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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】光学検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20220310BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20220310BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
G01N21/27 Z
C12Q1/04
C12M1/34 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020556926
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 KR2019005944
(87)【国際公開番号】W WO2019221557
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0057326
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0077193
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0057746
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0057747
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518174916
【氏名又は名称】ザ ウェーブ トーク, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】THE WAVE TALK, INC.
【住所又は居所原語表記】T337, Truth Hall, 193, Munji-ro Yuseong-gu Daejeon 34051 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヤン ダグ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, スン バム
(72)【発明者】
【氏名】チョ, キョン マン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ドン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ナム キュン
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086719(WO,A1)
【文献】米国特許第05956139(US,A)
【文献】国際公開第2004/051240(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014108630(DE,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0059006(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
C12Q 1/04
C12M 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1断面と、前記第1断面に対向する第2断面と、前記第1断面および前記第2断面を貫通して内部空間を形成する内面を含むボディ部とを備え、
前記ボディ部の前記内面は、前記内部空間に位置する流体内で前記第1断面と前記第2断面との間に入射する第1波の多重散乱(multiple scattering)の回数を増幅させるためのパターンが形成される多重散乱増幅領域を備え、
前記パターンは、前記内面から予め設定した深さdを有する複数の溝が予め設定した間隔Λに配列されて形成される、パイプユニット。
【請求項2】
前記パターンの前記深さdおよび前記間隔Λは、前記第1波の波長λに基づいて決定される、請求項1に記載のパイプユニット。
【請求項3】
前記パターンの前記深さdは、次の数式を満足するように決定される、請求項2に記載のパイプユニット。
ここにおいて、nは、流体の屈折率である。
【請求項4】
前記パターンの前記間隔Λは、次の数式を満足するように決定される、請求項2に記載のパイプユニット。
ここにおいて、θは、前記パターンによって散乱される前記第1波の散乱角である。
【請求項5】
前記ボディ部には、前記流体内で多重散乱され、出射される第2波を検出する検出部に案内する1つ以上の出射ホールが形成される、請求項1に記載のパイプユニット。
【請求項6】
前記出射ホールが2つ以上存在する場合、前記出射ホールは、前記ボディ部の互いに異なる位置に配置される、請求項5に記載のパイプユニット。
【請求項7】
第1断面を通して流入される流体が第2断面を通して排出されるように、前記第1断面と前記第2断面とを貫通する内部空間が形成されるボディ部を備え、前記内部空間に位置する流体内で前記第1断面と前記第2断面との間に入射する第1波の多重散乱(multiple scattering)の回数を増幅させるための多重散乱増幅領域を含むパイプユニットと、
前記パイプユニットの前記流体に向かって前記第1波を照射する波源と、
前記パイプユニットの外部に配置され、前記の照射された第1波が前記流体内で多重散乱されて発生するレーザースペックル(laser speckle)を予め設定した第1時点ごとに検出する検出部と、
前記検出されたレーザースペックルを利用して前記検出されたレーザースペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、前記取得した時間的相関関係に基づいて前記流体内の不純物の存在をリアルタイム(real-time)で推定する制御部と、を含み、
前記パイプユニットの前記ボディ部には、前記流体内で多重散乱され、出射される第2波を前記検出部に案内する1つ以上の出射ホールが形成され
前記ボディ部は、前記内部空間を囲む内面を備え、
前記ボディ部の前記内面に前記多重散乱増幅領域が備えられ、前記第1波の多重散乱(multiple scattering)の回数を増幅させるためのパターンが形成され、
前記パターンは、前記内面から予め設定した深さdを有する複数の溝が予め設定した間隔Λに配列されて形成される、不純物検出システム。
【請求項8】
前記パターンの前記深さdおよび前記間隔Λは、前記第1波の波長λに基づいて決定される、請求項に記載の不純物検出システム。
【請求項9】
前記パターンの前記深さdは、次の数式を満足するように決定される、請求項に記載の不純物検出システム。
ここにおいて、nは、流体の屈折率である。
【請求項10】
前記パターンの前記間隔Λは、次の数式を満足するように決定される、請求項に記載の不純物検出システム。
ここにおいて、θは、前記パターンによって散乱される前記第1波の散乱角である。
【請求項11】
前記出射ホールから出射される前記第2波は、前記検出部により予め設定した測定速度以上に前記レーザースペックルを検出するために、1mW/cm以上のパワーの範囲を有する、請求項7に記載の不純物検出システム。
【請求項12】
前記検出部の前記測定速度において、前記流体が前記出射ホールを通過する時間は、前記第1時点間の時間よりも大きくなるように設定される、請求項11に記載の不純物検出システム。
【請求項13】
前記出射ホールが2つ以上存在する場合、前記出射ホールは、前記ボディ部の円周方向に沿って互いに異なる位置に配置され、
前記検出部は、前記出射ホールの数に対応するように備えられる、請求項7に記載の不純物検出システム。
【請求項14】
前記第1波は、200nm~1.8μmの波長範囲を有する、請求項7に記載の不純物検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、微生物または不純物を検出する光学検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、様々な生物と同じ空間で生活している。目に見える生物から目に見えない生物まで、人間の周辺で一緒に生活しながら、人間に直接的または間接的に影響を与えている。その中で人間の健康に影響を与える微生物や小さな生物は、目にはよく見えないが、人間の周辺に存在し、様々な病気を誘発している。
【0003】
目に見えない微生物を測定するために、従来では、微生物培養法、質量分析法(mass spectrometry)、核磁気共鳴(unclear magnetic resonance)手法などを用いている。微生物培養法、質量分析法、核磁気共鳴手法の場合には、特定の種類の細菌を精密に測定することができるが、細菌を培養するための準備に時間がかかり、高コストで精密かつ複雑な装置を必要とする。
【0004】
加えて、光学的手法を用いて微生物を測定する手法がある。例えば、光学的手法としてラマン分光法(Raman spectrometry)やマルチスペクトル画像(Multispectral imaging)が利用されるが、複雑な光学系が必要となり、複雑な光学系を扱うことができる専門的な知識および研究室レベルの設備が求められる。さらに、長い測定時間を必要とするため、一般大衆が使用することに問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の問題および/または限界を解決するために、カオス波センサーを利用し、リアルタイムで微生物または不純物を感知する光学検出システムを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例において、第1断面を通して流入される流体が第2断面を通して排出されるように、前記第1断面と前記第2断面とを貫通する内部空間が形成されるボディ部を備え、前記内部空間に位置する流体内で前記第1断面と前記第2断面との間に入射する第1波の多重散乱(multiple scattering)の回数を増幅させるための多重散乱増幅領域を含むパイプユニットと、前記パイプユニットの前記流体に向かって前記第1波を照射する波源と、前記パイプユニットの外部に配置され、前記の照射された第1波が前記流体内で多重散乱されて発生するレーザースペックル(laser speckle)を予め設定した第1時点ごとに検出する検出部と、前記検出されたレーザースペックルを利用して前記検出されたレーザースペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、前記取得した時間的相関関係に基づいて前記流体内の不純物の存在をリアルタイム(real-time)で推定する制御部と、を含み、前記パイプユニットの前記ボディ部には、前記流体内で多重散乱され、出射される第2波を前記検出部に案内する1つ以上の出射ホールが形成される、不純物検出システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施例に係る光学検出システムは、レーザースペックルの時間的相関関係の変化を利用することで、低コストで迅速に、試料内の不純物の存在または濃度を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施例に係るカオス波センサーの原理を説明する図である。
【0009】
図2図2は、本発明の一実施例に係る不純物検出システムを概略的に示す概念図である。
【0010】
図3図3図2のII-II線に沿って切り取った断面図である。
【0011】
図4図4は、本発明の他の実施例に係る不純物検出システムを概略的に示す概念図である。
【0012】
図5図5は、流体が水の場合の各波長帯の吸光度である。
【0013】
図6a図6aおよび図6bは、本発明の他の実施例に係る不純物検出システムを概略的に示す概念図である。
図6b図6aおよび図6bは、本発明の他の実施例に係る不純物検出システムを概略的に示す概念図である。
【0014】
図7図7は、本発明の一実施例に係る微生物個体数の計数システムを説明するために概略的に示す概念図である。
【0015】
図8図8図7のIII-III線に沿って切り取った断面図である。
【0016】
図9図9は、本発明の一実施例に係る微生物個体数の計数方法を順次に示すフローチャートである。
【0017】
図10図10および図11は、微生物個体数の計数方法を説明する図である。
【0018】
図11図10および図11は、微生物個体数の計数方法を説明する図である。
【0019】
図12図12は、本発明の他の実施例に係る微生物個体数計数システムを概略的に示す概念図である。
【0020】
図13図13は、本発明の他の実施例に係る試料配置部を概略的に示す概念図である。
【0021】
図14図14は、本発明の一実施例に係る空気中の浮遊菌測定装置を概略的に示す図である。
【0022】
図15図15は、図14の空気中の浮遊菌測定装置の測定原理を説明する概念図である。
【0023】
図16図16は、図14の空気中の浮遊菌測定装置のブロック図である。
【0024】
図17a図17a~図17dは、図14の空気中の浮遊菌測定装置が空気中の浮遊菌を測定した後の捕集液の処理プロセスを説明する図である。
図17b図17a~図17dは、図14の空気中の浮遊菌測定装置が空気中の浮遊菌を測定した後の捕集液の処理プロセスを説明する図である。
図17c図17a~図17dは、図14の空気中の浮遊菌測定装置が空気中の浮遊菌を測定した後の捕集液の処理プロセスを説明する図である。
図17d図17a~図17dは、図14の空気中の浮遊菌測定装置が空気中の浮遊菌を測定した後の捕集液の処理プロセスを説明する図である。
【0025】
図18図18は、本発明の一実施例に係るネットワーク環境の例を示す図である。
【0026】
図19図19は、本発明の一実施例に係るサーバーを概略的に示すブロック図である。
【0027】
図20図20は、本発明の一実施例に係る学習部でスペックルの時間的相関関係を分析する方法を説明する図である。
【0028】
図21図21は、時間に応じて測定された波のスペックルの光強度の標準偏差分布を示す図である。
【0029】
図22図22は、本発明の一実施例に係る畳み込みニューラルネットワークの例示図である。
【0030】
図23図23および図24は、図22の畳み込み演算を説明する図である。
【0031】
図24図23および図24は、図22の畳み込み演算を説明する図である。
【0032】
図25図25は、本発明の一実施例に係る機械学習を通して空気中の浮遊菌を測定して取得した予測の微生物情報(prediction)と、実際の微生物情報(ground truth)とを比較するグラフである。
【0033】
図26図26は、本発明の一実施例に係る光学検出システムを概略的に示す概念図である。
【0034】
図27図27は、第1スペックル生成ユニットが第1スペックルを生成するプロセスを説明する図である。
【0035】
図28図28は、第2スペックル生成ユニットが第2スペックルを生成するプロセスを説明する図である。
【0036】
図29図29は、本発明の制御部が、第1スペックルにより第2画像センサーの動作を制御する方法を説明する図である。
【0037】
図30図30は、他の実施形態の光学検出システムを概略的に示す図である。
【0038】
図31図31は、本発明の他の実施例に係る光学検出システムを概略的に示す図である。
【0039】
図32a図32aおよび図32bは、本発明の実施例に係る光学検出システムを利用し、測定試料内の生菌の存在を確認する方法を説明する図である。
図32b図32aおよび図32bは、本発明の実施例に係る光学検出システムを利用し、測定試料内の生菌の存在を確認する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の一実施例において、第1断面と、前記第1断面に対向する第2断面と、前記第1断面および前記第2断面を貫通して内部空間を形成する内面を含むボディ部とを備え、前記ボディ部の前記内面は、前記内部空間に位置する流体内で前記第1断面と前記第2断面との間に入射する第1波の多重散乱(multiple scattering)の回数を増幅させるためのパターンが形成される多重散乱増幅領域を備え、前記パターンは、前記内面から予め設定した深さdを有する複数の溝が予め設定した間隔Λに配列されて形成される、パイプユニットが提供される。
【0041】
本発明の一実施例において、前記パターンの前記深さdおよび前記間隔Λは、前記第1波の波長λに基づいて決定されてもよい。
【0042】
本発明の一実施例において、前記パターンの前記深さdは、次の数式を満足するように決定されることができる。ここにおいて、nは、流体の屈折率である。
【0043】
本発明の一実施例において、前記パターンの前記間隔Λは、次の数式を満足するように決定されることができる。ここにおいて、θは、前記パターンによって散乱される前記第1波の散乱角である。
【0044】
本発明の一実施例において、前記ボディ部には、前記流体内で多重散乱され、出射される第2波を検出する検出部に案内する1つ以上の出射ホールが形成されてもよい。
【0045】
本発明の一実施例において、前記出射ホールが2つ以上存在する場合、前記出射ホールは、前記ボディ部の円周方向に沿って互いに異なる位置に配置することができる。
【0046】
本発明の一実施例において、第1断面を通して流入される流体が第2断面を通して排出されるように、前記第1断面と前記第2断面とを貫通する内部空間が形成されるボディ部を備え、前記内部空間に位置する流体内で前記第1断面と前記第2断面との間に入射する第1波の多重散乱(multiple scattering)の回数を増幅させるための多重散乱増幅領域を含むパイプユニットと、前記パイプユニットの前記流体に向かって前記第1波を照射する波源と、前記パイプユニットの外部に配置され、前記の照射された第1波が前記流体内で多重散乱されて発生するレーザースペックル(laser speckle)を予め設定した第1時点ごとに検出する検出部と、前記検出されたレーザースペックルを利用して前記検出されたレーザースペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、前記取得した時間的相関関係に基づいて前記流体内の不純物の存在をリアルタイム(real-time)で推定する制御部と、を含み、前記パイプユニットの前記ボディ部には、前記流体内で多重散乱され、出射される第2波を前記検出部に案内する1つ以上の出射ホールが形成される、不純物検出システムが提供される。
【0047】
本発明の一実施例において、前記ボディ部は、前記内部空間を囲む内面を備え、前記多重散乱増幅領域は、前記ボディ部の前記内面に備えられ、前記第1波の多重散乱(multiple scattering)の回数を増幅させるためのパターンが形成され、前記パターンは、前記内面から予め設定した深さdを有する複数の溝を予め設定した間隔Λで配列されるように形成されてもよい。
【0048】
本発明の一実施例において、前記パターンの前記深さdおよび前記間隔Λは、前記第1波の波長λに基づいて決定されてもよい。
【0049】
本発明の一実施例において、前記パターンの前記深さdは、次の数式を満足するように決定されることができる。
ここにおいて、nは、流体の屈折率である。
【0050】
本発明の一実施例において、前記パターンの前記間隔Λは、次の数式を満足するように決定されることができる。
ここにおいて、θは、前記パターンによって散乱される前記第1波の散乱角である。
【0051】
本発明の一実施例において、前記出射ホールから出射される前記第2波は、前記検出部により予め設定した測定速度以上に前記レーザースペックルを検出するために、1mW/cm以上のパワーの範囲を有することができる。
【0052】
本発明の一実施例において、前記検出部の前記測定速度は、前記流体が前記出射ホールを通過する時間が前記第1時点間の時間よりも大きくなるように設定されてもよい。
【0053】
本発明の一実施例において、前記出射ホールが2つ以上存在する場合、前記出射ホールは、前記ボディ部の円周方向に沿って互いに異なる位置に配置され、前記検出部は、前記出射ホールの数に対応するように備えることができる。
【0054】
本発明の一実施例において、前記第1波は200nm~1.8μmの波長範囲を有することができる。
【0055】
本発明の一実施例において、各々の培養物質を含み、複数の分割セルを備える試料配置部を用意するステップと、前記複数の分割セルに測定しようとするサンプルを分配するステップと、前記複数の分割セルに順次に波を照射するステップと、前記順次に照射される波に関連付けられ、各分割セルに収容されたサンプルから出射される個別の波の情報を順次的に検出するステップと、前記個別の波の情報を利用し、各分割セルにおける微生物の存在有無を判定するステップと、前記微生物が存在する分割セルの数を利用し、前記サンプル内の微生物の個体数を算出するステップとを含む、微生物個体数の計数方法を提供する。
【0056】
本発明の一実施例において、前記個別の波の情報は、前記複数の分割セルのそれぞれに収容されたサンプルから多重散乱(multiple scattering)されて発生するレーザースペックルを予め設定した時点ごとに検出することで取得した情報であることができる。
【0057】
本発明の一実施例において、前記微生物の存在有無を判定するステップは、前記検出されたレーザースペックルを利用して前記検出されたレーザースペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、前記取得した時間的相関関係に基づいて当該分割セルにおける微生物の存在有無を判定するステップであることができる。
【0058】
本発明の一実施例において、前記個別の波の情報は、当該分割セルから出射されるレーザースペックル中、第1時点で検出された前記レーザースペックルの第1画像情報と、第2時点で検出された前記レーザースペックルの第2画像情報と、第3時点で検出された前記レーザースペックルの第3画像情報とを含み、前記第1時点から前記第3時点は互いに異なる時点であり、前記微生物の存在有無を判定するステップにおいて、前記第1画像情報から前記第3画像情報の差を利用し、前記微生物の存在有無を判定することができる。
本発明の一実施例において、前記複数の分割セルは、マトリックス(matrix)形態に配列され、前記複数の分割セルの数は、前記のサンプル内に含まれる微生物の予想個体数よりも多いこともある。
【0059】
本発明の一実施例において、各々の培養物質を含み、測定しようとするサンプルが分配され、収容される複数の分割セルを備える試料配置部と、前記複数の分割セルに順次に波を照射する波源と、前記順次に照射される波に関連付けられ、各分割セルに収容されたサンプルから出射される個別の波の情報を順次的に検出する検出部と、前記検出された個別の波の情報を利用して各分割セルにおける微生物の存在有無を判定し、前記微生物が存在する分割セルの数を利用して前記サンプル内の微生物の個体数を算出する制御部とを含む微生物個体数の計数システムが提供される。
【0060】
本発明の一実施例において、前記個別の波の情報は、前記複数の分割セルのそれぞれに収容されたサンプルから多重散乱(multiple scattering)されて発生するレーザースペックルを予め設定した時点ごとに検出することで取得した情報であることができる。
【0061】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記検出されたレーザースペックルを利用して前記検出されたレーザースペックルの時間的相関関係を取得し、前記取得した時間的相関関係に基づいて当該分割セルにおける微生物の存在有無を判定することができる。
本発明の一実施例において、前記個別の波の情報は、当該分割セルから出射されるレーザースペックル中、第1時点で検出された前記レーザースペックルの第1画像情報と、第2時点で検出された前記レーザースペックルの第2画像情報と、第3時点で検出された前記レーザースペックルの第3画像情報とを含み、前記第1時点から前記第3時点は互いに異なる時点であり、前記制御部は、前記第1画像情報から前記第3画像情報の差を利用し、前記微生物の存在有無を判定することができる。
【0062】
本発明の一実施例において、前記複数の分割セルは、マトリックス(matrix)形態に配列され、前記複数の分割セルの数は、前記のサンプル内に含まれる微生物の予想個体数よりも多いこともある。
【0063】
本発明の一実施例において、内部に捕集液を収容する貯留槽と、前記貯留槽の一側に設けられ、外気を吸引して前記捕集液に案内する吸気流路と、前記貯留槽の他側に設けられ、前記貯留槽の空気を外部に排出する排気流路とを備える捕集ユニットと、前記捕集ユニットの前記捕集液に向かって波を照射する波源と、前記波が前記捕集液内で多重散乱されて発生する波のスペックルを時系列的に測定する画像センサーと、前記測定された波のスペックルの時間による変化に基づいて、前記捕集液内の微生物の存在を検出する制御部とを含む空気中の浮遊菌測定装置が提供される。
【0064】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記波のスペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、前記取得された時間的相関関係に基づいて、前記捕集液内の微生物の存在を検出することができる。
【0065】
本発明の一実施例において、前記捕集ユニットは、検出済みの前記捕集液が排出される捕集液排出管と、前記貯留槽に新たな捕集液が流入される捕集液流入管とをさらに備えることができる。
【0066】
本発明の一実施例において、前記空気中の浮遊菌測定装置は、前記捕集液流入管に設置され、前記捕集液流入管を選択的に開閉する第1バルブと、前記捕集液排出管に設置され、前記捕集液排出管を選択的に開閉する第2バルブとをさらに含み、前記制御部は、予め設定したプログラムにより、前記第1バルブまたは前記第2バルブの動作を制御することができる。
【0067】
本発明の一実施例において、前記空気中の浮遊菌測定装置は、前記貯留槽内の検出済みの前記捕集液を殺菌処理する殺菌ユニットをさらに含み、前記制御部は、前記捕集液の殺菌処理が完了した後、前記捕集液が排出されるように前記第2バルブの動作を制御することができる。
【0068】
本発明の一実施例において、前記空気中の浮遊菌測定装置は、前記吸気流路に設置され、前記吸気流路に流入される前記外気に含まれる一定の大きさ以上の物質をろ過するフィルタユニットをさらに含むことができる。
【0069】
本発明の一実施例において、前記捕集ユニットは、前記捕集液から出射される前記波の少なくとも一部を、前記捕集液へ反射させ、前記捕集液内の多重散乱の回数を増幅させる多重散乱増幅部をさらに備えることができる。
【0070】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記波のスペックルの時間による変化に基づいて、前記捕集液内に存在する微生物の種類や濃度を区別することができる。
【0071】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記時系列順に測定した前記波のスペックルの時間による変化に基づいて、微生物の分類基準を機械学習し、前記微生物の分類基準を利用して前記捕集液に存在する前記微生物の種類や濃度を区別することができる。
【0072】
本発明の一実施例において、波源と、前記波源から生成された波を第1経路または第2経路に転送する光学ユニットと、前記第1経路に配置され、固定された散乱媒体(static scattering medium)を含め、前記第1経路に沿って入射される第1波を散乱させ、第1スペックルを生成する第1スペックル生成ユニットと、前記第1スペックルを時系列順に検出する第1画像センサーと、前記第2経路に配置され、測定しようとする試料を含む試料収容ユニットと、前記試料から発生する光学信号を時系列順に検出する第2画像センサーと、前記検出された第1スペックルを利用して前記第1スペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、前記取得された第1スペックルの時間的相関関係に基づいて前記第2画像センサーの動作を制御する制御部とを含む光学検出システムが提供される。
【0073】
本発明の一実施例において、前記試料収容ユニットは、前記第2経路に沿って入射される第2波を散乱させて第2スペックルを生成する第2スペックル生成ユニットを含むことができる。
【0074】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記検出された第2スペックルを利用して前記検出された第2スペックルの時間的相関関係を取得し、前記取得した第2スペックルの時間的相関関係に基づいて、前記試料内の微生物の存在または前記微生物の濃度を推定することができる。
【0075】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記第1スペックルの時間的相関関係に基づいて前記第1波の性質変化を判定し、前記第1波の性質変化に応じて、前記第2画像センサーの動作を制御することができる。
【0076】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記第1スペックルの時間相関係数を計算し、前記第1スペックルの時間相関係数が予め設定した範囲に該当する場合のみ、前記第2画像センサーを動作させてもよい。
【0077】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記第1スペックルの時間相関係数を計算し、前記第1スペックルの時間相関係数を利用して前記第2画像センサーからの検出信号を補正(calibration)することができる。
【0078】
本発明の一実施例において、前記第1スペックル生成ユニットと、前記第2スペックル生成ユニットとは、一体に形成されてもよい。
【0079】
本発明の一実施例において、前記第2スペックル生成ユニットは、前記試料内の前記第2波の多重散乱の回数を増幅させるために、多重散乱物質(multiple scattering material)を含む多重散乱増幅部をさらに備えることができる。
本発明の他の実施例において、波源と、前記波源から生成された波を第1経路または第2経路に転送する第1光学ユニットと、前記第1経路に配置され、固定された散乱媒体(static scattering medium)を含め、前記第1経路に沿って入射される第1波を散乱させ、第1スペックルを生成する第1スペックル生成ユニットと、前記第2経路に配置され、測定しようとする試料を含め、前記第2経路に沿って入射される第2波を散乱させて第2スペックルを生成する第2スペックル生成ユニットと、前記第1光学ユニットと前記第2スペックル生成ユニットとの間に配置される第2シャッターと、前記第1スペックルまたは第2スペックルを時系列順に検出する画像センサーと、前記画像センサーによって検出された前記第1スペックルを利用して前記第1スペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、前記取得された第1スペックルの時間的相関関係に基づいて前記第2シャッターの動作を制御する制御部とを含む光学検出システムが提供される。
【0080】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記検出された第2スペックルを利用して前記検出された第2スペックルの時間的相関関係を取得し、前記取得した第2スペックルの時間的相関関係に基づいて、前記試料内の微生物の存在または前記微生物の濃度を推定することができる。
【0081】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記第1スペックルの時間的相関関係に基づいて前記第1波の性質変化を判定し、前記第1波の性質変化に応じて、前記第2シャッターの動作を制御することができる。
【0082】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記第1スペックルの時間相関係数を計算し、前記時間相関係数が予め設定した範囲に該当する場合のみ、前記第2スペックルを検出するように第2シャッターを開放してもよい。
【0083】
本発明の一実施例において、前記光学検出システムは、前記第1光学ユニットと前記第1スペックル生成ユニットとの間に配置される第1シャッターをさらに含み、前記制御部は、前記第2シャッターが開放される間に前記第1シャッターが閉鎖されるように、前記第1シャッターを制御することができる。
【0084】
本発明の一実施例において、前記第2スペックル生成ユニットは、前記試料内の前記第2波の多重散乱の回数を増幅させるために、多重散乱物質(multiple scattering material)を含む多重散乱増幅部をさらに備えることができる。
【0085】
本発明のまた他の実施例において、波源と、前記波源から生成された波を第1経路または第2経路に転送する光学ユニットと、前記第1経路に配置され、対照群試料を含め、前記第1経路に沿って入射される第1波を散乱させ、第1スペックルを生成する第1スペックル生成ユニットと、前記第1スペックルを時系列順に検出する第1画像センサーと、前記第2経路に配置され、測定群試料および培地を含め、第2経路に沿って入射される第2波を散乱させて第2スペックルを生成する第2スペックル生成ユニットと、前記第2スペックルを時系列順に検出する第2画像センサーと、前記検出された第1スペックルおよび前記検出された第2スペックルを利用して前記対照群試料の第1濃度および前記測定群試料の第2濃度を推定し、前記第1濃度および前記第2濃度を利用して前記測定群試料内の生菌の存在を判定する制御部とを含む光学検出システムが提供される。
【0086】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記検出された第1スペックルを利用して前記第1スペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得した後、前記第1スペックルの時間的相関関係を利用して前記対照群試料の第1濃度を推定し、前記検出された第2スペックルを利用して前記第2スペックルの時間的相関関係を取得した後、前記第2スペックルの時間的相関関係を利用して前記測定群試料の第2濃度を推定することができる。
【0087】
本発明の一実施例において、前記測定群試料は、前記対照群試料をm倍に希釈した試料であり、前記制御部は、前記第2濃度と前記第1濃度とが等しくなる成長時間を取得した後、前記成長時間を利用して前記測定群試料内の生菌および死菌の割合を導出することができる。
【0088】
本発明の一実施例において、前記第2スペックル生成ユニットは、前記試料内の前記第2波の多重散乱の回数を増幅させるために、多重散乱物質(multiple scattering material)を含む多重散乱増幅部をさらに備えることができる。
前述のこと以外の他の側面、特徴、および利点は、以下の図面、請求の範囲、および発明の詳細な説明から明らかになるだろう。
【0089】
[発明を実施するための形態]
以下に添付された図面を参照し、以下の実施例を詳細に説明する。図面を参照して説明するときには、同一または対応する構成要素は、同一の図面符号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0090】
本実施例は、様々な変形を加えることができ、特定の実施例を図面に例示して詳細な説明に詳細に説明する。本実施例の効果および特徴、さらに、それらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述されている内容を参照することで明確になるであろう。しかしながら、本実施例は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実現することができる。
【0091】
以下の実施例において、第1および第2などの用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用する。
以下の実施例において、単数の表現は、文脈上、明確に別の意味を意図しない限り、複数の表現を含む。
【0092】
以下の実施例において、「含む」、「有する」、および「備える」などの用語は、明細書に記載の特徴、または構成要素が存在することを意味し、1つ以上の他の特徴、または構成要素が付加される可能性を事前に排除するものではない。
【0093】
以下の実施例において、ユニット、領域、構成要素などの部が他の部の上にある場合、他の部のすぐ上にある場合だけでなく、それらの間に他のユニット、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0094】
以下の実施例において、「接続する」または「結合する」などの用語は、文脈上、明確に別の意味を意図しない限り、必ず両部材の直接的および/または固定的な接続または結合を意味するものではなく、2つの部材の間に他の部材が介在されることを排除するものではない。
【0095】
以下の実施例において、「含む」、「有する」、および「備える」などの用語は、明細書に記載の特徴、または構成要素が存在することを意味し、1つ以上の他の特徴、または構成要素が付加される可能性を事前に排除するものではない。
【0096】
図面において、説明の便宜のために、構成要素の大きさは拡大または縮小され得る。例えば、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示すものであり、以下の実施例は、図示に必ず限定されるものではない。
【0097】
以下において、まず、図1を参照し、本発明のカオス波センサーの原理について説明する。
【0098】
図1は、本発明の一実施例に係るカオス波センサーの原理を説明する図である。
ガラスのように、内部屈折率が均一な物質の場合は、光を照射したときに一定の方向に屈折する。 しかしながら、内部屈折率が不均一な物体にレーザーのような干渉光(coherent Light)を照射すると、物体の内部で非常に複雑な多重散乱(multiple scattering)が発生する。
【0099】
図1を参考すると、波源120から照射された光または波(以下、簡略化のために波という)の中、多重散乱によって複雑な経路に散乱される波の一部は、検査対象面を通過する。 検査対象面の複数のポイントを通過する波の間に互いに強め合う干渉(constructive interference)または弱め合う干渉(destructive interference)が発生し、このような波の強め合う干渉/弱め合う干渉は粒子パターン(スペックル)を発生する。
【0100】
本明細書において、このような複雑な経路で散乱される波を「カオス波(chaotic wave)」と命名し、レーザースペックルを用いてカオス波を検出することができる。
【0101】
図1の左側図面は、安定した媒質をレーザーで照射したときを示す図である。内部構成物質の動きがない安定した媒質を干渉光(例えば、レーザー)で照射したとき、変化のない安定したスペックルパターンを観測することができる。
【0102】
しかしながら、図1の右側図面のように、内部のバクテリアなど、内部構成物質の中で動きのある不安定な媒質を含んでいる場合は、スペックルパターンが変化する。
【0103】
すなわち、微生物の移動など、微生物の微細な生命活動によって、光の経路が時間に応じて微細に変化することができる。スペックルパターンは、波の干渉による現象であるため、微細な光の経路の変化によって、スペックルパターンの変化をもたらすことができる。これにより、スペックルパターンの時間経過による変化を測定することで、微生物の生命活動を迅速に測定することができる。このように、スペックルパターンの時間による変化を測定する場合、微生物の存在および濃度を確認することができ、さらには微生物の種類も確認することができる。
【0104】
本明細書において、このようなスペックルパターンの変化を測定する構成をカオス波センサー(chaotic wave sensor)と定義する。
【0105】
本明細書において、上記のようなカオス波センサーを利用し、安定した媒質の中に存在する微生物または不純物を検出することを基本思想とし、流体内の不純物の検出技術、微生物の個体数の計数技術、空気中の浮遊菌の測定技術、および波の補正技術など、様々な応用分野を有する光学検出システムの実施例について説明する。このとき、光学検出システムは、各実施例ごとに異なる名称で呼称されることができ、同一機能を行う構成要素を含む場合であっても、説明の便宜のために、他の名称または符号で明記する。ここにおいて、媒質は安定した(static)性質を有する任意の物質や状態(state)にも適用可能である。
【0106】
図2は、本発明の一実施例に係る不純物検出システム10を概略的に示す概念図であり、図3は、図2のII-II線に沿って切り取った断面図である。図4は、本発明の他の実施例に係る不純物検出システム10’を概略的に示す概念図である。
【0107】
図2および図3を参照すると、本発明の一実施例に係る流体内の不純物検出システム10は、パイプユニット1110と、波源1200と、検出部1300と、制御部1400とを備えることができる。
【0108】
パイプユニット1110は、第1断面A11および第2断面A21を備え、第1断面A11および第2断面A21を貫通して内部空間を形成する内面1101を含むボディ部1100を備えることができる。このとき、第1断面A11および第2断面A21は、互いに対向するように配置することができる。ボディ部1100は、例えば、円筒状に形成されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0109】
流体は、パイプユニット1110の第2断面A21を通して流入され、内部空間を経て、第1断面A11を通して排出されてもよい。本明細書において、流体は、液体または気体でもよく、予め設定した流速を有してもよい。パイプユニット1110は、ミネラルウォーターや飲料水などの液体の製造ラインのいずれか一部分に配置され、流体は、上記の第2断面A21を通して流入され、パイプユニット1110の内部空間を貫通した後、第1断面(A11)を通して排出されてもよい。例えば、流体の流速は、実際の工場環境の流速である4m/s~5m/sの範囲を有することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、水道管のように1m/s以下の流速を有することができる。
【0110】
他の実施例として、流体の流速は、検出部1300での測定条件に基づいて設定されてもよい。言い換えれば、実際の工場環境の流速が4m/s~5m/sであっても、不純物検出システム10は、パイプユニット1110の直前の流体の流速が検出部1300によって測定可能な速度になるように、予め設定した速度に減少されてもよい。
【0111】
本明細書において、不純物は、微生物のように人の目の可視限界を超える小さな大きさの物質であってもよい。一実施例として、不純物が微生物である場合、流体は、微生物が増殖可能な物質であってもよく、例えば、内部に散乱物質が含まれていない水であってもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、他の実施例として、流体は、内部に散乱物質が含まれるミルクのような物質であってもよい。また、他の実施例として、流体は空気であってもよい。
【0112】
流体は図示されていないが、流体供給ユニットによって、上記のパイプユニット1110に流入されてもよい。流体供給ユニットは、流体貯留槽や流体貯留槽に収容された流体に流力を提供するための油圧ポンプ、またはコンプレッサーなどの供給手段を含むことができる。流体は、供給手段によって一方向にパイプユニット1110を通過することができる。
【0113】
一実施例として、流体は、パイプユニット1110によって、第2断面A21の全面積を通して流入され、第1断面A11の全面積を通して流体が排出されることができる。言い換えれば、パイプユニット1110において、流体は、内部を満している状態で移動することができる。流体が上記のパイプユニット1110の断面積を100%満たしていない状態で移動する場合、流体の流れにより流体に波面が発生する。このような波面は、散乱体として作用することができ、検出部1300が不純物を検出するときのノイズ(noise)として作用することができる。したがって、パイプユニット1110は、このようなノイズを最小化するために、第1断面A11および第2断面A21の全面積を通して流体が排出されることができる。
【0114】
一方、パイプユニット1110のボディ部1100は、内面1101に形成された多重散乱増幅領域MSA1を備えることができる。多重散乱増幅領域MSA1には、パイプユニット1110の内部空間に位置する流体内で第1断面A11と第2断面A21との間に入射される第1波L11の多重散乱(multipile scattering)の回数を増幅させるためのパターンが形成されてもよい。
【0115】
多重散乱増幅領域MSA1において、パイプユニット1110の内部空間に入射され、流体を通過し、内面1101に向かって出射される第1波L11の少なくとも一部を再び流体内で散乱させることができる。このように散乱された第1波L11は、再び流体を通過し、内面1101の他側に出射されて散乱され、これらのプロセスによって、流体内で多重散乱の回数が増加されることができる。このとき、多重散乱増幅領域MSA1において、入射される第1波L11の波長λに基づいて形成されたパターンにより、多重散乱の回数が増幅されることができる。
【0116】
パターンは、内面1101からパイプユニット1110の外面に向かって凹面(concave)形状に形成される複数の溝(groove)gからなることができる。パターンは、内面1101から予め設定した深さdを有する複数の溝gを予め設定した間隔Λで配列して形成することができる。このとき、パターンの深さdおよび間隔Λは、第1波の波長λに基づいて決定されてもよい。
【0117】
具体的には、パターンの深さdは、下記の数式1を満足するように決定されることができる。
【数1】
ここにおいて、nは、パイプユニット1110の内部空間を通過する流体の屈折率であることができる。パターンの深さdが
よりも小さい場合に、内面1101に入射される第1波L11の反射率が高いので、意図する多重散乱の回数を増加させることが困難である。パイプユニット1110は、パターンが、上記の数式1を満足するように形成されることにより、内部空間における散乱率を増加させることができる。また、複数の溝gからなるパターンの深さdは、全てが同一である必要はなく、不規則に形成されても、各々の溝gの深さdが上記の数式1を満足すれば、十分な散乱率を確保することができる。このとき、パターンの深さdは、パイプユニット1110の断面の厚さを超えることはできない。
【0118】
また、パターンの間隔Λは、下記の数式2を満足するように決定されることができる。
【数2】
ここにおいて、θは、パターンによって散乱される第1波L11の散乱角であってもよい。また、溝gの間隔Λは、溝gによって形成される凹凸のピーク間の間隔であってもよい。散乱角θは、多重散乱増幅領域MSA1の面積および/または第1波L11のパワーによって決定されてもよい。散乱角θが大きい場合は、散乱角θが小さい場合に比べ、広い面積に第1波L11を散乱させることができるが、散乱された後、第1波L11のパワーは、散乱角θが小さい場合よりも減少されることができる。これらの関係を利用して測定する条件、例えば、パイプユニット1110の直径R1または波源1200から出射する第1波L11のパワーに応じて散乱角θを決定してもよい。
【0119】
一方、パターンは、一定の方向に配列される複数の溝gからなることができる。一実施例として、図面に示されているように、パターンは、パイプユニット1110の長さ方向に垂直な方向に延びる溝gを前記間隔Λで配列して形成することができる。他の実施例として、図示されてはいないが、パターンは、パイプユニット1110の長さ方向に沿って延びる溝gを前記間隔Λで配列して形成することができる。また他の実施例としては、パターンは、パイプユニット1110の長さ方向に沿って延びて配列される第1溝および前記第1溝と重なるように形成され、パイプユニット1110の長さ方向に垂直な方向に延びて配列される第2溝からなることもできる。
【0120】
このとき、多重散乱増幅領域MSA1は格子状に形成されたパターンからなることもできる。円周方向に沿って延びる複数の溝gがパイプユニット1110の長さ方向に沿って配列される場合、入射される第1波L11は、入射角度によって差はあるが、ほとんどのパイプユニット1110の長さ方向に散乱される。また、長さ方向に沿って延びる複数の溝gがパイプユニット1110の円周方向に沿って配列される場合、入射される第1波L11は、ほとんどのパイプユニット1110の円周方向に散乱される。言い換えれば、第1波L11を散乱させ、パイプユニット1110の断面積の多重散乱の回数を増幅しようとする場合は、溝gを円周方向に沿って配列するように形成し、パイプユニット1110の長さ方向に多重散乱の回数を増幅しようとする場合は、溝gを長さ方向に沿って配列するように形成することができる。また、パターンは、互いに異なる方向に交差する溝からなることで、複数の方向に多重散乱の回数が増幅され、パイプユニット1110の断面積および長さ方向が第1波L11によって密接に満されることができる。これにより、不純物検出システム10は、流体内の不純物の検出確率を増大させることができる。
【0121】
一方、他の実施例として、多重散乱増幅領域MSA1は、多重散乱物質(multiple scattering material)を含むことができる。例えば、多重散乱物質は屈折率が大きいマイクロメートルサイズ以下の直径を有する粒子、例えば、酸化チタン(TiO)ナノ粒子を含むことができる。このとき、多重散乱増幅領域MSA1は、パイプユニット1110の本体の外表面を多重散乱物質でコーティングして形成することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、他の実施例として、多重散乱増幅領域MSA1は、パイプユニット1110の本体内に多重散乱物質が含まれることにより形成することができる。または、金属パイプのような不透明なパイプである場合、多重散乱増幅領域MSA1は、パイプユニット1110の本体の内表面を多重散乱物質でコーティングして形成することができる。
【0122】
他の実施例として、多重散乱増幅領域MSA1は、パイプユニット1110の本体に隣接して配置され、流体からパイプユニット1110の外部へ出射される波の少なくとも一部をパイプユニット1110の内部に反射する多重散乱増幅部(図示せず)を含むことができる。このとき、多重散乱増幅部(図示せず)によって、パイプユニット1110から出射される波は、パイプユニット1110と多重散乱増幅部(図示せず)との間の空間を少なくとも1回以上往復することができる。一方、多重散乱増幅領域MSA1は、パイプユニット1110の第1断面A11と第2断面A21との間の少なくとも一部の領域に形成され、例えば、全領域に配置されることができる。
【0123】
一方、多重散乱増幅領域MSA1の少なくとも一部は、流体から出射される第1波L11の全部を流体に反射する反射領域1105からなることができる。反射領域1105は、流体からパイプユニット1110の外部へ第1波L11が出射されることを最小化し、検出部1300の不純物検出率を増加させることができる。反射領域1105は、波源1200から第1波L11が入射される入射領域に対向するように配置することができる。反射領域1105は、波源1200から照射される第1波L11の全部を流体内に反射させることで、流体の多重散乱可能な波量を増加させることができ、これにより、検出部1300が検出する不純物の検出率を増幅させることができる。他の実施例として、出射ホール1103を除いた多重散乱増幅領域MSA1の全領域が反射領域からなることもできる。
【0124】
一方、パイプユニット1110は、流体内で多重散乱され、出射される第2波を検出する検出部1300に案内する1つ以上の出射ホール1103を備えることができる。後述する検出部1300は、出射ホール1103に隣接して配置され、出射ホール1103から出射される第2波L21を検出することができる。出射ホール1103は、図示されているように、ボディ部1100を貫通するホールからなることができる。
【0125】
このとき、図示されているように、パイプユニット1110は、出射ホール1103の一側に配置されるカバー部1109をさらに含むことができる。カバー部1109は、第2波L21が透過されるように、透明または半透明材料からなることができる。例えば、カバー部1109は、ガラスやプラスチック材によって形成されてもよく、柔軟性(flexible)を有するプレート状に形成することもできるが、フィルム(film)として製造されることができる。他の実施例として、カバー部1109は、出射ホール1103の一側ではなく、出射ホール1103の内部を埋める形態で形成することができる。
【0126】
一方、図面には、説明の便宜のために誇張的に表現したが、出射ホール1103は、パイプユニット1110の内部空間の散乱率を最大限に確保しつつ、第2波L21を出射する最小の直径R2を有することができる。
【0127】
一方、図4を参照すると、パイプユニット1110のボディ部1100には、2つ以上の出射ホール1103を形成することができる。出射ホール1103が2つ以上形成される場合、出射ホール1103は、ボディ部1100の円周方向に沿って互いに異なる位置に配置することができる。このような構造によって、後述する複数の検出部31、33、35により複数の第2波L21を案内することができる。
【0128】
以下、前述のパイプユニット1110を含む不純物検出システム10に関して、より詳細に説明する。
【0129】
水ばどの流体は、前述のように、内部に散乱を発生する均一な物質が含まれていないため、不純物である微生物Mが存在しない場合、レーザースペックルを発生することができない。ただし、本発明の一実施例に係る流体内の微生物の検出システム10は、前述のパイプユニット1110の多重散乱増幅領域MSA1を用いて第1波を多重散乱させ、安定したレーザースペックルパターンを発生することができる。流体内の微生物の検出システム10は、パイプユニット1110を移動する流体L内の微生物Mが存在する場合、微生物の動きによって、第1波の経路が微細に変化することができる。第1波の経路の微細な変化は、スペックルパターンに変化を発生させ、これにより、スペックルパターンの時間経過による変化を測定することで、流体L内の微生物Mの存在を迅速に検出することができる。
【0130】
図2および図3を再参照すると、波源1200は、パイプユニット1110の流体に向かって、第1波L11を照射することができる。波源1200としては、波(wave)を生成することができる全ての種類のソース装置を適用可能であり、例えば、特定の波長帯域の光を照射することができるレーザー(laser)であることができる。本発明において、波源の種類は限定されないが、ただし、以下には、説明の便宜のために、レーザーの場合を中心に説明する。
【0131】
例えば、流体のスペックルを形成するために、干渉性(coherence)が良いレーザーを波源1200として利用することができる。このとき、レーザー波源の干渉性を決定する波源のスペクトル帯域幅(spectral bandwidth)が短いほど測定精度を増加させることができる。すなわち、干渉長(coherence length)が長いほど測定精度を増加させることができる。これにより、波源のスペクトル帯域幅が既に定義された基準帯域幅の未満であるレーザ光が波源1200として用いられ、波源のスペクトル帯域幅が基準帯域幅よりも短いほど測定精度は増加することができる。例えば、以下の数式3の条件が維持されるように、波源のスペクトル帯域幅を設定してもよい。
【数3】
【0132】
数式3によると、レーザースペックルのパターンの変化を測定するために、基準時間毎に流体内に光を照射する時、波源1200のスペクトル帯域幅は、5nm未満を維持することができる。
【0133】
一実施例として、波源1200は、図示されているように、パイプユニット1110の外部に配置され、パイプユニット1110に向かって第1波L11を照射することができる。このとき、パイプユニット1110には、波源1200から照射される第1波L11を流体に転送するための、ボディ部1100を貫通する入射ホール(図示せず)を形成することができる。入射ホール(図示せず)は、前述の出射ホール1103と同一の直径を有するように形成することができ、出射ホール1103と同様にカバー部1109を配置してもよい。他の実施例として、波源1200は、パイプユニット1110の内面に配置されるか、またはパイプユニット1110のボディ部1100に埋設され、流体に向かって第1波L11を照射することができる。図面には、波源1200が1つ存在する場合を図示したが、必要に応じて、複数の波源1200を備えてもよい。
【0134】
一方、波源1200は、所定の第1パワーおよび波長λを有する第1波L11を出力することができる。
【0135】
図5は、流体が水の場合の各波長帯の吸光度である。
【0136】
図5を参照すると、第1波L11は、第1波長λ~第2波長λの範囲の波長λを有することができる。流体は、波を吸収することができる。吸光は、一般に、原子における電子のように、光子のエネルギーを物質が吸収することを意味し、このような波のエネルギーは、熱エネルギーのように流体の内部エネルギーに変換することができる。吸収が大きいほど流体内部の温度が増加し、第1波L11のパワーは、流体内部の温度が増加した分だけ減少する。流体を通過する間に第1波L11のパワーが減少される度合いが大きい場合、検出部1300での検出が困難になる。
【0137】
このような流体の吸収は、図5に示すように波長帯ごとに異なるため、第1波L11は、流体内の吸収を最小限に抑えることができる波長範囲を有するように設定することができる。例えば、流体が水の場合、図5に示すような波長帯ごとの吸収係数(absorption coefficient)を有することができる。本発明の一実施例に係る不純物検出システム10は、流体内の波の吸収を最小限にするために、流体の吸収係数が一定値以下になる波長範囲を有する第1波L11を利用することができる。例えば、水の吸収係数が1×10~1×10よりも小さい値を有するように、第1波L11は、200nm~1.8μmの波長範囲を有することができる。
【0138】
図2および図3を再参照すると、検出部1300は、照射される第1波L11が流体内で多重散乱されて発生するレーザースペックルを予め設定した時点ごとに検出することができる。ここにおいて、時点(time)とは、連続した時間の流れのいずれかの瞬間を意味し、時点(time)は、同一の時間間隔に予め設定することができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、任意の時間間隔に予め設定することもできる。
【0139】
検出部1300は、波源1200種類に対応する感知手段を含み、例えば、可視光の波長帯域の光源を用いる場合は、画像を撮像する撮像装置であるCCDカメラ(camera)を利用することができる。検出部1300は、少なくとも第1時点でのレーザースペックルを検出し、第2時点でのレーザースペックルを検出することで、これらの検出されたレーザースペックルを制御部1400に提供することができる。一方、第1時点および第2時点は、説明の便宜のために選択された1つの例に過ぎず、検出部1300は、第1時点および第2時点よりも多くの複数の時点でレーザースペックルを検出することができる。
【0140】
具体的には、流体の第1波L11が照射されると、入射された第1波L11は、多重散乱によってレーザースペックルを形成することができる。レーザースペックルは、光の干渉現象により発生するものであるので、流体内に微生物がない場合、多重散乱増幅領域により、時間に応じて常に一定の干渉パターンを表すことができる。これに対し、流体内に微生物Mが存在する場合、レーザースペックルは、微生物Mの動きにより、時間に応じて変化することができる。検出部1300は、これらの時間に応じて変化するレーザースペックルを予め設定した時点ごとに検出し、検出されたレーザースペックルを制御部1400に提供することができる。検出部1300は、微生物Mの動きを感知することができるほどの速度でレーザースペックルを検出することができ、例えば、1秒あたり25フレーム~30フレームの速度で検出することができる。
【0141】
検出部1300は、パイプユニット1110の出射ホール1103に隣接して配置され、波源1200から照射された第1波L11が多重散乱された後、出射ホール1103を通して出射される第2波L21を検出することができる。このとき、前記第2波L21は、前記検出部1300が予め設定した測定速度以上に前記レーザースペックルを検出するために、1mW/cm以上のパワーの範囲を有することができる。第2波L21の第2パワーが1mW/cmよりも小さい場合、高速に測定する検出部1300が第2波L21を十分に検出することができない。また、検出部1300は、流れる流体から不純物である微生物Mを検出するためには、高速測定が可能でなければならない。ここにおいて、高速測定とは、流体の流速よりも速くレーザースペックルを検出することを意味する。例えば、検出部1300の測定速度は、流体が出射ホール1103を通過する時間T1が、レーザースペックルを検出する第1時点間の時間T2よりも大きくなるように設定されればよい。
【0142】
一方、波源1200から照射される第1波L11は、第1パワーを有し、パイプユニット1110で多重散乱されて出射される第2波L21は、第2パワーを有する。理想的には、第1波L11の第1パワーおよび第2波L21の第2パワーが同様になり、波源1200が1mW/cm以上のパワーで波を照射すればよいが、第1波L11の第1パワーは多重散乱プロセスで大幅に減少する。したがって、第2波L21の第2パワーは、第1波L11の第1パワーよりも小さくなるしかない。第2波L21の第2パワーは、パイプユニット1110の直径R1、第1波L11の第1パワーの大きさ、第1波L11の波長に対する流体の吸収の度合い、および出射ホール1103の直径R2に応じて異なってもよい。例えば、第2波L21の第2パワーは、第1波L11の第1パワーに比例し、パイプユニット1110の直径R1に反比例し、出射ホール1103の直径R2に比例することができる。
【0143】
一方、検出部1300として画像センサーが利用される場合、画像センサーの1画素(pixel)の大きさdがスペックルパターンの粒径(grain size)よりも小さいかまたは等しくなるように画像センサーを配置してもよい。例えば、以下の数式4の条件を満足するように、検出部1300に含まれている光学系に画像センサーを配置することができる。
【数4】
【0144】
数式4のように、画像センサーの1画素(pixel)の大きさdがスペックルパターンの粒径(grain size)以下でなければならないが、画素の大きさが小さすぎるとアンダーサンプリング(undersampling)が発生し、画素の解像度を活用することに困難がある。これにより、効果的なSNR(Signal to Noise Ratio)を達成するために、スペックル粒径(speckle grain size)に対して最大5個以下の画素が位置するように、画像センサーを配置してもよい。
【0145】
制御部1400は、検出されたレーザースペックルを利用し、検出されたレーザースペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得することができる。制御部1400は、取得した時間的相関関係に基づいて、流体内の不純物の存在をリアルタイム(real-time)で推定することができる。本明細書において、リアルタイム(real-time)とは、3秒以内に微生物Mの存在を推定することを意味し、好ましくは1秒以内に微生物Mの存在を推定することができる。
【0146】
一実施例として、制御部1400は、第1時点で検出されたレーザースペックルの第1画像情報と、第1時点とは異なる第2時点で検出された第2レーザースペックルの第2画像情報との差を利用し、微生物Mの存在を推定することができる。ここにおいて、第1画像情報および第2画像情報は、レーザースペックルのパターン情報および波の強度情報の少なくともいずれか1つであってもよい。一方、本発明の一実施例は、第1時点の第1画像情報と、第2時点の第2画像情報との差のみを利用するものではなく、これを拡張し、複数の時点で得た複数のレーザースペックルの画像情報を利用することができる。制御部1400は、予め設定した複数の時点ごとに生成されたレーザースペックルの画像情報を利用し、画像間の時間相関係数を計算することができ、時間相関係数に基づいて、流体内の微生物Mの存在を推定することができる。検出されたレーザースペックル画像の時間的相関関係は、以下の数式5を用いて計算することができる。
【数5】
数式5において、
は時間相関係数、
は正規化された光強度、(x、y)はカメラの画素座標、tは測定された時間、Tは合計測定時間、τはタイムラグ(time lag)を示す。
【0147】
数式5に基づいて時間相関係数を計算することができ、一実施例として、時間相関係数が予め設定した基準値以下に低下する分析を通して、微生物の存在を推定することができる。具体的には、時間相関係数が予め設定した誤差範囲を超え、基準値以下に低下する場合、微生物が存在すると推定することができる。
【0148】
図3を再参照すると、他の実施例として、不純物検出システム10’は、複数の検出部1310,1330,1350を備えることができる。前述のように、パイプユニット1110のボディ部1100には、複数の出射ホール1103を形成され、各々の出射ホール1103に対応する位置に、各々の検出部1300が位置することができる。
【0149】
パイプユニット1110に照射される第1波L11は、流体内で多重散乱された後、出射ホール1103を通して出射されるが、出射ホール1103の位置に応じて出射される第2波L21の第2パワーが変動されることができる。パイプユニット1110に照射される第1波L11は、多重散乱増幅領域MSA1におけるパターンの間隔Λおよび深さdに応じて散乱されるが、上記のパターンは、製造工程での公差や意図的なパターニングにより、不規則性を有する。したがって、第1波L11は、多重散乱増幅領域MSA1の流体内で規則に散乱されるのではなく不規則に散乱され、出射される位置に応じて、第2波L21の第2パワーが異なる。本発明の他の実施例に係る不純物検出システム10’は、互いに異なる位置に配置される複数の検出部1310,1330,1350を利用し、出射される第2波L21のレーザースペックルを検出することによって、安定的に不純物を検出することが可能である。
【0150】
具体的に、複数の検出部1310,1330,1350は、異なる第2パワーを有する第2波L21を検出することができる。例えば、第1検出部1310が第2-1パワーを有する第2波L21を検出し、第2検出部1330が第2-2パワーを有する第2波L21を検出し、第3検出部1350が第2-3パワーを有する第2波L21を検出することができる。第2-1パワー、第2-2パワー、第2-3パワーは、互いに異なる値であってもよい。理想的に、パイプユニット1110には、照射された第1波L11が多様な方向に多重散乱しながらパイプユニット1110の断面積を満たすので、いずれの方向でレーザースペックルを検出しても微細な大きさの微生物Mを効果的に検出することができる。
【0151】
ただし、実際の検出環境では、パイプユニット1110のパターンの度合いまたは流体の流速などの要因により、位置に応じて出射される第2波L21のパワーが異なる。もし、第1検出部1310のみを備える場合、第2-1パワーの第2波L21を検出することになるが、このとき、第1検出部1310に対応する位置は、第2波L21の陰影地域になり、検出力が低下する。不純物検出システム10’は、複数の出射ホール1103を備え、様々な方向に複数の検出部1310,1330,1350を配置することで、相補的な検出が可能である。制御部1400は、第1検出部から第3検出部1310,1330,1350から検出された値を利用し、不純物を検出することができる。例えば、制御部1400は、第1検出部から第3検出部1310,1330,1350から検出されたレーザースペックルの平均情報を不純物検出に活用することができる。
【0152】
このとき、出射ホール1103が2つ以上存在する場合には、出射ホール1103は、ボディ部1100の互いに異なる位置に配置され、検出部1310,1330,1350は、出射ホール1103の数に対応するように備えてもよい。不純物検出システム10’において、検出部1310,1330,1350を同一の円周上でありかつ互いに異なる位置に配置することで、パイプユニット1110の同じ断面を微生物Mが通過する場合、これを同時に検出することができる。また、複数の出射ホール1103を備える場合、いずれか1つの出射ホール1103は、波源1200から第1波L11が入射される入射位置と同一の円周上に配置することができる。上記の1つの出射ホール1103の以外の出射ホール1103は、波源1200とは異なる円周上に配置することができる。例えば、図示のように、複数の出射ホール1103は、互いに異なる円周上に、パイプユニット1110の長さ方向に対して重ならないように配置することができる。
【0153】
一方、不純物検出システム10は、流体内の不純物が一定の濃度範囲内に存在する場合には検出可能である。不純物検出システム10は、流体内の不純物の濃度を推定し、流体の濁度を測定する機能も行ってもよい。一般的な濁度測定装置は、10cfu/ml以下の不純物濃度を測定することが困難である。しかしながら、本発明の一実施例に係る不純物検出システム10は、下記のように不純物の濃度を判定する方法を通して、10cfu/ml以下の不純物濃度も測定が可能である。ここにおいて、不純物は、微生物に限定されない。不純物検出システム10は、増幅された第1波L11の多重散乱の回数により1×10cfu/mlでも検出可能である。また、不純物検出システム10は、9×10cfu/mlの範囲に不純物が存在する場合でも検出可能である。これを濁度範囲に換算すると、不純物検出システム10は、0~30の範囲の濁度(OD(optical density))を有する流体内の不純物を検出することができる。
【0154】
以下では、説明の便宜のため、不純物が微生物である場合を中心に、制御部1400がレーザースペックルを利用して微生物の濃度を判定する方法について具体的に説明する。
【0155】
制御部1400は、基準時間ごとに測定されたレーザースペックル画像を対象に、レーザースペックルの光強度(intensity)に対する標準偏差を計算することができる。流体内を含まれた微生物が継続的に動くことで、強め合う干渉および弱め合う干渉が前記動きに対応して変化することができる。このとき、強め合う干渉および弱め合う干渉が変化することに応じて、光強度の度合いが大きく変化することができる。制御部1400は、光強度の変化の度合いを表す標準偏差を得て微生物を検出することができ、それらの分布を測定することができる。
【0156】
例えば、制御部1400は、所定の時間ごとに測定されたレーザースペックル画像を合成し、合成された画像からレーザースペックルの時間による光強度の標準偏差を計算することができる。レーザースペックルの時間による光強度の標準偏差は、以下の数式6に基づいて計算することができる。
【数6】
【0157】
数式6において、Sは標準偏差、(x、y)はカメラの画素の座標、Tは合計測定時間、tは測定された時間、Itはt時間に測定された光の強度、
は時間による平均光強度を示すことができる。
【0158】
微生物の動きに応じて強め合う干渉および弱め合う干渉のパターンが変化し、数式6に基づいて計算された標準偏差値が大きくなるので、これに基づいて微生物の濃度を測定することができる。しかしながら、本発明は、上記の数式6によって微生物の濃度を測定する方法を限定するものではなく、検出されたレーザースペックルの差を利用する任意の方法であれば微生物の濃度を測定することができる。
【0159】
また、制御部1400は、第2レーザースペックルの光強度の標準偏差値の大きさと微生物濃度との線形的な関係に基づいて、流体に含まれた微生物の分布、すなわち濃度を推定することができる。
【0160】
一方、図6aおよび図6bは、本発明の他の実施例に係る不純物検出システムを概略的に示す概念図である。
【0161】
図6aおよび図6bを参照すると、不純物検出システムは、流体で散乱された第1波の信号を波源1200の第1波が流体によって散乱される前の第2波の信号に復元および変調する光学部1550をさらに含むことができる。このとき、光学部1550は、空間光変調部(SLM(Spatial Light Modulator))551と、検出部1300とを含むことができる。光学部1550は、測定対象から散乱された波が入射されると、散乱された波の波面を制御し、再び散乱される前の波(光)に復元し、検出部1300に提供することができる。
【0162】
空間光変調部1551には、試料からの波(光)が入射されてもよい。空間光変調部1551は、試料から散乱された波の波面を制御し、レンズ1552に提供することができる。レンズ1552は、制御された光を集約し、再び検出部1300に提供することができる。検出部1300は、レンズに集約された波を感知し、散乱される最初の波源から出力された波に復元して出力することができる。
【0163】
ここにおいて、光学部1550は、安定した媒質、すなわち、流体内に微生物が存在しない場合、流体から散乱された第1波の信号を散乱される前の波に復元することができる。しかしながら、流体内に微生物Mが存在する場合、微生物の動きにより、第1波の信号が変化するので、位相制御波面を感知することができなくなる。これによって、位相共役波面を有する第2波の信号に変調することができない。前述の光学部1550を含む不純物検出システムは、このような第2波の信号の差を利用し、より微細に不純物の存在を推定することができる。
【0164】
図7は、本発明の一実施例に係る微生物個体数の計数システムを説明するために概略的に示す概念図である。図8図7のIII-III線に沿って切り取った断面図である。
【0165】
図7および図8を参照すると、本発明の一実施例に係る微生物個体数の計数システム20は、試料配置部2100と、波源2200と、検出部2300と、制御部2400とを備えることができる。
【0166】
本発明に使用される用語、「微生物」は、L-アミノ酸のように有用な標的物質の生産能を有する原核微生物または真核微生物を意味する。例えば、増加した細胞内ATP濃度を有する微生物は、エシェリキア属(Escherichia sp.)、エルウィニア属(Erwinia sp.)、セラチア属(Serratia sp.)、プロビデンシア属(Providencia sp.)、コリネバクテリウム属(Corynebacteria sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、レプトスピラ属(Leptospira)、サルモネラ属(Salmonellar sp.)、ブレビバクテリア属(Brevibacteria sp.)、ヒフォモナス属(Hyphomonas sp.)、クロモバクテリウム属(Chromobacterium sp.)、ノカルディア属(Norcardia)、あるいはかび(fungi)または酵母(yeast)に属する微生物であってもよい。具体的には、前記微生物は、エシェリキア属微生物であってもよい。
【0167】
または、微生物は、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌属(Staph. Coagulase negative)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staph. aureus)、連鎖球菌種(Streptococcus spp.)、ストレプトコッカス・ビリダンス群(Streptococcus viridans group)、腸球菌種(Enterococcus spp.)、コリネバクテリウム菌種(Corynebacterium spp.)、エアロコッカス菌種(Aerococcus spp.)、ミクロコッカス菌種(Micrococcus spp.)、ペプトストレプトコッカス菌種(Peptostreptococcus spp.)、乳酸球菌種(Lactococcus spp.)、ロイコノストック菌種(Leuconostoc spp.)、Tothia spp. 、双子菌種(Gemella spp.)、アルカリゲネス菌種(Alcaligenes spp.)、アルテルナリア菌種(Alternaria spp.)、フラボバクテリウム菌種(Flavobacterium spp.)、バシラス菌種(Bacillus spp.)、アクロモバクター菌種(Achromobacter spp.)、アシネトバクター菌種(Acinetobacter spp.)、アクチノバチルス菌種(Actinobacillus spp.)、アルカリゲネス菌種(Alcaligenes spp.)、カンピロバクター菌種(Campylobacter spp.)、エドワードシエラ菌種(Edwardsiella spp.)、エールリヒア菌種(Ehrlichia spp.)、エンテロバクター菌種(Enterobacter spp.)、エウィンゲラ菌種(Ewingella spp.)、フラボバクテリア属(Flavobacteria)、ハフニア菌種(Hafnia spp.)、クレブシエラ菌種(Klebsiella spp.)、クルイベラ菌種(Kluyvera spp.)、レジオネラ菌種(Legionella spp.)、モラクセラ菌種(Morxella spp.)、モルガネラ菌種(Morganella spp.)、ナイセリア菌種(Neisseria spp.)、パスツレラ菌種(Pasteurella spp.)、プレボテラ菌種(Prevotella spp.)、プロテウス菌種(Proteus spp.)、プロビデンシア菌種(Providencia spp.)、シュードモナス菌種(Pseudomonas spp.)、ラーネラ菌種(Rahnella spp.)、サルモネラ菌種(Salmonella spp.)、セラチア菌種(Serratia spp.)、赤痢菌種(Shigella spp.)、スフィンゴバクテリウム菌種(Sphingobacterium spp.)、ビブリオ菌種(Vibrio spp.)、エルシニア菌種(Yersinia spp.)、ナイセリア菌種(Neisseria spp.)、キンゲラ菌種(Kingella spp.)、カルジオバクテリウム属(Cardiobacterium)、非結核性抗酸菌(NTB:non-Tuberculosis mycobacteria)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、および鳥型結核菌(Mycobacterium avium)からなる群より選択される細菌を含むことができる。さらに具体的に、前記微生物は大腸菌であってもよい。しかしながら、本発明の技術的思想はこれに限定されず、他の微生物をさらに含むことができる。
【0168】
試料配置部2100は、測定しようとするサンプルを分配し、収容する複数の分割セル2110を備えることができる。このとき、複数の分割セル2110のそれぞれには、微生物培養のための培養物質2120を含むことができる。培養物質2120は、計数しようとする微生物の種類に対応され、当該微生物を効果的に培養することができる物質を含むことができる。
【0169】
培養に使用される培養物質2120を含む培地は、特定の微生物の要求条件を適切に満足しなければならない。様々な微生物の培養培地は、例えば、文献(”Manual of Methods for General Bacteriology” by the American Society for Bacteriology、Washington DC、USA、1981年)に記載されている。それらの培地は、多様な炭素源、窒素源、および微量元素成分を含む。炭素源は、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、果糖、麦芽糖、澱粉および纎維素のような炭水化物;大豆油、ひまわりオイル、ひまし油(castor oil)およびココナッツオイル(coconut oil)のような脂肪;パルミチン酸、ステアリン酸(stearic acid)およびリノール酸(linoleic acid)のような脂肪酸;グリセロールおよびエタノールのようなアルコール、および酢酸のような有機酸;を含むことができ、それら炭素源は、単独にまたは組み合わされて使用されるが、それらに限定されるものではない。窒素源としては、ペプトン(peptone)、酵母抽出液(yeast extract)、肉汁(gravy)、麦芽抽出液(malt extract)、とうもろこし浸出液(CSL(corn steep liquor))および豆粉(bean flour)のような有機窒素源、および尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムのような無機窒素源を含み、それら窒素源は、単独でまたは組み合わせて使用されるが、それらに限定されるものではない。前記培地には、リン酸源として、追加してリン酸二水素カリウム(potassium dihydrogen phosphate)、リン酸水素二カリウム(dipotassium hydrogen phosphate)、および相応するナトリウム含有塩(sodium-containing salts)を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。 また、培地は、硫酸ンマグネシウム(magnesium sulfate)または硫酸鉄(iron sulfate)のような金属を含み、アミノ酸、ビタミン、および適する前駆体などが添加されることができる。
【0170】
また、培養液の好気性条件を維持するために、培養液内に、酸素、または酸素を含んだガス(例えば、空気)を培養液に注入さしてもよい。培養物質の温度は、一般に、20℃~45℃でもよく、具体的には、25℃~40℃でもよい。
【0171】
ここにおいて、サンプルS2は、コロニー数の計数のための希釈倍率に応じて希釈され、用意されてもよい。一般に、プレートに展開することができ、分離計測が可能な菌数として知られている数は、直径10cmのプレートの場合に、大腸菌のコロニー数として約1000個である。後述するが、本発明では、微生物をプレートに展開した後、コロニーを形成することなく、複数の分割セル2110に収容された各々の微生物を検出することができるので、計数可能な菌数は、サンプルS2の希釈倍率および/または分割セル2110の数に応じて異なり、上記の菌数よりも多い菌数を計数することができる。
【0172】
具体的に、複数の分割セル2110は、(n、m)のマトリックス(matrix)形態で備えられ、その数は、サンプルS2に含まれる微生物の予想個体数よりも多いことができる。後述するが、複数の分割セル2110には、サンプルS2が均一に収容され、サンプルS2は、一般にコロニー数の計数のための希釈倍率に応じて希釈されて用意されてもよい。例えば、複数の分割セル2110が(100、100)のマトリックスからなる場合、サンプルS2は、微生物の個体数が10を超えないように希釈されてもよい。または、複数の分割セル2110が(1000、1000)のマトリックスからなる場合、サンプルS2は、微生物の個体数が10を超えないように希釈されてもよい。
【0173】
一方、試料配置部2100は、分割セル2110に入射された波がサンプルS2内で多重散乱(multiple scattering)される回数を増幅させるための多重散乱増幅領域を含むことができる。例えば、試料配置部2100は、少なくとも下部領域に多重散乱物質(multiple scattering material)を含むように形成することができる。例えば、多重散乱物質は、酸化チタン(TiO)を含み、サンプルS2を通過して試料配置部2100に入射される波の少なくとも一部を反射することができる。多重散乱増幅領域によって、サンプルS2から多重散乱されて出射される波は、サンプルS2と多重散乱増幅領域との間の空間を少なくとも1回以上往復することができる。
【0174】
他の実施例として、微生物個体数計数システム20は、多重散乱物質T2が培養物質2120内に含まれるように構成することができる。図2には、培養物質2120とサンプルS2とが分離されているものとして示されているが、サンプルS2が分割セル2110内に収容されると、培養物質2120に混合されることができる。このとき、多重散乱物質T2は、微生物Mを取り囲むように配置され、入射される波を散乱させ、多重散乱の回数を増加させることができる。
【0175】
一方、また他の実施例として、微生物個体数計数システム20は、別の多重散乱増幅部(図示せず)をさらに含むことができる。多重散乱増幅部(図示せず)は、波源2200と試料配置部2100との間、および/または試料配置部2100と検出部2300との間の波の移動経路に備えられ、波の多重散乱の回数を増幅させることができる。多重散乱増幅部(図示せず)が波源2200と試料配置部2100との間に配置される場合、多重散乱増幅部によってサンプルS2を試料配置部2100に分配するために、脱着が可能な構造で形成することができる。例えば、多重散乱増幅部(図示せず)は、蓋のような構造で構成してもよい。また、多重散乱増幅部(図示せず)は、分割セル2110のそれぞれに対応するように備えられ、複数の分割セル2110の全体を覆う構造で形成することができる。
【0176】
一方、試料配置部2100は、各々の分割セル2110の側面に遮断領域2110Aを備え、各々の分割セル2110に入射される波が他の分割セル2110に流入されないように遮断することができる。本発明の一実施例に係る微生物個体数計数システム20は、複数の分割セル2110に、順次に波を照射し、これに対応して出射されるレーザースペックルを検出することを特徴とする。後述するが、このようなプロセスでは、複数の分割セル2110のそれぞれに微生物が存在するか否かを正確に検出するべきであるが、高速に検出する過程で、当該分割セル2110以外の他の分割セル2110から出射されるレーザースペックルによりその精度が低減される。これを防ぐために、試料配置部2100は、各々の分割セル2110の側面に遮断領域2110Aを備え、当該分割セル2110に入射される波が他の分割セル2110に流入され、干渉を起こさないようにすることができる。一実施例として、遮断領域2110Aは、反射特性を有する金属物質を含むことができる。
【0177】
一方、図8は、遮断領域2110Aが分割セル2110の側面に配置されることのみを示しているが、本発明の技術的思想は、これに限定されない。他の実施例として、遮断領域2110Aは、分割セル2110の下面にも配置することができる。このとき、検出部2300は、図8に示されたものとは違って、試料配置部2100の上部に配置され、出射されるレーザースペックルを検出することができる。または、検出部2300は、図7に示すように、試料配置部2100を基準に、波源2200に対向するように配置されるが、試料配置部2100の下面において遮断領域が形成されていない所定の貫通領域を通して出射されるレーザースペックルを検出することもできる。
【0178】
試料配置部2100は、図示していないが、複数の分割セル2110と同一形状に形成され、波の照射経路に位置する基準セル(図示せず)をさらに備えることができる。このとき、基準セル(図示せず)は、複数の分割セル2110と同一の大きさを有し、同一の種類および容量の培養物質を備えることができる。ただし、基準セル(図示せず)には、分割セル2110とは異なり、サンプルS2が収容されない。
【0179】
培養物質は、ある程度の流動性を有しているが、これは微生物の微細な動きによるレーザースペックルを検出するノイズ(noise)として作用することができる。このとき、複数の分割セル2110と共に試料配置部2100に備えられる基準セル(図示せず)は、サンプルS2が収容されていないが、培養物質を含んでいるので、もし試料配置部2100に微細な振動が発生し、複数の分割セル2110の培養物質が流動性を有するようになる場合、基準セル(図示せず)の培養物質も同一の流動性を有するようになる。このような微生物個体数計数システム20は、基準セル(図示せず)にも同様に波を照射し、これから検出されるレーザースペックルを基準値として設定することによりノイズを除去し、他の分割セル2110における微生物の存在有無を正確に区別することができる。
【0180】
図7および図8を再参照すると、波源2200は、上記の試料配置部2100の複数の分割セル2110に順次に波を照射することができる。波源2200としては、波(wave)を生成することができる全ての種類のソース装置を適用可能であり、例えば、特定の波長帯域の光を照射することができるレーザー(laser)であることができる。一方、波源2200は、モータ(motor)またはアクチュエータ(actuator)などの駆動装置に接続され、予め設定した時間間隔に基づいて、各分割セル2110に向かって順次に波を照射することができる。本発明において、波源の種類は限定されないが、ただし、以下には、説明の便宜のために、レーザーの場合を中心に説明する。
【0181】
例えば、複数の分割セル2110に収容されたサンプルS2にスペックルを形成するために、干渉性(coherence)が良いレーザーを波源2200として利用することができる。このとき、レーザー波源の干渉性を決定する波源のスペクトル帯域幅(spectral bandwidth)が短いほど測定精度を増加させることができる。すなわち、干渉長(coherence length)が長いほど測定精度を増加させることができる。これにより、波源のスペクトル帯域幅が既に定義された基準帯域幅の未満であるレーザ光が波源2200として用いられ、波源のスペクトル帯域幅が基準帯域幅よりも短いほど測定精度は増加することができる。
【0182】
一方、検出部2300は、順次に照射される波に関連付けられ、各分割セル2110に収容されたサンプルS2から出射される個別の波の情報を順次に検出することができる。このとき、個別の波の情報は、複数の分割セル2110のそれぞれに収容されたサンプルS2から多重散乱(multiple scattering)されて発生するレーザースペックルを予め設定した時点ごとに検出することで取得した情報であることができる。具体的に、個別の波の情報は、当該分割セル2110から出射されるレーザースペックル中、第1時点で検出されたレーザースペックルの第1画像情報と、第2時点で検出されたレーザースペックルの第2画像情報と、第3時点で検出されたレーザースペックルの第3画像情報とを含み、このとき、第1時点から第3時点は、互いに異なる時点であることができる。検出部2300は、1つの分割セル2110に対し、上記の第1~第3時点で検出したレーザースペックルに関する情報を制御部2400に提供することができる。このとき、第1時点から第3時点は、制御部2400がレーザースペックルの時間的相関関係を分析するための最小検出回数であり、検出部2300は、これよりも多くの複数の時点でレーザースペックルを検出することができる。
【0183】
ここにおいて、時点(time)とは、連続した時間の流れのいずれかの瞬間を意味し、時点(time)は、同一の時間間隔に予め設定することができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、任意の時間間隔に予め設定することもできる。検出部2300は、波源2200種類に対応する感知手段を含み、例えば、可視光の波長帯域の光源を用いる場合は、画像を撮像する撮像装置であるCCDカメラ(camera)を利用することができる。
【0184】
具体的には、1つの分割セル2110内に収容されたサンプルS2に波が照射されると、入射された波は、多重散乱によってレーザースペックルを形成することができる。レーザースペックルは、光の干渉現象により発生するものであるので、サンプルS2内に微生物がないと、多重散乱増幅領域により、時間に応じて常に一定の干渉パターンを表すことができる。これに対し、サンプルS2内に微生物Mが存在する場合、レーザースペックルは、微生物Mの動きにより、時間に応じて変化することができる。検出部2300は、これらの時間に応じて変化するレーザースペックルを予め設定した時点ごとに検出し、検出されたレーザースペックルを制御部2400に提供することができる。検出部2300は、微生物Mの動きを感知することができるほどの速度でレーザースペックルを検出することができ、例えば、1秒あたり25フレーム~30フレームの速度で検出することができる。
【0185】
制御部2400は、検出された個別の波の情報を利用し、各分割セル2110における微生物Mの存在有無を判定し、微生物Mが存在する分割セル2110の数を利用して全てのサンプルS2内の微生物の個体数を算出することができる。具体的には、制御部2400は、検出されたレーザースペックルを利用して検出されたレーザースペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、取得した時間的相関関係に基づいて当該分割セル2110における微生物Mの存在有無を判定することができる。制御部2400は、取得した時間的相関関係に基づいて、各分割セル2110内の微生物の存在をリアルタイム(real-time)で推定することができる。本明細書において、リアルタイム(real-time)とは、3秒以内に微生物Mの存在を推定することを意味し、好ましくは1秒以内に微生物Mの存在を推定することを意味する。
【0186】
一実施例として、制御部2400は、1つの分割セル2110に照射された波により、互いに異なる時点でサンプルS2から出射されるレーザースペックルを利用し、微生物の存在有無を推定することができる。例えば、図7において、(1,1)の分割セルに第1波S12が照射されると、第1波S12により多重散乱され、出射される第1レーザースペックルP12の時間的相関関係を取得し、(1,1)の分割セルにおける微生物Mの存在有無を推定することができる。このとき、制御部2400は、第1時点で検出された第1レーザースペックルP12の第1画像情報と、第2時点で検出された第1レーザースペックルP22の第2画像情報と、第3時点で検出された第1レーザースペックルP32の第3画像情報との差を利用し、微生物Mの存在を推定することができる。
【0187】
ここにおいて、第1画像情報~第3画像情報は、レーザースペックルのパターン情報および波の強度情報の少なくとも1つであることができる。一方、本発明の一実施例は、少なくとも互いに異なる時点で検出されたレーザースペックルの3つの画像情報の間の差を利用することであるが、これを拡張し、複数の時点で得た複数のレーザースペックルの画像情報を利用することができる。制御部2400は、予め設定した複数の時点ごとに生成されたレーザースペックルの画像情報を利用し、画像間の時間相関係数を計算することができ、時間相関係数に基づいて、当該分割セル2110内の微生物Mの存在を推定することができる。
【0188】
以下、前述の微生物個体数計数システム20を利用して、微生物の個体数を計数する方法について具体的に説明する。
【0189】
図9は、本発明の一実施例に係る微生物個体数の計数方法を順次に示したフローチャートであり、図10および図11は、微生物個体数の計数方法を説明する図である。
【0190】
図9図11を参照すると、本発明の一実施例に係る微生物個体数の計数方法において、まず、前述の試料配置部2100を設けることができる(S100)。試料配置部2100は、その各々が培養物質を含む複数の分割セル2110を備えることができる。
【0191】
以後、測定しようとするサンプルS2を所定の希釈倍率で希釈し、複数の分割セル2110に分配する(S200)。このとき、複数の分割セル2110の大きさは、同様に構成され、サンプルS2は、均一に分配されることができる。サンプルS2は、微生物Mの予想個体数が複数の分割セル2110の数よりも少なくなるように希釈されるので、均一に分配される場合には、図4に示されたように、各分割セル2110には、微生物Mが存在するか、または存在しない場合もある。
【0192】
以後、波源2200によって、複数の分割セル2110に順次に波を照射し、順次に照射される波に関連付けられ、各分割セル2110に収容されたサンプルS2から出射される個別の波の情報を順次に検出することができる(S300)。例えば、図示されているように、複数の分割セル2110が(n、m)のマトリックス形態で配列される場合、各列に沿って順次にスキャンする方式で波を照射することができる。このとき、検出部2300は、照射される波に関連付けられ、各分割セル2110で出射される個別の波の情報を検出する。個別の波の情報は、前述のように、当該分割セル2110において、異なる時点で検出されたレーザースペックルの複数の画像情報であることができる。
【0193】
制御部2400は、個別の波の情報を利用し、各分割セル2110における微生物Mの存在有無を判定することができる(S400)。例えば、図4に示すように、(1,1)の分割セルには微生物Mが存在し、(2,1)の分割セルには微生物Mが存在しない場合、制御部2400は(1,1)の分割セルを1として定義し、(2,1)を0として定義することができる。このような微生物Mの存在有無の判定は、順次に照射された波の照射経路に沿って、(1、1)の分割セルから(n、m)の分割セルまで行うことができる。
【0194】
全ての分割セル2110における微生物Mの存在有無に対する判定が完了すると、制御部2400は、微生物Mが存在する分割セルの数を利用して全てのサンプルS2内の微生物の個体数を算出することができる。言い換えれば、全体の分割セル2110の中で、前記1として定義された分割セルの数を算出することで、全てのサンプルS2内に含まれる微生物の個体数を算出することができる。
【0195】
図12は、本発明の他の実施例に係る微生物個体数計数システム20-1を概略的に示す概念図である。
【0196】
図12を参照すると、本発明の他の実施例に係る微生物個体数計数システム20-1は、波源2200から照射される波を複数の分割セル2110に順次に照射するために、波路変更部2210をさらに備えることができる。言い換えれば、波源2200から複数の分割セル2110に直接に波を照射するものではなく、波路変更部2210を利用し、複数の分割セル2110に波を照射することができる。本発明の他の実施例は、波の照射方式を除き、他の構成要素が一実施例と同様であるので、説明の便宜のために重複する説明は省略する。
【0197】
波路変更部2210には、波源2200から波が入射されることができる。波路変更部2210は、マイクロミラー(micro mirror)からなることができる。波路変更部2210は、反射面を備え、入射される波を複数の分割セル2110に向かって反射することができる。反射面は、屈折力のない平面として示しているが、本発明はこれに限定されない。波路変更部2210は、駆動制御部(図示せず)によって微細駆動されることができる。
【0198】
他の実施例として、波路変更部2210は、制御部2400によって微細駆動され、これにより、複数の分割セル2110に順次に波を照射することができる。このとき、制御部2400は、波路変更部2210から照射される波の順序に関連付けられ、当該分割セル2110から出射されるレーザースペックルを検出するように検出部2300も制御することができる。
【0199】
波路変更部2210を構成するマイクロミラーとして、電気的制御によって反射面の力学的変位を発生させる様々な構成を採用することができ、例えば、一般に知られているMEMS(micro electromechanical system)ミラー、DMD(digital micromirror device)素子などを採用することができる。波路変更部2210は、1つのマイクロミラーとして図示されているが、これは例示的なものであり、複数のマイクロミラーが2次元に配列された構成であってもよい。
【0200】
一方、波路変更部2210は、波の経路に配置されるミラー2215をさらに含み、複数の分割セル2110に照射される波の角度が均一になるように調節することができる。言い換えれば、波路変更部2210は、マイクロミラーを利用し、複数の分割セル2110で波を照射する場合、分割セル2110の位置に応じて波の入射角度が変化することができる。これにより、サンプルS2内で多重散乱される度合いが複数の分割セル2110の位置に応じて異なり、正確な比較評価が困難になる場合があるので、ミラー2215をさらに配置し、分割セル2110に入射される波の角度が均一になるように調節することができる。図面には、(1,1)の分割セル上に配置された1つのミラー2215のみが図示されているが、説明の便宜のために概略的に図示したものであり、分割セル2110のそれぞれの上部にミラーが配置され、分割セル2110に照射される波の角度を調節することができる。
【0201】
図13は、本発明の他の実施例に係る試料配置部2100-1を概略的に示す概念図である。
【0202】
図13を参照すると、他の実施例に係る試料配置部2100-1は、寒天プレート(agar plate)のような培養皿(petri dish)の形状を有する一実施例の試料配置部2100とは異なり、微細な流体チャネル2135に接続されるマルチウェル系のマイクロ流路チップ(microfluidics chip)の形状を有することができる。
【0203】
具体的に、試料配置部2100-1は、マルチウェル形状の複数の分割セル2110およびサンプルS2を投入することができる投入部2130を備え、複数の分割セル2110と投入部2130とは、微細流体チャネル2135によって連通することができる。試料配置部2100-1において、サンプルS2が投入部2130に投入されると、微細流体チャネル2135を通してサンプルS2が均一に各分割セル2110に分配されることができる。
【0204】
他の実施例に係る試料配置部2100-1は、一実施例と同様に、複数の分割セル2110のそれぞれに微生物培養のための培養物質を含むことができる。また、試料配置部2100-1は、上面が光学イメージングのための透明な材料からなることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、前述のように、多重散乱増幅のため、上面には多重散乱増幅部を配置することができる。
【0205】
一方、試料配置部2100-1は、各々の分割セル2110の少なくとも側面に遮断領域を備え、各々の分割セル2110に入射される波が他の分割セル2110に流入されないように遮断することができる。遮断領域を通して、試料配置部2100-1は、分割セル2110の間の波の干渉を最小化し、個体数の計数の精度を向上させることができる。また、上記の試料配置部2100-1は、使い捨てのキットとして備えることができる。
【0206】
図14は、本発明の一実施例に係る空気中の浮遊菌測定装置30を概略的に示す図であり、図15は、図14の空気中の浮遊菌測定装置30の測定原理を説明する概念図である。図16は、図14の空気中の浮遊菌測定装置30のブロック図であり、図17a~図17dは、図14の空気中の浮遊菌測定装置30が空気中の浮遊菌を測定した後の捕集液の処理プロセスを説明する図である。
【0207】
従来の浮遊菌測定機(air sampler)の場合、空気中の浮遊菌を測定するために浮遊菌を含む空気を吸引した後、測定可能な量になるように培地に広げて(spreading)育成するが、このとき、培養時間が長いことから、空気中の浮遊菌を迅速に検出することが困難であった。
【0208】
本発明は、上記の問題点を解決するためのものであり、本発明の一実施例に係る空気中の浮遊菌測定装置30は、バクテリア、細菌のような微生物が浮遊する空気を捕集液に接触させ、空気中の浮遊菌を捕集液内に捕集した後、波のスペックルを利用して検出することで短時間に空気中の浮遊菌を検出することを特徴とする。
【0209】
まず、図14および図15を参照すると、本発明の一実施例に係る空気中の浮遊菌測定装置30は、捕集ユニット3200と、波源3100と、画像センサー3300と、制御部3400とを含むことができる。
【0210】
捕集ユニット3200は、捕集液を収容し、吸引された空気から浮遊菌を捕集する機能を行う。具体的に、捕集ユニット3200は、内部に捕集液Wを収容する貯留槽3201と、貯留槽3201の一側に設けられ、外気を吸引して捕集液Wに案内する吸気流路3211と、貯留槽3201の他側に設けられ、貯留槽3201の空気を外部に排出する排気流路3212とを備えることができる。
【0211】
ここにおいて、捕集液Wは、空気中の浮遊菌との接触によって浮遊菌を捕集するものであればいずれの種類の試料でもよい。言い換えれば、捕集液Wは、液体またはゲル(gel)の形態の試料であることができる。ただし、本発明において、空気中の浮遊菌の存在または濃度を正確に検出するため、捕集液Wは、空気と接触する前に、微生物のような不純物を含まない状態に用意されるか、後述のカオス波センサーによって、空気と接触する前に捕集液W内の微生物を含む不純物の濃度を予め測定し、予め記憶することができる。
【0212】
一実施例として、捕集液Wは、液体からなることができ、このとき、微生物の培養のための培養物質を含むことができる。捕集液Wは、様々な微生物培養物質を含むことができ、例えば、文献(”Manual of Methods for General Bacteriology” by the American Society for Bacteriology、Washington DC、USA、1981年)に記載されている。それらの培地は、多様な炭素源、窒素源、および微量元素成分を含む。炭素源は、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、果糖、麦芽糖、澱粉および纎維素のような炭水化物;大豆油、ひまわりオイル、ひまし油(castor oil)およびココナッツオイル(coconut oil)のような脂肪;パルミチン酸、ステアリン酸(stearic acid)およびリノール酸(linoleic acid)のような脂肪酸;グリセロールおよびエタノールのようなアルコール、および酢酸のような有機酸;を含むことができ、それら炭素源は、単独にまたは組み合わされて使用されるが、それらに限定されるものではない。 窒素源としては、ペプトン(peptone)、酵母抽出液(yeast extract)、肉汁(gravy)、麦芽抽出液(malt extract)、とうもろこし浸出液(CSL(corn steep liquor))および豆粉(bean flour)のような有機窒素源、および尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムのような無機窒素源を含み、それら窒素源は、単独でまたは組み合わせて使用されるが、それらに限定されるものではない。前記培地には、リン酸源として、追加してリン酸二水素カリウム(potassium dihydrogen phosphate)、リン酸水素二カリウム(dipotassium hydrogen phosphate)、および相応するナトリウム含有塩(sodium-containing salts)を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。 また、培地は、硫酸ンマグネシウム(magnesium sulfate)または硫酸鉄(iron sulfate)のような金属を含み、アミノ酸、ビタミン、および適する前駆体などが添加されることができる。
【0213】
また、捕集液Wの好気性条件を維持するために、捕集液W内に、酸素、または酸素を含んだガス(例えば、空気)が捕集液Wに注入されることができる。捕集液Wの温度は、一般に、20℃~45℃でもよく、具体的には、25℃~40℃でもよい。
【0214】
貯留槽3201の少なくとも一部は、波が貫通する材料からなることができる。例えば、貯留槽3201の少なくとも波が入射する領域または出射する領域は、ガラスのような材料で形成することができる。他の実施例として、波が貫通することができない材料、例えば金属材料によって貯留槽3201が形成される場合、波が入射する領域および出射す領域に対応して貫通孔を形成することができる。このとき、貯留槽3201は、貫通孔に配置されるカバー部(図示せず)をさらに含むことができる。カバー部(図示せず)は、波が透過されるように、透明または半透明材料からなることができる。例えば、カバー部(図示せず)は、ガラスやプラスチック材によって形成されてもよく、柔軟性(flexible)を有するプレート状に形成されてもよく、フィルム(film)状に製造されることができる。また他の実施例として、カバー部(図示せず)は、貫通孔の一側に配置される形態ではなく、貫通孔の内部を埋める形態に形成することもできる。
【0215】
一方、捕集ユニット3200は、捕集液Wから出射される波の少なくとも一部を、捕集液Wに反射させ、捕集液内の多重散乱の回数を増幅させる多重散乱増幅部MSをさらに備えることができる。例えば、多重散乱増幅部MSは、貯留槽3201に入射され、捕集液W内の浮遊菌によって散乱された後、貯留槽3201から出射される波の少なくとも一部を再び捕集液W内に散乱させることができる。このように散乱された波は、再び捕集液W内の浮遊菌により再び散乱されて出射され、このようなプロセスによって捕集液W内の多重散乱の回数を増加させることができる。
【0216】
一実施例として、多重散乱増幅部MSは、貯留槽3201と波源3100との間、および貯留槽3201と画像センサー3300との間に配置され、捕集液Wから多重散乱されて出射される波の少なくとも一部を反射することができる。言い換えれば、多重散乱増幅部MSによって、捕集液Wから多重散乱されて出射される波は、捕集液Wと多重散乱増幅部MSとの間の空間を少なくとも1回以上往復することができる。多重散乱増幅部MSは、多重散乱物質(Multiple scattering material)を含むように形成することができ、例えば、多重散乱物質は、酸化チタン(TiO)を含むことができる。
【0217】
他の実施例として、捕集ユニット3200は、貯留槽3201の少なくとも一部に多重散乱物質を含む多重散乱増幅領域を形成することができる。例えば、貯留槽3201の中で少なくとも捕集液Wが収容される空間に対応する領域において、多重散乱物質によってコーティング(coating)を行い、多重散乱増幅領域を形成することができる。しかしながら、本発明の技術的思想はこれに限定されず、波の入射部および出射部を除いて貯留槽3201の全領域に多重散乱増幅領域が配置することもできる。
【0218】
一方、吸気流路3211は、貯留槽3201の一側に配置され、外気を吸引して捕集液Wに案内する機能を行い、排気流路3212は、貯留槽の他側に配置され、貯留槽3201の空気を外部に排出する機能を行うことができる。吸気流路3211は、図示されているように、一端が捕集液Wに浸され、空気と捕集液Wとが直接に接触可能な形態に形成することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、吸気流路3211は、捕集液Wに外気を案内することであればいずれの形態でも形成可能である。
【0219】
一方、吸気流路3211には、フィルタユニット3240が設置されることができる。フィルタユニット3240は、吸気流路3211に流入される外気中に含まれる一定の大きさ以上の物質をろ過する機能を行うことができる。
【0220】
排気流路3212は、貯留槽3201の空気を外部に排出することができるように、捕集液Wを除いた貯留槽3201の収容空間に一端を配置することができる。外気は、吸気流路3211を通して捕集液Wに案内された後、捕集された浮遊菌を除いた残りの空気が捕集液Wから抜け出すようになるが、排気流路3212は、これらの空気を外部に排出する機能を行う。 図示されてはいないが、捕集ユニット3200は、排気流路3212を空気ポンプまたはコンプレッサーなどの手段に接続させ、貯留槽3201の内部の空気を外部に排出することができる。また、上記のプロセスにより貯留槽3201に圧力差を生成することで、捕集ユニット3200は、貯留槽3201の内部に空気を吸引することができる。
【0221】
捕集ユニット3200は、外部に貯蔵された捕集液Wを貯留槽3201に流入させるための捕集液流入管3221と、検出済みの捕集液Wを貯留槽3201から排出する捕集液排出管3222をさらに含むことができる。捕集液流入管3221および捕集液排出管3222は、図面に示されているように、貯留槽3201の下部に設置され、捕集液Wの流入と排出を容易にすることができる。
【0222】
一方、波源3100は、捕集ユニット3200の捕集液Wに向かって波を照射することができる。波源3100としては、波(wave)を生成することができる全ての種類のソース装置を適用可能であり、例えば、特定の波長帯域の光を照射することができるレーザー(laser)であることができる。本発明において、波源の種類は限定されないが、ただし、以下には、説明の便宜のために、レーザーの場合を中心に説明する。
【0223】
例えば、捕集液W内に波のスペックルを形成するために、干渉性(coherence)が良いレーザーを波源3100として利用することができる。
【0224】
画像センサー3300は、波が捕集液W内で多重散乱されて発生する波のスペックルを時系列的に測定することができる。言い換えれば、画像センサー3300は、波の出射路上に配置され、捕集液Wから出射される波を時系列順に撮像することで、複数の画像を取得することができる。画像センサー3300は、波源3100の種類に対応した感知手段を含み、例えば、可視光の波長帯域の光源を用いる場合は、画像を撮像する撮像装置であるCCDカメラ(camera)を利用することができる。
【0225】
ここにおいて、複数の画像のそれぞれは捕集液Wに入射される波に起因し、浮遊菌によって多重散乱(multiple scattering)されて発生するスペックル(speckle)の情報を含むことができる。言い換えれば、画像センサー3300は、照射された波が捕集液W内で多重散乱されて発生する波のスペックルを、予め設定した時点で検出することができる。ここにおいて、時点(time)とは、連続した時間の流れのいずれかの瞬間を意味し、時点(time)は、同一の時間間隔に予め設定することができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、任意の時間間隔に予め設定することもできる。
【0226】
画像センサー3300は、少なくとも第1時点の第1スペックル情報を含む第1画像を検出し、第2時点の第2スペックル情報を含む第2画像を撮像し、制御部3400に提供することができる。一方、第1時点および第2時点は、説明の便宜のために選択された1つの例に過ぎず、画像センサー3300は、第1時点および第2時点よりも多くの複数の時点で複数の画像を撮像することができる。画像センサー3300は、波が出射される経路に偏光板(polarizer)3305を設けることで、スペックルの形成のための干渉効率を最大化することが可能であり、不要な外部の反射光などを除去することができる。
【0227】
制御部3400は、測定された波のスペックルの時間による変化に基づいて、捕集液W内の浮遊菌、すなわち微生物の存在を検出することができる。一実施例として、制御部3400は、波のスペックルの時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、取得された時間的相関関係に基づいて、捕集液W内の微生物の存在を検出することができる。
【0228】
具体的に、制御部3400は、第1時点で検出された第1波のスペックルの第1画像情報と、第1時点とは異なる第2時点で検出された第2レーザースペックルの第2画像情報との差を利用し、微生物Mの存在を推定することができる。ここにおいて、第1画像情報および第2画像情報は、波のスペックルのパターン情報および波の強度情報の少なくともいずれか1つであってもよい。
【0229】
一方、本発明の一実施例は、第1時点の第1画像情報と、第2時点の第2画像情報との差のみを利用するものではなく、これを拡張し、複数の時点で得た複数の波のレーザースペックルの画像情報を利用することができる。制御部3400は、予め設定した複数の時点ごとに生成される波のスペックルの画像情報を利用し、画像間の時間相関係数を計算することができ、時間相関係数に基づいて、捕集液内の微生物Mの存在、さらには空気中の浮遊菌の存在を検出することができる。
【0230】
図16および図17を参照すると、本発明の一実施例に係る空気中の浮遊菌測定装置30は、殺菌ユニット3500をさらに含むことができる。
【0231】
殺菌ユニット3500は、貯留槽3201内の捕集液Wを殺菌処理することができる。殺菌ユニット3500は、捕集液W内の微生物を除去するものであればいずれの手段を採用することができる。例えば、殺菌ユニット3500は、紫外線(UV)ランプまたは一定以上の出力を有するレーザーの少なくともいずれか1つを含むことができる。または、殺菌ユニット3500は、電気分解を利用して殺菌することもできる。一方、他の実施例として、殺菌ユニット3500は、貯留槽3201内の捕集液Wを殺菌処理することではなく、捕集液排出管3222の排出路に配置され、排出される捕集液Wを殺菌処理することもできる。
【0232】
一方、空気中の浮遊菌測定装置30は、捕集液流入管3221に設置され、捕集液流入管3221を選択的に開閉する第1バルブ3231と、捕集液排出管3222に設置され、捕集液排出管3222を選択的に開閉する第2バルブ3232とをさらに含むことができる。このとき、制御部3400は、予め設定したプログラムにより、第1バルブ3231または第2バルブ3232の動作を制御することができる。
【0233】
具体的に図17aを参照すると、空気中の浮遊菌測定装置30は、捕集ユニット3200を利用し、空気中の浮遊菌を捕集液Wに捕集することができる。前述のように、空気中の浮遊菌測定装置30は、浮遊菌を吸引する前、捕集液Wに微生物が含まれていないように管理された捕集液Wを検出直前の貯留槽3201に流入させるか、または貯留槽3201に収容された捕集液Wを予め測定し、微生物を含む不純物の濃度を記憶することができる。外部に貯蔵された捕集液Wを貯留槽3201に流入させる場合、制御部3400は、第1バルブ3231が開放されるように制御することができ、一定量の捕集液Wを収容した後には、第1バルブ3231が閉鎖されるように制御することができる。以後、空気中の浮遊菌測定装置30は、吸引された外気と上記の捕集液Wとを接触させることで、外気内に含まれた浮遊菌を捕集することができる。
【0234】
図17bを参照すると、空気中の浮遊菌測定装置30は、捕集液W内の波を照射し、微生物Mの存在有無または濃度をリアルタイム(real-time)で検出することができるが、他の実施例としては、一定時間の間に、捕集液W内に微生物Mを培養した後、検出することもできる。もし、一定時間の間に捕集液W内で微生物Mを培養した後に測定する場合、空気中の浮遊菌測定装置30は、上記の時間を考慮し、検出された微生物Mの濃度から空気中の浮遊菌の実際濃度を推定することができる。
【0235】
図17bを参照すると、上記のような検出済みの捕集液Wは、殺菌ユニット3500によって殺菌処理することができる。これにより、空気中の浮遊菌測定装置30は、捕集液Wを殺菌処理し後に排出することで、汚染物の発生を最小限に抑えるだけでなく、より究極的には、貯留槽3201内の微生物を除去することで、繰り返す検出プロセスの精度を高めることができる。
【0236】
図17dを参照すると、殺菌処理が完了した場合、制御部3400は、第2バルブ3232が開放されるように制御し、貯留槽3201内の捕集液Wを外部に排出することができる上記のプロセスを繰り返すことで、空気中の浮遊菌測定装置30は、空気中の浮遊菌を繰り返して測定することができ、これらのデータは、外部サーバーに提供され、ビッグデータとして活用することができる。
【0237】
以下では、図面を参照し、前述の構成を有する空気中の浮遊菌測定装置30を含むネットワーク環境について説明する。このとき、機械学習を用いて空気中の浮遊菌の検出だけでなく、濃度や種類を区別する方法について説明する。
【0238】
図18は、本発明の一実施例に係るネットワーク環境の例を示す図である。
【0239】
図18のネットワーク環境1は、1つ以上の空気中の浮遊菌測定装置30と、ユーザー端末2と、サーバー3と、ネットワーク4とを含む例を示している。このような図18は、発明の説明のための一例であり、ユーザーの端末の数やサーバーの数は図18に限定されない。
【0240】
1つ以上の空気中の浮遊菌測定装置30を備えることができ、そのそれぞれが他の地域に配置され、上記の検出プロセスによって、各地域における空気中の浮遊菌を検出することができる。空気中の浮遊菌測定装置30は、通信網であるネットワーク4を利用し、サーバー3またはユーザー端末2に提供されることができる。このように提供されたデータを利用することにより、サーバー3は、地域ごとに空気中の浮遊菌情報、より具体的には、浮遊菌に関する防疫情報および地図を生成し、ユーザー端末2に提供することができる。
【0241】
ユーザー端末2は、コンピュータ装置で実装される固定式端末22であってもよく、または移動式端末21であってもよい。ユーザー端末2は、サーバー3を制御する管理者の端末であってもよい。ユーザー端末2は、例えば、スマートフォン(smart phone)、携帯電話、ナビゲ-ション、パソコン、ノートパソコン、デジタル放送用端末、PDA(Personal Digital Assistants)、PMP(Portable Multimedia Player)、タブレットPCなどがある。一例として、第1ユーザー端末21は、無線または有線通信方式を利用し、ネットワーク4を介して他のユーザーの端末22および/またはサーバー3と通信することができる。
【0242】
通信方式は限定されず、ネットワーク4が含み得る通信網(例えば、移動通信網、有線インターネット、無線インターネット、放送網)を活用する通信方式だけでなく、機器間の近距離無線通信も含むことができる。例えば、ネットワーク4は、PAN(personal area network)、LAN、(local area network)、CAN(campus area network)、MAN(metropolitan area network)、WAN、(wide area network)、BBN(broadband network)、インターネットなどのネットワーク中の1つ以上の任意のネットワークを含むことができる。また、ネットワーク4は、バスネットワーク、スターネットワーク、リングネットワーク、メッシュネットワーク、スター・バスネットワーク、ツリーまたは階層(hierarchical)ネットワークなどを含むネットワークトポロジのいずれかの1つ以上を含むことができるが、これに限定されない。
【0243】
サーバー3は、ユーザー端末2または空気中の浮遊菌測定装置30とネットワーク4を介して通信し、コマンド、コード、ファイル、コンテンツ、サービスなどを提供するコンピュータ装置や複数のコンピュータ装置によって実装されることができる。
【0244】
本発明の一実施例に係る空気中の浮遊菌測定装置30は、独立した構成で空気中の浮遊菌を捕集し、捕集液から出射される波のスペックルを測定した後、制御部3400により波のスペックルを利用して微生物の分類基準を学習し、学習した微生物の分類基準を利用して捕集液の浮遊菌を検出する機能を行うことができる。
【0245】
しかしながら、本発明の技術的思想はこれに限定されず、空気中の浮遊菌測定装置30は、検出データを外部のサーバー3に送信し、外部のサーバー3は、送信したデータを利用して微生物分類基準を機械学習した後、学習したアルゴリズムを空気中の浮遊菌測定装置30に提供することができる。空気中の浮遊菌測定装置30は、このように提供されたアルゴリズムおよび新規測定される波のスペックルに関するデータを利用し、空気中の浮遊菌の存在を検出したり、濃度や種類を区別することができる。以下では、説明の便宜のためにサーバー3で微生物の分類基準を機械学習する場合を中心に説明する。
【0246】
図19は、本発明の一実施例に係るサーバー3を概略的に示すブロック図である。
【0247】
サーバー3は、少なくとも1つ以上のプロセッサ(processor)に該当するか、または少なくとも1つ以上のプロセッサを含むことができる。これにより、サーバー3は、マイクロプロセッサや汎用コンピュータシステムなどのハードウェア装置に含まれた形態として駆動することができる。ここにおいて、「プロセッサ(processor)」は、例えば、プログラム内に含まれたコードまたはコマンドで表れる機能を行うために、物理的に構造化された回路を有する、ハードウェアに組み込まれたデータ処理装置を意味することができる。このように、ハードウェアに組み込まれたデータ処理装置の一例として、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、中央処理装置(CPU(Central Processing Unit))、プロセッサコア(Processor Core)、マルチプロセッサ(Multiprocessor)、ASIC、(Application‐Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの処理装置を網羅することができるが、本発明の範囲がこれに限定されない。
【0248】
図19に示されるサーバー3は、本実施例の特徴が不明確になることを防止するために、本実施例に関連する構成要素だけを図示したものである。したがって、図19に図示された構成要素に加えて、他の汎用構成要素も含まれるは、本実施例に関連する技術分野における通常の知識を有する者であれば理解するであろう。
【0249】
図19を参照すると、本発明の一実施例に係るサーバー3は、入出力インターフェース31と、受信部32と、プロセッサ33と、メモリ34とを含むことができる。
【0250】
メモリ34は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として、RAM、(random acess memory)、ROM(read only memory)、ディスクドライブなどの不揮発性の大容量記録装置(permanent mass storage device)を含むことができる。
【0251】
入出力インターフェース31は、入出力装置とのインターフェースのための手段であることができる。 例えば、入力装置はキーボードやマウスなどの装置を含み、そして出力装置はアプリケーションの通信セッションを表示するためのディスプレイなどの装置を含むことができる。他の例として、入出力インターフェース31は、タッチスクリーンのように入力および出力のための機能が1つに統合された装置とのインターフェースのための手段であることもできる。
【0252】
受信部32は、空気中の浮遊菌測定装置30から複数の画像を受信することができる。このとき、複数の画像とは、空気中の浮遊菌測定装置30の画像センサー3300で捕集液Wから出射される波を時系列順に撮像した画像であることができる。すなわち、受信部32は、有線または無線通信を利用する通信モジュールとして機能し、複数の画像を受けることができる。このとき、受信部32は、ネットワーク4を介して第1ユーザー端末21とサーバー3との通信のための機能を提供することができ、他のユーザーの端末(例えば、第2ユーザー端末22)、または他のサーバーとの通信のための機能を提供することができる。
【0253】
プロセッサ33は、基本的な算術演算、論理演算、および入出力操作を行うことで、コンピュータプログラムの命令を処理するように構成することができる。コマンドは、メモリ34または受信部32によって、プロセッサ33に提供されることができる。例えば、プロセッサ33は、メモリ34のような記録装置に記憶されたプログラムコードに基づいて、受信されるコマンドを行うように構成することができる。プロセッサ33は、学習部331と、検出部332と、判定部333とを含むことができる。
【0254】
検出部322は、受信部32によって受信した複数の学習画像から、時間による変化の特徴(feature)を抽出することができる。ここにおいて、複数の学習画像は、時間の間隔を置いて継続的に撮像された画像であり、時系列順に撮像した複数の学習画像の間には、時間(time)情報が含まれる。検出部322は、このような複数の学習画像から、時間による変化の特徴(feature)を抽出することができる。
【0255】
学習部331は、抽出された特徴に基づいて、捕集W内に存在する微生物の種類や濃度を区別する微生物の分類基準を学習することができる。学習部331は、深層学習(deep learning)に基づいて微生物の分類基準を学習し、深層学習は、様々な非線形変換手法の組み合わせにより、高いレベルの抽象化(abstractions)(大量のデータや複雑な資料中の重要な核心内容または機能を要約する作業)を試みる機械学習アルゴリズムのセットとして定義される。学習部331は、深層学習のモデルの中で、例えば、深層ニューラルネットワーク(DNN(Deep Neural Networks))、畳み込みニューラルネットワーク(CNN(Convolutional Neural Networks))、循環ニューラルネットワーク(RNN(Reccurent Neural Network))、および深層信頼ニューラルネットワーク(DBN(Deep Belief Networks))のいずれかを利用するものであることができる。
【0256】
一実施例として、学習部331は、前記受信した複数の学習画像の時間的相関関係(temporal correlation)に基づいて、分類基準を機械学習(machine learning)することができる。
【0257】
複数の学習画像は、前述のように、捕集液W内の微生物Mから多重散乱されて発生する波のスペックルの情報を含むことができる。図3を挙げて説明したように、捕集液W内に浮遊菌が存在する場合、微生物の生命活動により、スペックルは、時間に応じて変化することができる。また、このような時間によるスペックルの変化は、微生物の種類や濃度によって異なるので、学習部331は、スペックルの時間による変化を利用し、微生物の種類や濃度を分類する微生物の分類基準を学習することができる。
【0258】
図20は、本発明の一実施例に係る学習部331でスペックルの時間的相関関係を分析する方法を説明する図である。
【0259】
図20を参照すると、学習部331は、予め設定した複数の時点で生成されたスペックルの画像情報を利用し、前記数式3のように、画像間の時間相関係数を計算することができ、時間相関係数に基づいて、微生物の分類基準を学習することができる。図20に示すように、微生物の濃度が増加するほど、時間相関係数が基準値以下に低下する時間は短くなり、これを利用することで、時間相関係数を示すグラフの傾きの値を用いて微生物の濃度を分析することができる。 学習部331は、時間相関係数の傾きの値に対する分析を用いて、微生物の濃度を区別する微生物の分類基準を学習することができる。
【0260】
図21は、時間に応じて測定された波のスペックルの光強度の標準偏差分布を示す図である。
【0261】
図21を参照すると、学習部331は、基準時間ごとに測定した複数の学習画像を利用し、スペックルパターンの光強度(intensity)の標準偏差を計算することができる。試料内に存在する細菌および微生物が継続的に動くことで、強め合う干渉および弱め合う干渉が前記動きに対応して変化することができる。このとき、強め合う干渉および弱め合う干渉が変化することに応じて、光強度の度合いが変化することができる。学習部331は、光の強度の変化の度合いを表す標準偏差を得て、試料内で細菌および微生物がいる位置を分析し、細菌および微生物の分布を学習することができる。
【0262】
例えば、学習部331は、複数の学習画像のそれぞれから検出されたスペックルパターンの時間による光強度の標準偏差を計算することができる。スペックルの時間による光強度の標準偏差は、前述の数式6に基づいて計算することができる。
【0263】
細菌および微生物の動きに応じて強め合う干渉および弱め合う干渉のパターンが変化し、数式6に基づいて計算された標準偏差値が異なるので、これに基づいて微生物の濃度を測定することができる。学習部331は、スペックルパターンの光の強度の標準偏差値の大きさおよび細菌と微生物濃度との線形的な関係に基づいて、分類基準を学習することができる。
【0264】
以下では、学習部331が畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用して分類基準を学習する場合を重点に説明する。
【0265】
ここにおいて、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、最小限の前処理(prepocess)を使用するように設計された多層パーセプトロン(multilayer perceptrons)の一種である。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、入力データに対して畳み込みを行う畳み込み層を含み、画像に対してサブサンプリング(subsampling)を行うサブサンプリング層をさらに含み、当該データから特徴マップを抽出することができる。ここにおいて、サブサンプリング層とは、隣接するデータ間のコントラスト比(contrast)を向上させ、処理するべきデータの量を低減する層であって、最大プーリング(max pooling)、平均プーリング(average pooling)などを利用することができる。
【0266】
図22は、本発明の一実施例に係る畳み込みニューラルネットワークの例示図であり、図23および図24は、図22の畳み込み演算を説明するための図である。
【0267】
図22図24を参照すると、本発明の一実施例に係る学習部331が利用する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)2510は、複数の畳み込み層A1を含むことができる。学習部331は、畳み込み層のカーネルや入力間の畳み込み演算を行い、出力を生成することができる。
【0268】
畳み込み層の入力は、当該畳み込み層の入力として採用されるデータであり、最初の入力データまたは以前の層によって生成された出力に対応する少なくとも1つの入力特徴マップ(feature map)を含む。例えば、図8に示される第1畳み込み層A113の入力は、畳み込みニューラルネットワーク2510の最初の入力である複数の画像2501であり、第2畳み込み層A123の入力は、第1畳み込み層A113の出力2511であることができる。
【0269】
畳み込みニューラルネットワーク2510の入力2501は、受信部32が受信したC個の複数の画像2501であり、入力特徴マップである各画像の間には、時間的相関関係が成り立つことができる。各画像、言い換えれば、各入力特徴マップは、予め設定した幅Wおよび高さHからなる複数の画素を有することができる。このような入力特徴マップはC個あるので、入力2501の大きさは、W×H×Cで表すことができる。学習部331は、畳み込み層A1に対応する1つのカーネルを利用し、入力2501に対応する畳み込み演算を行うことができる。
【0270】
畳み込み層A13の少なくとも1つのカーネルは、畳み込み層A1に対応する畳み込み演算のために採用されるデータであり、例えば、当該畳み込み層の入力および出力に基づいて定義することができる。畳み込みニューラルネットワーク2510を構成する畳み込み層A13ごとに、少なくとも1つのカーネルを設計することができ、各畳み込み層に対応する少なくとも1つのカーネルをカーネルセットG600と呼ぶことができる。
【0271】
ここにおいて、カーネルセットG600は、出力チャネルDに対応するカーネルを含むことができる。例えば、畳み込み層A13の所望の出力を取得するため、当該畳み込み層の入力および畳み込み演算が行われるように、当該畳み込み層のカーネルセットG600を定義することができる。畳み込み層A13の出力は、畳み込み層の入力とカーネルのセットとの間の畳み込み演算結果によるデータであり、少なくとも1つの出力特徴マップを含み、次の層の入力として採用されることができる。
【0272】
学習部331は、畳み込み層A13に対応するカーネルセットG600と入力2501との間の畳み込み演算を行うことで、出力2511を生成することができる。畳み込み層A13の出力2511は、D個の出力チャネルに対応する出力特徴マップ25111を含み、各出力特徴マップ25111の大きさは、W×Hであることができる。ここにおいて、出力2511の幅、高さ、および数(深さ)は、それぞれW、H、Dであり、出力2511の大きさは、W×H×Dとして表すことができる。
【0273】
例えば、畳み込み層A1に対応するカーネルセットG600は、D個の出力チャネル数に対応する畳み込みカーネルを含むことができる。学習部331は、入力2501と、D個の出力チャネルに対応するカーネルとの間の演算結果に基づいて、D個の出力チャネルに対応する出力特徴マップ25111を生成することができる。
【0274】
学習部331は、複数の畳み込み層A13を含み、一実施例として4~7個の畳み込み層A13を含むことができる。例えば、図面に示されているように、5つの畳み込み層A113、A123、A133、A143、A153を含むことができる。学習部331は、これらの複数の畳み込み層A113、A123、A133、A143、A153によって、複雑な非線形関係を含む学習能力が高まることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、より多くの畳み込み層A13を利用し、学習することができる。
【0275】
一方、畳み込み層A13のそれぞれは、活性化関数(activation function)を含むことができる。活性化関数は各層の層ごとに適用され、各入力に複雑な非線形(non-linear)関係を含める機能を行うことができる。活性化関数としては、入力を正規化(normalization)した出力に変換することができるシグモイド(Sigmoid)関数、tanh関数、ReLU(Rectified Linear Unit)、Leacky ReLUなどを使用することができる。
【0276】
本発明の一実施例に係る学習部331は、畳み込みニューラルネットワーク2510を利用し、最初の学習において-1~1の値を利用することで、カーネルを完全に初期化することになり、負の値を有するデータを全て0に出力する活性化関数を利用する場合、有効な情報を含む出力値が次の畳み込み層に転送できないことから、学習効率が低下する。したがって、本発明の一実施例において、学習部331は、畳み込み層A13の後にLeacky ReLU層を追加し、正の値はそのまま出力するが、負の値の入力データには、一定の傾きを有するように出力することができる。これにより、学習部331は、学習中に収束速度の低下や局所最小化の問題を防止することができる。
【0277】
入力2501は、パディング(padding)が適用された入力特徴マップの集合であるが、パディングとは、入力の一部領域を特定の値で埋める手法を意味する。具体的に、パッド(Pad)の大きさを1にし、入力にパディングを適用するということは、入力特徴マップの周りを特定の値で埋める動作を意味し、ゼロパディング(zero padding)は、その特定の値を0に設定することを意味する。例えば、X×Y×Zの大きさを有する入力に、パッド(pad)の大きさが1であるゼロパディング(zero padding)が適用されると、パディングが適用された入力の周りは0であり、大きさは(X+1)×(Y+1)×Zのデータであり、(X+1)×(Y+1)×Z個の入力要素を含むことができる。
【0278】
一方、学習部331は、スペックルの情報を含む複数の画像を入力とし、畳み込み演算を行うことに、複数の画像の時間的相関関係を利用して学習することになる。このとき、それぞれの画像には、粒子パターンの複数のスペックルが含まれることができる。このとき、学習部331は、各々のスペックルの時間的相関関係に基づいて分類基準を学習させることができ、言い換えれば、学習部331は、画像の2次元情報ではなく、時間の情報を含む3次元情報を利用し、分類基準を学習することになる。
【0279】
学習部331は、1つのスペックルの情報に集中しなければならず、1つのスペックルに対する3次元情報を正確に取得するため、上記の1つのスペックルとその周りのスペックルとを区別し、分類基準を学習させなければならない。したがって、学習部331は、1つのスペックルの大きさよりも小さい大きさを有する畳み込みカーネル(convolution kernel)を利用し、畳み込み演算を行うことができる。すなわち、学習部331は、1つのスペックルの大きさがm個の画素(pixel)に対応する場合、mよりも小さいn×nの大きさを有する畳み込みカーネルを利用して畳み込み演算を行うことになる。一実施例として、前述のように、画像センサー3300は、スペックル粒径(speckle grain size)に対して最大5つ以下の画素が位置するように配置されるので、mは5になり、このとき、nは1の値を有することができる。すなわち、学習部331は、1×1の畳み込みカーネルを利用し、畳み込み演算を行うことができる。しかしながら、本発明の技術的思想は、スペックルの大きさよりも小さい大きさのカーネルを利用して畳み込み演算を行うものであるが、これに限定されない。
【0280】
カーネルセットG600は、D個の出力チャネルに対応する畳み込みカーネルを含み、各畳み込みカーネルは、複数の画像数に対応するカーネル特徴マップを含むことができる。各カーネル特徴マップの大きさはn×nであるので、カーネルセットG600はn×n×C×Dのカーネル要素を含む。ここにおいて、畳み込みカーネルの大きさは、n×n×Cであってもよく、Cは複数の画像の数、すなわち画像フレームの数であってもよい。畳み込みカーネルの数は、複数の画像の数Cと同様であり、この場合、各層の出力結果を用いて同一条件のフーリエ変換、またはそれを用いた分析などに使用することができる。
【0281】
図21に示すように、学習部331は、カーネルセットG600の最初の出力チャネルに対応する畳み込みカーネルと入力2501との間の演算を行い、最初の出力チャネルに対応する出力特徴マップ25111を生成することができる。このような方法により、学習部331は、カーネルセットG600内のD個のカーネルと入力2501との間の演算をそれぞれ行い、D個の出力チャネルに対応する出力特徴マップ25111を生成することができ、生成された出力特徴マップ25111を含む出力22511を生成することができる。
【0282】
例えば、学習部331は、n×n×Cの大きさであるD番目の出力チャネルに対応する畳み込みカーネル600とW×H×Cの大きさを有する入力501との間の演算を行い、W×Hの大きさを有する出力特徴マップ25111を生成することができ、生成された出力特徴マップ5111は、D番目の出力チャネルに対応する。具体的には、D番目の出力チャネルに対応する畳み込みカーネル600は、C個のカーネル特徴マップを含み、各カーネル特徴マップの大きさはn×nである。学習部331は、入力501に含まれるW×Hの大きさを有する各入力特徴マップ上で、n×nの大きさを有する各カーネル特徴マップを特定のストライド(stride)にスライドし、D番目の出力チャネルに対応する畳み込みカーネル2600と入力2501との間の演算結果である出力特徴マップ25111を生成することができる。
【0283】
ここにおいて、ストライド(stride)とは、畳み込み演算の時にカーネル特徴マップをスライドする間隔を意味する。前述のように、学習部331は、1つのスペックルに対する情報に集中するために、上記の1つのスペックルと周りのスペックルとを区別し、分類基準を学習しなければならない。したがって、スライド間隔であるストライドsは、各畳み込みカーネルとそれに対応する領域が重ならないように畳み込みカーネルの大きさに対応する値を有することができる。言い換えれば、n×nの大きさを有する畳み込みカーネルを使用している場合、ストライドsは、n値を有することができる。例えば、1×1の畳み込みカーネルである場合、ストライドsは、1であることができる。これにより、学習部331は、1つのスペックルと周辺の他のスペックルとが重ならないようにし、ただ1つだけのスペックルが有する時間情報に基づいて分類基準を学習することができる。
【0284】
一実施例として、学習部331は、畳み込みニューラルネットワーク510を利用して分類基準を学習することに、複数の画像数Cおよび同様な出力チャネル数Dを有するように、畳み込み演算を行うことができる。言い換えれば、カーネルセットG600は、C個のカーネルの特徴マップを含むD個の畳み込みカーネルを備えることができ、このとき、CとDは同一であることができる。
【0285】
一方、学習部331は、畳み込み層A1を用いて畳み込み演算を行った後、プーリングル演算を利用し、出力2515の大きさを縮小させることができる。例えば、学習部331は、サブサンプリング(sub sampling)A2を利用することで、出力2515の大きさを縮小させることができる。例えば、サブサンプリングは、一定の大きさの範囲内の平均値を該当範囲の代表として設定する演算である平均プーリング(global average pooling)であることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、最大プーリング(max pooling)、最小プーリング(min pooing)などが用いられてもよい。
【0286】
以後、学習部331は、完全接続層(Fully connected layer)を利用し、サブサンプリングA23のフィルタを通過することで抽出した特徴マップ2521に対して所定の演算と共に重みを適用した後、最終出力2541を取得することができる。例えば、学習部331は、サブサンプリングA23を行った後の完全接続層(Fully connected layer)にLeaky ReLUをさらに適用し(A33)、以後、完全接続層(Fully connected layer)にソフトマックス層(softmax layer)を適用することで(A43)、最終出力を取得することができる。ここにおいて、最終出力2541は、スペックルの時間的相関関係による微生物の種類や濃度を区別する微生物の分類基準であることができる。
【0287】
以後、サーバー3は、空気中の浮遊菌測定装置30から新規捕集液Wに波を照射して取得した波のスペックルに関する画像を受信することができ、判定部333は、前記取得した微生物の分類基準に基づいて、新規捕集液Wに含まれている浮遊菌の種類や濃度を区別することができる。しかしながら、判定部333は、サーバー3に必ずしも含まれる必要はなく、サーバー3から学習された微生物の分類基準が空気中の浮遊菌測定装置30の制御部3400に提供されると、制御部3400は、判定部333の機能のように、微生物の分類基準に基づいて、新規捕集液Wに含まれた浮遊菌の種類や濃度を区別することができる。
【0288】
空気中の浮遊菌を測定して取得した予測の微生物情報(prediction)と、実際の微生物情報(ground truth)とを比較するグラフである。
【0289】
図25を参照すると、本発明の一実施例に係る空気中の浮遊菌測定技術によって、取得した予測の微生物情報と実際の微生物との間のマッチング率が非常に高いことを確認することができる。図25の結果により、空気中の浮遊菌測定装置30は、微生物の分類基準を利用し、捕集液Wに含まれた微生物の種類(B.subtilis、E.Coli、P.aeruginosa、S.aureus)などを区別することはもちろん、各々の濃度まで区別していることを確認することができる。
【0290】
前述のように、本発明の実施例に係る空気中の浮遊菌測定装置は、空気中の浮遊菌を捕集液に捕集した後、波のスペックルを利用し、捕集液内の微生物の存在を検出することにより、別の化学的方法によらず、空気中の浮遊菌を迅速かつ正確に検出することができる。また、空気中の浮遊菌測定装置は、機械学習を通してスペックルの時間的相関関係の変化を利用し、微生物の種類や濃度を分類する分類基準を取得することにより、迅速かつ正確に空気中の浮遊菌の種類や濃度を区別することができる。これにより、地域内の空気中の病原体の存在有無を把握することができ、ネットワーク環境を介して地域の防疫情報を効果的に確認することができる。
【0291】
図26は、本発明の一実施例に係る光学検出システム40を概略的に示す図であり、図27は、第1スペックル生成ユニット4310が第1スペックルLS14を生成するプロセスを説明する図であり、図28は、第2スペックル生成ユニット4410が第2スペックルLS24を生成する過程を説明する図である。
【0292】
図26を参照すると、本発明の一実施例に係る光学検出システム40は、波源4100と、光学ユニット4200と、第1スペックル生成部4300と、試料測定部4400と、制御部4500とを備えることができる。
【0293】
波源4100は、波L4を生成することができる。波源4100は、波(wave)Lを生成することができる全ての種類のソース装置を適用可能であり、例えば、特定の波長帯域の光を照射することができるレーザー(laser)であることができる。本発明は、波源の種類に限定されるものではないが、ただし、以下には、説明の便宜のために、レーザーの場合を中心に説明する。
【0294】
例えば、測定しようとする試料(sample)にスペックル(speckle)を形成するために干渉性(coherence)が良いレーザーを波源4100に利用することができる。このとき、レーザー波源の干渉性を決定する波源のスペクトル帯域幅(spectral bandwidth)が短いほど測定精度を増加させることができる。すなわち、干渉長(coherence length)が長いほど測定精度を増加させることができる。これにより、波源4100のスペクトル帯域幅が既に定義された基準帯域幅の未満であるレーザ光が波源4100として用いられることができ、波源のスペクトル帯域幅が基準帯域幅よりも短いほど測定精度は増加することができる。
【0295】
しかしながら、実際の測定環境は、温度などの様々な環境変数が存在し、微細な振動や外部要因により波源4100から生成される波L4の性質(properties)が変化することができる。1つの例として、波L4は、周囲温度によって波長(wavelength)が変化することができる。波L4の変化は、試料(sample)から出力される測定データの変化をもたらすことができる。特に、本発明のように、スペックルの時間による変化を検出し、これを利用して微生物の微細な生命活動を感知する場合には、波L4の小さな変化にも敏感でなければならない。
【0296】
本発明の技術的思想は、外部環境要因による波L4の性質の変化を正確に感知し、感知結果を利用して信頼性の高い場合にのみに測定を行うか、または測定データを補正することで、微生物の検出の精度を向上させることを特徴とする。
【0297】
本発明の実施例は、このような目的のため、光学ユニット4200を利用して波源4100から生成された1つの波L4の経路を第1経路または第2経路に変更して提供するか、または第1波L14および第2波L24に分割して提供することができる。
【0298】
このとき、光学検出システム40は、第1波L14および第2波L24を光学ユニット4200によって分割するか、または経路を変更するだけで、同一環境条件を提供するので、第1波L14および第2波L24の性質は同じである。第1波L14は、基準信号(reference signal)を生成するための入射波として使用し、第2波L24は、測定信号を生成するための入射波として使用することができる。
【0299】
光学ユニット4200は、波源4100から生成された波L4を第1経路または第2経路に転送する機能を行うように、1つ以上の光学素子を備えることができる。一実施例として、光学ユニット4200は、第1経路を通して波L4を提供している途中、第2経路に変更して提供する光路変更手段を含むことができる。このとき、光路変更手段は、一般に知られているMEMS(micro electromechanical system)ミラー、DMD(digital micromirror device)素子などを採用することができる。他の実施例として、光学ユニット4200は、第1波L14および第2波L24に分割する機能を行う光学素子を備えることができる。図面に示されるように、光学ユニット4200は、入射される波L4を、互いに異なる経路である第1経路および第2経路に第1波L14および第2波L24として分割するビームスプリッター(beam splitter)を含むことができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0300】
また他の実施例として、光学ユニット4200は、マルチビームリフレクター(Multiple beam reflector)をさらに含むこともできる。マルチビームリフレクターは、波源4100から入射される波を分割し、複数の波の経路に提供することができる。マルチビームリフレクターは、前面および背面でそれぞれに波を反射し、平行かつ分割された第1波L14および第2波L24を提供することができる。このとき、ビームスプリッターは、マルチビームリフレクターから提供される複数の波の経路に配置され、第1波L14および第2波L24をそれぞれ第1スペックル生成ユニット4310および試料測定部4400、より具体的には、第2スペックル生成ユニット4410に提供することができる。
【0301】
また、光学ユニット4200は、波源4100から提供された波の経路を変更するためのミラー(mirror)をさらに含むこともできる。
【0302】
以下では、説明の便宜のため、光学ユニット4200が波L4を第1波L14および第2波L24に分割して提供する場合を中心に説明する。
【0303】
図26および図27を参照すると、第1スペックル生成部4300は、第1波L14を利用して生成した基準信号である第1スペックルLS14を検出することができる。第1スペックル生成部4300は、第1スペックル生成ユニット4310と、第1画像センサー4330とを含むことができる。
【0304】
第1スペックル生成ユニット4310は、第1波L14の経路に配置することができる。第1スペックル生成ユニット4310は、固定された散乱媒体(static scattering medium)311を含み、第1波L14が入射されると、それを散乱させ、第1スペックルLS14を生成することができる。図27に示すように、第1スペックル生成ユニット4310に含まれる散乱媒体311は、空間的に一定の位置に配置される散乱物質(scattering material)を含むことができる。散乱物質は、互いに離間されている間隔や位置に限定されずに配置されるが、配置された状態で動くことなく固定された状態を維持するようになる。このとき、散乱物質311の種類は限定されず、例えば、散乱物質として酸化チタン(TiO)を使用することができる。
【0305】
第1波L14は、第1スペックル生成ユニット4310に入射されると、固定された状態を維持する散乱媒体311によって多重散乱されることができ、多重散乱により複雑な経路に散乱された波の一部が第1スペックル生成ユニット4310から出射されることができる。第1スペックル生成ユニット4310の複数のポイントを通過しながら出射される波が互いに強め合う干渉(constructive interference)または弱め合う干渉(destructive interference)が発生し、このような波の強め合う干渉/弱め合う干渉は粒子パターン(スペックル)を発生する。
このとき、第1波L14において、時間に応じて性質が変化することなく、一定の特性を有する場合、第1スペックル生成ユニット4310によって生成された第1スペックルLS14も、固定された散乱媒体311によって時間に応じて一定のパターンを形成することができる。しかしながら、波源4100から生成される波L4、言い換えれば、第1波L14が、周囲の環境によってその性質が変化すると、これにより、第1スペックルLS14のパターンが変わる。
【0306】
第1画像センサー4330は、第1スペックルLS14が出射される経路に配置され、第1スペックルLS14を時系列順に検出することができる。第1画像センサー4330は、波源4100の種類に対応した感知手段を含み、例えば、可視光の波長帯域の光源を用いる場合、画像を撮像する撮像装置であるCCDカメラ(camera)を利用することができる。第1画像センサー4330がCCDカメラである場合、第1画像センサー4330は、第1スペックルLS14を時系列順に撮像し、複数の画像を取得することができる。
【0307】
ここにおいて、複数の画像のそれぞれは、第1スペックル生成ユニット4310に入射される第1波L14によって散乱媒体311に多重散乱(multiple scattering)されて発生する第1スペックル(speckle)情報を含むことになる。言い換えれば、言い換えれば、第1画像センサー4330は、照射された第1波L14が散乱媒体311内で多重散乱されて発生する第1スペックルを、予め設定した時点で検出することができる。ここにおいて、時点(time)とは、連続した時間の流れのいずれかの瞬間を意味し、時点(time)は、同一の時間間隔に予め設定することができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、任意の時間間隔に予め設定することもできる。
【0308】
第1画像センサー4330は、少なくとも第1時点で第1画像を検出し、第2時点で第2画像を撮像し、制御部4500に提供することができる。一方、第1時点および第2時点は、説明の便宜のために選択された1つの例に過ぎず、第1画像センサー4330は、第1時点および第2時点よりも多くの複数の時点で複数の画像を撮像することができる。
【0309】
一方、図26および図28を再参照すると、試料測定部4400は、第2波L24を利用して生成された測定信号を検出することができる。ここにおいて、測定信号は、第2波L24を利用して生成することができるいずれの種類の測定信号も適用可能である。一実施例として、測定信号は、出射される波の強度(intensity)などの信号であることができる。他の実施例として、測定信号は、スペックルの情報を含む信号であることができる。言い換えれば、試料測定部4400は、第2波L24を利用して生成された測定信号である第2スペックルLS24を検出することができる。以下に、説明の便宜のため、試料測定部4400が、第2スペックルLS24を検出するための第2スペックル生成部であるの場合を中心に説明し、試料測定部と第2スペックル生成部とは同一の符号を付与する。
【0310】
第2スペックル生成部4400は、第2スペックル生成ユニット4410と、第2画像センサー4430とを含むことができる。第2スペックル生成ユニット4410は、第2波L24の経路に配置することができる。第2スペックル生成ユニット4410は、測定しようとする試料(sample)を含めて入射される第2波L24を散乱させ、第2スペックルLS24を生成することができる。試料(sample)は、微生物または不純物を検出するためのいずれの試料でも可能である。例えば、測定しようとする対象から採取された唾液、血液、組織などの試料であってもよく、対象の外部に排出される便、尿、角質などの試料であってもよい。または、食べ物などの対象から採取された有機試料などを含むことができる。一方、試料(sample)は、測定しようとする対象そのものを意味することもできる。言い換えれば、食べ物が対象であり、食べ物を損なうことなく、微生物の存在を測定しようとする場合、食べ物そのものが試料(sample)になる。例えば、販売のために包装された肉(meat)のような対象が試料(sample)になることができる。
【0311】
第2スペックル生成ユニット4410は、上記の試料(sample)のみを収容することができ、寒天プレート(agar plate)のように、微生物を培養する物質を含めて収容することができる。または、第2スペックル生成ユニット4410は、試料(sample)の採取手段を収容することができる。例えば、採取手段はテープ、生体膜(membrane)など、微生物が移動することができる手段を利用して用意することもできる。
【0312】
他の実施例として、第2スペックル生成ユニット4410は、流体などの試料(sample)を収容することができる。このとき、第2スペックル生成ユニット4410は、流体を収容する容器であってもよいが、流体が流れるパイプユニットであってもよい。
【0313】
一方、第2スペックル生成ユニット4410は、入射された第2波が試料(sample)内で多重散乱(multiple scattering)される回数を増幅させるための多重散乱増幅領域を含むことができる。例えば、多重散乱増幅領域は、第2波が入射される一部領域および第2波が出射される一部領域に多重散乱物質(multiple scattering material)を含むように形成することができる。例えば、多重散乱物質は、酸化チタン(TiO)を含み、第2波が入射または出射される一部領域を第2スペックル生成ユニット4410の一部領域にコーティング(coating)することにより形成することができる。多重散乱増幅領域は、試料(sample)を通過して出射される第2波の少なくとも一部を反射することができる。
【0314】
他の実施例として、第2スペックル生成ユニット4410は、前記第2スペックル生成ユニット4410の表面にコーティングされることで一体化された多重散乱増幅領域ではなく、別の多重散乱増幅部401をさらに備えることもできる。多重散乱増幅部401は、波源4100と第2スペックル生成ユニット4410との間および/または第2スペックル生成ユニット4410と第2画像センサー4430との間の第2波L24の移動経路に備えられ、多重散乱の回数を増幅させることができる。多重散乱増幅部4410は、試料(sample)から出射される第2波L24が試料(sample)に再入射されるように、少なくとも一部を反射することで、第2波L24が試料(sample)と多重散乱増幅部401との間の空間を少なくとも1回以上往復するようにし、これによって、試料(sample)内の第2波L24の多重散乱の回数を効果的に増幅することができる。
【0315】
また、他の実施例として、上記の機能を行う多重散乱増幅領域または多重散乱増幅部は、第2スペックル生成ユニット4410のみに備えられるものではなく、第1スペックル生成ユニット4310にも同様に備えられ、第1スペックルの生成および第2スペックル生成において同様な散乱条件を付与することができる。
【0316】
一方、第2画像センサー4430は、第2スペックルLS24が出射される経路に配置され、第2スペックルLS24を時系列順に検出することができる。第2画像センサー4430は、波源4100の種類に対応する感知手段を含むことができ、第1波L14と同一の第2波L24を利用し、スペックルを検出するので、第1画像センサー4330と同様の種類の感知手段であることができる。第2画像センサー4430は、CCDカメラであってもよく、第2スペックルLS24を時系列順に撮像し、複数の画像を取得することができる。このとき、第2画像センサー4430が複数の画像を取得する原理は、第1画像センサー4330と同様であり、説明の便宜のために重複する説明は省略する。
【0317】
第2画像センサー4430は、第2波L24に起因する第2スペックルLS24を検出し、第1画像センサー4330は、第1波L14に起因する第1スペックルLS14を検出する。ここにおいて、第1波L14および第2波L24は、1つの波源4100から照射される波L4が分割されたものであり、周辺の環境が同様であれば同一の波の性質を有することができる。したがって、第1波L14の波長が変化すると、第2波L24の波長も変化するので、本発明は、第1波L14の性質変化を判定し、第2波L24が安定した状態でのみに、第2波を活用して測定を行うことができる。特に、本発明は、スペックルを活用するバクテリア検出センサーにおいて、第1波L14が安定した状態でのみ、第2スペックルLS24を検出し、正確な測定を可能にする。
【0318】
図29は、本発明の制御部4500が、第1スペックルLS14により第2画像センサー4430の動作を制御する方法を説明する図である。
【0319】
図29を参照すると、制御部4500は、検出された第1スペックルLS14を利用して第1スペックルLS14の時間的相関関係(temporal correlation)を取得し、取得した第1スペックルLS14の時間的相関関係に基づいて、第2画像センサー4430の動作を制御することができる。より具体的には、制御部4500は、第1スペックルLS14の時間的相関関係に基づいて第1波L14の性質変化を判定し、第1波L14の性質変化に応じて、第2画像センサー4430の動作を制御することができる。
【0320】
制御部4500は、第1画像センサー4330から取得した複数の画像を利用し、第1スペックルLS14の時間的相関関係を取得することができ、このとき、第1時点で取得した第1画像および第2時点で取得した第2画像は、スペックルパターンの情報および波の強度情報の少なくとも1つを含むことができる。一方、本発明の一実施例は、第1時点の第1画像と、第2時点の第2画像との差のみを利用するものではなく、これを拡張し、複数の時点で検出した複数のレーザースペックルの画像情報を利用することができる。
【0321】
制御部4500は、予め設定した複数の時点ごとに生成される複数の画像を利用し、第1スペックルLS14の時間相関係数を計算することができる。もし、第1波L14が変化することなく安定している場合は、第1スペックル生成ユニット4310に含まれた固定した散乱媒体311によって生成される第1スペックルLS14が一定のパターンを有するので、第1スペックルLS14の時間相関係数は、一定の第1値を有することができる。しかしながら、第1波L14が、周囲の環境によって変化し、不安定な場合には、第1スペックルLS14も変化するので、時間相関係数は、前記第1値とは異なる第2値に変化する。制御部4500は、これらの時間相関係数の変化を利用し、第1波L14の性質の変化を判定することができる。
【0322】
一実施例として、検出された第1スペックルLS14の時間的相関関係は、前述の数式5を用いて計算することができる。
【0323】
数式5に基づいて時間相関係数を計算することができ、一実施例として、第1スペックルLS14の時間相関係数は、図29に示すように、時間に応じたグラフで表現することができる。上記のように、第1波L14が安定した場合は、例えば、第1時間t1までのグラフのように、時間相関係数は、予め設定した範囲P1~P2を維持する。これとは異なり、第1波L14が不安定な場合には、例えば、第1時間t1~第4時間t4のグラフのように、時間相関係数は、予め設定した範囲を超えることができる。
【0324】
制御部4500は、時間相関係数が予め設定した範囲に該当する場合にのみ、第2スペックルLS24を検出するように、第2画像センサー4430を動作させることができる。言い換えれば、制御部4500は、図29に示すように、第1スペックルLS14の時間相関係数が予め設定した範囲P1~P2を超える第1時間t1~第4時間t4の間に第2画像センサー4430が動作しないように制御することができる。一方、時間相関係数は、第1波L14が不安定な状態にあるとき、図29の第2時間t2~第3時間t3のように、予め設定した範囲内に含まれる。
【0325】
このように、一時的に時間相関係数が予め設定した範囲に含まれていても、実際には、第1波L14が不安定な場合に該当するので、この場合には、制御部4500は、第2画像センサー4430が動作されないように、時間相関係数が一定時間内に予め設定した範囲を超える割合で計算し、第1波L14の性質変化を判定することもできる。
【0326】
他の実施例として、制御部4500は、第1スペックルLS14の時間相関係数を計算し、第1スペックルLS14の時間相関係数を用いて第2画像センサー4430での検出信号を補正(calibration)することができる。例えば、制御部4500は、第1スペックルLS14の時間相関係数を計算し、第2画像センサー4430から提供される検出信号から、上記の時間相関係数を減算するか、または除算するなどの数式を用いて検出信号を補正することができる。制御部4500は、補正された検出信号、すなわち、補正された第2スペックルLS24を利用し、より正確に微生物を検出することができる。
【0327】
制御部4500は、第2画像センサー4430から検出された第2スペックルLS24を利用して検出された第2スペックルLS24の時間的相関関係を取得し、取得した第2スペックルの時間的相関関係に基づいて、試料内の微生物の存在、または微生物の濃度を推定することができる。
【0328】
第2スペックルLS24の時間的相関関係を利用し、微生物の存在または濃度を推定する原理も、第1スペックルLS14の時間的相関関係を利用して第1波L14の性質変化を判定する原理と同様である。
【0329】
具体的に、数式3に基づいて第2スペックルLS24の時間相関係数を計算することができ、一実施例として、時間相関係数が予め設定した基準値以下に低下する分析を通して、微生物の存在または濃度を推定することができる。具体的には、時間相関係数が予め設定した誤差範囲を超え、基準値以下に低下する場合、微生物が存在すると推定することができる。また、微生物の濃度が増加するほど、時間相関係数が基準値以下に低下する時間は短くなり、これを利用することで、時間相関係数を示すグラフの傾きの値を用いて微生物の濃度を推定することができる。基準値は、微生物の種類に応じて異なってもよい。
【0330】
図30は、他の実施形態の光学検出システム40-2を概略的に示す図である。
【0331】
図30を参照すると、光学検出システム40-2は、波源4100と、第1光学ユニット4200と、第1スペックル生成ユニット4310と、第2スペックル生成ユニット4410と、第1画像センサー4330と、第2画像センサー4430と、制御部4500とを含むことができる。
【0332】
他の実施例において、光学検出システム40-2の第1スペックル生成ユニット4310と、第2スペックル生成ユニット4410とは、一体に形成することができる。具体的に、第2スペックル生成ユニット4410は、測定しようとする試料を収容する収容容器であってもよく、第1スペックル生成ユニット4310は、上記の収容容器の一側に備えることができる。例えば、第1スペックル生成ユニット4310は、固定された散乱媒体(static scattering medium)を含む一定の形状の容器として形成され、前記第2スペックル生成ユニット4310の一側に取り付けられることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、他の実施形態として、第1スペックル生成ユニット4410は、第2スペックル生成ユニット4310の一側に固定された散乱媒体をコーティングすることで形成することもできる。
【0333】
光学検出システム40-2において、第1スペックル生成ユニット4310と第2スペックル生成ユニット4410とは一体に形成されるので、第1スペックル生成ユニット4310を用いて測定する第1スペックルLS14は、一体に形成された第2スペックル生成ユニット4410の機械的な振動の情報も含むことができる。したがって、光学検出システム40-2は、第1スペックルLS14による基準信号を通して第2スペックル生成ユニット4410の機械的振動によるノイズを除去することができる。
【0334】
図31は、本発明の他の実施例に係る光学検出システム40-3を概略的に示す図である。
【0335】
図31を参照すると、本発明の他の実施例に係る光学検出システム40-3は、波源4100と、第1光学ユニット4200と、第1スペックル生成ユニット4310と、第2スペックル生成ユニット4410と、画像センサー430と、制御部4500とを含むことができる。また、本発明の他の実施例に係る光学検出システム40-3は、第1シャッター4350および第2シャッター4450を含むことができる。本発明の他の実施例に係る光学検出システム40-3は、第2シャッター4450を利用し、第2スペックルLS24の検出を制御するという点の以外に、一実施例に係る光学検出システム40と、残りの構成要素とが同様であり、説明の便宜のために同一の符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0336】
波源4100は、波L4を生成することができる。波源4100は、波(wave)Lを生成することができる全ての種類のソース装置を適用可能であり、例えば、特定の波長帯域の光を照射することができるレーザー(laser)であることができる。
【0337】
第1光学ユニット4200は、波源4100から生成された波L4を第1波L14および第2波L24に分割する機能を行うように、1つ以上の光学素子を備えることができる。一実施例として、図面に示されるように、光学ユニット4200は、入射される波L4を、互いに異なる経路に第1波L14および第2波L24として分割するビームスプリッター(beam splitter)を含むことができる。
【0338】
第1光学ユニット4200から提供される第1波L14は、第1ミラー4320によって、第1スペックル生成ユニット4310に経路が変更されることができる。また、第1光学ユニット4200から提供される第2波L24は、第2ミラー4420によって、第2スペックル生成ユニット4410に経路が変更されることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、光の経路を変更することができるいずれの手段でも使用することができる。
【0339】
第1スペックル生成ユニット4310は、第1波L14の経路に配置することができる。第1スペックル生成ユニット4310は、固定された散乱媒体(static scattering medium)311を含み、第1波L14が入射されると、それを散乱させ、第1スペックルLS14を生成することができる。
【0340】
第2スペックル生成ユニット4410は、第2波L24の経路に配置することができる。第2スペックル生成ユニット4410は、測定しようとする試料(sample)を含めて入射される第2波L24を散乱させ、第2スペックルLS24を生成することができる。
【0341】
画像センサー430は、第1スペックル生成ユニット4310から生成された第1スペックルLS14、または第2スペックル生成ユニット4410から生成された第2スペックルLS24を時系列順に検出することができる。画像センサー430は、一実施例に係る光学検出システム40と同様に独立して駆動される構成として備えられてもよいが、1つを利用して第1スペックルLS14または第2スペックルLS24を検出することができる。このため、他の実施例に係る光学検出システム40-2は、図31に示すように、第1スペックルLS14および第2スペックルLS24の経路を変更し、画像センサー430に提供される第2光学ユニット4210をさらに含むことができる。
【0342】
一方、第2シャッター4450は、第1光学ユニット4200と第2スペックル生成ユニット4410との間に配置され、制御部4500の制御により動作することができる。
【0343】
制御部4500は、画像センサー430によって検出された第1スペックルLS14を利用し、第1スペックルLS14の時間的相関関係を取得し、取得した第1スペックルの時間的相関関係に基づいて、第2シャッター4450の動作を制御することができる。具体的に、制御部4500は、第1スペックルLS14の時間相関係数を計算し、時間相関係数が予め設定した範囲に該当する場合にのみ、第2スペックルLS24を検出するように、第2シャッター4450を開放することができる。すなわち、制御部4500は、第1波L14が安定したと判定する場合にのみ、第2シャッター4450を開放して第2スペックルLS24を検出することができる。
【0344】
このとき、光学検出システム40-2は、第1光学ユニット4200と、第1スペックル生成ユニット4310との間に配置される第1シャッター4350をさらに含むことができる。他の実施例に係る光学検出システム40-2は、1つの画像センサー430を利用し、第1スペックルLS14または第2スペックルLS24を検出する。このため、制御部4500は、画像センサー430が第2スペックルLS24を検出する間には、第1スペックルLS14が検出されないように、第1シャッター4350を閉鎖することができる。
【0345】
制御部4500は、第1スペックルLS14の時間相関係数を計算し、これを利用して第2シャッター4450を開放し、一定の時間の間に第2スペックルLS24を検出した後、再び第2シャッター4450を閉鎖して第1シャッター4350を開放することで、第1波L14の変化を定期的に監視することができる。
【0346】
図32aおよび図32bは、本発明の実施例に係る光学検出システムを利用し、測定試料内の生菌の存在を確認する方法を説明する図である。
【0347】
本発明の一実施例に係る光学検出システムは、第1スペックル生成ユニット4310’に対照群試料を配置し、第2スペックル生成ユニット4410’に測定群試料を配置し、検出されるスペックルの情報を利用して試料内の生菌の存在、または生菌および死菌の割合を導出することができる。
【0348】
具体的に、第1スペックル生成ユニット4310’は、対照群試料を含むことができる。ここにおいて、対照群試料は、測定しようとする試料をリン酸緩衝溶液(PBS)に投入することで用意された試料であることができる。対照群試料は、第1濃度を有する微生物を含むことができ、リン酸緩衝溶液(PBS)に投入されたため、時間が経っても微生物内の生菌および死菌の両方が成長しない。
【0349】
第2スペックル生成ユニット4410’は、測定群試料および培地を含むことができる。ここにおいて、培地は、微生物の培養のための培養物質を含むことができ、培養物質は、確認しようとする微生物の種類に対応し、当該微生物を効果的に培養することができる物質を含むことができる。
【0350】
培養に使用される培養物質含む培地は、特定の微生物の要求条件を適切に満足しなければならない。様々な微生物の培養培地は、例えば、文献(”Manual of Methods for General Bacteriology” by the American Society for Bacteriology、Washington DC、USA、1981年)に記載されている。それらの培地は、多様な炭素源、窒素源、および微量元素成分を含む。炭素源は、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、果糖、麦芽糖、澱粉および纎維素のような炭水化物;大豆油、ひまわりオイル、ひまし油(castor oil)およびココナッツオイル(coconut oil)のような脂肪;パルミチン酸、ステアリン酸(stearic acid)およびリノール酸(linoleic acid)のような脂肪酸;グリセロールおよびエタノールのようなアルコール、および酢酸のような有機酸;を含むことができ、それら炭素源は、単独にまたは組み合わされて使用されるが、それらに限定されるものではない。窒素源としては、ペプトン(peptone)、酵母抽出液(yeast extract)、肉汁(gravy)、麦芽抽出液(malt extract)、とうもろこし浸出液(CSL:corn steep liquor)および豆粉(bean flour)のような有機窒素源、および尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムのような無機窒素源を含み、それら窒素源は、単独でまたは組み合わせて使用されるが、それらに限定されるものではない。前記培地には、リン酸源として、追加してリン酸二水素カリウム(potassium dihydrogen phosphate)、リン酸水素二カリウム(dipotassium hydrogen phosphate)、および相応するナトリウム含有塩(sodium-containing salts)を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。また、培地は、硫酸ンマグネシウム(magnesium sulfate)または硫酸鉄(iron sulfate)のような金属を含み、アミノ酸、ビタミン、および適する前駆体などが添加されることができる。
【0351】
一実施例として、測定群試料は、対照群試料と同様な試料であり、対照群試料と同一の濃度を有する試料であることができる。このとき、測定群試料は、培養物質を含む培地に投入されるので、時間が経過すると、培養物質により生菌の個体数が増加することができる。言い換えれば、時間の経過に応じて、対照群試料は、リン酸緩衝溶液に投入されるため、生菌および死菌の個体数が一定に維持される一方、測定群試料は、培地に投入されて生菌の個体数が増加するので、測定群試料の濃度は、対照群試料の濃度よりも大きくなる。
【0352】
制御部4500は、第1スペックル生成ユニット4310’および第2スペックル生成ユニット4410’から検出された第1スペックルLS14および第2スペックルLS24を利用し、対照群試料の第1濃度および測定群試料の第2濃度を推定し、第1濃度および第2濃度を用いて測定群試料内の生菌の存在を判定することができる。具体的に、制御部4500は、検出された第1スペックルLS14を利用して第1スペックルLS14の時間的相関関係を取得した後、第1スペックルの時間的相関関係を利用して対照群試料の第1濃度を推定することができる。また、制御部4500は、検出された第2スペックルLS24を利用して第2スペックルLS24の時間的相関関係を取得した後、第2スペックルの時間的相関関係を利用して測定群試料の第2濃度を推定することができる。制御部4500は、このように推定された第1濃度と第2濃度とを比較し、測定群試料内の生菌の存在を判定することができる。
【0353】
一方、他の実施例として、測定群試料は、対照群試料をm倍に希釈した試料であることができる。言い換えれば、測定群試料は、最初に投入される時、対照群試料の1/mの濃度を有することができる。図32aに示すように、対照群試料は、リン酸緩衝溶液に含まれており、一定時間が経っても対照群試料の生菌bおよび死菌aの個体数は変化しない。しかしながら、培地に含まれている測定群試料は、図32bに示すように、一定の時間が流れると、測定群試料の死菌aの個体数は変わらないが、生菌bの個体数は増加する。
【0354】
制御部4500は、継続的に検出された第1スペックルLS14を利用して対照群試料の第1濃度を推定し、検出された第2スペックルLS24を用いて測定群試料の第2濃度を推定途中、第2濃度と第1濃度とが等しくなる成長時間tを取得することができる。制御部4500は、前記成長時間tを用いて測定群試料内の生菌bおよび死菌aの割合を導出することができる。
【0355】
言い換えれば、図32aに示すように、対照群試料内に生菌bおよび死菌aが第1濃度で存在する場合、これをm倍に希釈した測定群試料内には、生菌bおよび死菌aが1/mの濃度で存在することになり、成長時間tが経過した後は、下記の数式7のように表すことができる。
【数7】
ここにおいて、αは、当該微生物の成長率(growth rate)であり、既に知られた値であることができる。
【0356】
制御部4500は、対照群試料の第1濃度と測定群試料の第2濃度とが等しくなる成長時間tを取得することができるので、下記のような数式8のプロセスを通して死菌aに対する生菌bの割合(b/a)を導出することができる。
【数8】
【0357】
前述のように、本発明の実施例に係る光学測定装置は、波源から生成される波を分割し、分割された第1波を固定された散乱媒体に照射することにより基準信号である第1スペックルを生成した後、第1スペックルの時間的相関関係を計算することにより、第1波の性質変化を正確に判定することができる。これを用いて、光学測定装置は、周辺の環境によるノイズを確認し、これを補正することができ、測定しようとする試料内の微生物をより正確に検出することができる。また、光学測定装置は、対照群試料と測定群試料の濃度とを比較することで、生菌の存在、または試料内の生菌および死菌の割合を導出することができる利点を有する。
【0358】
これまで本発明について好ましい実施例を中心に説明した。本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内に変形した形態で、本発明を実現することができることを理解するであろう。したがって、上記に開示された実施例は、限定された観点ではなく、説明する観点から考慮されるべきである。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にある全ての相異点は、本発明に含まれるものとして解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0359】
本発明の一実施例によれば、カオス波センサーを用いた光学検出システムが提供される。また、産業で利用する不純物や微生物の検出装置などに、本発明の実施例を適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b
図17c
図17d
図18
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図29
図30
図31
図32a
図32b