞれ、1201および1202を駆動する光出力1204および1205を持つスイッチ制御回路1203によって制御される。相制御モードを可能にするために、スイッチ制御回路1203は、出力1204および1205をAC主波形に同期させる。ゲート・ソース間電圧はツェナー1206によって調節される。コンデンサ1001の早すぎる放電を回避するために、これらの光駆動信号は重複させず、「ブレークビフォアメーク(break before make)」スイッチ特性を提供することが重要である。
【0032】
スイッチ制御の時定数により、調光器の用途で用いられるように、印加されるAC波形の相制御を提供するために、外部の制御回路(図示せず)を介して、光駆動信号の高速なスイッチングがAC主波形と同期できるようになる。別の実施形態では、制御信号は、AC主波形と同期したパルス列であり、負荷に伝達される平均電流/電力を効率よく制御するために可変パルス幅を有する。これによって、光源負荷には調光効果を提供し、ACモータ負荷には速度制御を提供する。また別の実施形態では、制御信号は、AC主波形とは独立した固定または可変周波数を持つパルス列であり、これによって、無線充電器/発電機として用いるための負荷端子において無線周波数(RF)電力波形を生成する。また別の実施形態では、LEDが可変輝度となるように、制御信号は可変DC電圧であり、これによって各MOSFETが線形モードで動作可能になる。
【0033】
好適な実施形態では、スイッチ制御回路は制御信号源から制御信号を受信し、スイッチ制御回路光駆動信号がAC電源と同期してパルスされ、負荷へのAC電力の相制御が提供される。別の実施形態では、光駆動信号はAC主波形と同期したパルス列であり、負荷に提供する平均電流/電力を効率的に制御するために可変パルス幅を有し、これによって、光源負荷には調光効果を提供し、ACモータ負荷には速度制御を提供する。
【0034】
図12Aは、絶縁(光学的に)された制御装置をスイッチとして用いる実施形態である。
図12Bおよび12Cに示す別の実施形態では、制御装置はスイッチから電気的に絶縁されない。
図12Bを考慮すると、制御装置1207は、共通のソース接続1208に対して制御電圧Vcc1209を含む。制御装置1210の出力は、MOSFET802,803の共通ゲート端子に接続される。ツェナーダイオード1206は、ゲート・ソース間に印加された電圧に対する電圧調整器として作用し、抵抗器1211が共通ゲート端子に流れる電流を制限する。他の構成要素は先行する各図と共通してラベリングされ、説明済みである。制御装置1207の内部は
図12Cに示す。
【0035】
図12Cを参照して、入力1209、共通端子1208、および電圧出力1210は、
図12Bにおいてラベリングされている。図示の実施形態では、制御装置はオン・オフスイッチ制御装置1213を含む。オン・オフスイッチ制御装置1213は、信号に基づき、各MOSFETを強制的にオフ状態にする出力電圧を提供する。また、本実施形態は、可変パルス幅変調ユニット1212を用いた制御装置を含む。オン・オフ信号生成器およびパルス幅変調生成器の出力は、NORゲート1214および演算増幅器1215を介して、出力1210まで伝達される。出力1210は、すでに説明したように、バックツーバックMOSFETの共通ゲート端子に接続される。
【0036】
図13に示す別の実施形態では、スイッチ制御1203への電力は、低電圧AC/DCコンバータ1301によって提供される。AC/DCコンバータは、電流センサ1302によって制御される。電流センサ1302は電流センサ1310を採用して負荷806に伝達されるAC電流を検知し、これによって、MOSFET802,803からなる双方向スイッチにおける電流が検知されない場合にAC/DCコンバータ(ひいてはスイッチ制御)がオフにされる。本実施形態では、
図12の双方向スイッチは、さらに、MOSFET802,803の内部ダイオード804,805をバイパスできるバイパスダイオード1311,1312を含む。他の構成要素はすべて、先行する
図8~12Cと整合して番号付けられ説明される。
【0037】
要約すると、固体双方向スイッチは、直列接続された第1および第2電子スイッチ素子を備える。各スイッチ素子は、ドレイン端子、ソース端子およびゲート端子とを有し、ゲート端子とソース端子との間に指定される閾値電圧によって特徴付けられる。第1スイッチ素子のドレイン端子は、固体双方向スイッチの第1入力端子を構成し、第2スイッチ素子のドレイン端子は、固体双方向スイッチの第1出力端子を構成する。第1および第2スイッチ素子の各ソース端子は、第1制御端子において相互接続され、第1および第2スイッチ素子の各ゲート端子は、第2制御端子において相互接続される。第1制御スイッチは第1制御端子と第2制御端子との間に接続される。バイアス端子は、第2制御スイッチおよび電圧調整素子(バイアス端子と第1制御端子との間に接続される)とを介して第2制御端子に接続される。電圧調整素子と並列にコンデンサが接続される。第1整流素子が、スイッチ回路の第1入力端子から第1電流制限抵抗器を介してバイアス端子に接続される。第2整流素子が、スイッチ回路の第2出力端子から第2電流制限抵抗器を介してバイアス端子に接続される。スイッチ制御回路は、第2制御スイッチが開離している時に第1制御スイッチが閉成するように、およびその逆となるように、第1制御スイッチおよび第2制御スイッチを制御する。
【0038】
図14に示す別の実施形態では、上述の双方向スイッチ1403~1405が、ソース1401および負荷1402の間に配置され、双方向スイッチ1405(負荷1402をバイパスする)とともに、ライン1403およびリターン1404に含まれる。スイッチ1403が開離している時、スイッチ1405は閉成している。
【0039】
[AC/DCコンバータ]
一実施形態では、
図13のAC/DCコンバータ1301は、従来知られているように、ダイオードアレイおよびステップダウン変圧器からなる整流器からなる。好適な実施形態では、AC/DCコンバータは整流器を用いないか、または、変圧器が
図15および16に示す各要素からなる。
【0040】
整流器を要しないAC/DCコンバータは、概して、
図15に示す各要素と、これらの要素によって示唆される方法とからなる。回路要素の非限定的な具体例を
図16に示す。
図15を参照すると、交流電源1501がインラッシュ保護要素1502に接続される。一実施形態では、インラッシュ要素はAC電源のラインおよびニュートラルにおける抵抗要素からなる。より高い電力および効率が求められる別の実施形態では、インラッシュ保護はスイッチ要素を含み、スイッチ要素は、スタートアップ時に高抵抗を提供し、定常状態動作で抵抗要素をスイッチングして回路から除去する。インラッシュ保護の後、AC電源はサンプリング要素1503を用いてサンプリングされる。一実施形態では、サンプリング要素1503は、分圧回路に構成された抵抗器群を含む。別の実施形態では、サンプリング要素は、基準電圧源および比較器を含む。また別の実施形態では、サンプリング要素は手動で調整されてもよい。また別の実施形態では、サンプリング要素は自動的に調整されてもよい。サンプリングされた電圧は、スイッチドライバ要素1504への供給として用いられる。好適な実施形態では、スイッチドライバ要素1504は、蓄電要素1506からフィードバック電圧信号1509を受信し、この電圧信号に基づいて、制御スイッチおよびクランプ要素1505におけるスイッチング要素のゲートに印加される電圧を制御する。これによって、制御スイッチ1506の開閉が行われ、蓄電要素1506(ひいては負荷1508)に電力が供給される。フィードバック1509が除去された一実施形態では、AC/DCコンバータはフィードフォワードコンバータであり、蓄電要素1506の充電は前方1503,1504,1505から制御される。フィードバック制御1509の追加により、フィードフォワード制御およびフィードバック制御双方の手段が提供される。一実施形態では、フィードフォワード制御およびフィードバック制御のバランスは、電圧サンプリング要素1503およびフィードバックライン1509内の構成要素の選択によって決定される。一実施形態では、フィードフォワード制御およびフィードバック制御のバランスは、サンプリング要素1503およびフィードバック1509内の抵抗要素によって決定される。別の実施形態では、可変要素が用いられ、フィードフォワード制御およびフィードバック制御が調整可能となる。好適な実施形態では、スイッチドライバは分圧器およびスイッチからなる。スイッチおよびクランプ要素1505は、スイッチドライバ1504によって制御され、固定された最大電流でパルスされる電力を蓄電要素1506に提供する。好適な実施形態では、スイッチおよびクランプ要素はN-MOSFETおよびツェナーダイオードからなり、ソース・ゲート接続であり、ピーク電圧(したがってピーク電流)を、予め選択されるピーク電圧値に制限/クランプする。一実施形態では、この予め選択される制限電圧は、スイッチ1505のN-MOSFET構成要素のゲート・ソース間をブリッジするツェナーダイオードのツェナー電圧の値によって決定される。スイッチおよびクランプ要素からの、予め選択されるピークの電流パルスからなる電力は、蓄電要素1506に提供される。一実施形態では、電圧調整器は、エネルギー貯蓄要素として作用するコンデンサと、ダイオードとからなる。コンデンサの電荷は、分圧回路を介してスイッチドライバ1504にフィードバックされ、これによって、コンデンサの電荷が一定に維持される。蓄電要素からの出力は、電圧調整器1507を介して負荷1508に供給される。別の実施形態では、AC/DCコンバータはさらに、ガルバニック絶縁要素1510を含む。別の実施形態では、AC/DCコンバータはさらに、負荷1508からのフィードバックを可能にする要素1511を含む。好適な実施形態では、フィードバック回路1511は、制御要素1504と負荷1508との間のガルバニック絶縁も含む。
【0041】
図16は、AC/DCコンバータの好適な実施形態を示す。要素1601~1608は、それぞれ
図15の要素1501~1508に対応する。AC電源は、インラッシュ保護回路1601(この好適な実施形態では抵抗器R1およびR2からなる)に接続される。別の実施形態(図示せず)では、インラッシュ保護はスイッチを含み、これによって電流は、スタートアップにおいて抵抗器R1およびR2を通って流れ、定常状態動作に達したらこれらの抵抗器をバイパスする。また別の実施形態では、インラッシュ制御はインダクタを用い、すなわち要素R1およびR2がインダクタL1およびL2に置き換えられる。インラッシュ保護からの出力は、スイッチおよびクランプ回路1605のスイッチQ2と、電圧サンプリング要素1603とに及ぶ。電圧サンプリング要素1603は、AC入力をサンプリングする抵抗器R3,R4,R5と、蓄電コンデンサC1からのフィードバック電圧を提供する抵抗器R8とからなる。スイッチドライバ要素1604におけるスイッチQ1のゲートへの電圧がスイッチQ1をオン・オフし、これによって、同期してスイッチQ2をオフ・オンするように、R3,R4,R5およびR8の値が選択され、これによって、スイッチQ2から蓄電要素C1に、予め選択されたタイミング付けられた出力パルスが提供される。抵抗器R8は、コンデンサC1の電荷(したがって、電圧サンプリング回路1603への出力電圧、したがって、制御回路1604への出力電圧)に関するフィードバック経路を提供する。スイッチおよびクランプ要素1605は、スイッチQ2と、ツェナーダイオードD1と、抵抗器R7とからなる。スイッチQ2は、スイッチドライバ回路1604によって制御される。スイッチQ2のピーク出力電流は、ダイオードD1のツェナー電圧の選択された各値に基づき、予め選択される値にクランプされる。スイッチQ2からのパルス出力は、電圧調整器1606に接続され、これがR8のフィードバックを通って電圧サンプリング1603に達し、スイッチドライバ1604がコンデンサC1を一定電荷に維持する。制御要素スイッチQ1(したがって供給スイッチQ2)は、AC入力と同期して、アクティベートされて開離または閉成する。AC/DCコンバータは、入力AC電源の周波数において、パルス変調で低電圧出力を提供する。各スイッチは、構成要素Q1およびQ2に対する閾値内で、AC電源のゼロ交差の近くの電圧でアクティベートされて開離または閉成する。その後、出力は、電圧調整器1607に達し、その後負荷1608に達する。電圧調整器1607は、スイッチQ3と、ツェナーダイオードD3と、抵抗器R9と、コンデンサC2とを含む。回路構成要素D3,Q3,R9は、電圧調整器として、
図1において回路要素105,104,106についてそれぞれ上述した電圧調整器と等価に作用する。コンデンサC2は、AC/DCコンバータから負荷1608への出力をバッファリングし、これによって平滑化させるように、蓄電容量を提供する。
【0042】
図15および16の好適な実施形態におけるAC/DCコンバータは、インラッシュ保護1502、電圧サンプリング1503、スイッチドライバ1504、スイッチおよびクランプ1505、蓄電要素1506および電圧調整器1507の各要素からなる。電圧サンプリング1503の構成要素の選択が、スイッチドライバ1504のタイミングを決定する。スイッチおよびクランプにおける要素の選択が、出力パルスのピーク電圧および電流を決定する。電力出力は、ピーク電流およびパルスタイミング双方の選択によって制御される。パルスタイミングを選択するために、蓄電要素からの電圧サンプリングを介したフィードバックが用いられる。AC/DCコンバータは、AC電源と同期して動作する。
【0043】
図15および16の好適な実施形態は、概して以下を含む:
‐電源1501に接続された分圧器1503
‐分圧器に入力が接続された第1スイッチ1504
‐第1スイッチの出力に入力が接続された第2スイッチ1505
‐第2スイッチの出力にダイオードを介して接続された蓄電コンデンサC1
‐蓄電コンデンサと分圧器との間に接続され、これによってDC抽出変換システムに直接的にACのフィードバック制御を提供する、検知抵抗1509
‐ツェナーダイオードD1(第2スイッチの入力および出力の間に接続され、これによって、第2スイッチの出力および入力の電圧を、当該ツェナーダイオードのツェナー電圧にクランプする)
‐蓄電コンデンサC1に接続された電子負荷1508
スイッチ1504,1505は、任意の電子的に作動するスイッチとすることができる。一実施形態では、各スイッチはN-MOSFETである。別の実施形態では、各スイッチはバイポーラトランジスタである。また別の実施形態では、各スイッチは微小電子機械スイッチである。
【0044】
[サマリー]
AC電源から負荷への電力を制御するための双方向スイッチが記載される。本手法は、各スイッチを「オン」状態へと自バイアスし、光学的に結合された制御要素を用いてスイッチを強制的に「オフ」状態にする、光学的に結合され、電気的に浮動する制御回路を有する双方向スイッチサブ回路構成におけるパワーMOSFETを用いる。制御回路の時定数は、相制御およびオン・オフ制御を可能にするのに十分高速である。制御電圧が各MOSFETの閾値電圧を超えて確実に強制的にオフ状態にできるようにするために、昇圧回路が含まれる。改良された性能を提供するために、複数のサブ回路が容易にカスケード可能である。