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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】軒天換気材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20220310BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20220310BHJP
   E04D 13/158 20060101ALN20220310BHJP
   E04D 13/16 20060101ALN20220310BHJP
【FI】
E04B1/70 E
E04B1/94 G
E04D13/158 501R
E04D13/16 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017244909
(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公開番号】P2019112781
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】397025107
【氏名又は名称】日本住環境株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596036692
【氏名又は名称】株式会社タツミ
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】小林 輝久
(72)【発明者】
【氏名】神 慶人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 満
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-058799(JP,A)
【文献】特開2006-233558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/70
E04B 1/94
E04B 9/02
E04B 7/18
E04D 13/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間に長さ方向に伸びる通気部を有する上面板と、前記通気部の下側に連設される、外方側側面とそれよりも縦長の内方側側面と底面とから成る通気材収納部と、前記通気材収納部内に熱膨張材と共に収装される側面が四角形の通気材と、前記通気材収納部の前記内方側側面に対向させて間隔を置いて前記上面板に設置される対向板とから成り、
前記通気材収納部の前記内方側側面が前記外方側側面よりも縦長にされることにより、前記底面が傾斜面にされることで、前記通気材の下に空気流入空間が生成され、前記内方側側面の下部から前記底面にかけて開口して形成される細長の空気流入口が長さ方向に多数並設され、前記空気流入口から流入する空気が、前記空気流入空間から前記通気材内を上昇して抜けるようにされ、前記対向板の下端は斜め上方に延長され、前記上面板との間に軒天材装入部が形成されていることを特徴とする軒天換気材。
【請求項2】
前記通気材収納部の底面は、前記通気材収納部の外方側側面を超えて延長され、前記上面板との間に軒天材装入部が形成される、請求項1に記載の軒天換気材。
【請求項3】
前記通気材は、上下方向に抜ける通気路を多数設けたものである、請求項1又は2に記載の軒天換気材。
【請求項4】
前記熱膨張材は、前記空気流入口の上側において、前記通気材収納部の内方側側面と前記通気材とに挟持される、請求項1乃至のいずれかに記載の軒天換気材。
【請求項5】
前記熱膨張材は、前記通気材の中間部に挟入される、請求項1乃至のいずれかに記載の軒天換気材。
【請求項6】
前記上面板の幅方向両端縁に多数のビス穴が穿設される、請求項1乃至のいずれかに記載の軒天換気材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒天換気材に関するものであり、より詳細には、例えば、軒裏等に設置される、防耐火性能並びに通気性能に優れた軒天換気材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅耐久性及び室内温熱環境向上の要求に伴い、小屋裏換気の重要性が増大してきている。小屋裏換気のために、軒先に換気口を設けることが考えられるが、軒先に換気口、即ち、開口を設けることは、防火上の規制対象となるため、防耐火試験に合格しない限り、実施することができない(棟に換気口を設ける場合については、規制がない。)。
【0003】
かかる観点から、本願出願人は先に、実際の現場において、極力特別な技術や材料を用いることなく万人に施工が可能であって、しかも防耐火試験をクリアーすることが可能な防耐火性能を有する軒裏構造の提案をしている(特許文献1:特開2013-44129号公報)。その提案に係る軒裏構造は、外壁材と鼻隠し下地材との間の間隙に、板金を折曲成形し、熱膨張材と樹脂製通気材を組み込んで成る軒天換気材を配置するものである。
【0004】
しかし、この軒裏構造の場合の軒天換気材は、外壁材と鼻隠し下地材との間の間隙内に設置されるものであり、その間隙が空気流入空間となるため、十分な空気流入空間を確保することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-44129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、上記従来の軒天換気材の場合は、その設置場所の関係で十分な空気流入空間を確保することが難しいという問題があった。そこで本発明は、シンプルな構成で、防耐火性能並びに通気性能に優れ、軒天の種々の箇所に設置可能で、十分な空気流入空間を確保することができる軒天換気材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、中間に長さ方向に伸びる通気部を有する上面板と、前記通気部の下側に連設される、外方側側面とそれよりも縦長の内方側側面と底面とから成る通気材収納部と、前記通気材収納部内に熱膨張材と共に収装される側面が四角形の通気材と、前記通気材収納部の前記内方側側面に対向させて間隔を置いて前記上面板に設置される対向板とから成り、
前記通気材収納部の前記内方側側面が前記外方側側面よりも縦長にされることにより、前記底面が傾斜面にされることで、前記通気材の下に空気流入空間が生成され、前記内方側側面の下部から前記底面にかけて開口して形成される細長の空気流入口が長さ方向に多数並設され、前記空気流入口から流入する空気が、前記空気流入空間から前記通気材内を上昇して抜けるようにされ、前記対向板の下端は斜め上方に延長され、前記上面板との間に軒天材装入部が形成されていることを特徴とする軒天換気材である。
【0008】
一実施形態においては、前記通気材収納部の底面は、前記通気材収納部の外方側側面を超えて延長され、前記上面板との間に軒天材装入部が形成される。
【0009】
一実施形態においては、前記通気材は、上下方向に抜ける通気路を多数設けたものであり、前記熱膨張材は、前記空気流入口の上側において、前記通気材収納部の内方側側面と前記通気材とに挟持され、他の実施形態においては、前記熱膨張材は、前記通気材の中間部に挟入される。
【0010】
一実施形態においては、前記上面板の幅方向両端縁に多数のビス穴が穿設される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記のとおりであるので、シンプルな構成で、防耐火性能並びに通気性能に優れ、軒天の種々の箇所に設置可能で、十分な空気流入空間を確保することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る軒天換気材の一実施形態を示す上方視斜視図である。
図2】本発明に係る軒天換気材の一実施形態を示す下方視斜視図である。
図3】本発明に係る軒天換気材の一実施形態の側面図である。
図4】本発明に係る軒天換気材の他の実施形態の側面図である。
図5】本発明に係る軒天換気材の施工例を示す下方視斜視図である。
図6】本発明に係る軒天換気材の種々の施工例を示す図である。
図7】本発明に係る軒天換気材の種々の施工例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1~4に示されるように、本発明に係る軒天換気材Aは、中間に長さ方向に伸びる通気部2を有する上面板1と、通気部2の下側に連設される通気材収納部3と、通気材収納部3内に熱膨張材4と共に収装される側面が四角形の通気材5と、通気材収納部3の内方側側面6との間に間隔を置いて対設される対向板7とで構成されるものである。上面板1、通気材収納部3及び対向板7は、いずれも鋼板又はこれと同等資材製である。
【0014】
通気材収納部3の底面9は、その内方側側面6を外方側側面8よりも縦長にすることにより、斜面にされる。かくして、熱膨張材4と通気材5の下側に、空気流入空間10が生成される。内方側側面6の下部から底面9にかかる部分が細長に開口され、空気流入口11とされる。空気流入口11は、長さ方向に多数並設される(図2参照)。この場合、空気流入口11から入った空気は、空気流入空間10を経て通気材5の下面から上面に抜ける。このように、空気流入口11が通気材5の下面から隔てられて空気流入空間10が確保されることにより、通気材5の下面を閉塞する要素がなくなって全面開口状態となるため、良好な通気状態となる。
【0015】
通気材収納部3の底面9は、外方側側面8を超えて延長され、その延長部9aと上面板1との間に軒天材装入部12が形成される。また、対向板7の下端が斜め上方に延長され、その延長部7aと上面板1との間に軒天材装入部13が形成される。
【0016】
例えば、上面板1と通気材収納部3は、1枚の金属板を折曲して形成することができる(特に、図3参照)。即ち、先ず下方向に直角に折曲して上面板1の一半部1aと内方側側面6とを形成し、内方側側面6の下端を斜め上方に折曲して底面9を形成する。次いで、底面9を延長して折り返し、その端部を垂直方向に折曲して底面延長部9a及び外方側側面8を形成し、以て、内方側側面6、底面9及び外方側側面8に囲まれて成る通気材収納部3を形成する。そして、外方側側面8の上端を水平に折曲して上面板1の他半部1bを形成する。なお、空気流入口11を形成するための開口は、予め設けておく。また、この軒天換気材Aは、上面板1を野縁20に留め付けることにより設置されるものであるため、上面板1の幅方向両端縁部に、多数のビス孔15が穿設される。
【0017】
また、対向板7は、その上端を水平に折曲延長し、その延長部を上面板1の一半部1aの裏面に当接させ、その端部を上面板1の一半部1aの端部でくるむことにより、上面板1の一半部1aに固定することができる。
【0018】
通気材5は、短尺の幅方向(図1~3において上下方向)に通気する多数の通気路5aを有するもので、通例、幅方向に抜ける通気路を並設したプラスチック板を多数段積層し、熱線で溶断して所定幅にすると共に一体化する公知の方法により製造することができる(特許第2610342号公報等参照)。また、熱膨張材4は長尺の板状であって、空気流入口11の上側において、通気材収納部3の内方側側面6と通気材5とに挟持される。熱膨張材4は必ずしも一連のものである必要はなく、長尺のものを並置した不連続のものであってもよい。通例、熱膨張材4は通気材5とは別体とされるが、通気材5の製造時にその中間部に挟入して、通気材5と一体にされることもある(図4参照)。
【0019】
上記構成の軒天換気材Aは、後述するように、軒天部の種々の箇所に設置可能であるが、そのいずれの場合においても空気は、内方側側面6の下部から底面9にかけて開設されている多数の空気流入口11から空気流入空間10内に入り、そこから通気材5の下面に開口している無数の通気路内に入って上昇し、上面開口から放出される。
【0020】
そして、火災等の有事には、熱膨張材4が膨張して空気流入空間10及び空気流入口11を完全に閉塞するので、火炎が、軒天換気材Aを通って軒内に入り込むことが阻止される。また、空気流入口11から入り込んでくる可能性のある雨雪は、細くて長い通気路を上昇して通過することができないため、雨雪が侵入することが防止される。
【0021】
次いで、図5乃至7を参照しつつ、本発明に係る軒天換気材Aの施工方法について説明する。なお、図5乃至7において、符号20は野縁、21は軒天材、23は胴縁、24は吊木、25は下地材、26は鼻隠しである。
【0022】
図6は、本発明に係る軒天換気材Aを、野縁20が水平の軒天に設置する場合の収まり状態を示すものである。図6(A)に示す例は、軒天換気材Aを壁元に設置する場合で、通気材5が外壁材22側にくるようにして設置する場合(図6(A)参照)と、通気材5が鼻先側にくるようにして設置する場合とがある。いずれの場合も、上面板1を野縁20の裏面に留め付け、軒天材21の端部を軒天材装入部12又は軒天材装入部13に装入する。
【0023】
図6(B)に示す例は、軒天換気材Aを野縁20の中間部に設置する場合の収まり状態を示すもので、この場合は軒天換気材Aを野縁20の中間部に留め付ける。図示した例では、通気材5が鼻先側にくるように設置されているので、壁元側の軒天材21の端部が軒天材装入部13に装入固定され、また、鼻先側の軒天材21の端部が軒天材装入部12に装入固定される。
【0024】
図6(C)に示す例は、軒天換気材Aを鼻先に設置する場合の収まり状態を示すもので、この場合は、通気材5が鼻先側にくるように設置されているので、軒天材21の端部が軒天材装入部13に装入固定される。
【0025】
図7は、本発明に係る軒天換気材Aを、野縁20が勾配を有する軒天に設置する場合の収まり状態を示すものである。図7(A)に示す例は、軒天換気材Aを壁元に設置する場合で、そこに示される例では、通気材5が外壁材22側にくるようにしてその上面板1が野縁20の裏面に留め付けられ、軒天材21の端部が軒天材装入部13に装入固定されている。
【0026】
図7(B)に示す例は、軒天換気材Aを野縁20の中間部に設置する場合の収まり状態を示すもので、そこに示される例では、通気材5が鼻先側にくるようにしてその上面板1が野縁20の裏面に留め付けられ、壁元側の軒天材21の端部が軒天材装入部13に装入固定され、また、鼻先側の軒天材21の端部が軒天材装入部12に装入固定される。
【0027】
図7(C)に示す例は、軒天換気材Aを鼻先に設置する場合の収まり状態を示すもので、そこに示される例では、通気材5が鼻先側にくるようにしてその上面板1が野縁20から下地材25にかけて留め付けられ、軒天材21の端部が軒天材装入部13に装入固定される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る軒天換気材Aは、シンプルな構成で、防耐火性能並びに通気性能に優れ、軒天の種々の箇所に設置可能で、十分な空気流入空間を確保することができるものであって、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0029】
A 軒天換気材
1 上面板
1a 一半部
1b 他半部
2 通気部
3 通気材収納部
4 熱膨張材
5 通気材
5a 通気路
6 内方側側面
7 対向板
7a 延長部
8 外方側側面
9 底面
9a 底面延長部
10 空気流入空間
11 空気流入口
12 軒天材装入部
13 軒天材装入部
15 ビス孔
20 野縁
21 軒天材
22 外壁材
23 胴縁
24 吊木
25 下地材
26 鼻隠し
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7