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  • 特許-電界効果トランジスタ及びその製造方法 図1
  • 特許-電界効果トランジスタ及びその製造方法 図2
  • 特許-電界効果トランジスタ及びその製造方法 図3A
  • 特許-電界効果トランジスタ及びその製造方法 図3B
  • 特許-電界効果トランジスタ及びその製造方法 図3C
  • 特許-電界効果トランジスタ及びその製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】電界効果トランジスタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20220310BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20220310BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20220310BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L21/205
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017209449
(22)【出願日】2017-10-30
(65)【公開番号】P2019083255
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-07-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 スーパークラスタープログラム委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 成仁
(72)【発明者】
【氏名】只友 一行
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-017419(JP,A)
【文献】特表2014-524661(JP,A)
【文献】特開2006-310644(JP,A)
【文献】特開2016-187025(JP,A)
【文献】特開2006-261179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0229569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
H01L 29/12
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N極性半導体層とN極性GaN層とのヘテロ接合構造を含み、前記N極性GaN層に二次元電子ガスの層を有する電界効果トランジスタであって、
前記N極性半導体層を構成するN極性半導体がN極性AlNであり、且つ前記N極性半導体層の表面が、-c面からa軸又はm軸を中心として2°傾斜した面である電界効果トランジスタ。
【請求項2】
請求項1に記載された電界効果トランジスタにおいて、
前記N極性半導体層がN極性半導体基板で構成されている電界効果トランジスタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された電界効果トランジスタにおいて、
前記N極性GaN層における電子移動度が2000cm/Vsよりも大きい電界効果トランジスタ。
【請求項4】
N極性半導体層上にN極性GaNの結晶をエピタキシャル成長させてN極性GaN層を形成するステップを含む電界効果トランジスタの製造方法であって、
前記N極性半導体層を構成するN極性半導体がN極性AlNであり、且つ前記N極性GaNが結晶成長する前記N極性半導体層の表面が、-c面からa軸又はm軸を中心として2°傾斜した面である電界効果トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果トランジスタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)は、半導体ヘテロ接合に誘起された二次元電子ガスをチャネルとした電界効果トランジスタである。かかる電界効果トランジスタとして、例えば、特許文献1には、AlInGaNのバリア層とn型GaNのチャネル層とのヘテロ接合構造を有するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7728355号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、高濃度の二次元電子ガスの層を有する電界効果トランジスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、N極性半導体層とN極性GaN層とのヘテロ接合構造を含み、前記N極性GaN層に二次元電子ガスの層を有する電界効果トランジスタであって、前記N極性半導体層を構成するN極性半導体がN極性AlNであり、且つ前記N極性半導体層の表面が、-c面からa軸又はm軸を中心として2°傾斜した面である。
【0006】
N極性半導体層上にN極性GaNの結晶をエピタキシャル成長させてN極性GaN層を形成するステップを含む電界効果トランジスタの製造方法であって、前記N極性半導体層を構成するN極性半導体がN極性AlNであり、且つ前記N極性GaNが結晶成長する前記N極性半導体層の表面が、-c面からa軸又はm軸を中心として2°傾斜した面である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、N極性半導体層とN極性GaN層とのヘテロ接合構造を有することにより、それらの接合面において大きなバンドオフセットが生じ、その結果、チャネル層を構成するN極性GaN層に高濃度の二次元電子ガスの層を形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る電界効果トランジスタの断面図である。
図2】N極性半導体基板の変形例の断面図である。
図3A】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の基板準備ステップを示す図である。
図3B】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の半導体層形成ステップを示す図である。
図3C】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の電極形成ステップを示す図である。
図4】実施形態2に係る電界効果トランジスタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態に係る電界効果トランジスタ10を示す。この実施形態に係る電界効果トランジスタ10は、いわゆる高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)である。
【0011】
実施形態1に係る電界効果トランジスタ10は、N極性半導体基板11と、そのN極性半導体基板11上に設けられたN極性GaN層12と、そのN極性GaN層12上に設けられたゲート電極13、ソース電極14、及びドレイン電極15とを備える。
【0012】
ここで、本出願における「N極性」とは、各層の厚さ方向に直交する結晶成長する側の面が、N極性面(GaNでは-c面)、又は、N極性面から傾斜し且つN極性面を主体として含む半極性面であることをいう。
【0013】
N極性半導体基板11は、構成元素として窒素を含有するN極性半導体で形成されており、これがN極性半導体層を構成する。N極性半導体基板11を形成するN極性半導体としては、例えば、N極性AlN、N極性AlGaN等が挙げられる。耐圧性が高いことからバッファリークの低減を図れるとともに、高温動作適用性が高く、且つ優れた放熱性を有する観点から、これらのうちのN極性AlNが好ましい。N極性半導体基板11の表面は、N極性面、又は、N極性面から傾斜し且つN極性面を主体として含む半極性面である。
【0014】
結晶成長の起点となるN極性半導体基板11の表面は、その上に高濃度の二次元電子ガスの層を有するN極性GaN層12を形成する観点から、-c面であるN極性面であることが最も好ましい。それに加えて、結晶品質のよいN極性GaN層12を形成する観点からは、N極性半導体基板11の表面は、-c面であるN極性面から微傾斜している面であることが好ましい。その傾斜角度は、a軸又はm軸を中心として、0°より大きい範囲内で微傾斜していることが良く、最も好ましくは2°である。これらのことから、N極性半導体基板11は、N極性AlN基板であることが好ましく、表面が-c面であるN極性面又はそこから微傾斜したN極性AlN基板であることがより好ましい。
【0015】
なお、N極性半導体基板11は、図2に示すように、単一材基板11aと、その単一材基板11aを被覆するように設けられたN極性半導体層を構成するN極性半導体膜11bとを有するテンプレートであってもよい。単一材基板11aとしては、例えば、サファイア基板、Si基板、SiC基板、GaAs基板等が挙げられる。N極性半導体膜11bとしては、例えば、構成元素として窒素を含有するN極性半導体で形成されたN極性AlN膜やN極性AlGaN膜等が挙げられる。耐圧性が高いことからバッファリークの低減を図れるとともに、高温動作適用性が高く、且つ優れた放熱性を有する観点から、これらのうちのN極性AlN膜が好ましい。N極性半導体膜11bは、最も好ましくは-c面N極性AlN膜である。N極性半導体膜11bは、アンドープであってもよく、また、ドーパントがドープされていてもよい。
【0016】
N極性GaN層12は、N極性半導体基板11の表面からGaNの結晶がエピタキシャル成長して形成されている。N極性半導体層12を形成するN極性半導体としては、例えば、N極性GaN、N極性AlGaN、N極性AlGaInN等が挙げられる。これらのうち最も好ましいのはN極性GaNである。N極性GaN層12は、極力不純物の低いアンドープであることが望ましいが、ドーパントがドープされていてもよい。N極性GaN層12の表面も、N極性面、又は、N極性面から傾斜し且つN極性面を主体として含む半極性面であるが、高濃度の二次元電子ガスの層を有するとともに結晶品質のよいN極性GaN層12を得る観点から、-c面であるN極性面から微傾斜していることが好ましい。その傾斜角度は、a軸又はm軸を中心として、0°より大きい範囲内で微傾斜していることが良く、最も好ましくは0.8°である。なお、N極性半導体基板11の表面がN極性AlNであり、その表面のN極性面に対するa軸を中心とする傾斜角度が2°のとき、その上にGaNが結晶成長して形成されるN極性GaN層12の表面のN極性面に対するa軸を中心とする傾斜角度が0.8°となる。N極性GaN層12の厚さは、例えば1nm以上50nm以下であることが好ましいが、それ以上であってもよい。
【0017】
実施形態1に係る電界効果トランジスタ10は、これらのN極性半導体基板11とN極性GaN層12とのヘテロ接合構造を含み、N極性GaN層12におけるN極性半導体基板11との接合面近傍に、このヘテロ接合構造に誘起された二次元電子ガス(2DEG)の層が形成される。したがって、N極性GaN層12がチャネル層を構成する。実施形態1に係る電界効果トランジスタ10によれば、このようにN極性半導体基板11とN極性GaN層12とのヘテロ接合構造を有することにより、それらの接合面において大きなバンドオフセットが生じ、その結果、チャネル層を構成するN極性GaN層12に高濃度の二次元電子ガス(2DEG)の層を形成させることができる。そして、これにより、二次元電子ガス(2DEG)の層において、大電流及び高電子移動度を得ることができる。N極性半導体基板11とN極性GaN層12とのヘテロ接合構造の接合面におけるバンドオフセットは、0.5eVよりも大きいことが好ましい。N極性GaN層12における二次元電子ガス(2DEG)の濃度は1.0×1013/cmよりも高いことが好ましい。N極性GaN層12における電子移動度は2000cm/Vsよりも大きいことが好ましい。
【0018】
ゲート電極13は、N極性GaN層12の表面上に設けられている。ゲート電極13は、例えば、Ni膜及びAu膜の積層膜で構成されている。N極性GaN層12には、一対の凹部12aが、ゲート電極13を挟むように配置されるとともに、それぞれが二次元電子ガス(2DEG)の層まで達するように形成されている。ソース電極14及びドレイン電極15は、N極性GaN層12に形成されたそれらの一対の凹部12aをそれぞれ埋めてN極性GaN層12の表面から突出するように設けられている。ソース電極14及びドレイン電極15は、N極性GaN層12の二次元電子ガス(2DEG)の層に接触するが、二次元電子ガス(2DEG)が高濃度であり且つN極性GaN層12に接触していることにより、それらの間における非常に低い接触抵抗を得ることができる。ソース電極14及びドレイン電極15は、例えばTi膜及びAl膜の積層膜で構成されている。
【0019】
以上の構成の実施形態1に係る電界効果トランジスタ10は、大電流及び高電子移動度を得ることができるので、電子デバイスの小型化及び大出力化が可能であり、そのため適用の幅は広範であり、例えば、スイッチングデバイスとして使用されるパワーデバイス、無線基地局などで使用される高周波デバイス等に好適に適用することができる。ここで、ヘテロ接合構造がN極性AlNとN極性GaNとで構成される二元混晶の場合には、合金散乱の影響を小さく抑えることができるので、非常に高い電子移動度を得ることができる。また、N極性AlNにより、耐圧性が高いことによるバッファリークの低減、高い高温動作適用性、及び優れた放熱性を得ることができる。さらに、N極性AlNとN極性GaNとで構成されるヘテロ接合構造に発生するのは圧縮歪みであるので、そのヘテロ接合構造を起点としたクラックの発生を抑制することができる。加えて、ソース電極14及びドレイン電極15と二次元電子ガス(2DEG)との低接触抵抗を得ることができる。これらの特性は、いずれもパワーデバイスに要求されるものであることから、この場合、パワーデバイスに特に好適に適用することができる。
【0020】
次に、実施形態1に係る電界効果トランジスタ10の製造方法について説明する。実施形態1に係る電界効果トランジスタ10の製造方法は、基板準備ステップ、半導体層形成ステップ、及び電極形成ステップ含む。
【0021】
<基板準備ステップ>
基板準備ステップでは、図3Aに示すように、N極性半導体で形成されたN極性半導体基板11を準備する。
【0022】
<半導体層形成ステップ>
半導体層形成ステップでは、まず、N極性半導体基板11の表面に高温のガスを接触させてアニール処理を行うことが好ましい。ガスとしては、例えばH、N、NH等が挙げられる。アニール処理温度は、次のN極性GaN層12の形成時における結晶成長温度と同一乃至その付近であることが好ましく、例えば1000℃以上1500℃以下である。アニール処理圧力は、例えば10kPa以上150kPa以下である。アニール処理時間は、例えば5秒以上600秒以下である。
【0023】
その後、結晶成長条件を調整して、図3Bに示すように、N極性半導体基板11上にN極性GaNの結晶をエピタキシャル成長させてN極性GaN層12を形成する。
【0024】
N極性GaN層12の形成方法としては、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、プラズマ気相成長法(PECVD)、分子線結晶成長法(MBE)、熱気相成長法などの化学的気相法(CVD);スパッタリグ法、蒸着法などの物理的気相法(PVD)等が挙げられる。膜厚制御性が高く、不純物濃度の低いN極性GaN層12を形成することができるという観点から、これらのうちの有機金属気相成長法(MOVPE)が好ましい。
【0025】
例えば、N極性GaN層12を有機金属気相成長法(MOVPE)で形成する場合、N極性半導体基板11の表面にGa源ガス及びN源ガスを接触させる。Ga源としては、例えばTMG、TEG等が挙げられる。N源としては、例えばNH等が挙げられる。Ga源ガス及びN源ガスは、HやN等のキャリアガスと混合してN極性半導体基板11の表面に接触させることが好ましい。
【0026】
このとき、N極性GaN層12の形成時におけるGa源ガス流量に対するN源ガス流量の比(V/III)は、例えば100以上50000以下である。N極性GaN層12の形成時における結晶成長温度は、例えば900℃以上1300℃以下である。N極性GaN層12の形成時における結晶成長圧力は、例えば10kPa以上150kPa以下である。N極性GaN層12の形成時における結晶成長時間は、例えば10秒以上900秒以下である。
【0027】
<電極形成ステップ>
電極形成ステップでは、フォトリソグラフィ法を用い、図3Cに示すように、エッチングによりN極性GaN層12に凹部12aを形成した後、ゲート電極13、ソース電極14、及びドレイン電極15を成膜して形成する。
【0028】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る電界効果トランジスタ10を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号で示す。
【0029】
実施形態2に係る電界効果トランジスタ10は、N極性半導体基板11と、そのN極性半導体基板11上に設けられたN極性半導体層16と、そのN極性半導体層16上に設けられたN極性GaN層12と、N極性GaN層12上に設けられたゲート電極13、ソース電極14、及びドレイン電極15とを備える。
【0030】
つまり、実施形態2に係る電界効果トランジスタ10では、N極性半導体層16が、N極性半導体基板11の表面から、構成元素として窒素を含有するN極性半導体の結晶がエピタキシャル成長して形成されているとともに、N極性GaN層12が、N極性半導体層16の表面からGaNの結晶がエピタキシャル成長して形成されており、N極性半導体基板11とN極性GaN層12との間に、N極性半導体層16が介設されている。
【0031】
N極性半導体層16を形成するN極性半導体としては、例えば、N極性AlN、N極性AlGaN等が挙げられる。耐圧性が高いことからバッファリークの低減を図れるとともに、高温動作適用性が高く、且つ優れた放熱性を有する観点から、これらのうちのN極性AlNが好ましい。N極性半導体層16は、アンドープであってもよく、また、ドーパントがドープされていてもよい。N極性半導体層16の表面は、N極性面、又は、N極性面から傾斜し且つN極性面を主体として含む半極性面であるが、この上に高濃度の二次元電子ガス(2DEG)の層を有するとともに結晶品質のよいN極性GaN層12を形成する観点から、N極性面から傾斜した半極性面であることが好ましい。その傾斜角度は、a軸又はm軸を中心として、0°より大きい範囲内で微傾斜していることが良く、最も好ましくは2°である。N極性半導体層16の厚さは、例えば2μm以下である。
【0032】
実施形態2に係る電界効果トランジスタ10の製造方法では、半導体形成ステップにおいて、まず、N極性半導体基板11の表面に高温のガスを接触させてアニール処理を行うことが好ましい。ガスとしては、例えばH、N、NH等が挙げられる。アニール処理温度は、次のN極性半導体層16の形成時における結晶成長温度と同一乃至その付近であることが好ましく、例えば1000℃以上1500℃以下である。アニール処理圧力は、例えば10kPa以上150kPa以下である。アニール処理時間は、例えば5秒以上600秒以下である。
【0033】
その後、結晶成長条件を調整して、N極性半導体基板11上にN極性半導体の結晶をエピタキシャル成長させてN極性半導体層16を形成する。
【0034】
N極性半導体層16の形成方法としては、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、プラズマ気相成長法(PECVD)、分子線結晶成長法(MBE)、熱気相成長法などの化学的気相法(CVD);スパッタリグ法、蒸着法などの物理的気相法(PVD)等が挙げられる。高い組成均一性、膜厚制御性、及び不純物濃度の低いAlGaIn1-x-yN(0<x+y<1)のN極性半導体層16を形成することができるという観点から、これらのうちの有機金属気相成長法(MOVPE)が好ましい。
【0035】
例えば、N極性半導体層16を有機金属気相成長法(MOVPE)やハイドライド気相成長法(HVPE)で形成する場合、N極性半導体層16がAlN層のとき、N極性半導体基板11の表面にAl源ガス及びN源ガスを接触させる。Al源としては、有機金属気相成長法(MOVPE)では、例えばTMA、TEA等、ハイドライド気相成長法(HVPE)では、例えばAl原料及びHClの混合材料等がそれぞれ挙げられる。N源としては、例えばNH等が挙げられる。Al源ガス及びN源ガスは、HやN等のキャリアガスと混合してN極性半導体基板11の表面に接触させることが好ましい。
【0036】
このとき、N極性半導体層16の形成時におけるAl源ガス流量に対するN源ガス流量の比(V/III)は、例えば5以上30000以下である。N極性半導体層16の形成時における結晶成長温度は、例えば1200℃以上1600℃以下である。N極性半導体層16の形成時における結晶成長圧力は、例えば10kPa以上30kPa以下である。N極性半導体層16の形成時における結晶成長時間は、例えば0.5時間以上1.5時間以下である。
【0037】
続いて、結晶成長条件を調整して、N極性半導体層16上にN極性GaNの結晶をエピタキシャル成長させてN極性GaN層12を形成する。
【0038】
N極性GaN層12の形成方法としては、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、プラズマ気相成長法(PECVD)、分子線結晶成長法(MBE)、熱気相成長法などの化学的気相法(CVD);スパッタリグ法、蒸着法などの物理的気相法(PVD)等が挙げられる。速い結晶成長速度で厚いN極性GaN層12を形成することができるという観点から、これらのうちの有機金属気相成長法(MOVPE)が好ましい。
【0039】
例えば、N極性GaN層12を有機金属気相成長法(MOVPE)で形成する場合、N極性半導体層16の表面にGa源ガス及びN源ガスを接触させる。Ga源としては、例えば、TMG、TEG等が挙げられる。N源としては、例えばNH等が挙げられる。Ga源ガス及びN源ガスは、HやN等のキャリアガスと混合してN極性半導体層16の表面に接触させることが好ましい。
【0040】
このとき、N極性GaN層12の形成時におけるGa源ガス流量に対するN源ガス流量の比(V/III)は、例えば100以上50000以下である。N極性GaN層12の形成時における結晶成長温度は、例えば900℃以上1300℃以下である。N極性GaN層12の形成時における結晶成長圧力は、例えば10kPa以上150kPa以下である。N極性GaN層12の形成時における結晶成長時間は、例えば10秒以上900秒以下である。
【0041】
その他の構成及び作用効果は、実施形態1と同一である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、電界効果トランジスタ及びその製造方法の技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0043】
10 電界効果トランジスタ
11 N極性半導体基板(N極性半導体層)
11a 単一材基板
11b N極性半導体膜(N極性半導体層)
12 N極性GaN層
12a 凹部
13 ゲート電極
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 N極性半導体層
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4