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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】アーチ状構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/32 20060101AFI20220310BHJP
   E04H 9/16 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
E04B1/32 101D
E04B1/32 101C
E04H9/16 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017243412
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019108761
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220893
【氏名又は名称】東光鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】永石 充
(72)【発明者】
【氏名】久保田 悟史
(72)【発明者】
【氏名】中田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 康昭
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康仁
(72)【発明者】
【氏名】畠山 祥平
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-044227(JP,A)
【文献】特開2012-144869(JP,A)
【文献】特開2011-206655(JP,A)
【文献】特開2008-174995(JP,A)
【文献】米国特許第04885879(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0088621(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/32
E04H 9/16
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーチ状に連結された波形鋼板からなる壁体と、前記壁体の内側に、前記壁体の長手方向に間隔をあけて構築された、前記壁体を補強する複数本の支柱とからなると共に車道を覆うアーチ状構造物において、
前記支柱の下部内面間にカバー材が取り付けられ
前記支柱は、内側フランジおよび外側フランジが前記車道と平行になるように配されたH形鋼からなり、基礎上に台座を介して取り付けられ、
前記カバー材には、視線誘導体が取り付けられ、
前記視線誘導体は、前記カバー材を前記支柱に取り付ける、頭部に再帰反射性塗料が塗られたボルトからなり、
前記カバー材の下端部は、前記台座を覆うように前記車道側に折れ曲がり、
前記アーチ状構造物は、スノーシェルターであることを特徴とするアーチ状構造物。
【請求項2】
前記カバー材は、鋼板からなることを特徴とする、請求項1に記載のアーチ状構造物。
【請求項3】
前記カバー材は、樹脂板からなることを特徴とする、請求項1に記載のアーチ状構造物。
【請求項4】
前記カバー材の上端部は、車道側に折れ曲がっていることを特徴とする、請求項からの何れか1つに記載のアーチ状構造物。
【請求項5】
前記カバー材の上端部は、前記支柱の前記外側フランジ側に折れ曲がっていることを特徴とする、請求項からの何れか1つに記載のアーチ状構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アーチ状構造物、特に、アーチ状に連結された波形鋼板からなる壁体と、壁体を補強する支柱とからなるアーチ状構造物の支柱の腐食を防止し、かつ、高い視線誘導効果を得ることができるアーチ状構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
波形鋼板により構築されるアーチ状構造物の一例が特許文献1に開示されている。以下、このアーチ状構造物を従来アーチ状構造物といい、図面を参照しながら説明する。
【0003】
図7は、従来アーチ状構造物を示す部分斜視図、図8は、従来アーチ状構造物を示す部分正面図である。
【0004】
図7および図8に示すように、従来アーチ状構造物は、それぞれ台座12を介して基礎13上に固定された一対の側部壁11と、一対の側部壁11間を連結する頂部壁14とをアーチ状に組み立てたもので構成されている。
【0005】
側部壁11と頂部壁14とは、大型デッキプレートからなる波形鋼板を弧状に曲げ加工したものからなり、側部壁11の端部上に頂部壁14の端部が載置され、これらはボルト15により連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-135221号公報
【文献】特開2011-206655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来アーチ状構造物が、例えば、豪雪地帯に設置されるスノーシェルターである場合には、図9および図10に示すように、間隔をあけて構築されたH形鋼等からなる支柱16によって補強されている。
【0008】
図9は、従来スノーシェルターを示す部分正面図、図10は、図9のA矢視図である。
【0009】
通常、スノーシェルターは、除雪が困難な個所に構築されるので、スノーシェルターの前後の道路には、凍結防止剤が散布される。このために、走行してくる車は、タイヤに凍結防止剤が付着した状態でスノーシェルター内を走行する。この際、タイヤの遠心力によって、タイヤに付着した凍結防止剤が周囲に飛散し、その一部は、支柱16に付着する。この結果、支柱16が凍結防止剤によって錆びるおそれがあった。
【0010】
支柱16が錆びると、補強効果が失われるので、錆びた箇所を切断し、更新部材を既存の支柱に溶接することによって補修を行っていたが、この補修作業は、大掛かりで、その間、通行止めにせざるを得ない場合もある。
【0011】
また、スノーシェルター内は、薄暗く、ドライバーの安全性に欠けるといった問題もあった。
【0012】
以上の問題は、スノーシェルターに限らず、他のアーチ状構造物にも起こる可能性がある。
【0013】
従って、この発明の目的は、アーチ状に連結された波形鋼板からなる壁体と、壁体を補強する支柱とからなるアーチ状構造物の支柱の腐食を防止し、かつ、高い視線誘導効果を得ることができるアーチ状構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の発明は、アーチ状に連結された波形鋼板からなる壁体と、前記壁体の内側に、前記壁体の長手方向に間隔をあけて構築された、前記壁体を補強する複数本の支柱とからなると共に車道を覆うアーチ状構造物において、前記支柱の下部内面間にカバー材が取り付けられ、前記支柱は、内側フランジおよび外側フランジが前記車道と平行になるように配されたH形鋼からなり、基礎上に台座を介して取り付けられ、前記カバー材には、視線誘導体が取り付けられ、前記視線誘導体は、前記カバー材を前記支柱に取り付ける、頭部に再帰反射性塗料が塗られたボルトからなり、前記カバー材の下端部は、前記台座を覆うように前記車道側に折れ曲がり、前記アーチ状構造物は、スノーシェルターであることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記カバー材は、鋼板からなることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記カバー材は、樹脂板からなることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項からの何れか1つに記載の発明において、前記カバー材の上端部は、車道側に折れ曲がっていることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項に記載の発明は、請求項からの何れか1つに記載の発明において、前記カバー材の上端部は、前記支柱の前記外側フランジ側に折れ曲がっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、アーチ状に連結された波形鋼板からなる壁体と、壁体を補強する支柱とからなるアーチ状構造物の支柱の下部内面間に、カバー材を取り付けることによって、車の走行に伴って飛散する凍結防止剤が支柱に付着するのを防止することができ、この結果、支柱の腐食を防止することができる。
【0026】
また、この発明によれば、カバー材に視線誘導体を取り付けることによって、視線誘導効果を得ることができる。
【0027】
また、この発明によれば、視線誘導体として、カバー材を支柱に取り付ける、頭部に再帰反射性塗料が塗られたボルトを使用することによって、カバー材を支柱に取り付ける本来の機能と、高い視線誘導機能の両方の機能を得ることができる。
【0028】
また、この発明によれば、カバー材の上端部を車道側に折り曲げることによって、支柱への凍結防止剤の付着防止効果を高めることができる。
【0029】
また、この発明によれば、カバー材の上端部を支柱の外側フランジ側に折り曲げることによって、凍結防止剤が支柱の内側と外側のフランジ間に飛散して、支柱に付着するのを防止することができる。
【0030】
また、この発明によれば、カバー材の下端部を、台座を覆うように車道側に折り曲げることによって、凍結防止剤が台座に付着して、台座が腐食するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】この発明のアーチ状構造物を示す部分正面図である。
図2図1のA矢視図である。
図3】この発明の別のアーチ状構造物を示す部分正面図である。
図4図3のA矢視図である。
図5】この発明のさらに別のアーチ状構造物を示す部分正面図である。
図6図5のA矢視図である。
図7】従来アーチ状構造物を示す部分斜視図である。
図8】従来アーチ状構造物を示す部分正面図である。
図9】従来スノーシェルターを示す部分正面図である。
図10図9のA矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明のアーチ状構造物の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0033】
以下に説明する例は、この発明のアーチ状構造物をスノーシェルターに適用した場合であるが、これ以外の構造物であってもよいことは勿論である。
【0034】
図1は、この発明のアーチ状構造物を示す部分正面図、図2は、図1のA矢視図である。
【0035】
図1および図2において、1は、壁体である。壁体1は、波付け方向と直交する方向に弧状に折り曲げられた大型デッキプレートからなる複数枚の波形鋼板をアーチ状に連結したもので構成されている。
【0036】
2は、壁体1を補強するためのH形鋼からなる支柱であり、基礎3上に台座4を介して固定されている。支柱2は、壁体1の長手方向に間隔をあけて複数本、構築されている。支柱2は、その内側フランジ2aおよび外側フランジ2bが車道と平行になるように配され、外側フランジ2bに壁体1が形鋼等の取付け部材5を介して取り付けられている。なお、支柱2は、H形鋼以外の形鋼であってもよい。
【0037】
6は、支柱2の内側フランジ2aの下部内面間に取り付けられたカバー材である。カバー材6は、鋼板あるいは樹脂板からなり、車の走行に伴って飛散する凍結防止剤が支柱2に付着するのを防止する機能を有している。カバー材6の上端部6aは、車道側に折れ曲がっていて、支柱2への凍結防止剤の付着防止効果を高めている。
【0038】
7は、カバー材5を支柱2に取り付けるための視線誘導体としてのボルトである。ボルト7は、頭部に再帰反射性塗料が塗られている。ボルト7は、カバー材6を支柱2に取り付ける本来の機能と、薄暗いスノーシェルター内の視線誘導機能の両方の機能を有している。ボルト7としては、特許文献2に開示されたものを使用することができる。このボルトは、その頭部が入射した光を入射方向と同一の方向に反射させる再帰反射性を有しているので、高い視線誘導効果が得られる。なお、視線誘導体としては、上記ボルト7以外に発光性テープ等であってもよい。
【0039】
次に、この発明の別のアーチ状構造物を、図面を参照しながら説明する。
【0040】
図3は、この発明の別のアーチ状構造物を示す部分正面図、図4は、図3のA矢視図である。
【0041】
図3および図4において、図1および図2と同一番号の物は、同一物を示す。
【0042】
この別のアーチ状構造物は、カバー材6の上端部6aが支柱2の外側フランジ2b側に折れ曲がり、カバー材6の下端部6bが台座4を覆うように車道側に折れ曲がっている点でのみ、図1および図2に示したアーチ状構造物と異なる。
【0043】
このように、カバー材6の上端部6aを外側フランジ2b側に折り曲げることによって、凍結防止剤が支柱2の内側および外側のフランジ2a、2b間に飛散して、支柱2に付着するのを防止することができる。さらに、カバー材6の下端部6bを、台座4を覆うように車道側に折り曲げることによって、凍結防止剤が台座4に付着して、台座4が腐食するのを防止することができる。
【0044】
次に、この発明のさらに別のアーチ状構造物を、図面を参照しながら説明する。
【0045】
図5は、この発明のさらに別のアーチ状構造物を示す部分正面図、図6は、図5のA矢視図である。
【0046】
図5および図6において、図1および図2と同一番号の物は、同一物を示す。
【0047】
このさらに別のアーチ状構造物は、カバー材6の上端部6aが車道側に折れ曲がり、カバー材6の下端部6bが台座4を覆うように車道側に折れ曲がり、カバー材6が支柱2間の中央部で重ね合わされている点でのみ、図1および図2に示したアーチ状構造物と異なる。
【0048】
このように、カバー材6の上端部6aを車道側に折り曲げることによって、支柱2への凍結防止剤の付着防止効果が高まる。さらに、カバー材6の下端部6bを台座4を覆うように車道側に折り曲げることによって、凍結防止剤が台座4に付着して、台座4が腐食するのを防止することができる。
【0049】
以上、説明したように、この発明によれば、アーチ状に連結された波形鋼板からなる壁体1と、壁体1を補強する支柱2とからなるアーチ状構造物の支柱2の下部内面間に、カバー材6を取り付けることによって、車の走行に伴って飛散する凍結防止剤が支柱2に付着するのを防止することができ、この結果、支柱2の腐食を防止することができる。
【0050】
また、この発明によれば、カバー材6に視線誘導体を取り付けることによって、視線誘導効果を得ることができる。
【0051】
また、この発明によれば、視線誘導体として、カバー材6を支柱2に取り付ける、頭部に再帰反射性塗料が塗られたボルト7を使用することによって、カバー材6を支柱2に取り付ける本来の機能と、薄暗いスノーシェルター内の視線誘導機能の両方の機能を得ることができる。
【0052】
また、この発明によれば、カバー材6の上端部6aを車道側に折り曲げることによって、支柱2への凍結防止剤の付着防止効果を高めることができる。
【0053】
また、この発明によれば、カバー材6の上端部6aを外側フランジ2b側に折り曲げることによって、凍結防止剤が支柱2の内側と外側のフランジ2a、2b間に飛散して、支柱2に付着するのを防止することができる。
【0054】
また、この発明によれば、カバー材6の下端部6bを、台座4を覆うように車道側に折り曲げることによって、凍結防止剤が台座4に付着して、台座4が腐食するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0055】
1:壁体
2:支柱
2a:内側フランジ
2b:外側フランジ
3:基礎
4:台座
5:取付け部材
6:カバー材
6a:上端部
6b:下端部
7:ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10