(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】食品機械用管内洗浄機
(51)【国際特許分類】
B08B 9/032 20060101AFI20220310BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B08B9/032 328
B08B3/02 G
(21)【出願番号】P 2018046140
(22)【出願日】2018-03-14
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】松矢 久美
(72)【発明者】
【氏名】狩野 泰範
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 真次
(72)【発明者】
【氏名】山口 敬三
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-221546(JP,A)
【文献】実開昭55-144586(JP,U)
【文献】実開平07-035578(JP,U)
【文献】実開昭63-157293(JP,U)
【文献】特開2008-006314(JP,A)
【文献】特開2001-046288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00-3/14
9/00-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽内の気体を外部へ吸引排出する真空配管を備えた食品機械に適用され、前記真空配管内を洗浄するための洗浄機であって、
前記処理槽内に開口した前記真空配管の吸気口、または前記真空配管の中途に開閉可能に設けられた洗浄口に、当該口を塞ぐよう着脱可能に設けられる閉塞材と、
先端部を前記真空配管内へ向けて前記閉塞材に水密状態で保持され、前記真空配管内に洗浄液を泡状にして噴射するフォーミングノズルとを備え
、
前記吸気口または前記洗浄口への前記閉塞材の取付状態において、前記真空配管の内外を連通するように、前記閉塞材には排水ホースが水密状態に保持され、
前記排水ホースには、前記連通の有無を切り替える手段として、洗浄中に閉じられ洗浄後に開けられる連通切替手段が設けられる
ことを特徴とする食品機械用管内洗浄機。
【請求項2】
処理槽内の気体を外部へ吸引排出する真空配管を備え、前記処理槽内に開口した前記真空配管の吸気口の周囲に設けられたピンに対し吸気ストレーナが着脱可能に設けられる食品機械に適用され、前記真空配管内を洗浄するための洗浄機であって、
前記処理槽内に開口した前記真空配管の吸気口に、当該口を塞ぐよう着脱可能に設けられる閉塞材と、
先端部を前記真空配管内へ向けて前記閉塞材に水密状態で保持され、前記真空配管内に洗浄液を泡状にして噴射するフォーミングノズルとを備え、
前記閉塞材は、前記処理槽の内壁の前記吸気口に設けられ、
前記閉塞材と前記フォーミングノズルとが前記吸気口から脱落するのを防止する脱落防止具を備え、
この脱落防止具は、
前記吸気ストレーナに代えて、前記処理槽の内壁
の前記ピンに対し、着脱可能に保持される
ことを特徴とする食品機械用管内洗浄機。
【請求項3】
給水を加圧して吐出する高圧洗浄機本体には、高圧ホースを介して、前記フォーミングノズルと洗管ノズルとが付替可能に接続され、
前記フォーミングノズルは、前記高圧ホースからの高圧水を噴射する際、洗浄剤を吸引混合して泡状で吐出し、
前記洗管ノズルは、前記真空配管内を進退させる洗管ホースの先端部に、前記高圧ホースから前記洗管ホースを介した水を噴射させる洗管ヘッドが設けられている
ことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の食品機械用管内洗浄機。
【請求項4】
前記フォーミングノズルは、前記洗浄剤の吸入流量を調整可能とされた
ことを特徴とする
請求項3に記載の食品機械用管内洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品機械の真空配管内を洗浄するための洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空配管を備えた食品機械として、たとえば真空冷却装置が知られている。真空冷却装置は、冷却しようとする食品を処理槽内に収容した状態で、真空配管を介して処理槽内の気体を外部へ吸引排出して、食品を冷却する装置である。
【0003】
この種の装置では、処理槽内から真空引きする関係上、真空配管内に汚れが生じやすい。細菌や悪臭の発生を防止するためにも、真空配管内の洗浄が望まれる。ところが、従来、真空配管を洗浄するには、真空配管を分解し、洗浄液につけ置きするなど、大掛かりな作業が必要で、非常に手間であった。一方、下記各特許文献に開示されるように、簡易に洗浄しようとする試みもあるが、それぞれ課題が残る。
【0004】
特許文献1に記載の発明では、蒸気エゼクタ(4)や熱交換器(5)を縦に配置し、真空ポンプ(6)を作動させた状態で、蒸気エゼクタまたは熱交換器の上部から下方へ洗浄液を供給して、蒸気エゼクタと熱交換器を洗浄する。この場合、真空配管は上下方向に設置される必要があるし、洗浄時に真空ポンプを作動させる必要もある。また、洗浄装置は、食品機械に付設(言い換えれば常設)され食品機械ごとに必要であるから、そのような構成が設置されていない既存の食品機械を洗浄することができない。さらに、真空ポンプを作動させた状態で、上方から下方へ洗浄液を供給するので、真空配管内に洗浄液を充填保持して洗浄することもできない。
【0005】
特許文献2に記載の発明では、先端にゴム等の弾性材質の差し込み部材(14)を設けた洗浄水供給ライン(11)を、真空吸込口(6)に差し込み、真空発生装置(1)を作動させた状態で洗浄水給水ラインから真空配管(9)内へ洗浄水を噴射することにより、熱交換器(12)を洗浄する。この場合、洗浄水として水道水が使用されるため、洗浄効果が限られる。また、真空発生装置を作動させた状態で洗浄するため、真空配管内に洗浄液を充填保持して洗浄することもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-20118号公報(段落0047)
【文献】特開2001-221546号公報(請求項1-2、段落0012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、処理槽内の気体を外部へ吸引排出する真空配管を備えた食品機械において、真空配管内を容易に確実に洗浄できる管内洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、処理槽内の気体を外部へ吸引排出する真空配管を備えた食品機械に適用され、前記真空配管内を洗浄するための洗浄機であって、前記処理槽内に開口した前記真空配管の吸気口、または前記真空配管の中途に開閉可能に設けられた洗浄口に、当該口を塞ぐよう着脱可能に設けられる閉塞材と、先端部を前記真空配管内へ向けて前記閉塞材に水密状態で保持され、前記真空配管内に洗浄液を泡状にして噴射するフォーミングノズルとを備え、前記吸気口または前記洗浄口への前記閉塞材の取付状態において、前記真空配管の内外を連通するように、前記閉塞材には排水ホースが水密状態に保持され、前記排水ホースには、前記連通の有無を切り替える手段として、洗浄中に閉じられ洗浄後に開けられる連通切替手段が設けられることを特徴とする食品機械用管内洗浄機である。
【0009】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、吸気口または洗浄口に閉塞材を介して、水密状態にフォーミングノズルを設置することができる。そして、フォーミングノズルから洗浄液を泡状にして真空配管内に噴射して、真空配管内を洗浄することができる。洗浄液を泡状にして噴射することで、配管形状に依らず、管内への洗浄液の接触を確実に図り、汚れを浮かせて洗浄することができる。真空ポンプなどの減圧手段を停止しておくことで、フォーミングノズルから噴射された洗浄液の泡を、真空配管内に充填して保持することができ、容易に確実に管内の洗浄を図ることができる。また、処理槽の吸気口などにフォーミングノズルを着脱可能に設けて、真空配管内を洗浄できるので、食品機械ごとに洗浄機を付設しておく必要がなく、既存の食品機械の洗浄も容易に行うことができる。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、吸気口または洗浄口の閉塞材には排水ホースが水密状態に保持され、その排水ホースを介して真空配管の内外が連通可能とされる。従って、吸気口または洗浄口から管内洗浄機を取り外す際には、排水ホースにて真空配管内から洗浄液の排出を図った後、閉塞材を取り外すことができる。これにより、吸気口または洗浄口から閉塞材を取り外す際に、管内から洗浄液が大量に漏れ出るのを防止して、作業の安全性を確保することができる。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、吸気口または洗浄口から管内洗浄機を取り外す際には、連通切替手段を操作することで、排水ホースによる洗浄液の排出を容易に行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、処理槽内の気体を外部へ吸引排出する真空配管を備え、前記処理槽内に開口した前記真空配管の吸気口の周囲に設けられたピンに対し吸気ストレーナが着脱可能に設けられる食品機械に適用され、前記真空配管内を洗浄するための洗浄機であって、前記処理槽内に開口した前記真空配管の吸気口に、当該口を塞ぐよう着脱可能に設けられる閉塞材と、先端部を前記真空配管内へ向けて前記閉塞材に水密状態で保持され、前記真空配管内に洗浄液を泡状にして噴射するフォーミングノズルとを備え、前記閉塞材は、前記処理槽の内壁の前記吸気口に設けられ、前記閉塞材と前記フォーミングノズルとが前記吸気口から脱落するのを防止する脱落防止具を備え、この脱落防止具は、前記吸気ストレーナに代えて、前記処理槽の内壁の前記ピンに対し、着脱可能に保持されることを特徴とする食品機械用管内洗浄機である。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、脱落防止具により、閉塞材やフォーミングノズルが吸気口から脱落するのを防止することができる。そのため、吸気口が処理槽内の上面に設けられている場合でも、閉塞材やフォーミングノズルの脱落を防止して、容易に洗浄作業を実施することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、給水を加圧して吐出する高圧洗浄機本体には、高圧ホースを介して、前記フォーミングノズルと洗管ノズルとが付替可能に接続され、前記フォーミングノズルは、前記高圧ホースからの高圧水を噴射する際、洗浄剤を吸引混合して泡状で吐出し、前記洗管ノズルは、前記真空配管内を進退させる洗管ホースの先端部に、前記高圧ホースから前記洗管ホースを介した水を噴射させる洗管ヘッドが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品機械用管内洗浄機である。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、高圧洗浄機本体に、高圧ホースを介して、フォーミングノズルと洗管ノズルとを付け替えすることができる。これにより、フォーミングノズルによる発泡洗浄と、洗管ノズルによる高圧洗浄とを容易に実施することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記フォーミングノズルは、前記洗浄剤の吸入流量を調整可能とされたことを特徴とする請求項3に記載の食品機械用管内洗浄機である。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、高圧水への洗浄剤の投入量を調整することができる。また、それにより、泡の出来具合(固さ)も変更することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、処理槽内の気体を外部へ吸引排出する真空配管を備えた食品機械において、真空配管内を容易に確実に洗浄できる管内洗浄機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施例の管内洗浄機により洗浄可能な食品機械の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施例の管内洗浄機の主要部を示す分解斜視図である。
【
図3】
図2の管内洗浄機の使用状態を示す概略図であり、一部を断面にして示している。
【
図4】本発明の一実施例の管内洗浄機の洗管ノズルによる洗浄状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、まずは、本発明の一実施例の管内洗浄機により洗浄可能な食品機械の一例について説明し、その後、本発明の管内洗浄機および管内洗浄方法の一実施例について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施例の管内洗浄機により洗浄可能な食品機械1の一例を示す概略図である。食品機械1は、後述する真空配管2を備えるのであれば、その構成を特に問わないが、ここでは真空冷却装置である。この場合、食品機械1は、食品(食材を含む)が収容される処理槽3と、この処理槽3内の気体を外部へ吸引排出して処理槽3内を減圧する減圧手段4と、減圧された処理槽3内へ外気を導入して処理槽3内を復圧する復圧手段5と、これら各手段4,5を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
【0026】
処理槽3は、内部空間の減圧に耐える中空容器であり、典型的には略矩形の中空ボックス状とされる。処理槽3は、その大きさを特に問わないが、本実施例では人が入れる程度の大きさとされる。処理槽3は、正面(
図1の紙面に対し垂直手前側)に開口部を有し、その開口部を扉で気密に閉鎖可能とされる。処理槽3には、図示しないが、圧力センサおよび品温センサが設けられる。
【0027】
減圧手段4は、処理槽3内の気体を外部へ吸引排出して、処理槽3内を減圧する。本実施例では、処理槽3内からの真空配管2に、蒸気エゼクタ6、蒸気凝縮用の熱交換器7、逆止弁8、および水封式の真空ポンプ9が順に設けられて構成される。但し、逆止弁8に代えて、制御器により開閉制御される弁を用いてもよい。
【0028】
蒸気エゼクタ6は、吸引口6aが処理槽3の吸気口3aに接続されて設けられ、入口6bから出口6cへ向けて、給蒸路10からの蒸気がノズル6d(
図3)で噴出可能とされる。入口6bから出口6cへ向けて蒸気を噴出させることで、処理槽3内の気体が吸引口6aを介して出口6cへ吸引排出される。給蒸路10に設けた給蒸弁11の開閉を操作することで、蒸気エゼクタ6の作動の有無を切り替えることができる。
【0029】
熱交換器7は、真空配管2内の流体とその冷却水とを混ぜることなく熱交換する間接熱交換器である。熱交換器7により、真空配管2内の蒸気を、冷却水により冷却し凝縮させることができる。熱交換器7には、熱交給水路12を介して冷却水が供給され、熱交排水路13を介して冷却水が排出される。熱交給水路12には、熱交給水弁14が設けられている。
【0030】
真空ポンプ9は、本実施例では水封式であり、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されつつ運転される。そのために、真空ポンプ9には、封水給水路15を介して水が供給される。封水給水路15には封水給水弁16が設けられており、封水給水弁16を開けることで、真空ポンプ9に封水を供給することができる。封水給水弁16の開閉は、真空ポンプ9の発停と連動して切り替えられる。
【0031】
復圧手段5は、減圧された処理槽3内へ外気を導入して、処理槽3内を復圧する。本実施例では、処理槽3内への給気配管17に、エアフィルタ18および真空解除弁19が順に設けられて構成される。処理槽3内が減圧された状態で、真空解除弁19を開けると、外気がエアフィルタ18を介して処理槽3内へ導入され、処理槽3内を復圧することができる。
【0032】
制御手段は、前記各センサの検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段4,5を制御する制御器(図示省略)である。具体的には、処理槽3内に食品を収容して扉を閉めた状態で、運転開始を指示すると、制御器は、減圧手段4により処理槽3内を減圧して食品を真空冷却する。食品を所望まで冷却した後、制御器は、減圧手段4を停止する一方、復圧手段5により処理槽3内を大気圧まで復圧する。これにより、処理槽3の扉を開けて、処理槽3内から食品を取り出すことができる。
【0033】
処理槽3内に食品がない状態で、管内洗浄機20(
図2)により、真空配管2内の洗浄が可能である。この洗浄は、たとえば、1日の運転終了後や、所定のメンテナンス時などに行われる。以下、管内洗浄機20および管内洗浄方法の一実施例について説明する。
【0034】
図2は、本発明の一実施例の管内洗浄機20の主要部を示す分解斜視図である。また、
図3は、本実施例の管内洗浄機20の使用状態を示す概略図であり、一部を断面にして示している。
図3では、食品機械1の処理槽3内の上部の吸気口3aに管内洗浄機20を取り付けた状態を示している。
【0035】
前述したとおり、食品機械1は、処理槽3内に真空配管2の吸気口3aが開口されており、この吸気口3aから減圧手段4(蒸気エゼクタ6および真空ポンプ9)により処理槽3内の気体を外部へ吸引排出可能とされる。吸気口3aは、たとえば、処理槽3内の上面または側面に開口して設けられている。図示例では、吸気口3aは、処理槽3内の上面に設けられている。いずれにしても、所望時に、吸気口3aに管内洗浄機20を着脱可能に取り付けて、真空配管2内の洗浄が可能とされる。
【0036】
本実施例の管内洗浄機20は、洗浄液を泡状にして噴射するフォーミングノズル21と、真空配管2の吸気口3aにフォーミングノズル21を水密状態に保持する閉塞材22と、洗浄後に真空配管2内からの排水を図る排水ホース23と、吸気口3aに取り付けた閉塞材22(ひいてはフォーミングノズル21)の脱落を防止する脱落防止具24とを備える。
【0037】
フォーミングノズル21は、洗浄液を泡状にして噴射する洗浄ガンである。具体的には、トリガー25を備えた把持部26に、ノズル本体27が設けられている。説明の便宜上、
図2において、細長いノズル本体27の軸方向を前後方向とし、ノズル本体27の後端部(
図2の右側)に把持部26が設けられているとする。把持部26は、一片26aと他片26bとが略くの字状に一体形成され、一片26aを前後方向へ向けると共に、その一片26aの後端部から他片26bが下方へ延出して設けられる。その際、他片26bは、下方へ行くに従って、やや後方へ傾斜して設けられる。一片26aの下端部には、下方へ向けてトリガー25が延出して設けられる。トリガー25は、上端部まわりに回動可能に支持され、下端部が前記他片26bから離隔する方向へ付勢されている。この付勢力に対抗して、トリガー25を前記他片26bの側に近接するよう握る(つまりトリガー25を引く)ことで、ノズル本体27の前端部から洗浄液を噴射可能とされる。一片26aおよび他片26bとの間で、トリガー25を取り囲むように、保護枠26cが設けられている。なお、ここでいう前後および上下の各方向は、説明の便宜上であって、フォーミングノズル21の使用時の姿勢を限定する趣旨ではない。以下、フォーミングノズル21について、前方(
図2の左上方)を先端側、後方(
図2の右下方)を基端側と定義する。
【0038】
ノズル本体27は、段付き部やリブなどが形成されつつも、全体として細長い略円筒状に形成されている。そして、把持部26の一片26aの先端部に、ノズル本体27の基端部が連結されている。ノズル本体27の先端部には、やや大径のヘッド27aが設けられており、そのヘッド27aのすぐ基端側には、所定幅でくびれ部27bが形成されている。後述するように、このくびれ部27bに、閉塞材22が着脱可能に設けられる。
【0039】
フォーミングノズル21には、高圧ホース28を介して高圧水が供給可能とされると共に、洗浄剤ホース29を介して洗浄剤が供給可能とされる。そのために、図示例では、把持部26の一片26aに、高圧ホース装着部30が設けられる一方、ノズル本体27の基端部に、洗浄剤ホース装着部31が設けられている。詳細は後述するが、高圧洗浄機本体(図示省略)を作動させた状態で、把持部26のトリガー25を引くと、ノズル本体27の先端部から高圧水が噴射されるが、その際、洗浄剤ホース29から洗浄剤を吸引混合して、洗浄液(水で希釈された洗浄剤)を泡状で吐出可能とされる。
【0040】
閉塞材22は、真空配管2の吸気口3aに、この吸気口3aを塞ぐよう着脱可能に設けられる。閉塞材22は、弾性材料(たとえばゴムまたは合成樹脂)から形成され、先端側(吸気口3aへのはめ込み側)へ行くに従ってやや縮径した略円錐台状に形成されている。略円錐台状の閉塞材22は、先端側の最小径が吸気口3aの内径よりも小さく、基端側の最大径が吸気口3aの内径よりも大きい。閉塞材22の径方向中央部には、ノズル取付穴22aが軸方向に貫通して形成されている。ノズル取付穴22aの直径は、フォーミングノズル21のくびれ部27bの直径に対応している。くびれ部27bへの閉塞材22の設置を容易に行うために、閉塞材22には、周方向一箇所に、径方向への切込み22bが入れられている。この切込み22bは、閉塞材22の内周面(ノズル取付穴22a)から外周面へかけて形成されている。
【0041】
本実施例では、閉塞材22には、ホース取付穴22cも貫通して形成されている。ホース取付穴22cは、閉塞材22の周側壁の内、好ましくは切欠き22bと直径方向に対向した箇所に設けられる。その際、ホース取付穴22cは、ノズル取付穴22aと平行に、閉塞材22の軸方向両端面に開口して形成される。ホース取付穴22cには、排水ホース23の先端部がはめ込まれて保持される。その際、排水ホース23の先端部は、閉塞材22の先端面(小径側の端面)と面一か、閉塞材22の先端面から突出するまでホース取付穴22cにはめ込まれてもよいし、あるいは逆に、ホース取付穴22cの軸方向中途部まではめ込まれてもよい。
【0042】
フォーミングノズル21が閉塞材22を介して処理槽3の上部の吸気口3aに保持された状態で、閉塞材22から垂れ下がる排水ホース23は、処理槽3内の底部あるいは処理槽3外の排水溝にまで達する長さであるのが好ましい。なお、フォーミングノズル21から真空配管2内に泡を吐出して洗浄がなされるが、その洗浄中、泡が排水ホース23を介して流出しないように、排水ホース23には適宜の連通切替手段が設けられる。本実施例では、排水ホース23には、手動弁からなる排水弁(図示省略)が設けられている。
【0043】
脱落防止具24は、略円環状の部材であり、たとえばステンレスにより形成される。脱落防止具24の中央穴24aは、閉塞材22の最大径よりも大径に形成される。脱落防止具24の円環状板部24bには、閉塞材22を保持する受け具32が設けられる。本実施例では、脱落防止具24の円環状板部24bの片面(基端面)に、周方向等間隔に、複数(図示例では3つ)の受け具32が設けられている。各受け具32は、略矩形状の板材が屈曲形成されてなり、本体片32aの一端部に固定片32bが連接される一方、本体片32aの他端部に受け片32cが連接されている。固定片32bおよび受け片32cは、本体片32aに対し略垂直に屈曲されるが、その際、本体片32aに対し互いに逆方向へ屈曲されている。そして、受け具32は、円環状板部24bの基端面に、周方向等間隔に取り付けられる。その際、各受け具32は、円環状板部24bの径方向へ沿って配置され、固定片32bが円環状板部24bに固定され、本体片32aが円環状板部24bと略垂直に基端側へ延出し、受け片32cが本体片32aと略垂直に円環状板部24bの径方向内側へ向けて延出する。このような構成であるから、閉塞材22の基端側大径部を脱落防止具24の中央穴24aにはめ込み、基端面を受け具32の受け片32cに当接して保持することができる。
【0044】
脱落防止具24の円環状板部24bには、さらに、複数(図示例では3つ)の長穴24cが形成される。前述したとおり、円環状板部24bには、周方向等間隔に受け具32が設けられているが、その受け具32間に長穴24cが形成される。各長穴24cは、円環状板部24bの周方向へ沿って形成されると共に、その長手方向一端部(
図2において反時計方向の端部)には、長穴24cの幅よりも大径穴24dが形成されている。さらに、円環状板部24bの基端面には、長穴24cの長手方向中途部で且つ長穴24cよりも径方向内側に、長穴24cと隣接してストッパ33が設けられている。このストッパ33は、略矩形状の小さな板片であり、円環状板部24bに重ね合わされて固定されている。
【0045】
以下、本実施例の管内洗浄機20の使用方法(管内洗浄方法)について、説明する。
まず、
図2に示すように、フォーミングノズル21の先端部に、脱落防止具24と閉塞材22とを通して、ノズル本体27のくびれ部27bに閉塞材22を固定する。この際、閉塞材22のホース取付穴22cには排水ホース23の先端部がはめ込まれて保持されており、その排水ホース23は脱落防止具24の中央穴24aに通される。なお、閉塞材22の切込み22bを広げることで、フォーミングノズル21の先端部に閉塞材22を容易にはめ込むことができる。この段階では、排水ホース23の排水弁は閉じられている。
【0046】
また、図示しない高圧洗浄機本体とフォーミングノズル21とを高圧ホース28で接続する。すなわち、高圧洗浄機本体の高圧水出口とフォーミングノズル21の高圧ホース装着部30とを、高圧ホース28で接続する。高圧洗浄機本体は、給水を加圧して吐出する装置であり、給水管にも接続され、給水管には給水弁が設けられている。この段階では、高圧洗浄機本体の電源は切られており、給水弁は閉じられている。なお、本実施例では、高圧洗浄機本体として、たとえば、水圧5MPa以上、理論吐出量6L/min以上のものが好適に用いられる。
【0047】
フォーミングノズル21には、図示しない洗浄剤タンクと、洗浄剤ホース29を介して接続される。洗浄剤タンクには、所定濃度の洗浄剤が貯留されている。洗浄しようとする食品機械1の容量(より具体的には洗浄しようとする真空配管2内の被洗浄領域の容積)に応じて、フォーミングノズル21からの洗浄液の噴射量(発泡噴射時間)が異なるので、食品機械1の容量に応じて用意すべき洗浄剤の最低量は異なる。洗浄剤ホース29は、基端部が洗浄剤タンクの貯留液中に差し込まれる一方、先端部がフォーミングノズル21の洗浄剤ホース装着部31に接続される。
【0048】
なお、図示しないが、フォーミングノズル21には、洗浄剤の吸入流量の調整手段が設けられている。本実施例では、吸入量調整ダイヤルが設けられており、このダイヤル操作により、高圧水噴射時の洗浄剤の吸入流量を調整することができる。つまり、フォーミングノズル21のトリガー25を引いた際、所定圧(ひいては所定流量)で高圧水が噴射可能とされるが、吸入量調整ダイヤルにより、高圧水への洗浄剤の投入量(言い換えれば噴射される洗浄液の濃度)を調整することができる。そして、それにより、泡の出来具合(固さ)も変更することができる。ここでは、吸入量調整ダイヤルは、たとえば全開に設定される。
【0049】
その後、処理槽3内に開口する吸気口3aに、閉塞材22をはめ込んで、吸気口3aを閉塞すると共に吸気口3aにフォーミングノズル21を保持する。そして、処理槽3に脱落防止具24を係止することで、閉塞材22とフォーミングノズル21とが吸気口3aから脱落するのを防止する。より具体的には、本実施例の場合、次のようにして取り付けられる。
【0050】
まず、前提として、処理槽3内の上面の吸気口3aには、食品機械1に既設の部材として、吸気ストレーナ(図示省略)が着脱可能に設けられている。この吸気ストレーナは、脱落防止具24と同様の構成であるが、受け具32を備えない代わりに、円環状板部24bの中央穴24aには網材が張られている。そして、処理槽3内の上壁には、吸気口3aを取り囲む位置に、周方向等間隔に複数(ここでは三本)のピンが下方へ突出して設けられている。そして、各ピンの突出先端部(下端部)には、やや大径の頭部が形成されている。ピンの頭部の径は、円環状板部24bの長穴24cの幅よりも大きく、大径穴24dよりも小さい。また、ピンの軸部の径は、円環状板部24bの長穴24cの幅よりも小さい。従って、吸気ストレーナは、円環状板部24bの大径穴24dにピンの頭部を通した状態で周方向へ回して、長穴24cの端部(大径穴24dとは逆側の端部)の側にピンを配置することで、処理槽3の上壁とピンの頭部との間で円環状板部24bが保持されることになる。その状態では、吸気ストレーナは、円環状板部24bが処理槽3の上面に重ね合わされるように配置され、また、円環状板部24bに設けたストッパ33にピンの頭部が当たることで、吸気ストレーナの逆方向への回転(ひいては処理槽3の上壁からの脱落)が防止される。但し、吸気ストレーナを上方へやや押し込んで回すことで、ピンの頭部はストッパ33を通過でき、処理槽3に対し吸気ストレーナを着脱することができる。
【0051】
このような構成の吸気口3aにフォーミングノズル21を取り付けるには、吸気口3aに付いていた吸気ストレーナを取り外した後、吸気口3aに閉塞材22をはめ込むと共に、前記各ピンを利用して脱落防止具24を取り付ければよい。処理槽3の吸気口3aの周囲に設けられたピンに対する脱落防止具24の取付けは、吸気ストレーナの場合と同様に行うことができる。つまり、脱落防止具24は、円環状板部24bの大径穴24dにピンの頭部を通した状態で周方向へ回して、長穴24cの端部(大径穴24dとは逆側の端部)の側にピンを配置することで、処理槽3の上面とピンの頭部との間で円環状板部24bが保持されることになる。この際、閉塞材22に対し脱落防止具24を相対回転させることで(つまり吸気口3aにはめ込まれた閉塞材22は回転させずにその閉塞材22に対し脱落防止具24を回転させることで)、閉塞材22をねじることなく、容易に脱落防止具24を処理槽3の上壁に取り付けることができる。その状態では、脱落防止具24は、円環状板部24bが処理槽3の上面に重ね合わされるように配置され、また、円環状板部24bに設けたストッパ33にピンの頭部が当たることで、脱落防止具24の逆方向への回転(ひいては処理槽3の上壁からの脱落)が防止される。脱落防止具24により、閉塞材22は吸気口3aを塞いだ状態に維持され、吸気口3aとフォーミングノズル21(ノズル本体27)との隙間は水密状態に維持される。
【0052】
このようにして、吸気口3aに閉塞材22およびフォーミングノズル21を設置した状態で、給水弁を開けると共に、高圧洗浄機本体を作動させる。そして、フォーミングノズル21のトリガー25を引くと、引いている間、高圧洗浄機本体から高圧ホース28を介した高圧水がフォーミングノズル21の先端部から噴射される。高圧ホース28からの高圧水を噴射する際、洗浄剤ホース29を介して洗浄剤を吸引混合して泡状で吐出する。食品機械1の容量に応じた時間、フォーミングノズル21から洗浄液を発泡噴射した後、その噴射を止め、設定時間(たとえば5分)保持する。
【0053】
このような洗浄により、真空配管2内の洗浄が図られる。特に、吸気口3aから熱交換器7の入口側(あるいは熱交換器7の構成により真空ポンプ9手前の弁8)までの洗浄が図られる。洗浄液を泡状にして噴射することで、配管形状に依らず、管内への洗浄液の接触を確実に図ることができる。なお、洗浄中、真空ポンプ9などの減圧手段4を停止しておくのがよい。具体的には、洗浄中、蒸気エゼクタ6の給蒸弁11は閉じられ、熱交換器7への冷却水の通水は停止され、真空ポンプ9も停止している。これにより、フォーミングノズル21から噴射された洗浄液の泡を、真空配管2内に充填して保持することができ、容易に確実に管内の洗浄を図ることができる。
【0054】
前記設定時間の経過後、処理槽3の吸気口3aから、フォーミングノズル21を取り外せばよい。具体的には、まずは、排水ホース23の排水弁を開け、排水ホース23を介して、真空配管2内からの排水を図る。真空配管2の構成によっては、真空配管2内から全ての洗浄液の排水を図ることはできないが、閉塞材22を取り外した際に処理槽3内の天井から洗浄液が流れ落ちるのを防止することができる。
【0055】
排水ホース23から排水を図った後、処理槽3から脱落防止具24を取り外すと共に、吸気口3aからフォーミングノズル21を閉塞材22ごと取り外す。そして、フォーミングノズル21から閉塞材22や脱落防止具24を取り外して、それぞれ水で洗浄するのが好ましい。その際、フォーミングノズル21内の洗浄も行うのが好ましい。そのために、洗浄剤タンクに代えて、水道水を貯留した水タンクを用意し、その水タンクに洗浄剤ホース29を差し込んだ状態で、所定時間、トリガー25を引いて水を噴射させればよい。フォーミングノズル21内に洗浄液が残留したままであると詰まりを生じるおそれがあるが、フォーミングノズル21内を水で洗浄しておくことで、そのような不都合を防止することができる。さらに、フォーミングノズル21から高圧ホース28や洗浄剤ホース29を取り外す。また、高圧洗浄機本体の電源を切ればよい。
【0056】
ところで、高圧洗浄機本体には、高圧ホース28を介して、フォーミングノズル21と洗管ノズルとが付替可能に接続されるのが好ましい。洗管ノズルは、
図4に示すように、真空配管2内を進退させる洗管ホース34の先端部に、高圧ホース28から洗管ホース34を介した水を噴射させる洗管ヘッド35が設けられて構成される。より具体的には、本実施例では次のような構成とされる。
【0057】
洗管ノズルは、洗管ホース34の先端部の洗管ヘッド35から高圧水を噴射する洗浄ガンである。具体的には、トリガーを備えた把持部の先端部に、洗管ホース34の基端部が接続されている。把持部は、フォーミングノズル21の把持部26と同様の構成であり、高圧ホース28を介して高圧洗浄機本体と接続される。洗管ホース34は、本実施例ではステンレスワイヤブレードホースから構成される。洗管ホース34の先端部には、洗管ヘッド35が設けられており、高圧洗浄機本体から高圧ホース28および洗管ホース34を介した高圧水を噴射可能とされる。洗管ノズルのトリガーを引くと、図示例では洗管ヘッド35から逆噴射するように水が噴射され、洗管ヘッド35を自走させつつ管内の洗浄が可能とされる。
【0058】
洗管ノズルを用いた真空配管2の洗浄は、フォーミングノズル21の場合と同様、処理槽3内に開口する吸気口3aから行うことができる。つまり、吸気口3aの吸気ストレーナを外して、吸気口3aから真空配管2内へ洗管ホース34を先端部から順次送り込んでいけばよい。その際、洗管ノズルのトリガーを引いておくことで、洗管ヘッド35から水を噴射させつつ、管内の洗浄を図ることができる。洗管ホース34を適宜進退させつつ、洗管ヘッド35を真空配管2内の奥側へ進めることで、真空配管2の洗浄を図ることができる。
【0059】
洗管ノズルを用いた高圧洗浄は、フォーミングノズル21を用いた発泡洗浄の前および/または後に行うのが好ましい。好適には、洗管ノズルを用いた高圧洗浄工程、フォーミングノズルを用いた発泡洗浄工程、洗管ノズルを用いた濯ぎ洗浄工程が順次に実行される。
【0060】
高圧洗浄工程では、高圧洗浄機本体に高圧ホース28を介して洗管ノズルを接続した状態で、吸気口3aから洗管ホース34を真空配管2内へ入れて、真空配管2内を高圧水(水道水)で洗浄する。
【0061】
発泡洗浄工程では、洗管ノズルをフォーミングノズル21に付け替えて、また、フォーミングノズル21には洗浄剤ホース29も接続すると共に、閉塞材22や脱落防止具24なども取り付けて、前述したように、真空配管2内に洗浄液を発泡噴射して、設定時間保持することで管内を洗浄する。
【0062】
濯ぎ洗浄工程では、高圧洗浄工程と同様に、高圧洗浄機本体に高圧ホース28を介して洗管ノズルを接続した状態で、吸気口3aから洗管ホース34を真空配管2内へ入れて、真空配管2内を高圧水(水道水)で洗浄(濯ぎ)する。
【0063】
高圧洗浄工程、発泡洗浄工程および濯ぎ洗浄工程を順次に実行することで、真空配管内の予洗、本洗浄および濯ぎを、容易に確実に図ることができる。しかも、高圧洗浄機本体に、高圧ホース28を介して、フォーミングノズル21と洗管ノズルとを付け替えするだけで、各洗浄を実施することができる。
【0064】
ところで、これまでの説明では、食品機械1の処理槽3内には、上面に吸気口3aが形成されており、その吸気口3aから真空配管2内を洗浄する例について説明した。しかしながら、処理槽3内に開口する吸気口3aの位置には、各種のものがあり、上面でない場合にも、同様に洗浄可能である。たとえば、処理槽3内の左右の側面(または後面)に吸気口3aが形成されている場合も、前記実施例と同様に、吸気口3aに閉塞材22を介してフォーミングノズル21を取り付けて、真空配管2内を洗浄することができる。この場合、排水ホース23の設置は、所望により省略可能である。特に、処理槽3内の側面(または後面)の下部に吸気口3aが形成されている場合、排水ホース23の設置を省略してもよい。閉塞材22に排水ホース23を設けない場合、閉塞材22として、ホース取付穴22cが形成されていないものが用いられる。また、処理槽3内の左右の側面(または後面)に吸気口3aが形成されている場合、所望により、脱落防止具24の設置も省略可能である。
【0065】
さらに、処理槽3内に開口する吸気口3aではなく、真空配管2の中途(周側壁など)に開閉可能に設けられた洗浄口を利用して、真空配管2内の洗浄を図ってもよい。その場合も、吸気口3aからの洗浄の場合と同様に、洗浄口に閉塞材22を介してフォーミングノズル21を保持して、真空配管2内を洗浄することができる。また、フォーミングノズル21を用いた発泡洗浄だけでなく、洗管ノズルを用いた高圧洗浄や濯ぎ洗浄なども同様に行うことができる。なお、洗浄中、処理槽3内の吸気口3aは、閉塞材で閉塞しておくのが好ましい。
【0066】
本発明の食品機械用管内洗浄機および管内洗浄方法は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、管内洗浄機20は、処理槽3内の気体を外部へ吸引排出する真空配管2を備えた食品機械1に適用され、真空配管2内を洗浄するための洗浄機であって、(a)処理槽3内に開口した真空配管2の吸気口3a、または真空配管2の中途に開閉可能に設けられた洗浄口に、当該口を塞ぐよう着脱可能に設けられる閉塞材22と、(b)先端部を真空配管2内へ向けて閉塞材22に水密状態で保持され、真空配管2内に洗浄液を泡状にして噴射するフォーミングノズル21とを備えるのであれば、適宜に変更可能である。また、管内洗浄方法は、好適には前述したフォーミングノズル21を用いて、真空配管2内に泡状洗浄液を噴射して設定時間保持する発泡洗浄工程を含むのであれば、その他は適宜に変更可能である。
【0067】
たとえば、前記実施例では、管内洗浄機20は、脱落防止具24や排水ホース23を備えたが、前述したとおり、一方または双方の設置を省略することができる。排水ホース23の設置を省略する場合、閉塞材22にはホース取付穴22cは形成されない。一方、排水ホース23を設置する場合、発泡洗浄中の排水ホース23からの泡の流出を防止する連通切替手段(排水弁)として、前記実施例では手動弁を用いたが、洗浄中の泡の流出を防止できるのであれば、電磁弁や電動弁を用いることができる他、文字どおりの弁以外に、排水ホース23の出口に栓を着脱可能に設けたりしてもよい。あるいは、ホースクリップ(クランプ)などで、所望時に、排水ホース23の一部を弾性変形させてつぶすなどしたりしてもよい。
【0068】
また、前記実施例において、吸気口3a(または洗浄口)にフォーミングノズル21の先端部を差し込んだ状態で、フォーミングノズル21と吸気口3a(または洗浄口)との隙間を埋めることができるのであれば、閉塞材22の形状は適宜に変更可能である。
【0069】
また、吸気口3a(または洗浄口)への閉塞材22の取付状態において、真空配管2の内外を連通可能であれば、閉塞材22への排水ホース23の取付構成は、適宜に変更可能である。
【0070】
さらに、前記実施例では、食品機械1として真空冷却装置を例に説明したが、真空配管2を備えるのであれば、その他の食品機械1にも同様に適用可能である。また、減圧手段4の構成は、前記実施例の構成に限らず、たとえば、蒸気エゼクタ6がなかったり、水エゼクタを備えたりしていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 食品機械
2 真空配管
3 処理槽(3a:吸気口)
4 減圧手段
5 復圧手段
6 蒸気エゼクタ(6a:吸引口、6b:入口、6c:出口、6d:ノズル)
7 熱交換器
8 逆止弁
9 真空ポンプ
10 給蒸路
11 給蒸弁
12 熱交給水路
13 熱交排水路
14 熱交給水弁
15 封水給水路
16 封水給水弁
17 給気配管
18 エアフィルタ
19 真空解除弁
20 管内洗浄機
21 フォーミングノズル
22 閉塞材(22a:ノズル取付穴、22b:切込み、22c:ホース取付穴)
23 排水ホース
24 脱落防止具(24a:中央穴、24b:円環状板部、24c:長穴、24d:大径穴)
25 トリガー
26 把持部(26a:一片、26b:他片、26c:保護枠)
27 ノズル本体(27a:ヘッド、27b:くびれ部)
28 高圧ホース
29 洗浄剤ホース
30 高圧ホース装着部
31 洗浄剤ホース装着部
32 受け具(32a:本体片、32b:固定片、32c:受け片)
33 ストッパ
34 洗管ホース
35 洗管ヘッド