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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】複合部材
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20220309BHJP
   B22F 5/10 20060101ALI20220309BHJP
   B22F 10/00 20210101ALI20220309BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20220309BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220309BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20220309BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20220309BHJP
   B62D 1/12 20060101ALI20220309BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20220309BHJP
   F16H 57/031 20120101ALI20220309BHJP
   F16H 57/032 20120101ALI20220309BHJP
   G05G 1/00 20080401ALI20220309BHJP
   B29K 705/00 20060101ALN20220309BHJP
   B29L 22/00 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
B29C45/14
B22F5/10
B22F10/00
B32B3/30
B32B15/08 E
B33Y80/00
B60K13/04
B62D1/12
F02C7/00 B
F16H57/031
F16H57/032
G05G1/00 A
B29K705:00
B29L22:00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021147573
(22)【出願日】2021-09-10
(62)【分割の表示】P 2021032566の分割
【原出願日】2021-03-02
【審査請求日】2021-09-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594062879
【氏名又は名称】株式会社シンセイ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋爾
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-096385(JP,A)
【文献】特開2020-101246(JP,A)
【文献】特開2016-144823(JP,A)
【文献】特開2017-150020(JP,A)
【文献】実開昭60-053675(JP,U)
【文献】特開2005-029806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B22F 1/00-12/90
B32B 1/00-43/00
B33Y 10/00-99/00
B60K 13/04
B62D 1/12-1/14
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を備える移動体の部品として使用され、駆動時に数百度になる複合部材であって、
金属構造体と、前記金属構造体の表面を覆う樹脂部と、を有し、
前記金属構造体は、
前記樹脂部が接合される接合面および前記接合面の裏側に設けられた凹部を備える第1部分と、
前記凹部に配置されるとともに前記樹脂部とは反対側から前記凹部の内面に接続される第2部分と、を備え、
前記第2部分は、多孔質体、ラティス構造体、リブ構造体、およびハニカム構造体のいずれかであることを特徴とする複合部材。
【請求項2】
駆動部を備える移動体の部品として使用され、駆動時に数百度になる複合部材であって、
金属構造体と、前記金属構造体の表面を覆う樹脂部と、を有し、
前記金属構造体は、
前記樹脂部が接合される接合面および前記接合面の裏側に設けられた中空部を備える第1部分と、
前記中空部に配置されるとともに前記樹脂部とは反対側から前記中空部の内面に接続される第2部分と、を備え、
前記第1部分は、前記金属構造体の外殻部であり、
前記第2部分は、多孔質体、ラティス構造体、リブ構造体、およびハニカム構造体のいずれかであり、
前記第1部分は、前記中空部に連通する開口部を備え、
前記樹脂部は、前記開口部に連通する孔を備えることを特徴とする複合部材。
【請求項3】
駆動部を備える移動体の排気ダクト、ギアボックス、およびハンドルレバーのいずれかとして使用される複合部材であって、
金属構造体と、前記金属構造体の表面を覆う樹脂部と、を有し、
前記金属構造体は、
前記樹脂部が接合される接合面および前記接合面の裏側に設けられた中空部を備える第
1部分と、
前記中空部に配置されるとともに前記樹脂部とは反対側から前記中空部の内面に接続される第2部分と、を備え、
前記第1部分は、前記金属構造体の外殻部であり、
前記第2部分は、多孔質体、ラティス構造体、リブ構造体、およびハニカム構造体のいずれかであり、
前記第1部分は、前記中空部に連通する開口部を備え、
前記樹脂部は、前記開口部に連通する孔を備えることを特徴とする複合部材。
【請求項4】
前記開口部を複数備え、
前記複数の開口部は、前記中空部に流体を流入させる流入孔と、前記中空部から前記流体を流出させる流出孔と、を備え、
前記第2部分は、前記中空部を流れる流体に接触して冷却効率を高める放熱部であることを特徴とする請求項2または3に記載の複合部材。
【請求項5】
前記移動体の排気ダクト、ギアボックス、およびハンドルレバーのいずれかとして使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の複合部材。
【請求項6】
前記移動体は、車両、飛行機、および船舶のいずれかであることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の複合部材。
【請求項7】
前記接合面には、前記樹脂部を形成する樹脂が入り込む微細孔または微細凸部が設けられていることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の複合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属構造体に樹脂を接合した複合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、飛行機、船舶等の部品として、金属に樹脂を接合した複合部材が用いられている。例えば、部品の軽量化のため金属製から樹脂製への変更を行うにあたって、樹脂では強度を確保できない場合に、金属に樹脂を接合した複合部材が用いられている。この種の複合部品は、例えば、金属製のインサート部材(金属構造体)を金型内に配置して射出成形を行うインサート成形により製造される。
【0003】
特許文献1には、この種の複合部材として、金属の表面に樹脂コーティング層を接合した金属樹脂接合体が記載される。特許文献1の金属樹脂接合体は、金属と樹脂との密着度を高めるために、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理等によって金属の表面に微細な凹凸を形成して粗面化している。
【0004】
また、特許文献2には、多孔質の金属部材と樹脂とをインサート部材によって一体化させて複合部材を製造することが記載される。多孔質金属の表面の孔に樹脂が入り込むことによってアンカー効果が発揮され、金属と樹脂との密着度が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/116879号
【文献】特開2001-347540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属と樹脂とを接合した複合部材は、樹脂の軟化点、融点、あるいはそれ以上の熱源が近くにある環境で使用される場合に、耐熱性が低い樹脂が高温になり、悪影響が発生することが懸念される。例えば、数百度の熱が断続的に加わるような使用状況では、樹脂への悪影響が懸念される。
【0007】
上記の点に鑑みて、本発明の課題は、軽量で、且つ、樹脂の温度上昇を抑制できる複合部材を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、駆動部を備える移動体の部品として使用され、駆動時に数百度になる複合部材であって、金属構造体と、前記金属構造体の表面を覆う樹脂部と、を有し、前記金属構造体は、前記樹脂部が接合される接合面および前記接合面の裏側に設けられた凹部を備える第1部分と、前記凹部に配置されるとともに前記樹脂部とは反対側から前記凹部の内面に接続される第2部分と、を有し、前記第2部分は、多孔質体、ラティス構造体、リブ構造体、およびハニカム構造体のいずれかであることを特徴とする。
あるいは、本発明は、駆動部を備える移動体の部品として使用され、駆動時に数百度になる複合部材であって、金属構造体と、前記金属構造体の表面を覆う樹脂部と、を有し、前記金属構造体は、前記樹脂部が接合される接合面および前記接合面の裏側に設けられた中空部を備える第1部分と、前記中空部に配置されるとともに前記樹脂部とは反対側から前記中空部の内面に接続される第2部分と、を備え、前記第1部分は、前記金属構造体の外殻部であり、前記第2部分は、多孔質体、ラティス構造体、リブ構造体、およびハニカム構造体のいずれかであり、前記第1部分は、前記中空部に連通する開口部を備え、前記樹脂部は、前記開口部に連通する孔を備えることを特徴とする。
また、本発明は、駆動部を備える移動体の排気ダクト、ギアボックス、およびハンドルレバーのいずれかとして使用される複合部材であって、金属構造体と、前記金属構造体の表面を覆う樹脂部と、を有し、前記金属構造体は、前記樹脂部が接合される接合面および前記接合面の裏側に設けられた中空部を備える第1部分と、前記中空部に配置されるとともに前記樹脂部とは反対側から前記中空部の内面に接続される第2部分と、を備え、前記第1部分は、前記金属構造体の外殻部であり、前記第2部分は、多孔質体、ラティス構造
体、リブ構造体、およびハニカム構造体のいずれかであり、前記第1部分は、前記中空部に連通する開口部を備え、前記樹脂部は、前記開口部に連通する孔を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、樹脂部に金属構造体を接合するので、部材の一部を樹脂化して軽量化することができる。また、金属構造体を備えているので、強度を確保できる。さらに、第1部分の裏側に細かく区画された空気層を設けることができるので、断熱性を高めることができる。従って、樹脂側への熱伝達を抑制でき、樹脂の温度上昇を抑制できる。あるいは、複雑な構造によって放熱性を高めることができるので、樹脂の温度上昇を抑制できる。従って、熱による樹脂への悪影響を抑制できる。さらに、第2部分は金属の構造体であるため、強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0010】
また、本発明によれば、前記第1部分に設けられた凹部または中空部に前記第2部分が配置される。従って、第1部分を薄肉化して軽量化できるので、金属構造体の軽量化を図ることができる。
【0011】
また、本発明によれば、複合部材の表面の孔から中空部に流体を流すことができる。従って、内側から金属構造体を冷却して樹脂の温度上昇を抑制できる。あるいは、樹脂部を成形するインサート成形工程において、樹脂材料から発生するガスを中空部に逃がすことができる。従って、第1部分に接合される樹脂の成形不良を抑制できる。
【0012】
この場合に、前記開口部が、3Dプリンタによって前記金属構造体を製造する製造工程において前記中空部に残留する金属材料を排出するための排出孔である場合には、3Dプリンタによる製造工程でできる排出孔を利用して樹脂材料から発生するガスを中空部に逃がすことができる。従って、第1部分に接合される樹脂の成形不良を抑制できる。
【0013】
本発明において、前記開口部を複数備え、前記複数の開口部は、前記中空部に流体を流入させる流入孔と、前記中空部から前記流体を流出させる流出孔と、を備え、前記第2部分は、前記中空部を流れる流体に接触して冷却効率を高める放熱部であることが好ましい。このようにすると、表面積の大きい第2部分が流体に接触して放熱性を高めることができるので、冷却効率を高めることができる。従って、樹脂の温度上昇を抑制できる。
【0014】
本発明において、前記開口部に配置される多孔体またはメッシュ構造体を備えることが好ましい。このようにすると、中空部に異物が入り込むことを防止あるいは抑制できる。
【0015】
本発明において、前記接合面には、前記樹脂部を形成する樹脂が入り込む微細孔または微細凸部が設けられていることが好ましい。このようにすると、樹脂の接合強度を高めることができる。また、3Dプリンタによって微細孔または微細凸部を形成する場合には、微細孔または微細凸部の形状および配置を精密にコントロールすることができる。これにより、樹脂との接合強度を部位に応じて最適化することができる。
【0019】
本発明の複合部材において、前記移動体は、車両、飛行機、および船舶のいずれかである。本発明の複合部材は、このような用途に使用することが想定される。
【0020】
前記複合部材は、高温になる部位に使用される。例えば、前記複合部材は、数百度で所定時間強度を保つ。
【0021】
例えば、本発明の複合部材は、モーターなどの熱源回りの部品として使用される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、樹脂部に金属構造体を接合するので、部材の一部を樹脂化して軽量化することができる。また、金属構造体を備えているので、強度を確保できる。さらに、第1部分の裏側に細かく区画された空気層を設けることができるので、断熱性を高めることができる。従って、樹脂側への熱伝達を抑制でき、樹脂の温度上昇を抑制できる。あるいは、複雑な構造によって放熱性を高めることができるので、樹脂の温度上昇を抑制できる。従って、熱による樹脂への悪影響を抑制でき、複合部材の耐熱性を高めることができる。さらに、第2部分は金属の構造体であるため、強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を適用した実施形態1の金属構造体の斜視図である。
図2図1の金属構造体を備える複合部材の断面図である。
図3図2の複合部材の製造方法の説明図である。
図4】実施形態2の金属構造体の斜視図および複合部材の断面図である。
図5図4の金属構造体を備える複合部材の製造方法の説明図である。
図6参考形態の金属構造体の斜視図および複合部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に説明する複合部材の実施形態は、いずれも、車両、飛行機、船舶など移動体の部
品である。この種の移動体は駆動部を備えており、複合部材は、高温になる部位に使用される。例えば、複合部材は、オーバーヒート時に数百度になることが想定される部位に使用される。そのため、複合部材は、数百度で所定時間強度を保つように設計される。より具体的には、モーターなどの熱源回りの部品(例えば、ギアボックス)、排気ダクト、ハンドルレバー、ディスクブレーキキャリパーなどが想定される。なお、本発明を適用した複合部材は、車両、飛行機、船舶などの部品に限定されるものではなく、他の用途での使用も可能である。
【0025】
本発明を適用した複合部材は、3Dプリンタにより製造される金属構造体と、インサート成形により金属構造体に接合され金属構造体と一体化される樹脂部を備える。金属構造体は、例えば、チタン、インコネル(登録商標)、ステンレス鋼、銅、あるいはこれらの金属の合金などの熱伝導性が低い金属からなる。なお、他の金属によって金属構造体を形成してもよい。以下、図面を参照して、金属構造体および複合部材の実施形態を説明する。
【0026】
<実施形態1>
図1(a)は、本発明を適用した実施形態1の金属構造体10Aの斜視図であり、図1(b)および図1(c)は、金属構造体10Aの部分断面図である。図2は、図1の金属構造体10Aを備える複合部材1の断面図である。図2に示すように、複合部材1は、金属構造体10Aと、金属構造体10Aの表面を覆う樹脂部20Aを備える。樹脂部20Aは、複合部材1の製品輪郭面に配置される。
【0027】
本明細書において、X方向、Y方向、Z方向は互いに直交する方向である。図1図2では、図の上下に合わせて、Z方向を便宜的に上下方向とする。なお、実際の複合部材1の使用態様では、Z方向と上下方向(鉛直方向)とが一致していなくてもよい。
【0028】
金属構造体10Aは、樹脂部20Aに接合される第1部分40と、第1部分40の裏側(樹脂部20Aとは反対側)に形成される凹部41と、凹部41に配置される第2部分42を備える。第1部分40は、樹脂部20Aに接合される接合面13を備える。また、第1部分40は、Y方向の側面である第3面43と、第2面12とは反対側を向く第4面44を備えており、凹部41は、第3面43および第4面44に開口する。第3面43および第4面44は、樹脂に接合されない面である。
【0029】
接合面13は、第1面11および第2面12を備える。第1面11は、金属構造体10AのX方向の側面である。第2面12は、金属構造体10Aの上面(天面)であり、Z方向を向いている。第1面11には多数の第1微細孔14が規則的に配列され、第2面12には多数の第2微細孔15が規則的に配列される。従って、接合面13は多孔質の面である。
【0030】
実施形態1では、第1微細孔14と第2微細孔15は同一形状の孔である。図1(b)、図1(c)に示すように、第1微細孔14と第2微細孔15の断面形状は、開口部の径D1よりも内径の最大値D2の方が大きいアンダーカット形状である。第1面11における第1微細孔14の配置間隔P1は、第2面12における第2微細孔15の配置間隔P2よりも大きい。従って、金属構造体10Aは、第2面12の方が第1面11よりも単位面積当たりの孔数が多い。
【0031】
第1微細孔14および第2微細孔15には、インサート成形の際に樹脂が入り込み、アンカー部16(図2参照)が形成される。微細孔が密に配置される面、言い換えれば、単位面積当たりの孔数が大きい面の方が、アンカー部16の数が多いため、樹脂との接合強度が高い。従って、第1面11よりも第2面12の方が樹脂との接合強度が高い。
【0032】
第2部分42はラティス構造体である。図1図2に示すように、第2部分42は、第1部分40の裏面(すなわち、凹部41の内面)に接続される格子状の金属部分42aと、金属部分42aによって区画される隙間42bを備える。従って、第2部分42は、内部に空気層を備える。
【0033】
(金属構造体の製造方法)
金属構造体10Aは、3Dプリンタを用いて製造される。3Dプリンタの造形方式は、パウダーベット方式、もしくは、バインダージェット方式である。パウダーベット方式では、金属粉末を成形台に1層分敷き詰めてレーザーや電子ビームを照射して必要な部分を溶かして固化させる工程を多層分繰り返して行う。これにより、固化した金属を積層して立体形状の金属構造体を造形する。バインダージェット方式では、金属粉末の層にバインダー(液体結合剤)を噴射して結合させながら積層して立体形状の金属構造体を造形し、造形後にバインダーを除去する。なお、パウダーベット方式もしくはバインダージェット方式以外の造形方式の3Dプリンタを用いて金属構造体10Aを製造することもできる。
【0034】
3Dプリンタによる金属構造体10Aの製造工程では、金属構造体10Aの3次元形状データを使用するが、その際、凹部41に配置する第2部分42(ラティス構造体)の3次元形状を設定して3次元形状データを作成する。また、第1面11における第1微細孔14の3次元形状および配置と、第2面12における第2微細孔15の3次元形状および配置を設定して3次元形状データを作成する。第1微細孔14と第2微細孔15の3次元形状および配置は、3Dプリンタによって精密にコントロールされる。第1微細孔14の孔径および第2微細孔15の孔径は、1μm以上500μm以下の範囲で設定することができる。また、第2部分42(ラティス構造体)の3次元形状も、3Dプリンタによって精密にコントロールされる。
【0035】
(複合部材の製造方法)
図3は、図2の複合部材1の製造方法の説明図であり、インサート成形用の金型30Aに金属構造体10Aを位置決めした状態を模式的に示す図である。金型30Aは、第1型31および第2型32と、スライド型34を備える。第1型31は、上方に湾曲した形状の第2部分42(ラティス構造体)に沿う形状で上方に突出した型面33を備える。キャビティCに樹脂材料を充填するためのゲートGは、第1型31に設けられている。
【0036】
インサート成形工程では、図3に示すように、金属構造体10AをキャビティCに配置し、第4面44をゲートGに対向する第1型31の型面に当接させる。また、スライド型34を第3面43に当接させる。しかる後に、ゲートGから樹脂材料をキャビティCに充填し、硬化させて樹脂部20Aを成形する。このとき、第1微細孔14および第2微細孔15に樹脂材料が入り込み、アンカー部16が形成される。これにより、第1面11および第2面12(すなわち、接合面13)が樹脂部20Aに接合される。また、スライド型34が第3面43に当接しているので、凹部41には樹脂材料が流入しない。従って、第2部分42が樹脂で覆われることはない。
【0037】
図3に示す例では、第1型31と第2型32は、Z方向に対向する。金属構造体10Aの第1面11はYZ平面に平行である。第2面12はXY平面に沿う湾曲面であって、ゲートGと対向する。ここで、ゲートGからキャビティCに樹脂材料が充填されるときの樹脂の流れ方向をMD(Machine Direction)方向、樹脂の流れに直角な方向をTD(Transverse Direction)方向とするとき、MD方向はZ方向であり、X方向およびY方向はTD方向である。従って、図3に示す例では、第1面11はMD方向に沿う面であり、第2面12は、MD方向に直交する面である。
【0038】
射出成形において、MD方向の成形収縮率は、TD方向の成形収縮率よりも小さい。従って、図3に示す金型30Aによってインサート成形を行う場合には、第2面12に接合される樹脂は、第1面11に接合される樹脂よりも成形収縮率が大きい。金属構造体10Aは、第2面12の方が、第1面11よりも単位面積当たりの孔数が多く、アンカー部16が密に形成される。つまり、金属構造体10Aは、樹脂の成形収縮率の違いに起因する樹脂の密着度の違いをアンカー部16の量によって補うことができる。
【0039】
(実施形態1の主な作用効果)
実施形態1では、金属構造体10Aが3Dプリンタにより製造されるため、樹脂部20Aに接合される第1部分40と、格子状のラティス構造体である第2部分42とを一体に形成することができる。3Dプリンタを用いることで、従来の製造方法では製造が困難であった複雑な構造の金属構造体10Aを製造できる。
【0040】
第2部分42は、格子状の金属部分42aによって細かく区画された隙間42bを備えており、空気層を備えているので、断熱性が高い。従って、樹脂部20Aへの熱伝達を抑制できる。また、第2部分42に沿って流体を流した場合には、流体と金属部分42aとの接触面積が大きいため、放熱性が高い。従って、樹脂部20Aの温度上昇を抑制できる。よって、熱による樹脂への悪影響を抑制でき、複合部材1の耐熱性を高めることができる。
【0041】
金属構造体10Aは、樹脂が接合される部分(第1部分40)が製品輪郭形状であり、その裏面は複雑な構造体(ラティス構造体)を備えている。すなわち、第1部分40の裏側に凹部41が設けられており、凹部41に第2部分42が配置される。従って、第1部分40を薄肉化して軽量化することができ、金属構造体10Aの軽量化を図ることができる。また、第2部分42は金属製のラティス構造体であるため、強度を確保できる。従って、複合部材1の強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0042】
金属構造体10Aは、チタン、インコネル(登録商標)、ステンレス鋼、銅、あるいはこれらの金属の合金などの熱伝導性が低い金属からなる。従って、樹脂部20Aへの熱伝導を減らすことができ、樹脂部20Aの温度上昇を抑制できる。よって、複合部材1の耐熱性を高めることができる。
【0043】
金属構造体10Aにおける樹脂部20Aとの接合面13には、樹脂が入り込む第1微細孔14および第2微細孔15が形成されているので、インサート成形によりアンカー部16が形成され、金属構造体10Aと樹脂部20Aとの接合強度を高めることができる。3Dプリンタにより製造することで、第1微細孔14および第2微細孔15の孔形状および配置を精密にコントロールすることができる。従って、樹脂部20Aとの接合強度を部位に応じて最適化することができる。
【0044】
(変形例)
(1)第2部分42は、ラティス構造体とは異なる構造であってもよい。例えば、ハニカム構造体、リブ構造体、あるいは、多孔質体であってもよい。これらの構造は、いずれも、規則的に配置される金属部分と、金属部分によって区画される隙間を備えている。従って、細かく区画された空気層を有しており、断熱性が高い。よって、樹脂部20Aへの熱伝達を抑制できるため、樹脂部20Aの温度上昇を抑制できる。
【0045】
(2)接合面13に形成する微細孔の形状および配置は、上記と異なっていてもよい。例えば、第1微細孔14と第2微細孔15の形状が異なり、単位面積当たりの孔数が異なっていてもよい。また、第1面11と第2面12における微細孔の形状および配置が同一であってもよい。あるいは、第1面11と第2面12の一部あるいは全部に微細孔が形成さ
れていなくてもよい。また、微細孔の代わりに、同程度の大きさの微細凸部を接合面に形成することもできる。この場合には、微細凸部が樹脂に食い込むアンカー部として機能するので、樹脂との接合強度を高めることができる。
【0046】
<実施形態2>
図4(a)は、本発明を適用した実施形態2の金属構造体10Bの斜視図であり、図4(b)は、金属構造体10Bを備える複合部材2の断面図(図4(a)のA-A位置で切断した断面図)である。複合部材2は、金属構造体10Bと、金属構造体10Bの表面を覆う樹脂部20Bを備える。金属構造体10Bは、実施形態1と同様に3Dプリンタを用いて製造される。
【0047】
金属構造体10Bは、樹脂部20Aに接合される第1部分47と、第1部分47の内側(樹脂部20Bとは反対側)に形成される中空部48と、中空部48に配置される第2部分49を備える。第1部分47は、金属構造体10Bの外殻部である。第1部分47は、樹脂部20Bに接合される接合面13を備える。
【0048】
接合面13は、第1面11および第2面12と、第3面46を備える。第1面11は、金属構造体10BのX方向の両端に設けられた半円状の湾曲面である。第2面12は、XY面に沿う平坦面であり、第3面46は、XZ面に沿う平坦面である。図4(a)では図示を省略しているが、実施形態1と同様に、接合面13には多数の微細孔が形成されている。従って、接合面13は多孔質の面である。
【0049】
第1部分47は、中空部48に連通する排出孔45(開口部)を備える。排出孔45は、第1面11の中央に開口する。排出孔45は、3Dプリンタによって金属構造体10Bを製造する金属構造体製造工程において、中空部48から成形材料である金属粉末を排出するための孔である。
【0050】
第2部分49はラティス構造体である。第2部分49は、第1部分47の裏面(すなわち、中空部48の内面)に接続される格子状の金属部分49aと、金属部分49aによって区画される隙間49bを備える。従って、第2部分49は、内部に空気層を備える。
【0051】
図5は、図4(b)の複合部材2の製造方法の説明図であり、インサート成形用の金型30Bに金属構造体10Bを位置決めした状態を模式的に示す図である。金型30Bは、第1型31および第2型32と、スライドピン35を備える。第1型31および第2型32には、それぞれ、キャビティCに樹脂材料を充填するためのゲートGが設けられている。スライドピン35はX方向の両側から金属構造体10Bに当接して排出孔45を塞ぐ。
【0052】
2箇所のゲートGは、それぞれ、金属構造体10Bの第2面12とZ方向に対向する。ゲートGは、第2面12のX方向の中央に位置する。排出孔45は、金属構造体10BのX方向の両端に位置しており、ゲートGから最も離れている。従って、樹脂材料の流れの末端位置に排出孔45が位置する。スライドピン35の先端と、排出孔45の縁とが当接する当接部には、樹脂材料から発生するガスは通過可能で、且つ、樹脂材料は通過できない程度の隙間が存在する。従って、金属構造体10Bを金型30B内に配置して樹脂材料を充填するインサート成形工程において、樹脂材料から発生するガスを中空部48に逃がすことができる。
【0053】
図5に示すように、金属構造体10Bを金型30B内に配置してインサート成形を行うことより、金属構造体10Bと、金属構造体10Bの接合面13に接合される樹脂部20Bを備える複合部材2が製造される。接合面13に形成された微細孔には、インサート成形の際に樹脂が入り込んでアンカー部が形成される。完成した複合部材2の樹脂部20B
は、金属構造体10Bの排出孔45に連通する孔21を備える。孔21は、スライドピン35の反転形状である。孔21の内側には、スライドピン35に当接した排出孔45の縁が露出している。
【0054】
(実施形態2の主な作用効果)
実施形態2では、実施形態1と同様に金属構造体10Bが3Dプリンタにより製造されるため、樹脂部20Bに接合される第1部分47と、格子状のラティス構造体である第2部分49とを一体に形成することができる。3Dプリンタを用いることで、従来の製造方法では製造が困難であった複雑な形状の金属構造体10Bを製造できる。
【0055】
第2部分49は、格子状の金属部分49aによって細かく区画された隙間49bを備えている。また、第1部分47は、X方向の両端に2箇所の排出孔45を備えており、中空部48に連通する開口部を備えている。そして、樹脂部20Bは、排出孔45に連通する孔21を備えている。従って、中空部48の内部に流体を流すことができるので、内側から金属構造体10Bを冷却することができる。このとき、第2部分49は中空部48を流れる流体との接触面積が大きいので、放熱部として機能する。従って、冷却効率を高めることができ、樹脂の温度上昇を抑制できる。よって、熱による樹脂への悪影響を抑制でき、複合部材2の耐熱性を高めることができる。
【0056】
例えば、複合部材2を輸送機などの移動体の部品として用いる場合には、金属構造体10Bの排出孔45および樹脂部20Bの孔21を移動方向の前方側に向けるようにすると、輸送機の移動時に中空部48を通過する流体の流れを発生させることができるので、複合部材2を冷却することができる。実施形態2の金属構造体10Bは、複数の排出孔45(開口部)を備えており、X方向の両端に排出孔45が1つずつ開口する。従って、一方の排出孔45を流入孔とし、他方の排出孔45を流出孔として、中空部48に流体を流すことができる。
【0057】
金属構造体10Bは、樹脂が接合される部分(第1部分47)が製品輪郭形状であり、裏面は複雑な構造体(ラティス構造体)を備えている。すなわち、第1部分47の裏側(内側)に中空部48が設けられており、中空部48に第2部分49が配置される。従って、金属構造体10Bの軽量化を図ることができる。また、第2部分49は金属製のラティス構造体であるため、強度を確保できる。従って、複合部材2の強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0058】
実施形態1と同様に、金属構造体10Bは、チタン、インコネル(登録商標)、ステンレス鋼、銅、あるいはこれらの金属の合金などの熱伝導性が低い金属からなる。従って、樹脂部20Bへの熱伝導を減らすことができ、樹脂部20Bの温度上昇を抑制できる。よって、複合部材2の耐熱性を高めることができる。また、接合面13には、樹脂が入り込む微細孔(図示省略)が形成されているので、インサート成形によりアンカー部が形成される。従って、金属構造体10Bと樹脂部20Bとの接合強度が高い。なお、微細孔の形状や配置は、実施形態1と同様に、部位に応じて、適宜設定可能である。また、接合面13の一部あるいは全部に微細孔を形成しなくてもよいし、微細孔の代わりに微細凸部を形成してもよい。
【0059】
また、実施形態2の金属構造体10Bは、3Dプリンタによる製造工程で金属材料の排出に用いられる排出孔45を利用し、中空部48に樹脂ガスを逃がすことができるので、気泡等の成形不良を抑制できる。また、排出孔45は、ゲートGから最も遠い樹脂材料の流れの末端位置に配置されるので、排出孔45から中空部48に樹脂材料が入り込み難い。よって、中空部48が樹脂材料によって塞がれることを避けることができる。
【0060】
(変形例)
(1)実施形態2の金属構造体10Bにおいて、排出孔45から中空部48に異物が入ることを防止あるいは抑制するため、排出孔45にメッシュ構造体あるいは細かい孔を備える多孔体を配置することもできる。メッシュ構造体あるいは多孔体の開口幅は、例えば、0.3mm以上3.0mm以下の範囲内にすることができる。
【0061】
(2)第2部分49は、ラティス構造体とは異なる構造であってもよい。例えば、ハニカム構造体、リブ構造体、あるいは、多孔質体であってもよい。これらの構造は、いずれも、規則的に配置される金属部分と、金属部分によって区画される隙間を備えている。従って、細かく区画された空気層を有しており、断熱性が高い。よって、樹脂部20Bへの熱伝達を抑制でき、樹脂部20Bの温度上昇を抑制できる。また、中空部48に流体を流す場合には、これらの構造体を放熱部として機能させることができる。従って、冷却効率を高めることができる。
【0062】
参考形態
図6(a)は、参考形態の金属構造体10Cの斜視図である。図6(a)では、金属構造体10Cの一部を切断してその断面構成を示している。図6(b)は、金属構造体10Cを備える複合部材3の断面図である。複合部材3は、金属構造体10Cと、金属構造体10Cの表面を覆う樹脂部20Cを備える。金属構造体10Cは、実施形態1、2と同様に3Dプリンタを用いて製造される。
【0063】
金属構造体10Cは、断面形状が矩形の筒部51と、筒部51の内側に設けられた中空部52を備える。筒部51は、樹脂部20Aに接合される第1部分53と、第1部分53の内側に配置される多孔質状の第2部分54と、第2部分54の内側に配置される第3部分55を備える。第2部分54(多孔質体)は金属構造体10Cの外面に露出していない。第2部分54は、規則的に配置される多数の孔54bと、孔54bを区画する規則的な構造体である金属部分54aを備える。
【0064】
第1部分53は、筒部51の外周面であり、樹脂部20Cに接合される接合面13を備える。図6(a)では図示を省略しているが、接合面13には多数の微細孔が形成されている。従って、接合面13は多孔質の面である。第3部分55は、中空部52の内周面である。筒部51の端面56および中空部52の内周面は、樹脂に接合されない面である。
【0065】
インサート成形工程では、金属構造体10Cを金型内に配置し、筒部51の端面56にスライド型を当接させて金型内に樹脂を充填する。これにより、樹脂部20Cが成形され、金属構造体10Cの接合面13に樹脂部20Cが接合される。接合面13に形成された微細孔には、インサート成形の際に樹脂が入り込んでアンカー部が形成される。
【0066】
参考形態の主な作用効果)
以上のように、参考形態の金属構造体10Cは、駆動部を備える移動体の排気ダクトまたは配管部材として使用される複合部材であって、筒部と、前記筒部の内側に設けられた中空部と、を備える筒状の金属構造体と、前記筒部の外周面を覆うとともに前記外周面に接合される樹脂部と、を有し、前記金属構造体は、前記筒部の外周面を構成する金属層であって、前記樹脂部が接合される接合面を備える第1部分と、前記中空部を囲むとともに前記筒部の内周面を構成する金属層である第3部分と、前記第1部分と前記第3部分との間に配置される第2部分と、を備え、前記第2部分は、多孔質体、ラティス構造体、リブ構造体、およびハニカム構造体のいずれかであることを特徴とする。参考形態では、実施形態1、2と同様に金属構造体10Cが3Dプリンタにより製造されるため、金属層の間に多孔質体である第2部分54が挟まれた構造の金属構造体10Cを製造できる。このような構造は、従来の製造方法では製造が困難であるが、3Dプリンタを用いれば製造が可能である。すなわち、金属構造体10Cを3Dプリンタによって製造する金属構造体製造工程と、前記金属構造体を配置した金型内に樹脂材料を充填して前記金属構造体と一体化した樹脂部を成形するインサート成形工程と、を行うものとすることができる。
【0067】
参考形態の複合部材3は、樹脂部に金属構造体を接合するので、部材の一部を樹脂化して軽量化することができる。また、金属構造体を備えているので、強度を確保できる。さらに、複雑な構造の第2部分を第1部分の裏側に一体に形成することができる。これにより、第1部分の裏側に細かく区画された空気層を設けることができるので、断熱性を高めることができる。従って、樹脂側への熱伝達を抑制でき、樹脂の温度上昇を抑制できる。あるいは、複雑な構造によって放熱性を高めることができるので、樹脂の温度上昇を抑制できる。従って、熱による樹脂への悪影響を抑制でき、複合部材の耐熱性を高めることができる。さらに、第2部分は金属の構造体であるため、強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。すなわち、第2部分54は多孔質であり、空気層を備えているので、断熱性が高い。従って、樹脂部20Cへの熱伝達を抑制できる。例えば、複合部材3を配管部材として用いた場合に、内部を流れる流体の熱が樹脂部20Cに伝わりにくい。従って、樹脂部20Cの温度上昇を抑制できる。よって、熱による樹脂への悪影響を抑制でき、複合部材3の耐熱性を高めることができる。
【0068】
複合部材3は、樹脂が接合される面が製品輪郭面であり、内部に複雑な構造体(多孔質体)を備えている。従って、筒部51を軽量化することができ、金属構造体10Cの軽量化を図ることができる。また、第2部分54は金属の構造体(金属部分54a)を備えているため、強度を確保できる。従って、複合部材3の強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0069】
実施形態1、2と同様に、金属構造体10Cは、チタン、インコネル(登録商標)、ステンレス鋼、銅、あるいはこれらの金属の合金などの熱伝導性が低い金属からなる。従って、樹脂部20Cへの熱伝導を減らすことができ、樹脂部20Cの温度上昇を抑制できる。よって、複合部材3の耐熱性を高めることができる。また、接合面13には、樹脂が入り込む微細孔(図示省略)が形成されているので、インサート成形によりアンカー部が形成される。従って、金属構造体10Cと樹脂部20Cとの接合強度が高い。なお、微細孔の形状や配置は、実施形態1、2と同様に、部位に応じて、適宜設定可能である。また、接合面13の一部あるいは全部に微細孔を形成しなくてもよいし、微細孔の代わりに微細凸部を形成することもできる。
【0070】
(変形例)
(1)第2部分54は、多孔質体とは異なる構造であってもよい。例えば、ラティス構造体、ハニカム構造体、あるいはリブ構造体、であってもよい。これらの構造は、いずれも、規則的に配置される金属部分と、金属部分によって区画される隙間を備えている。従って、細かく区画された空気層を有しており、断熱性が高い。よって、強度を確保しつつ、樹脂部20Cへの熱伝達を抑制できるため、樹脂部20Aの温度上昇を抑制できる。
【0071】
(その他の変形例)
実施形態1、2および参考形態において、樹脂部にウエルド部が形成される場合に、ウエルド部と金属構造体との接合強度を高めることが好ましい。例えば、実施形態2のように複数のゲートGから樹脂材料を充填する場合、樹脂材料の合流部にウエルド部が形成される。ウエルド部に接合される面には、他の面よりも微細孔あるいは微細凸部の数を多く
設定するか、あるいは、微細孔あるいは微細凸部の形状を、結合強度が高い形状にする。これにより、ウエルド部の補強効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0072】
1…複合部材、2…複合部材、10A、10B,10C…金属構造体、11…第1面、12…第2面、13…接合面、14…第1微細孔、15…第2微細孔、16…アンカー部、17…第3面、18…第1微細孔、20A…樹脂部、30A、30B…金型、31…第1型、32…第2型、33…型面、34…スライド型、35…スライドピン、40…第1部分、41…凹部、42…第2部分、42a…金属部分、42b…隙間、43…第3面、44…第4面、45…排出孔、46…第3面、47…第1部分、48…中空部、49…第2部分、49a…金属部分、49b…隙間、51…筒部、52…中空部、53…第1部分、54…第2部分、54a…金属部分、54b…隙間、55…第3部分、56…端面、C…キャビティ、G…ゲート
【要約】
【課題】樹脂に接合される金属構造体を軽量化するとともに、樹脂の温度上昇を抑制する。
【解決手段】複合部材1は、車両、飛行機、船舶などの駆動部を備える移動体の部品であり、高温になる部位に使用される。複合部材1は、3Dプリンタにより製造される金属構造体10Aと、金属構造体10Aの表面を覆う樹脂部20Aを備える。金属構造体10Aは、樹脂に接合される第1部分40と、第1部分40の裏側に形成される凹部41に配置される第2部分42を備えており、第2部分はラティス構造体である。金属構造体10Aは3Dプリンタにより製造されるため、製品輪郭面を構成する第1部分40と格子状の第2部分42とを一体に形成することができ、従来の製造方法では製造が困難であった複雑な構造の金属構造体10Aを製造できる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6