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  • 特許-ガス放射管の温度制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】ガス放射管の温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 23/22 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
G05D23/22 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019547110
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2019087870
(87)【国際公開番号】W WO2020199324
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2019-08-23
(31)【優先権主張番号】201910264197.2
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519307436
【氏名又は名称】上海頤柏科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI YIBAI SCIENCE AND TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6,No.525,Yuanjiang Road,Minhang District,Shanghai 202153,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 景峰
(72)【発明者】
【氏名】沈 鵬
(72)【発明者】
【氏名】汪 海斌
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107239084(CN,A)
【文献】特開昭56-003881(JP,A)
【文献】特開昭59-015829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス放射管の温度制御方法は、以下のステップを含み、
ステップ1において、熱処理炉内に燃料(10)と酸素富化空気(12)と繋がるガス放射管(1)を配置し、ガス放射管(1)内部にガス放射管(1)の内部の温度を監視する第1の熱電対(2)を設置し、ガス放射管(1)の管壁にガス放射管(1)の管壁の温度を監視する第2の熱電対(3)を設置し、ガス放射管(1)の外部の作業エリアに熱処理炉の作業エリアの温度を監視する第3の熱電対(4)を設置すること、
ステップ2において、第3の熱電対(4)によって検出された温度を温度制御装置に送信し、前記温度制御装置は制御プログラムを実行して計算を行い、熱処理炉の作業状態が昇温段階であるか或いは保温段階であるかを判断し、作業状態が昇温段階である場合には、第3の熱電対(4)によって実測された温度と目標温度との差に基づいて、燃料(10)と酸素富化空気(12)の流量を制御することによって、ガス放射管内(1)での燃焼反応を制御すること、
ステップ3において、保温段階において、第2の熱電対(3)によって検出された温度を温度制御装置に送信し、前記温度制御装置は、設定された目標温度により自動的に前記燃料(10)と酸素富化空気(12)の流量を制御することによって、設定された目標温度に基づいて、対応する温度制御エリアの温度を調整し、昇温段階において、前記第2の熱電対(3)が熱処理炉の温度の制御に関与しないこと、
ステップ4において、第1の熱電対(2)によって検出された温度を前記温度制御装置に送信して、前記温度制御装置は、設定されたアラーム温度に基づいて、前記熱処理炉内の温度制御エリアの温度がアラーム温度を超えているかどうかを判断し、アラーム温度を超える場合には、前記温度制御装置は、前記目標温度に基づいて、自動的に前記燃料(10)と酸素富化空気(12)の流量を制御することによって、温度がアラーム温度より小さくなるようにすることを特徴とするガス放射管の温度制御方法。
【請求項2】
請求項1のガス放射管の温度制御方法において、前記ステップ(2)と、ステップ(3)とステップ(4)に、第3の熱電対(4)によって実測された温度とその温度制御エリアの目標温度との差により、前記熱処理炉内の各温度制御エリアの作業状態が昇温段階であるか保温段階であるかが判断されることを特徴とするガス放射管の温度制御方法。
【請求項3】
請求項1のガス放射管の温度制御方法において、作業エリアにおける前記第3の熱電対(4)によって検出された温度がずっと前記目標温度より低い場合には、前記作業エリアに対応する熱処理炉の温度制御エリアは昇温段階におり、前記作業エリアにおける第3の熱電対(4)によって検出された温度が前記目標温度より大きい或いは同じである場合には、その作業エリアに対応する熱処理炉の温度制御エリアは保温段階にあることを特徴とするガス放射管の温度制御方法。
【請求項4】
請求項1のガス放射管の温度制御方法において、熱処理炉が昇温段階にある場合には、前記第3の熱電対(4)によって実測された温度と当該の温度制御エリアの目標温度との差にしたがって、PIDアルゴリズムにより熱処理炉の温度を制御し、熱処理炉が保温段階にある場合には、前記第2の熱電対(3)によって実測された温度と当該の温度制御エリアの目標温度との差にしたがって、PIDアルゴリズムによって熱処理炉の温度を制御することを特徴とするガス放射管の温度制御方法。
【請求項5】
請求項1のガス放射管の温度制御方法において、ステップ(3)に、前記ガス放射管(1)内の燃焼反応によって発生した熱の一部がガスの温度を上昇させ、他の一部が伝熱と、放射と、対流とを介して前記ガス放射管と管外環境とに伝達され、熱処理炉の周囲温度を上げ、
前記ガス放射管内の燃焼反応によって発生した熱は、
【数17】
ここで、
【数18】
は質量流量率であり、すなわち、単位時間当たりの燃焼反応に関与するガスの質量であり、Hはガスの単位質量当たりの燃焼発熱量、Δtは燃焼反応時間、Kは燃焼率であり、
熱収支によれば、各部分の熱量の合計はジュール熱に等しく、
【数19】
ここで、Qは燃焼熱、Q1は放射管の昇温時に吸収された熱、Q2は管外環境(熱処理炉)の昇温時に吸収された熱、Q3は管内ガスの昇温時に吸収された熱であり、
【数20】
ここで、mは放射管の質量、Cpは定圧熱容量、
【数21】
は平均定圧熱容量、Trは放射管の温度(放射管が薄いため、放射管管内の温度はほとんど一致)、Tmは室温であり、
【数22】
【数23】
ここで、hは放射管と管外環境との間の伝熱係数、hは放射管と管内環境との間の伝熱係数、Tfoは管外環境の温度、Tは管壁の温度、Tfiは管内環境の温度であり、
方程式(2)によって、
【数24】
があり、
ここで、Tfoは熱処理炉の作業エリアにおける温度、Tは放射管の管壁の温度、Tfiは熱電対によって測定された放射管内の温度であり、
前記温度制御装置は、Tfo、T、(T-Tfo)および(T-Tfi)の値に基づいて、PIDアルゴリズムを採用し、リアルタイム温度と目標温度との偏差を算出して制御量を出力することによって、熱処理炉の昇温段階と保温段階の温度を正確に制御することを特徴とするガス放射管の温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置を加熱するときの温度制御装置に関し、特にガス放射管温度制御システムとその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の熱処理炉において、熱処理炉の温度制御モードは、作業エリアにおける熱電対によって測定された温度信号によって温度を制御する。このような温度制御方法は、熱電対の挿入位置の変化と熱処理炉内の気体の流動変化が、測定された温度信号に大きく影響し、測定される温度信号の変動、不正確さ及び遅れなどを引き起こすことが問題となっている。
【0003】
そのため、温度制御に対する応答が早い上、制御精度が高い熱処理炉の温度制御装置を開発することが大いに必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、既存技術における前記問題を解決するために、ガス放射管温度制御システムとその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、以下の技術方案を採用する。
【0006】
本発明の第1の方案は、熱処理炉内に挿入して放熱するための少なくとも1つのガス放射管を含むガス放射管温度制御システムを提供し、
一つの前記ガス放射管内に配置され、加熱するエリアの温度制御のために用いられる第1の熱電対と、
一つの前記ガス放射管の管壁にはめ込まれ、保温段階の温度制御のため、及び昇温時の過熱アラームのために用いられる第2の熱電対と、
一つの前記熱処理炉の作業エリアに配置され、昇温段階の温度制御のために用いられる第3の熱電対と、を含み、
前記第1の熱電対と、第2の熱電対と第3の熱電対とはそれぞれ温度制御装置と電気的に接続され、前記温度制御装置は各熱電対によって監視された温度に基づいて、燃料と酸素富化空気の流量をPIDアルゴリズムにより制御することによって、前記ガス放射管内の燃焼反応を制御して、熱処理炉の各段階の温度を正確に制御することを特徴とする。
【0007】
さらに、前記ガス放射管温度制御システムにおいて、前記ガス放射管は中空キャビティを有するU型構造であり、かつ前記ガス放射管の外壁にヒートシンクが設けられており、熱交換面積を増加させることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記ガス放射管温度制御システムにおいて、前記酸素富化空気は熱処理工場において窒素を製造する過程で生じた副産物であることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記ガス放射管温度制御システムにおいて、更に、
前記ガス放射管の先端に設けられ、前記燃料と上記酸素富化空気とのそれぞれに繋がるバーナーとを含むことを特徴とする。
【0010】
さらに好ましくは、前記ガス放射管温度制御システムにおいて、更に、
前記ガス放射管の末端に設けられた煙道と、
前記煙道と前記ガス放射管の末端との間に設けられた熱交換器と、を含み、
前記熱交換器の熱媒体の入り口は前記ガス放射管の末端と繋がり、熱媒体の出口は前記煙道と繋がり、前記熱交換器の冷媒体の入り口はパイプを通して送風機と接続し、冷媒体の出口はパイプを通して前記ガス放射管の先端と繋がることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記ガス放射管温度制御システムにおいて、前記燃料をデリバリーするパイプに第2の調整弁が設けられており、前記酸素富化空気をデリバリーするパイプに第3の調整弁が設けられており、送風機と前記ガス放射管とが繋がるパイプに第1の調整弁が設けられており、前記第1の調整弁と、第2の調整弁と、第3の調整弁と、送風機とがそれぞれ前記温度制御装置に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の方案は、ガス放射管温度制御方法を提供することであり、以下のステップを含み、
ステップ1において、熱処理炉内に燃料と酸素富化空気と繋がるガス放射管を配置し、ガス放射管内部にガス放射管の内部の温度を監視する第1の熱電対を設置し、ガス放射管の管壁にガス放射管の管壁の温度を監視する第2の熱電対を設置し、ガス放射管の外部の作業エリアに熱処理炉の作業エリアの温度を監視する第3の熱電対を設置すること、
ステップ2において、第3の熱電対によって検出された温度を温度制御装置に送信し、前記温度制御装置は制御プログラムを実行して計算を行い、熱処理炉の作業状態が昇温段階であるか或いは保温段階であるかを判断し、作業状態が昇温段階である場合には、第3の熱電対によって実測された温度と目標温度との差に基づいて、燃料と酸素富化空気の流量を制御することによって、ガス放射管内での燃焼反応を制御すること、
ステップ3において、保温段階において、第2の熱電対によって検出された温度を温度制御装置に送信し、前記温度制御装置は、設定された目標温度により自動的に前記燃料と酸素富化空気の流量を制御することによって、設定された目標温度に基づいて、対応する温度制御エリアの温度を調整し、昇温段階において、前記第2の熱電対が熱処理炉の温度の制御に関与しないこと、
ステップ4において、第1の熱電対によって検出された温度を前記温度制御装置に送信して、前記温度制御装置は、設定されたアラーム温度に基づいて、前記熱処理炉内の温度制御エリアの温度がアラーム温度を超えているかどうかを判断し、アラーム温度を超える場合には、前記温度制御装置は、前記目標温度に基づいて、自動的に前記燃料と酸素富化空気の流量を制御することによって、温度がアラーム温度より小さくなるようにすることを特徴とする。
【0013】
さらに、前記ガス放射管の温度制御方法において、前記ステップ(2)と、ステップ(3)とステップ(4)に、第3の熱電対によって実測された温度とその温度制御エリアの目標温度との差により、前記熱処理炉内の各温度制御エリアの作業状態が昇温段階であるか保温段階であるかが判断されることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記ガス放射管の温度制御方法において、作業エリアにおける前記第3の熱電対によって検出された温度がずっと前記目標温度より低い場合には、前記作業エリアに対応する熱処理炉の温度制御エリアは昇温段階におり、前記作業エリアにおける第3の熱電対によって検出された温度が前記目標温度より大きい或いは同じである場合には、その作業エリアに対応する熱処理炉の温度制御エリアは保温段階にあることを特徴とする。
【0015】
さらに、前記ガス放射管の温度制御方法において、熱処理炉が昇温段階にある場合には、前記第3の熱電対によって実測された温度と当該の温度制御エリアの目標温度との差にしたがって、PIDアルゴリズムにより熱処理炉の温度を制御し、熱処理炉が保温段階にある場合には、前記第2の熱電対によって実測された温度と当該の温度制御エリアの目標温度との差にしたがって、PIDアルゴリズムによって熱処理炉の温度を制御することを特徴とする。
【0016】
さらに、前記ガス放射管の温度制御方法において、ステップ(3)に、前記ガス放射管内の燃焼反応によって発生した熱の一部がガスの温度を上昇させ、他の一部が伝熱と、放射と、対流とを介して放射管と管外環境とに伝達され、熱処理炉の周囲温度を上げ、
前記ガス放射管内の燃焼反応によって発生した熱は、
【数1】
ここで、
【数2】
は質量流量率であり、すなわち、単位時間当たりの燃焼反応に関与するガスの質量であり、Hはガスの単位質量当たりの燃焼発熱量、Δtは燃焼反応時間、Kは燃焼率である。
熱収支によれば、各部分の熱量の合計はジュール熱に等しく、
【数3】
ここで、Qは燃焼熱、Q1は放射管の昇温時に吸収された熱、Q2は管外環境(熱処理炉)の昇温時に吸収された熱、Q3は管内ガスの昇温時に吸収された熱である。
【数4】
ここで、mは放射管の質量、Cpは定圧熱容量、
【数5】
は平均定圧熱容量、Trは放射管の温度(放射管が薄いため、放射管管内の温度はほとんど一致)、Tmは室温である。
【数6】
【数7】
ここで、hは放射管と管外環境との間の伝熱係数、hは放射管と管内環境との間の伝熱係数、Tfoは管外環境の温度、Tは管壁の温度、Tfiは管内環境の温度である。
方程式(2)によって、
【数8】
があり、
ここで、Tfoは熱処理炉の作業エリアにおける温度、Tは放射管の管壁の温度、Tfiは熱電対によって測定された放射管内の温度である。
前記温度制御装置は、Tfo、T、(T-Tfo)および(T-Tfi)の値に基づいて、PIDアルゴリズムを採用し、リアルタイム温度と目標温度との偏差を算出して制御量を出力することによって、熱処理炉の昇温段階と保温段階の温度を正確に制御することを特徴とする。
【0017】
さらに、前記ガス放射管の温度制御方法において、前記昇温段階では作業エリアにおける温度によって温度が制御され、保温段階になると、放射管の管壁の温度信号によって温度が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、前記技術方案を採用して、既存の技術方案と比べて、以下の技術的な効果を奏する。
【0019】
本発明で提示したガス放射管温度制御システムとその制御方法は、各熱電対を放射管内部、放射管の管壁、熱処理炉の作業エリアのそれぞれに配置し、異なる段階で異なる温度制御方式を採用し、昇温段階には作業エリアの熱電対の信号によって温度が制御され、保温段階に入った後、放射管の管壁の温度信号によって温度が制御される。熱電対の位置が固定されており、気流の影響を受けることが少ないため、PIDアルゴリズムによってリアルタイム温度と設定温度との偏差を算出して制御量を出力することによって、抵抗炉の温度を正確に制御できる。よって、熱処理炉の温度信号の安定性、均一性、正確性と感度が保証される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明のガス放射管温度制御システムの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明をよりよく理解するために、以下の具体的な実施形態を通して、本発明を具体的に説明するが、以下の実施形態は本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
図1に示すように、本実施形態は、ガス放射管温度制御システムを提供し、熱処理炉内に挿入して放熱するための少なくとも1つのガス放射管1を含み、さらに、一つの前記ガス放射管1内に配置され、加熱するエリアの温度を制御するために用いられる第1の熱電対2と、一つの前記ガス放射管1の管壁にはめ込まれ、保温段階の温度制御のため、及び昇温時の過熱アラームのために用いられる第2の熱電対3と、一つの前記熱処理炉の作業エリアに配置され、昇温段階の温度制御のために用いられる第3の熱電対4とを含む。前記第1の熱電対2と、第2の熱電対3と第3の熱電対4とはそれぞれ温度制御装置と電気的に接続されており、前記温度制御装置は各熱電対によって監視された温度に基づいて、PIDアルゴリズムにより燃料10と酸素富化空気12の流量を制御する。燃料10は放射管内で燃焼し、燃料10の燃焼によって生じた高温ガスは、ガス放射管1の内壁を加熱し、ガス放射管1は、外壁と外部環境との間の伝熱によって熱処理炉を加熱して、前記ガス放射管1内の燃焼反応を制御する。よって前記熱処理炉の各段階の温度が正確に制御される。
【0023】
好ましい実施形態として、前記ガス放射管1は中空キャビティを有するU型構造であり、かつ前記ガス放射管1の外壁にヒートシンクが設けられている。従来のガス放射管と比べて、本発明の放射管の外表面にヒートシンクがあり、伝熱面積が増加し、燃焼も強化され、ガス温度と熱効率も増加し、排気ガスとNOx気体排出量が減少して、総合的な利用レベルと経済効率を高めることができる。従来のU型放射管と異なり、本実施形態で採用したU型構造のガス放射管1は固定された入り口と出口がない。U型の2つの出口は燃焼ガスの入り口でもあり、よって、ガス放射管の燃焼部の温度が高く、ガス出口の温度が低いという問題を解決した。
【0024】
好ましい実施形態として、前記酸素富化空気12は熱処理工場から窒素を製造する過程で発生した副産物である。窒素を製造する過程で発生する酸素富化気体を利用して酸素富化空気を送風することは、燃焼効率の加熱速度率を有効に向上させる。
【0025】
好ましい実施形態として、図1に示すように、前記ガス放射管温度制御システムは更に、前記ガス放射管1の先端に設けられるバーナー13を含み、前記燃料10と酸素富化空気12は全部前記バーナー13に繋がる。
【0026】
好ましい実施形態として、図1に示すように、前記ガス放射管温度制御システムは更に、前記ガス放射管1の末端の煙道6に配置され、及び、前記煙道6と前記ガス放射管1の末端との間に配置される熱交換器5を含む。熱交換器5はガス放射管の熱効率を向上させる重要な部品であり、燃焼用空気を予熱したり、ガス放射管1の熱効率を向上させるために用いられる。具体的には、前記熱交換器5の熱媒体の入り口は前記ガス放射管1の末端に繋がり、熱媒体の出口は前記煙道6と繋がる。前記熱交換器5の冷媒体の入り口はパイプを通して送風機8に接続され、冷媒体の出口はパイプを通して前記ガス放射管1の先端に繋がり、送風機8から供給された冷気は熱交換器5で予熱されてから燃料と一緒に燃焼し、燃焼により発生した火炎流と発生した排ガスは煙道6に流れる。エネルギーは管壁を通って熱処理炉内に放射され、煙道ガスは熱交換器5を通過して冷たい空気と熱交換され、煙道ガスの温度が下がり、冷たい空気は加熱される。
【0027】
好ましい実施形態として、図1に示すように、燃料10をデリバリーするパイプに燃料10の流量を制御する第2の調整弁9が設けられており、前記酸素富化空気12をデリバリーするパイプに酸素富化空気12の流量を制御する第3の調整弁11が設けられており、それに、送風機8と前記ガス放射管1と繋がるパイプに第1の調整弁7が設けられている。前記第1の調整弁7と、第2の調整弁9と、第3の調整弁11と送風機8とはそれぞれ前記温度制御装置に電気的に接続されている。前記温度制御装置はリアルタイムで測定された放射管内の温度、管外温度と、管壁温度との間の温度差と、それらと各設定温度との間の温度差とにしたがって、PIDアルゴリズムにより温度を制御する。管内温度の過熱及び等温と作業エリアにおける温度調節遅延の問題を防ぐことができ、作業温度の均一性と安定性が改善される。
【0028】
前記技術方案に基づいて、当該のガス放射管温度制御システムに基づくガス放射管の加熱装置はガス放射管1と、バーナー13と熱交換器5から構成され、バーナー13はガス放射管加熱装置全体のコアであり、ガス放射管1はバーナー13から噴射された燃料により燃焼され加熱される。当該のガス放射管13は、燃料の燃焼により放出された熱エネルギーを加熱物体に放射するための重要部品である。熱交換器5はガス放射管の熱効率を向上させる重要な部品であり、燃焼用空気を予熱したり、ガス放射管1の熱効率を向上させるために用いられる。具体的には、ガス放射管1の一端にバーナー13が接続され、他の一端に煙道6が接続され、冷たい空気は熱交換器5より予熱された後、燃料と一緒に燃焼し、燃焼より発生した火炎流と排気ガスは煙道6に流れ、管壁を通って熱処理炉内に熱エネルギーが放射され、煙道ガスは熱交換器5を通ってから冷たい空気と熱交換し、煙道ガスの温度が下がり、冷たい空気は加熱される。
【0029】
他の好ましい実施形態として、前記ガス放射管温度制御システムに基づくガス放射管温度制御方法を提供する。具体的なステップは以下であり、
ステップ1において、熱処理炉内に燃料10と酸素富化空気12と繋がるガス放射管1を設置して、ガス放射管1の内部にガス放射管1の内部の温度を監視する第1の熱電対2を設置して、ガス放射管1の管壁にガス放射管1の管壁の温度を監視する第2の熱電対3を設置して、ガス放射管1の外部の作業エリアに熱処理炉の作業エリアの温度を監視する第3の熱電対4を設置すること、
ステップ2において、第3の熱電対4によって検出された温度を温度制御装置に送信して、前記温度制御装置が制御プログラムを実行して計算を行い、熱処理炉の作業状態が昇温段階であるか或いは保温段階であるかを判断し、作業状態が昇温段階である場合には、第3の熱電対4によって実測された温度と目標温度との差を用いて、燃料10と酸素富化空気12の流量を制御することによって、前記ガス放射管1内の燃焼反応を制御すること、
ステップ3において、保温段階において、第2の熱電対3によって検出された温度を温度制御装置に発送して、前記温度制御装置は、設定された目標温度により自動的に前記燃料10と酸素富化空気12の流量を制御することによって、設定された目標温度に基づいて、対応する温度制御エリアの温度を調整し、昇温段階において、前記第2の熱電対3が熱処理炉の温度の制御に関与しないこと、
ステップ4において、第1の熱電対2によって検出された温度を前記温度制御装置に送信して、前記温度制御装置は、設定されたアラーム温度に基づいて、前記熱処理炉内の温度制御エリアの温度がアラーム温度を超えているかどうかを判断し、アラーム温度を超える場合には、前記温度制御装置は、前記目標温度に基づいて、自動的に前記燃料10と酸素富化空気12の流量を制御することによって、温度がアラーム温度より小さくなるようにする。
【0030】
本実施形態において、前記ガス放射管の温度制御方法において、前記ステップ(2)と、ステップ(3)とステップ(4)に、第3の熱電対によって実測された温度とその温度制御エリアの目標温度との差により、前記熱処理炉内の各温度制御エリアの作業状態が昇温段階であるか保温段階であるかが判断される。
【0031】
本実施形態において、作業エリアにおける前記第3の熱電対4によって検出された温度がずっと前記目標温度より低い場合には、前記作業エリアに対応する熱処理炉の温度制御エリアは昇温段階にある。前記作業エリアにおける第3の熱電対4によって検出された温度が前記目標温度より大きい或いは同じである場合には、その作業エリアに対応する熱処理炉の温度制御エリアは保温段階にある。
【0032】
本実施形態において、熱処理炉が昇温段階にある場合には、前記第3の熱電対4によって実測された温度と当該の温度制御エリアの目標温度との差にしたがって、PIDアルゴリズムにより熱処理炉の温度を制御する。熱処理炉が保温段階にある場合には、前記第2の熱電対によって実測された温度と当該の温度制御エリアの目標温度との差にしたがって、PIDアルゴリズムによって熱処理炉の温度を制御する。
【0033】
本実施形態において、ステップ(3)に、前記ガス放射管1内の燃焼反応によって発生した熱の一部がガスの温度を上昇させ、他の一部が伝熱と、放射と、対流とを介して放射管と管外環境とに伝達され、熱処理炉の周囲温度を上げる。
前記ガス放射管内の燃焼反応によって発生した熱は、
【数9】
ここで、
【数10】
は質量流量率であり、すなわち、単位時間当たりの燃焼反応に関与するガスの質量であり、Hはガスの単位質量当たりの燃焼発熱量、Δtは燃焼反応時間、Kは燃焼率である。
熱収支によれば、各部分の熱量の合計はジュール熱に等しく、
【数11】
ここで、Qは燃焼熱、Q1は放射管の昇温時に吸収された熱、Q2は管外環境(熱処理炉)の昇温時に吸収された熱、Q3は管内ガスの昇温時に吸収された熱である。
【数12】
ここで、mは放射管の質量で、Cpは定圧熱容量で、
【数13】
は平均定圧熱容量、Trは放射管の温度(放射管が薄いため、放射管管内の温度はほとんど一致)、Tmは室温である。
【数14】
【数15】
ここで、hは放射管と管外環境との間の伝熱係数、hは放射管と管内環境との間の伝熱係数、Tfoは管外環境の温度、Tは管壁の温度、Tfiは管内環境の温度である。
方程式(2)によって、
【数16】
があり、
ここで、Tfoは熱処理炉の作業エリアにおける温度、Tは放射管の管壁の温度、Tfiは熱電対によって測定された放射管内の温度である。
前記温度制御装置は、Tfo、T、(T-Tfo)および(T-Tfi)の値に基づいて、PIDアルゴリズムを採用して、リアルタイム温度と目標温度との偏差を算出して制御量を出力することによって、熱処理炉の昇温段階と保温段階の温度を正確に制御する。
【0034】
本発明で提示したガス放射管温度制御システムとその制御方法は、各熱電対を放射管内部、放射管の管壁、熱処理炉の作業エリアのそれぞれに配置し、異なる段階で異なる温度制御方式を採用し、昇温段階では作業エリアの熱電対の信号によって温度が制御され、保温段階に入った後、放射管の管壁の温度信号によって温度が制御される。熱電対の位置が固定されており、気流の影響を受けることが少ないため、PIDアルゴリズムによってリアルタイム温度と設定温度との偏差を算出して制御量を出力することによって、抵抗炉の温度を正確に制御できる。よって、熱処理炉の温度信号の安定性、均一性、正確性と感度が保証される。
【0035】
以上は、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、これは例示にすぎず、本発明は上記で説明した具体的な実施例に限定されるものではない。当業者にとっても、本発明に対する均等の修正および置換は、全部本発明の範囲内にある。したがって、本発明の主旨と保護範囲から逸脱することなく行われる均等修正及び置換は、すべて本発明の範囲内に含まれるべきである。
図1