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▶ ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】タービンブレードおよび係止セット
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/32 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
F01D5/32
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017235650
(22)【出願日】2017-12-08
(65)【公開番号】P2018115657
(43)【公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】102016000130088
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ピエリ
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-501765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0265369(US,A1)
【文献】米国特許第05431543(US,A)
【文献】特開2009-008085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの保持溝(11)を有するキャリア(10)と、
前記少なくとも1つの保持溝(11)内に、所定の挿入方向に沿って挿入されるように構成された翼根部分(21)を含む第1の要素(20)であって、前記翼根部分(21)は、前記翼根部分(21)が前記少なくとも1つの保持溝(11)に少なくとも部分的に受け入れられた後で前記少なくとも1つの保持溝(11)の対応する底面(15)に面するように構成された端面(23)を含む、第1の要素(20)と、
前記端面(23)と前記底面(15)との間で前記少なくとも1つの保持溝(11)内に挿入されるように構成された第1、第2、および第3の係止要素(43、41、42)とを備え
前記第1および第3の係止要素(43、42)が、使用時に前記端面(23)と係合し、前記第1および第3の係止要素(43、42)が前記端面(23)と前記底面(15)との間の前記少なくとも1つの保持溝(11)へ挿入されているときに、前記キャリア(10)の側面(12、13)および前記翼根部分(21)の側面(32、33)とさらに係合して、前記翼根部分(21)が前記キャリア(10)に対して軸方向に動かないように構成され、
前記第2の係止要素(41)が、前記第3の係止要素(42)と前記底面(15)との間に係合し、前記第3の係止要素(42)を定位置で固定するように構成される、固定セット。
【請求項2】
前記端面(23)が、
第1の主部分と、
第2の部分(36)とを含み、
前記第2の部分が、前記翼根部分(21)の第2の側面(33)に対応して第1の凹み(34)を画定し、
前記第2および第3の係止要素(41、42)が、順次、前記第1の凹み(34)内に挿入されるように構成される、請求項1記載の固定セット。
【請求項3】
前記翼根部分(21)が、前記端面(23)から前記翼根部分(21)内に延在する第1のスロット(31)を含み、前記第1の係止要素(43)が、前記第1のスロット(31)に係合するように構成された突出部(432)を含む、請求項1または2記載の固定セット。
【請求項4】
前記翼根部分(21)が、前記第1の凹み(34)の前記第2の部分(36)から前記翼根部分(21)内に延在する第2のスロット(37)を含み、前記第3の係止要素(42)が、前記第2のスロット(37)に係合するように構成された突出部(422)を含む、請求項記載の固定セット。
【請求項5】
前記第2の係止要素(41)が、主係合部分(411)および引張部分(46)を含み、前記引張部分(46)が、前記主係合部分(411)が引っ張られて前記第3の係止要素(42)と係合することができるように構成される、請求項1乃至4のいずれか1項記載の固定セット。
【請求項6】
前記引張部分(46)が、前記主係合部分(411)から除去されるように構成される、請求項5記載の固定セット。
【請求項7】
前記第1の係止要素(43)が、前記キャリア(10)の前記側面(12、13)および前記翼根部分(21)の前記側面(32、33)の外側に軸方向に突出し、それらと係合するように構成された突出部(433)を含む、請求項1乃至6のいずれか1項記載の固定セット。
【請求項8】
前記第3の係止要素(42)が、前記キャリア(10)の前記側面(12、13)および前記翼根部分(21)の前記側面(32、33)の外側に軸方向に突出し、それらと係合するように構成された突出部(423)を含む、請求項1乃至7のいずれか1項記載の固定セット。
【請求項9】
前記キャリア(10)がディスク形の回転可能なキャリアとして構成され、前記第1の要素(20)が、ターボ機械のブレードとして構成され、前記翼根部分(21)が、前記ディスク形の回転可能なキャリア(10)の少なくとも1つの保持溝(11)内に、前記ディスク形の回転可能なキャリア(10)の回転軸に実質的に平行な前記所定の挿入方向に沿って挿入されるように構成される、請求項1乃至8のいずれか1項記載の固定セット。
【請求項10】
求項1乃至9のいずれか1項記載の少なくとも1つの固定セットと、キャリアとして構成された少なくとも1つのロータディスク(10)であって、当該ロータディスク(10)の周面(14)から前記ロータディスク(10)内に延在する少なくとも1つの保持溝(11)を有する前記ロータディスク(10)と、を含むロータ要素組立体。
【請求項11】
請求項10記載のロータ要素組立体を含むターボ機械。
【請求項12】
共通の回転軸に沿って配置された、複数の前記ロータ要素組立体を含む、請求項11記載のターボ機械。
【請求項13】
ステータと、前記ステータの内側に受け入れられた前記ロータ要素組立体を含む請求項11または12記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定セット、ロータ要素組立体およびターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスタービンおよび蒸気タービンなどの従来のターボ機械は、ロータおよびステータを備え、ロータは複数のロータディスクを含み、ロータディスクのそれぞれは、その周面に固定された複数のロータブレードを支持し、ステータは、ステータブレードを有するケースを含む。ロータとステータのケースとは組み合わさって流路を画定し、この流路に沿って、作動流体(ガス)は、ステータブレードに対してロータブレードが回転することに伴って膨張し熱力学的な変化を受ける。
【0003】
最も一般的な解決策によれば、ロータブレードのそれぞれはエーロフォイル部分と翼根部分とを備え、翼根部分は、ロータディスクの周面に形成された対応する保持溝に受け入れられ、溝と翼根部分とは一致する形状および寸法を有する。具体的には、またさらに最も一般的な解決策によれば、軸方向挿入型のロータブレードでは、各ロータブレードの翼根は通常、いわゆる「クリスマスツリー」構成のものであり、翼根部分と溝との一致する形状によって、ブレードをロータディスクの外周に確実に取り付けることができ、特に、ロータディスクが非常に高速度で回転しているときにブレードの半径方向の移動を制限することができる。
【0004】
しかしながら、ブレードの容易な組付けを可能とするために、特に、対応する保持溝内への翼根部分の容易な挿入を可能とするために、翼根部分と保持溝との寸法は、通常、保持溝および/またはディスクに対して翼根部分が半径方向および横方向にわずかに動くことを可能にするためにそれらの間に隙間または遊びを残すような寸法にされるが、翼根部分が軸方向に動くことは避ける必要がある。
【0005】
このために、特にブレードをロータディスクに確実に係止するために、いくつかの解決策が従来、提案されてきた。例えば、舌付き座金を保持溝内(翼根部分と溝との間)に挿入する解決策が知られている。他の解決策として、例えば、ねじ付きピンが楔形要素の対応するねじ付き部分に係合することによって、翼根部分と溝との間に楔形の要素を押し込めることが知られている。この場合、楔形要素によって翼根部分および溝の両方にかけられた半径方向に押す働きにより、ブレードは摩擦によりロータディスクに係止される。
【0006】
しかしながら、ブレードをロータディスクに確実に係止するための上記の従来の解決策には、いくつかの欠点がある。
【0007】
第1の欠点は、翼根部分および/または保持溝に必要な特殊な加工に関する。これは、応力集中領域となり得る溝表面の不連続性をもたらし、したがって、構造を弱める。ねじがロータ溝にあれば、ねじが亀裂の起点になる場合があるので、問題はより一層悪化する可能性がある。
【0008】
さらに例として、さらなる欠点は、従来の解決策の多くでは、ねじが存在し、したがって、かしめが必要となることに関する。しかしながら、かしめ作業は、厳密な組立要件により面倒なものとなることが非常に多い。ブレード翼根と対応する溝との間を結合するのに適用される、摩擦に基づいた、または接触に基づいた知られている保持方法は、組立条件および作業条件に強く依存し、したがって、いつも使用できるわけではない。
【発明の概要】
【0009】
本開示は一般に、ブレード形要素のディスク形支持体またはキャリア上への組付けに関し、より詳細には、ブレード形要素と、ブレード形要素をディスク形支持体またはキャリア上に組み付けて係止するための係止要素とを含む係止セットに関する。
【0010】
一実施形態では、係止セットは、ターボ機械用のブレードと、ターボ機械のロータディスクの周面に形成された軸方向挿入溝にブレードを組み付けて係止することを助ける係止要素とを含む。
【0011】
本開示はさらに、複数のブレードを備えたロータディスクを含むターボ機械に関する。ここで、ブレードは、本開示によるロータディスクの周面上に取り付けられる。
【0012】
本開示の実施形態は、要素、特に、ブレード形要素またはブレードを、支持体またはキャリア、特に、ディスク形支持体またはキャリア、あるいはディスク上に係止するための最も一般的な従来の解決策に悪影響を及ぼす上記の欠点などに対処する。
【0013】
例えば、本明細書でさらに説明し、特許請求するように、要素、特に、ブレード形要素またはブレードは、支持体またはキャリア、特に、回転可能なディスク形要素またはディスク上に確実で信頼性高く固定および/または係止することができる。
【0014】
加えて、要素、特に、ブレード形要素またはブレードは、特に、要素、および支持体またはキャリアの一方または両方の追加の作業、例えば、溝の特別な加工の必要性を限定し、または避けるように、容易で簡単な作業に従って、支持体またはキャリア、特に、回転可能なディスク形要素またはディスク上に、わずかな許容範囲内でしっかりと、かつ信頼性高く固定および/または係止することができる。
【0015】
上記の特定した目的および/または目標に鑑みて、かつ、従来技術による解決策に悪影響を及ぼす問題および/または欠点を考慮して、一実施形態によれば、本開示は、第1の要素、例えば、タービンブレードをキャリア、例えば、タービンロータに固定するための固定セットに関する。第1の要素は、キャリアの少なくとも1つの対応する溝内に、所定の挿入方向に沿って挿入されるように構成された翼根部分を含む。翼根部分および少なくとも1つの溝は、キャリアに対して、所定の挿入方向以外、例えば軸方向以外の方向に沿って第1の要素が移動することを制限するような形状となっている。さらに、翼根部分は、翼根部分が少なくとも1つの溝に少なくとも部分的に受け入れられたとき、溝の対応する底面に面するように構成された下端面を含む。
【0016】
固定セットは、翼根部分の下端面と溝の底面との間で少なくとも1つの溝内に順番に挿入されるように構成された第1、第2、および第3の係止要素を含む。第1の係止要素は、翼根部分の下端面および溝の底面の両方によって係合されるように構成される。第2および第3の係止要素は、以下のように協働するように構成される。すなわち、第2の係止要素を端面と底面との間に挿入し、次いで、第3の係止要素を挿入し、次いで、第2の要素を引き戻すことによって、第3の要素は第2の要素によって係合され、第2の要素の形状を塑性変形、または変化させ、したがって、第2の要素を破壊することなく組付けの可逆性を防ぐことによって、第2の要素は、定位置に保持される。
【0017】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、図面全体を通して同様な符号が同様な部品を表す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】キャリア10、およびそれに取り付けられた要素20の正面図である。
図2】要素20をキャリア10に組み付けて係止するための組付手順の対応するステップでのキャリア10および要素20の断面図である。
図3】要素20をキャリア10に組み付けて係止するための組付手順の対応するステップでのキャリア10および要素20の断面図である。
図4】要素20をキャリア10に組み付けて係止するための組付手順の対応するステップでのキャリア10および要素20の断面図である。
図5】要素20をキャリア10に組み付けて係止するための組付手順の対応するステップでのキャリア10および要素20の断面図である。
図6】要素20をキャリア10に組み付けて係止するための組付手順の対応するステップでのキャリア10および要素20の断面図である。
図7】キャリア10、およびそれに取り付けられた要素20の部分的に断面の拡大斜視図である。
図8】キャリア10、およびそれに取り付けられた要素20の部分的に断面の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の開示は、ブレード形要素、例えば、タービンブレードを支持体またはキャリア、例えば、タービンロータに確実に組み付けて係止するための固定セットまたは係止セットについて言及する。ブレード形要素は、支持体の外面の溝内に挿入されるように構成され、固定セットは、ブレード形要素の翼根部分の下端面と溝の底面との間で溝内に挿入されるように構成された第1、第2、および第3の係止要素を含む。第1、第2、および第3の係止要素はさらに、例えば溝の特別な加工のような、従来の係止システムに必要な追加の作業の必要なしに容易で簡単な取付けができるように構成される。
【0020】
図1を参照すると、これには、キャリア10、およびその上に取り付けられた要素20が描かれている。
【0021】
以下の説明では、便宜上、および明瞭にするために、キャリア10および要素20を、「ロータディスク」、例えば、ターボ機械の「ロータディスク」、および「ブレード}とそれぞれ呼ぶが、本開示の適用は、ロータディスクおよび対応するブレードに限定されるものではない。
【0022】
ロータディスク10は回転軸上を回転可能であり、図2に示すように、円筒状周面14によってつながった2つの両側の側面12、13を含む。ここで、ロータディスク10の両側の側面12および13のそれぞれは、ロータディスクの回転軸に対して実質的に垂直な平面上にあり、一方、周面14は、ロータディスクの回転軸に相当する長手方向軸を有する円筒面の一部分である。
【0023】
ロータディスク10の両側の側面12と側面13との間を、実質的に軸方向(その他、斜めの場合もあり得る)の挿入溝11が延在し、溝は、底面15、両側の側面16および17、ならびに外周開口18を含み、外周開口18によって、溝11は周面14に対応するディスク10の周りの空間と連通している。
【0024】
ブレード20に関しては、ブレード20は、エーロフォイル部分22および翼根部分21を含み、エーロフォイル部分22は、ディスク10の回転中、流体(または、ガス)を運ぶ、かつ/または、加圧する、かつ/または膨張させるような形状と構成であり、翼根部分21によってディスク10上に取り付けられる。特に、図1から明らかなように、(ロータ回転軸に対して)交差する、または横断する方向に、翼根部分21および溝11は、対応して一致する形状および寸法を有する。これは、翼根部分21が、(図1に示すように、ブレード20がディスク10上に取り付けられると、溝11の底面15に面する)端面23、および、溝11の両側の側面16および17にそれぞれ面する2つの両側の側面24および25を含むことを意味する。
【0025】
図1に示すような実施形態では、翼根部分21および溝11は、組み合わさって、ブレード20とディスク10との間、特に、翼根部分21と保持溝11との間に、いわゆる「ダブテール」接続を定めるような形状であり、したがって、これによって、翼根部分21は、例えば、翼根部分21を溝11内に挿入する間、また、溝11から抜き出す間、溝11に対して平行移動することができるが、特に、ディスク10が回転している間は、翼根部分21が溝11に対して軸方向(その他、斜めの場合もあり得る)以外の方向に沿って、例えば、半径方向に沿って移動することを制限する。
【0026】
しかしながら、本開示は、任意の形状で、図1に示すような「ダブテール」形状だけではない翼根部分と、対応する保持溝とを組み合わせて実装および実行されるように構成されることを考える必要がある。例えば、「クリスマスツリー」型の翼根部分は、本開示の範囲内にある。
【0027】
さらに、なお明瞭にするために、図1では、唯一または単一の溝11が、その中に受け入れられた対応する翼根部分21とともに描かれているが、いくつかの用途では、例えば、ターボ機械のロータディスクの場合では、複数の保持溝がディスク上に形成され、それぞれ、その周面から下に延在して、ブレードまたはブレード形要素の対応する翼根部分を受け入れることを理解されたい。
【0028】
図1に示すように、翼根部分21および保持溝11の相互の寸法は、翼根部分21が溝11内に単に受け入れられるが、まだ確実には係止されないような寸法であり、翼根部分21と溝11との間には隙間が残っている。これは、溝11およびディスク10それぞれに対する、翼根部分21およびブレード20のわずかな移動、特に、半径方向に沿う移動がまだ可能であることを意味する。この隙間によって、翼根21を溝11内に容易に挿入することができる。
【0029】
図(特に、図2および7参照)に示すように、翼根部分21は、軸方向(翼根部分21が溝11内に挿入される方向に実質的に平行)には、翼根部分21の両側の第1および第2の側面32および33によって範囲を定められ、また、翼根部分21の端面23から翼根部分21内に延在し、翼根部分21の第1の側面32の近くに位置する第1のスロット31を含む。第1のスロット31は、実質的に長方形の断面形状を有し、側面24と側面25との間を、ロータの軸方向に対して実質的に垂直で、翼根部分21の第1の側面32ならびにロータディスク10の側面12および13に平行な方向に沿って延在する。翼根部分21の(やはり軸方向の)反対側には、第2の側面33から所定の軸方向幅まで、および、端面23から所定の半径方向深さまで、ここでもまた、側面24と側面25との間を長手方向に延在する凹み34が形成される。凹み34は、面35および面36を有する実質的に長方形の断面形状を有する。面35は、第2の側面33から所定の軸方向距離(凹み34の軸方向深さに相当する距離)に位置し、面36は、第2の端面23から所定の距離(凹み34の半径方向幅に相当する距離)に位置する。さらに、第2のスロット37が、凹み34の面36から翼根部分21内に延在するように凹み34に形成され、第2のスロット37は、翼根部分21の第2の側面33の近くに位置する。第2のスロット37は、上記の第1のスロット31と同様であり、したがって、実質的に長方形の断面形状を有し、側面24と側面25との間を、軸方向に対して実質的に垂直で、翼根部分21の第2の側面33に平行な方向に沿って延在する。
【0030】
図にはさらに、第1、第2、および第3の係止要素43、41、および42が描かれている。第1の係止要素43および第3の係止要素42は、ベース部分431、421、およびそれらから延在する平行突出部432、422を有する同様なU字形である。第2の係止要素41は、好ましくは楔形当接部分45を画定する斜めの当接面44を有する板状本体411を含み、さらに、第2の係止要素41は、以下により詳細に説明するプルタブ46を含む。
【0031】
第1の係止要素43の突出部432は、図に示すように、第1のスロット31内に挿入されるように構成され、同様に、第3の係止要素42の突出部422は、さらに図に示すように、第2のスロット37内に挿入されるように構成される。
【0032】
第1の係止要素43の突出部433、および第3の係止要素42の突出部423は、ロータ10の側面12、13、およびブレード翼根部分21の側面32、33の外側に軸方向に突出し、それらと係合するように構成される。
【0033】
第1の係止要素43の突出部432、および第3の係止要素42の突出部422がそれぞれ、スロット31および37と係合し、第1の係止要素43の突出部433、および第3の係止要素42の突出部423がロータ10の側面12、13、およびブレード翼根部分21の側面32、33と係合することによって、ブレードがロータ本体に対して軸方向に動かないようにすることができる。
【0034】
以下に、ブレード20の翼根部分21を通じてブレード20を保持溝11内に確実に係止するために本開示に従って係止要素41、42、および43を使用する方法を説明する。
【0035】
図2から明らかなように、そこに示すような第1のステップでは、翼根部分21は、矢印で示し、実質的に上記で説明したように溝11内に挿入される。しかしながら、第1の係止要素43が、第1のスロット31内に受け入れられた突出部432で翼根部分に取り付けられている。ここで、本開示の範囲内では、第1の係止要素43を翼根部分21に取り付けることは必ずしも、要素43を翼根部分21に固定することを意味せず、ブレードを対応するロータ溝内に挿入する間、例えば、作業者の手によって、または重力によって、あるいは、接着剤または何らかの他の接着材料を塗布することによって、係止要素43をスロット31内に配置されたその突出部432で単に保持することを意味する。
【0036】
図3に示すような次のステップでは、翼根部分21および第1の係止要素43は、突出部432が第1のスロット31内に受け入れられているおかげで、保持溝11内に挿入される、特に、翼根部分21の端面23と溝11の底面15との間の隙間内に挿入される。したがって、突出部433が、ロータ10の側面12、および翼根部分21の側面32と一緒に係合することによって、溝11内のブレードの移動に対する第1の軸方向の端部止めとなるまで、ブレードはロータの溝に挿入される。
【0037】
第1の係止要素43のベース部分431の厚さは、ブレード翼根と、対応するロータ溝との間の隙間と実質的に等しいか、またはほんのわずか薄い。
【0038】
翼根部分21が、軸方向の挿入方向にその終端行程位置に達すると、したがって、第1の係止要素43が、翼根部分21とロータ10との間で係合されると、次のステップでは、図4に示すように、第2の係止要素41が、その前に翼根部分21がロータ保持溝11内に挿入された方向とは実質的に反対の挿入方向に沿って凹み34内に挿入される。このステップでは、凹み34の深さが、第2の係止要素41のベース部分411の厚さより深いことにより、特に労力を要することはない。その後、図5に示すようなさらなるステップでは、第3の係止要素42が、その突出部422が第2のスロット37内に受け入れられた状態で翼根部分21に取り付けられる。ここで、本開示の範囲内では、第3の係止要素42を翼根部分21に取り付けることは、この場合もまた、例えば、作業者の手によって、第3の係止要素42をスロット37内にあるその突出部422で単に保持することを意味することができる。凹み34の幅が要素41の幅より広く、凹み34の深さが第2の要素41の厚さより深いので、第3の係止要素42の凹み34内への挿入が、第2の係止要素41によって妨げられないことにもさらに留意しなければならない。凹み34の深さは、第2の要素41のベース体411と第3の係止要素42のベース部分421との厚さの合計より少なくともほんのわずか深い。
【0039】
図6に示すようなさらなるステップでは、第2の係止要素41は、その前に凹み34に挿入された方向とは実質的に反対の抜き出す方向(図の右から左)に沿って(例えば、手によって、または工具を使ってプルタブ46に力をかけて)引っ張られる。要素41を凹み34の外側に向かって平行移動させている間、第2の係止要素41は、第3の係止要素42と当接するが、第3の係止要素42を、第2のスロット37とその中に受け入れられた突出部422との相互作用によって凹み34から押し出すことができない。したがって、第2の係止要素41(または、少なくともそのベース体411)は、第3の係止要素42と溝11の底面15との間で引っ張られる一方、第3の係止要素42は、第2の係止要素41と翼根部分21との間に係合される。
【0040】
最終のさらなるステップでは、第2の係止要素41のプルタブ46が、好ましくは、回転動作中に発生する遠心力と同じ方向に折り曲げられ。次いで、プルタブ46は、例えば、たがねなどを使って切断することみよって除去される。このように、上記の組付けは不可逆的であり、ブレード20は保持溝11内に確実に係止される。したがって、ブレード20は、かけられた組付力、摩擦力などにかかわらず、所定の許容範囲内で、ロータの側面12、13に対して突出部423と突出部433との間で軸方向に遮断される。
【0041】
したがって、本開示が上記の欠点を克服することができることが明確に示された。
【0042】
本開示は、図に示したようなその実施形態の上記の詳細な説明によって明らかとなったが、本開示を、上記で開示し図で示した実施形態に限定されるものとして理解してはいけない。例えば、第1の係止要素43をブレード20と一体で製造することができ、また、必要性および/または状況に応じて省くこともできる。
【0043】
以下の節には、本発明の様々な実施形態を含めることができ、それらは、別段記載のない限り、任意の態様で組み合わせることができる。
【0044】
本開示の実施形態によれば、下端面は、翼根部分の第1の端部に対応して、第1の凹みを含むことができ、第1の係止要素は、第1の凹み内に挿入されるように構成される。
【0045】
さらなる実施形態によれば、翼根部分の下端は、第1の端部の反対側の翼根部分の第2の端部に対応して、第2の凹みを含むことができ、第2および第3の係止要素は、順次、第2の凹み内に挿入されるように構成することができる。
【0046】
さらなる実施形態によれば、本セットはさらに、翼根部分を少なくとも1つの溝内に挿入している間、翼根部分に対して第1の係止要素が移動しないように、または、少なくともその移動を制限するように構成された第1の止め手段を含むことができる。
【0047】
さらなる実施形態によれば、本セットはさらに、第3の係止要素が第2の係止要素によって係合されるとき、第3の係止要素が移動しないように、または、少なくともその移動を制限するように構成された第2の止め手段を含むことができる。
【0048】
さらに、さらなる実施形態によれば、第1の止め手段は、第1の凹み内に画定された第1のスロットと、第1の係止要素から延在して第1のスロットに係合するように構成された突出部とを含むことができる。
【0049】
さらに、さらなる実施形態によれば、第2の止め手段は、第2の凹み内に画定された第2のスロットと、第3の係止要素から延在して第2のスロットと係合するように構成された突出部とを含むことができる。
【0050】
さらなる実施形態によれば、本セットはさらに、翼根部分を少なくとも1つの保持溝内に挿入した後、少なくとも1つの保持溝に対して翼根部分が移動しないように構成された第3の止め手段を含むことができる。
【0051】
さらに、さらなる実施形態によれば、第3の止め手段は、ロータの側面およびブレード翼根部分の側面の外側に軸方向に突出してそれらと係合するように構成された第1の係止要素の突出部と第3の係止要素の突出部とを含むことができる。
【0052】
さらなる実施形態によれば、第2の係止要素は、主係合部分と引張部分とを含むことができ、引張部分は、主係合部分を引っ張って第3の係止要素と係合させることができるように構成される。
【0053】
さらに、さらなる実施形態によれば、引張部分は、ブレード組付終了時に、第2の係止要素を塑性変形させた後に主係合部分から除去されるように構成することができる。
【0054】
さらに、さらなる実施形態によれば、第1の凹みは、第2の凹みの深さより浅い深さを有することができる。
【0055】
さらなる実施形態によれば、第1の要素は、ターボ機械のブレードとして構成され、翼根部分は、ロータのような構成部品の少なくとも1つの対応する溝内に、ロータのような構成部品の回転軸に実質的に平行(その他、斜めの場合もあり得る)な所定の挿入方向に沿って挿入されるように構成される。
【0056】
本開示はさらに、回転ロータディスクを有するロータを含むターボ機械に関する。ロータディスクは、ロータディスクの周面に沿って配置された複数の受け溝を含み、溝のそれぞれは、ロータディスクの周面から半径方向に延在する。ロータはさらに、上記の要約した実施形態のうちの1つによる複数のブレード組立体を含み、ブレードのそれぞれは、その翼根部分を複数の溝のうちの対応する溝内に挿入された結果として、ロータディスクの外周に固定される。
【0057】
さらなる実施形態によれば、ロータディスクは、ロータディスクの回転軸に交差し、ロータディスクの周面によって相互に接合される両側の第1および第2の側面を含むことができ、ブレードのそれぞれに対して、第1の凹みが、ロータディスクの両側の第1および第2の側面のうちの一方の近傍に位置決めされる。
【0058】
さらに、実施形態によれば、ブレードのそれぞれに対して、第2の凹みが、第1の凹みが近傍に位置決めされたロータディスクの側面の反対側のロータディスクの側面の近傍に位置決めされる。
【0059】
例示的な実施形態の上記の説明は添付図を参照する。異なる図面における同じ参照符号は、同じまたは同様の要素とみなす。上記の詳細な説明は本開示を限定するものではない。その代わり、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0060】
本明細書を通して「一実施形態」または「実施形態」として言及することは、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、開示する主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所で「一実施形態では」または「実施形態では」という語句が現れるが、これらは、必ずしも同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様態で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 キャリア、ロータディスク、ロータ
11 溝
12 側面
13 側面
14 周面
15 底面
16 側面
17 側面
18 外周開口
20 ブレード、要素
21 翼根部分
22 エーロフォイル部分
23 端面
24 側面
25 側面
31 第1のスロット
32 側面
33 側面
34 凹み
35 面
36 面
37 第2のスロット
41 第2の係止要素
42 第3の係止要素
43 第1の係止要素
44 当接面
45 楔形当接部分
46 引張部分、プルタブ
411 主係合部分、ベース体
421 ベース部分
422 突出部
423 突出部
431 ベース部分
432 突出部
433 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8