(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】セパレーションネオウィッグ
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20220309BHJP
A41G 5/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A41G3/00 D
A41G5/00
(21)【出願番号】P 2021148966
(22)【出願日】2021-08-12
【審査請求日】2021-10-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516365275
【氏名又は名称】池野 順子
(74)【代理人】
【識別番号】100190300
【氏名又は名称】濱田 修
(72)【発明者】
【氏名】池野 順子
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3194016(JP,U)
【文献】実開平04-127216(JP,U)
【文献】特開2019-044295(JP,A)
【文献】特開2018-154933(JP,A)
【文献】特表2008-518114(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0035945(US,A1)
【文献】特開2017-008448(JP,A)
【文献】特開2010-065335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
A41G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部の測定データに基づく頭部の形状により成り、襟足に毛髪(10)を植毛した、両サイドにカット部分を有するヘアーバンド形状の樹脂ベース(1)
と、
頭皮と接する部分にシリコーンベースを設けた、合成繊維もしくは天然繊維を素材とする無縫製のニットキャップに、毛髪(20)を植毛し、頭頂部には人工皮膚の上に植毛されたつむじ(5)を縫製で装着した頭部ベース(4)
と、
を有し、
樹脂ベース(1)と頭部ベース(4)との接合部分に
、ジッパーもしくは面ファスナー(3)を装着し、樹脂ベース(1)と頭部ベース(4)を
襟足周辺部分で着脱可能にする
ことで、
頻繁に手入れが必要な樹脂ベースと
、消耗が激しく頻繁に手入れする
ことのない頭部ベース
と、を別々に手入れが出来
、かつ、樹脂ベースの着脱可能部分と頭部ベースのいずれか一方のみの交換が可能であることを特徴としたウィッグ
。
【請求項2】
後頭部の頭皮と接する側に内部にアタッチメントポケット(7)があり
、前記アタッチメントポケットと
、頭部における太い血管に沿った箇所に入れたライン(6)に
、冷温の温度が伝わりやすい部分を設けた構造である
ことを特徴
とする、請求項1に記載のウィッグのインナーとして用いることが可能な、ウィッグ用インナーキャップ
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
頭部に装着するウィッグ(かつら)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、抗がん治療や汎発性脱毛症などにより全頭抜けた頭髪の代わりに、人間の毛髪や人工毛髪を植毛したウィッグの需要が高まっているが、現状のウィッグは、簡易なサイズ調整しかできず、特に全頭型のウィッグの形状では強風や下を向くなどした時に飛んでしまう、ズレるなど改善が必要な状況であり、このような問題に対して、たとえば特許文献1では、ウィッグベースの裏側(頭皮と接触する側)にずれ防止用のピン(金属製の留め具等)を縫着したウィッグが開示されているが、このずれ防止のピンは髪がある人に対しては使えるが髪がない人には使えず、現状は両面テープでの固定しかなく、非常に不安定であり、髪がなくなっても快適に日常生活が送れるウィッグが必要である。
【先行技術文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ウィッグを装着する際に、ずれ防止用のピンを使用者
の毛髪や専用ネット(ウィッグを装着するために使用者が頭部に装着するネット)に取り付ける必要があり、毛髪が残っている人しか使用できない。
【0005】
本発明に係るウィッグは、全頭型の脱毛症でも簡易に装着することがで
きるとともに、ズレや使用時の不快感を防止することができるウィッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るウィッグは、ウィッグを分割し襟足の樹脂ベース(1)と頭部ベース(4)に分ける事によって、着用したままのサイズ調節が可能で、使用可能な期間の延長を実現できる事が特徴である。
【0007】
本発明に係るウィッグは、スキャンを用い正確に計測された個々のデータ(11)を元に作成され、毛髪(10)を植毛した襟足の樹脂ベース(1)は、サイズ調節機能(2)として、左右耳の後ろにカット部分を作りアジャスターをつける事により、簡易なサイズ調節が可能であり、フィット感を重視したヘアーバンド形状により、ズレの心配も少なく、一人一人の肌の色に合うように、人工皮膚のような質感であるシリコンや3Dプリンタで出力した素材を用いより自然に見える技術を用いる事ができ(50)、頭部ベース(4)との着脱部分はジッパー仕様、もしくは面ファスナーなどの仕様で、手入れの際外して簡易に洗える事に加えて、どちらかが破損した場合に交換が可能であり、ウィッグの寿命を伸ばせる。
【0008】
本発明に係るウィッグの頭部ベース(4)は3Dスキャンを用い正確に計測された個々のデータ(11)を元に、ニットキャップを編みたて、頭頂部、サイド、後頭部で編み地の密度や組織を変え、この頭部ベース(4)に毛髪(20)を植毛し、頭頂部は人工皮膚の上に植毛されたつむじ(5)を縫製し、消耗の激しいつむじの交換を可能にし、襟足の樹脂ベース(1)と頭部ベース(4)をつなぐ為に、ジッパーもしくは面ファスナーを使用する事で脱着を可能にし、さらに頭部ベースの糸の一例として、ナイロン繊維をメインに使用する事で耐久性を向上し、また毛髪(20)の一例として、毛髪に撥水加工と抗菌防臭加工を施す事で、水中での使用を可能にするなどウィッグの使用の範囲を広げる。
【0009】
本発明に係るインナーキャップ(30)は機能性のある合繊もしくは天然繊維の糸を使用し、3Dスキャンを用い正確に計測された個々のデータを元にニットキャップを編みたて、後頭部に小型ポケット状に編みたて、保冷剤やカイロなどを入れられる温冷アタッチメントポケット(7)を作り、このポケットと太い血管の位置に合わせたラインに導電糸を編み込み、アタッチメントポケットの冷温効果を頭部に効率的に届け、裾の部分にはグリップ性の高い糸を編み込み、頭部ベースとのズレを防ぎ、さらにウィッグと一緒に使う事で、頭部ベースの破損や劣化を軽減し肌へのストレスを減らす。
【0010】
毛髪(10)、毛髪(20)は人間の毛髪でも良いし、人工毛髪でもよく、毛髪(10)は樹脂ベース(1)に植毛されており、毛髪(20)は頭部ベース(4)に植毛されている。毛髪(20)には撥水と抗菌防臭の機能に限定されず、用途によって加工しないなど使用者のニーズによって変化し、樹脂ベース(1)は、樹脂に限定されず、用途によりシリコン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、または天然のゲル素材などを用いる構成とする事ができ、頭部ベース(4)の素材は耐久性を重視しナイロン繊維を中心に構成をするが、こちらも使用者の用途や体質(アレルギーなど)によって変更が可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ウィッグの装着時のフィット感や不快感を解消すると共に、一般的に2年間とされるウィッグの寿命を長くし、さらに使用範囲(例えばスポーツや水中での使用など)を広げる事が目的であり、樹脂ベース(1)と頭部ベース(4)を分け、インナーキャップを用いる事によって、フィット感、耐久性、利便性を解決した。
【0012】
また、樹脂ベース(1)と頭部ベース(4)を分ける事により、頻繁に洗浄が必要な樹脂ベースと、頻繁に手入れをすると劣化が早い頭部ベースを別々に手入れができ、さらにインナーキャップを用いいる事で地肌への負担を軽減し、植毛した高価な頭部ベース(4)の劣化を比較的安価なインナーキャップで補い、使用者の利便性と金銭的負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るウィッグの装着面側を示す側面図である。
【
図2】本実態形態に係るウィッグのベース部分を装着した状態を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るウィッグを装着した状態を示す図である。
【
図5】樹脂(1)部分に植毛した状態を示す図である。
【
図6】樹脂(1)部分の着色のイメージを示す図である。
【
図7】頭部ベース(4)部分の形状と編み地と構造を説明するための図である。
【
図8】頭部ベース(4)部分に植毛した状態を示す図である。
【
図9】インナーキャップ(30)部分とアタッチメントポケット(7)を説明するための図である。
【
図10】3Dスキャンで頭部をスキャンし計測した状態を示す図である。
【符号の説明】
1…樹脂ベース
2…樹脂ベース(1)サイズ調節機能箇所
3…樹脂ベース(1)と頭部ベース(4)をつなぐジッパーもしくは面ファスナー箇所
4…頭部ベース
5…人工皮膚に植毛されたつむじ
6…インナーキャップの導電糸使用部分
7…冷温アタッチメントポケット
10…樹脂ヘアーバンドの毛髪部分
20…頭部ベースの毛髪部分
30…インナーキャップ
【0014】
以下において、図を用いて、本発明の実施の形態について説明を行う。以下に示す実施の形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明はこの実施の形態に限定されるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および
図2を用いて、本発明に関わるウィッグの構成を説明し、
図1は、ウィッグを側面から見た模式図であり、
図2はウィッグを着用した場合の構成を示した図で、この
図1の下に
図9のインナーキャップを装着して使用する。
【0016】
本発明のウィッグは、
図4の樹脂ベースと
図7の頭部ベースによって頭部全体をおおい、
図4と
図7は着脱可能である。
なお、毛髪10、毛髪20は、頭部ベースに手植えで植毛されることが望ましい。それにより軽量で自然な見た目となる。
【0017】
図4の樹脂ベースのサイズ調節用の切り込み部分は、個々の計測によって位置が異なり、アジャスターは片手で操作できる器具が好ましいが、他の方法でも良い。
【0018】
図7の頭部ベースは
ニットで編んだベースが好ましいが、機械の構造により糸が細くできない場合は、ネット状の織物の素材を縫製し頭部へフィットさせる方法でも良い
【0019】
図7のつむじは市販の物を使用し、劣化の際の利便性を重視している。
【要約】 (修正有)
【課題】長期間使用可能で、ズレや不快感を軽減する事ができるウィッグを提供する。
【解決手段】毛髪10を植毛した襟足の樹脂ベース1と、無縫製のニット素材で作成した物に毛髪20を植毛した頭部ベース4、頭部ベースの頭頂部は人工皮膚の上に植毛されたつむじ5を縫い付け、樹脂ベース1と頭部ベース4を結合させる為のジッパーもしくは面ファスナー3を有することで、破損時またはお手入れ時には脱着可能にし、シリコンベースのサイズ調節機能2として、左右耳の後ろにカット部分を作り、アジャスターによって簡易なサイズ調節を可能にする。
【選択図】
図1