(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】舗装工事用加熱装置
(51)【国際特許分類】
E01C 23/03 20060101AFI20220310BHJP
E02D 29/12 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
E01C23/03
E02D29/12 Z
(21)【出願番号】P 2018121092
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】517116692
【氏名又は名称】株式会社ユニテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 寛治
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-136776(JP,A)
【文献】特開2001-355208(JP,A)
【文献】特開平10-317318(JP,A)
【文献】特開昭59-122608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/03
E02D 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下埋設物の蓋受枠の周囲に形成される掘削部の埋め戻しに使用される舗装材料を加熱して硬化させる舗装工事用加熱装置において、
熱風発生器と、該熱風発生器の熱風吐出管の先側に着脱可能に装着され前記蓋受枠で支持される蓋体の上面に載置される熱風吹き出し具と、前記蓋体、前記蓋受枠、及び前記掘削部を前記熱風吹き出し具の上方から覆うカバー体とを有し、前記熱風発生器から供給される熱風は、前記熱風吹き出し具から前記カバー体の外周方向に放射状に吹き出して前記舗装材料を加熱することを特徴とする舗装工事用加熱装置。
【請求項2】
請求項1記載の舗装工事用加熱装置において、前記熱風吹き出し具は、基板部と、該基板部の中央部に形成された貫通孔の外周に設けられ前記熱風吐出管の先側が連結される吐出管装着部と、前記基板部の底部に設けられ前記蓋体の上面に接地して前記基板部を支持する脚部とを備え、前記カバー体は、中央部に前記吐出管装着部が下方から嵌入される挿通孔を有し中央部が前記基板部で支持される上板部と、該上板部の下部外周を覆って前記掘削部の周囲の舗装面に接地する周壁部とを備えていることを特徴とする舗装工事用加熱装置。
【請求項3】
請求項2記載の舗装工事用加熱装置において、前記蓋体と前記基板部との隙間は、10~100mmであることを特徴とする舗装工事用加熱装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の舗装工事用加熱装置において、前記上板部の上面に把手が取付けられていることを特徴とする舗装工事用加熱装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1記載の舗装工事用加熱装置において、前記上板部に、開閉可能な点検蓋で覆われた点検口が形成されていることを特徴とする舗装工事用加熱装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1記載の舗装工事用加熱装置において、前記カバー体は、複数の分割カバー体からなり、該各分割カバー体は、前記挿通孔の中心を通る分割線に沿って前記カバー体を分割した形状であることを特徴とする舗装工事用加熱装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1記載の舗装工事用加熱装置において、前記熱風吹き出し具及び前記カバー体は、金属製であることを特徴とする舗装工事用加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装面におけるマンホールや情報ボックス等の地下埋設物の新設時又は既設の地下埋設物の蓋受枠の交換時に、蓋受枠周囲の掘削部の埋め戻しに使用される路盤材や舗装材等の各種舗装材料の加熱に用いられる舗装工事用加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装面で覆われた場所に地下埋設物を新設する場合や周囲が舗装面で覆われた既設の地下埋設物の蓋受枠を交換する場合には、新たに設置した蓋受枠の周囲を埋め戻し、表面を舗装材で覆わなければならない。特に、車両の交通量が多い場所では、走行車両の振動の影響や経年劣化等によって、舗装面の陥没、沈下、又はクラック等が発生し易く、蓋受枠の変形や破損等も生じ易いため、補修作業が繰返し行われている。これらの作業には、車両の通行止めや交通規制を伴うため、作業時間の短縮が望まれている。そこで、作業時間の短縮のために、様々な工法、道具、及び資材等が提案されている。そして、例えば、特許文献1には、マンホール枠(蓋受枠)周囲の舗装面(舗装材料)を早急に養生硬化させるために用いる舗装養生装置として、マンホール枠周囲の舗装面上に被せられる養生カバーと、養生カバーにその内部と連通するように付設された風管と、風管を介して養生カバー内部に温風を供給する温風発生器とからなる舗装養生装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の舗装養生装置では、養生カバーが、頂部に風管の接続口を備えた円錐又は角錐形に形成されており、養生カバーで覆われる空間の容積が大きく、養生カバーの頂部にある風管の接続口から供給される温風が空間内で対流し易い。よって、マンホール枠周囲の舗装面に熱が伝わり難く、加熱効率が悪いという問題がある。また、養生カバーは、風管と着脱可能な基管と、基管の周壁に折り畳み可能に放射状に枢着された複数の骨部材と、骨部材に被覆された可撓性耐熱膜材からなり、可撓性耐熱膜材が破れ易く、耐久性に欠けるという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、地下埋設物の蓋受枠の周囲を舗装する際に用いられる舗装材料を効率的に加熱して硬化させることができ、特に冬期や低温地域においても施工時間を長引かせることなく、早期に交通開放することができる舗装工事用加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る舗装工事用加熱装置は、地下埋設物の蓋受枠の周囲に形成される掘削部の埋め戻しに使用される舗装材料を加熱して硬化させる舗装工事用加熱装置において、
熱風発生器と、該熱風発生器の熱風吐出管の先側に着脱可能に装着され前記蓋受枠で支持される蓋体の上面に載置される熱風吹き出し具と、前記蓋体、前記蓋受枠、及び前記掘削部を前記熱風吹き出し具の上方から覆うカバー体とを有し、前記熱風発生器から供給される熱風は、前記熱風吹き出し具から前記カバー体の外周方向に放射状に吹き出して前記舗装材料を加熱する。
【0006】
ここで、舗装材料は、アスファルト舗装やコンクリート舗装等の補修において、掘削部の埋め戻しの過程で使用される路盤材、補強材、防水材、及び表層材等であり、主に加熱硬化型の樹脂系舗装材料であるが、加熱により硬化時間が短縮するものは対象とすることができる。具体的な舗装材料としては、樹脂モルタル、無収縮モルタル、樹脂コンクリート、アスファルト合材、アスファルト乳剤、ウレタン樹脂系舗装材、エポキシ樹脂系舗装材、メタクリル樹脂系舗装材、ポリウレア樹脂系補強材、ウレタン樹脂系防水材、ポリウレア樹脂系防水材等である。また、水硬性材料や硬化剤を混合して使用する二液硬化型材料も対象である。熱風吹き出し具及びカバー体の材質としては、ステンレスやアルミニウム等の金属が好適に用いられるが、熱風発生器による加熱に耐えられるものであればよく、合成樹脂又は木を用いてもよい。
【0007】
本発明に係る舗装工事用加熱装置において、前記熱風吹き出し具は、基板部と、該基板部の中央部に形成された貫通孔の外周に設けられ前記熱風吐出管の先側が連結される吐出管装着部と、前記基板部の底部に設けられ前記蓋体の上面に接地して前記基板部を支持する脚部とを備え、前記カバー体は、中央部に前記吐出管装着部が下方から嵌入される挿通孔を有し中央部が前記基板部で支持される上板部と、該上板部の下部外周を覆って前記掘削部の周囲の舗装面に接地する周壁部とを備えていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る舗装工事用加熱装置において、前記蓋体と前記基板部との隙間は、10~100mm(より好ましくは20~50mm)であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る舗装工事用加熱装置において、前記上板部の上面に把手が取付けられていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る舗装工事用加熱装置において、前記上板部に、開閉可能な点検蓋で覆われた点検口が形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明に係る舗装工事用加熱装置において、前記カバー体は、複数の分割カバー体からなり、該各分割カバー体は、前記挿通孔の中心を通る分割線に沿って前記カバー体を分割した形状であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る舗装工事用加熱装置において、前記熱風吹き出し具及び前記カバー体は、金属製であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る舗装工事用加熱装置は、熱風発生器と、熱風発生器の熱風吐出管の先側に着脱可能に装着され蓋受枠で支持される蓋体の上面に載置される熱風吹き出し具と、蓋体、蓋受枠、及び掘削部を熱風吹き出し具の上方から覆うカバー体を有し、熱風発生器から供給される熱風が、熱風吹き出し具からカバー体の外周方向に放射状に吹き出して舗装材料を加熱するので、掘削部の範囲(広さ)又は外形形状に応じて、形状又は大きさの異なるカバー体を組合せ、掘削部全体を確実に覆って、舗装材料を短時間で効率的に加熱して硬化させることができる。
【0014】
熱風吹き出し具が、基板部と、基板部の中央部に形成された貫通孔の外周に設けられ熱風吐出管の先側が連結される吐出管装着部と、基板部の底部に設けられ蓋体の上面に接地して基板部を支持する脚部とを備え、カバー体が、中央部に吐出管装着部が下方から嵌入される挿通孔を有し中央部が基板部で支持される上板部と、上板部の下部外周を覆って掘削部の周囲の舗装面に接地する周壁部を有する場合、熱風吹き出し具と熱風吐出管との着脱が容易で、蓋体の上面に熱風吹き出し具を載置するだけで蓋体と基板部との間に隙間を形成することができ、熱風吐出管から吐出されて貫通孔を通過した熱風が、隙間からカバー体の外周方向に向かって放射状に吹き出し、舗装材料を隅々まで加熱することができる。また、熱風発生器から供給される熱風は、基板部の貫通孔を通過して蓋体の表面に衝突した後、蓋体と基板部との隙間からカバー体の外周方向に吹き出す(拡散する)ので、熱風で舗装材料の一部が局所的に加熱されることがなく、舗装材料全体を斑なく均等に加熱することができる。
【0015】
蓋体と基板部との隙間が10~100mm(より好ましくは20~50mm)である場合、カバー体で覆われる空間の容積が小さく、隙間から吹き出す熱風がカバー体の外周方向に向かってスムーズに流れ、舗装材料を効率的に加熱することができる。
【0016】
上板部の上面に把手が取付けられている場合、カバー体の持ち運び及び設置作業を容易に行うことができる。
【0017】
上板部に、開閉可能な点検蓋で覆われた点検口が形成されている場合、カバー体を取り外すことなく、点検蓋を開いて点検口から舗装材料の硬化状態を確認することができ、施工性に優れる。
【0018】
カバー体が複数の分割カバー体からなり、各分割カバー体が、挿通孔の中心を通る分割線に沿ってカバー体を分割した形状である場合、搬送時及び収納時はカバー体を分割カバー体に分割することにより、持ち運びが容易で省スペース性に優れ、使用時は熱風吹き出し具の上から簡単に設置して掘削部を覆うことができる。
【0019】
熱風吹き出し具及びカバー体が金属製である場合、変形や破損が発生し難く、取り扱い性及び耐久性に優れ、熱風の温度を高く設定して舗装材料の硬化時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る舗装工事用加熱装置の熱風発生器及び熱風吹き出し具の設置状態を示す平面図である。
【
図2】同舗装工事用加熱装置の熱風発生器及び熱風吹き出し具の設置状態を示す要部断面正面図である。
【
図3】同舗装工事用加熱装置の使用状態を示す平面図である。
【
図4】同舗装工事用加熱装置の使用状態を示す要部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の一実施の形態に係る舗装工事用加熱装置10について説明する。
図3、
図4に示す舗装工事用加熱装置10は、舗装面11における地下埋設物(例えばマンホールや情報ボックス等)12の新設時又は既設の地下埋設物12の蓋受枠13の交換時に、蓋受枠13の周囲に形成される掘削部14の埋め戻しの過程で使用される舗装材料を加熱して硬化させるために用いられるものである。地下埋設物12の新設作業又は既設の地下埋設物12の蓋受枠13の交換作業では、
図2、
図4に示すように、蓋受枠13の周囲の掘削部14に路盤材(舗装材料の一種)15を充填した後、周囲の舗装面11と面一になるように、表層材(舗装材料の一種)16を敷設する。路盤材15としては、例えば粒度調整砕石、水硬性粒度調整鉄鋼スラグ、又は無収縮モルタル等が好適に用いられ、表層材16としては、例えばアスファルト合材若しくはウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、又はメタクリル樹脂系等の舗装材が好適に用いられるが、これらに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。表層材16は、その種類に応じてスコップ、レイキ、又はコテ等を用いて均一に敷きならした後、
図3、
図4に示すように、舗装工事用加熱装置10を用いて加熱を行う。
【0022】
舗装工事用加熱装置10は、
図3、
図4に示すように、熱風発生器17と、熱風発生器17の熱風吐出管18の先側に着脱可能に装着され蓋受枠13で支持される蓋体(鉄蓋)19の上面に載置される金属製(例えばステンレス製)の熱風吹き出し具20と、蓋体19、蓋受枠13、及び掘削部14を熱風吹き出し具20の上方から覆う金属製(例えばアルミニウム製)のカバー体21とを有している。この舗装工事用加熱装置10を使用する際には、まず、
図1、
図2に示すように、熱風発生器17の熱風吐出管18の先側に装着した熱風吹き出し具20を蓋体19の上面中央部に載置し、熱風発生器17を舗装面11に載置する。熱風吹き出し具20は、平面視して正方形状の基板部22を備えている。基板部22の中央部には円形の貫通孔23が形成され、その外周に熱風吐出管18の先側が連結(挿通)される円筒状の吐出管装着部24が設けられている。また、基板部22の底部(ここでは四隅)には、蓋体19の上面に接地して基板部22を支持する脚部25が取付けられている。よって、熱風吹き出し具20を蓋体19上に載置するだけで、
図2、
図4に示すように、蓋体19と基板部22との間に隙間26が形成される。
【0023】
本実施の形態では、基板部を平面視して正方形状に形成したが、基板部の形状はこれに限定されるものではなく、長方形状又は円形状等に形成することができる。なお、基板部の面積(大きさ)は、熱風吹き出し具を載置する蓋体の大きさに応じて、適宜、選択することができる。脚部は、蓋体と基板部を一定の間隔で離間させて隙間を形成することができればよく、その形状、数、及び大きさ等は適宜、選択することができる。また、脚部の配置も適宜、選択することができるが、隙間から吹き出す熱風の流通を妨げないように基板部の外周部(周縁部)に配置することが好ましい。なお、脚部は基板部に溶接で固定してもよいし、螺子止めで固定してもよい。
【0024】
次に、
図3、
図4に示すように、熱風吹き出し具20の上方から、蓋体19、蓋受枠13、及び掘削部14を覆うカバー体21を設置する。カバー体21は、中央部に吐出管装着部24が下方から嵌入される挿通孔28を有し中央部が基板部22で支持される上板部30と、上板部30の下部外周を覆って掘削部14の周囲の舗装面11に接地する周壁部31を備えている。このカバー体21は、4つの分割カバー体32からなり、各分割カバー体32は、挿通孔28の中心を通る分割線33に沿ってカバー体21を分割した形状となっている。これにより、熱風発生器17及び熱風吹き出し具20を設置した後から、各分割カバー体32を簡単に設置することができ、必要に応じて、選択した分割カバー体32のみを持ち上げて表層材16の硬化状態を確認することもできる。また、上板部30の外周側上面部には複数の把手34が取付けられている。把手の形状、数、及び配置は、適宜、選択することができるが、各分割カバー体に対して少なくとも2つの把手を取付けることにより、分割カバー体の持ち運びや設置作業等を円滑に行うことができる。さらに、
図3に示すように、上板部30に、スライドによって開閉する点検蓋35で覆われた点検口36が形成されている。これにより、カバー体21(分割カバー体32)を取り外す(持ち上げる)ことなく、点検蓋35を開いて点検口36から、目視又は指触等の方法により表層材16の硬化状態を確認することができる。点検口の形状、大きさ、数、及び配置は、適宜、選択することができるが、掘削部に対して複数の点検口を均等に配置した場合、表層材全体の硬化状態をより確実に確認することができる。また、点検蓋の構造は特に限定されず、開閉可能な構造であればよく、点検蓋を回動させて開閉する構造や点検蓋をスライドさせて開閉する構造のほか、点検蓋を点検口に対して着脱可能な構造としてもよい。
【0025】
カバー体の製造においては、4つの分割カバー体が一体となったカバー体を製造した後に、4つの分割カバー体に分割してもよいし、最初から4つの分割カバー体を個別に製造してもよい。なお、本実施の形態では、カバー体を4つの分割カバー体に分割したが、カバー体の分割数はこれに限定されるものではなく、適宜、選択することができ、掘削部の面積が狭い場合等は、分割しなくてもよい。また、分割カバー体の形状及び大きさは全てが同一である必要はない。カバー体を分割しない場合は、蓋体の上に熱風吹き出し具を載置した後、カバー体を設置してから熱風吹き出し具の吐出管装着部に熱風発生器の熱風吐出管を挿通し、熱風発生器を舗装面に載置すればよい。また、本実施の形態では、カバー体の上板部を平面視して長方形状に形成したが、掘削部の形状に応じて、正方形状又は円形状等に形成してもよい。特に、掘削部の外形が円形状の場合には、上板部の形状が円形状のカバー体を用い、掘削部の外形が長方形状の場合には、上板部の形状が長方形状のカバー体を用いることにより、カバー体の内部に無駄な空間が発生せず、舗装材を効率的に加熱することができる。但し、掘削部の外形が円形状の場合に、上板部の形状が正方形状又は長方形状のカバー体を用いてもよい。
【0026】
以上の構成により、熱風発生器17から供給される熱風は、基板部22の貫通孔23を通過して蓋体19の表面に衝突した後、隙間26からカバー体21の外周方向(蓋受枠13の周囲の掘削部14)に向かって放射状に吹き出し、表層材16を加熱して硬化させることができる。このとき、隙間26は、例えば10~100mm(より好ましくは20~50mm)程度が好ましい。隙間が20mmより狭くなるにつれ、熱風がスムーズに流れ難くなる傾向があり、50mmより広くなるにつれ、熱風の吹き出し速度が低下して掘削部の外周まで届き難くなる傾向がある。また、隙間が10mmより狭くなると、蓋体表面の凹凸等による抵抗の影響を受け易く、熱風が均等に拡がらずに加熱斑が発生し、100mmより広くなると、隙間から吹き出した熱風が外周方向に拡がらずに上方に拡散し易くなり、カバー体内部の空間も増えて加熱効率が低下する。なお、隙間は上記範囲に限定されるものではなく、熱風発生器の性能及び掘削部の面積等に応じて、適宜、選択することができる。また、熱風発生器から吐出する熱風の温度は、加熱の対象となる舗装材料の種類や物性(例えば硬化温度)等に応じて適宜、選択することができるが、例えば50~100℃程度である。
【0027】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
上記実施の形態では、蓋受枠及び掘削部の外形形状が長方形状の場合について説明したが、蓋受枠及び掘削部の外形形状が円形状又は正方形状の場合もある。また、掘削部の外形形状は、舗装面の切断に用いる装置(カッター等)の種類によって異なり、蓋受枠の形状と掘削部の外形形状が同じ(相似)とは限らない。つまり、円形状の蓋受枠に対して掘削部の外形形状が正方形状又は長方形状の場合、或いは、正方形状又は長方形状の蓋受枠に対して掘削部の外形形状が円形状の場合も考えられるが、いずれの場合も掘削部の外形形状及び面積(広さ)に応じて、カバー体の外形形状及び大きさを選択すればよい。なお、先に説明したように、掘削部の外形形状とカバー体の外形形状は同じ(相似)である必要はなく、カバー体で掘削部全体を覆うことができればよい。
また、上記実施の形態では、表層材を加熱硬化させる場合について説明したが、本発明に係る舗装工事用加熱装置は、掘削部の埋め戻しの過程で使用される舗装材料のうち、加熱により硬化時間が短縮するものであれば、加熱の対象とすることができる。よって、路盤材として樹脂モルタルや無収縮モルタル等を使用する場合、路盤材の表面をポリウレア樹脂塗膜等の補強材で補強する場合、補強材の表裏にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メタクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アスファルト乳剤等でプライマー層を形成する場合、路盤材と表層材の間に防水材としてウレタン樹脂やポリウレア樹脂等を充填する場合等においても、上記実施の形態と同様にして、舗装工事用加熱装置で各舗装材料を加熱硬化させることにより、各工程に要する時間を短縮することができる。なお、これらの舗装材料は、その種類に応じて、転圧、コテ塗り、刷毛塗り、ローラーによる塗布、又はスプレーによる吹き付け等の各種方法で充填、敷設又は塗布を行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
10:舗装工事用加熱装置、11:舗装面、12:地下埋設物、13:蓋受枠、14:掘削部、15:路盤材(舗装材料)、16:表層材(舗装材料)、17:熱風発生器、18:熱風吐出管、19:蓋体(鉄蓋)、20:熱風吹き出し具、21:カバー体、22:基板部、23:貫通孔、24:吐出管装着部、25:脚部、26:隙間、28:挿通孔、30:上板部、31:周壁部、32:分割カバー体、33:分割線、34:把手、35:点検蓋、36:点検口