IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テセラ・テクノロジー株式会社の特許一覧

特許7037781発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム
<>
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図1
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図2
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図3
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図4
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図5
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図6
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図7
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図8
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図9
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図10
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図11
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図12
  • 特許-発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】発電装置およびこれを用いた施設の環境情報センシングシステム
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20220310BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H02N2/18
F24F7/06 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017166300
(22)【出願日】2017-08-31
(65)【公開番号】P2019047576
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】509183084
【氏名又は名称】テセラ・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139206
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 朋之
(72)【発明者】
【氏名】成田 史生
(72)【発明者】
【氏名】槙原 幹十朗
(72)【発明者】
【氏名】橋本 善一
(72)【発明者】
【氏名】菊田 純一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晋一
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-086599(JP,A)
【文献】特開2015-226346(JP,A)
【文献】特開2014-036512(JP,A)
【文献】特開2017-022958(JP,A)
【文献】特開2017-022508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が流体の流路に固定された支持部と、
この支持部に連結され、前記流路を流動する流体からの圧力を受けてピエゾ発電および磁歪発電を行う圧電/磁歪発電デバイスとを有し、
この圧電/磁歪発電デバイスは、ピエゾ圧電材に磁歪材を埋め込み、電極を取り付けて形成されたコアと、
このコアに巻回したコイル線材と、
前記電極に取り付けた第1の端子と、
前記コイル線材に取り付けた第2の端子とを含み、
前記第1の端子および第2の端子からの出力を得る発電装置。
【請求項2】
施設の流路の何れかの箇所に設けられた前記発電装置と、
前記施設の環境情報を検出する少なくとも一つのセンサーと、
前記発電装置が発生する電力を用いて駆動される本体回路とを備えたことを特徴とする
請求項1項記載の発電装置を用いた施設の環境情報センシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気ダクト内を流動する空気が持つ運動エネルギーを有効利用した発電装置およびこの装置を利用した、施設の環境情報センシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
施設(居室等)の換気には、図13(A)に示す第一種機械換気、図13(B)に示す第二種機械換気、図13(C)に示す第三種機械換気が知られている。
図13(A)に示す第一種機械換気が行なわれる施設8Aでは、給気ファン81により給気ダクト83から給気が行なわれ、排気ファン82により排気ダクト84から排気が行われる。第一種機械換気では、給気ファン81および排気ファン82のパワーを調節することで室内を正圧または負圧に保持できる。地下街,地下駐車場等の地下施設の換気は、基本的には第一種機械換気である。
【0003】
図13(B)に示す第二種機械換気が行なわれる施設8Bでは、給気ファン81により給気ダクト83から給気が行われ、自然通気により排気ダクト84から排気が行われる。この第二種機械換気では、給気ファン81が室内を正圧に保持できる。クリーンルームの換気は、基本的には第二種機械換気である。
【0004】
図13(C)に示す第三種機械換気が行なわれる施設8Cでは、自然通気により給気ダクト83から給気が行われ排気ファン82により排気ダクト84から排気が行われる。第三種機械換気では、排気ファン82が室内を負圧に保持できる。住宅居室の換気は、基本的には第三種機械換気であり、たとえばトイレットのドアを開けたときにトイレット内の空気が隣室に流出しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-8370
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図13(A),図13(B),図13(C)に示した各種機械換気では、給気ダクト83から給気される空気はそのまま室内に導入され、排気ダクトから排気される空気はそのまま大気に放出されている。
このため、給気ダクトから給気される空気が持つ運動エネルギー、または排気ダクトから排気される空気の運動エネルギーが無駄に消費される。
【0007】
本発明の目的は、通気ダクト内を流動する空気が持つ運動エネルギーを有効利用した発電装置およびこの装置を利用した施設の環境情報センシングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発電装置は、以下を要旨とする。
(1) 構造物または乗り物に形成される通気路の何れかの箇所に取り付けられ、前記通気路を流動する空気から応力を受けて発電する発電デバイスを備えたことを特徴とする発電装置。
構造物とは、建物、地下街・地下駐車場等の地下施設、トンネル等を含む。
乗り物とは、自動車、電車、船舶等の人または荷物を移動・運搬する装置を含む。
(2)
通気ダクトの流路の何れかの箇所または前記流路の始端または終端に、応力を受けることで発電する少なくとも一つの発電デバイスが設けられ、前記発電デバイスは通気ダクト内を流動する空気から前記応力を受けることを特徴とする発電装置。
本発明の発電装置は、第一種機械換気(前述した図13(A)参照)、第二種機械換気(前述した図13(B)参照)、第三種機械換気(前述した図13(C)参照)の何れに対しても適用することができる。
また、通気ダクトには、給気ダクト、排気ダクトまたは循環ダクトが含まれる。たとえば、ある部屋について換気対象を行う場合、給気ダクトおよび排気ダクトの双方が設けられることもあるし、何れか一方しか設けられないこともあるし、給気ダクトおよび循環ダクトの双方が設けられることもあるし、給気ダクト、循環ダクトおよび排気ダクトが設けられることもある。
たとえば、通気ダクトには、空気入口および空気出口がそれぞれ1つあってもよい。また、たとえば、1つの通気ダクトが複数に分岐する場合には、空気入口が1つであるが空気出口は複数である。複数のダクトが1つに統合される場合には、空気出口が1つであるが空気入口は複数である。
本発明では、給気ダクトの空気入口を空気取得口、空気出口を空気導入口と称し、排気ダクトの空気入口を空気吸引口、空気出口を空気排出口と称す。
発電装置が設けられる箇所は、通気ダクトの空気入口および空気出口の近傍であってもよいし、通気ダクトの内部であってもよい。
また、1つの通気ダクトが複数に分岐する場合には、分岐箇所に分岐量調節用のフィンが設けられることがあるが、このフィンに本発明の発電装置を取り付けることができる。また、このフィン自体を発電装置として構成することもできる。
さらに、通気ダクトの内部には、鎧戸(ルーパ)状の振動防止用減衰器(スラット)が設けられることがある。鎧戸状の振動防止用減衰器では、鎧戸に使用される板に発電装置を取り付けることができる。また、このフィン自体を発電装置として構成することもできる。
なお、応力を受けて発電する素子,装置、機器等として、後述するピエゾ発電デバイスや磁歪発電デバイスが挙げられる。
【0009】
(3)
(2)に記載の発電装置であって、
前記発電デバイスはピエゾ発電デバイスであり、前記ピエゾ発電デバイスは、前記通気ダクト内を流動する空気から応力を受けるように、少なくとも1箇所が前記通気ダクトの内壁、前記通気ダクトの流路内工作物(ステー等)または前記通気ダクトの始端部材または終端部材に固定されている発電装置。
ピエゾ発電デバイスは、たとえば長方形型であり、長手側の一端を長方形面が流路の軸線に対して角度を持つように(典型的には、ほぼ垂直になるように)配置することができる。
なお、ピエゾ発電デバイスは、吹流し式、すなわちピエゾ発電デバイスが長方形型の場合、長手側の一端を長方形面が流路の軸線に対してほぼ平行に配置することもできる。
【0010】
(4)
(2)に記載の発電装置であって、
前記発電デバイスは磁歪発電デバイスであり、前記磁歪発電デバイスは、磁歪材コアにコイルが巻回されてなり、前記通気ダクト内を流動する空気から応力を受けるように、少なくとも1箇所が前記通気ダクトの内壁、前記通気ダクトの流路内工作物(ステー)または前記通気ダクトの始端部材または終端部材に固定されている発電装置。
本発明では、発電デバイスとして磁歪材コアにコイルが巻回されてなる磁歪発電デバイスを使用することができる。
磁歪発電デバイスのステーへの取り付け形態等は、上述したピエゾ発電デバイスの取り付け形態等と同様とできる。
【0011】
(5)
(2)に記載の発電装置であって、
前記発電デバイスは圧電発電と磁歪発電とを同時に行う圧電/磁歪発電デバイスであり、前記圧電/磁歪発電デバイスは、前記通気ダクト内を流動する空気から応力を受けるように、少なくとも1箇所が前記通気ダクトの内壁、前記通気ダクトの流路内工作物(ステー)または前記通気ダクトの始端部材または終端部材に固定されている発電装置。
圧電/磁歪発電デバイスのステーへの取り付け形態等は、上述したピエゾ発電デバイスの取り付け形態等と同様とできる。
【0012】
(6)
(2)から(5)の何れか1項に記載の発電装置であって、
前記通気ダクトがクリーンルームまたは地下施設に設けられた給気ダクトまたは排気ダクトである発電装置。
本発明の発電装置は、地下設備またはクリーンルームの通気ダクトへの適用が好適である。
発電装置により生成された電力は、本発明のクリーンルームのセンシングシステムにおけるセンシング用電力として使用できる。
【0013】
本発明の施設の環境情報センシングシステムは、以下を要旨とする。
(7)
(2)から(6)の何れか1項に記載の発電装置を用いた施設の環境情報をセンシングするシステムであって、
前記施設の通気ダクトの流路の何れかの箇所に設けられた前記発電装置と、
前記通気ダクトの流路の何れかの箇所、前記施設の内外の何れかの箇所に設けた前記施設の環境情報を検出する少なくとも一つのセンサー、
前記発電装置が発生する電力を用いて駆動される本体回路と、
を備えたことを特徴とする施設の環境情報センシングシステム。
本発明の施設の環境情報センシングシステムでは、(2)から(6)で説明した発電装置が生成する電力の充電装置を備えておくことができる。
通気ダクトは、給気ダクト、排気ダクトまたは循環ダクトを含む。
温度、湿度、気圧などのセンシングには、大きな電力は必要としないので、電源として上記充電装置を使用することができる。
【0014】
(8)
(7)に記載の施設の環境情報センシングシステムであって、
前記環境情報が、前記施設の内部の所定気体の濃度、温度、湿度、気圧であることを特徴とする施設の環境情報センシングシステム。
【0015】
(9)
(7)または(8)に記載の施設の環境情報センシングシステムであって、
前記施設が地下施設(地下駐車場を含む)またはクリーンルームであることを特徴とする施設の環境情報センシングシステム。
【0016】
(10)
(2)から(6)の何れか1項に記載の発電装置を用いた人/動物センシングシステムであって、
前記施設の通気ダクトの流路の何れかの箇所に設けられた前記発電装置と、
前記通気ダクトの流路の何れかの箇所、前記施設の内外の何れかの箇所に設けた人または動物を検出する少なくとも一つのセンサー、
前記発電装置が発生する電力を用いて駆動される本体回路と、
を備えたことを特徴とする人/動物センシングシステム。
この発明におけるセンサーとして、赤外線センサーまたは遠赤外線センサーを使用することができるし、撮像デバイス(たとえば、8*8画素,16*16画素のCCD)を使用することもできる。
【0017】
本発明では、以下の発電デバイスが使用できる。
(a) 可撓性の平板状をなす第1電極と、前記電極の片面に形成した圧電材と、前記圧電材の表面に形成した第2電極とを備えた発電デバイス。
(b) 可撓性の平板状をなす第1電極と、前記電極の両面に形成した圧電材と、前記各圧電材の表面にそれぞれ形成した第2電極とを備えた発電デバイス。
(c) 可撓性の平板状をなす磁歪材からなるコアと、
前記コアに巻回されたコイル線材からなるコイルと、
を備えた発電デバイス。
(d) 可撓性の平板状をなす第1電極、前記電極の片面に形成した磁歪/圧電材、および前記磁歪/圧電材の表面に形成した第2電極からなるコアと、
前記コアに巻回されたコイル線材からなるコイルと、
を備えた発電デバイス。
(e) 可撓性の平板状をなす第1電極、前記電極の両面に形成した磁歪/圧電材、および前記各磁歪/圧電材の表面にそれぞれ形成した第2電極からなるコアと、
前記コアに巻回されたコイル線材からなるコイルと、
を備えた発電デバイス。
(f) フィルム状の圧電材(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)強誘電体等)がフィルム状の第1電極と第2電極とに挟まれて形成された発電体が、可撓性の平板状基材(典型的には合成樹脂材または金属材から構成される)の片面または両面に張り付けられて構成される発電デバイス。
(g) フィルム状の圧電材がフィルム状の第1電極と第2電極とに挟まれて形成された発電体と、可撓性の平板状基材(典型的には合成樹脂材または金属材から構成される)とを交互に重ね合わせて張り合わせた発電デバイス。
(h) フィルム状の圧電材がフィルム状の第1電極と第2電極とに挟まれて形成された発電体が、可撓性の平板状基材(典型的には合成樹脂材または金属材から構成された発電デバイス。
(i) 圧電材に代えて磁歪/圧電材を用いた(f)-(h)の発電デバイスの構成をコアとして、前記コアに巻回されたコイル線材からなるコイルと、
を備えた発電デバイス。
(a)~(i)の発電デバイスは、典型的には短冊形(長方形)をなしており、長手一端が構造体等に固定される。
圧電材やコア(あるいはコイル)は、固定端側に形成し、固定端側から遠い側には形成されないようにできる。
通常、複数の発電デバイスが1ユニットとして使用される。
(c)~(e),(i)の発電デバイスでは、典型的には、コイルから引き出された2端子と、第1電極および第2電極から引き出された各端子を備えている。
コイルからの2端子はAC/DC変換されてセンシング回路(本体回路)に供給される。また、磁歪/圧電材に形成された第1電極および第2電極から引き出された各端子も、AC/DC変換されてセンシング回路に供給される。
積層体コアの各圧電電極に現れる起電力を相乗されるように(相殺されないように)合成し、この合成起電力をAC/DC変換することができる。
【0018】
なお、積層体コアの各圧電電極に現れる起電力をAC/DC変換した後に、このDC起電力を合成することもできる。
本発明では、(c)~(e)の磁歪/圧電材として、磁歪ファイバーが配向されて練り込まれた合成樹脂圧電材を使用できる。この場合には、コイル線材が前記磁歪ファイバーの向きに直交するように前記コアに巻回される。
なお、第1電極および第2電極として非磁性体金属が使用され、コイルは柔磁性体で囲繞することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発電装置によれば、通気ダクト内を流動する空気が持つ運動エネルギーを有効利用できる。
本発明のクリーンルームのセンシングシステムによれば、本発明の発電装置を使用しているので、商用電源を使用することなくクリーンルームのセンシングシステムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は第一種機械換気を行う地下施設の発電装置を適用する実施形態を示す地下施設Sの正面説明図である。
図2図2は第一種機械換気を行う地下施設の発電装置を適用する実施形態を示す地下施設Sの天井裏空間CSの通気ダクトの説明図である。
図3図3は環境情報センシングシステム3の概要示す図である。
図4図4は、本発明の発電装置31として使用するユニモルフ構成のピエゾ発電デバイス311を詳細に示す図である。図4(A)はピエゾ発電デバイス311の正面図、図4(B)はピエゾ発電デバイス311の側面図である。
図5図5は、本発明の発電装置31として使用するバイモルフ構成のピエゾ発電デバイス311を詳細に示す図である。図5(A)はピエゾ発電デバイス311の正面図、図5(B)はピエゾ発電デバイス311の側面図である。
図6図6は、ピエゾ発電デバイス311に代えて使用できる磁歪発電デバイス311Aを示す図である。
図7図7は、第二種機械換気を行うクリーンルームに本発明を適用した実施形態の説明図である。
図8図8は主幹給気ダクト51が複数の分岐給気ダクト52に分岐する例を示す図である。
図9図9は、クリーンルームCR内のエアーを排気ダクト56により外部に排気することもできる換気システムを示す説明図である。
図10図10はクリーンルームの主幹給気ダクト51の空気取得口54に設けた複数のピエゾ発電デバイス311を示す図である。
図11図11は本発明の発電装置として使用される圧電/磁歪発電デバイスを地下鉄の駅に設置した態様示す説明図である。
図12図12は本発明の発電装置として使用される圧電/磁歪発電デバイスを示す説明図であり、図12(A)は磁歪材としてコイル長とほぼ同じ長さの線材を用いた例を示す図、図12(B)は磁歪材としてコイル長よりも十分短い線材を用いた例を示す図である。
図13図13は施設(居室等)の換気を示す図であり、図13(A)は第一種機械換気、図13(B)は第二種機械換気、図13(C)は第三種機械換気の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明では、発電装置を乗り物に適用することもできるが、以下、 発電装置を構造物に適用する例について説明する。
図1および図2は第一種機械換気を行う地下施設に本発明の発電装置を適用する実施形態を示す図である。
図1は地下施設Sの正面説明図であり、図2は地下施設Sの天井裏空間CSの通気ダクトの説明図である。
図1に示すように地下施設Sには、通路空間P、店舗空間Mおよび天井裏空間CSが形成されている。
図2にも示すように天井裏空間CSには、主幹給気ダクト11および主幹排気ダクト21が設置されている。
図1および図2に示すように、主幹給気ダクト11からは分岐給気ダクト12が分岐し、主幹排気ダクト21からは分岐排気ダクト22が分岐している。
【0022】
本実施形態では、主幹給気ダクト11および主幹排気ダクト21は断面が矩形のダクトであり、分岐給気ダクト12および分岐排気ダクト22はベローズタイプの断面が円形のダクトである。
分岐給気ダクト12の先端は、地下施設Sの天井の空気導入口AINに延設され、分岐給気ダクト12は空気導入口AINおいて開口している。
図1に示すように、分岐排気ダクト22の先端は、地下施設Sの壁面下部の空気吸引口ADRに延設され、分岐排気ダクト22は空気吸引口ADRにおいて開口している。
図1および図2においては、環境情報センシングシステム3が主幹排気ダクト21に設けられている。
【0023】
図3は環境情報センシングシステム3の概要を示す図である。
図3において、環境情報センシングシステム3は、発電装置31とセンサー32と回路ユニット33を含んで構成されている。
本実施形態では、図3に示すように、発電装置31が主幹排気ダクト21の流路内にステー(本発明における流路内工作物)STを用いて取り付けられている。また、センサー32が主幹排気ダクト21の流路内(主幹排気ダクト21の内側)に取り付けられている。
回路ユニット33は、主幹排気ダクト21の外面(主幹排気ダクト外側)に取り付けられている。
【0024】
回路ユニット33は、AC/DCコンバータ331(AC/DCコンバータ群)、調整器332、電源333、二次電池334、プロセッサー335、通信回路336、A/D変換器337を内蔵し、アンテナ338を実装している。
本実施形態では、発電装置31は複数のピエゾ発電デバイス311から構成されており、通常、AC/DCコンバータ331は発電装置31からの電力を降圧する。
発電装置31で生成された電力(複数のピエゾ発電デバイス311から生成された電力)はAC/DCコンバータ331により直流電力に変換される。本実施形態では、調整器332はAC/DCコンバータ331からの電力を合成し、適切な電圧に調製(昇圧または降圧、通常は降圧)する。
調整器332により調製された電力は電源333に送られる。電源333では、自身(環境情報センシングシステム3)の駆動に使用されてもよいし、二次電池334の充電に使用されてもよい。
二次電池334に充電された電力は、主幹排気ダクト21の空気の流れが弱いとき等において、環境情報センシングシステム3の駆動に利用される。
【0025】
プロセッサー335は、図示しない記憶装置(ROM等)に記憶されたプログラムにより環境情報センシングシステム3全体を制御する。
センサー32(図3では複数のセンサー)からの検出信号はA/D変換器337を介してプロセッサー335に取り込まれる。センサー32として、CO、CO2、NO、NO2等の気体検出器、温度検出器、湿度検出器、気圧検出器を用いることができる。
プロセッサー335は、所定のセンシング演算をした後、センシングデータ(ディジタル化した検出信号)を通信回路336に渡し、通信回路336は、アンテナ338を介して図示しないホスト装置にセンシングデータを送信することができる。
なお、センサー32による検出および通信回路336によるセンシングデータのホスト装置への送信は、所定時間間隔で適宜行なうことができる。
【0026】
図4は、本発明の発電装置31として使用するユニモルフ構成のピエゾ発電デバイス311を詳細に示す図である。図4(A)はピエゾ発電デバイス311の正面図、図4(B)はピエゾ発電デバイス311の側面図である。
図4(A),(B)に示すように、ピエゾ発電デバイス311は、ピエゾ材3112とその両面に形成した第1電極3111,第2電極3113と、第2電極3113側に設けられた振動構造体3114とから構成されている。
本実施形態では、ピエゾ発電デバイス311はステーSTに取り付けられている。
ピエゾ材3112として、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)強誘電体等が使用できる。
第1電極3111、第2電極3113は配線w1,W2を介して図3に示したAC/DCコンバータ331に接続される。
振動構造体3114、アルミニウム等の金属または合成樹脂からなる可撓板材から構成することができる。
なお、振動構造体3114は、第2電極3113の上だけではなく、第2電極3113の下にも設けてもよい。
【0027】
図5は、本発明の発電装置31として使用するバイモルフ構成のピエゾ発電デバイス311を詳細に示す図である。図5(A)はピエゾ発電デバイス311の正面図、図5(B)はピエゾ発電デバイス311の側面図である。
図5(A),(B)に示すように、ピエゾ発電デバイス311では、第1電極3111、第1ピエゾ材3112、第2電極3113、振動構造体3114、第3電極3115、第3ピエゾ材3116、第4電極3117から構成されている。
なお、図示はしないがピエゾ発電デバイスを、複数のピエゾ発電デバイス要素(図4または図5のピエゾ発電デバイス311)を積層して構成することができる。
第1電極3111、第2電極3113及び第3電極3115、第4電極3117は、図4の発電装置31の第1電極3111、第2電極3113と同様、配線w1,W2を介して図3に示したAC/DCコンバータ331に接続される。
第2電極と第3電極を短絡することもできる。
なお、バイモルフ構造の場合,振動構造体3114は理論上存在しなくても良いが、現実にはある方が望ましい。
【0028】
図6に、図3の環境情報センシングシステム3の発電装置31におけるピエゾ発電デバイス311に代えて使用できる磁歪発電デバイス311Aを示す。図6では、磁歪発電デバイス311Aは、磁歪金属コア3118にコイル3119が巻回されて構成される。
なお、コイル3119は説明の便宜上少ない巻き数で表示してあるが実際の構成とは異なっている。
図3を参照して説明すると、磁歪発電デバイス311Aは、ピエゾ発電デバイス311と同様、その起電力をAC/DCコンバータ331により直流に変換する。この場合、通常は、AC/DCコンバータ331の出力は、調整器332により昇圧される。調整器332はAC/DCコンバータ331からの電力を合成し、適切な電圧に調製する。この例のように、発電装置31が磁歪発電デバイス311Aである場合には、通常は、調整器332は入力電圧を昇圧する。
【0029】
図7は、第二種機械換気を行うクリーンルームに本発明を適用した実施形態の説明図である。
図7において、クリーンルームCRにはエアーシャワーエリアSAが付設されている。
クリーンルームCRには、主幹給気ダクト51、分岐給気ダクト52、帰還ダクト53が敷設されている。
主幹給気ダクト51の空気取得口54にはフィルタ541が備えられている。また、空気取得口54には、後述するように(図10参照)ピエゾ発電デバイス311が取り付けられている。
主幹給気ダクト51の流路上には機械ファン55が設けられ、空気取得口54と機械ファン55との間には加湿器57が設けられている。
主幹給気ダクト51は、図8に示すように複数の分岐給気ダクト52に分岐している。
分岐給気ダクト52は、クリーンルームCRの天井においてフィルタ521を介して開放されている。
【0030】
図7ではクリーンルームCR内のエアーを帰還ダクト53を介して循環させているが、図9に示すように、クリーンルームCR内のエアーを排気ダクト56の空気排出口AOUTより外部に排気することもできる。
【0031】
図10はクリーンルームの主幹給気ダクト51の空気取得口54に設けた複数のピエゾ発電デバイス311を示す図である。
図10に示すように、主幹給気ダクト51の空気取得口の内側にステーSTが設けられている。
このステーSTにピエゾ発電デバイス311が取り付けられている。
【0032】
図11は本発明の発電装置として使用される圧電/磁歪発電デバイスを地下鉄の駅に設置した態様示す説明図である。
図11では、地下鉄の駅の通路空間Pの天井Cに発電デバイス311が取り付けられた様子が示されている。列車ETは常に空気の流れを作るので発電デバイス311は効率よく電力を作ることができ、電線の引き回しをすることなく種々のセンシングシステムを構築できる。
図12は本発明の発電装置として使用される圧電/磁歪発電デバイスを示す説明図であり、図12(A)は磁歪材としてコイル長とほぼ同じ長さの線材を用いた例を示し、図12(B)は磁歪材としてコイル長よりも十分短い線材を用いた例を示し
この圧電/磁歪発電デバイス4を用いて本発明の発電装置を構成できる。
図12(A),(B)において圧電/磁歪発電デバイス4は、可撓性の平板状をなす第1電極411、第1電極411の片面に形成した磁歪/圧電材412、および磁歪/圧電材412の表面に形成した第2電極413からなるコア41と、コア41に巻回されたコイル線材からなるコイル42とを備えている。
図12(A),(B)において、磁歪/圧電材412は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)強誘電体に、磁歪ファイバーFが埋めこまれて形成されている。
コア41は支持部44に連結され、コア41には受圧部43が形成されている。
支持部44および受圧部43は非磁性材料(金属または非金属材)により構成される。図12(A),(B)では支持部44はステーSTに取り付けられている。
第1電極411および第2電極413からは端子a1,a2から引き出され、コイル42からは端子b1,b2が引き出されている。
【符号の説明】
【0033】
3 環境情報センシングシステム
4 圧電/磁歪発電デバイス
11 主幹給気ダクト
12 岐給気ダクト
21 主幹排気ダクト
22 分岐排気ダクト
31 発電装置
32 センサー
33 回路ユニット
41 コア
42 コイル
43 受圧部
44 支持部
51 主幹給気ダクト
52 分岐給気ダクト
53 帰還ダクト
54 空気取得口
55 機械ファン
56 排気ダクト
57 加湿器
311 ピエゾ発電デバイス
311A 磁歪発電デバイス
331 AC/DCコンバータ
332 調整器
333 電源
334 二次電池
335 プロセッサー
336 通信回路
337 A/D変換器
338 アンテナ
332 調整器
333 電源
411 第1電極
412 磁歪/圧電材
413 第2電極
521 フィルタ
541 フィルタ
334 二次電池334
335 プロセッサー
336 通信回路
337 A/D変換器
3111 第1電極
3112 ピエゾ材(第1ピエゾ材)
3113 第2電極
3114 振動構造体
3115 第3電極
3116 第2ピエゾ材
3117 第4電極
3118 磁歪金属コア
3119 コイル
AIN 空気導入口
AOUT 空気排出口
ADR 空気吸引口
S 地下施設
CS 天井裏空間
P 通路空間
M 店舗空間
CR クリーンルーム
SA エアーシャワーエリア
ST ステー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13