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特許7037930車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具。
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  • 特許-車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具。 図1
  • 特許-車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具。 図1A
  • 特許-車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具。 図2
  • 特許-車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具。 図3
  • 特許-車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具。 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具。
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20220310BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20220310BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20220310BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20220310BHJP
   F21S 43/13 20180101ALI20220310BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220310BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20220310BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60W30/16
B60W40/04
B60W50/14
F21S43/13
G08G1/16 C
F21W103:60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017242280
(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公開番号】P2019108015
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】澤 佳憲
(72)【発明者】
【氏名】綿野 裕一
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-137097(JP,A)
【文献】特開2017-021747(JP,A)
【文献】特開2016-168874(JP,A)
【文献】特開2013-067343(JP,A)
【文献】特開2017-207932(JP,A)
【文献】特開2004-086363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
G08G 1/16
B60W 50/14
B60W 30/16
B60W 40/04
F21S 43/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前走車から搭載車両に向けて路面上に表示された、前記搭載車両の動作命令情報を認識する命令認識装置を有し、
前記動作命令情報に基づいて前記搭載車両を動作させる
ことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
ベース、制御装置であるECU,近赤外光を発生させるLED等の光源、基板、走査機構及び集光レンズを有し、車両の少なくとも一つのリヤコンビネーションランプに装着され、他の車両の動作命令情報を路面上に近赤外光で表示することを特徴とする命令表示装置。
【請求項3】
命令認識装置で認識する運転支援装置を有する他の車両との間の路面上に前記動作命令情報を表示することを特徴とする請求項2に記載の命令表示装置。
【請求項4】
前記動作命令情報を命令認識装置で認識する運転支援装置を有する車両に搭載されたことを特徴とする、請求項2に記載の命令表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両の運転支援装置を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
請求項2から4のうちいずれかに記載の命令表示装置を有することを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
命令情報の発信元を追従しつつ命令情報に基づいた追従運転を自動的に支援する車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1及び図2の各図と段落番号[0025]から[0028]には、先行車のサブテールランプに近赤外LED光源を設けて不可視の輝点を発生させ、後続車の撮像装置で検出させることで先行車を正確に検出可能な先行車検出システムが開示されている。また、特許文献2の段落番号[0024]の(実施形態1)と図1及び図4には、複数の車両間で自車両IDと自車両情報からなるデータフレームを光通信とDSRCの無線通信の双方で送受信して双方の通信のIDを照合して先行車を特定することで所定の先行車の誤検出を防止した車々間通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-60314号公報
【文献】特開2015-225558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の先行車検出システムは、先行車から発せられる輝点を近赤外LED光で標示することで発信元である先行車の誤認識が減少する反面、検出光が輝点であるために先行車の有無しか検出出来ない点で問題がある。
【0005】
また、特許文献2の車々間通信システムは、発信元の車両を誤って特定すること無く、受け取った通信情報に基づいた詳細な自動運転支援制御が可能になる反面、光と無線の2系統の通信システムと複雑な情報解析装置を必要とするため、自動運転支援システムとしてはコスト高になって簡易に実現出来ない点で問題がある。
【0006】
本願は、上記問題に鑑みて、命令情報の発信元を簡易に特定しつつ命令情報に基づいた自動追従運転を実現した簡易な車両の運転支援装置、命令表示装置及び車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車両の運転支援装置において、車両に搭載され、路面上に表示された車両の動作命令情報を認識する命令認識装置を有し、前記動作命令情報に基づいて搭載車両を動作させるようにした。
【0008】
(作用)車両の命令認識装置が斜め下方の路面上に表示された車両の動作命令情報を限定的に認識し、動作命令情報の命令に基づいて車両の運転支援装置が車両を自動的に動作させる。
【0009】
また、命令表示装置において、他の車両の動作命令情報を路面上に近赤外光で表示するようにした。
【0010】
(作用)命令表示装置が、近赤外光により、他の車両の動作命令情報を命令表示装置を搭載した車両から斜め下方の路面上に限定して表示する。
【0011】
また、命令表示装置において、命令認識装置で認識する運転支援装置を有する他の車両との間の路面上に前記動作命令情報を表示するようにした。
【0012】
(作用)車両に設けられた命令表示装置が運転支援装置を有する他の車両との間の限定された路面に不可視光からなる車両の動作命令情報を表示して他の車両の運転支援装置の命令認識装置に認識させることで発信元である命令表示装置の搭載車両の命令情報に基づいて他の車両が自動的に動作する。
【0013】
また、前記動作命令情報を命令認識装置で認識する運転支援装置を有する車両に命令表示装置を搭載した。
【0014】
(作用)運転支援装置によって先行車両に追従する後続車両に更に搭載された命令表示装置が運転支援装置を有する他の後続車両に対する動作命令情報を路面に表示する。
【0015】
車両の運転支援装置において、前記命令情報を予め路面に形成された図形標示とした。
【0016】
(作用)命令認識装置が車両近辺の路面上に道路鋲、ペイント、石等による線、記号、文字、図形または模様等として予め形成された図形表示による命令情報を認識し、認識した情報の命令に基づいて運転支援装置が搭載車両を自動的に動作させる。
【0017】
車両用灯具に請求項1または5に記載の車両の運転支援装置を設けた。
【0018】
(作用)車両用灯具の命令認識装置が車両近辺の路面上に限定的に表示された車両の動作に関する命令情報を認識し、動作命令情報の命令に基づいて車両の運転支援装置が車両を自動的に動作させる。
【0019】
車両用灯具に請求項2から4のうちいずれかに記載の命令表示装置を設けた。
【0020】
(作用)車両用灯具の命令表示装置が、近赤外光により、後続車両の動作に関する命令情報を命令表示装置を搭載した車両の近辺の路面上に限定して表示する。
【発明の効果】
【0021】
車両の運転支援装置によれば、命令認識装置に車両周辺の斜め下方の路面に標示された車両の動作命令情報を認識させ、命令情報の認識エリアを運転支援装置の搭載車両周辺に限定し、搭載車両から離れた車両の命令情報を認識出来なくすることで複雑な装置が無くても命令情報の発信元を簡易に特定出来、かつ認識された命令情報に基づいた自動追従運転を簡易に実現出来る。
【0022】
命令表示装置によれば、近赤外光による他の車両の動作命令情報の表示エリアを命令表示装置の搭載車両の周辺の路面上に限定し、命令表示装置の搭載車両に接近しかつ命令認識装置付の運転支援装置を備えた所定の他の車両のみに動作命令情報を認識可能にすることで、動作命令情報の発信元を簡易に特定させ、かつ認識された動作命令情報に基づいた自動追従運転を簡易に実現出来る。
【0023】
命令表示装置によれば、命令表示装置の搭載車両による命令情報の表示エリアを先行車両または後続車両との車間の路面に限定することで命令情報の発信元である命令表示装置の搭載車両を運転支援装置の搭載車両に簡易に特定させ、先行車両に対する後続車両の自動追従運転や先行車両-追従車両間の動作命令情報通信を簡易に実現出来ることに加え、不可視光を利用することで車両のドライバーや通行人等に不要な情報を与えること無く自動追従運転に関する情報を各車両間でやりとり出来る。
【0024】
命令表示装置によれば、所定の先行車両に追従する後続車両から発せられる動作命令情報の表示エリアを命令認識装置付の運転支援装置を備えた他の後続車両との間の路面に限定して当該他の後続車両のみに動作命令情報を認識可能にすることで、複数の車両が連接的に追従した自動追従運転を簡易に実現出来ることが出来る。
【0025】
車両の運転支援装置によれば、道路上に予め形成されたペイント模様等による動作命令情報を命令認識装置が認識し、運転支援装置の搭載車両に命令情報に基づいた動作を自動的にさせるため、正確な自動追従運転が簡易に実現される。
【0026】
車両用灯具によれば、命令認識装置による車両の動作命令情報の認識エリアを車両用灯具の搭載車両近辺に限定することで複雑な装置が無くても命令情報の発信元を簡易に特定出来、かつ認識された命令情報に基づいた自動追従運転を簡易に実現出来る。
【0027】
車両用灯具によれば、後続車両の動作に関する命令情報の表示エリアを命令表示装置の搭載車両の近辺の路面上に限定し、動作命令情報を認識出来る運転支援装置付の後続車両を車両用灯具を搭載した車両に接近した車両のみに限定することで、動作命令情報の発信元を簡易に特定させ、かつ認識された動作命令情報に基づいた自動追従運転を簡易に実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施例における運転支援装置と命令表示装置の概念説明図。
図1A】運転支援装置と命令表示装置の各設置車両を入れ替えた概念説明図。
図2】(a)運転支援装置を有する第1車両の正面図。(b)第1車両の左側前照灯の正面図。(b)運転支援装置のブロック図。
図3】(a)命令表示装置を有する第2車両の背面図。(b)命令表示装置を示す図3(a)のI-I断面図。(c)走査機構の斜視図。
図4】(a)マトリックス型二次元コードからなる動作命令情報の説明図。(b)路面上に予め標示された動作命令情報の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施形態を図1から図4に基づいて説明する。各図においては、車両用前照灯の各部や車両用前照灯の搭載車両のドライバーから見た道路の方向を(上方:下方:左方:右方:前方:後方=Up:Lo:Le:Ri:Fr:Re)として説明する。
【0030】
図1により本実施例における車両の運転支援装置2と命令表示装置4によって構成される自動運転支援システム100の概要を説明する。符号1は、運転支援装置2を搭載した第1車両を示し、符号3は、命令表示装置4を搭載した第2車両を示す。第2車両3は、第1車両1に対して先行するように同一の車線S1を走行している。
【0031】
図1に示すように先行する第2車両3は、左リヤコンビネーションランプ23に設けられた命令表示装置4から第2車両3の近傍かつ後方の路面に後続車両の動作命令情報となる所定の形態の図形や文字からなる動作命令情報表示M1を近赤外線光からなる不可視光で表示する。
【0032】
また、図1及び図2(a)(b)に示す後続の第1車両1の運転支援装置2は、命令認識装置である撮像装置7と動作制御装置となるECU8を有し、撮像装置7は、左前照灯5において第1車両1の近傍かつ前方の路面に向けられかつ斜め下向きに設けられ、撮像範囲E1において前方路面に表示された動作命令情報表示M1の図形や文字を撮影して認識する。認識された動作命令情報は、運転支援装置2の動作制御装置となるECU8で解析処理されて、第1車両1の自動運転システム12に引き渡され、第1車両1が先行する第2車両3に追従して自動的に運転される。
【0033】
図1に示すように第2車両3の命令表示装置4によって照射範囲E2内に表示される動作命令情報表示M1は、車線S1において、第2車両3の近傍かつ後続の第1車両1との間の車間の路面SP1に表示されることで直近の後続車両である第1車両1以外の車両に認識されにくいため、第1車両1と同等の運転支援装置を有する想定外の後続車両を誤作動させにくい。また、第1車両1の運転支援装置2の撮像装置7は、第1車両1の近傍かつ前方の路面に向けて、斜め下方に向けられているため、第1車両1は、第2車両3以外の想定外の先行車両から発せられる動作命令情報を誤認識しにくく、発信元である第2車両3を特定し易い。
【0034】
その結果、車両の運転支援装置2と命令表示装置4によって構成される自動運転支援システム100によれば、第1車両1と第2車両3との間でやりとりされる動作命令情報において、想定外の他の車両からの混信が起こりにくいシステムとして簡易に構築されると共に先行する第1車両1に対する後続の第2車両3の正確な自動追従運転を実現出来る。
【0035】
尚、図1に示すように第1車両1には、第2車両3に追従させるための運転支援装置2のみならず、リヤコンビネーションランプ17に第2車両3と同様の構成の命令表示装置4’を搭載しても良い。その場合、本実施例の自動運転支援システム100によれば、第1車両1と同様の運転支援装置2’を有する他の後続車両18を更に第1車両に追従させることが出来、第2車両3に後続車両を直列に2台自動追従運転させることが出来る。また、本実施例の自動運転支援システム100によれば、第1車両1と同様の運転支援装置と第2車両と同様の命令表示装置の双方を備えた後続車両を2台以上用意することにより、第2車両3に3台以上の後続車両を直列に自動追従運転させることも出来る。
【0036】
尚、図1においては、先行車両(3,1)の左コンビネーションランプに命令表示装置(4,4’)を搭載し、後続車両(1,18)の左前照灯に運転支援装置(2,2’)を搭載しているが、これらの代わりに、またはこれらに加え、図1Aに示すように先行車両である第2車両3の右リヤコンビネーションランプ24に運転支援装置2と同様の運転支援装置2’’を搭載し、後続車両である第1車両1の右前照灯6に命令表示装置4と同様の命令表示装置4’’を搭載しても良い。
【0037】
図1Aに示す第1車両1の命令表示装置4’’は、前方路面に向けて斜め下向きに設け、第2車両3との間の車間の路面SP1に動作命令情報表示M1を表示するようにする。第2車両3の運転支援装置2’’の撮像装置は、後方路面に向けて斜め下向きに設け、撮像範囲E1において動作命令情報表示M1の図形や文字を撮影して認識するようにする。車両の運転支援装置2’’と命令表示装置4’’によって構成される自動運転支援システム100’によれば、先行する第2車両3の運転支援装置2’’が、自動追従運転をする第1車両1から発せられた動作命令情報を受け取って第2車両3の車内モニター等を動作させたりスピーカー等を動作させて、文字、図形または音声等で第2車両3のドライバーに第1車両1の自動追従運転の状態を知らせたりする。
【0038】
次に図2(a)及び(b)により、本実施例の運転支援装置2を説明する。図2(a)の第1車両1は、ハイビーム用前照灯ユニット5a及びロービーム用前照灯ユニット5bを備えた左前照灯5及びハイビーム用前照灯ユニット6a及びロービーム用前照灯ユニット6bを備えた右前照灯6を備え、運転支援装置2は、左前照灯5の前面レンズ5cの内側に設けられる。
【0039】
図2(b)に示す運転支援装置2は、撮像装置7及び制御装置であるECU8によって構成され、ECU8は、命令検出部9,ROM10及び命令処理部11を有し、運転支援装置の動作制御装置として構成される。命令処理部11には、第1車両1の自動運転システム12と車内モニター13が接続される。尚、運転支援装置2は、第1車両1の本体の制御から独立したECU8と共に左前照灯5に設けられるため、第1車両1本体の動作制御を行う制御装置に余分な負荷をかけない利点がある。また、運転支援装置(2、2’)は、右前照灯6に設けてもよいし、第1車両1の屋根の前端中央部等、第1車両1の前方に向けられた様々な部位に設けられてもよい。また、運転支援装置2’’は、第2車両3の左リヤコンビネーションランプ23に設けてもよいし、第2車両3の屋根の後端中央部等、後方に向けられた様々な部位に設けられてもよい。
【0040】
図2(b)に示す撮像装置7は、透明な両凸レンズ14、撮像素子15及びホルダー16で構成され、両凸レンズ14は、撮像素子15の前方において撮像素子15と共にホルダー16に固定される。また、図2(a)に示される左前照灯5の前面レンズ5cには、前後に貫通する孔または無色透明な部位からなる窓部5dを設け、撮像装置7は、両凸レンズ14を窓部5dから前方に露出するように、かつ両凸レンズ14及び撮像素子15が第1車両1の近傍かつ前方の路面に向けて、斜め下方に向けられるように左前照灯5に固定される。
【0041】
図1に示すように車線S1において、先行する第2車両3から照射され、後続の第1車両1との間の車間の路面SP1に動作命令情報に関する図形や文字等からなる動作命令情報表示M1が近赤外線光等の不可視光で表示されると、第1車両1の運転支援装置2の撮像装置7が、両凸レンズ14により不可視の動作命令情報表示M1の像を撮像素子15に結像する。
【0042】
撮像素子15に動作命令情報表示M1の像が結像されるとECU8は、命令検出部9によって動作命令の発生を検出し、続いて命令処理部11が、動作命令情報表示M1の像とROM10に格納されている像毎に予め決められた具体的な動作命令と照合し、撮像された動作命令情報表示M1の像に基づく動作命令を自動運転システム12に送る。自動運転システム12は、運転支援装置2から受け取った動作命令に基づいて第1車両1のドライバーの運転操作に関わらず、または運転操作をアシストするように第1車両1を自動的に運転動作させる。
【0043】
尚、図2(b)に示すECU8は、命令処理部11を介して車内モニター13に所定の表示を表示させる制御を行う。車内モニター13は、例えば、ECU10の命令処理部11から制御信号を受けて自動運転動作の状態をドライバーに判るような文字や図形で表示したり、先行する第2車両3から発せられたドライバーなどによるメッセージ(文章のやりとりや挨拶など)を文字等で表示するようにする。尚、図1Aの運転支援装置2’’は、後続の第1車両1から発せられた自動追従運転に関するメッセージ(先行する第2車両3との車間が大きくなりすぎて撮像範囲E1内に第2車両3からの動作命令情報表示M1を認識出来なくなり、自動追従運転が出来なくなった等)を第2車両3の車内モニター13に文字等で表示するようにする。
【0044】
次に図3(a)から(c)により、本実施例の命令表示装置4を説明する。図3(a)の第2車両3は、左リヤコンビネーションランプ23及び右リヤコンビネーションランプ24を有し、左右のコンビネーションランプ(23,24)は、テール&ストップランプ(23a、24a)、ターンシグナルランプ(23b、24b)、バックアップランプ(23c、24c)を有し、本実施例の命令表示装置4は、左リヤコンビネーションランプ23に設けられている。
【0045】
図3(b)に示す命令表示装置4は、ベース25、制御装置であるECU26,近赤外光を発生させるLED等の光源27、基板28、走査機構29及び集光レンズ38によって形成される。ベース25は、ボディ25a、後面カバー25b、金属製支持部材25cによって形成される。樹脂等で形成されたボディ25aは、透明な後面カバー25bによって後方開口部を閉塞される。金属製支持部材25cは、前方に突設された基板固定部25d及び走査機構固定部25eを有する。尚、命令表示装置4の設置位置は、左リヤコンビネーションランプ23に限られず、右リヤコンビネーションランプ24に設けてもよいし、第2車両3の屋根の後端中央部やリヤウインド等、第1車両1の前方に向けられた様々な部位に設けられてもよい。
【0046】
図3(b)に示すようにECU26,光源27は、基板28に搭載され、第2車両3の車内の走査パネル等(図示せず)に電気的に接続される。基板28は、光源27を下向きにして基板固定部25dに固定される。走査機構29は、反射鏡30を光源27及び後面カバー25bの双方に向けた状態で走査機構固定部25eに固定され、透明な平凸レンズである集光レンズ38は、光源27と反射鏡30との光路に位置するようにボディ25a等に固定される。命令表示装置4は、後面カバー25bを後方に露出させるように第2車両3の車体3aに固定される。
【0047】
図3(b)(c)に示す走査機構29は、MEMSミラーなどによって構成され、反射鏡30、ベース31、回動体32、一対の第1トーションバー33、一対の第2トーションバー34、一対の永久磁石35,一対の永久磁石36及び端子部37を有する。反射面30aは、反射鏡30の前面に銀蒸着やメッキなどの処理を施すことで形成される。また、走査機構29は、端子部37へ接続されたケーブル(図示せず)を介して給電されると共にECU26に接続されて制御を受ける。
【0048】
図3(b)及び(c)の板状の回動体32は、端子部37から給電を受ける第1のコイル(図示せず)を有し、一対の第1トーションバー33によって左右に傾動可能な状態でベース31に支持され、反射鏡30は、端子部37から給電を受ける第2のコイル(図示せず)を有し、一対の第2トーションバー34によって上下に回動可能な状態で回動体32に支持される。
【0049】
図3(c)に示す回動体32は、一対の永久磁石35と制御機構(図示せず)によって通電制御される第1コイルによって第1トーションバー33の軸線を中心として左右方向(D1方向)に高速で往復揺動回転して反射鏡30を左右に高速で傾動させ、反射鏡30は、一対の永久磁石36と制御機構(図示せず)によって通電制御される第2コイルによって第2トーションバー34の軸線を中心として上下方向(D2方向)に高速で往復揺動回転する。
【0050】
図3(b)のECU26は、第2車両3の車内に設置された操作パネル(図示せず)に接続されると共に、光源27を所定のタイミングで点消灯させ、かつ光源27からの光B1を受けた反射鏡30を上下方向(D1方向)または左右方向(D2方向)に走査する。光B1は、後面カバー25bを透過して第2車両3の後方の路面に照射される。命令表示装置4は、ドライバーによる走査パネル(図示せず)の操作に基づいて点または線の積層からなる所定形状の文字または図形を第2車両3の後方路面に表示する。例えば、ドライバーが走査パネルに表示された追従ボタンを押した際に命令表示装置4は、第2車両3から離れた所定の位置で後続車両に追尾を行わせる不可視光の動作命令情報表示M1を第2車両3の後方路面に表示するようにし、図1及び図2(b)に示す後続する第1車両1の運転支援装置2は、動作命令情報表示M1に基づく動作命令を自動運転システム12に引き渡して第1車両1を所定の態様で第2車両3に自動的に追従させる。
【0051】
命令表示装置4は、近赤外線光による不可視光で動作命令情報表示M1を路面に表示するため、歩行者や車両のドライバー等に対する可視光による注意表記を搭載した路面描画装置で表示する車両などに併せて搭載しても動作命令情報表示M1を路面上で上書きして歩行者等による読み取りを困難にさせることが無いという利点を有する。
【0052】
また、図4(a)に示すように第2車両3の命令表示装置4は、例えば動作命令情報表示M1を不可視光によるマトリックス型二次元コードやスタック型二次元コードなどで表示し、第1車両1の運転支援装置2は、撮像装置7によって撮影した二次元コードの像の解析結果から動作命令情報を得るようにする。尚、動作命令情報表示M1は、二次元コードに限られずバーコードや文字など多種多様な態様で表現されても良い。
【0053】
また、図4(b)に示すように動作命令情報表示は、先行車両の命令表示装置から不可視光によって表示される光表字に限られず、予め路面上に道路鋲、ペイント、石等による線、記号、文字、図形または模様等として予め設けられた図形標示であっても良い。図4(b)に示される動作命令情報標示M2は、車線S1の路肩R1に設けられた駐車スペースSP2の枠内に駐車させるための誘導かつ停止表字である。
【0054】
例えば、図4(b)に示す動作命令情報標示M2は、所定の幅かつ所定の色で形成された平行な一対の誘導線m21、所定の駐車スペースに近づいたことを示す一対の誘導線の途中で直行する減速線m22、及び誘導線m21の終端で直行する停止線m23によって構成されるようにする。
【0055】
例えば、第1車両1の運転支援装置2は、撮像装置7で撮像範囲E1内に誘導線m21を検出した場合、一対の誘導線m21の内側からはみ出さないように走行する命令を図2(b)の自動運転システム12に送り、第1車両1は、一対の誘導線m21の内側を自動的に走行させる。運転支援装置2は、撮像装置7で減速線m22を検出した場合、所定の駐車スペースSP2に近づいたため、いつでも止まれる速度まで減速させる徐行運転命令を自動運転システム12に送り、第1車両1は、一対の誘導線m21の内側で自動的に徐行運転をする。運転支援装置2は、撮像装置7で誘導線m21の終端に形成された停止線m23を検出した場合、所定の駐車スペースSP2内にいるため、停止命令を自動運転システム12に送り、第1車両1は、駐車スペースSP2の枠内からはみ出すこと無く自動的に停止する。
【0056】
このような動作命令情報標示M2を車両が走行する車線S1から路肩R1の駐車スペースSP2まで設けた場合、第1車両1のドライバーは、駐車が苦手であっても運転支援装置2によって第1車両を自動的に駐車スペースSP2内からはみ出させることなく最適な位置に駐車させることが出来る。また、運転支援装置2を有する複数の車両は、自動的に駐車スペースSP2内からはみ出さない最適な位置に駐車するため、駐車場の設置者は、最適な位置からずれて止められた車両と隣接する車両との衝突を避けるために駐車スペースのそれぞれの面積のマージンを余分に取る必要が無い。運転支援装置2は、運転支援装置2を有する複数の車両を極めて狭い車間で正確に止めることが出来るため、設置する駐車スペースの省スペース化を図ることが出来る。
【符号の説明】
【0057】
1 第1車両
2,2’,2’’ 運転支援装置
3 第2車両
4,4’,4’’ 命令表示装置
5 車両用灯具である左前照灯
7 命令認識装置である撮像装置
23 車両用灯具である左リヤコンビネーションランプ
M1 動作命令情報表字
M2 動作命令情報標示
SP1 後続の第1車両との車間の路面
図1
図1A
図2
図3
図4