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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20220310BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20220310BHJP
   B65H 26/02 20060101ALI20220310BHJP
   B65H 43/02 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J15/04
B65H26/02
B65H43/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017162524
(22)【出願日】2017-08-25
(65)【公開番号】P2019038666
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 慶一
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-120069(JP,A)
【文献】特開2007-161349(JP,A)
【文献】特開昭54-110011(JP,A)
【文献】特開2003-001885(JP,A)
【文献】特開2010-018406(JP,A)
【文献】特開2002-200805(JP,A)
【文献】特開2004-181768(JP,A)
【文献】特開2003-320724(JP,A)
【文献】特開2003-145857(JP,A)
【文献】実開昭60-110355(JP,U)
【文献】特開平09-254474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00-7/20
B41J 15/00-15/04
B65H 23/18-23/198
B65H 26/00-26/08
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれた用紙を収納し、当該用紙を排出する排出口が設けられた前方に向かうに従って高さが低くなる傾斜を有する底面と、第1の開口が設けられた前記前方の面とを有する収納部と、
前記収納部に収納された前記用紙を引き出して各種情報を当該用紙に印字する印字部と、
前記収納部に収納された前記用紙のロール部分の外径が所定の大きさよりも小さくなり、前記第1の開口が前記用紙により塞がれなくなった場合に、前記第1の開口から前記収納部の内部に突出する突出部と、
前記突出部が突出したことを検知するセンサと、
前記収納部の上方に設けられ、前記収納部に収納された前記用紙を取り出す第2の開口を開閉し、当該第2の開口を閉鎖した場合に前記収納部と連結させる突起部を有する蓋と、
前記蓋の開放に連動して前記収納部の外部に前記突出部を退避させて固定し、前記蓋の閉鎖に連動して前記突起部により移動させられることにより前記収納部の外部への前記突出部の退避の固定を解除する固定部と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記突起部は、凹部を連結させることにより前記蓋の閉鎖を固定する、
請求項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状に巻かれた用紙に各種情報を印字するプリンタが知られている。このようなプリンタは、例えばレシートを発行するレシートプリンタとして用いられる。
【0003】
ここで、ロール状に巻かれたレシート用紙には、残量が少なくなったことを示す赤線等のマークが付されている。店員は、マークの出現によりレシート用紙の残量が少ないことを把握している。
【0004】
しかしながら、赤線が付されたレシートは、見栄えが悪いという問題がある。また、顧客自身が会計処理等を実施するセルフPOS(Point Of Sales)端末やセミセルフPOS端末等の場合、端末が発行したレシートを受け付けるのは顧客自身であるため、店員は、赤線ではレシート用紙の残量が少ないことを把握できない可能性がある。そこで、プリンタに、レシート用紙の残量が少なくなったことを検知する検知機構を設けることが考えられる。しかし、検知機構がレシート用紙の収納部を監視する機構である場合、検知機構がレシート用紙の交換を妨害してしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、用紙の残量の検知機構による用紙交換の妨害を阻止することができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のプリンタは、収納部と、印字部と、突出部と、センサと、蓋と、固定部とを備える。前記収納部は、ロール状に巻かれた用紙を収納し、当該用紙を排出する排出口が設けられた前方に向かうに従って高さが低くなる傾斜を有する底面と、第1の開口が設けられた前記前方の面とを有する。前記印字部は、前記収納部に収納された前記用紙を引き出して各種情報を当該用紙に印字する。前記突出部は、前記収納部に収納された前記用紙のロール部分の外径が所定の大きさよりも小さくなり、前記第1の開口が前記用紙により塞がれなくなった場合に、前記第1の開口から前記収納部の内部に突出する。前記センサは、前記突出部が突出したことを検知する。前記蓋は、前記収納部の上方に設けられ、前記収納部に収納された前記用紙を取り出す第2の開口を開閉し、当該第2の開口を閉鎖した場合に前記収納部と連結させる突起部を有する。前記固定部は、前記蓋の開放に連動して前記収納部の外部に前記突出部を退避させて固定し、前記蓋の閉鎖に連動して前記突起部により移動させられることにより前記収納部の外部への前記突出部の退避の固定を解除する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るレシートプリンタを示す外観斜視図である。
図2図2は、レシートプリンタの上部ケースを開放した状態を示す斜視図である。
図3図3は、ニアエンド未検知時のレシートプリンタの断面図である。
図4図4は、ニアエンド検知時のレシートプリンタの断面図である。
図5図5は、上部ケースを開放時のレシートプリンタの側面図である。
図6図6は、上部ケースを開放時の後方から見た収納部の斜視図である。
図7図7は、上部ケースを閉鎖時のレシートプリンタの側面図である。
図8図8は、上部ケースを閉鎖時の後方から見た収納部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、プリンタの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、プリンタの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。本実施形態のプリンタは、ロール状に巻かれた用紙に取引内容を印字したレシートを発行するレシートプリンタへの適用例である。
【0009】
図1は、実施形態に係るレシートプリンタ1を示す外観斜視図である。図2は、レシートプリンタ1の上部ケース3を開放した状態を示す斜視図である。
【0010】
レシートプリンタ1は、下部ケース2と、上部ケース3との筐体に覆われている。そして、レシートプリンタ1は、下部ケース2と、上部ケース3とにより外部からの衝撃や埃等から保護されている。
【0011】
下部ケース2は、略直方体状のケースである。下部ケース2の上面には、上部ケース3が開閉可能に取り付けられる。また、下部ケース2には、レシートプリンタ1と外部機器との接続に使われる接続端子(不図示)や、レシートプリンタ1に電源を供給する電源端子(不図示)等が設けられる。
【0012】
上部ケース3は、収納部10に収納されたレシート用紙4を取り出す開口を開閉する蓋として用いられる。
【0013】
レシートプリンタ1は、下部ケース2と、上部ケース3との間隙から、取引内容が印字されたレシート用紙4を筐体の外部に排出する排出口5を前面に備えている。また、レシートプリンタ1は、排出口5の前方に、排出口5から排出されたレシート用紙4が載置される排出台6を備えている。
【0014】
レシートプリンタ1は、レシートプリンタ1の全体の動作を制御し、レシートプリンタ1が有する各種の機能を実現する制御部(不図示)を備える。制御部は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、レシートプリンタ1の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM等の記憶媒体に格納されたプログラムを実行する。
【0015】
レシートプリンタ1は、内部に、ロール状に巻かれたレシート用紙4を収納する収納部10を備える。収納部10は、例えば投げ込み方式によりロール状のレシート用紙4を支持する。すなわち、収納部10は、用紙ホルダー等のレシート用紙4を支持する支持部ではなく、収納部10の底面11と前面12によりレシート用紙4を支持する。
【0016】
収納部10は、レシートプリンタ1を側面から見た断面が、U字型に形成されている。収納部10の底面11は、レシート用紙4の搬送方向下流に向かうに従い低くなる傾斜面になっている。また、収納部10の前面12は、底面11との間に、垂直に近い鈍角を形成している。そのため、レシート用紙4が使用され、レシート用紙4のロール部分の外径が小さくなってきた場合には、レシート用紙4は、収納部10の前面12に移行する。これにより、レシート用紙4は前面12と底面11とに支持されるため、収納部10は、レシート用紙4が搬送される際においてもロール状のレシート用紙4の挙動を安定させることができる。
【0017】
上部ケース3は、内部に印字ヘッド20を備えている。例えば、印字ヘッド20は、発熱体を有するサーマルヘッドである。下部ケース2は、内部にプラテンローラ30を備えている。例えば、プラテンローラ30は、ゴム等の弾性を有する素材で形成されている。そして、プラテンローラ30は、収納部10から引き出したレシート用紙4を、印字ヘッド20に押圧する。また、プラテンローラ30は、モータ等により回転駆動する。これにより、印字ヘッド20と、プラテンローラ30とは、収納部10に収納されたロール状に巻かれたレシート用紙4を引き出して、各種情報をレシート用紙4に印字する。そして、印字ヘッド20と、プラテンローラ30とは、印字部の一例である。
【0018】
レシートプリンタ1は、印字ヘッド20及びプラテンローラ30よりも搬送方向下流側の下部ケース2に、レシート用紙4を切断するカッター40を備えている。カッター40は、印字ヘッド20及びプラテンローラ30によるレシート用紙4の搬送が完了した場合に、可動刃を迫り上げる。これにより、レシートプリンタ1は、レシート用紙4を切断する。
【0019】
また、レシートプリンタ1は、レシート用紙4のニアエンド状態を検知するニアエンド検知機構100を備える。ここで、ニアエンド状態とは、レシート用紙4の残量が閾値よりも少ない状態を示している。すなわち、ニアエンド状態とは、収納部10に収納されたレシート用紙4のロール部分の外径が閾値よりも低い状態を示している。
【0020】
以下、図3及び図4を参照して、ニアエンド検知機構100を説明する。図3は、ニアエンド未検知時のレシートプリンタ1の断面図である。図4は、ニアエンド検知時のレシートプリンタ1の断面図である。
【0021】
ニアエンド検知機構100は、回動部110と、センサ120(図5参照)とを備える。回動部110は、例えば、収納部10の前面12に隣接した位置に配置される。回動部110は、回動軸部111と、突出部112と、遮断部113とを備える。回動軸部111は、回動部110が回転運動を行う軸である。突出部112と、遮断部113とは、回動軸部111から二股に分かれている。そして、突出部112と、遮断部113とがなす角は、鋭角を形成している。
【0022】
回動軸部111は、弦巻ばね等の弾性体が取り付けられている。図3及び図4に示すように回動軸部111は、弾性体により、回動部110の回動軸部111を中心にして、反時計回り方向に回転させる弾性力が作用している。
【0023】
突出部112は、回動軸部111から遠ざかるに従い広がる略三角形に形成されている。さらに、突出部112の底辺は、略中央が凸な曲線形状になっている。そして、突出部112は、略半円形の頂点部114を設けている。頂点部114は、開口13から突出させる突出部112の先端である。すなわち、頂点部114は、収納部10に収納されたレシート用紙4と接する部分である。ここで、頂点部114は、略半円形に形成されている。これにより、頂点部114は、尖っている場合と比べて、レシート用紙4を傷付けてしまう可能性を低減させている。
【0024】
遮断部113は、略直方体に形成されている。遮断部113は、突出部112の収納部10の内部への突出に伴い移動する。また、遮断部113は、移動に伴い突出部112を収納部10の外部へ退避させる。また、突出部112と遮断部113とは、別々の部品により一体的に形成されていてもよいし、同一の部品により形成されていてもよい。
【0025】
ここで、収納部10の前面12には、突出部112に対応した位置に、突出部112の一部が突出可能な開口13が設けられている。開口13は、上端の位置が回動軸部111と略同じであって、下端の位置が突出部112の下端よりも高い位置にある。そして、開口13は、収納部10の側面に隣接した位置に設けられている。
【0026】
収納部10に収納されたレシート用紙4の残量がニアエンド状態よりも多い場合、ロール状に巻かれたレシート用紙4は、開口13の全部又は一部を塞いでいる。そのため、図3に示すように、回動部110は、ロール状に巻かれたレシート用紙4により回動を阻止されている。以下、図3に示すように、回動部110の回動がレシート用紙4のロール部分に阻止された時の遮断部113の位置をニアエンド未検知位置と呼ぶ。
【0027】
ロール状に巻かれたレシート用紙4の残量がニアエンド状態以下の場合、ロール状に巻かれたレシート用紙4は、開口13を塞ぐことができない。そのため、図4に示すように、回動部110は、回動部110の回動軸部111を中心にして、反時計回りに回動することにより突出部112を収納部10の内部に突出させる。以下、図4に示すように、回動部110の回動により突出部112が収納部10の内部に突出した時の遮断部113の位置をニアエンド検知位置と呼ぶ。このようにして、回動部110の遮断部113は、ニアエンド未検知位置からニアエンド検知位置に移動する。
【0028】
収納部10に収納されたレシート用紙4は、使用されるに従いロール部分の外径は小さくなっていく。この時、収納部10の底面11はレシート用紙4の搬送方向前方に向かうに従い低くなる傾斜面になっているため、レシート用紙4のロール部分は、収納部10の前面12に移行していく。仮に、底面11が傾斜面になっていない場合、レシート用紙4のロール部分は、搬送方向後方にも移動することができる。この場合、開口13は、レシート用紙4の残量がニアエンド状態に達していないにも関わらず、レシート用紙4のロール部分に塞がれなくなってしまう。従って、突出部112は収納部10の内部に突出してしまうため、レシートプリンタ1は、ニアエンド状態を誤検知してしまう。そこで、収納部10の底面11を傾斜面にすることにより、レシート用紙4が搬送方向後方に移動することを防止している。
【0029】
また、レシート用紙4は、反時計回りに回転して引き出されるように収納部10に収納される。そのため、図4に示すようにレシート用紙4の残量が少なくなった場合、レシート用紙4は、レシート用紙4のロール部分の搬送方向後方から引き出される。すなわち、収納部10は、レシート用紙4のロール部分のレシート用紙4を引き出す側とは反対側に開口13を設けている。これにより、収納部10は、ロール部分から引き出されたレシート用紙4によって開口13が塞がれることがない。よって、突出部112は、レシート用紙4に邪魔されることなく収納部10に突出することができる。
【0030】
図4に示すように、突出部112は、略三角形に形成されており、開口13から突出した部分の形状も略三角形となる。仮に、開口13から突出した部分の突出部112の形状が細長い直方体の場合、ロール状に巻かれたレシート用紙4を取り出す際に、突出部112がレシート用紙4に引っかかり突出部112が折れてしまうことがある。そこで、突出部112は、開口13から突出した部分の形状を略三角形とすることにより、突出部112が折れてしまう可能性を低減している。
【0031】
センサ120(図5参照)は、遮断部113がニアエンド検知位置にあることを検知する。すなわち、センサ120は、突出部112が収納部10の内部に突出したことを検知する。そして、センサ120は、回動部110の回動軸部111の下方であって、遮断部113の長手方向の長さと略同じ長さ離れた位置に配置される。
【0032】
センサ120は、例えば、U字型の光電センサである。センサ120は、U字型の一方の先端から他方の先端に、赤外線や可視光等の光を照射する。そして、センサ120は、一方の先端から他方の先端に照射した光を、他方の先端で受光したか否かにより、U字型の2つの先端の間に物体があることを検知する。
【0033】
レシート用紙4の残量がニアエンド状態よりも多い場合、遮断部113は、図3に示すようにニアエンド未検知位置にある。一方、レシート用紙4の残量がニアエンド状態の場合、遮断部113は、図4に示すようにニアエンド検知位置にある。すなわち、遮断部113は、回動部110の回動軸部111の下方に移動する。そして、回動部110の回動軸部111の下方にはセンサ120がある。
【0034】
このように、ニアエンド検知位置に遮断部113が移動した結果、センサ120の一方の先端から照射した光が遮断部113により遮断されるため、センサ120は、遮断部113がニアエンド検知位置にあることを検知する。すなわち、センサ120は、突出部112が開口13から収納部10の内部に突出したことを検知する。さらに、制御部は、センサ120の検知結果に基づいて、レシート用紙4の残量がニアエンド状態であると判定する。
【0035】
ところで、レシート用紙4のニアエンド状態が検知された場合、店員は、レシートプリンタ1のレシート用紙4を交換することになる。この時、突出部112が、収納部10の内部に突出した状態にあるとレシート用紙4の交換作業の妨げとなる。
【0036】
そこで、レシートプリンタ1は、上部ケース3の開閉に連動して、突出部112を収納部10から退避させる連動部150を備えている。以下、図5から図8を参照して、連動部150を説明する。
【0037】
図5は、上部ケース3を開放時のレシートプリンタ1の側面図である。図6は、上部ケース3を開放時の後方から見た収納部10の斜視図である。図7は、上部ケース3を閉鎖時のレシートプリンタ1の側面図である。図8は、上部ケース3を閉鎖時の後方から見た収納部10の斜視図である。
【0038】
上部ケース3は、上部ケース3を支持する上部フレーム31を備える。上部フレーム31は、下部ケース2を支持する下部フレーム21の後端に設けられたヒンジを介して取り付けられる。レシートプリンタ1は、ヒンジの回動により、上部ケース3の前方を跳ね上げるようにして、レシートプリンタ1の内部を開放する。下部フレーム21は、下部ケース2の内側であって、収納部10の外部に配置される。上部フレーム31は、上部ケース3の意図しない開放を防止するため、上部ケース3を下部ケース2に連結する連結部130を備える。
【0039】
連結部130は、突起部の一例である。連結部130は、上部フレーム31から下部ケース2に向けて突起している。更に詳しくは、連結部130は、凹部131と、先端部132とを備える。凹部131は、凹形状に形成されている。凹部131は、下部ケース2の凸部140と連結する。先端部132は、略三角形に形成された連結部130の先端部分である。
【0040】
ここで、連結部130の凹部131には、バネ等の弾性体によりレシートプリンタ1の後方に向けた弾性力が作用している。上部ケース3の閉鎖時には、凹部131と凸部140とは弾性力により強固に連結されるため、連結部130は、上部ケース3の閉鎖を固定することができる。一方、上部ケース3を開放する場合、店員が解除レバー(不図示)を引くことにより、連結部130は、レシートプリンタ1の前方に移動する。これにより、凹部131と凸部140との連結が解除されるため、店員は、上部ケース3を開放することができる。
【0041】
連動部150は、下部フレーム21の外部であって、回動部110よりも上方に配置される。連動部150は、連動軸部151と、取付部152と、固定部153と、接触部154とを備える。取付部152と、固定部153と、接触部154とは、連動軸部151を中心にして三又に分かれている。
【0042】
連動軸部151は、連動部150が回転運動を行う軸である。取付部152は、ばね等の弾性体が取り付けられる突起である。図5に示すように、取付部152は、弾性体により、連動軸部151を中心にして、時計回りの方向に弾性力を作用させる。また、取付部152の弾性力は、回動部110の弾性力よりも強い弾性力を有している。
【0043】
固定部153は、上部ケース3の開放に連動して、遮断部113をニアエンド未検知位置に固定する部分である。すなわち、固定部153は、突出部112を収納部10の外部に退避させて固定する。また、固定部153は、上部ケース3の閉鎖に連動して、遮断部113に対するニアエンド未検知位置への固定を解除する。すなわち、固定部153は、突出部112に対する収納部10の外部への固定を解除する。固定部153は、例えば鉤の形状に形成される。一方、遮断部113は、凸形状に形成された引掛部115を備えている。固定部153は、遮断部113に設けられた引掛部115に引掛けて、遮断部113を押し上げることでニアエンド未検知位置に固定する。
【0044】
接触部154は、上部ケース3が閉鎖された場合、連結部130の先端部132と接触する位置に配置される。接触部154は、上部ケース3が閉鎖された場合、先端部132により押し下げられる。連結部130は、接触部154が押し下げられた場合、連動軸部151を中心にして、反時計回り方向に回動する。
【0045】
図5に示すように、上部ケース3が開放されている場合、連動部150は、取付部152に取り付けられ弾性体の弾性力により、連動軸部151を中心にして時計回り方向に回動する。そして、連結部130は、接触部154が下部ケース2の凸部140と接触することにより回動を停止する。
【0046】
ここで、回動部110は、反時計回り方向に回動する弾性力が作用している。しかし、回動部110の弾性力は連動部150の弾性力より弱い。そのため、連結部130は、遮断部113に設けられた引掛部115に、固定部153を引掛けることにより、回動部110を時計回り方向に回動させる。その結果、固定部153は、遮断部113をニアエンド未検知位置に固定する。そして、突出部112は、遮断部113と共に移動するため、収納部10の外部に退避させられて固定される。従って、図6に示すように、突出部112は、収納部10の開口13から突出しない。
【0047】
図7に示すように、下部ケース2が閉鎖されている場合、上部ケース3の連結部130により、連動部150の接触部154は押し下げられる。すなわち、連動部150は、連動軸部151を中心にして反時計回り方向に回動する。その結果、固定部153は、遮断部113から離れた位置まで移動させられるため、遮断部113のニアエンド未検知位置への固定を解除する。そして、突出部112は、遮断部113のニアエンド未検知位置への固定が解除されたため、収納部10の外部への固定も解除される。よって、図8に示すように、回動部110は、収納部10に収納されたレシート用紙4がニアエンド状態である場合には、突出部112を突出させることができる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係るレシートプリンタ1は、ロール状に巻かれたレシート用紙4を、収納する収納部10を備えている。また、収納部10には、開口13が設けられている。レシート用紙4の残量がニアエンド状態になり、レシート用紙4のロール部分の高さが収納部10に設けられた開口13よりも低くなった場合に、突出部112が開口13から収納部10の内部に突出する。センサ120は、突出部112が開口13から収納部10の内部に突出したことを検知する。このようにして、レシートプリンタ1は、レシート用紙4の残量が少ないことを検知する。
【0049】
一方、上部ケース3が開放された場合、上部ケース3に設けられた連結部130の先端部132と、連動部150の接触部154とが接触しなくなるため、連動部150は、時計回り方向に回動する。これにより、連動部150の固定部153は、回動部110の遮断部113をニアエンド未検知位置に固定する。すなわち、固定部153は、突出部112を収納部10の外部に退避させて固定する。従って、本実施形態に係るレシートプリンタ1は、突出部112が収納部10に突出されなくなるため、レシート用紙4の残量の検知機構による用紙交換の妨害を阻止することができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0051】
また、上記実施形態では、レシートを印字するレシートプリンタ1に適用する場合を例に説明した。しかし、プリンタは、レシートプリンタ1以外の装置にも適用することができる。例えば、プリンタは、ラベルを印字するラベルプリンタや、POS端末に搭載されるプリンタや、現金自動預け払い機に搭載されるプリンタ等に適用することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、センサ120は、光電センサであると説明した。しかしながら、センサ120は、光電センサに限らず、磁気センサや、機械的なスイッチ等であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 レシートプリンタ
2 下部ケース
3 上部ケース
4 レシート用紙
10 収納部
11 底面
12 前面
13 開口
110 回動部
112 突出部
113 遮断部
120 センサ
130 連結部
140 凸部
150 連動部
153 固定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【文献】特開平9-254474号公報
図1
図2
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図6
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図8