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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】ブラジャー
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/00 20060101AFI20220309BHJP
   A41C 3/12 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A41C3/00 A
A41C3/00 B
A41C3/12 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021110264
(22)【出願日】2021-07-01
【審査請求日】2021-07-01
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396021427
【氏名又は名称】長野 茂
(72)【発明者】
【氏名】長野 茂
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-115105(JP,A)
【文献】特開2003-113504(JP,A)
【文献】実開平06-047303(JP,U)
【文献】特開平08-158110(JP,A)
【文献】特開2012-052260(JP,A)
【文献】登録実用新案第3062307(JP,U)
【文献】登録実用新案第3127664(JP,U)
【文献】登録実用新案第3016829(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C3/00-3/14
A41D7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の左右のバストを覆い補正する左右独立したバストを包む円錐形の形状としたブラカップと前記ブラカップの下辺から前記ブラカップの脇にかけて側方に延びるベルト部及び前記ブラカップの上部を始点に前記ベルト部の背中上辺を終点としたストラップと左右のベルト部を背中で連結する前記ベルト部の末端に取り付けられた係止台によって構成されたブラジャーにあって、前記ブラカップの裏側である肌側において、前記ブラカップの上部に備えられている前記ストラップの取りつけ位置の箇所を始点として、前記ブラカップの外周の基底ラインであるバージスラインに沿って、前記ブラカップの胸側縁を終点とした区間に、第1バスト補正手段として長手方向に伸縮する略三日月状の形状とした第1パワーネット生地が設けられ、前記第1パワーネット生地は、ブラカップ頂点側に面している上縁のみ前記ブラカップには縫着されておらず、他の前記ブラカップの外周に接する縁は、前記ブラカップに縫着されている前記第1パワーネット生地の幅は、最も幅の広い箇所にて前記ブラカップの頂点から前記バージスラインまでの距離の2/3の範囲内とし、前記第1バスト補正手段の前記第1パワーネット生地において、前記ブラカップのブラカップ下部とブラカップ脇部の境界であり、且つ前記ブラカップの頂点と前記バージスラインを最短距離で結ぶ線上の位置にパワーネット固定テープが備えられ、この前記パワーネット固定テープは前記第1バスト補正手段の前記第1パワーネット生地と共に前記ブラカップに縫着されていることを特徴とするブラジャー。
【請求項2】
前記ブラカップの前記ブラカップ下部と前記ブラカップ脇部の境界に設けられた前記パワーネット固定テープを始点に前記第1バスト補正手段の前記第1パワーネット生地に重複させて前記バージスラインより前記ブラカップ頂点側に2mm~15mmの範囲内にて離れた箇所から前記バージスラインに沿って前記第1バスト補正手段の第1パワーネット生地の終点である前記ブラカップの胸側縁の終点までの区間に第2バスト補正手段として第2パワーネット生地が設けられ、前記第2バスト補正手段の第2パワーネット生地は前記第1バスト補正手段の前記第1パワーネット生地に重複させて縫着され、前記第2バスト補正手段の前記第2パワーネット生地は、長手方向に伸縮し前記第1パワーネット生地よりも伸縮強度が強いことを特徴とする請求項1に記載のブラジャー。
【請求項3】
前記第2パワーネット生地の幅は、5mm~30mmの範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載のブラジャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は女性用衣料である女性の左右のバストを覆い補正する左右独立したバストを包む円錐形の形状としたブラカップとブラカップの下辺からブラカップの脇にかけて側方に延びるベルト部及びブラカップの上部を始点にベルト部の背中上辺を終点としたストラップと左右のベルト部を背中で連結するベルト部の末端に取り付けられた係止台によって構成されたブラジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブラジャーは、バストをブラカップ部にて着用者が意図とするバストを形成するためにブラカップのバージスラインである外周に沿うように半円状に形成された金属製または樹脂製のワイヤーを生地に縫いつけ、その半円状に形成された金属製または樹脂製のワイヤーによる締め付けによって左右おのおののバストを補正する方法と、ブラカップ内にブラカップと固定パッドを一体化させたモールドカップ形式とブラカップ内にパット備え付けポケットを有してパットを入れてバストを補正しブラカップ部にて着用者が意図とするバストを形成するする方法がある。
【0003】
ところが、ブラカップの外周に沿うように半円状に形成された金属製または樹脂製のワイヤーにより、バストの締め付けていることによりバストを補正する手段として用いられているが、バージスライン上に設けられたワイヤーによる補正は、バージスラインを基点にしていることからバストの付け根付近はとても効果が得られるが、ブラカップにおいて、バージスラインよりブラカップ中心に向けて少し上の付近から上では保持する能力が少しずつ弱くなってくる傾向となる。ブラカップのサイズが大きくなればなるほどその傾向は強くなってくる。またブラジャーでは、着用者によってはワイヤーの身体への食い込みなどに伴う威圧感に関する問題などからワイヤー形式を敬遠する女性もいる。一方、ブラカップ内にブラカップと固定パッドを一体化させたモールドカップ形式とブラカップ内にパット備え付けポケットを有してパットを入れてバストを補正しブラカップ部にて着用者が意図とするバストを形成する方法では、この方法は既製的であり対象とするブラジャーのバストに対して柔軟性に欠けている。女性各自の体系がまちまちなのと同じように女性のバストについても同様なことがいえる。左右のバストの形が微妙に違うこともある。パッドが少しきつめに当たったり、パッドがずれたり、パッドとバストに隙間が生じたりなど柔軟性に伴う違和感を生じる問題があった。
【0004】
そこでブラカップの外周に沿うように半円状に形成された金属製または樹脂製のワイヤーに頼る事なく、バージスラインを基点にしてバストを補正するノンワイヤー形式のブラジャーが考案されている。例えば特許文献1では、女性のバスト(胸部)を覆い補正するカップ部とベルト及びストラップとストレッチテープ等によって構成された女性用下着であるブラジャーにおいて、左または右のおのおののバストに対して、そのバスト包む円形の形状とした前記カップ部に、そのカップ部の頂点を取り囲むようにカップに沿ってパワーネットを縫いつけ、パワーネットによってバストをカップ内に包み込み補正させるように構成したブラジャーにおけるパワーネットによる補正機能が考案されている。
【0005】
ところが特許文献1では、ブラカップの中間部から下部かけて掛けて第1バスト補正手段の第1パワーネットが縫いつけられているが、ブラカップ下部部分において第1パワーネットに重複するように第2バスト補正手段の第2パワーネットが縫いつけられているブラジャーであるが、ブラカップ内のバストトップ側に面している上縁は前記ブラカップには縫製されていない事に関して触れていない。バージスラインから離れて第2バスト補正手段の第2パワーネットが設けられている事に関しても触れていない。また特許文献1では、第1バスト補正手段の第1パワーネットに重複するようにブラカップ下部に第2バスト補正手段の第2パワーネットが縫いつけられているが、第2バスト補正手段の第2パワーネットはバージスラインに接しており、この形式によるブラカップによるバストの補正は、バージスラインを基点にしていることからバストの付け根付近から第2バスト補正手段の第2パワーネット区間はとても効果が得られるが、バスト下部に対して補正が協調されすぎて、着用者によってはブラカップのバージスラインが身体への食い込みなどに伴う威圧感が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-113504号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、ブラジャーにおいて、着用時にバージスラインを基点にして作用しているブラカップ内でのバストの補正機能によって、バスト下段に対して補正が協調されすぎて、ブラカップのバージスライン付近での締め付け過ぎによる威圧感が生じる問題を鑑み、バストの補正に対して無理なく順応できるバストのリフトアップ方法によって、女性がブラジャーを着用した時に締め付け過ぎなどの威圧感や違和感を緩和しつつ適切なバストのリフトアップ効果を向上させることのできるブラジャーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記の課題を解決すべく、
1.女性の左右のバストを覆い補正する左右独立したバストを包む円錐形の形状としたブラカップと前記ブラカップの下辺から前記ブラカップの脇にかけて側方に延びるベルト部及び前記ブラカップの上部を始点に前記ベルト部の背中上辺を終点としたストラップと左右のベルト部を背中で連結する前記ベルト部の末端に取り付けられた係止台によって構成されたブラジャーにあって、前記ブラカップの裏側である肌側において、前記ブラカップの上部に備えられている前記ストラップの取りつけ位置の箇所を始点として、前記ブラカップの外周の基底ラインであるバージスラインに沿って、前記ブラカップの胸側縁を終点とした区間に、第1バスト補正手段として長手方向に伸縮する略三日月状の形状とした第1パワーネット生地が設けられ、前記第1パワーネット生地は、ブラカップ頂点側に面している上縁のみ前記ブラカップには縫着されておらず、他の前記ブラカップの外周に接する縁は、前記ブラカップに縫着されている前記第1パワーネット生地の幅は、最も幅の広い箇所にて前記ブラカップの頂点から前記バージスラインまでの距離の2/3の範囲内とし、前記第1バスト補正手段の前記第1パワーネット生地において、前記ブラカップのブラカップ下部とブラカップ脇部の境界であり、且つ前記ブラカップの頂点と前記バージスラインを最短距離で結ぶ線上の位置にパワーネット固定テープが備えられ、この前記パワーネット固定テープは前記第1バスト補正手段の前記第1パワーネット生地と共に前記ブラカップに縫着されていることを特徴としている。
2.前記ブラカップの前記ブラカップ下部と前記ブラカップ脇部の境界に設けられた前記パワーネット固定テープを始点に前記第1バスト補正手段の前記第1パワーネット生地に重複させて前記バージスラインより前記ブラカップ頂点側に2mm~15mmの範囲内にて離れた箇所から前記バージスラインに沿って前記第1バスト補正手段の第1パワーネット生地の終点である前記ブラカップの胸側縁の終点までの区間に第2バスト補正手段として第2パワーネット生地が設けられ、前記第2バスト補正手段の第2パワーネット生地は前記第1バスト補正手段の前記第1パワーネット生地に重複させて縫着され、前記第2バスト補正手段の前記第2パワーネット生地は、長手方向に伸縮し前記第1パワーネット生地よりも伸縮強度が強いことを特徴としている。
3.前記第2パワーネット生地の幅は、5mm~30mmの範囲内にあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明によれば、不特定多数のブラジャーの着用者に対し変化に富んだバスト(乳房)の大きさ、形などに対応すべく、ブラカップの裏側である肌側において、ブラカップの上部に備えられているストラップの取りつけ位置の箇所を始点として、ブラカップの外周の基底ラインであるバージスラインに沿って、ブラカップの胸側縁を終点とした最も幅の広い箇所にてブラカップの頂点からバージスラインまでの距離の2/3の範囲内にかけての区間に、第1バスト補正手段として長手方向に伸縮する略三日月状の形状とした第1パワーネット生地10を設け、この第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10によってバスト下段からバスト中段にかけてバストを伸縮生地によって包み込み、的圧にてバストの下部からバスト脇側を支え理想とするバスト形成を行うことができ、さらに第1バスト補正手段の第1パワーネット生地において、長手方向に伸縮する向きが変わるブラカップ下部とブラカップ脇部の境界にパワーネット固定テープが備えられ、第1バスト補正手段の第1パワーネット生地は、一旦このパワーネット固定テープを介してブラカップに縫着させていることにより、長手方向に伸縮する方向が変わり、ブラカップ下部とブラカップ脇部の伸縮が互いに不必要に干渉することなく、パワーネット固定テープが基点となって容易に長手方向に伸縮する向きを変えることができ、バストの形状の多様性と身体の挙動変化に対してブラカップ下部とブラカップ脇部それぞれにおいて第1バスト補正手段の第1パワーネット生地のバストへの的圧を維持することができる。
【0010】
第2から第3の発明によれば、ブラカップの裏側である肌側に設けられている第1バスト補正手段として長手方向に伸縮する略三日月状の形状とした第1パワーネット生地において、ブラカップに対して最もバスト(乳房)自体の重みと重力が作用する区間(箇所)であるバスト中段の中間位置からバスト下段の中間位置に重複するようにパワーネット固定テープを始点にブラカップ胸側縁の終点まで第2バスト補正手段の第2パワーネット生地が縫着されており、ブラカップ内にてバストからの負荷が最もかかる区間(箇所)に重点的に作用し、第1パワーネット生地と第1パワーネット生地よりも伸縮強度の強い第2パワーネット生地の相乗効果によって伸縮が行われバストをしっかり支える構造とすることにより、締め付け過ぎなどの威圧感や違和感を緩和しつつ身体の挙動変化に対しても無理なく順応ができ、またバストのリフトアップ効果を向上させて、バストを左右から寄せ、バストの下部をしっかり支え着用者が動いても違和感なく綺麗なシルエットを保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1によるブラジャーのブラカップの裏側である肌側における説明図である。
図2】第1パワーネット生地の肌側に第2パワーネット生地を設けた場合の図1でのA-B間の区間の説明図である。
図3図1でのC-D間の区間の説明図である。
図4】第1パワーネット生地のブラカップ側に第2パワーネット生地を設けた場合の図1でのA-B間の区間の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明のブラジャー1に関して説明をする。本発明では、乳房の事をバストと呼称する。またバストの下部の人体への付け根ラインと言われているバストの基底ラインの事をバージスライン5と呼称する。そして本発明では、ブラカップ2の裏側である肌側にて、ブラカップの頂点4とバージスライン5を最短距離で結ぶ線上において、ブラカップの頂点4からバージスライン5に向けての区間の距離を3等分にした時に、それぞれをバスト頂点4側からバージスライン5側に向けて順にバスト上段15、バスト中段16、バスト下段17と呼称する。さらにブラカップ外周のバージスライン5を長手方向に3分割にし、それぞれを脇部、バスト下部、胸側中心部と呼称する。本発明による図1に示すブラジャー1は、女性の胸部の左右のバストの内、身体の右側のバストを覆い補正するブラカップ2周辺を代表例として示し、本発明を説明するにあたりブラジャー1の裏側である肌側を示している。図2では図1でのA-B間の区間の説明図を示し第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12は、第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10の肌側に設けた場合の説明図を示している。また図2図4はバストに対して第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10と第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12との位置関係を示した図であり、説明の為あえてバストと第1及び第2パワーネット生地を含むブラカップ2の間は空けて説明を行っている。図3では図1でのC-D間の区間の説明図を示し第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12は、第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10の肌側に設けた場合の説明図を示している。図4では図1でのA-B間の区間の説明図を示し第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12は、第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10のブラカップ2側に設けた場合の説明図を示している。
【0013】
ブラジャー1はバストの形を整え補正することを目的としている。大きく分けてバストを適正の形状に補正するブラカップ2と、そのブラカップ2をバストに固定させるベルト部3とストラップ6にて構成されているブラジャー1は、左右おのおののバストに対して適正なるバストの形成を施すためにブラカップの頂点4を頂点として円錐状の形成をした左右おのおののバストにあてがわれ独立した2個のブラカップ2(図1では片側に限定して図示している)とブラカップ2とブラカップ2を胸部中央にて結び連結させ、かつ左カップ端から背中を一周させて右のカップ端に連結させて、胸部の横方向からブラジャーのブラカップをバストに固定させるベルト部3とブラカップの上端から肩を回って背中のベルト部3に連結されているストラップと背中中央において切断されているベルト部3とベルト部3をつなぎ合わせるベルト3部の両末端に備えられた雄カンと雌カンの止め金具によって構成されている。
【0014】
本発明では、ブラカップ2のバージスラインに縫着された土台生地とブラカップ2の脇に縫着されたサイドパネル生地と左右のサイドパネル生地から側方に延びるベルトをベルト部3と呼称する。そしてベルト部3のサイドラインには、ストレッチテープの縫いつけが施されている。またこのストレッチテープは、ベルト部3のサイドラインからストラップ6へ繋がるブラカップ2の上部にてもストレッチテープがベルト部3のサイドラインから延長して縫いつけが施されている。このストレッチテープによってブラジャー自体1の各部の補強を行っている。主に市販されているブラカップ2の素材は、ウレタン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、綿等にて構成されている。ブラカップ2は複数枚の生地を重ね合わせて出来ており表生地の上には装飾としてレース生地が縫いつけられている。ブラカップ2の裏側である肌に接する生地の素材は肌の吸水性を考慮し綿素材が多く使われている。本発明では、ブラカップ2に用いる素材またはブラカップ2を形成する生地の枚数については設計製造段階にてブラジャーの機能・適正に応じて設定する。また本発明では、ブラカップ2の裏側である肌側に通常設けられているカップ自体を繋ぎ形成するカップはぎまたはテープに関しての説明は省略する。
【実施例1】
【0015】
図1では、実施例1における女性の胸部の左右のバストの内、身体の右側のバストを覆い補正するブラカップ周辺の裏側である肌側を代表例として示している。バストを包む円錐形の形状としたブラカップ2の裏側である肌側には、ブラカップの中段から下段にかけて、ブラカップ2の上部に備えられているストラップ6の取りつけ位置の箇所を始点として、ブラカップの外周の基底ラインであるバージスライン5に沿って、ブラカップの胸側縁7を終点とした区間に、第1バスト補正手段として長手方向に伸縮する略三日月状の形状とした第1パワーネット生地10が設けられている。第1パワーネット生地10は、ブラカップ頂点4側に面している上縁のみブラカップ2には縫着されておらず、他のブラカップ2の外周に接する縁はブラカップ2に縫着されている。即ち、ストラップ6の取りつけ位置から脇部ストレッチテープ8とブラカップ2外周のバージスライン5を経てバージスライン5の胸側の末端9からブラカップ2の胸側縁7の終点までの区間は、第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10の縁は、それぞれ接する脇部ストレッチテープ8とブラカップ2外周のバージスライン5とバージスライン5の胸側の末端9からブラカップ2の胸側縁7に縫着されている。
【0016】
この第1パワーネット生地10の幅は、始点であるブラカップ2に接続されているストラップ6の取りつけ位置の箇所が最小となっている。また終点であるブラカップ2の胸側縁7の終点付近でも幅は狭くなる。一方、バストの下部であるブラカップ2の下部付近では第1パワーネット生地10の幅が広くなっているが、バスト中段16とバスト下段17に対して補正する目的から、その幅はブラカップ2の頂点であるブラカップ頂点4からバージスライン5までの距離の2/3の範囲内になるように設定されている。
【0017】
第1バスト補正手段として長手方向に伸縮する略三日月状の形状とした第1パワーネット生地10において、ブラカップ2を脇部と下部と胸側中心部の3分割にした場合に、ブラカップ下部と脇部の境界かつブラカップの頂点4とバージスライン5を最短距離で結ぶ線上の位置にパワーネット固定テープ13が備えられ、パワーネット固定テープ13は、ブラカップ2に縫着されている。そしてブラカップ2に縫着されたパワーネット固定テープ13の上に第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10が縫着されている。従って、ブラカップ2の裏側である肌側に設けられている第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10は、ブラカップ2のブラカップ下部と脇部の境界においてパワーネット固定テープ13を介して一旦ブラカップ2に縫いつけられている。
【0018】
ブラカップ2の裏側である肌側に設けられている第1バスト補正手段として長手方向に伸縮する略三日月状の形状とした第1パワーネット生地10に重複させて第2バスト補正手段として第2パワーネット生地12が縫着されている。第1パワーネット生地10に重複させている第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12の始点は、パワーネット固定テープ13であり、かつパワーネット固定テープ13上においてバージスライン5より2mm~15mmの範囲内にてブラカップ頂点4よりに離れた箇所を始点としている。そして第2バスト補正手段として第2パワーネット生地12は、バージスライン5から2mm~15mmの範囲内にてブラカップ頂点4よりに離れた箇所からバージスライン5沿ってブラカップの胸側縁7にて第1パワーネット生地10を介して縫着されている。第2バスト補正手段である第2パワーネット生地12は、長手方向の側面であるバージスライン側5とバストトップ側4の両側面とも対面する第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10に対してのみ縫着されている。即ち、第2バスト補正手段である第2パワーネット生地12は、長手方向の側面はブラカップ2には縫着されていない。この第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12は、長手方向に伸縮し第1パワーネット生地10よりも伸縮強度が強い伸縮素材の生地を用いている。
【0019】
第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10の上に重複させて縫着されている第2バスト補正手段としての第2パワーネット生地12について、パワーネット固定テープ13を始点にブラカップ2の外周に位置するバージスライン5より2mm~15mmの範囲内にてブラカップの頂点4よりに離れた箇所からバージスライン5沿ってブラカップ胸側縁7を終点とした区間に縫着されている。この距離に関してはブラカップ2のバージスライン5と第2バスト補正手段である第2パワーネット生地12のバージスライン側に面している側面との距離のことである。第2バスト補正手段としての第2パワーネット生地12の設定位置は、バスト中段16の中間からバスト下段17の中間にかけての箇所に第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10に重複するように設定している。第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12の始点であるパワーネット固定テープ13において、第2パワーネット生地12がバージスライン5から離れている距離に関しては、該当するブラカップ2おいてバージスライン5からブラカップの頂点4までの距離にておよそ決まる。従ってバージスライン5と第2パワーネット生地12との距離はブラカップ2のサイズが小さいAカップではバージスライン5からブラカップの頂点4までの距離が短くなることから短くなり、逆にバージスライン5からブラカップの頂点4までの距離がAカップより長くなるブラカップのサイズが大きくなるDカップやFカップなどは、バージスライン5と第2パワーネット生地12との距離は長くなる。本発明では、この第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12がバージスライン5から離れている距離の設定数値の幅を2mm~15mmと設定している。第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12がバージスライン5から離れている距離の設定数値は上記に述べたブラカップ2の大きさによっておよそ決まるが、ブラカップ2の形状とバスト補正目的に合わせて十分に考量しブラジャー1の設計時に数値を決める。
【0020】
第1パワーネット生地10に重複させて縫着されている第2バスト補正手段としての第2パワーネット生地12の幅は、5mm~30mmの範囲内に設定されている。第2バスト補正手段としての第2パワーネット生地12の目的は、図2または図4で示すようにバスト中段16の中間からバスト下段17の中間にかけての区間を支えること目的としている。ブラカップ2がDカップやFカップなどサイズが大きくなれば支える幅が広くなり第2パワーネット生地12の幅は広くなってくる。第2パワーネット生地12の幅に関しては、該当するブラカップ2のブラカップの大きさにておよそ決まる。従って第2バスト補正手段としての第2パワーネット生地12の幅は、ブラカップ2のサイズが小さいAカップはブラカップが小さいことから幅が狭くなり、逆にAカップより大きくなるDカップやFカップなどは、ブラカップが大きくなることから第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12の幅が広くなる。本発明では、この第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12の幅の設定数値の幅を5mm~30mmの範囲内に設定されている。第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12の幅の設定数値は上記に述べたブラカップ2の大きさによっておよそ決まるが、ブラカップ2の形状とバスト補正目的に合わせて十分に考量しブラジャー1の設計時に数値を決める。
【0021】
以下、実施例1に記載された本実施形態の作用及び効果について説明する。ブラジャー1を着用する最大の目的は、バストを適正の形状に補正する事を目的としている。女性のバスト(乳房)の形は同じではなく千差万別である。ブラカップ2のサイズがBカップの女性達の中にはBカップが適正の人もいればAカップに近いBカップの人もいるしCカップに近いBカップの人もいる。できるだけ理想のバストラインに保つこととバスト(乳房)自体の重みと重力が作用する負荷を低減させることがブラジャー1に対しての課題でもある。
【0022】
ブラジャー1を着用したときにブラカップ2内において最もバスト自体の重みによる負荷が大きい箇所はどこかと言えば、ブラカップの頂点4を中心に垂直(縦)方向に断面したときにブラカップの頂点4より上の首側よりもバスト(乳房)自体の重みと重力が作用するブラカップの頂点4より下の腹側となるバスト下部区間になる。さらにバスト下部区間でも、バスト中段16の中間からバスト下段17の中間までの区間の箇所が最もバスト(乳房)自体の重みと重力が作用する区間(箇所)である。バスト上段15では、バストの頂点に近づけば近づくほどバストの円錐形の形状からバスト(乳房)自体の重み自体が減少する。一方、バスト下段17では、バスト(乳房)自体の重みはあるものの身体からのバストを支える力が作用しバスト(乳房)自体の重みによる直接の負荷は、バージスラインに近づくほどに僅かではあるが減少する傾向にある。よって本発明では、ブラジャー1を着用したときにブラカップ2内において最もバスト(乳房)自体の重みと重力が作用して負荷が大きい区間(箇所)はどこかに注目して発明を行っている。
【0023】
本発明では、ブラカップ2の裏側である肌側のバージスライン5を基点にブラカップのバスト中段16からバスト下段17にかけて第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10を設け、この第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10によってバージスライン5からブラカップ2の中段16からバスト下段17にかけてバストを三日月状の形状とした伸縮生地によって包み込み、的圧にてバストの下部とバスト脇側を支え理想とするバスト形成を行っている。さらに第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10にブラカップ2内のバスト下部区間にてバストからの負荷が最もかかるバスト中段16の中間からバスト下段17の中間までの区間に伸縮強度が第1パワーネット生地10よりも強く設定されている第2バスト補正手段である第2パワーネット生地12が備えられ、第2パワーネット生地12は第1パワーネット生地10に縫着されている。時として伸縮素材によるバストの補正は、伸縮生地単体では補正効果を上げようとすると締め付け感が強く感じて不自然な圧による圧迫感を着用者に与えてしまいストレスを感じさせてしまう問題も生じかねない。本発明の構造にすることによって伸縮強度の異なるパワーネット生地を組みあわせる事によって伸縮強度を広く取れる事ができる。
【0024】
第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12の脇側の端は、第1パワーネット生地10を介してパワーネット固定テープ13に縫着されており、胸側の端は、ブラカップの胸側縁7にて第1パワーネット生地10を介して縫着され、第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12の左右両端はしっかりと第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10を介してブラカップ2に固定されている。第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12の設定位置がバスト下部に限定していることからブラカップ2内においてバスト(乳房)自体の重みと重力による負荷が最もかかる区間(箇所)に重点的に作用し、この両端を基点にバストからの負荷に対して伸縮が行われバストをしっかり支え、第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12自体をパワーネット固定テープ13とブラカップ胸側縁7にて支える構造としている。従って図3で示すように第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12は、パワーネット固定テープ13とブラカップ胸側縁7が支えとなってブラカップ2内の脇部分の負荷変動に影響を受けにくく、バスト下部からの負荷変動に集中して対応できる構造としている。
【0025】
ブラカップ2裏側である肌側のブラカップ下部とブラカップ脇部の境界においてパワーネット固定テープ13が備えられ、第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10は、一旦このパワーネット固定テープ13を介してブラカップ2に縫着されている。このパワーネット固定テープ13が設けられる作用として、図1図3で説明すると第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10は、ブラカップ2のバスト中段16からバスト下段17にかけて、ブラカップ2の上部に備えられているストラップ6の取りつけ位置の箇所を始点として、ブラカップの外周の基底ラインであるバージスライン5に沿ってブラカップ2の胸側縁7を終点とした区間に設けられているが、この第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10は、ブラカップ下部とブラカップ脇部の境界付近で長手方向に伸縮する向きが変わる。ブラカップ下部では長手方向の伸縮Gは主として左右方向の伸縮になるが、一方、ブラカップ脇部では長手方向の伸縮Fは主として上下方向の伸縮に変わる。ブラカップ下部とブラカップ脇部の境界付近では、バージスライン側5が最も伸縮生地が伸びやすく逆にブラカップの頂点4側が縮む。この状態では第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10でのバスト下部とバスト脇部での伸縮できる容量が狭くなってしまう。
【0026】
本発明では、これに対処すべく第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10をブラカップ2の裏側である肌側に縫着した時に、ブラカップ2の裏側である肌側においてブラカップ下部とブラカップ脇部の境界付近で長手方向に伸縮する向きが変わるこの位置にパワーネット固定テープ13を設け、第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10は、一旦このパワーネット固定テープ13を介してブラカップ2に縫着されている。第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10は、パワーネット固定テープ13を介してブラカップ2に縫着させて、ブラカップ下部の左右伸縮Gとブラカップ脇部の上下伸縮Fが互いに不必要に干渉することなく、ここが基点となって容易に長手方向に伸縮する向きを変えることができる。即ち、第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10をパワーネット固定テープ13に介してブラカップ2に縫着されることによって、ブラカップ下部の左右伸縮Gとブラカップ脇部の上下伸縮Fが互いに不必要に干渉しないような構造とすることによってバストの形状の多様性と身体の挙動変化に対してブラカップ下部とブラカップ脇部において第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10のバストへの的圧を維持することができる。
【0027】
仮にパワーネット固定テープ13が無いと第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10はバストからの負荷の切り替えが出来なくなり、ブラカップ下部の左右伸縮Gとブラカップ脇部の上下伸縮Fのどちらかの負荷が強い方に影響されてしまう。結果、着用者への締め付け感や不快感が増え、適正なるバスト保持が出来なくなる。
【0028】
身体の挙動変化に伴ってバストが動く時にバストを支えるのに伸縮性を有した生地が効果的な点として、必要以上の締め付けが無くてもホールド性を保てる点と、一時的に過剰な負荷が掛かっても伸縮生地は連続的な柔軟性があることから周りに力を逃がすことも容易となる点が挙げられる。バストに対して身体の挙動変化に対して常にバストに対して的圧を保持した状態でブラカップ2内に納めておく事がブラジャー1の着用者自身のバストの負荷低減に繋がる。バストからの荷重を受け止めるには伸縮する生地にて場所に偏ることなく常にバストに対して的圧にて全体で支えた方が、ブラジャー1の着用者自身のバストからの負担は軽減できる。仮に第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10と第2バスト補正手段である第2パワーネット生地12とを伸縮しない生地にするとかなり締め付けておかないとブラカップ2内の場所に偏ることなく常にバストに対して的圧に維持することは難しくなる。不必要な過剰の締め付けはブラジャー1の着用者にとって不快の原因にもなる。
【0029】
身体の挙動変化によってバストから必要以上の負荷がブラカップ2に対して生じた時に1箇所1点に集中する負荷を周辺に受け流し、バストを支える機能をブラカップ全体で担う事もブラジャー1の着用者にとって不快感の軽減には必用なことである。本発明では、第1バスト補正手段である第1パワーネット生地10においてブラカップの頂点4に面している側面をブラカップ2に縫着しないことによって身体の挙動変化によってバストから必要以上の負荷がブラカップ2に対して生じた時に1箇所1点に集中することなく負荷を周辺に受け流し、バストを支える機能をブラカップ全体2で担う構造としている。
【0030】
本実施形態では、第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12は、第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10の肌側となっているが、図4で示すように第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12を第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10のブラカップ2に面している面に縫着しても良い。第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10のどちらの面に第2バスト補正手段の第2パワーネット生地12を縫着しても作用及び効果に変化はない。製造段階で縫製のし易さで選択すれば良い。
【0031】
本発明の第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10は、ブラカップ2内側のブラカップ下部とブラカップ脇部の境界においてパワーネット固定テープ13が備えられ、一旦このパワーネット固定テープ13を介してブラカップに縫着されている。第1バスト補正手段の第1パワーネット生地10は、ブラカップの頂点4はブラカップ2側には縫着されておらず口が開いている状態となっており、ここにブラパットを入れてバストを補正する方法を用いても良い。
【0032】
本発明ではブラジャーに限定することなく、ブラカップを有する衣類である、ボディスーツ、ブラスリップ、ブラキャミソール、水着などに関しても適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、ブラジャーに代表されるブラカップを有する女性用衣類を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0034】
1.ブラジャー
2.ブラカップ
4.ブラカップの頂点
5.バストの基底ラインであるバージスライン
6.ストラップ
7.ブラカップ胸側縁
8.脇部ストレッチテープ
9.バージスライン胸側末端
10.第1バスト補正手段の第1パワーネット生地
12.第2バスト補正手段の第2パワーネット生地
13.パワーネット固定テープ
15.バスト上段
16.バスト中段
17.バスト下段
G.バスト下部からの負荷力
F.バスト脇部からの負荷



【要約】      (修正有)
【課題】ブラジャーを着用した時にバストを的圧にて適切な補正を行い、ブラカップ内においてバスト自体の重みと重力が作用する負荷を低減させて理想のバストラインに保つことができるブラジャーを提供する。
【解決手段】ブラカップの裏側である肌側において、ストラップ6の取りつけ位置の箇所を始点として、バージスライン5に沿って、胸側縁7を終点とした区間に、長手方向に伸縮する略三日月状の形状とした第1パワーネット生地10を設け、第1パワーネット生地10のブラカップ下部とブラカップ脇部の境界にパワーネット固定テープ13を備え、さらに第1パワーネット生地10に重複させてパワーネット固定テープ13を始点にバージスライン5よりブラカップ頂点側に2mm~15mmの範囲内にて離れた箇所からバージスライン5に沿ってブラカップの胸側縁7を終点とした区間に伸縮強度を強くした第2パワーネット生地12が設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4