(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】リング状層板パケットの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20220310BHJP
H02K 1/16 20060101ALI20220310BHJP
H02K 1/28 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H02K1/18 C
H02K1/16 Z
H02K1/28 D
(21)【出願番号】P 2015007586
(22)【出願日】2015-01-19
【審査請求日】2017-12-14
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】10 2014 000 690.5
(32)【優先日】2014-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514013875
【氏名又は名称】キーンレ ウント シュピース ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ブルクハルト
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】小川 恭司
【審判官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-225558(JP,A)
【文献】特開平3-78447(JP,A)
【文献】特開2003-304656(JP,A)
【文献】特開2003-264962(JP,A)
【文献】特開2010-166664(JP,A)
【文献】特開平9-84282(JP,A)
【文献】特開平6-105487(JP,A)
【文献】特開昭51-66405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ少なくとも1つのポールシャフト(3)と少なくとも1つのポールシュー(4)とを有している複数の互いに接触している個別歯層板(1a)から成る個別歯パケット(1)から構成されたリング状層板パケットの製造方法であって、隣接しあっている前記個別歯パケット(1)がその前記ポールシュー(4)の端面(5,8)でもって互いに接触し、前記個別歯パケット(1)の間に少なくとも部分的に接着剤が挿入される前記製造方法において、
前記個別歯パケット(1)の間にそれぞれ継ぎ合わせ隙間(11)を形成させ、コイル巻きを施す前の前記リング状層板パケット(2)の搬送のために、前記接着剤を、前記継ぎ合わせ隙間(11)の領域において、コイル巻きを施す前の前記リング状層板パケット(2)の少なくとも1つの端面(10,12)に塗布して、前記接着剤を毛細管作用によって前記継ぎ合わせ隙間(11)に浸透させることで、一方では搬送の間に前記個別歯パケット(1)を保持させ、他方では搬送後に前記個別歯パケット(1)を手の力を利用して互いに切り離した後で該個別歯パケット(1)にコイル巻きを施して、コイル巻きを施した前記リング状層板パケット(2)を再び組み立てることを特徴とする前記製造方法。
【請求項2】
コイル巻きを施す前の前記リング状層板パケット(2)の搬送のために、前記接着剤を滴状形態で塗布することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記個別歯層板(1a)を形成するため、押し抜き工具で、まず前記個別歯パケット(1)を形成する複数の隣接しあっている前記個別歯層板(1a)の間に分離個所を形成し、更なるステップで前記個別歯層板(1a)を薄帯板から押し抜くことを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
円形配置の状態にある前記個別歯層板(1a)が前記
リング状層板パケット(2)の平面を形成し、前記個別歯層板(1a)を、前記押し抜き工具で押し抜いた後、一連の押し抜き
工程の雌型内で互いに結合させて前記
リング状層板パケット(2)を形成させること、次に前記接着剤を塗布することを特徴とする、請求項
3に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ少なくとも1つのポールシャフトと少なくとも1つのポールシューとを有している複数の互いに接触している個別歯層板から成る個別歯パケットから構成されたリング状層板パケットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
個別歯層板から形成される個別歯パケットを組み立ててリング状層板パケットを形成することは公知である。個別歯パケットを組み立ててリング状層板パケットを形成することができるようにするため、個別歯パケットのポールシューは所定の当接面を有し、好ましくはその1つの端面に突起を有し、反対側の端面に突起に対し補完的な凹部を有している。突起は正面図で見て部分円形状に形成されて、180゜以上にわたって延在している。個別歯パケットは、組立の際に、その突起でもって該個別歯パケットの一端において、隣接している個別歯パケットの対応する凹部に挿着され、継ぎ合わされた複数の個別歯パケットが互いに同じ高さに位置するまで、個別歯パケットの長手方向に変位せしめられる。組み立てられた個別歯パケットは顧客のもとでふたたび分解されて、外装(ummanteln)およびコイル巻き(bewickeln)が施される。次に、顧客が再び個別歯パケットを組み立ててリング状層板パケットを形成させる。継ぎ合わせ工程においても分離過程においても、突起および凹部の領域でしばしば望ましくない変形が生じることがあり、これによって層板パケットの電気特性および幾何学的条件も悪化する。また、個別歯パケットを変位させる際に屑が凹部内に侵入することもある。屑は、個別歯層板において押し抜きの際に薄帯板から形成される押し抜きまくれに起因している。屑のために、電気作動手段で層板パケットを使用する際に短絡が生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、この種のリング状層板パケットの製造方法を次のように構成すること、すなわち電気的条件および幾何学的条件に関する阻害なしに、且つ後の層板パケットの使用時の短絡の恐れなしに、個別歯パケットを簡単にリング状層板パケットに継ぎ合わせ、これから取り外すことができるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴ある構成により解決される。
【0005】
本発明は、すでに述べたように、それぞれ少なくとも1つのポールシャフトと少なくとも1つのポールシューとを有している複数の互いに接触している個別歯層板から成る個別歯パケットから構成されたリング状層板パケットの製造方法に関するものであるが、これに関連して、以下ではリング状層板パケット自体の構成に関しても言及する。リング状層板パケットは個々の個別歯パケットから成り、隣接しあっている個別歯パケットは少なくとも1つの接着剤結合部を介して互いに結合されている。接着剤結合部は、比較的小さな力を適用することで結合解除できるように構成されている。この接着剤結合部を適宜手で解除することが可能であり、その結果使用者は個別歯パケットを外装およびコイル巻きするためにリング状層板パケットから取り外すことができる。その際接着剤結合部は、搬送の間に個別歯パケットが確実に保持されるよう構成されている。
【0006】
個別歯パケットはそのポールシューの端面でもって互いに面接触し、接着剤結合部により保持されている。
【0007】
しかしながら、ポールシューが、その1つの端面に少なくとも1つの突起を有し、且つその他の端面に少なくとも1つの凹部を有し、突起と凹部とが好ましくはアンダーカットなしに形成されているのが有利である。突起と凹部とは、個々の個別歯パケットを外装しコイル巻きした後に位置正確に互いに並置してリング状層板パケットを形成させるのを容易にする。
【0008】
アンダーカットのない有利な構成なので、1つの個別歯パケットをその突起でもって隣接の個別歯パケットの凹部に側方から差し込むことにより、個別歯層板から形成される個別歯パケットを非常に簡単に継ぎ合わせることができる。従って、隣接しあっている個別歯パケットを長手方向に変位させる必要がない。対応的に、個別歯パケットを再び互いに切り離すのを簡単に行うことができる。突起および凹部のアンダーカットのない構成であるので、切り離し工程および継ぎ合わせ工程の際に望ましくない塑性変形は生じない。切り離し工程および継ぎ合わせ工程の際に押し抜きまくれが破断して凹部内に到達する恐れもない。個別歯層板の本発明による構成により、押し抜きの際に隣り合っている個別歯層板はリング状層板パケットに組み立てても隣り合っているので、電気特性および/または幾何学的特性に優れた個別歯パケット、よってリング状層板パケットを製造することができる。
【0009】
突起と凹部とは互いに補完し合うように形成されており、その結果個別歯パケット相互の簡単な継ぎ合わせ工程と正確な配向とが確保されている。
【0010】
ポールシューの前記1つの端面の領域における突起の幅が、この端面の幅よりも狭ければ、個別歯パケットの正確な位置決めに寄与する。この場合、隣接しあっている個別歯パケットは突起および凹部でもって互いに接触しているばかりでなく、突起および凹部の外側の領域にあるポールシューの端面でもっても互いに接触している。
【0011】
個別歯層板の突起は、その幅がポールシューの端面を起点としてその自由端の方向へ減少するように構成されている。
【0012】
この場合、突起がポールシューの端面を起点としてその自由端の方向へ連続的に先細りになっていれば、個別歯層板の簡単な製造が得られる。このように形成した突起は簡単に、コスト上好ましく製造することができる。これにより、このような個別歯層板から形成される個別歯パケットは、互いに簡単に切り離し継ぎ合わせることができる。
【0013】
有利な構成では、突起は三角形の輪郭を有している。
【0014】
突起はほぼ半円形の輪郭を有していてもよい。
【0015】
接着剤が、隣接しあっている個別歯パケットの間にある継ぎ合わせ隙間の領域にあれば、隣接しあっている個別歯パケットの確実な結合が得られる。この場合、接着剤は突起の外面と凹部の壁との間に設けられていてよい。ここだけに接着剤を設けてもよいが、これに加えて、突起または凹部の外側で互いに接している端面の領域にも接着剤を設けるようにしてもよい。
【0016】
接着剤が接着点の形態で塗布されていれば、十分に堅固であるが、簡単に解除可能な接着剤結合部が得られる。個別歯パケットの間で望ましい固定結合が得られるように多数の接着点を塗布する必要はない。このような構成によって接着剤も節約される。
【0017】
接着剤は、隣接しあっている個別歯パケットの間にある継ぎ合わせ隙間の領域に塗布される。この場合、有利には、接着剤を、継ぎ合わせ隙間の領域において、1つの層板パケットの少なくとも1つの端面に塗布する。このとき接着剤は毛細管作用で継ぎ合わせ隙間の中へ浸透する。接着剤を、継ぎ合わせ隙間の領域において、1つの層板パケットの両端面に塗布すれば、隣接しあっている個別歯パケットの間でのさらに好適な接着結合が得られる。
【0018】
接着剤は、個別歯パケットに沿って、互いに間隔をもって位置している個所の、隣接しあっている個別歯パケットの間の継ぎ合わせ隙間に塗布してもよい。毛細管作用により接着剤はそれぞれの継ぎ合わせ隙間に浸透する。
【0019】
さらに、接着剤を全面に塗布するのではなく、滴状形態で塗布するのが有利である。これは、個別歯パケットの間での確実な結合を得るうえで十分である。この場合、手の適当な力で個別歯パケットを再び互いに切り離すことができる。
【0020】
有利には、押し抜き工具で、まず隣接しあっている個別歯層板の間に分離個所を形成する。更なるステップで、好ましくは同じ打ち抜き工具を用いて個別歯層板を押し抜く。個別歯層板はリング状に配置されている。
【0021】
層板パケットを形成するため、リング状に直列に配置される個別歯層板を上下に設置し、適当な態様で互いに結合させる。すなわち、上下に設置した個別歯層板を互いに溶接および/または接着および/または形状拘束的におよび/または摩擦で結合させることができる。
【0022】
有利には、接着剤を、個別歯パケットの内側から個別歯層板の端面に塗布してもよい。
【0023】
本出願が対象とする構成は、特許請求の範囲の個々の請求項が対象とする構成によって得られるばかりでなく、図面および発明の詳細な説明の欄に開示した記載および構成によっても得られる。本出願が対象とする構成は、請求項の対象になっていなくとも、個々にまたは組み合わせて技術水準に対し新規なものであれば、本発明にとって重要なものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の更なる構成は、他の請求項、以下の説明および図面から明らかである。
図面に図示したいくつかの実施形態に関して本発明を詳細に説明する。
【
図1】本発明による
製造方法に従って製造された、個別歯層板から組み立てられたリング状層板パケットの斜視図である。
【
図5】本発明による
製造方法に従って製造された、個別歯層板から組み立てられた層板パケットの他の構成を
図3に対応して示した図である。
【
図6】本発明による
製造方法に従って製造された、個別歯層板から組み立てられた層板パケットの前記他の
構成を
図4に対応して示した図である。
【
図7】本発明による
製造方法に従って製造された、個別歯層板から組み立てられた層板パケットの更なる
構成を
図3に対応して示した図である。
【
図8】本発明による
製造方法に従って製造された、個別歯層板から組み立てられた層板パケットの前記更なる
構成を
図4に対応して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明する個別歯の形態の層板から、電気機械で使用されるリング状層板パケットが形成される。このような層板パケットはたとえば電動機のロータおよび/またはステータで使用される。
【0026】
以下に説明する層板は、1つのリングを形成する個別歯である。押し抜かれた複数のリングは組み立てられて1つのリング状層板パケット2を形成する。リング状層板パケット2は互い接触している個別歯パケット1から成っている。個別歯パケット1には、
図5に例示したように通し番号が付される。
図5の
構成では、1つのリング状層板パケット2は24個の個別歯パケット1から成っている。個別歯パケット1は顧客への搬送のために組み立てられてリング状層板パケット2を形成する。顧客はリング状層板パケット2を個別歯パケット1に分解して、これを外装しコイル巻きする。次に、個別歯パケット1をもとの順番で継ぎ合わせて層板パケット2を形成させる。個別歯パケット1は、以後の処理のために支障なく互いに切り離され、再び継ぎ合わせて簡単にリング状層板パケット2が形成されるように構成されている。個別歯パケット1に通し番号を付すのは、押し抜きの際に互いに隣接しあっている層板が、個別歯パケット1の切り離し後および継ぎ合わせ後に層板パケット2においても互いに隣接し合うようにするためである。これによって層板パケット2の最適な幾何学的特性および電気的特性が得られる。
【0027】
個別歯パケット1は複数の個別歯層板1aから形成される。有利には、個別歯層板1aを製造するために1つの薄帯板を使用し、この薄帯板から、
図5に例示したように24個の個別歯層板1aを切り出す。この場合、24個の個別歯層板1aは押し抜きによって薄帯板から切り出してもよいが、たとえばレーザー切断のような他の切断方法によって切り出してもよい。
【0028】
個別歯層板1aはポールシャフト3とポールシュー4とを有している。ポールシャフト3とポールシュー4とは互いに一体に形成されていてよい。しかし、ポールシャフト3とポールシュー4とを互いに切り離して製造し、その後互いに結合させるようにしてもよい。
【0029】
ポールシュー4は、その1つの端面5に、ほぼ三角形の輪郭を有する突起6を備えている。突起6の先端7は有利には丸みを帯びている。突起6はポールシュー4の端面5の中央から突出している。
【0030】
反対側の端面8に、ポールシュー4は、突起6に対し補完的な凹部9を有している。
【0031】
端面5の高さにおいて、突起6の半径方向の幅は端面5の幅よりも狭い。凹部9も、端面8の領域においてはこの端面よりも幅狭である。これにより、互いに隣接しあっている個別歯パケット1はその突起6および凹部9でもって互いに面接触しているばかりでなく、その端面5,8の一部でもっても互いに面接触している(
図3および
図4)。これにより、リング状層板パケット2内部で個別歯パケット1が互いに申し分なく配向されていることが達成される。
【0032】
本実施形態では、押し抜き工具で予め24個の分離個所が押し抜かれる。個別歯層板1aを結合させて個別歯パケット1を形成させるために設けられる結合要素は、切断工程前または切断工程後に取り付ける。次に、オプションで、個別歯パケット1を結合させてリング状層板パケット2を形成させるための接着箇所を設ける。同じ押し抜き工具で押し抜きを行う場合、たとえは24個の個別歯層板1aが円形配置で生じるが、このことはリング状層板パケット2の1つの面に対応しており、個別歯層板は一連の押し抜き工程の雌型内で結合されて層板パケット2を形成する。個別歯層板リングから層板パケット2が形成される。
【0033】
互いに上下に着座している個別歯層板1aは、適当な態様であればいかなる態様でも互いに結合されていてよく、たとえば接着結合、個別歯層板1aに設けられて互いに係合し合う凹凸、個別歯層板1aを貫通するピン等によって結合されていてよい。個別歯パケット1の内部では、複数の突起6は個別歯パケット1の高さ方向に延びる1つの細条部を形成し、この細条部により、個別歯パケット1は、これに隣接する個別歯パケット1の、凹部9によって形成されている溝に係合する。突起6と凹部9にはアンダーカットが設けられていないので、個別歯パケット1を外装工程およびコイル巻き工程の前に支障なく切り離すことができ、その後、製造すべきリング状層板パケット2の周方向で継ぎ合わせることによって再び支障なく継ぎ合わせることができる。互いに隣接しあっている個別歯パケット1を互いに接触させている平坦な端面5,8により、個別歯パケット1の申し分のない配向を保証することができる。
【0034】
個別歯パケットから形成されているリング状層板パケット2がばらばらに崩れないようにするため、隣接しあっている個別歯パケット1は少なくとも1つの接着箇所によって互いに結合されている。接着剤は、たとえば、隣接しあっている個別歯パケット1の間の継ぎ合わせ隙間11の領域でそれぞれ継ぎ合わされている個別歯パケット1の少なくとも1つの端面10に塗布される。毛細管作用の結果、接着剤は継ぎ合わせ隙間11の中に浸透する。接着剤は、継ぎ合わされている個別歯パケット1の、対向している端面12から、継ぎ合わせ隙間11の領域に塗布してもよい。層板パケット2の厚さによっては、接着剤を、両端面において、隣接しあっている個別歯パケット1の間の継ぎ合わせ隙間の中に塗布してもよい。また、接着剤を個別歯パケット1の内側から、いくつかの個別歯層板またはすべての個別歯層板1aの端面に塗布してもよい。
【0035】
同様に、接着剤を継ぎ合わせ隙間11に沿って個別歯パケットの長手方向に塗布することが可能である。しかし、このような処置は押し抜き工程以外でのみ可能である。
【0036】
接着剤により個別歯パケット1は層板パケット2内部で十分に固定結合され、その結果層板パケット2は搬送時に個別歯パケット1にばらけない。他方、接着力は、適宜力を作用させることによって層板パケット2が簡単に個別歯パケット1に切り離すことができる程度の大きさにすぎない。
【0037】
さらに、接着剤は、突起6によって形成される細条部に部分的に、好ましくは接着点として塗布することができる。同様に、接着剤を、凹部9によって形成される個別歯パケット1の溝の中に少なくとも部分的に、好ましくは接着点として塗布することもできる。接着剤としてはたとえばシアノアクリレート接着剤が考えられる。
【0038】
突起6と凹部9はアンダーカットを有していないので、個別歯パケット1を層板パケット2の周方向に互いに分離でき、継ぎ合わせることもできる。その際、電気的条件および/または幾何学的条件を悪化させるような変形は生じない。
【0039】
個別歯層板1aが薄帯板から押し抜き方法によって切り出される場合、個別歯層板1aは押し抜きまくれを有する。押し抜きまくれは、個別歯層板1の組み立ての際に問題にならない。というのは、個別歯層板は、アンダーカットを有していないために、互いに簡単に分離でき、再び組み立てることができるからである。
【0040】
図5および
図6は、個別歯層板1aのポールシュー4の端面5,8が平坦であるようにした1
構成を示している。それ故、前記
構成とは異なり、個別歯層板1aから形成される個別歯パケット1は、その端面5,8でもって互いに面当接している。端面5,8は、個別歯パケット1から形成されるリング状層板パケット2の軸面内にある。接着剤は前述した態様で、好ましくは接着点として塗布する。接着剤は個別歯パケット1の高さ方向に次のように配分して塗布され、すなわち互いに接触しあっている個別歯パケット1が確実にまとめて保持されるように塗布される。接着剤の部分的塗布は、前記
構成の場合のように、個別歯パケット1を支障なく互いに分離できて、これら個別歯パケットを外装、コイル巻きできるようにするためのものである。
【0041】
互いに隣接しあっている個別歯パケットは互いに形状拘束的に結合されていないので、接着剤を直接個別歯パケット1のそれぞれの端面5,8に塗布するのが有利である。しかし、基本的には、接着剤を互いに接触しあっている個別歯パケット1の端面10,12に継ぎ合わせ隙間11の高さで塗布することが可能であるが、これは押し抜き工程以外の工程でのみ実施可能である。毛細管現象のために接着剤は継ぎ合わせ隙間11内へ浸透し、これによって互いに接触しあっている個別歯パケット1の間での確実な固定結合を可能にする。
【0042】
図7および
図8の実施形態は、実質的に
図1ないし
図4の
構成に対応している。ポールシュー4の1つの端面5には突起6が設けられ、他方個のポールシューの他の端面8は凹部9を有している。突起6はほぼ半円形に形成され、
図1ないし
図4の
構成の突起6よりも幅狭である。これにより、互いに隣接しあっている個別歯パケット1はその端面5,8のより大きな範囲でもって互いに接触している。突起6と凹部9とは互いに補完し合うように形成されている。
【0043】
前記実施形態の場合と同様に、円形に配置されている個別歯層板1aを組み立ててリング状の層板パケット2を形成させる。個別歯パケット1の、突起6によって形成される細条部は、隣接している個別歯パケットの、凹部9によって形成される溝に係合する。突起6と凹部9とはアンダーカットを有していないので、個別歯パケット1は外装およびコイル巻きの前に簡単に切り離すことができ、また再び組み立てることができる。接着剤の塗布は、同様に、適当な力の作用によって層板パケット2をその個々の個別歯パケット1に分割できるように行われている。この分割工程も支障なく可能であり、というのは突起および凹部のアンダーカットのない構成により、個々の個別歯パケットを層板パケット2の周方向に互いに引き離すことができるからである。
【0044】
個別歯層板1aがその長手中心面に関しほぼ左右対称に形成されていれば、或いは、リング内で互いに直列に位置している個別歯層板が回転対称に形成されていれば、押し抜かれた個別歯層板1aをすでに形成されている積層体の上に載置する前に、回転ステーションを用いて積層体をその軸線のまわりに個別歯パケット1の角度だけ回転させることが可能である。これによって層板積層体2の平行度、同心性、平面性等に関してより好適な公差が得られる。
【符号の説明】
【0045】
1 個別歯パケット
1a 個別層板
2 層板パケット
4 ポールシュー
5 ポールシューの端面
6 突起
8 ポールシューの端面
9 凹部
10,12 層板パケットの端面
11 継ぎ合わせ隙間