(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】半導体光集積デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20220310BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20220310BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20220310BHJP
G02F 2/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L31/02 D
G02B6/12 301
G02B6/12 311
G02F2/00
(21)【出願番号】P 2018033422
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100108257
【氏名又は名称】近藤 伊知良
(72)【発明者】
【氏名】八木 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小西 尚子
(72)【発明者】
【氏名】海老原 幸司
(72)【発明者】
【氏名】沖本 拓也
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-514596(JP,A)
【文献】特開平06-268196(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0285561(US,A1)
【文献】特開2017-017102(JP,A)
【文献】特開2016-219493(JP,A)
【文献】国際公開第2009/144883(WO,A1)
【文献】特開2016-071273(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101207162(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/0392,31/08-31/119
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体光集積デバイスであって、
第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を有し半絶縁性半導体を含む支持体と、
前記第1領域上に設けられた複数の第1フォトダイオードメサを含む第1光電変換器と、
前記第1領域上に設けられた複数の第2フォトダイオードメサを含む第2光電変換器と、
前記第2領域上に設けられた一又は複数の第1多モード導波路メサを含み前記第1光電変換器に光学的に結合された第1-光90度ハイブリッドと、
前記第2領域上に設けられた一又は複数の第2多モード導波路メサを含み前記第2光電変換器に光学的に結合された第2-光90度ハイブリッドと、
前記第4領域上に設けられた光分岐器メサと、
前記光分岐器メサを前記第1-光90度ハイブリッドに接続しており前記第3領域上に設けられた第1入力導波路メサと、
前記光分岐器メサを前記第2-光90度ハイブリッドに接続しており前記第3領域上に設けられた第2入力導波路メサと、
前記第1フォトダイオードメサ、前記第2フォトダイオードメサ、前記第1多モード導波路メサ、前記第2多モード導波路メサ、及び前記光分岐器メサを搭載しており、前記支持体の主面上に設けられた第1導電型半導体領域と、
前記第2領域及び前記第3領域上に設けられ、前記第1多モード導波路メサと前記第2多モード導波路メサとの間に延在する第1アイランド半導体メサと、
前記第2領域において、前記支持体の前記主面に交差する第1軸の方向に前記第1アイランド半導体メサ及び前記第1導電型半導体領域を貫通して、前記支持体の前記半絶縁性半導体に至る第1溝と、
を備え、
前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域及び前記第4領域は、この順に隣接して配列され
、
前記第1多モード導波路メサ及び前記第2多モード導波路メサはコア半導体層を含み、前記第1導電型半導体領域は、前記支持体の前記主面と前記コア半導体層との間に設けられる、半導体光集積デバイス。
【請求項2】
前記第1多モード導波路メサを前記第1フォトダイオードメサに接続する複数の第1導波路メサと、
前記第2多モード導波路メサを前記第2フォトダイオードメサに接続する複数の第2導波路メサと、
前記第1領域上に設けられた複数の第3フォトダイオードメサを含む第3光電変換器と、
前記第1多モード導波路メサを前記第3フォトダイオードメサに接続する複数の第3導波路メサと、
前記第2領域上において、前記第1導波路メサと前記第3導波路メサとの間に設けられた第2アイランド半導体メサと、
前記第1軸の方向に前記第2アイランド半導体メサ及び前記第1導電型半導体領域を貫通して、前記支持体の前記半絶縁性半導体まで延在する第2溝と、
を更に備える、請求項1に記載された半導体光集積デバイス。
【請求項3】
前記第1フォトダイオードメサ、前記第2フォトダイオードメサ、及び前記第1アイランド半導体メサを覆うと共に、前記第1多モード導波路メサ及び前記第2多モード導波路メサ上に開口を有する絶縁層を更に備え、
前記絶縁層は、前記第1溝内に設けられる、請求項1又は請求項2に記載された半導体光集積デバイス。
【請求項4】
前記第1溝内において、前記第1アイランド半導体メサ及び前記第1導電型半導体領域を覆う高比抵抗半導体層を更に備える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載された半導体光集積デバイス。
【請求項5】
前記第1溝は、前記第3領域に設けられる、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された半導体光集積デバイス。
【請求項6】
前記第1溝の側面は、第1部分及び第2部分を有し、前記第1部分と前記第2部分との間に段差が形成され、前記第2部分は前記第1導電型半導体領域によって提供される、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載された半導体光集積デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体光集積デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、InP系コヒーレント・ディテクション・チップを開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Yongbo Tang et al. ”High Performance DP-QPS Receiver Module incorporatingInP-based Integrated Coherent Detection Chip”、OFC 2015 OSA 2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1は、光受信モジュールのX-チャネル及びY-チャネルのための二つの2×4マルチモード干渉器(MMI)を含み、これらの2x4マルチモード干渉器は、ビームスプリッタを介して入力信号を受ける。2×4マルチモード干渉器の各々は、4つのフォトダイオードに干渉光を提供する。X-チャネルのための4つのフォトダイオードは、2×4マルチモード干渉器からの干渉光信号を電気信号に変換し、Y-チャネルのための4つのフォトダイオードは、2×4マルチモード干渉器からの干渉光信号を電気信号に変換する。
【0005】
望まれていることは、光受信モジュールにおける電気的クロストークの低減である。発明者の知見によれば、クロストークは、X-チャネル及びY-チャネルのためのフォトダイオードに接続される配線導電体のルーティング及び電気部品の配置の観点で低減されている。光受信モジュールには、クロストークが残っている。
【0006】
本発明の一側面は、電気的クロストークの低減が可能な、光受信モジュールのための半導体光集積デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る半導体光集積デバイスは、第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を有し半絶縁性半導体を含む支持体と、前記第1領域上に設けられた複数の第1フォトダイオードメサを含む第1光電変換器と、前記第1領域上に設けられた複数の第2フォトダイオードメサを含む第2光電変換器と、前記第2領域上に設けられた一又は複数の第1多モード導波路メサを含み前記第1光電変換器に光学的に結合された第1-光90度ハイブリッドと、前記第2領域上に設けられた一又は複数の第2多モード導波路メサを含み前記第2光電変換器に光学的に結合された第2-光90度ハイブリッドと、前記第4領域上に設けられた光分岐器メサと、前記光分岐器メサを前記第1-光90度ハイブリッドに接続しており前記第3領域上に設けられた第1入力導波路メサと、前記光分岐器メサを前記第2-光90度ハイブリッドに接続しており前記第3領域上に設けられた第2入力導波路メサと、前記第1フォトダイオードメサ、前記第2フォトダイオードメサ、前記第1多モード導波路メサ、前記第2多モード導波路メサ、及び前記光分岐器メサを搭載しており、前記支持体の主面上に設けられた第1導電型半導体領域と、前記第2領域及び前記第3領域上に設けられ、前記第1多モード導波路メサと前記第2多モード導波路メサとの間に延在する第1アイランド半導体メサと、前記第2領域において、前記支持体の前記主面に交差する第1軸の方向に前記第1アイランド半導体メサ及び前記第1導電型半導体領域を貫通して、前記支持体の前記半絶縁性半導体に至る第1溝と、を備える。
【0008】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明の一側面によれば、電気的クロストークの低減が可能な、光受信モジュールのための半導体光集積デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1におけるIIa-IIa線、IIb-IIb線、及びIIc-IIc線に沿ってとられた断面を示す図面である。
【
図3】
図3は、
図1におけるIIIa-IIIa線及びIIIb-IIIb線に沿ってとられた断面を示す図面である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法におけるエピ生産物を形成する工程を模式的に示す図面である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの具体例を説明する。
【0012】
実施例に係る半導体光集積デバイスは、(a)第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を有し半絶縁性半導体を含む支持体と、(b)前記第1領域上に設けられた複数の第1フォトダイオードメサを含む第1光電変換器と、(c)前記第1領域上に設けられた複数の第2フォトダイオードメサを含む第2光電変換器と、(d)前記第2領域上に設けられた一又は複数の第1多モード導波路メサを含み前記第1光電変換器に光学的に結合された第1-光90度ハイブリッドと、(e)前記第2領域上に設けられた一又は複数の第2多モード導波路メサを含み前記第2光電変換器に光学的に結合された第2-光90度ハイブリッドと、(f)前記第4領域上に設けられた光分岐器メサと、(g)前記光分岐器メサを前記第1-光90度ハイブリッドに接続しており前記第3領域上に設けられた第1入力導波路メサと、(h)前記光分岐器メサを前記第2-光90度ハイブリッドに接続しており前記第3領域上に設けられた第2入力導波路メサと、(i)前記第1フォトダイオードメサ、前記第2フォトダイオードメサ、前記第1多モード導波路メサ、前記第2多モード導波路メサ、及び前記光分岐器メサを搭載しており、前記支持体の主面上に設けられた第1導電型半導体領域と、(j)前記第2領域及び前記第3領域上に設けられ、前記第1多モード導波路メサと前記第2多モード導波路メサとの間に延在する第1アイランド半導体メサと、(k)前記第2領域において、前記支持体の前記主面に交差する第1軸の方向に前記第1アイランド半導体メサ及び前記第1導電型半導体領域を貫通して、前記支持体の前記半絶縁性半導体に至る第1溝と、を備える。
【0013】
半導体光集積デバイスによれば、アイランド半導体メサが第2領域及び第3領域上に設けられると共に、第1多モード導波路メサと第2多モード導波路メサとの間を延在する。半導体光集積デバイスには、第2領域において、第1アイランド半導体メサ及び第1導電型半導体領域を介して支持体の高比抵抗半導体に到達する第1溝を提供できる。第1アイランド半導体メサの溝は、第1-光90度ハイブリッドに接続される第1光電変換器内の第1フォトダイオードメサと第2-光90度ハイブリッドに接続される第2光電変換器内の第2フォトダイオードメサとの間に導電経路を制限する。また、第1アイランド半導体メサの溝は、上記の導電経路を長くする。
【0014】
具体例に係る半導体光集積デバイスは、前記第1多モード導波路メサを前記第1フォトダイオードメサに接続する複数の第1導波路メサと、前記第2多モード導波路メサを前記第2フォトダイオードメサに接続する複数の第2導波路メサと、前記第1領域上に設けられた複数の第3フォトダイオードメサを含む第3光電変換器と、前記第1多モード導波路メサを前記第3フォトダイオードメサに接続する複数の第3導波路メサと、前記第2領域上において、前記第1導波路メサと前記第3導波路メサとの間に設けられた第2アイランド半導体メサと、前記第1軸の方向に前記第2アイランド半導体メサ及び前記第1導電型半導体領域を貫通して、前記支持体の前記半絶縁性半導体まで延在する第2溝と、を更に備える。
【0015】
半導体光集積デバイスによれば、第2アイランド半導体メサが、第2領域上において第1導波路メサと第3導波路メサとの間に延在する。半導体光集積デバイスには、第2領域において、第2アイランド半導体メサ及び第1導電型半導体領域を介して支持体の高比抵抗半導体に到達する第1溝を提供できる。第2アイランド半導体メサの第2溝は、第1光電変換器内の第1フォトダイオードメサと第3光電変換器内の第3フォトダイオードメサの間に導電経路を制限する。また、第2アイランド半導体メサの第2溝は、上記の導電経路を長くする。
【0016】
具体例に係る半導体光集積デバイスは、前記第1フォトダイオードメサ、前記第2フォトダイオードメサ、及び前記第1アイランド半導体メサを覆うと共に、前記第1多モード導波路メサ及び前記第2多モード導波路メサ上に開口を有する絶縁層を更に備え、前記絶縁層は、前記第1溝内に設けられる。
【0017】
半導体光集積デバイスによれば、絶縁層が第1アイランド半導体メサ及び第1導電型半導体領域を覆うことを可能にする。
【0018】
具体例に係る半導体光集積デバイスでは、前記第1溝内において、前記第1アイランド半導体メサ及び前記第1導電型半導体領域を覆う高比抵抗半導体層を更に備える。
【0019】
半導体光集積デバイスによれば、高比抵抗半導体層が第1アイランド半導体メサ及び第1導電型半導体領に接触を成すことを可能にする。
【0020】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の半導体光集積デバイス、及び半導体光集積デバイスを作成する方法に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る半導体光集積デバイスを示す平面図である。
図2は、
図1におけるIIa-IIa線、IIb-IIb線、及びIIc-IIc線に沿ってとられた断面を示す図面である。
図3は、
図1におけるIIIa-IIIa線及びIIIb-IIIb線に沿ってとられた断面を示す図面である。
【0022】
半導体光集積デバイス11は、支持体13、第1光電変換器15、第2光電変換器17、第1-光90度ハイブリッド19、第2-光90度ハイブリッド21、第1導電型半導体領域23、第1アイランド半導体メサ25、第1溝27、及び光分岐器メサ29を備える。
図1には、半導体光集積デバイス11におけるメサ及び溝といった半導体構造物、並びに電極といった金属体を実線で描いている。
図2及び
図3は、
図1に示された断面線において、半導体光集積デバイス11の構造を例証している。
【0023】
支持体13は、主面13a及び裏面13bを有し、主面13aは裏面13bの反対側にある。支持体13は、半絶縁性半導体を含み、具体的には、主面13aは半絶縁性半導体からなる。支持体13は、第1領域13c、第2領域13d、第3領域13e及び第4領域13fを有する。支持体13は、例えば半絶縁性のInP基板といった半導体製のベースを含むことができ、必要な場合には、支持体13は、ベース上に設けられる半導体エピタキシャル層を含むことができる。
【0024】
第1光電変換器15は、第1領域13c上に設けられた複数の第1フォトダイオードメサ16a、16bを含む。第2光電変換器17は、第1領域13c上に設けられた複数の第2フォトダイオードメサ18a、18bを含む。
【0025】
第1-光90度ハイブリッド19は、複数の光入力19a、19b及び複数の光出力19c、19d、19e、19fを有する。具体的には、第1-光90度ハイブリッド19は、第2領域13d上に設けられた一又は複数の第1多モード導波路メサ(20a、20b)を含む。本実施例では、第1多モード導波路メサ20aは、2×4多モード導波器のための構造を有し、第1多モード導波路メサ20bは、2×2多モード導波器のための構造を有する。
【0026】
第2-光90度ハイブリッド21は、複数の光入力21a、21b及び複数の光出力21c、21d、21e、21fを有する。具体的には、第2-光90度ハイブリッド21は、第2領域13d上に設けられた一又は複数の第2多モード導波路メサ(22a、22b)を含む。本実施例では、第2多モード導波路メサ22aは、2×4多モード導波器のための構造を有し、第2多モード導波路メサ22bは、2×2多モード導波器のための構造を有する。
【0027】
第1導電型半導体領域23は、低比抵抗を有しており、支持体13の主面13a上に設けられる。第1導電型半導体領域23は、第1領域13cにおいて、第1フォトダイオードメサ16a、16b、及び第2フォトダイオードメサ18a、18bを搭載する。第1導電型半導体領域23は、第2領域13dにおいて、第1多モード導波路メサ20a、20b、及び第2多モード導波路メサ22a、22bを搭載する。第1導電型半導体領域23は、第2領域13d及び第3領域13e上において、第1アイランド半導体メサ25を搭載する。第1アイランド半導体メサ25は、第1多モード導波路メサ20a、20bと第2多モード導波路メサ22a、22bとの間に延在しており、本実施例では、第2領域13d及び第3領域13e上を延在して、第1領域13cと第2領域13dとの境界に到達する。
【0028】
第1溝27は、第2領域13dにおいて、支持体13の主面13aに交差する第1軸Ax1の方向に第1アイランド半導体メサ25及び第1導電型半導体領域23を貫通して、支持体13の半絶縁性半導体に至る。必要な場合には、第1溝27は、第3領域13eに設けられることができる。
【0029】
光分岐器メサ29は、第4領域13f上に設けられる。光分岐器メサ29は、第1-光90度ハイブリッド19の光入力19a及び第2-光90度ハイブリッド21の光入力21aに光学的に結合され、また参照光入力ポートRPに導波路メサ39を介して接続される。この光接続は、光分岐器メサ29が、ビームスプリッタとして働くことを可能にし、参照光入力ポートRPからの参照光を第1-光90度ハイブリッド19及び第2-光90度ハイブリッド21に提供するように設けられる。具体的には、第1多モード導波路メサ20aが、光分岐器メサ29から参照光を光入力19aに受け、第2多モード導波路メサ22aが、光分岐器メサ29から参照光を光入力21aに受ける。
【0030】
また、第1-光90度ハイブリッド19は、第1光電変換器15に光学的に結合され、第2-光90度ハイブリッド21は、第2光電変換器17に光学的に結合される。
【0031】
半導体光集積デバイス11によれば、第1アイランド半導体メサ25が第2領域13d及び第3領域13e上に設けられると共に、第1多モード導波路メサ20aと第2多モード導波路メサ22aとの間を延在する。半導体光集積デバイス11には、第2領域13dにおいて、第1アイランド半導体メサ25及び第1導電型半導体領域23を介して支持体13の高比抵抗半導体に到達する第1溝27を提供できる。第1アイランド半導体メサ25の第1溝27は、第1-光90度ハイブリッド19に接続される第1光電変換器15内の第1フォトダイオードメサ16a、16bと第2-光90度ハイブリッド21に接続される第2光電変換器17内の第2フォトダイオードメサ18a、18bとの間に導電経路を制限する。また、第1溝27は、この導電経路を狭める。
【0032】
また、光分岐器メサ29は、第1-光90度ハイブリッド19に、具体的には第1多モード導波路メサ20aの光入力19bに光学的に結合され、また第2-光90度ハイブリッド21に、具体的には第2多モード導波路メサ22aの光入力21bに光学的に結合される。詳細には、半導体光集積デバイス11は、第1入力導波路メサ31及び第2入力導波路メサ33を更に備え、第1入力導波路メサ31及び第2入力導波路メサ33は、第3領域13e上に設けられる。第1入力導波路メサ31は、光分岐器メサ29を第1多モード導波路メサ20aに接続する。第2入力導波路メサ33は、光分岐器メサ29を第2多モード導波路メサ22aに接続する。
【0033】
また、第1-光90度ハイブリッド19及び第2-光90度ハイブリッド21は、それぞれ、Xチャネルのための第1信号入力ポートS1Pから第1信号光、及びYチャネルのための第2信号入力ポートS2Pから第2信号光を受ける。具体的には、第1多モード導波路メサ20aが、第1信号光を光入力19bに受け、第2多モード導波路メサ22aが、第2信号光を光入力21bに受ける。
【0034】
詳細には、半導体光集積デバイス11は、第3入力導波路メサ35及び第4入力導波路メサ37を更に備え、第3入力導波路メサ35及び第4入力導波路メサ37は、第3領域13e及び第4領域13f上に設けられる。第3入力導波路メサ35は、第1信号入力ポートS1Pを第1多モード導波路メサ20aの光入力19bに接続すると共に、Xチャネルのための信号光を第1信号入力ポートS1Pから受ける。第4入力導波路メサ37は、第2信号入力ポートS2Pを第2多モード導波路メサ22aの光入力21bに接続すると共に、Yチャネルのための信号光を第2信号入力ポートS2Pから受ける。
【0035】
第1導電型半導体領域23は、第3領域13e上において、第1入力導波路メサ31及び第2入力導波路メサ33を搭載する。第1導電型半導体領域23は、第3領域13e及び第4領域13f上において、第3入力導波路メサ35及び第4入力導波路メサ37を搭載する。第1導電型半導体領域23は、第4領域13f上において、光分岐器メサ29を搭載する。
【0036】
第2領域13dは、第1領域13c及び第3領域13eに隣接する。第3領域13eは、第4領域13fに隣接する。第1領域13cは、フォトダイオードエリアにあり、第2領域13d、第3領域13e及び第4領域13fは、導波路エリアにある。本実施例では、第1領域13c、第2領域13d、第3領域13e及び第4領域13fは、第1軸Ax1に交差する第2軸の方向に配列される。第1-光90度ハイブリッド19、第1アイランド半導体メサ25及び第2-光90度ハイブリッド21は、第1軸Ax1及び第2軸Ax2に交差する第3軸Ax3の方向に配列される。また、第1光電変換器15及び第2光電変換器17は、第3軸Ax3の方向に配列される。
【0037】
第1-光90度ハイブリッド19は、第1光電変換器15に光学的に結合され、具体的には、第1多モード導波路メサ20aが第1光電変換器15に光学的に結合される。詳細には、第1光電変換器15は、第1多モード導波路メサ20bの光出力19c、19dからの干渉光を受ける。また、第2-光90度ハイブリッド21は、第2光電変換器17に光学的に結合され、具体的には、第2多モード導波路メサ22aが第2光電変換器17に光学的に結合される。詳細には、第2光電変換器17は、第2多モード導波路メサ22bの光出力21c、21dからの干渉光を受ける。
【0038】
半導体光集積デバイス11は、第1導波路メサ32及び第2導波路メサ34を更に備え、第1導波路メサ32及び第2導波路メサ34は、第2領域13d上に設けられる。第1-光90度ハイブリッド19は、第1導波路メサ32を介して第1光電変換器15に光学的に結合される。具体的には、第1導波路メサ32は、第1多モード導波路メサ20bの光出力19c、19dを第1フォトダイオードメサ16a、16bに接続する。また、第2-光90度ハイブリッド21は、第1導波路メサ32を介して第2光電変換器17に光学的に結合される。具体的には、第2導波路メサ34は、第2多モード導波路メサ22aの光出力21c、21dを第2フォトダイオードメサ18a、18bに接続する。
【0039】
半導体光集積デバイス11は、第3光電変換器41、第3導波路メサ43、第2アイランド半導体メサ45、及び第2溝47を更に備える。第3光電変換器41は、第1領域13c上に設けられた複数の第3フォトダイオードメサ42a、42bを含む。第3導波路メサ43は、第1多モード導波路メサ20aを第3フォトダイオードメサ42a、42bに接続する。第2アイランド半導体メサ45は、第2領域13d上において、第1光電変換器15に接続される第1導波路メサ32と、第3光電変換器41に接続される第3導波路メサ43との間に設けられる。第2溝47は、第1軸Ax1の方向に第2アイランド半導体メサ45及び第1導電型半導体領域23を貫通して、支持体13の半絶縁性半導体まで延在する。
【0040】
半導体光集積デバイス11によれば、第2アイランド半導体メサ45が、第2領域13d上において第1導波路メサ32と第3導波路メサ43との間に延在する。半導体光集積デバイス11には、第2領域13dにおいて、第2アイランド半導体メサ45及び第1導電型半導体領域23を介して支持体13の高比抵抗半導体に到達する第2溝47を提供できる。第2アイランド半導体メサ45の第2溝47は、第1光電変換器15内の第1フォトダイオードメサ16a、15bと第3光電変換器41内の第3フォトダイオードメサ44a、44bの間における導電経路を制限し、またこの導電経路を長くする。
【0041】
半導体光集積デバイス11は、第4光電変換器51、第4導波路メサ53、第3アイランド半導体メサ55、及び第3溝57を更に備える。第4光電変換器51は、第1領域13c上に設けられた複数の第4フォトダイオードメサ52a、52bを含む。第4導波路メサ53は、第2多モード導波路メサ22aを第4フォトダイオードメサ52a、52bに接続する。第3アイランド半導体メサ55は、第2領域13d上において、第2光電変換器17に接続される第2導波路メサ34と、第4光電変換器51に接続される第4導波路メサ53との間に設けられる。第3溝57は、第1軸Ax1の方向に第3アイランド半導体メサ55及び第1導電型半導体領域23を貫通して、支持体13の半絶縁性半導体まで延在する。
【0042】
半導体光集積デバイス11によれば、第3アイランド半導体メサ55において、第3溝57は、第2光電変換器17内の第2フォトダイオードメサ18a、18bと第4光電変換器51内の第4フォトダイオードメサ52a、52bの間における導電経路を制限し、また導電経路を長くする。
【0043】
図1、
図2及び
図3を参照すると、第1導電型半導体領域23は、第1領域13c上においてフォトダイオードメサ毎に設けられた複数の第1部分23a、並びに第2領域13d、第3領域13e、及び第4領域13f上に設けられた単一の第2部分23bを有する。第1領域13cにおける各第1部分23aは、互いに隔置されると共に、第2領域13d上の第2部分23bを介して接続される。例えば、第1光電変換器15は、第1フォトダイオードメサ16aを含み、一方の第1フォトダイオードメサ16aが、第1部分23aのうちの一つ上に設けられ、他方の第1フォトダイオードメサ16bは、別の第1部分23a上に設けられる。例えば、第2光電変換器17は、第2フォトダイオードメサ18aを含み、一方の第2フォトダイオードメサ18aが、更なる第1部分23a上に設けられ、他方の第2フォトダイオードメサ18bは、更なる別の第1部分23a上に設けられる。
【0044】
第1導電型半導体領域23における第2部分23bは、第1多モード導波路メサ20a、20b、第2多モード導波路メサ22a、22b、第1導波路メサ32、第2導波路メサ34、第3導波路メサ43、第4導波路メサ53、光分岐器メサ29、第1入力導波路メサ31、第2入力導波路メサ33、第3入力導波路メサ35、及び第4入力導波路メサ37を搭載する。
【0045】
第1導電型半導体領域23は、更に、第3部分23cを有しており、第3部分23cは、第2領域13d及び第3領域13e上に設けられ第2部分23bから第1アイランド半導体メサ25の第1溝27によって隔置される。第2部分23b及び第3部分23cは、第1アイランド半導体メサ25を搭載する。
【0046】
第1導電型半導体領域23は、更に、第4部分23dを有することができ、第4部分23dは、第2領域13d上に設けられ第2部分23bから第2アイランド半導体メサ45の第2溝47によって隔置される。第2部分23b及び第4部分23dは、第2アイランド半導体メサ45を搭載する。
【0047】
第1導電型半導体領域23は、更に、第5部分23eを有することができ、第5部分23eは、第2領域13d上に設けられ第2部分23bから第3アイランド半導体メサ55の第3溝57によって隔置される。第2部分23b及び第5部分23eは、第3アイランド半導体メサ55を搭載する。
【0048】
第1導波路メサ32、第2導波路メサ34、第3導波路メサ43、及び第4導波路メサ53は、それぞれ、第1フォトダイオードメサ16a、16b、第2フォトダイオードメサ18a、18b、第3フォトダイオードメサ42a、42b、並びに第4フォトダイオードメサ52a、52bに突当接合(BJ)により光学的に結合される。
【0049】
第1導電型半導体領域23は、突当接合(BJ)から離れた位置に縁23fを有し、縁23fは、第1領域13c及び第2領域13dの一方から他方を区切る。第1溝27、第2溝47、及び第3溝57は、第1導電型半導体領域23の縁23fから延在する。
【0050】
図2に示されるように、第1多モード導波路メサ20a、20b、第2多モード導波路メサ22a、22b、第1導波路メサ32、第2導波路メサ34、第3導波路メサ43、第4導波路メサ53、光分岐器メサ29、第1入力導波路メサ31、第2入力導波路メサ33、第3入力導波路メサ35、第4入力導波路メサ37、第1アイランド半導体メサ25、第2アイランド半導体メサ45、及び第3アイランド半導体メサ55の各々は、半導体積層61を含み、半導体積層61は、第1導電型半導体領域23上に設けられたコア半導体層63a、コア半導体層63a上に設けられた高比抵抗を有する上部クラッド層63b、及びコア半導体層63a下に設けられた第1導電型半導体を備える下部クラッド領域63cを含む。上部クラッド層63b、下部クラッド領域63c及び第1導電型半導体領域23は、コア半導体層63aより小さい屈折率を有する。
【0051】
図3を参照しながら、フォトダイオードの構造(Xチャネルのための第1光電変換器15及び第3光電変換器41、並びにYチャネルのための第2光電変換器17及び第4光電変換器51)を説明する。例えば、第1フォトダイオードメサ16a、16bの各々は、半導体積層65を含み、半導体積層65は、第1導電型半導体領域23上に設けられた光吸収層67a、及び光吸収層67a上に設けられた第2導電型半導体領域67bを含む。
【0052】
図3に示されるように、第1導波路メサ32は、それぞれの第1フォトダイオードメサ16a、16bに突当接合(BJ)を成す。同様に、第2導波路メサは、それぞれの第2フォトダイオードメサ18a、18bに突当接合(BJ)を成す。
【0053】
第1光電変換器15(第2光電変換器17)は、第1フォトダイオードメサの各々の上に設けられた上部電極69aと、第1光電変換器15(第2光電変換器17)のための第1導電型半導体領域23におけるそれぞれの第1部分23a上に設けられた下部電極69bとを備える。
【0054】
図2及び
図3に示されるように、半導体光集積デバイス11は、絶縁層58を更に備える。絶縁層58は、第1フォトダイオードメサ16a、16b、第2フォトダイオードメサ18a、18b、第3フォトダイオードメサ44a、44b、第4フォトダイオードメサ52a、52bを覆うと共に、第1アイランド半導体メサ25の一部又は全部、第2アイランド半導体メサ45の一部又は全部、第3アイランド半導体メサ55の一部又は全部を覆うことができる。また、絶縁層58は、第1多モード導波路メサ20a、20b、第2多モード導波路メサ22a、22b、及び光分岐器メサ29上に位置する開口58aを有する。
【0055】
絶縁層58は、第1溝27、第2溝47及び第3溝57内に設けられる。半導体光集積デバイス11によれば、絶縁層58が、第1アイランド半導体メサ25、第2アイランド半導体メサ45、第3アイランド半導体メサ55、及び第1導電型半導体領域23を覆うことを可能にする。
【0056】
必要な場合には、半導体光集積デバイス11は、高比抵抗半導体層49を更に備えることができ、高比抵抗半導体層49は、第1溝27、第2溝47及び第3溝57内において、第1アイランド半導体メサ25、第2アイランド半導体メサ45、第3アイランド半導体メサ55及び第1導電型半導体領域23の表面を覆う。
【0057】
半導体光集積デバイス11によれば、高比抵抗半導体層49が、第1アイランド半導体メサ25、第2アイランド半導体メサ45、第3アイランド半導体メサ55及び第1導電型半導体領域23に接触を成すことを可能にする。
【0058】
第1溝27(第2溝47及び第3溝57)は、底面27a及び側面27bを有する。側面27bは、第1アイランド半導体メサ25(第2アイランド半導体メサ45、第3アイランド半導体メサ55)の上面25aを底面27aに接続する。側面27bは、第1部分27ba及び第2部分27bbを有する。側面27bの第1部分27baは、第1アイランド半導体メサ25によって提供され、側面27bの第2部分27bbは、第1導電型半導体領域23によって提供される。
第1溝27の側面27bは段差27dを有しており、高比抵抗半導体層49は段差27d上に設けられる。高比抵抗半導体層49は、第1アイランド半導体メサ25内の導電性半導体、及び第1導電型半導体領域23を覆う。
【0059】
半導体光集積デバイス11の例示。
上部クラッド層63b:i型InP。
コア半導体層63a:i型GaInAsP。
下部クラッド領域63c:n型InP。
第1導電型半導体領域23:n型InP。
光吸収層67a:i型GaInAs。
第2導電型半導体領域67b:p型InPクラッド、p型GaInAsコンタクト層。
高比抵抗半導体層49:i型InP。
絶縁層58:SiNといったシリコン系無機絶縁体。
【0060】
図3を参照しながら、フォトダイオードの構造(Xチャネルのための第1光電変換器15及び第3光電変換器41、並びにYチャネルのための第2光電変換器17及び第4光電変換器51)を説明する。例えば、第1フォトダイオードメサ16a、16bの各々は、半導体積層65を含み、半導体積層65は、第1導電型半導体領域23上に設けられた光吸収層67a、及び光吸収層67a上に設けられた第2導電型半導体領域67bを含む。
【0061】
図3に示されるように、第1導波路メサ32は、それぞれの第1フォトダイオードメサ16a、16bに突当接合(BJ)を成す。同様に、第2導波路メサは、それぞれの第2フォトダイオードメサ18a、18bに突当接合(BJ)を成す。
【0062】
図1を参照すると、半導体光集積デバイス11は、第4領域13f上に設けられた第4アイランド半導体メサ59a及び第5アイランド半導体メサ59bを備えることができる。第4アイランド半導体メサ59a及び第5アイランド半導体メサ59bは、それぞれ、光分岐器メサ29、第1入力導波路メサ31及び導波路メサ39と第3入力導波路メサ35との間、並びに光分岐器メサ29、第1入力導波路メサ31及び第2入力導波路メサ33と第4入力導波路メサ37との間に位置する。
【0063】
半導体光集積デバイス11は、第2領域13d、第3領域13e、及び第4領域13f上に設けられた第1半導体テラス59c及び第2半導体テラス59dを備えることができる。第1-光90度ハイブリッド19、第2-光90度ハイブリッド21、及び光分岐器メサ29は、第1半導体テラス59cと第2半導体テラス59dとの間に設けられる。
【0064】
半導体光集積デバイス11は、第3入力導波路メサ35、第4入力導波路メサ37及び導波路メサ39の各入力端に設けられたスポットサイズ変換器を含むことができる。
【0065】
半導体光集積デバイス11は、
図2及び
図3に示されるように、支持体13の裏面13b上に裏面金属層30を備えることができる。裏面金属層30は、一又は複数の開口30aを有しており、開口30aの位置は、主面13aにおける第1-光90度ハイブリッド19、第2-光90度ハイブリッド21及び光分岐器メサ29に位置合わせされている。
【0066】
図4~
図14を参照しながら、半導体光集積デバイスを作製する方法における主要な工程を説明する。引き続く説明において、理解を容易にするために、可能な場合には、
図1~
図3を参照しながら為された記述における参照符合を用いる。
【0067】
図4に示されるように、エピ生産物EPを準備する。本実施例では、エピ生産物EPを準備するために、エピ生産物EPを作製する。エピ生産物EPの作製では、例えば有機金属気相成長法を用いる半導体結晶の成長を行う。エピ生産物EPは、半絶縁性半導体ウエハといった成長用の基板69、半導体積層61のための第1エピタキシャル構造71、及び半導体積層65のための第2エピタキシャル構造73を含む。第1エピタキシャル構造71は、半導体積層65のための第2エピタキシャル構造73に突当接合BJを成す。
【0068】
エピ生産物EPの例示。
成長用の基板69:FeドープInP。
第1エピタキシャル構造71。
第1導電型半導体領域23及び下部クラッド領域63cのための半導体膜:n型InP。
コア半導体層63aのための半導体膜:i型GaInAsP。
上部クラッド層63bのための半導体膜:i型InP。
第2エピタキシャル構造73。
第1導電型半導体領域23のための半導体膜:n型InP。
光吸収層67aのための半導体膜:i型GaInAs。
第2導電型半導体領域67bのための半導体膜:p型InPクラッド、p型GaInAsコンタクト層。
【0069】
図5は、マスクのパターンを一素子区画において示す平面図である。エピ生産物EPを準備した後に、成膜、フォトリソグラフ及びエッチングを用いて、エピ生産物EP上に第1マスクM1を作製する。第1マスクM1は、
図5に示されるように、メサ形状を規定するパターンを有し、このパターンは、第1フォトダイオードメサ16a、16bといったフォトダイオードメサ、第1多モード導波路メサ20a、20b、第2多モード導波路メサ22a、22b、及び光分岐器メサ29といった多モード導波路メサ、第1導波路メサ32、第2導波路メサ34、第3導波路メサ43、第4導波路メサ53、第1入力導波路メサ31、第2入力導波路メサ33、第3入力導波路メサ35、及び第4入力導波路メサ37といったシングルモード導波路メサ、並びに第1アイランド半導体メサ25、第2アイランド半導体メサ45、第3アイランド半導体メサ55、第4アイランド半導体メサ59a、第5アイランド半導体メサ59b、第1半導体テラス59c、及び第2半導体テラス59dといった半導体メサの形状を規定する。本実施例では、第1マスクM1は、第1アイランド半導体メサ25に設けられる第1溝27といった溝構造のためのストライプ開口を含む。必要な場合には、第1マスクM1は、第2アイランド半導体メサ45及び第3アイランド半導体メサ55にそれぞれ設けられる第2溝47及び第3溝57といった溝構造のためのストライプ開口AP25M1を含むことができる。第1マスクM1は、SiN膜といったシリコン系無機絶縁膜を含む。第1導波路メサ32、第2導波路メサ34、第3導波路メサ43、及び第4導波路メサ53のマスクパターンは、突当接合BJを横切る。
【0070】
図6は、第1マスクを用いたエッチングにより作製されたメサを一素子区画において示す平面図である。第1マスクM1を作製した後に、第1マスクM1を用いてエピ生産物EPをエッチングして、以下のメサを含む第1基板生産物SP1を形成する。
第1フォトダイオードメサ16a及び16bといったフォトダイオードメサ。
第1多モード導波路メサ20a及び20b。
第2多モード導波路メサ22a及び22b。
第1導波路メサ32、第2導波路メサ34、第3導波路メサ43、及び第4導波路メサ53。
光分岐器メサ29。
第1入力導波路メサ31、第2入力導波路メサ33、第3入力導波路メサ35、及び第4入力導波路メサ37。
第1アイランド半導体メサ25、第2アイランド半導体メサ45、第3アイランド半導体メサ55、第4アイランド半導体メサ59a及び第5アイランド半導体メサ59b。
第1半導体テラス59c及び第2半導体テラス59d。
【0071】
図7の(a)部、(b)部、及び(c)部は、それぞれ、
図6はおけるVIIa-VIIa線、VIIb-VIIb線、及びVIIc-VIIc線に沿って取られた断面を示す。上記のメサは、第1導電型半導体領域23のための半導体膜(例えばn型InP)内に底を有しており、これ故に、第1導電型半導体領域23の上部分(63c)を含む。
図7の(a)部、(b)部、及び(c)部を参照すると、第1フォトダイオードメサ16a及び16bといったフォトダイオードメサの断面、第1多モード導波路メサ20a及び20bといった導波路メサの断面、並びに第1溝27といった溝構造のための淺溝SGVが示される。第2マスクM2のストライプ開口に応じて、第2アイランド半導体メサ45及び第3アイランド半導体メサ55にそれぞれ第2溝47及び第3溝57といった溝構造のための淺溝SGVが形成されることができる。
【0072】
図8の(a)部、(b)部、及び(c)部は、それぞれ、
図7の(a)部、(b)部、及び(c)部に示されたVIIa-VIIa線、VIIb-VIIb線、及びVIIc-VIIc線に沿って取られた断面における進捗を示す。引き続くプロセスでは、淺溝SGV内に高比抵抗半導体を選択成長するためのマスクを形成する。具体的には、第1マスクM1を用いたドライエッチングによる半導体メサを形成した後に、第1マスクM1を除去することなく、第1基板生産物SP1の全面にシリコン系無機絶縁膜75を成長する。
図8の(a)部、(b)部、及び(c)部に示されるように、フォトダイオードメサ、多モード導波路メサ、アイランド半導体メサ、導波路メサ、光分岐器メサ、及び入力導波路メサの上面及び側面には、第1マスクM1のシリコン系無機絶縁層上にシリコン系無機絶縁膜75が形成される。また、フォトダイオードメサ、多モード導波路メサ、アイランド半導体メサ、導波路メサ、光分岐器メサ、及び入力導波路メサの側面は、シリコン系無機絶縁膜75で覆われる。
【0073】
図9の(a)部、(b)部、及び(c)部は、それぞれ、
図8の(a)部、(b)部、及び(c)部に示された断面における進捗を示す。シリコン系無機絶縁膜75を成長した後に、第1基板生産物SP1のシリコン系無機絶縁膜75上にレジストマスクRMを形成する。レジストマスクRMは、多モード導波路メサ、導波路メサ、光分岐器メサ、並びに入力導波路メサの上面及び側面を覆うパターンと、フォトダイオードメサ及びアイランド半導体メサ上に位置する開口APとを有する。レジストマスクRMを用いて、シリコン系無機絶縁膜75の厚さの絶縁体を除去するようにウエットエッチングを行って、シリコン系無機絶縁体の第2マスクM2を形成する。ウエットエッチングの後に、レジストマスクRMを剥離する。
【0074】
図10は、第2マスクの形状を一素子区画において示す平面図である。
図11の(a)部、(b)部、及び(c)部は、それぞれ、
図9の(a)部、(b)部、及び(c)部に示された断面における進捗を示す。第2マスクM2は、フォトダイオードメサ及びアイランド半導体メサの上面(溝の側面及び底面を除く)、並びに多モード導波路メサ、導波路メサ、光分岐器メサ、及び入力導波路メサの上面及び側面を覆う。第2マスクM2は、フォトダイオードメサの側面、並びにアイランド半導体メサの淺溝SGVの側面及び底面を覆わないようにする開口AP2を有する。
【0075】
図12の(a)部、(b)部、及び(c)部は、それぞれ、
図11の(a)部、(b)部、及び(c)部に示された断面における進捗を示す。第2マスクM2を用いて、高比抵抗半導体(49)を成長する。具体的には、第2マスクM2の開口AP2内の半導体上に、i型InPといった高比抵抗半導体が堆積する。具体的には、高比抵抗半導体は、第2マスクM2の開口AP2内においては、第2マスクM2で覆われる半導体メサ上面を除く表面、例えば半導体メサの側面に堆積する。具体的には、高比抵抗半導体は淺溝SGVの側面及び底面に堆積する。第2マスクM2のパターンの結果として、高比抵抗半導体は、フォトダイオードメサの上面及びフォトダイオードメサのコンタクト領域上には堆積しない。高比抵抗半導体の堆積の後に、第2マスクM2を除去して、第2基板生産物SP2を得る。
【0076】
第2マスクM2を除去した後に、高比抵抗半導体で覆われた溝構造の底部に深溝を形成する。このプロセスは、第3マスクM3を用いたエッチングにより行われる。
図13は、第3マスクの形状を一素子区画において示す平面図である。第3マスクM3は、第1溝27のための淺溝SGV内に深溝を形成するためのパターンを有する。本実施例では、第3マスクM3は、淺溝SGVの底面にストライプ開口AP3Tを有すると共に、個々のフォトダイオードメサの外側に位置する開口AP3Sを有しており、ストライプ開口AP3Tは、開口AP3Sから延在し、開口AP3Sに到達する。第3マスクM3は、例えばSiN膜といったシリコン系無機絶縁膜を含むことができる。
【0077】
図14の(a)部、(b)部、及び(c)部は、それぞれ、
図12の(a)部、(b)部、及び(c)部に示された断面における進捗を示す。第3マスクを用いたドライエッチングにより、ストライプ開口AP3Tの位置に深溝DGVが形成される、ドライエッチングの後に、第3マスクM3を除去して、第3基板生産物SP3を得る。第3基板生産物SP3は、フォトダイオードメサを搭載する第1部分23a、第2部分23b及び第3部分23cを含む。
【0078】
第3マスクM3を除去した後に、パッシベーションのための絶縁層58を第3基板生産物SP3上に形成する。絶縁層58は、多モード導波路メサ、アイランド半導体メサ、導波路メサ、光分岐器メサ、及び入力導波路メサ上に開口を有すると共にフォトダイオードメサの上面及び側面を覆う。また、絶縁層58は、フォトダイオードメサのアノード及びカソード上に位置するコンタクト開口を有する。メタライズプロセスにより、アノード及びカソードのためのコンタクト開口上にアノード電極といった上部電極69a及びカソード電極といった下部電極69bを形成する。
【0079】
これらのプロセスにより、半導体光集積デバイスが作製される。
【0080】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、クロストークの低減可能な、光受信モジュールのための半導体光集積デバイスが提供される。
【符号の説明】
【0082】
11…半導体光集積デバイス、13…支持体、13c…第1領域、13d…第2領域、13e…第3領域、13f…第4領域、15…第1光電変換器、16a、16b…第1フォトダイオードメサ、17…第2光電変換器、18a、18b…第2フォトダイオードメサ、19、21…光90度ハイブリッド、19a、19b…光入力、19c、19d、19e、19f…光出力、20a、20b…第1多モード導波路メサ、21a、21b…光入力、21c、21d、21e、21f…光出力、22a、22b…第2多モード導波路メサ、23…第1導電型半導体領域、25…第1アイランド半導体メサ、27…第1溝、29…光分岐器メサ。