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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】合成樹脂製キャップ及び容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
B65D41/34 116
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017213780
(22)【出願日】2017-11-06
(65)【公開番号】P2019085136
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】川村 伸生
(72)【発明者】
【氏名】小野 淳史
(72)【発明者】
【氏名】梅木 慎吾
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-509188(JP,A)
【文献】特開平06-199356(JP,A)
【文献】特開2013-203440(JP,A)
【文献】米国特許第05405032(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状の側壁を有する合成樹脂製キャップであって、
前記側壁の開放端部となる下端部の内周面に内方に突出する突出部が設けられ、該突出部の下部は外側ほど下方に位置するように構成され、
前記側壁は、容器口部の外周に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが設けられたスカート壁と、該スカート壁の下部に環状弱化部を介して連結されたタンパーエビデンスバンドとを含み、
前記タンパーエビデンスバンドの下端部内周面に前記突出部が設けられ、
前記タンパーエビデンスバンドの内周側に、前記容器口部の外周に設けられた環状突起に下方から係止可能なフックが周方向に間隔をおいて複数設けられ、
該フックは前記突出部とは別に設けられ、
前記タンパーエビデンスバンドにおいて、前記突出部と該突出部よりも上方に位置する前記フックの間に、前記突出部よりも内方への突出量が小さい部分が設けられ、当該部分は前記突出部の上端から前記フックの下端までにわたって真っすぐに延びていることを特徴とする合成樹脂製キャップ。
【請求項2】
前記側壁の下面の少なくとも内周縁部は外側ほど下方に位置するように構成されている請求項1に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項3】
前記突出部は、前記側壁の内周面に沿って周方向に延び、環状に形成されているか、又は周方向に間隔をおいて複数設けられている請求項1または2に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項4】
前記突出部の内側への突出量は、前記フックよりも小さい請求項1~3の何れか一項に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項5】
前記突出部の最小内径を前記雄ねじの最大外径よりも大きくしてある請求項1~4の何れか一項に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の合成樹脂製キャップが口部に装着された容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、飲料物等の内容物を収容する容器の口部に装着される合成樹脂製キャップ及びこれを備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料物等の内容物を収容する容器の口部に装着され、一目で開封の有無を確認可能に構成されたキャップは広く知られている。例えば特許文献1に開示されたキャップは、図6(A)及び(B)に示すように、容器口部Mの雄ねじM1に螺合する雌ねじ51が設けられたスカート壁52を有するキャップ本体(主部)53と、スカート壁52の下部に環状弱化部(破断ライン)54を介して連結されたタンパーエビデンスバンド(タンパーエビデント裾部)55とを具備する。
【0003】
上記キャップでは、容器口部Mに装着された状態からの開封操作(最初の開栓操作)に伴い、タンパーエビデンスバンド55の内周に設けられたフック(係止手段)56が容器口部Mの外周に設けられた環状突起(係止あご部)M2に係止した後、タンパーエビデンスバンド55とスカート壁52とを画する環状弱化部54が破断され、キャップ本体53とタンパーエビデンスバンド55とが互いに分離される。従って、環状弱化部54を構成するミシン目状のスリット間に形成されたブリッジ(橋絡部)の破断の有無を視認することにより、開封操作が行われたか否かを容易に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6128831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図6(A)及び(B)に示すキャップでは、容器口部Mにキャップを装着する際、容器口部Mの雄ねじM1の上面に当接するタンパーエビデンスバンド55の下端部(裾部)が、半径方向外方ではなく内方に変位して内側に巻き込まれると、装着不可能になる。このような不具合の防止を目的として、上記キャップでは、タンパーエビデンスバンド55の外周面下端部に円錐台形状部を含ませるとともに、同内周面下端部を円錐台形状とし、外周面側の傾斜角度を大きくしてタンパーエビデンスバンド55の下端部の厚さを増大させてある。
【0006】
しかし、上記キャップでは、タンパーエビデンスバンド55の下端部の内周面よりも外周面の傾斜角度を大きくしているので、その肉厚は全体として下側に向かって大きくなり、これに伴ってタンパーエビデンスバンド55の下端面の面積は増大化する。この増大化自体は、容器口部Mにキャップを装着する際に、タンパーエビデンスバンド55の下端面が容器口部Mの雄ねじM1の上面に当接し、タンパーエビデンスバンド55の下端部が半径方向内方に変位する恐れが高まることに繋がる。そのため、このような不具合を回避するにはタンパーエビデンスバンド55の内周面の傾斜角度をかなり大きくする必要があるが、そうすると、この傾斜角度を上回る傾斜をタンパーエビデンスバンド55の外周面に付与することになり、タンパーエビデンスバンド55の外観が特殊化し、汎用性が損なわれる恐れがある。
【0007】
なお、以上の問題は、タンパーエビデンスバンド55を有するキャップに限らず、筒状の側壁を有する他のキャップにも当て嵌まる。
【0008】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、装着時に側壁の裾部が内側に巻き込まれてしまうことを防止しつつ、汎用性を持たせることも可能な合成樹脂製キャップ及び容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る合成樹脂製キャップは、略筒状の側壁を有する合成樹脂製キャップであって、前記側壁の開放端部となる下端部の内周面に内方に突出する突出部が設けられ、該突出部の下部は外側ほど下方に位置するように構成され、前記側壁は、容器口部の外周に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが設けられたスカート壁と、該スカート壁の下部に環状弱化部を介して連結されたタンパーエビデンスバンドとを含み、前記タンパーエビデンスバンドの下端部内周面に前記突出部が設けられ、前記タンパーエビデンスバンドの内周側に、前記容器口部の外周に設けられた環状突起に下方から係止可能なフックが周方向に間隔をおいて複数設けられ、該フックは前記突出部とは別に設けられ、前記タンパーエビデンスバンドにおいて、前記突出部と該突出部よりも上方に位置する前記フックの間に、前記突出部よりも内方への突出量が小さい部分が設けられ、当該部分は前記突出部の上端から前記フックの下端までにわたって真っすぐに延びている(請求項1)。
【0010】
上記合成樹脂製キャップにおいて、前記側壁の下面の少なくとも内周縁部は外側ほど下方に位置するように構成されていてもよく(請求項2)、また、前記突出部は、前記側壁の内周面に沿って周方向に延び、環状に形成されているか、又は周方向に間隔をおいて複数設けられていてもよい(請求項3)。
【0011】
上記合成樹脂製キャップにおいて、前記突出部の内側への突出量は、前記フックよりも小さくてもよい(請求項4)。
【0012】
上記合成樹脂製キャップにおいて、前記突出部の最小内径を前記雄ねじの最大外径よりも大きくしてあってもよい(請求項5)。
【0013】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る容器は、請求項1~5の何れか一項に記載の合成樹脂製キャップが口部に装着されている(請求項6)。
【発明の効果】
【0014】
本願発明では、装着時に側壁の裾部が内側に巻き込まれてしまうことを防止しつつ、汎用性を持たせることも可能な合成樹脂製キャップ及び容器が得られる。
【0015】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の合成樹脂製キャップでは、キャップを例えば容器口部に装着する際、仮に容器口部の雄ねじが側壁の下端部に当接したとしても、この当接は主として側壁の突出部において行われることになり、突出部の下部は外側ほど下方に位置するように構成されているので、側壁の下端部は拡径変形するようにガイドされる。従って、容器口部等の装着対象にキャップを装着する際に、側壁の下端部(裾部)が内側に巻き込まれることは効果的に防止される。
【0016】
しかも、側壁に突出部を設けるにあたり、側壁の外径を拡径させる必要は無く、側壁の外径の均一化の要請にも対応可能であって、側壁を有するキャップに汎用性を持たせることも容易である。
【0017】
請求項2に係る発明の合成樹脂製キャップでは、キャップ装着時に側壁の下端部が内側に巻き込まれるのを防止する機能を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態に係る合成樹脂製キャップを備えた容器の要部の構成を概略的に示す説明図である。
図2】前記合成樹脂製キャップの構成を概略的に示す縦断面図である。
図3】前記合成樹脂製キャップの構成を概略的に示す要部拡大縦断端面図である。
図4】前記合成樹脂製キャップの要部の構成を概略的に示す説明図である。
図5】(A)は前記合成樹脂製キャップの要部の構成を概略的に示す拡大図、(B)~(F)、(H)は本発明の変形例に係る合成樹脂製キャップの要部の構成を概略的に示す説明図、(G)は本発明の変形例に係る合成樹脂製キャップの要部の構成を概略的に示す横断端面図である。
図6】(A)及び(B)は、従来の合成樹脂製キャップの構成を概略的に示す説明図(一部を断面で示す正面図)及び部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0020】
図1図2に示す合成樹脂製キャップ(以下、キャップという)1は、例えばペットボトル等の容器の口部Mに装着されて使用されるものであり、コンプレッション成形又はインジェクション成形によって、ポリエチレンで一体的に成形されている。なお、キャップ1を形成する素材は、特に限定されるものではなく、本実施形態で用いたポリエチレンの他、ポリプロピレン等が好適に用いられる。なお、図1において、キャップ1の右半分の図示は省略してある。
【0021】
キャップ1は、平面視において略円形状の天壁2と、この天壁2の外周部から下向きに延びる略円筒状のスカート壁3を有している(図2参照)。ここで、スカート壁3の外周面にはローレット溝4を、内周面には雌ねじ5を設けてあり、この雌ねじ5は容器口部Mの外周に形成された雄ねじM1に結合可能である(図1参照)。
【0022】
そして、容器口部Mの雄ねじM1にスカート壁3の雌ねじ5が結合するようにキャップ1を回転させて容器口部Mに装着すると、天壁2の内面(下面)に連設された環状の中足(インナーリング)6、環状リブ7及び環状の外足(アウターリング)8が容器口部Mに密着し、これにより、容器口部Mが密封された状態となる(図1参照)。すなわち、キャップ1が容器口部Mに装着された状態では、中足6は容器口部M内に差し込まれて容器口部Mの内周面に密着し、環状リブ7は容器口部Mの環状の上端面に密着し、外足8は容器口部Mの外周面に密着するように構成されている。なお、図1では、中足6の元の形状を分かり易く示すために、中足6と容器口部Mとを重ねてあるが、実際の装着状態では、中足6は容器口部Mの表面に沿うように変形する。
【0023】
また、キャップ1は、未開封(開栓が一度もされていないこと)を証明する機能を有するピルファープルーフキャップであり、容器口部Mに装着された未開封のキャップ1の開封時(最初の開栓時)に、雄ねじM1と雌ねじ5の結合が解除されるようにキャップ1を回転させると、キャップ1は容器口部Mから離脱するが、スカート壁3の下部に連結されたタンパーエビデンスバンド(以下、単に「バンド」という)9は容器口部Mに残留するように構成されている。
【0024】
すなわち、スカート壁3の下部には、スカート壁3の全周にわたって延びる環状弱化部10を介してバンド9を連結してあり(図1図2参照)、環状弱化部10は、スカート壁3とバンド9とを上下に画するように、スカート壁3及びバンド9の周方向に断続して延びる(ミシン目状の)スリットと、隣り合うスリットの間に存在するブリッジとで構成され、ブリッジは所定の力で引っ張られると破断する。
【0025】
そして、本例では、バンド9の外径を上下にわたって均一にしてある一方、バンド9の内周側には、内向きに突出し、内側への突出量が上側ほど増大するように構成されたフック11を、周方向に間隔をおいて5個(複数の一例)設けてある。各フック11は、キャップ1が容器口部Mに装着された状態で、容器口部Mの外周において雄ねじM1よりも下方に形成された環状突起(ビード部)M2(図1参照)の略下側へ位置し、開封操作によって環状突起M2に係止する。すなわち、フック11は、環状突起M2に下方から係止可能に構成されている。
【0026】
また、図3に示すように、バンド9の内周側において、フック11の上方には、バンド9の内側に突出し、その突出量はフック11よりも小さい(内径がフック11の内径よりも大きい)嵌合部12が設けられ、さらに、嵌合部12の上方には上側ほど内径が大きくなる傾斜部13が連なっている。
【0027】
上記構成からなるキャップ1は、容器口部Mに装着され未開封の状態では、環状突起M2が傾斜部13の内側またはそれより上方に位置し(図1に示す位置かそれよりも上方の位置)、この状態からキャップ1を開封方向に回転させると、容器口部Mに対してキャップ1が相対的に上昇し、嵌合部12が環状突起M2に嵌合し、フック11が環状突起M2に下方から係止する状態となる。さらにキャップ1を開封方向に回転させ続けると、やがて環状弱化部10は破断し、バンド9は容器口部Mに残留する一方、それより上側の天壁2及びスカート壁3からなるキャップ本体は容器口部Mから離脱することになる。
【0028】
そして、本例では、フック11が環状突起M2に下方から係止する状態になるまでの間に、傾斜部13が環状突起M2に当接し、これにより、バンド9が斜めに持ち上がることが防止され、環状弱化部10が偏らずに略均一に破断するので、タンパーエビデンス性は良好となる。
【0029】
さらに、本例では、図1図4に示すように、バンド9の下端部の内周面に内方に突出する突出部14が設けられ、突出部14の下部(下端から内側への最大突出部までの部分)は外側ほど下方に位置し、かつ、バンド9の下面にまで延びるように構成されている。
【0030】
詳述すると、突出部14は、図2に示すようにバンド9の周方向に連続して設けられ、環状を呈する。また、突出部14の上部(内側への最大突出部から上側の部分)は外側ほど上方に位置するように構成されている。突出部14の内側への突出量は、フック11よりも小さく(最小内径がフック11の最小内径よりも大きく)、フック11の突出量の40~80%とするのが好ましい。突出部14の突出量が上記範囲より大きいとキャップ1を容器口部Mに装着する際の抵抗が大きくなり、上記範囲より小さいと突出部14によって得られる後述の効果が十分に得られ難くなるためである。また、突出部14の最小内径を雄ねじM1の最大外径よりも大きくしてあることが、キャッピング性の低下を招来しない点で望ましい。
【0031】
このようにその下部が傾斜面又は湾曲面となっている突出部14が設けられた本例のキャップ1では、キャップ1を容器口部Mに装着する際、仮に容器口部Mの雄ねじM1がバンド9の下端部に当接したとしても、この当接は主としてバンド9の突出部14において行われることになり、突出部14の下部は外側ほど下方に位置するように構成されているので、バンド9の下端部は拡径変形するようにガイドされる(図4参照)。従って、容器口部Mにキャップ1を装着する際(キャッピングの際)に、バンド9の下端部(裾部)が内側に巻き込まれることは効果的に防止される。また、キャッピングの際、突出部14が容器口部Mの雄ねじM1に当接することによりセンタリング機能が発揮されるので、良好なキャッピングが行われることになる。
【0032】
しかも、バンド9に突出部14を設けるにあたり、バンド9の外径を拡径させる必要は無く、バンド9の外径の均一化の要請にも対応可能であって、バンド9を有するキャップ1に汎用性を持たせることも容易である。
【0033】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論であり、本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【0034】
例えば、上記実施の形態では、バンド9の内周面において傾斜部13とフック11との間に、内径が上下にわたって均一である嵌合部12を設けているが、これに限らず、例えば嵌合部12を設けず、フック11の上側に傾斜部13が連なるようにしてもよい。
【0035】
また、傾斜部13及び嵌合部12は、フック11の上方に位置する部分のみに設けられていてもよいし、バンド9の内周に沿って連続的又は断続的に(フック11に無関係に断続的に)一周するように設けられていてもよい。
【0036】
図1図4に示すキャップ1のバンド9の下面(バンド9を下方から見たときに見える範囲にあって、突出部14の上側に連なるバンド9の内周面を下方に延ばしたときにこの内周面よりも外側に位置する領域)は、図5(A)に示すように、その内周縁部が外側ほど下方に位置するように構成されている。斯かる構成により、キャップ1を容器口部Mに装着する際、仮に容器口部Mの雄ねじM1がバンド9の下面に若干当接したとしても、バンド9の下端部が内側に巻き込まれることは防止される。そのため、キャップ1を容器口部Mに装着する際に、容器口部Mの雄ねじM1がバンド9の下面に当接する可能性が無いか極めて低い場合には、図5(B)に示すように、バンド9の下面に傾斜をつけずに平面としてもよいが、そうでない場合には、図5(A)に示すように少なくともバンド9の下面の内周縁部には外側ほど下方に位置する傾斜を設けておくのが好ましく、この傾斜を設ける範囲は、例えば図5(C)に示すようにバンド9の下面全体としてもよい。この他、例えば図5(D)に示すように突出部14をその縦断面形状が台形状となるように構成してもよい。
【0037】
また、図1図4に示す例では、突出部14の上部を外側ほど上側に位置するように構成してあるが、これに限らず、例えば図5(E)に示すように、突出部14の上部を平面状にしてもよいし、図5(F)に示すように、バンド9の内周面において突出部14の上側に連なる位置に凹部(または凹入溝)15を設けるようにしてもよい。図5(D)~(F)の例では、バンド9の突出部14に容器口部Mの雄ねじM1が当接したときに、バンド9における突出部14のみが主として変形し、バンド9の下端部全体を内側に巻き込もうとする力はこの変形に変換されることにより、キャップ1が容器口部Mに装着不能となることは防止される。
【0038】
図1図4の例では、突出部14はバンド9の内周面に沿って周方向に延びるように環状(全周)に形成されているが(図2参照)、これに限らず、例えば図5(G)に示すように、突出部14をバンド9の内周面の周方向に間隔をおいて(好ましくは等間隔に)複数設けてもよい。この場合、バンド9の下端部の内側への巻き込み防止の観点からは、各突出部14を、その先端(内端)側ほど細くなるように構成しておくのが好ましい。また、この場合、突出部14を例えば縦長のリブ状としても、よりピンポイント的に設けてもよい。
【0039】
図1図4の例では、フック11とは別に突出部14を設けているが、これに限らず、例えば、図5(H)に示すように、バンド9においてフック11よりも下方の部分を無くし、フック11が突出部14を兼用するように構成してもよい。
【0040】
図1図4のキャップ1は、スカート壁3とバンド9とを含む略筒状の側壁を有し、側壁の開放端部となるバンド9の下端部内周面に突出部14が設けられているものであるが、本発明はこのようなピルファープルーフキャップに限らず、略筒状の側壁を有し、側壁の開放端部となる下端部の内周面に突出部14を設けることができる他のキャップにも適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 合成樹脂製キャップ
2 天壁
3 スカート壁
4 ローレット溝
5 雌ねじ
6 中足
7 環状リブ
8 外足
9 タンパーエビデンスバンド
10 環状弱化部
11 フック
12 嵌合部
13 傾斜部
14 突出部
15 凹部
51 雌ねじ
52 スカート壁
53 キャップ本体
54 環状弱化部
55 タンパーエビデンスバンド
56 フック
M 容器口部
M1 雄ねじ
M2 環状突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6