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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】扉用ヒンジ装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/086 20060101AFI20220310BHJP
   E05D 11/08 20060101ALI20220310BHJP
   E05D 3/02 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
E05D7/086
E05D11/08 E
E05D3/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018020583
(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公開番号】P2019138016
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】592163893
【氏名又は名称】ジョー・プリンス竹下株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 通明
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-197584(JP,A)
【文献】特開2008-156906(JP,A)
【文献】特開2015-203180(JP,A)
【文献】特開2011-42978(JP,A)
【文献】特開平9-32434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉とこの扉が開閉自在に組付けられる固定材との間に設けられて、扉を、軸心を中心として回転自在に支持する扉用ヒンジ装置であって、
扉側に取り付けられる扉側取付部と、
固定材に取り付けられる固定側取付部と、
扉を所定の位置に移動するよう付勢する付勢手段と、
扉側取付部に組付けられ、固定側取付部に当接する際の衝撃を吸収する衝撃吸収手段と、を備え
衝撃吸収手段は、本体部と、本体部から出退自在で、先端部が固定側取付部に当接可能とされた出退部と、を有し、
固定側取付部における、出退部の先端部が当接し始める領域に突出部が設けられ、
突出部は、出退部が出退する方向に対して直交する形状に形成されていることを特徴とする扉用ヒンジ装置。
【請求項2】
扉側取付部に複数の衝撃吸収手段が着脱自在に設けられ、衝撃吸収手段の数を自由に選択し、反力を調整できることを特徴とする請求項1に記載の扉用ヒンジ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扉用ヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉とこの扉が開閉自在に組付けられる壁や扉枠などの固定材との間に設けられて、扉を回転自在に支持する扉用ヒンジ装置は既に知られている。この扉用ヒンジ装置において、扉を閉鎖位置などの所定位置に移動するよう付勢するばねなどの付勢手段を備えたものも知られている(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-115604公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、扉がガラス扉など、比較的重いものである場合には、従来の扉用ヒンジ装置を用いる際に、閉鎖位置などに付勢するばねなどの付勢手段の付勢力が大きいものを用いる。したがって、この場合には、扉が閉じる際に枠や戸当りなどに当接する際に、その衝撃や音が大きくなるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するもので、扉を閉じる際などに枠や戸当りなどに当たる際の衝撃や音を小さく抑えることができる扉用ヒンジ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、扉とこの扉が開閉自在に組付けられる固定材との間に設けられて、扉を、軸心を中心として回転自在に支持する扉用ヒンジ装置であって、扉側に取り付けられる扉側取付部と、固定材に取り付けられる固定側取付部と、扉を所定の位置に移動するよう付勢する付勢手段と、扉側取付部に組付けられ、固定側取付部に当接する際の衝撃を吸収する衝撃吸収手段と、を備え、衝撃吸収手段は、本体部と、本体部から出退自在で、先端部が固定側取付部に当接可能とされた出退部と、を有し、固定側取付部における、出退部の先端部が当接し始める領域に突出部が設けられ、突出部は、出退部が出退する方向に対して直交する形状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、扉は付勢手段により所定の位置に移動するよう付勢されるが、前記所定の位置の近傍まで移動すると、衝撃吸収手段の先端部が固定側取付部に当接して、扉が所定の位置に移動する際の衝撃が吸収されて緩和される。これにより、扉を閉じる際などに枠や戸当りなどに当たる際の衝撃や音を小さく抑えることができる。また、扉が所定の位置の近傍まで移動された際に、衝撃吸収手段の先端部が固定側取付部に当接するが、固定側取付部における衝撃吸収手段の出退部の先端部が当接し始める領域に設けられている突出部が、衝撃吸収手段の出退部が出退する方向に対して直交する形状に形成されているので、衝撃吸収手段の出退部が突出部から退入する方向に力を受け易くなり、扉が所定の位置に移動する際の衝撃がより良好に吸収されて緩和され易くなる。つまり、固定側取付部における衝撃吸収手段の出退部の先端部が当接し始める領域に、突出部が形成されず、単なる平面形状であると、衝撃吸収手段の出退部が本体部内に退入する方向に対して傾斜する力を受け易くなり、衝撃吸収手段の出退部が本体部内に退入できずに突っ張った姿勢となるなどして、扉が所定の位置まで移動できなくなる恐れがあるが、上記構成によれば、このような不具合が生じることを防止できる。
【0008】
また、本発明は、扉側取付部に複数の衝撃吸収手段が着脱自在に設けられ、扉側取付部に組み付ける衝撃吸収手段の数を自由に選択し、反力を調整できることを特徴とする。この構成によれば、扉側取付部に組み付ける衝撃吸収手段の数を選択することで、衝撃吸収手段の数に応じて反力を調整できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、扉側取付部に、先端部が固定側取付部に当接可能とされて当接時の衝撃を吸収する衝撃吸収手段を設けることにより、付勢手段により付勢されている扉が、所定の位置に移動する際の衝撃が吸収されて緩和される。これにより、扉がガラス扉などの比較的重いものであり、付勢手段の付勢力が大きい場合でも、扉を閉じる際などに枠や戸当りなどに当たる際の衝撃や音を小さく抑えることができ、扉を安定して静かに閉じるなどすることができて信頼性も向上する。また、固定側取付部における、衝撃吸収手段の出退部の先端部が当接し始める領域に突出部を設け、この突出部を、衝撃吸収手段の出退部が出退する方向に対して直交する形状に形成することにより、衝撃吸収手段の出退部の先端部が固定側取付部に当接し始める際に、衝撃吸収手段の出退部が突出部から退入する方向に力を受け易くなり、衝撃吸収手段の出退部が本体部内に退入できずに突っ張った姿勢となって扉を所定の位置まで移動できなくなることを防止でき、ひいては信頼性を向上させることができる。
【0012】
また、扉側取付部に複数の衝撃吸収手段を着脱自在に設け、扉側取付部に組み付ける衝撃吸収手段の数を自由に選択し、反力を調整できるよう構成することにより、反力を調整できて、閉鎖時などの衝撃を良好に吸収させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る扉用ヒンジ装置を装着した扉および固定材(扉の開閉システム)を概略的に示す斜視図で、扉を閉じた状態を示す。
図2】同扉用ヒンジ装置の平面図(扉閉鎖時)である。
図3】同扉用ヒンジ装置の正面図(扉閉鎖時)である。
図4】同扉用ヒンジ装置の右側面図(扉閉鎖時)である。
図5】同扉用ヒンジ装置の平面断面図(図3のV-V線矢視断面図:扉閉鎖時)である。
図6】同扉用ヒンジ装置の正面断面図(図4のVI-VI線矢視断面図:扉閉鎖時)である。
図7】同扉用ヒンジ装置の平面図(扉開放時)である。
図8】同扉用ヒンジ装置の正面図(扉開放時)である。
図9】同扉用ヒンジ装置の平面断面図(扉開放時)である。
図10】同扉用ヒンジ装置の平面図(扉閉鎖途中時)である。
図11】同扉用ヒンジ装置の平面断面図(扉閉鎖途中時)である。
図12】同扉用ヒンジ装置の正面図(扉閉鎖途中時)である。
図13】本発明の他の実施の形態に係る扉用ヒンジ装置を備えた扉の開閉システムの斜視図である。
図14図13に示す扉の上部に組付けられる扉用ヒンジ装置の側面図である。
図15図13に示す扉の上部に組付けられる扉用ヒンジ装置の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る扉用ヒンジ装置を、図面に基づき説明する。なお、図1は、当該扉用ヒンジ装置を装着した扉および固定材を概略的に示し、図2図6は扉閉鎖時の扉用ヒンジ装置を示し、図7図9は扉開放時の扉用ヒンジ装置を示し、図10図12は扉閉鎖途中の扉用ヒンジ装置を示す。
【0016】
図1などにおいて、1は扉、2はこの扉1が開閉自在に組付けられる壁(または、扉枠などでもよい)からなる固定材、10は本発明の実施の形態に係る扉用ヒンジ装置、3は扉1に取り付けられた取手である。図1などに示すように、扉用ヒンジ装置10は、扉1と固定材2との間に設けられて、扉1を、縦の軸心(この実施の形態では後述する回転軸15の軸心)を中心として回転自在に支持する。なお、この実施の形態では、扉1の上部と下部との2箇所に扉用ヒンジ装置10が設けられている場合を示しているが、これに限るものではない。また、この実施の形態では、扉1がガラス製のガラス扉である。しかし、必ずしもこれに限るものではなく、扉1がガラス以外の素材で構成されていてもよい。また、図示しないが、例えば、扉枠などに扉1に閉鎖時に当接する戸当りなどが取付けられて、奥側(または手前側)に片開きできるよう配置されると好適であるが、これに限るものではない。
【0017】
図2図6などに示すように、扉用ヒンジ装置10は、固定材2に取り付けられる固定側取付部11と、扉1側に取り付けられる扉側取付部20と、扉1を所定の位置に移動するよう付勢する付勢手段としてのばね30と、を備えているが、これらの構成要素に加えて、扉側取付部20に組付けられ、先端部が固定側取付部11に当接可能とされて当接時の衝撃を吸収するいわゆるソフトアブソーバーやダンパーなどとも称せられる衝撃吸収手段40を備えている。
【0018】
固定材2に取り付けられる固定側取付部11は、壁などの固定材2の取付面にねじ16などで固定される固定側基板(ベースプレート)12と、この固定側基板12にねじ17で取り付けられた回転支持金具13と、この回転支持金具13に設けられた空洞部に内蔵されたカム14などを有しており、このカム14および回転支持金具13に、軸心となる回転軸15が上下に延びる姿勢で挿通されている。
【0019】
扉1側に取り付けられる扉側取付部20は、回転軸15に回転可能に支持されて扉1の一側部を挟む2枚の扉挟持板21、22および挟持用ねじ23を有し、一方の扉挟持板21に横方向にばね30を収容しているとともに、ばね30の先端に、ばね30の付勢力が作用するように球体31が内装されている。なお、扉1と扉挟持板21、22との間には、弾性を有するシート状のパッキン26などを介装させると好適である。また、24は、ばね30および球体31を収容した状態で覆う蓋部、25は蓋部24の取付ねじである。この実施の形態では、ばね30および球体31が上下に2箇所に設けられているが、これに限るものではなく、ばね30および球体31を1つずつ設けたり、3つ以上設けたりしてもよい。
【0020】
図5などに示すように、カム14は、平面視して、壁などの固定材とは反対側の領域は円形となっている一方で、円形部の中央には、球体31の球面が嵌り込み可能な凹部(窪み部)14aが形成され、これにより、扉1が、閉鎖位置の近傍(例えば、平面視して、閉鎖位置に対して30度から40度ぐらいの近傍角度位置)まで移動されると、ばね30によって、閉鎖位置側に移動するよう付勢される。また、この実施の形態では、カム14の角度(姿勢)を調整可能な、対となった調整ねじ32が回転支持金具13にねじ込まれており、この調整ねじ32を回転してカム14の角度(姿勢)を調整することで、壁などの固定材2の取付面が若干ずれていても、閉鎖状態の扉の位置を良好に調整可能とされている。なお、このような位置調整機能(取付角度調整機能)は、必要に応じて設けられていればよく、必ずしも設けなくてもよい。
【0021】
図3図5などに示すように、他方の扉挟持板22には、この扉挟持板22から手前側に膨出する状態で複数の衝撃吸収手段40を収容する収容部22bが一体形成され、収容部22bの内部には、衝撃吸収手段40を収容する略円筒形状の収納空間22cが形成されている。衝撃吸収手段40は、扉側取付部20の扉挟持板22の収納部22bに着脱自在に取り付けられている。この実施の形態では、扉挟持板22に4つの衝撃吸収手段40が上下に並べられた状態で、それぞれ着脱できる状態で取り付けられている。衝撃吸収手段40は、扉側取付部20(この実施の形態では、扉側取付部20の扉挟持板22)に組付けられ、先端部が固定側取付部11に当接可能とされて当接時の衝撃を吸収する。
【0022】
衝撃吸収手段40は、略円柱形状の本体部41と、本体部41から出退自在で、先端部42aが固定側取付部11の固定側基板12に当接可能とされた出退部42と、を有する。本体部41の後部側箇所は、扉挟持板22に弾性変形可能な状態で取り付けられた係止ばね43の付勢力により、装着状態を保持できるよう構成されている。また、扉挟持板22には本体部41の収納箇所側に貫通する孔部22dが形成され、この孔部22dに金属棒(ドライバ)などを通して押し出すことで、衝撃吸収手段40を扉挟持板22から取り外すことも可能である。なお、衝撃吸収手段40は、いわゆるソフトアブソーバーやショックアブソーバー、ダンパー、緩衝器などとも称せられるものであり、油圧式(液圧式)、ばね内蔵式などのどのような構造でもよく、衝撃を受けた際に、衝撃を吸収しながら、出退部42が本体部41内に収容される(後退する)ものであればよい。
【0023】
ここで、衝撃吸収手段40の出退部42の先端部42aは球面状(または、円弧状)に形成されている。また、固定側取付部11(この実施の形態では、固定側取付部11の固定側基板12)における、衝撃吸収手段40の出退部42の先端部42aが当接し始める領域に突出部12aが設けられ、突出部12aは、衝撃吸収手段40の出退部42が出退する方向に対して直交する形状に形成されている。なお、この実施の形態では、図2図5などに示すように、突出部12aは、円弧状に突出するように形成され、突出部12aの端部は丸められて、衝撃吸収手段40の出退部42に対して滑らかに接触し始めるよう構成されている。また、突出部12aの反対側は固定側基板12の平面部分に滑らかに続く形状とされている。
【0024】
上記構成において、扉1が開放されている際には、図7図8に示すように、ばね30で付勢力を受けている球体31はカム14の凹部14aから外れているため、扉1はばね30の付勢力を受けることなく自由に移動(開閉)できる。また、図7図9に示すように、衝撃吸収手段40の出退部42は固定側取付部11の固定側基板12から離反している。
【0025】
扉1が、開放状態から閉じられて閉鎖状態に近づくと、図10図11に示すように、ばね30で付勢力を受けている球体31がカム14の凹部14aに嵌り始めるため、ばね30の付勢力が付与されて、より閉鎖状態に移動しようとする。一方で、図10図12に示すように、衝撃吸収手段40の出退部42が固定側取付部11の固定側基板12に接触し始める。
【0026】
さらに、扉1が、閉鎖状態まで移動する際には、図10図11に示すように、近づくと、ばね30で付勢力を受けている球体31がカム14の凹部14aに嵌り込むため、ばね30の付勢力が加えられた状態で、強く移動しようとする。しかしながら、この際には、衝撃吸収手段40の出退部42の先端部42aが固定側取付部11の固定側基板12の平面部分に当接して、扉1が閉鎖位置に移動する際の衝撃が吸収されて緩和される。これにより、扉1がガラス扉などの比較的重いものであり、付勢手段であるばね30の付勢力が大きい場合でも、扉1を閉じる際などに扉枠や戸当りなどに当たる際の衝撃や音を小さく抑えることができ、扉1を安定して静かに閉じるなどすることができて当該扉用ヒンジ装置10ひいては扉1の開閉システムの信頼性を向上することができる。
【0027】
また、上記構成によれば、扉1が所定の位置(この実施の形態では閉鎖位置)の近傍まで移動された際に、衝撃吸収手段40の出退部42の先端部42aが固定側取付部11の固定側基板12に当接するが、衝撃吸収手段40に設けられている出退部42の先端部42aが球面状、または、円弧状に形成されているので、出退部42の先端部42aが固定側取付部11の固定側基板12に対して片当たりし難くなり、扉1が所定の位置に移動する際の衝撃がより良好に吸収されて緩和され易くなる。
【0028】
さらに、上記構成によれば、扉1が所定の位置(この実施の形態では閉鎖位置)の近傍まで移動された際に、衝撃吸収手段40の出退部42の先端部42aが固定側取付部11の固定側基板12に当接するが、固定側基板12における出退部42の先端部42aが当接し始める領域に設けられている突出部12aが、衝撃吸収手段40の出退部42が出退する方向に対して直交する形状に形成されているので、衝撃吸収手段40の出退部42が突出部12aから退入する(後退する)方向に力を受け易くなり、衝撃吸収手段40の出退部42が良好に退入(後退)して、扉1が所定の位置(この実施の形態では閉鎖位置)に移動する際の衝撃がより良好に吸収されて緩和され易くなる。
【0029】
つまり、固定側基板12における衝撃吸収手段40の出退部42の先端部42aが当接し始める領域に、突出部12aが形成されず、単なる平面形状であると、衝撃吸収手段40の出退部42が本体部41内に退入する方向に対して傾斜する力を受け易くなり、衝撃吸収手段40の出退部41が本体部41内に退入できずに突っ張った姿勢となるなどして、扉1が所定の位置(この実施の形態では閉鎖位置)まで移動できなくなる恐れがあるが、上記構成によれば、このような不具合が生じることを防止でき、当該扉用ヒンジ装置10、ひいては当該扉用ヒンジ装置10を含んだ扉1の開閉システムの信頼性を向上することができる。
【0030】
また、上記構成によれば、扉側取付部20(この実施の形態では、扉挟持板22の一部)に、複数の衝撃吸収手段40を着脱自在に収容できるよう構成したので、扉1の重量や付勢手段であるばね30の付勢力などに対応して、扉側取付部20に組み付ける衝撃吸収手段40の数を自由に選択し、反力の調整を行うことができる。すなわち、上記実施の形態では、全ての収容部22bに衝撃吸収手段40を組み込んだ場合を図示したが、これに限るものではなく、例えば、扉1の上部と下部に組付けた扉用ヒンジ装置10のそれぞれに、同数(2つずつなど)の衝撃吸収手段40を組付けたり、異なる数の衝撃吸収手段40を組付けたりしてもよい。
【0031】
また、図13図15に示すように、扉1の下部には、上記のように衝撃吸収手段40やこの衝撃吸収手段40を収容する収容部22bを有する扉用ヒンジ装置10を組付ける一方で、利用する人に対して目立ち易い扉1の上部には、衝撃吸収手段40やこの衝撃吸収手段40を収容する収容部22bを有しない扉用ヒンジ装置50を組付け、扉1の下部に組付けた扉用ヒンジ装置10に4つなど多数の衝撃吸収手段40を組み込んでもよい。この構成によれば、扉1の下部などの目立たない箇所だけに、衝撃吸収機能を有する扉用ヒンジ装置10を取り付けることができる。
【0032】
なお、上記実施の形態では、扉1を奥側に開くことができる場合を述べたが、これに限るものではなく、扉用ヒンジ装置10などを手前側と奥側とを逆に組み付けることで、扉1を手前側に開くことができる構成のものにも適用可能である。
【0033】
また、上記実施の形態では、扉1を閉鎖位置側に移動させるように付勢するばね(付勢手段)30が設けられ、閉鎖位置近傍で衝撃吸収手段40の出退部42が固定側取付部11の固定側基板12に当接して衝撃を吸収するよう構成した場合を述べた。しかし、これに限るものではなく、扉用ヒンジ装置として、扉1を開放位置側に移動させるように付勢するばね(付勢手段)を設け、開放位置近傍で衝撃吸収手段40の出退部42が固定側取付部11の固定側基板12に当接して衝撃を吸収するよう構成してもよい。
【0034】
また、上記の実施の形態では、扉1がガラス扉である場合を述べた。このように扉1がガラス扉である場合には、扉1が重いためにばね30などの付勢手段の付勢力が大きいものが用いられている一方で、扉側取付部20に衝撃吸収手段40が設けられているため、扉が閉じる際に枠や戸当りなどに当接する際において、衝撃吸収手段40によって、より良好に衝撃や音が吸収され、衝撃や音を小さく抑えることができる。しかし、これに限るものではなく、ガラス扉以外の扉1にも上記構成を適用できることは申すまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1 扉
2 固定材
10 扉用ヒンジ装置
11 固定側取付部
12 固定側基板(ベースプレート)
12a 突出部
13 回転支持金具
14 カム
15 回転軸
20 扉側取付部
21、22 扉挟持板
30 ばね(付勢手段)
31 球体
40 衝撃吸収手段
41 本体部
42 出退部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15