(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】製品の収納及び排出方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/07 20060101AFI20220310BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20220310BHJP
B65G 1/06 20060101ALI20220310BHJP
F16G 13/20 20060101ALN20220310BHJP
B66F 7/12 20060101ALN20220310BHJP
【FI】
B65G1/07
B65G1/04 563
B65G1/06 511A
F16G13/20
B66F7/12
(21)【出願番号】P 2021066490
(22)【出願日】2021-04-09
(62)【分割の表示】P 2017230396の分割
【原出願日】2017-11-30
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】599099294
【氏名又は名称】株式会社フジケンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100088731
【氏名又は名称】三井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】増田 秀行
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-30904(JP,A)
【文献】特開2002-308217(JP,A)
【文献】特開平5-39124(JP,A)
【文献】特開2003-146593(JP,A)
【文献】特開2013-184763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04-1/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体とで製品のための収納空間を形成し、筒状体内を昇降可能でかつ鉛直軸の回りを回転可能な底板と、収納空間への製品の投入用のシュートとを備えた収納装置を準備し、
収納空間への製品の導入に際しては、
シュートから収納空間への製品の順次投入と、シュートから収納空間への製品の投入毎の底板の一方向への回転下での下降と、投入後の製品の上面位置を所定高さに維持するための無回転下での底板の上昇とにより、底板上において円周方向に敷き詰められた製品の層の高さ方向の段積みによる収納空間での製品の収納状態を得るようにし、かつ
収納空間からの製品の排出に際しては、
段積みされた製品を上面から取り出すようにしつつ、底板の無回転下の上昇により製品の高さ位置の上限を維持することを特徴とする製品の収納及び排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンベヤやシュート等の搬送装置から送られてくる製品を一時的に収納するための収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンベヤやシュート等の搬送装置から送られてくる製品の一時的な収納のために所謂レベルカート型の収納装置が公知である(非特許文献1)。レベルカート型の収納装置は、作業面の高さを作業にとって丁度良い高さを維持するため、スプリング式の作業台を備えており、シュートやコンベヤ等から送られてくる製品の収容目的の場合は、作業台に収納容器が設置される。スプリングは、作業台上に設置される製品収容容器への製品重量に応じて収縮して行き、製品を取り出した場合はその分軽くなるため、スプリングにより作業面が上昇するため、製品の収納面の高さをあまり変化しないようにすることが可能であり、作業員は無理な姿勢強いられることなく作業を行うことができる。
また、本発明の実施形態において採用される噛合チェーン式の直線駆動型アクチュエータについては特許文献1や特許文献2を参照されたい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「レベルカート」作業テーブル付台車,製品情報,公式サイト,株式会社ダイフク,〔online〕,〔平成29年10月3日検索特〕,インターネット
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-184763
【文献】特開2013-57389
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レベルカート式の作業台車は、製品収容目的に使用した場合、搬送されてくる製品の多寡に係らず、すなわち、コンベヤからの製品を次々と受け取るようにする場合も、製品を次々と取り出してゆく場合も、作業面の高さをスプリングの働きで実質的に一定に維持できる利点があるが、搬送されてくる製品を収納容器により単に受け取るだけの構造であり、収納容器への製品が整然と積み込まれる工夫はされていないため、直ぐ満杯になってしまい作業効率が良くない問題点があった。
本発明はレベルカート式の作業台車の問題点に鑑み、作業高さの制御の可能性は維持しつつ収納物の高い充填効率を確保することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の収納装置は、
支持台、
支持台上に固定される筒状体、
筒状体に相対回転可能に配置され、筒状体とで製品のための収容空間を形成する底板、
底板に近接して支持台側に配置され、底板が回転可能に載置される支持板、
支持板の支持台側に固定される本体と、本体より底板と平行に延設される回転駆動軸と、回転駆動軸の回転駆動により、回転方向に応じて、剛直状態を維持しつつ回転角度に応じてその長さが変化し、本体と離間側の端部が支持台側に固定された伸縮体とを備えた直線駆動型アクチュエータ、
支持板の支持台側に取り付けられ、直線駆動型アクチュエータの回転駆動軸に回転連結された回転軸を備え、回転軸の回転方向に応じて伸縮体の長さを変化させ、支持板及びその上の底板を昇降させる原動機、
支持板の支持台側に回転可能に軸支され、底板と平行な回転軸を備え、外周端縁において底板の対向面と摩擦係合することにより底板の回転駆動を行なう摩擦回転板、
原動機の回転駆動軸と摩擦回転板の回転軸とを連結し、底板の支持台方向への下降移動に対応した一方向にのみ原動機の回転軸の回転を摩擦回転板に伝達するワンウエイクラッチ、
より構成される。直線駆動型アクチュエータは複数のチェーン片が連なった2本のチェーンが互いに噛み合って剛直な伸縮体となるタイプの直線駆動型アクチュエータとして構成することができる。
【0007】
収容空間へ製品の導入の検出のための第1のセンサと、第1のセンサによる収容空間へ製品の導入の検出からの所定の時間の経過にいたるまで伸縮体を短縮するべく原動機によって回転駆動軸時間を検出するタイマと、収容空間に収容された製品の上面位置を検出する第2のセンサと、原動機の駆動制御手段とを具備し、駆動制御手段は、第1のセンサによる収容空間へ製品の導入の検出から所定の経過時間の間底板をワンウエイクラッチとの協働下にて下降させつつ回転し、その後、ワンウエイクラッチを空転させつつ第2の検出手段による収容空間内の製品の上面位置の検出に至るまで底板を上昇させるべく原動機の駆動制御を行う。
【0008】
本発明の収納装置の運転に際して、収容空間へ製品の導入の検出を行い、収容空間へ製品の導入の検出により所定時間の伸縮体を短縮するべく原動機により直線駆動型アクチュエータを駆動することで底板を下降させると同時に、ワンウエイクラッチを介しての摩擦回転板の回転駆動により底板を所定角度回転させる動作を行い、以降は、収容空間へ製品の導入の検出の度にこの動作を繰り返すことにより収納空間への製品の段積み様動作を達成し、他方、収容空間に収納された製品の所定高さ位置を検出し、この所定高さ位置に足りない場合は、伸縮体を伸張するべく原動機により直線駆動型アクチュエータを駆動することでワンウエイクラッチにより摩擦回転板底板を空転させつつ上昇させることにより、収容空間に収納された製品の所定高さ位置をいつも維持するようにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の収納装置においては、製品の導入時に、底板を回転させながら下降させることで、製品底面上に周方向に満遍なくかつ段積み様に収納することができ、製品の高い収納効率を得ることができる。
【0010】
底板の上下動を回転軸の回転により伸縮される直線駆動型アクチュエータを用いることにより、回転軸の回転駆動のための原動機を摩擦回転板の回転駆動源にも役立てることができ、底板の効率的な昇降及び回転駆動が可能となる。
【0011】
また、底板の上昇は、底板の回転を伴うことなく行なわれるため、既収納の製品の回転方向位置をそのままに、適正な高さ位置で次ぎの製品の受け取りに備えることができ、製品の効率的な収容が可能である。
【0012】
また、底板の上昇は、底板上の製品の高さを検出して行なうことにより、収納装置における製品の高さ位置を確保することができ、製品の取り扱いを行う作業員に快適な作業環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1はこの発明の収容装置10の全体を示す模式的斜視図である。
【
図2】
図2は
図1の大略II-II線に沿って示される底板及び支持板の断面図である。
【
図3】
図3は
図2のIII-III線に沿って示される摩擦回転板の断面図である。
【
図4】
図4はマイクロコンピュータにより制御装置の全体概略図である。
【
図5】
図5は、この発明の収納装置における部品収容袋の収納のための動作を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6はこの発明の収納装置における部品収容袋の排出のための動作を説明するフローチャートである。。
【
図7】
図7は発明の収容装置の模式的縦断面図であり、底板上への部品収容袋の開始時を示す。
【
図8】
図8は発明の収容装置の模式的平面図であり、底板上へ部品収容袋が円周方向に並ベられた状態を示す。
【
図9】
図9は発明の収容装置の模式的縦断面図であり、底板上への部品収容袋の段積み様の収容が完了した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1はレベルカート型のこの発明の収納装置10を示す。この実施形態においては、収納装置10は自動車用ワイヤハーネスのための部品製造工場において、コンベヤ若しくはシュート11から搬送されてくる製品としてのワイヤハーネスの組み立て用の部品収容袋12(本発明の製品)を一旦収容するため設置されたものである。工場からの出荷のため、作業員は収納装置10から部品収容袋12を取り出し、ダンボール箱に詰め替える作業を行う。そして、この際の作業性の向上のため、収納装置10は、後述のように、そこに収容された製品の上面位置を略一定化することができるような工夫がされている。
【0015】
収納装置10は、鋼板製の支持台14と、支持台14上に溶接等により一体固定される鋼板製断面円形の外筒16(本発明の筒状体)と、外筒16に相対回転可能に配置され、外筒16とで製品製品若しくは製品収容体のための収容空間Sを形成する鋼板製の底板18と、底板18に近接して支持台14側(下側)に配置され、底板18が回転可能に載置される鋼板製の支持板20と、直線駆動型アクチュエータ22と、アクチュエータ22の回転駆動用の電動モータ24(原動機)と、底板18の回転駆動を行なう摩擦回転板26と、底板18の支持台方向への下降移動に対応した一方向にのみ回転駆動モータ24の回転を摩擦回転板26に伝達するワンウエイクラッチ28とを備える。
【0016】
底板18は円板状をなし、その外周が外筒16の内周より幾分小さくかつ底板18は支持板20に対し回転可能に取付けられている。底板18を支持板20に回転可能に取り付ける構成について説明すると、支持板20の回転中心と同芯にボールベアリング30が配置され、
図2に示すように底板18の中心孔18-1に中心軸32が溶接等により固定される。中心軸32の上端は、底板18の上面と面一となるようにされ、他方中心軸32の下端側はベアリング30のインナレース30-1に圧入されている。圧入の程度は、製品収容時に回転中の底板18にかかる所定以上の負荷に対して、中心軸32がインナレース30-1に対して空回りできる程度とされ、これにより収納装置を過負荷から保護することができる。支持板20は中心孔20-2を有し、中心孔20-2の内周縁はベアリング30のインナレース30-1とアウタレース30-2との中間に位置している。支持板20の上面には中心孔20-2と同芯に環状部材33が溶接固定され、この環状部材33の内周面にベアリング30のアウタレース30-2が圧入される。支持板20からのベアリング30及び環状部材33の高さは、底板18と支持板20との間隔に幾分足らず、そのため、支持板18は中心部においてベアリング30により回転可能に支持される。支持板20の中心より外径にやや近い部位において円周方向に等間隔に複数のボールローラ34が配置され、ボールローラ34のボール受座34-1(
図2も参照)は支持板20にスペーサ34-2を介してボルト等により固定されている。ボールローラ34は、上面において、底板18に当接しつつ転動可能とされる。このようにして、支持板20は底板18を、中心部ではボールベアリング30により、外周部はボールローラ34により支持しており、底板18の支持板20上でのスムースな回転を実現することができる。
【0017】
次に、直線駆動型アクチュエータ22について説明すると、直線駆動型アクチュエータ22は、底板20の底面に固定される本体36と、その回転運動により伸縮体40の延出若しくは後退を惹起させる回転駆動軸38と、回転駆動軸38の回転駆動により、回転方向に応じて、剛直状態を維持しつつ回転角度に応じたストローク量にて本体36より支持台14に向け垂直方向に延出し若しくは後退する伸縮体40とを備える。直線駆動型アクチュエータ22は株式会社椿本チェーンの製造販売するジップチェーンリフタなる商品名(株式会社椿本チェーンの登録商標)のものを採用することができ、この場合、伸縮体40は複数のチェーン片が連なった2本又は複数本のチェーン40-1, 40-2が互いに噛み合うことにより構成される。直線駆動型アクチュエータ22は、その具体的構成如何は本発明の本旨とは無関係であり、簡明のため略図(
図1、
図7及び
図9)にて表されているが、2本のチェーン40-1, 40-2がどのように噛合を行うことにより剛直な伸縮体40を構成するかの仕組み等詳細については、必要あれば特許文献1や特許文献2等を参照されたい。ジップチェーンリフタなる商品名の直線駆動型アクチュエータ22の具体的な構造は回転駆動軸38は特許文献1や特許文献2のそれとは厳密に同一ではないが、チェーンの噛合により剛直な伸縮体を構成する原理において同一である。伸縮体40は外筒16の中心軸(底板18の中心軸)と直交するようにかつ外筒16の直径(底板18の直径)上を延びている。そして、回転駆動軸38は図示しないが本体36内部まで延出しており、本体内部における回転駆動軸38の延出部上にスプロケット42が配置され、2本のチェーン40-1, 40-2は、本体36内へ引き込まれるとき、スプロケット42をその片方のチェーン40-1に他方のチェーン40-2の裏面側で噛み合いさせつつ、左右に分かれるようにされ(チェーン40-1, 40-2の剛直性は喪失され)、本体36内部への引き込み方向へのスプロケット42(回転駆動軸38)の反時計方向(矢印a)の回転の継続と共にチェーン40-1, 40-2は本体36の内部に形成されたチェーン収容溝に収容される。スプロケット42(回転駆動軸38)の以上とは逆方向の時計方向回転(矢印b)の場合は、2本のチェーン40-1, 40-2は噛合することにより剛直な伸縮体40を形成しながら垂直下方に伸張されることになる。
図1に示すように直線駆動型アクチュエータ22の本体36はボルト44等の締結具により支持板20の下面に固定されている。支持板20に対する本体36の固定方式は本体の構造に従い任意の最適な方式を選択することができる。そして、伸縮体40の下端においてチェーン40-1, 40-2は締結板40aにより噛合状態で一体化されており、端部板40aは締結部材45により支持台14にボルト止めされている。以上の構成より以下の動作は理解されよう。即ち、スプロケット42の反時計方向(矢印a)の回転により伸縮体40は本体36の内部に引き込まれ(伸縮体40は収縮され(本体36の外部における伸縮体40の長さが短縮され))、そのため、支持板20及び支持板20上に載置された底板18は下降(矢印d)される。スプロケット42の時計方向の回転(矢印b)により伸縮体40は本体36の内部から繰り出され(伸縮体40は伸張され(本体36の外部における伸縮体40の長さが延長され))、そのため、支持板20及び支持板20上に載置された底板18は上昇(矢印u)される。
【0018】
図1において、電動モータ24は、その本体が取付板46によって支持板20の下面に固定される。電動モータ24の回転軸24-1上にプーリ48が固定され、他方、直線駆動型アクチュエータ22の回転駆動軸38上にはプーリ50が設けられ、プーリ48, 50はベルト52により連結され、電動モータ24の回転軸24-1の回転が本体36の内部における回転駆動軸38上のスプロケット42に同一回転方向(矢印a若しくはb)に伝達され、伸縮体40の伸張(底板18の上昇(矢印u))若しくは収縮(底板18の下降(矢印d))が行われる。即ち、電動モータ24の回転軸24-1の反時計方向(矢印a)の回転により伸縮体40は長さが短縮され、支持板20及び支持板20上に載置された底板18は下降(矢印d)される、電動モータ24の回転軸24-1の時計方向(矢印b)の回転により伸縮体40は長さが延長され、支持板20及び支持板20上に載置された底板18は上昇(矢印u)される。
【0019】
回転駆動軸38はカップリング(簡明のため図示しない)を備えた長軸のものであり、端部は支持板20の下面に固定される軸受板54により回転可能に支持されている。周知のワンウエイクラッチ28は回転駆動軸38に取り付けられ、ワンウエイクラッチ28は、回転軸24-1の反時計方向回転(矢印a)時、即ち、支持板20及び底板18の下降(矢印d)時に摩擦回転板26にその回転運動を伝達するが、回転軸24-1の時計方向回転(矢印b)時、即ち、支持板20及び底板18の上昇時(矢印u)に摩擦回転板26に回転運動を伝達しないようにされる。即ち、摩擦回転板26は反時計方向(矢印a´)にのみその回転が可能とされている。
【0020】
摩擦回転板26は外周面における円周方向に等間隔に溝部を形成しており、溝部に弾性材(ゴム)よりなる摩擦部材56を嵌着している。また、摩擦回転板26の、摩擦部材56を嵌着した外周部は、回転中に、支持板20に形成されるスロット状開口20-1を介して底板20の底面に向けて突出係合することができる(
図2の左端部分及び
図3参照)。上述のように、回転駆動軸38は底板18と平行に、即ち、水平にかつ直径上を延びている。そのため、摩擦回転板26の反時計方向の回転(a´)は、摩擦部材56により底板18に伝達され、底板18は鉛直軸を中心に時計方向(矢印c)に回転され、かつ底板18の時計方向(矢印c)の回転は底板18の下降(矢印d)と同時に惹起されることになる。他方、底板18の上昇(矢印u)はワンウエイクラッチ28が回転を伝達しないため底板18の回転を伴うことなく行なわれることになる。
【0021】
本実施形態においては、アクチュエータ22の上端の本体36を支持板20に固定し、下端の締結板40aを支持台14に固定し、換言すれば、アクチュエータ22による支持板20の支持第14に対する固定は中心部において行われている。支持板20及び及び支持板20上に載置される底板18の安定支持のためガイドローラ58が設けられる。ガイドローラ58は、その水平な回転軸58-1が支持板20の下面に溶接等により固定されたアングル板60に対し回転可能に支持され、かつガイドローラ58は外筒16の対向内面に軽く当接するようにされる。図には一個のみ示されるがガイドローラ58は円周方向に離間して適当な数(例えば3個)設置され、アクチュエータ22による支持板20の安定な昇降移動を確保することができる。支持板20の安定な昇降移動を確保するための案内手段の別実施形態として、外筒16の上下方向に適当な間隔で2本のスロットを設け、底板18から延出される2本のアームを夫々のスロットに挿通させ、アームの端部の筒状部(内周にスライドベアリングを有する)を外筒16の外部において支持台14から直立固定される2本のガイド棒に挿通させるような構成とすることも可能である。
【0022】
図1において、外筒16の上部に対するシュート11の開口部には光学式のセンサ(入りセンサ)62が設けられ、入りセンサ62はシュート11上を送られてきた部品収容袋12がここを横切り外筒16内に投入されることを感知することにより動作される。また、外筒16の上縁に沿って光学式のセンサ(以下上面センサ)64が設置される。上面センサ64は、シュート11から投入されることにより底板18上に投入された部品収容袋12の上面位置を検出するように設けられる。本発明においては、部品収容袋12の投入がされると、底板18は部品収容袋12にタイマの設定時間(底板上の部品収容袋12の略幅分に相当する回転角度)回転されるがこの際の下降量は底板18上の部品収容袋12の高さより相当に大きくなる設定であるが、底板の回転後に次々と投入される部品収容袋12の高さ位置を底板18の上昇により位置合わせするべく、この高さ位置の検知のため上面センサ64を設けたものである。上面センサ64は底板18の全面での部品収容袋12の高さ位置の検出を可能とするため円周方向に長く延びた受光面を備えたものとして構成される。また、外筒16の壁面支持台20の上限センサ66及び下限センサ68が設けられ、後述の制御装置による底板18に積載される部品収容袋12の位置制御の際に何らかの原因により制御域を外れた場合にアラーム及び強制停止を行なうこともできるようになっている。
【0023】
支持台14は下面の四隅にキャスタ70を備え、また、手押し用のハンドル72を備えており、本発明の収納装置10をレベルカート式の作業台車として実施することができるようになっている。
【0024】
本発明の実施形態の収納装置10においては、シュート11(
図1)からの部品収容袋12を底板18に円周方向に敷き詰め段積みしつつ収容された製品の高さは部品収容袋12の導入時も排出時に一定高さに制御することにより作業員の楽な姿勢を保持し、高い作業性が得られるような工夫がされている。このような制御のための制御装置について以下説明すると、本実施形態では、制御装置はマイクロコンピュータのソフトウエアによる制御に依拠している。
図5において、収納装置10の制御用のマイクロコンピュータ式制御回路74として示され、制御用のマイクロコンピュータとしては一般的なものであるためそのシステム構成は図示しないが、周知のようにが、中央演算装置(MPU)と、プログラムや設定データを格納したリードオンリメモリ(ROM)、演算処理のためのデータの一時的な格納や受け渡しをランダムアクセスメモリ(RAM)、各センサ(入りセンサ62、上面センサ64、上限センサ66、下限センサ68)であるからのデータの取り込みのためのゲート、そして、底板18の昇降駆動を行なうための回転モータ24への制御信号のためのゲート、更には、アラームのためのランプやブザー25への制御信号のためのゲート等を具備している。
【0025】
次に制御装置による収納装置10の動作説明をすると、本発明が実施形態としてのワイヤハーネスの組み立て用の部品製造の場合、部品収容袋12には自動車等のワイヤーハーネスの構成部品であるプラスチックにて成形される各種のコネクタやケーブルが含まれ、コネクタのプレス成形は時間を要するため、シュート11からの部品収容袋12は5分に一つといった速度であり、他方、収納装置10からの人手によるダンボール箱への収納は1分程度で完了する作業である。そして、作業現場でも、収納装置10への部品収容袋12の収納完了を待って、収納装置10からの部品収容袋12の排出を行なうような作業の流れとなっており、基本的には、収納装置10の動作制御もこの作業の流れに併せて、部品収容袋12の収納を行なうプログラム部分と、収納装置10からの部品収容袋12の排出を制御するプログラム部分とから構成される。これらのプログラム部分は制御回路74のリードオンリメモリに書き込まれているが、以下、収納装置10の動作制御をフローチャートによって説明すると、
図5はシュート11から収納装置10への部品収容袋12の収納動作を示すフローチャートであり、収納動作の開始の際に、初期状態として、
図1及び
図7に示すように、支持板20は上限センサ66に対向した位置にて静止するように設定されている(後述
図6のフローチャートにおけるステップ104-110)。この初期状態から、ステップ80では、入りセンサ62がONか否かの判定が行なわれる。シュート11に部品収容袋12が来ていない状態ではセンサ62はOFFのため、NOと判定され、ループするが、部品収容袋12が到来するとセンサ62がONとなり、YESの判定となりステップ82に進み、底板18の下降及び回転が開始され、また、タイマTの始動(経過時間計測開始)が行なわれる。即ち、電動モータ24は反時計方向に回転(
図1の矢印a)を開始し、伸縮体40を構成するチェーン40-1, 40-2は本体36内に引き込まれ、伸縮体40は収縮され、支持板20及び支持板20上の底板18は下降(
図1の矢印d)を開始し、同時に摩擦回転板26も回転(矢印a´)を開始するのでシュート11からの部品収容袋12を乗せた底板18も回転(矢印c)を開始する。次のステップ84では下限センサ68がONか否か判定される。下限センサ68は支持板20が下限センサ68と正対したときONされ、それ以外はOFFであるため、このときは、下限センサ68はOFFであるため、NOの判断となり、ステップ86ではタイマTが設定値T
0に達しているか否かが判断される。T
0は部品収容袋12がシュート11からの底板18に落下後の底板18が部品収容袋12の略幅分の角度回転する時間に応じて設定される値である。また、設定値T
0の間の底板18の下降量は、底板18上の部品収容袋12の上面がセンサ64の検出範囲を下回る設定となっている。最初は、当然に、タイマTは設定時間T
0に達していないため、NOの判断となり、ステップ82に戻り、底板18は下降及び回転は継続される。
【0026】
シュート11から落下した部品収容袋12を乗せた底板18が部品収容袋12の大略幅に相当する角度回転すると(このときの底板18上の部品収容袋の状態を
図1において想像線12aにて示す)、すなわち、底板18のシュート11対向部位が次の部品収容袋12を受容するべく空きが概ね形成されると、タイマTは設定時間T
0に達示し、ステップ86の判断はYESとなり、ステップ88に進み底板18は即座に上昇に切り替わる。即ち、電動モータ24は時計方向bに回転方向を切り替え、スプロケット42はチェーン40-1, 40-2を本体36から噛合させつつ伸縮体40として延出させるため支持板20及び支持板20上に載置される底板18は矢印uのように上昇を開始する。底板18の上昇時はワンウエイクラッチ28の非係合方向の回転であるため、底板18の回転は行なわれない(底板18上に投入された部品収容袋12の回転方向位置はそのまま維持される)。また、底板18の上昇への切り替えと同時にタイマTはクリヤされる(タイマTの値=0とされる)。次のステップ90では、上面センサ64がONか否か判断される。設定値T
0の間の底板18の下降量は、底板18上の部品収容袋12の上面がセンサ64の検出範囲を下回る設定となっているため、最初は、底板18上の部品収容袋12の高さが上面センサ64の検出範囲より低くなるため、上面センサ64はOFFであり、ステップ90の判断はNOとなり、ステップ90にループし、底板18の上昇(矢印u)は継続される。底板18が底板18上の部品収容袋12の高さが上面センサ64の位置まで上昇すると、上面センサ64はONに切り替わり、ステップ90の判断がYESとなるため、ステップ92に進み、電動モータ24の停止により底板18の上昇(矢印u)は停止される。そして、ステップ80にループし、シュート11への次の部品収容袋12到来(入りセンサ62のON)を待ち、通常は、満杯となった収納装置10からの手操作による部品収容袋12の排出が行なわれ、次の収容工程の開始を待つ。
【0027】
図6は、部品収容袋12で満杯となった収納装置10からの部品収容袋12の排出
を制御するプログラム部分による動作を示すフローチャートである。ステップ100では上面センサ64がOFFか否かの判断が行なわれる。部品収容袋12で満杯の場合に、上面センサ64はONであり、NOとの判定結果となり、プログラムはループされる。最上層の部品収容袋12の排出が行われると、上面センサ64はOFFとなり、ステップ100の判定結果はYESとなり、ステップ102に進み、電動モータ24は時計方向(
図1の矢印b)に回転され、スプロケット42によってチェーン40-1, 40-2は本体36から延出され、チェーン40-1, 40-2の噛合部により構成される伸縮体40の長さを延長し、支持板20はその上の底板18と共に上昇(
図1の矢印u)される。この際、ワンウエイクラッチ28は摩擦板26に矢印b方向の回転を伝達しないため、底板18は静止したままである。ステップ104では上限センサ66がONか否か判定され、最初は上限センサ66はOFFであるため、NOと判定され、ステップ106に進み、上面センサ64がONか否か判定される。最上層の部品収容袋12が上面センサ64の検出範囲まで未だ上昇
しきらないときは、上面センサ64はOFFであり、NOと判定され、ステップ102にループし、支持板20及びその上の底板18の上昇を継続する。最上層の部品収容袋12が上面センサ64の検出範囲まで上昇すると、上面センサ64はONとなり、YESと判定され、ステップ108に進み、電動モータ24は停止され、伸縮体40の長さを延長も停止し、支持板20はその上の底板18と共に上昇を停止する。以下、工程の繰り返しにより、収納装置10内の部品収容袋12は上層部から取り出されてゆく。そして、支持板20が上限センサ66(
図1)と対向する位置まで上昇するに至ると、上限センサ66がONとなり、ステップ104の判断がYESとなり、ステップ110に進み、収納装置10からの部品収容袋12の排出は完了となる。
【0028】
以上のフローチャートの説明より、部品収容袋12の収容時における収納装置10の以下の動作は理解することができよう。即ち、
図7は、収納装置10を縦断面において模式的に示すが、初期状態においては、支持板20は上限センサ66と対向する上限位置にあり、アクチュエータ22の伸縮体40は最延長状態にあり、この状態において、シュート11から部品収容袋12が投入され、底板18が少しずつ(タイマTの設定時間T
0)回転するため、
図8に模式的に示すように、部品収容袋12は底板18上に円周方向に敷き詰めるように収容されてゆく。そして、その後の収納装置10に対する部品収容袋12は段積み用に行なわれ、最初に敷き詰められた部品収容袋12の層の上に次の部品収容袋12の層が形成されるように行なわれる。
図9は収納装置10に満杯になるまで部品収容袋12が底板20上、段積み様に収容された状態を模式的に示しており、アクチュエータ22の伸縮体40は最短縮され、支持板20は下限センサ68に対向する最下限位置にある。そして、この満杯状態からの部品収容袋12の排出が最上層から行われ、その際、上面センサ64による部品収容袋12の検出位置(
図1の状態)まで、支持板20及びその上の底板18の上昇が行なわれる。
【0029】
図5及び
図6の動作の説明は、基本的な動作としての、収納装置10を部品収容袋12で満杯にする際の動作と、部品収容袋12で満杯となった収納装置10から部品収容袋12を空となるまで排出する際の動作とを個別的に説明したものであるが、製品で満杯となる前に部品収容袋12の取出しが行われ、上面センサ64がOFFとなった場合においても、底板18の上昇が即座に行われることにより上面センサ64がONとなるため、収納装置10における部品収容袋12の上面はいつも一定となるような制御が行われるようになっている。
【0030】
本実施形態では収納装置10の動作は、マイクロコンピュータ式の制御回路74によりソフトウエアにより制御されるものとして説明したが、これは必ずしも必須ではなく、同様の動作をシーケンス回路(シーケンサー)などのハードウエアにより実現することが可能であり、これも本発明の技術的思想に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0031】
10…収納装置
11…シュート
12…部品収容袋(本発明の製品)
14…支持台
16…外筒(本発明の筒状体)
18…底板
20…支持板
22…直線駆動型アクチュエータ
24…電動モータ(原動機)
26…摩擦回転板
28…ワンウエイクラッチ
30…ボールベアリング
34…ボールローラ
36…アクチュエータの本体
40…アクチュエータの伸縮体
40-1, 40-2…伸縮体を構成する噛合チェーン
42…スプロケット
48, 50…プーリ
52…ベルト
56…摩擦ロッド
58…ガイドローラ
62…入りセンサ
64…上面センサ
66…上限センサ
68…下限センサ
70…キャスタ
72…ハンドル
74…制御回路