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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】真空包装装置の真空包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/02 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
B65B31/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018037639
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2019151371
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 義昭
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-221422(JP,A)
【文献】実開平5-26841(JP,U)
【文献】特開2019-151372(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第1353157(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/00 - 31/10
B65B 7/00 - 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ャンバーと、
前記チャンバー内を減圧する真空ポンプと、
前記チャンバー内に設けられ、前記ビニール袋の被包装物投入部が載置される第1閉成ブロックと、前記第1閉成ブロックと対向して蓋部の下面側に設けられる第2閉成ブロックと、により構成される閉成ブロックと、
前記真空ポンプと前記閉成ブロックを少なくとも制御する制御装置と、
を具備する真空包装機の真空包装方法であって
前記ビニール袋を封止する時に、
前記第1閉成ブロックに凸部形状の第1クリップを取り付け、前記第2閉成ブロック前記第1クリップと結合する凹部形状の第2クリップを取り付け、
前記第1閉成ブロックの前記第1クリップ上に前記ビニール袋の被包装物投入口を載置し、
前記制御装置は、
前記チャンバー内を減圧し、
前記ビニール袋内が脱気されて真空状態になった後に、前記第1閉成ブロックを押し上げ又は前記第2閉成ブロックを押し下げることによって、前記第1クリップと前記第2クリップ結合して前記ビニール袋の被包装物投入口を封止する
真空包装装置の真空包装方法
【請求項2】
チャンバーと、
前記チャンバー内を減圧する真空ポンプと、
前記チャンバー内に設けられ、前記ビニール袋の被包装物投入部が載置される第1閉成ブロックと、前記第1閉成ブロックと対向して蓋部の下面側に設けられる第2閉成ブロックと、により構成される閉成ブロックと、
前記真空ポンプと前記閉成ブロックを少なくとも制御する制御装置と、
を具備する真空包装装置の真空包装方法であって、
前記ビニール袋を封止する時に、
前記第1閉成ブロックに凹部形状の第1クリップを取り付け、前記第2閉成ブロックに前記第1クリップと結合する凸部形状の第2クリップを取り付け、
前記第1閉成ブロックの前記第1クリップ上に前記ビニール袋の被包装物投入口を載置し、
前記制御装置は、
前記チャンバー内を減圧し、
前記ビニール袋内が脱気されて真空状態になった後に、前記第1閉成ブロックを押し上げ又は前記第2閉成ブロックを押し下げることによって、前記第1クリップと前記第2クリップとを結合して前記ビニール袋の被包装物投入口を封止する
真空包装装置の真空包装方法
【請求項3】
前記制御装置は、前記真空包装機の操作パネルに設けられるスイッチにより、前記第1クリップと前記第2クリップとの結合による封止であることが指示されると、前記第1閉成ブロック及び又は前記第2閉成ブロックに配置されるシール用ヒーターが動作しないようにする請求項1又は2に記載の真空包装装置の真空包装方法
【請求項4】
前記第1クリップは第1取り付け部材により前記第1閉成ブロック仮固定され、
前記第2クリップは第2取り付け部材により前記第2閉成ブロック仮固定される請求項1又は2に記載の真空包装装置の真空包装方法
【請求項5】
前記第2取り付け部材の挟み付け力は、前記第1取り付け部材の挟み付け力より弱い請求項4に記載の真空包装装置の真空包装方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を真空包装する真空包装装置の真空包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品などの被包装物を包装する包装方法の一つとして真空包装が知られている。真空包装は、真空包装装置のチャンバー内に被包装物が収納された包装袋を収容し、チャンバー内を減圧して包装袋内を脱気し、この状態で包装袋の被包装物投入口をヒートシールなどにより加熱圧着して封止して行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5878999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、真空包装装置に使用される包装袋は、被包装物の大きさに応じた真空包装用ビニール袋が使用されている。被包装物投入口をシール用ヒーターなどにより加熱圧着したビニール袋は、被包装物を取り出すために開封してしまうと、破損により再利用することができない。よって、ビニール袋を再利用可能なように使用できる真空包装装置の改良が望まれる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビニール袋を再利 用可能なように使用できる真空包装装置の真空包装方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の真空包装装置の真空包装方法は、ャンバーと、前記チャンバー内を減圧する真空ポンプと、前記チャンバー内に設けられ、前記ビニール袋の被包装物投入部が載置される第1閉成ブロックと、前記第1閉成ブロックと対向して蓋部の下面側に設けられる第2閉成ブロックと、により構成される閉成ブロックと、前記真空ポンプと前記閉成ブロックを少なくとも制御する制御装置と、を具備する真空包装機の真空包装方法であって
前記ビニール袋を封止する時に、前記第1閉成ブロックに凸部形状の第1クリップを取り付け、前記第2閉成ブロック前記第1クリップと結合する凹部形状の第2クリップを取り付け、前記第1閉成ブロックの前記第1クリップ上に前記ビニール袋の被包装物投入口を載置し、前記制御装置は、前記チャンバー内を減圧し、前記ビニール袋内が脱気されて真空状態になった後に、前記第1閉成ブロックを押し上げ又は前記第2閉成ブロックを押し下げることによって、前記第1クリップと前記第2クリップ結合して前記ビニール袋の被包装物投入口を封止する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、ビニール袋を再利用可能なように使用できる真空包装装置の真空包装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の真空包装装置の概観図。
図2】実施形態の真空包装装置の内部構成を示す図。
図3】実施形態の真空包装装置の制御機構の構成を示すブロック図。
図4】実施形態の密閉クリップの一例を示す図。
図5】実施形態の真空包装装置の密閉クリップの取り付け構造を示す図。
図6】実施形態の真空包装装置の動作を示すフローチャート。
図7】実施形態の真空包装装置の減圧(脱気)工程の制御状態を示す図。
図8】実施形態の真空包装装置の結合工程の制御状態を示す図。
図9】実施形態の真空包装装置の開放工程の制御状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態の真空包装装置10の概観を示す。図1では、真空包装装置10の正面図、平面図、右側面図、斜視図をそれぞれ示している。真空包装装置10は、本体部20と、蓋部30がヒンジ機構40により、開閉自在に取り付けられている。真空包装装置10の前面には、操作パネル50が設けられている。本体部20の上面には、真空包装用のビニール袋を内部に収納して、真空包装するチャンバー60が設けられている。
【0010】
本体部20の手前側の上面には、真空包装用のビニール袋を加熱圧着して封止するために、真空処理後のビニール袋の被包装物投入口を閉じるシール用ヒーター(図示せず)を内蔵する閉成ブロック70が設けられている。
【0011】
チャンバー60は、上面にビニール袋A(図4を参照)を載置可能な本体部20と、本体部20を上方から閉塞する蓋部30とから構成された耐圧容器である。蓋部30は、ヒンジ機構40により上下方向に回動可能であり、蓋部30と本体部20との当接部分にシール材(図示せず)を設けて、チャンバー60内の気密性を維持できるように構成されている。また、本体部20には吸引口が穿設されており、真空ポンプが作動するとチャンバー60内の空気が吸引口から吸引されて、チャンバー60内が減圧されるように構成されている。
【0012】
図2に示すように、閉成ブロック70は、本体部20側に昇降可能な状態で設けられた下側閉成ブロック(稼働ブロック)70aと、蓋部30の下面側に固定された上側閉成ブロック70b(固定ブロック)と、が対向する状態で設けられている。ビニール袋Aを真空包装するとき、本体部20の上面に設けられている下側閉成ブロック70a上に真空包装用のビニール袋Aの被包装物投入口が載置され、被包装物が収納されている袋部がチャンバー60のテーブル60aに載置される。
【0013】
本発明では、真空包装用のビニール袋Aを再利用可能とするために、被包装物投入口を密閉クリップ80で結合封止する構成とする。そして、図2に示すように、密閉クリップ80の下クリップ80a(部側)を下側閉成ブロック70aに取り付け、密閉クリップ80の上クリップ80b(部側)を上側閉成ブロック70bに取り付ける。なお、上クリップ80b(部側)を下側閉成ブロック70aに取り付け、下クリップ80b(部側)を上側閉成ブロック70bに取り付けても構わない。
【0014】
図4(a)は、下クリップ80aと下クリップ80bとで構成される密閉クリップ80の一例を示している。図4(b)は、その密閉クリップ80によりビニール袋Aの被包装物投入口を閉じた状態を示している。
【0015】
図2に戻り、下側閉成ブロック70aと上側閉成ブロック70bとの対向面は、同じ幅を有する構成でよい。ビニール袋Aがチャンバー60内の下側閉成ブロック70aにセットされ、真空ポンプ100によりチャンバー60内が減圧されてビニール袋Aの内部の空気が脱気されると、下側閉成ブロック70aは、閉成用シリンダ110の駆動により上向きに上昇する。
【0016】
密閉クリップ80を用いて真空包装用のビニール袋Aの被包装物投入口を密閉する場合、図2に示すように、下側閉成ブロック70aに下クリップ80aを取り付け、上側閉成ブロック70b上クリップ70bを取り付けた状態で、下側閉成ブロック70aを固定側の上側閉成ブロック70bまで押し上げると、下クリップ80aと上クリップ80bが結合され、真空封止される。
【0017】
また、密閉クリップ80を使用しないで被包装物投入口を加熱圧着する場合、上側閉成ブロック70bと下側閉成ブロック70aとの間にビニール袋を挟持した状態で、下側閉成ブロック70aの上面に配置されたシール用ヒーターに通電すると、ビニール袋の被包装物投入口が閉成した状態で加熱圧着されて、真空封止される。
【0018】
また、少なくとも下側閉成ブロック70aの袋挟持面(上面)には、耐熱性および粘着性を有するゲル状シート(例えばシリコンゴム製のシート)で構成された袋貼着部を備えてよい。袋貼着部により、下側閉成ブロック70aの上面に載置したビニール袋Aのジッパー部や被包装物投入口がずれる不都合、ひいては挟持状態のビニール袋Aが上側閉成ブロック70bと下側閉成ブロック70aとの間から抜ける不都合を阻止できる。なお、袋貼着部は、シール用ヒーターからずれた位置(具体的には、シール用ヒーターよりも蓋部30の回動中心側)に配置してよい。また、ゲル状シートに代えて、再粘着テープを下側閉成ブロック70aの上面に貼り付けて、ビニール袋Aのジッパー部や被包装物投入口がずれるのを防止するようにしても良い。
【0019】
密閉クリップ80を用いる実施形態では、閉成ブロック70に密閉クリップ80が仮固定される構造であるため、袋貼着部の粘着力だけでは不十分な場合、仮固定用の取り付け部材90を用いて固定する構成としても良い。
【0020】
図5は、仮固定用の取り付け部材90の一例を示す図である。図5(a)は、下側閉成ブロック70aの長手方向の両端に下クリップ80a(以下では、凹部側を例に示す)を仮固定するための下側取り付け部材90a(一方側)を示している。図5(b)は、上側閉成ブロック70bの長手方向の両端に上クリップ80b(以下では、凸部側を例示す)を仮固定するための上側取り付け部材90b(方側)を示している。
【0021】
取り付け部材90a、90bは、閉成ブロック70a,70bの横幅とやや広い幅を有する平坦部と、その平坦部の両側に設けられる内側に少し湾曲した羽部とよりなる。羽部の弾性力により閉成ブロック70a,70bを両側から軽く挟みつけて密閉クリップ80a,80bを仮固定する。よって、羽部の先端側は、閉成ブロック70a,70bの横幅と同じかやや広い幅を有するが、羽部中央部付近の幅H1は、閉成ブロック70a、70bの横幅H2より少し狭い幅である。すなわち、取り付け部材90a、90bによる挟み付け力は、指先で簡単に取れる強さで十分である。つまり、真空包装したビニール袋から取り付け部材90a、90bを簡単に取り外し可能な形状であり、挟み付け力であれば良い。また、羽部は、湾曲した形状に代えて、球状の突起を設ける形状であっても良い。
【0022】
図5(a)の下側取り付け部材90aは、下クリップ80aの凹部の無い平坦な面の上側から、下側閉成ブロック70aの両側を羽部で挟み付けて、下クリップ80aを動かないように仮固定する。また、図5(b)の上側取り付け部材90bは、上クリップ80bの凸部の無い平坦な面の上側から、上側閉成ブロック70bの両側を羽部で挟み付けて、上クリップ80bを動かないように仮固定する。真空包装後の作業性を良くするため、上側取り付け部材90bの挟み付け力は、下側取り付け部材90aの挟み付け力より弱くする。これにより、下側閉成ブロック70aと下クリップ80aが共に下降したときに、下クリップ80aと上クリップ80bの結合が崩れることなく、上側取り付け部材90bが上側閉成ブロック70bから離れるようにする。
【0023】
図2に戻り、真空包装装置10の内部構成について説明する。
真空包装装置10は、制御装置200と、真空ポンプ100と、真空ポンプ100とチャンバー60の吸引口60bとの間を接続する吸気流路120を備える。吸気流路120の途中には、真空ポンプ100とチャンバー60との連通を許容したり、解除したりする真空電磁弁130が設けられている。また、吸気流路120の吸引口60bと真空電磁弁130との間には、真空開放分岐流路140を介して真空開放電磁弁150が設けられている。この真空開放電磁弁150を開放して、チャンバー60内を減圧状態から大気圧に戻せる(大気開放できる)ように構成されている。
【0024】
また、下側閉成ブロック70aを昇降させる閉成用シリンダ110と真空ポンプ100との間の投入口閉成駆動流路160には、三方弁で構成された投入口閉成用電磁弁170が設けられている。投入口閉成用電磁弁170は、3つの接続弁の開閉制御により、閉成用シリンダ110と真空ポンプ100との連通を許容、解除する動作と、大気中への開放制御する動作に使用される。
【0025】
次に、図3を参照して制御装置200を中心とした、制御機構の構成について説明する。制御装置200は、真空包装装置10の制御を行うマイクロコンピュータ(以下、CPUと称する)210と、各信号の入出力処理を行うインターフェイス回路220等から構成されている。そして、インターフェイス回路220には、真空包装装置10の操作パネル50に設けられた電源スイッチ50a、圧力や時間の設定スイッチ50b、密閉クリップ80による結合であることを選択するスイッチ50c等の各種操作スイッチからの信号が入力されている。また、インターフェイス回路220には、チャンバー60内の気圧を検出する気圧検出センサ230、蓋部30の開閉状態を検出する蓋開閉検出センサ240からの信号が入力されている。
【0026】
CPU210は、インターフェイス回路220からの信号を受けて、インターフェイス回路220を介して真空ポンプ100、真空電磁弁130、投入口閉成用電磁弁170、真空開放電磁弁150、シール用ヒーター250、各種報知音を発するブザーや各種状態を表示する表示器からなる報知部50dに制御信号を出力する。また、CPU210は、真空包装作業におけるチャンバー60内の気圧の目標値を作業員が設定スイッチ50bを入力操作する等して予め設定し、気圧検出センサ230により検出された気圧が設定圧に到達したことを契機にして、真空包装装置10の動作を制御するように構成されている。なお、以下の説明では、インターフェイス回路220を経由した信号の送受信の説明は割愛し、CPU210のみの動作で説明する。
【0027】
次に、実施形態の動作を図6乃至図9を参照して説明する。
図6は、実施形態のCPU210を中心とした制御動作を示すフローチャートである。
まず、作業員は、真空包装装置10の操作パネル50に設けられる電源スイッチ50aを投入する(図6のS10)。そして、作業員は蓋部30を開けて、被包装物を入れた真空包装用のビニール袋をチャンバー60内のテーブル60aにセットする。この時、ビニール袋Aの被包装物投入口を下側閉成ブロック70aに仮固定した下クリップ80aの凹部にセットする。また、操作パネル50の設定スイッチ50bを操作して、チャンバー60内の気圧、及び又は減圧時間の目標値を設定する(図6のS20)。
【0028】
ここでは、密閉クリップ80の結合による封止である。作業者は、使用した真空包装用のビニール袋Aに適した気圧、及び又は減圧時間の目標値(袋の大きさや材質等によっても異なるが、減圧時間は20秒、圧力は1.2KPa)を操作パネル50の設定スイッチ50bを用いて設定する。また、作業者は操作パネル50に設けられる選択スイッチ50cを押下する。なお、選択スイッチ50cは、機械的なスイッチであってもよく、タッチセンサ付きの操作パネル50の表示器に表示されるボタンを押下するソフト的な手法であってもよい。要は、密閉クリップ80の結合による封止であることを示す信号をCPU210に通知するものであればよい。
【0029】
これにより、密閉クリップ80の結合による封止であることが制御装置200のCPU210に通知される(図6のS30のYes)。CPU210は、選択スイッチ50cの押下信号を受けて、例えばシール用ヒーター250の通電経路を切断して、シール用ヒーター250が動作しないように設定する。作業者は、ビニール袋Aの被包装物投入口が下クリップ80aの凹部にセットされていることを確認して、蓋部30を閉じて、図示しないスタートボタンを押下する。
【0030】
すると、蓋開閉検出センサ240が蓋部30の閉成状態を検出して、制御装置200のCPU210に検出信号を送信する。CPU210は、閉成状態の検出信号を受信したならば、真空ポンプ100を作動してチャンバー60内の減圧を開始する(図6のS40)。
【0031】
図6は、この減圧工程における、CPU210による各電磁弁の制御状態を示す。図中、白三角(△)は開状態を示し、黒三角(▲)は閉状態を示している。すなわち、CPU210は、真空電磁弁130を開状態にして、真空ポンプ100とチャンバー60の吸引口60bとの間の吸気流路120を通路状態に形成する。一方、CPU210は、真空開放電磁弁150の弁と、投入口閉成用電磁弁170の真空ポンプ側の弁と、を閉状態にする。CPU210は、これら各電磁弁の開閉制御と同時に真空ポンプ100を作動して、減圧を開始する。これにより、チャンバー60内の空気が吸気流路120から吸引(脱気)され、チャンバー60内が真空状態となる。なお、この時、閉成用シリンダ110は大気に開放されており、閉成用シリンダ110内は減圧されない。
【0032】
チャンバー60内の減圧に伴い、ビニール袋A内の空気も脱気されて真空状態となる。CPU210は、チャンバー60内の減圧が瞬時に行われるものでは減圧と同時、又は減圧に時間が必要なものでは設定した目標値の気圧、及び又は減圧時間の値(所定時間後)に到達すると、下側閉成ブロック70aを上方に押し上げて、上側閉成ブロック70b押圧することにより、下側閉成ブロック70aに取り付けられる下クリップ80aと上側閉成ブロック70bに取り付けられる上クリップ80bとが結合して、下クリップ80a上のビニール袋Aの被包装物投入口封止される図6のS50)。
【0033】
図8は、この結合工程における、CPU210による各電磁弁の制御状態を示す。すなわち、CPU210は、真空電磁弁130を開状態から閉状態にすると共に、真空開放電磁弁150の閉状態を維持する。これにより、チャンバー60内の真空状態は、そのまま維持される。そして、CPU210は、閉成用シリンダ110と真空ポンプ100との間の投入口閉成駆動流路160を形成するため、投入口閉成用電磁弁170の2方向を開状態(大気側は閉状態)にする。
【0034】
投入口閉成駆動流路160が形成されたことで、閉成用シリンダ110内の空気が真空ポンプ100により脱気されて、閉成用シリンダ110に接続されている下側閉成ブロック70aを上方に押し上げる。そして上述したように、上側閉成ブロック70bに下側閉成ブロック70aを押圧することにより、ビニール袋Aの被包装物投入口を密閉クリップ80(80a、80b)の結合により閉じる。
【0035】
結合工程が終了すると、CPU210は、チェンバー60内を大気に開放すると共に、真空包装が完了したことを報知部50dから放置(例えば、ブザーを鳴らす)する。作業者は、蓋部30を開けて、真空包装したビニール袋を取り出す(図6のS60)。
【0036】
図9は、この開放工程における、CPU210による各電磁弁の制御状態を示す。すなわち、CPU210は、真空電磁弁130の閉状態を維持すると共に、真空ポンプ100の動作を停止する。一方、真空開放電磁弁150を閉状態から開状態にする。これにより、真空開放電磁弁150からの空気がチャンバー60内に導かれ、チャンバー60内が大気に開放される。真空開放電磁弁150の開放と同時に、CPU210は、閉成用シリンダ110と大気との間の投入口閉成駆動流路160を形成するため、投入口閉成用電磁弁170の大気側弁と閉成用シリンダ110側の弁を開状態にする。これにより、投入口閉成用電磁弁170からの空気が閉成用シリンダ110内に導かれ、閉成用シリンダ110内が大気に開放される。よって、閉成用シリンダ110に接続されている下側閉成ブロック70aが下降して、上側閉成ブロック70bと下側閉成ブロック70aとによる把持状態を開放する。そして、CPU210は、報知部50dから真空包装が完了したことを報知(例えば、ブザーを鳴らす)する。それを受けて、作業者は、蓋部30を開けて、真空包装を完了したビニール袋を取り出す(図6のS60)。
【0037】
次に、密閉クリップ80を使用しない、加熱圧着による封止を行う場合を説明する。作業者は、電源スイッチ50a投入後、チャンバー60に被包装物を収納したビニール袋をセットする。作業者は、使用したビニール袋に適した気圧、及び又は減圧時間の目標値を操作パネル50の設定スイッチ50bを用いて設定する。密閉クリップ80を使用しない場合、操作パネル50に設けられる選択スイッチ50cは押下されないので、CPU210はシール用ヒーター250を用いて加熱圧着を行うことを認識する(図4のS30のNo)。
【0038】
ビニール袋のセット工程では、蓋部30を開けた状態で、ビニール袋の被包装物が収納されている袋部を本体部60のテーブル60aの上に載せるとともに、ビニール袋の被包装物投入口を下側閉成ブロック70aの上に直接載せる。ビニール袋をセットした後、作業者は蓋部30を閉じて、図示しないスタートボタンを押下する。
【0039】
蓋開閉検出センサ240が蓋部30の閉成状態を検出して、CPU210に検出信号を送信する。CPU210は、閉成状態の検出信号を受信したならば、真空ポンプ100を作動してチャンバー60内の減圧を開始する(図6のS70)。この時のCPU210による各電磁弁の制御は、図6と同じなのでその説明は割愛する。
【0040】
チャンバー60内の減圧に伴い、ビニール袋内の空気も脱気されて真空状態となる。CPU210は、設定した目標値の気圧、及び又は減圧時間の値に到達すると、下側閉成ブロック70aを上方に持上げて、上側閉成ブロック70bに下側閉成ブロック70aを押圧する(図6のS80)。次に、CPU210は、下側閉成ブロック70aを上方に持上げると同時に、シール用ヒーター250を通電して、真空状態のビニール袋の被包装物投入口が閉成した状態で加熱圧着して封止する(図6のS90)。この時のCPU210による各電磁弁の制御は、図8と同じなのでその説明は割愛する。
【0041】
加熱圧着工程が終了すると、チェンバー60内および閉成用シリンダ110内を大気に開放する。そして、蓋部30を開けて、真空包装したビニール袋を取り出す(図6のS100)。この時のCPU210による各電磁弁の制御は、図9と同じなのでその説明は割愛する。
【0042】
以上の説明の通り、実施形態によれば、密閉クリップを用いて真空包装用のビニール袋を結合して封止する真空包装装置を提供することができる。真空包装用のビニール袋は、密閉クリップを開封した後でも包装内部を綺麗に洗浄すれば、数回程度であれば再利用可能(ただし、汚れがひどいもの、食品により再利用不可のものは除く)であり、包装袋資源を有効に使用できる。また、密閉クリップを使用した場合、シール用ヒーターを使用することなく真空封止することができるので、安全性を高めることができ、省電力にもつながる。密閉クリップを用いた専用の真空包装装置を構成する場合、被包装物投入口を加熱するためのシール用ヒーターは不要となるので、廉価な装置が提供できる。
【0043】
なお、被包装物に液体が含まれる場合、その液体の温度は、常温であっても、高温であってもよい。被包装物に含まれる液体は、水以外の成分からなる液体であってもよく、例えば、食品を漬け込む食用油であってもよいし、食品以外の液体(生物標本を浸漬するホルマリン等)であってもよい。さらに、液体の温度は常温以下であってもよい。
【0044】
また、上記各実施形態における真空包装装置は、本発明の技術的特徴を逸脱しない範囲において、任意に設計変更しても良い。例えば、蓋部の下面側に固定された上側閉成ブロック(固定ブロック)を設ける構造としたが、本体部に上側閉成ブロック(固定ブロック)を設けても良い。その場合、下側閉成ブロック(稼働ブロック)の上側に対向するように上側閉成ブロックを設けても良い。また、下側閉成ブロックを固定ブロックにして、その上側に対向するように稼働ブロック(押し下げ動作)の上側閉成ブロックを設けても良い。また、シール用ヒーターは、下側閉成ブロックと上側閉成ブロックの一方又は両方に設けても良い。
【符号の説明】
【0045】
10 真空包装装置
20 本体部
30 蓋部
40 ヒンジ機構
50 操作パネル
50a 電源スイッチ
50b 設定スイッチ
50c 選択スイッチ
50d 報知部(ブザー、表示器)
50e 選択スイッチ2
60 チャンバー
60a テーブル
60b 吸引口
70 閉成ブロック
70a 下側閉成ブロック
70b 上側閉成ブロック
80 密閉クリップ
80a 下クリップ
80b 上クリップ
90 取り付け部材
90a 下側取り付け部材
90b 上側取り付け部材
100 真空ポンプ
110 閉成用シリンダ
120 吸気流路
130 真空電磁弁
140 真空開放分岐流路
150 真空開放弁
160 投入口閉成駆動流路
170 投入口閉成用電磁弁
200 制御装置
210 マイクロコンピュータ(CPU)
220 インターフェイス回路
230 気圧検出センサ
240 蓋開閉検出センサ
250 シール用ヒーター
図1
図2
図3
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図9