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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】メガネフレーム
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/16 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
G02C5/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018138201
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020016719
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】515125492
【氏名又は名称】株式会社ジゴスペック
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】宮下 務
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿成
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3199832(JP,U)
【文献】特開2018-084666(JP,A)
【文献】特開2016-170416(JP,A)
【文献】特開2016-206389(JP,A)
【文献】米国特許第05859684(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0133885(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0296044(US,A1)
【文献】米国特許第06142623(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/16
A61F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻当てパットを備えることなく、ツルにパットを取付け、該パットを頬骨に載せてフロント部を支えることが出来るメガネやサングラスを構成するメガネフレームにおいて、上記パットは概略L型又はへ型として縦片と横片を有し、縦片は斜め下方及び後方へ、しかも内側へ延び、横片は縦片の先端に屈曲又は湾曲してフロント部側へ延び、上記ツルは外方向へ滑らかに湾曲して膨出する突出部をフロント部側に形成し、パットは該突出部の領域に配置され、横片の位置は突出部の下側である、該横片の内面は突出部後方のツル内面に連続する同一面に配置され、そして材質を樹脂製とし、縦片基部をツルにネジ止めして取付け、ツルの先端部には該ツルを耳に係止した時に上記パットを中心として回転してツル先端部が浮上しないようにツルの先端部には上縁に沿って凸部を突出して設け、該凸部には髪が嵌って係止することが出来るようにツルの長さ方向に細長い係止穴を内側から外側へ貫通して設けたことをと特徴とするメガネフレーム。
【請求項2】
上記パットに弾性変形に優れた芯金を埋着した請求項1記載のメガネフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鼻当てパットを備えることなく、ツルにパットを取付け、該パットを頬骨に載せてフロント部を支持することが出来るメガネフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の一般的なメガネフレームを示している。メガネフレームはフロント部(イ)と2本のツル(ロ)、(ロ)から成り、ツル(ロ)、(ロ)はフロント部(イ)の両側に設けているヨロイ(ハ)、(ハ)に蝶番(ニ)、(ニ)などの継手を介して折畳み出来るように取付けられている。フロント部(イ)は連結部材(ホ)の両側にリム(ヘ)、(ヘ)が設けられ、リム(ヘ)、(ヘ)の外側には上記ヨロイ(ハ)、(ハ)をロウ付けしている。そして、リムの内側(中央側)には鼻当てパット(ト)、(ト)が取付けられている。
【0003】
ところで、メガネを顔に掛ける場合には、鼻当てパット(ト)、(ト)を鼻の両脇に当てると共に、ツル(ロ)、(ロ)の先端部に挿着している樹脂製のモダン(チ)、(チ)が耳に係止される。鼻当てパット(ト)、(ト)を介してフロント部(イ)は鼻で支えられるが、長時間にわたってメガネを着用しているならば、鼻当てパット(ト)、(ト)が当っている鼻の両脇が赤く変色し、化粧が剥がれる。従って、メガネを外した際には化粧が剥がれて赤くなった鼻両脇が目立ち、特に若い女性にとっては大きな問題となる。
【0004】
近年のメガネフレームはバネ製に優れた軽い材質としてチタン材が多用され、又レンズもプラスチックレンズが用いられることで、フロント部が非常に軽くなっている。ステンレス材を使用したメガネフレームにガラスレンズを嵌めた昔のメガネに比較すれば非常に軽い。しかし、鼻当てパットにてフロント部を支えることは必要であり、その為に鼻両脇の化粧の剥がれ落ちを避けることは出来ない。 鼻当てパットの材質を軟らかいシリコン樹脂で構成している場合もあるが、赤い変色や化粧の剥がれを完全に防止することは出来ない。
【0005】
従来、ツルの内側にパットを取付け、該パットを顔のコメカミ部分に当てることでフロント部を支えるように構成したメガネフレームが知られている。しかし、ツルの内側に取付けたパットをコメカミ部分に押し当てても、滑り落ちる為にフロント部を完全に支持することが出来ない場合もある。
しかし、パットをコメカミ部に強く押圧するならば、コメカミが痛く成ってメガネを長時間掛けることは出来ない。
一方、フロント部に鼻当てパットが無いメガネフレームでは、該フロント部が降下することで、リムの下縁又はレンズの下縁が顔の頬に接してしまい、メガネを外した場合には頬に跡が残ってしまうという問題もある。
【0006】
特開2008-20678号に係る「メガネフレーム」は、鼻の両脇に当ててフロント部を支える鼻当てパットを備えないメガネフレームであり、ツルからアームを斜め下方へ延ばし、該アーム先端にはパットを取付け、該パットが顔の頬骨に当ってフロント部を支えるようにしている。そして、パットはその向きを変えることが出来る構造としている為に、頬骨の位置や形状に違いがあってもパットはフィットできる構造となっている。
【0007】
図6はツル(ロ)にパット(リ)を取付けた従来の具体例である。ツル(ロ)には基板(ヌ)がネジ止めされ、この基板(ヌ)にアーム(ル)が固定され、基板(ヌ)から延びるアーム(ル)の先端には上記パット(リ)を取付けている。該パット(リ)は円盤状であり、円盤状パット(リ)は頬骨に載置されるが、コメカミ部に当たって押圧する。
アーム(ル)はバネ性の金属線であり、その為に、パット(リ)に作用する押圧力はアーム(ル)の撓み変形に基づき、該コメカミ部に痛みを感じる。
【0008】
ところで、従来のメガネフレームではツル(ロ)に取付けたパット(リ)が顔のコメカミ部に当たることで、該パット(リ)に作用する押圧力の反力によってツル(ロ)が撓み、その為に耳に係止するツル先端部のモダンが後頭部から浮き上がり、ツルの安定性が損なわれる。すなわち、両パット(リ)だけでメガネフレームを支えるようになり、パット(リ)を中心として揺動し、フロント部が降下すると共にツル先端部は上昇し、メガネフレームは前屈み状態となる。その為に、リムの下縁又はレンズの下縁が頬に当たってしまい、メガネを外すと頬に跡が残ってしまう。
【文献】特開2008-20678号に係る「メガネフレーム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、フロント部に鼻当てパットを取付けたメガネフレーム、そして鼻当てパットを備えることなくツルにパットを取付けたメガネフレームには上記のごとき問題がある。
本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、ツルに取付けたパットが位置ズレすることなく頬骨に載置され、またツル先端部が浮上しないように安定して掛けることが出来るメガネフレーム、及びパットを備えたメガネフレームのツルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るメガネフレームは、フロント部に鼻当てパットを備えておらず、ツルにはパットを取付けている。該パットは顔の頬骨に載せてフロント部を支える為に、ツルのフロント部側に取付けられ、しかもツル先端部には内側から外側にかけて貫通した係止穴を設けている。
そこで、ツル基部側のパットとツル先端部側の係止穴とで顔に掛けたメガネフレームが安定して支えられるように成っている。
【0011】
本発明のパットは円板型や楕円型ではなく概略L型又は概略ヘ型をなして縦片と横片を有し、該パットはツルの継手側に取付けられている。ツルから縦片が斜め後方内側を向いて下方へ延び、縦片の下端には横片が屈曲又は湾曲してツル継手側(フロント部側)へ延びている。そこで、横片は撓み易くてその先端はツル継手のほぼ下方に位置している。
【0012】
概略L型又は概略ヘ型をした本発明のパットは軟質樹脂製とし、しかも内部には芯金が埋着されていて、縦芯の上端はツル側に固定されることでパットはツルに取付けられている。縦芯が捩れるならばパットの横片はその向きを変えることが出来、また縦芯が曲がることで横片の位置が変わる。メガネを顔に着用した場合、パットの横片は頬骨の上に載置され、しかも頬骨に正しく載るようにその位置が変わり、向きを変えるように機能する。
そして、ツル自体も軟質樹脂製とし、頭部側面に密着するように成っている。また、ツル先端部の係止穴はツルに沿って長手方向に延びる細長い形状としており、一般的にはツル先端部の上縁に沿って設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るメガネフレームは、ツルに取付けたパットが顔の頬骨に載ってフロント部が支えられる。したがって、従来のメガネフレームのように鼻当てパットが当って鼻の両脇が赤く変色することがなく、又鼻の両脇の化粧が剥がれることもない。また、パットはコメカミに当たって押圧しない為にコメカミの痛みはなく、長時間にわたってメガネを着用することが出来る。
【0014】
そして、本発明のパットは概略L型又は概略ヘ型を成して縦片と横片を有しており、縦片はツルから斜め下方後方へ延びると共に内側へ傾斜していて、横片は縦片の下端に屈曲又は湾曲して前方(継手側)へ延びている為に、フロント部を支え易く成っている。そして、該横片は頬骨の上に載ることが出来、フロント部に鼻当てパットが無くても着用したメガネは安定する。
【0015】
ツルの基部側は外方向へ滑らかに湾曲突出し、この突出した領域に上記パットが配置され、その為に、パットはツルに当たることなく撓み変形することが出来る。
さらに、ツル先端部に設けた係止穴にはメガネを着用することで、短い髪が嵌って係止する。したがって、ツルはパットを中心として揺動して先端部が浮上することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るメガネフレーム(サングラス)を示す実施例で、(a)は平面図、(b)は側面図。
図2】本発明に係るメガネフレーム(サングラス)を示す斜視図。
図3】パットの取付け構造を示す具体例。
図4】ツル先端部が耳に係止して髪が係止穴に嵌っている場合。
図5】従来の一般的なメガネフレーム。
図6】パットを取付けたツルの具体例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係るメガネフレームの1形態であるサングラスを示す実施例で、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図をそれぞれ表している。また図2は斜視図であり、同図の1はフロント部、2はツルを示し、ツル2,2はフロント部1の両側に継手12,12を介して折畳み出来るように取付けられている。同図に示すサングラスは樹脂製であり、フロント部1を構成するレンズ3の両側にはヨロイ4,4が取着されている。ヨロイ4は基部8から二股に分かれて延びる上片6と下片7を形成し、レンズ3の側部は該上片6と下片7に形成した溝に嵌って固定されている。
【0018】
そして、該ヨロイ4,4には上記ツル2,2が継手12,12を介して折畳み出来るように連結している。レンズ3は該サングラスを掛けた際に鼻に当たらないように中央部下側には切欠き部5を有している。
ここで、同図に示すレンズ3の形状はあくまでも1具体例に過ぎず、例えば中央部に連結部材を設けて両レンズを繋ぐように構成することも可能である。また、上記ヨロイ4の形態に関しても特に限定しない。
【0019】
ところで、ツル2の継手側にはパット9が取付けられている。該パット9は縦片10と横片11を有し、縦片10の基部はツル2にネジ止めされ、縦片10の下端から屈曲して上記横片11が継手側(フロント部側)へ延びている。
上記縦片10は斜め下方及び後方を向いて延び、しかも内側に向いている。したがって、縦片10の先端に屈曲して設けられる横片11は図1(a)に示しているように、ツル2の内側に配置されている。
【0020】
ヨロイ4の先端に継手12を介して連結しているツル2は、外方向へ滑らかに湾曲して膨出する突出部13をフロント部側に形成している。突出部13の後端部にて内側へ湾曲しているが、パット9はこの突出部13の領域に配置される。
図1(a)に示す平面図において、横片11の位置は突出部13の下側であるが、その内面14は突出部後方のツル内面15に連続する同一面に配置される。
【0021】
サングラスを掛ける場合、横片11は頬骨の上に載置されてフロント部1を支える。ここで、パット9の横片11がコメカミ部に当たって変形し、また縦片10は横片11の変形に追従して捩り変形及び撓み変形するが、ツル2を外方向へ押圧することはなく、ツル内面15が頭部側面から離れることはない。軟質樹脂で構成されるパット9はツル2を変形させることなく、横片11はコメカミ部に接して頬骨に載置する。
【0022】
図3はパット9の取付け構造を表している具体例であり、概略L型のパット9には同じ形状の芯金20を埋着している。
該芯金20には一般にβチタンが用いられ、曲げ変形並びに捩れ変形に優れている為に、パット9は自由に撓み変形することが出来る。勿論、芯金20の材質をβチタンに限定するものではない。
このようにツル2に取付けたパット9,9の横片11,11は、顔にサングラスを掛ける場合、顔の頬骨に載置される。そして、パット9,9は芯金20,20が変形することで該コメカミ部に正しくフィットすることが出来る。
【0023】
一方、本発明のツル2はその先端部に係止穴16を貫通して設けている。すなわち、ツル先端部の上縁には凸部17を突出して設け、この凸部17に上記係止穴16を形成している。該係止穴16はツル上縁に沿って長手方向に延びる細長い穴であり、この係止穴16に髪が嵌って係止する。
図4はサングラスを着用してツル2が耳18に係止している場合を表わしている。図4(a)は耳18の正面から見た状態を、図4(b)は耳18の斜め前から見た状態である。
【0024】
同図に示しているように、ツル2は耳18に係止すると共に、係止穴16には髪19が係止することが出来る。女性の長い髪は係止穴16に係止しにくいが、短い髪19であれば、係止穴16に嵌って係止し、その結果、ツル2の先端部は浮上しにくくなる。
フロント部1を鼻当てパットにて直接支える場合は、ツル2の先端部が浮上することはないが、ツル2に取付けたパット9を頬骨に載せて支持する本発明では、フロント部1がパット9を中心として回転降下するならば、ツル2の先端部は浮上することになる。本発明は、このツル先端部の浮上を防止することが出来る。
【符号の説明】
【0025】
1 フロント部
2 ツル
3 レンズ
4 ヨロイ
5 切欠き部
6 上片
7 下片
8 基部
9 パット
10 縦片
11 横片
12 継手
13 突出部
14 内面
15 ツル内面
16 係止穴
17 凸部
18 耳
19 髪
20 芯金





















図1
図2
図3
図4
図5
図6