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特許7037975ハンモック型の懸架体を有するオートバイシートアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】ハンモック型の懸架体を有するオートバイシートアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/12 20060101AFI20220310BHJP
   B60N 2/40 20060101ALN20220310BHJP
【FI】
B62J1/12 A
B60N2/40
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018054442
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2018158720
(43)【公開日】2018-10-11
【審査請求日】2019-11-06
(31)【優先権主張番号】62/475,687
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/700,797
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595179505
【氏名又は名称】ハーレー-ダビッドソン・モーター・カンパニー・グループ・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】3700 West Juneau Avenue,Milwaukee,Wisconsin 53208,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シュラム,ブライアン
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-003553(JP,A)
【文献】米国特許第07523988(US,B1)
【文献】特開2000-108962(JP,A)
【文献】米国特許第06761401(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/02
B62J 1/12
B60N 2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートパンと、
前記シートパンに取り付けられるブラケットと、
前記ブラケットにそれぞれが固定される第1及び第2のマウントと、該第1及び第2のマウントの間で延在する荷重支持ファブリック又はメッシュのウェビングとを含むシート懸架体アセンブリであって、該ウェビングは該シート懸架体アセンブリの下に位置する前記シートパンの部分の上で離間されている、シート懸架体アセンブリと、
少なくとも部分的に前記ブラケットによって提供されるシート懸架体アセンブリ固定部であって、前記ウェビングの張力が閾値動作張力よりも小さい張力を有する固定構成で前記シート懸架体アセンブリが可動に固定されるように前記シート懸架体アセンブリの第1及び第2のマウントと係合するように適合されるとともに互いに離間された第1及び第2のリテーナを含む、シート懸架体アセンブリ固定部と、
前記ウェビングが少なくとも前記閾値動作張力で保持される取り付け構成で前記第2のマウントを前記シートパン及び前記ブラケットに対して動かないように固定する留め具と、
を含むオートバイシートアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のリテーナ及び前記第2のリテーナは前記ブラケットによって提供され、前記第1のリテーナは、前記シート懸架体アセンブリの第1のマウントが動かないように固定される第1のブラケットマウントを提供する、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項3】
前記留め具は、前記シート懸架体アセンブリの第2のマウントを前記ブラケットに固定するために前記ブラケットのマウントと係合する、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項4】
前記シート懸架体アセンブリの第2のマウントを前記ブラケットと共に前記シートパンに固定する追加の留め具をさらに含む、請求項3に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のリテーナは前記ブラケットの取付舌部によって形成され、前記第2のリテーナは前記ブラケットのリテーナタブによって形成される、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項6】
前記第2のリテーナを形成する前記リテーナタブは、前記シート懸架体アセンブリの第2のマウントを受容するための取付ポケットを少なくとも部分的に定義する、請求項5に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項7】
前記第2は前記第1の後ろ側である、請求項5に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項8】
前記シート懸架体アセンブリの第2のマウントは、前記留め具によって前記ブラケットに固定されるとともに前記ブラケットの横方向の両側で2つの追加の留め具によって前記シートパンに固定される細長く横方向に延びる懸架体取付梁を含む、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項9】
前記ブラケットは細長く、前記オートバイシートアセンブリに座る運転手又はオペレータの下に位置する前記シートパンのシートサドル部に沿って横方向の中央において長手方向に延びる、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項10】
前記オートバイシートアセンブリは、前記シートパンの底面に配置されるとともに、前記オートバイシートアセンブリが取り付けられるオートバイのシャーシ又はフレームに対向するように適合された複数対の振動絶縁体をさらに含む、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項11】
前記ブラケットは前記シートパンの長さの2分の1よりも大きい長さを有する、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項12】
前記ブラケットは、前記シートパンの最も幅が狭い部分における前記シートパンの幅の2分の1よりも大きい幅を有する、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項13】
前記ブラケットは前記シートパンの長さの2分の1よりも大きい長さを有し、前記ブラケットは前記シートパンの最も幅が狭い部分における前記シートパンの幅の2分の1よりも大きい幅を有する、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項14】
前記ウェビングはエラスマー系メッシュ又はファブリックで構成される、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項15】
前記ウェビングのエラストマー系メッシュ又はファブリックは、ポリエステル織物、コポリマーエラストマー、コポリマー熱可塑性エラストマー、コポリエステルエラストマー又はコポリエステル熱可塑性エラストマーで構成される、請求項14に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項16】
前記シート懸架体アセンブリが前記固定構成で可動に固定された場合、前記ウェビングには第1のゼロではない張力が予めかけられている、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項17】
前記ブラケットは背もたれを取り付けるために背もたれ取付支持部を含む、請求項1に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項18】
前記ブラケットの背もたれ取付支持部に取り付けられる取り外し可能で位置調節可能な背もたれをさらに含む、請求項17に記載のオートバイシートアセンブリ。
【請求項19】
前記取り外し可能で位置調節可能な背もたれは高さ調節可能であり且つ角度調節可能である、請求項18に記載のオートバイシートアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年3月23日に出願された米国仮特許出願第62/475687号の優先権を主張する。係る出願の内容全体は参照により本願が組み込まれる。
【0002】
本発明は車両シート(vehicle seat)に関し、より具体的にはハンモック型のシート懸架体(hammock-type seat suspension)を備える車両シートに関する。本発明は、ハンモック型梁バネ(beam spring)のメッシュシート懸架体を備える車両シートアセンブリに関し、より具体的にはハンモック型の梁バネメッシュシート懸架体を用いる改善されたオートバイシートアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は海洋での使用を意図する車両シートアセンブリに関する。係るシートアセンブリは、一般に伸縮性がある耐荷重性メッシュ材料、例えばDYMETROL耐荷重性ファブリック又はメッシュ等のエラストマー系のメッシュ織物である柔軟な耐荷重性ファブリックで作られた弾性及び伸縮性を有する耐荷重ウェビングの概ね矩形の部分で構成されるシート懸架体を備える。シート懸架体は、シートのベースの一部に取り付けられた一対の離間された懸架体マウントの間で懸架される。シートベースへの組み付けの前又は組み付けの間に、シートベースに取り付けられたマウントの間で懸架されるウェビングの張力が高められるように懸架体を操作して実際の懸架体の使用及び運転の前にウェビングに予め張力をかけなければならない(pre-tensioning)。懸架体の実際の使用の間に懸架体に荷重がかけられる前に懸架体のウェビングが例えば十分な張力下にあるよう十分ピンと張った状態にするとともに概ね矩形になるように、また、懸架体の実際の使用の間に懸架体のウェビングが過度に偏向したり、変形したり又は崩れたりすることなくウェビングが荷重を支持できるようにするためには、ウェビングに予めに張力をかけることを懸架体動作の前に行わなければならない。
【0004】
特許文献1には、そのような耐荷重性ファブリック、例えばメッシュのシート懸架体の様々な構成が開示されており、そのうちの1つ以上では一対のマウントの間で延在する耐荷重性ファブリック又はメッシュのウェビングが開示されている。該マウントの少なくとも一方は、荷重を支持し、偏向に耐え、懸架体の動作の間に懸架体が一般的に直面する凹凸、揺れ等を吸収する上で、マウントの間で懸架される予め張力がかけられたウェビングと共に作用する板バネとして機能する梁バネである。特許文献1に開示された好ましい耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体において、懸架され且つ予め張力がかけられたウェビングの一部の少なくとも一方側は、U字状の通路又はフックを有する、ウェビングから外側に延在する部分を有するJフックに取り付けられ、例えばJ字状フックであり、シートのベース、例えばシートパンに通常一体的に形成される複数の懸架体固定部のうちの対応する1つの周りに引っ掛けられる。
【0005】
より最近、特許文献1に開示された耐荷重性のファブリック又はメッシュのシート懸架体に類似したものがオートバイに適合されている。そのような例としては、オートバイシートのシートベースの3次元輪郭を有する複合材料及び/又はプラスチックのパンに一体的に形成された一対の離間した懸架体マウントの間で予め張力がかけられた状態で両端がハンモックのように懸架されたエラストマー系のDYMETROL耐荷重性ファブリック又はメッシュの区画を有するハーレーダビッドソン(登録商標)「ハンモック」シート製品(ハーレー(登録商標)ハンモックライダー・パッセンジャーツーリングシートパーツ番号52000003A)において設けられる耐荷重性のファブリック又はメッシュ懸架体が挙げられる。オートバイシートに座っているシートの乗員、例えば運転手又はオペレータを支持するときに懸架体が通常直面する荷重、加速、凹凸、揺れ等に対処するためにウェビングが十分に張られた状態になるよう無荷重張力(unloaded tension)でウェビングに予め張力がかけられるような形で、オートバイのシートパンに一体的に形成された、例えば成形されたマウントの間に懸架体のウェビングの区画を懸架するためには、比較的長いハンドルレバー型の懸架体取付工具を用いなければならない。組み立ての間、オートバイの運転の間の懸架体が使用される間にウェビングが適切に機能するように、ウェビングの一方側はオートバイのシートパンに一体的に形成される懸架体マウントの1つに取り付けられ、ウェビングの反対側をオートバイのシートパンに一体的に形成される懸架体マウントの他方に十分な張力下で、例えば予め張力をかけた状態で取り付けることができるように工具を操作してウェビングを十分に引っ張らなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7523988号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュの懸架体を備えるこれらのオートバイシート及び前述の組み立て方法は今日までうまく機能してきたが、それでもこれらのハンモック型のオートバイシート懸架体及び組み立て方法を改善することが望ましい。そのため、懸架体の耐荷重性ファブリック又はメッシュのウェビングに予め張力を与えながら、オートバイシートのベースのパンにより簡単に組み付けることができるハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体を備えたオートバイシートアセンブリが必要である。シート懸架体の耐荷重性ファブリック又はメッシュのウェビングに予め張力をかけるためにレバーアクション又は支点型の工具を用いることを必要とせずにシートパンに組み付けることができるハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体を含むオートバイシートアセンブリも必要である。オートバイシートの内部にハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体を備えるだけでなく、調節可能で且つ好ましくはシートから取り外すことが可能な背もたれに対応する背もたれアセンブリを収容できるオートバイシートアセンブリもさらに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、従来のオートバイシートよりも衝撃絶縁が高められるとともにシートの乗員の快適性が改善されているだけでなく、シートパンにシート懸架体を組み付ける間のウェビングを張力下で懸架するときに耐荷重性ファブリック又はメッシュのウェビングに対して素早く、簡単に及び/又はより一貫したやり方で予め張力をかけるようにオートバイシートのパンにより強固に固定されるハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体を備えるオートバイシートアセンブリに関する。本開示は前後の長手方向に又は背部に延在する細長いシート懸架体取付支持ブラケットを備えるオートバイシートアセンブリにも関する。ブラケットは、ブラケット及びパンに沿って長手方向に離間した複数の位置でパンに固定され、パンのパン補強バックボーンとして機能するだけでなく、組み付けの間に予め張力を与えるのを促進するとともに、組み付けの後は懸架体を支持するように構成されたブラケットを提供する。
【0009】
例示の構成のオートバイシートベースアセンブリは複合材料及び/又はプラスチックのシートパンで構成され、該シートパンは、細長く長手方向に延在するとともに該シートパンに固定されるシート懸架体取付支持ブラケットによって補強されている。該ブラケットは懸架体アセンブリ固定部(suspension assembly fixture)を備える。該懸架体アセンブリ固定部は、オートバイシートの組み立ての間に、ハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュの懸架体アセンブリの事前組み立てを、懸架体の一部の構成要素が再配置又は調整できるような形で促進し、ブラケット及び/又はパンに懸架体アセンブリを手動で固定する間にウェビングに対して自動的に張力をかけることにより懸架体アセンブリの耐荷重性ファブリック又はメッシュのウェビングに予め張力をかけること又は予め荷重をかける(preloading)ことを促進する。懸架体を固定するとともに組み立てを促進するそのようなブラケットを備えるそのような好ましいオートバイシートアセンブリにおいて、ブラケットはブラケット及びパンで構成されるそのようなオートバイシートベースアセンブリのパン補強バックボーンとしての役割も果たし、ハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュ懸架体アセンブリを固定部に事前に組み付けるステップでは、パン及びオートバイシートのシートの乗員支持サドルに対して懸架体アセンブリの構成要素の位置決め、向きの変更及び配置を行い、その後のシート懸架体アセンブリをブラケット及び/又はパンに固定するステップではオートバイシートの懸架体の動作に好適な張力になるように懸架体アセンブリのウェビングに予め自動で張力をかける。
【0010】
そのようなシート懸架体取付支持ブラケットによって提供されるバックボーンで補強されたシートパンで構成されるそのようなオートバイシートベースは、ブラケット及びパン補強バックボーンの一部がプラットフォームを定義するのに十分なほどブラケット及び/又はパンに取り付けられたハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュの懸架体を越えて後方に延びている。プラットフォームにはシート背もたれアセンブリの背もたれ荷重支持ブラケットを固定できるため、背もたれアセンブリをプラットフォームで支持してシートの乗員の快適性を改善する背もたれを備えることができるように懸架体を備えるオートバイシートを構成することができる。オートバイのフレーム又はシャーシに取り付けられるシートパンで構成されるとともに、フレーム又はシャーシとシートパンとの間に振動絶縁体が配置され、ハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュの懸架体アセンブリを固定及び支持するのに必要な長さよりも長さが大きい懸架体取付支持ブラケットによって強化されたそのようなシートベースアセンブリの使用は、オートバイの運転の間の動作の間に直面するオートバイからシートへの振動の伝達を低減し、凹凸、揺れ、衝撃及び振動をより良好に吸収することによりシートの乗員の快適性を改善するのを助け、複数段階の耐荷重変形懸架体動作(load deformation resisting suspension operation)を提供する。そのようなハンモック型の耐荷重性ファブリック又はメッシュの懸架体を備えるオートバイシートはシートの乗員、例えばオペレータ又は運転手の快適性を有利に高め、リアルタイムの乗り心地を改善するだけでなく、シートを備えるオートバイに乗っている間にシートの乗員が快適でいられる時間を延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の1つ以上の例示の実施形態が添付の図面に記載されている。添付の図面において、全体を通じて同様の参照符号は同様の部分を表す。
図1図1は、ハンモック型の懸架ファブリックのシート懸架体及び調節可能なオペレータの背もたれをパンに取り付けるのを支持及び促進する実質的に剛性のバックボーンで補強されたシートパンの右上から見た斜視図である。
図2図2は、発泡体クッションの下に位置するとともにオートバイシートのサドルに座る発泡体クッション上のオペレータに弾性的な支持を提供するハンモック型の懸架ファブリックシート懸架体を含むバックボーン補強シートパンで構成されるシートベースから発泡体クッションが分解された状態のオートバイシートアセンブリの部分分解図である。
図3図3は、パンとオートバイのシャーシ又はフレームとの間に配置される振動絶縁体がパンから分解された状態のシートパンの下から見た斜視図である。
図4図4は、後ろ側シートパン取付アセンブリがパンから分解された状態のシートパンの上から見た斜視図である。
図5図5は、パン補強バックボーンが取り付けられ、バックボーンに固定された調節可能な背もたれアセンブリの一部を支持するシートパンの上面図である。
図6図6は、バックボーン補強シートパンへの取り付け準備中のハンモック型の耐荷重性ファブリックシート懸架体アセンブリを示す上から見た斜視図である。
図7図7は、ハンモック型の耐荷重性ファブリックシート懸架体アセンブリの前端がバックボーンの一部によって提供される一体型の懸架体取付固定部の前部に取り付けられ、シート懸架体アセンブリの後端がパン及びバックボーンに取り付け及び固定されるために固定された状態のバックボーン補強シートパンの断片斜視図である。
図8図8は、バックボーンの固定部にハンモック型の耐荷重性ファブリックシート懸架体アセンブリが取り付けられたバックボーン補強シートパンの断片斜視図であり、留め具を通じてパン及びバックボーンに実質的に動かないように固定されたシート懸架体アセンブリの後ろ側を示す。
図9図9は、断面で示す取り付けられた調節可能な背もたれ及び発泡体クッションがシート懸架体アセンブリの上でシートパンに組み付けられた状態の図2のオートバイシートの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態を詳細に説明する前に、本発明の用途は、下記の説明又は図面に記載の構成要素の構成及び配置の詳細に限定されない。本発明は、様々な方法で実施又は行うことができる他の実施形態も可能である。また、本願で用いる表現及び用語は説明を目的としたものであり、限定として解釈すべきでない。
【0013】
図1図8は、オートバイシートアセンブリ20を示す。オートバイシートアセンブリ20は組み立てが完了した場合にオートバイシート32を提供する。オートバイシート32はオートバイ(図示せず)のフレーム又はシャーシ(図示せず)に取り付け可能であり、そのような本発明に従って構成されるオートバイシート32は、耐荷重性のエラストマー系ファブリック又はメッシュのシート懸架体22を備え、背もたれ25を含む背もたれアセンブリ24を備えることもできる。シート懸架体22は、両端(例えば、前/後)が支持されながら、支持された両端の間のファブリック又はメッシュの中間部は支持されないか又は「懸架」されるように配置される。本願では、この構成を「ハンモック型」と呼ぶ。なぜなら、ライダーの臀部は、シート懸架体22とシートパン28との間の垂直方向に空間が存在するようにシートパン28の上で支持されるからである。シート32を構成するオートバイシートアセンブリ20はシートベースアセンブリ26を有する。シートベースアセンブリ26は、オートバイのフレーム又はシャーシに取り付けられる細長く3次元輪郭を有し前後に延在する複合材料及び/又はプラスチックのシートパン28で構成され、オートバイのフレーム又はシャーシとシートパン28との間には振動絶縁体56が配置される。オートバイシートアセンブリ20は、パン28に取り付けられるとともに、シート懸架体22をパン28に固定するだけでなくパン28を補強及び/又は強化するシート懸架体取付支持ブラケット36も有する。ブラケット36は細長く、シート懸架体22の後方に延在して、パン28を強化し構造的に強固にするパン補強バックボーン30(pan-reinforcing backbone)を定義する。それにより、本発明の他の態様によれば、オートバイの運転の間にオートバイのフレーム又はシャーシからシート32への振動の伝達を低減、最小化又は防止するより剛性の振動絶縁シートベースアセンブリ26が提供される。
【0014】
本発明に従って構成されるそのようなオートバイシートアセンブリ20から作られるそのようなオートバイシート32のシートベースアセンブリ26は細長い多機能構成の懸架体取付支持ブラケット36を有する。ブラケット36は、シート32のサドル部46に配置されるシート懸架体アセンブリ固定部42を備える。固定部42はシートベースアセンブリ26へのシート懸架体22の配置、組み付け及び/又は取り付けを促進するだけでなく、懸架体の組み付け及び/又は懸架体の取り付けの間に懸架体22に予め張力をかけること及び/又は予め荷重を加えることを促進する。そのような懸架体取付支持ブラケット36は少なくとも複数の機能を有する多機能構成のものである。ブラケット36の機能としては、シートベースアセンブリ26のパン補強バックボーン30、シートベースアセンブリ26への懸架体22の配置、組み付け及び/又は取り付けを促進する懸架体固定部42、シートベースアセンブリ26へのシート懸架体22の配置、組み付け及び/又は取り付けの後に懸架体22を支持するシート懸架体支持部35として機能することの任意の組み合わせを含み得る。そのような多機能なブラケット36は懸架体22の後方に延びるバックボーン30の部分を有することもでき、係る部分は背もたれを備えるオートバイシート32の背もたれアセンブリ24が固定される背もたれ取付プラットフォーム38を含む背もたれ支持部37として用いられるように構成することもできる。
【0015】
図2及び図3に示すように、シートアセンブリ20は、シートベースアセンブリ26によって保持される(例えば、オープンセル又はクローズセル構造の発泡体でできた)シートクッション27も含み、シートクッション27はシートパン28及びシート懸架体22の上に置かれる。図2及び図3を続けて参照して、シートクッション27はシート懸架体22の上に置かれるとともに、懸架体22の前方、後方及び反対側に延びるシートパン28の部分の上にも置かれる。図示していないが、皮革、ファブリック、布又は柔軟性、弾性、耐久性及び耐水性(例えば水を通さない)を有する他の好適な材料で作られたカバー等のシートカバーがクッション27を覆うとともに(例えば、一体成形されたシートカバー取付突起、シートカバー取付舌部(tongue)、固定部、ステープル、接着剤等を用いることでパン28に固定することにより)ベース26に取り付けられている。
【0016】
オートバイシートアセンブリ20は比較的強く、耐久性があり、振動減衰構造を有するオートバイシート32を提供する。そのようなオートバイシート32はオペレータ又は運転手の快適性が改善されており、オートバイ又は好ましくは前後方向で離間された複数の車輪を備え、そのうちの少なくとも1つの車輪が内燃機関、電気モーター等の原動機(図示せず)に駆動されて車両、好ましくはオートバイを地面に沿って動かすように構成された他の車両のシャーシ又はフレーム、例えば筒状のフレーム(図示せず)に取り付けることができる。オートバイシートアセンブリ20は、細長く、楕円形で前後の長手方向に延びるオートバイシート32を提供する。そのようなオートバイシート32は、オートバイの縦方向又は長手方向に対してオートバイの長手方向に取り付けられ、オペレータ又は運転手等のライダーはシート32にまたがってシート32のサドル46に座る。
【0017】
シート懸架体取付支持ブラケット36は細長く、シートパン28に沿って前後方向に延びる。ブラケット36はパン28の中心に配置されるか又はパン28に沿って配置され、パン28を強化する細長く背部に延びるシートパン補強バックボーン30を提供するか又はバックボーン30として機能する。ブラケット36はパン28の三次元輪郭と相補的に合致するように三次元輪郭を有する。ブラケット36又はバックボーン30はシート懸架体22の下に位置する概ね凹状又はU字状の部分を有し、その部分はパン28の対応する凹状又はU字状のサドル部内に受容される。パン28のバックボーン30としての役割を果たすことによりパン28を有利に強化するそのようなブラケット36は、パン28を構造的に強固にすることにより及び/又はオートバイの運転の間にシート懸架体22及び/又は背もたれ25が直面する荷重をパン28に亘って及び/又は全体に伝達及び/又は拡散することで荷重に対処することによりパン28を強化する、。
【0018】
ブラケット36は、シート懸架体22の下に位置するパン28のサドル部の概ね凹状又はU字状と相補的に合致する凹状又はU字状の構成を有するシート懸架体支持部35を備える。ブラケット36及び/又はバックボーン30のそのような概ねU字状又は凹状の懸架体支持部35は、オートバイの運転の間にシートの乗員、例えばライダー又はオペレータがシート32のサドルに座っている間にシート懸架体22が直面するか又はシート懸架体22に加えられる力を拡散し、シートパン28に伝達するのに役立つ。オートバイの運転の間にシート懸架体22が直面する凹凸、揺れ、跳ね等に起因する横方向及び/又は長手方向の加速によって生じるそのような力は、懸架体22を通じてバックボーン30に、即ちブラケット36に、そしてバックボーン30、即ちブラケット36からパン28により均一に有利に伝達される。懸架体22及びシート20が直面するそのような力及び他の荷重の伝達は、ブラケット36によって提供され、好ましくは少なくとも部分的にブラケット36により形成されるパン補強バックボーン30によって促進される。それのため、バックボーン30は、パン28の最も狭い幅W28の2分の1よりも大きい幅W36を有し、シートパン28の長さL28の2分の1よりも大きい長さL36を有し、サドルの長手範囲と実質的に同じ長さである長さL36を有する金属、合金又は複合材料のプレート34で形成されている。パン28とオートバイのフレーム又はシャーシとの間に振動絶縁体56が配置されている結果、凹凸、揺れ等に起因するシートの乗員の加速により生じる力を制動及び/又は絶縁することにより、上記の構成は、例えばシートの乗員、例えばオペレータ又は運転手の快適性を改善するのに役立つ。パン28に沿って懸架体支持部35の長手範囲又は長さ範囲よりも大きい長手又は長さ距離延在する細長いシート懸架体支持ブラケット36の使用は、パン28を構造的に強固にするパン補強バックボーン30を提供するだけでなく、凹凸、揺れ等によって生じる加速に起因する力を懸架体22及び懸架体支持部35に取り囲まれる領域よりも広いパン28の領域に亘って拡散され、ライダーの感覚、快適性を有利に改善する。
【0019】
図1図2図5及び図6を具体的に参照して、ブラケット36は懸架体支持部35としての役割を果たし、シート懸架体22の両端を越えて外側に延びてパン補強バックボーン30を提供する。パン補強バックボーン30は細長く、中央に配置され、例えば背部に位置し、シートパン28とバックボーン30とを2分するシートパン28の長手方向に延びる中心線に沿ってシートパン28の長さL28の2分の1よりも大きく長手方向に延びる。図1図2及び図7~8に示すように、懸架体支持部35及びバックボーン30の対応部分の双方としての役割を果たすブラケット36の部分は、シートパン28とシート懸架体22との間に配置されている。図1図2に示すように、ブラケット36はシートパン28の形状と一致し、シートクッション27とシートパン28との間でシートパン28の上に設置されている。
【0020】
図1図2図5図6及び図8に最も分かり易く示すように、懸架体支持部35の後方に延びるブラケット36の部分は、動かないようにパン28に固定され、パン28の部分を補強、強化及び/又は構造的に強固にするのに役立つバックボーン30の懸架体支持部35の後方に延びる部分を形成する。オートバイシート32が背もたれアセンブリ24を備える場合、懸架体支持部35の後方に延びてバックボーン30の一部を形成するブラケット36の部分は背もたれアセンブリ24をパン28に固定するのに用いられる背もたれ取付プラットフォーム38を含む。図1図2図5及び図6に最も分かり易く示すように、背もたれ取付プラットフォーム38は、背もたれアセンブリ支持部37を提供又は定義する。背もたれアセンブリ支持部37は概ね平らな又は平面状の取付面を有し、該取付面に背もたれアセンブリ24の背もたれ荷重支持ブラケット40が固定されることにより、少なくとも背もたれ荷重支持ブラケット40がパン28に固定される。
【0021】
シート懸架体取付支持ブラケット36は、細長く概ね矩形のプレート34で形成される。プレート34はスチール、アルミ又はその合金等の金属で構成されるとともに、型打ち、成形、形成又は塑性的に変形されてパン28の三次元輪郭と概ね合致する三次元輪郭を有し、パン28に沿ってパン28の長手前後方向に延びて、パン補強バックボーン30も提供する。下記でより詳細に開示するように、バックボーン30の懸架体支持部35は、シートベースアセンブリ26にオートバイシートアセンブリを組み付ける間に耐荷重性ファブリック又はメッシュの懸架体アセンブリ118が組み付け及び取り付けられる場合に形成される耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体22を支持することにより、本発明に従って構成される、耐荷重性のエラストマー系ファブリック又はメッシュのシート懸架体22を備える改善された快適なオートバイシート32が生成される。図7図8に示すように、シート懸架体アセンブリ118はブラケット36、具体的にはブラケット36の固定部42に組み付けられ、その後にブラケット36に、具体的にはブラケット36の懸架体支持部35及びパン28の懸架体取付部に取り付けられる。シートベースアセンブリ26への懸架体アセンブリ118の組み付け及び取り付けの後でオートバイシート組み立て工程の残りが完了した後、ハンモック型の懸架された耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体22が内部に配置されたオートバイシート32が製造される。図2に示すように、ハンモック型の懸架された耐荷重性ファブリックシート懸架体22はシートクッション27内で覆われているか、囲まれているか又は包含されているため、内部に配置されている。シートクッション27もシートクッション27を覆う外側シートカバー(図示せず)内で内部に配置されている。
【0022】
下記でより詳細に開示するように、ブラケット36は、懸架体アセンブリが懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に取り付けるための準備中にシート懸架体アセンブリ118が固定される懸架体固定部42の実質的に全体ではなく少なくとも一部を提供するために三次元構成を有する。懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に取り付けるか又は固定する前に懸架体アセンブリ118を固定部42に固定することで、懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に取り付け又は固定する間に、特別な又はカスタム仕様の工具を用いることなく、懸架体アセンブリ118の柔軟な耐荷重性ウェビング120に予め張力をかけるか又は予め荷重をかけることができる。
【0023】
以下でより詳細に開示するように、ブラケット36の固定部42の構造要素は、図7に示すようにシート懸架体アセンブリ118が手動で前記構造要素と係合できるようにして懸架体アセンブリ118をオートバイシート32のサドル46に対して適切に配置できるように構成されている。そのため、取り付けられた懸架体22がサドル46内に配置されるため、シート32のサドル46に座るシートの乗員、例えば運転手又はオペレータの臀部の下に位置する。下記でより詳細に開示するように、固定部42の一部はパン28の一部であり、好ましくはパン28の一部によって提供され、パン28は好ましくはパン28に形成される、懸架体の組み付けを促進するクリアランススロット108を有する。スロット108は固定部42の一部を形成するとともに固定部42の前側に位置する部分の下に位置し且つ隣接して配置される。図7を続けて参照して、ブラケット36の固定部具42の構造要素は、図8に示すように懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に永久的に固定又は取り付ける前に、懸架体アセンブリ118の一部又は全ての場所、位置及び/又は向きの少なくとも調節を行うことができるような形で固定部42に組み付けられた場合に懸架体アセンブリ118を定位置で解除可能に維持又は保持する。図8に示すような形で懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に固定又は取り付ける場合、懸架体アセンブリ118はブラケット36に、例えばブラケット36の懸架体支持部35に固定又は取り付けられる。図8に示すように、懸架体アセンブリ118の一部は、ブラケット36の懸架体支持部35に隣接するパン28の部分に固定又は取り付けることもできる。
【0024】
ブラケット36の固定部42は、懸架体アセンブリ118の構成要素が定位置で配置且つ固定されるように(より大きい所望の懸架体動作張力よりも小さい張力で懸架体アセンブリ118のウェビング120を定位置で配置及び固定することを含む)ブラケット36への懸架体アセンブリ118の組み付けを可能にするように構成されている。パン28に形成される懸架体アセンブリクリアランススロット108によって提供される固定部42の部分は、懸架体アセンブリ118の一部、好ましくは最も前に位置する部分がブラケット36の固定部42の対応する隣接部分、例えば最も前に位置する部分に組み付けることができるようにする。ブラケット36の固定部42は、懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に固定又は取り付ける間に懸架体アセンブリ118のウェビング120の張力を高めて、懸架体のウェビング120が実質的にピンと張った状態になり所望の最小懸架体動作前張力又は前荷重を満たすか又はそれよりも大きい張力又は前荷重になるようにウェビング120に予め張力をかけるか又は予め荷重を加えることができるように構成されている。
【0025】
懸架体アセンブリ118をブラケット36の固定部42に固定し、固定された懸架体アセンブリ118に任意の調節を行った後、好ましくは下記で詳細に開示するやり方で懸架体アセンブリ118をブラケット36の懸架体支持部35に固定又は取り付けることによってシートベースアセンブリ26への懸架体アセンブリ118の固定又は取り付けが行われる。ブラケット36の懸架体支持部35に固定又は取り付けられた場合、懸架体アセンブリ118は、懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に取り付ける際に懸架体支持部35によって動かないようにパン28に固定される。
【0026】
懸架体支持部35は、懸架体アセンブリ118をブラケット36に固定又は取り付ける場合に懸架体アセンブリ118の一部が固定又は取り付けられるパン28の部分も含むことができる。本発明に従って構成されるオートバイシートアセンブリ20が懸架体アセンブリ118の一部がパン28の一部に直接固定又は取り付けられるように構成された図5図8に示すように、ブラケット36の懸架体支持部35及び懸架体アセンブリ118が固定又は取り付けられるパン28の部分は共に懸架体取付アレンジメント(suspension mounting arrangement)55を定義する。懸架体アセンブリ118が懸架体取付アレンジメント55に動かないように固定されることによって懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に固定する。
【0027】
図5図6を続けて参照して、ブラケット36の懸架体固定部42の一部及び固定部42の一部を定義又は提供するパン28の任意の部分は、それらの部分に組み付けられ、それ故に懸架体取付アレンジメント55に隣接して及び/又は懸架体取付アレンジメント55に固定される懸架体アセンブリ118の配置及び/又は位置決めに役立つ。そのため、懸架体アセンブリ118は取付アレンジメント55に固定又は取り付けられながら、固定部42により保持されるようにすることができる。下記でより詳細に開示するように、取付アレンジメント55の一部はブラケット36の一部によって形成され、取付アレンジメント55の別の部分はパン28の一部によって形成される。図面に示すように、取付アレンジメント55の一部は、固定部42の一部分も形成するブラケット36の一部によって形成され、取付アレンジメント55の別の部分は、固定部42の一部を形成するブラケット36の別の部分に隣接し且つその下に位置するパン28及びブラケット36の別の部分によって形成され、取付アレンジメント55の一部分を形成するブラケット36及びパン28の部分の上に懸架体アセンブリ118の部分が位置し且つ隣接して配置され、取付アレンジメントへの固定又は取り付けが簡素になる。
【0028】
図面に示すように、懸架体取付アレンジメント55は、(a)懸架体固定部42の一部分も形成するブラケット36の前側に配置された部分で形成される前側懸架体マウント及び(b)固定部42の一部を形成するブラケット36の後方に配置された懸架体維持部の下に位置するブラケット36の後ろ側懸架体固定部で形成される後ろ側懸架体マウントで形成される。後ろ側懸架体マウントは、ブラケット36の後ろ側懸架体固定部のいずれかの側(双方ともブラケット36の懸架体固定保持部の下に位置する)に配置されるシートパン28の部分も含むことができる。図5図8に示すように、懸架体取付アレンジメント55の後ろ側懸架体マウントは、後ろ側懸架体リテーナ(例えば、リテーナタブ114)の下に位置するブラケット36の後ろ側懸架体支持区画119の後ろ側懸架体固定部で形成できる。リテーナタブ114は、後ろ側ブラケット区画119から外側に延びて懸架体固定ポケット116を間に定義するブラケット36の一部として形成することができる。後ろ側懸架体マウントは、懸架体リテーナタブ114の下に位置する後ろ側ブラケット区画119の後ろ側懸架体固定部によって離間された一対の懸架体固定パッド45を含むこともできる。
【0029】
以下でより詳細に開示するように、ブラケット36の懸架体取付アレンジメント55の一部を形成するブラケット36の固定部42の一部もブラケット36の懸架体支持部35の一部を形成する。何故なら、(1)懸架体アセンブリ118を固定部42に組み付けるステップ、(2)必要に応じて、取付アレンジメント55に対して懸架体アセンブリ118を配置又は位置決めすることにより懸架体アセンブリ118を固定するステップ、及び(3)その後に懸架体アセンブリ118を取付アレンジメント55に固定するステップが連続的に行われて本発明のオートバイシートアセンブリ20に快適性を改善し疲労を防止する耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体22が設けられた場合、懸架体アセンブリ118の一部が永久的に動かないように固定部42の前記一部に固定されるからである。懸架体アセンブリ118が固定部42に組み付けられている場合、懸架体アセンブリ118の一部、好ましくは懸架体アセンブリ118の前部がブラケット36の前側に配置された部分に、具体的には懸架体固定取付リテーナ110に組み付けられる。リテーナ110はアセンブリ118の前部を定位置で所望の場所及び/又は向きに保持する固定部42の一部であるだけでなく、懸架体の組み付け及び取り付けが完了した場合に懸架体アセンブリ118の前部が永久的に動かないように固定されるか又は取り付けられる取付アレンジメント55の一部、具体的には前側懸架体マウントの一部でもある。ブラケット36の同じ前側に配置された部分、具体的には懸架体固定取付リテーナ110が懸架体アセンブリ118の前部を固定するのに用いられるとともに、懸架体取付アレンジメント55の一部、具体的には前側懸架体マウントでもあるため、懸架体アセンブリ118がシートベースアセンブリ26に固定された後に、ブラケット36の同じ前側に配置された部分、具体的には懸架体リテーナ110も懸架体支持部35の一部を形成する。
【0030】
オートバイシート32を作るために用いられるオートバイシートアセンブリ20のシートベースアセンブリ26は、本発明の少なくとも1つの態様に従って構成される懸架体取付固定オートバイシートベースアセンブリ26であることが有利である。そのようなシートベースアセンブリ26は、シートパン28に取り付けられるとともに懸架体を固定し、懸架体に予め張力をかけ、懸架体を取り付け及び支持するためのブラケット36と共に構成され、パン28はブラケット36によって補強される。懸架体を固定し、懸架体に予め張力をかけ、懸架体を取り付け及び支持するためのブラケット36が固定されたシートパン28で構成されるシートベースアセンブリ26は、シート懸架体22を組み付けること、固定すること、予め張力をかけること、取り付けること及びその後に継続的に支持することを有利に促進する。何故なら、そのようなシートベースアセンブリ26は、特別な工具を必要とすること又は用いることなくシートベースアセンブリ26に懸架体アセンブリ118を組み付け、固定し、取り付けることができるようにするとともにそれらを促進するように構成されているからである。
【0031】
図1図3を具体的に参照して、シートパン28は高密度ポリエチレン(HDPE)で構成される。パン28は真空成形されて所望の細長く楕円形の三次元形状が与えられる。シートパン28は耐荷重性ファブリック又はメッシュの懸架体を備えるオートバイシートアセンブリ20を備えるシート32のライダー又はオペレータ支持サドル46の下に位置するパン28の先端又は前端に隣接して配置される凹状のオペレータ支持区画44を有する。パン28の先端又は前端は、パン28の一端に固定又は隣接し、パン28の下でパン28の長手方向に延びる中心線に沿ってパン28の先端又は前端の方に長手方向に延びる細長い前側シート取付舌部48(図1)を有し、オートバイのシャーシ又はフレームの取り付けを促進するように構成されていることが好ましい。舌部48の反対側の端部は、オートバイのシャーシ又はフレームの取付ソケット又はチューブ(図示せず)に摺動可能且つ伸縮自在に受容されることが好ましい。
【0032】
パン28の後端も、細長く長手方向に延び且つ中心に配置された後ろ側シート取付ブラケット50を通じてオートバイのシャーシ又はフレームに取り付けられるように構成されている。図1に最も分かりやすく示すように、後ろ側のシート取付ブラケット50は、シート取付ブラケット固定プレート52、例えば菱型の取付プレートによりパン28の一端に又はパン28の一端に隣接してパン28に固定され、パン28の後端から外側に延びている。後ろ側シート取付ブラケット50の反対側の端部は、固定部、例えば取付ボルト等(図示せず)を通じてオートバイのシャーシ又はフレームに取り付けられている。ライダーの快適性の改善を助けるために、シートパン28とオートバイのシャーシ又はフレームとの間に配置された少なくとも複数対、例えば少なくとも3対のエラストマー系構造の絶縁体56、例えばゴムダンパー又はブッシングが存在する。振動絶縁体56がパン28とオートバイのシャーシ又はフレームとの間に挟まれた状態でシート懸架体取付支持ブラケット36がパン28に取り付けられ、ブラケット36を保持するパン28がオートバイのシャーシ又はフレームに取り付けられている場合、パン28、パン補強バックボーン30を備えるブラケット36及び振動絶縁体56は、シートサドル46に座るライダー又はオペレータを良好に支持し、道路に起因するシャーシの振動からライダー又はオペレータを良好に分離する剛性がより高い振動減衰シートベースアセンブリ26を形成する。これらは全てはライダー又はオペレータの快適性を有利に改善し、疲労を低減する。
【0033】
再度図1を参照して、背もたれアセンブリ24は、バックボーン30及び/又はブラケット36の背もたれアセンブリ支持部37の背もたれ取付プラットフォーム38に固定された背もたれ荷重支持ブラケット40を有する。背もたれ荷重支持ブラケット40が背もたれ取付プラットフォーム38に固定されることにより、背もたれアセンブリ24がシートパン28に固定される。背もたれ荷重支持ブラケット40は、背もたれ調節ブラケット62の細長いポスト60が受容される背もたれレセプタクル58を保持する。上方に延びる背もたれアジャスターブラケット64はピボット65を通じて、ピボット65を中心に背もたれ25の前後方向の傾斜角度を調節することができるように背もたれ調節ブラケット62の一端に又は該一端に隣接して取り付けられる。背もたれ調節ブラケット62によって保持される背もたれ角度調節制御部66は、前後方向における垂直線に対する背もたれ25の角度を変えるためにオートバイのシートの乗員及び/又はオペレータ等によって操作することができる。
【0034】
図1を続けて参照して、背もたれアジャスターブラケット64は、操作可能な背もたれ高さ調節位置リテーナアレンジメント70によって摺動可能に且つ位置調整可能に背もたれ高さ調節ブラケット68の反対側の端部に取り付けられているか又は該端部に隣接する。図示のように、背もたれ高さ調節位置リテーナアレンジメント70は、背もたれ高さ調節ブラケット68及びアジャスターブラケット64の一方側に概ね矩形の背もたれ高さクランププレート72を有し、背もたれ高さ調節ブラケット68及び背もたれアジャスターブラケット64の他方側に操作可能な背もたれ高さ位置ロック制御部74を有する。背もたれ高さ位置ロック制御部74は、プレート72、背もたれ高さ調節ブラケット68及び背もたれアジャスターブラケット64を共に摩擦的に締結することによって背もたれ25の高さを固定するためにオートバイのシートの乗員及び/又はオペレータ等により操作可能である。
【0035】
背もたれ高さ調節ブラケット68は、細長く且つ矩形であり、長手方向に延びるスロット76を有する。背もたれ高さ位置ロック制御部74の細長部(stem)(図示せず)、例えばネジ付の細長部はスロット76を通り、背もたれ高さ位置ロッククランププレート72及び/又はクランププレート72の外側に配置される背もたれ高さ位置ロッククランプナット78と螺合するまで延びている。一部の構成では、背もたれ高さ位置ロック制御部74は、1つの方向に手動で回転されて背もたれ高さ調節ブラケット68をクランププレート72及び背もたれアジャスターブラケット64の間で固定するノブであるか又は該ノブを含む。背もたれ高さ調節ブラケット68が定位置で摩擦的にロックされることにより背もたれ25の高さが設定される。背もたれ高さ位置ロック制御部74のノブが反対方向に回転されると、背もたれ高さ調節ブラケット68の固定が緩められ、背もたれ25の高さを変えるためにブラケット68を上又は下に摺動させることができる。背もたれ25が上又は下に動かされると、背もたれ高さ位置ロック制御部74のノブの細長部は背もたれ高さ調節ブラケット68のスロットに沿って動く。背もたれ25が所望の高さに達するか又は所望の高さが得られると、制御部74のノブは背もたれ25を実質的に動かないように定位置で固定する方向に回転され、背もたれ25の高さが設定される。
【0036】
図3図8は、オートバイシートアセンブリ20と、シート懸架体取付支持ブラケット36(パン28の三次元輪郭又は構成を有する部分に対するパン補強バックボーン30としても機能する)によってシートパン28に固定される耐荷重性ファブリック又はメッシュのシート懸架体22を備えるオートバイシート32を製造するためのオートバイシートアセンブリ20の作成方法とを示す。ブラケット36は、例えば三次元に形成されることによって懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に取り付ける際に懸架体アセンブリ118の組み付け及び固定を促進する固定部42の少なくとも一部を定義するように構成されているだけでなく、例えば三次元に形成されることによって、懸架体アセンブリ118の組み付け、固定及び取り付けが完了した後にシート懸架体22を支持する懸架体支持部35の少なくとも一部を定義するように構成されている。
【0037】
ブラケット36は比較的幅が広く、強固で剛性のある細長い金属又は合金のプレート34で構成される。ブラケット36はシートパン28の最も狭い幅W28の2分の1よりも大きい幅36と、シートパン28の長さL28の2分の1よりも大きい長さL36を有し得る。それによって、シートパン28の長さL28の少なくとも半分に亘ってパン28に固定されるパン補強バックボーン30が提供されることで、シートパン28の長さL28の少なくとも半分に亘ってシートパン28が補強、硬化及び強化される。そのようなパン補強バックボーン30を提供するそのようなブラケット36はパン28を補強し、構造的に強固にし且つ強化するたけでなく、ブラケット36によって提供されるパン補強バックボーン30の長さによって、オートバイの運転の間にシート懸架体22が受けるとともにブラケット36からパン28に伝達される力(シート32のサドル46に座るシートの乗員、例えばライダー又はオペレータによるシート懸架体22の荷重に起因する力を含む)がパン28のより広い範囲に亘ってより均一に有利に拡散される。懸架体22が直面するそのような力がブラケット36によってパン28の広い範囲に亘って拡散されることにより、パン28及びパン28に固定されるブラケット36で構成されるそのようなシートベースアセンブリ26は、オートバイの運転の間のパン28の偏向及び/又は変形を有利に低減するか、最小限に抑えるか又は完全に防止するため、より安定性及び安全性が高いシート32が得られ、そのようなシートは快適性の改善及び疲労の低減に役立つ。ブラケット36によって提供されるそのようなバックボーン30はシートパン28を補強するだけでなく、例えば三次元に形成することにより懸架体取付プラットフォームを提供するように構成できるだけでなく、例えばさらに三次元に形成することにより背もたれアセンブリ24を好ましく取り付けることができる別のプラットフォーム38を提供するようにさらに構成することができる。
【0038】
シートパン28の最も狭い幅W28の2分の1よりも大きい幅W36を有するとともにシートパン28の長さL28の2分の1よりも大きい長さL36を有する取付ブラケット36が固定されるシートパン28は、シートパン28の少なくとも半分、少なくとも、シート32のサドル46の一部の下に位置するか又は該一部を形成するシートパン28の部分を補強し且つ構造的に強固にするのに役立つ。これにより、より強く、より支持性が高くより快適なシート32をもたらすより強く、より剛性が高く、より支持性が高いシートベースアセンブリ26が形成される。加えて、より強く、より剛性が高く、より支持性が高いシートベースアセンブリ26は、下記でより詳細に説明するとともに図3図4に示す振動減衰オートバイシート取付アレンジメントも含むことができる。そのような振動減衰オートバイシート取付アレンジメントはオートバイからシート32への振動及びノイズの伝達を低減するだけでなく、オートバイが運転されるときに直面する凹凸、揺れ、衝撃等に起因する懸架体22への力の大きさを低減するのにも役立つ。
【0039】
図3は、初期オートバイシート組立ステップを示す。係るステップでは、シートパン28の裏側82に形成された凹状の振動絶縁体取付台座80のそれぞれに振動を減衰及び絶縁する複数対の、即ち少なくとも3対のエラストマー系の絶縁体56がそれぞれ取り付けられる。各振動絶縁体台座80は平らな振動絶縁体支持平面部(vibration isolator support land)84を含み、該平面部84には、台座80に据え付けられる対応する振動絶縁体56の取付部又は保持部を受容することで、絶縁体56をパン28に取り付ける開口86が形成されている。一部の構成では、各振動絶縁体56はエラストマー又はエラストマー系の材料、例えば天然ゴム、合成ゴム等で構成される。各振動絶縁体56は、概ね円筒状の振動減衰及び/又は絶縁本体部90を有し、本体部90から幅がより小さいか又は直径が小さい、例えばネックダウンの概ね円筒状の取付細長部88が外側に延びる。組み付けの際、絶縁体取付細長部88は、絶縁体本体90の半径方向外向きに延びる部分、例えば肩部が、シートパン28とオートバイのシャーシ又はフレームの一部との間で各絶縁体56の本体部90を位置決めする絶縁体支持平面部84と当接又は接触するまで対応する絶縁体取付台座80の開口86を通じて挿入される。それにより、オートバイの使用及び運転の間にそれらの間の直接接触が低減又は防止される。シートパン28への振動絶縁体56の組み付けが完了すると、振動絶縁体56は取付アレンジメントの一部、好ましくはシート32をオートバイのフレーム又はシャーシに取り付ける際に用いられ有利に振動減衰及び/又は衝撃吸収する振動減衰取付アレンジメントの一部を形成する。
【0040】
図4を追加で参照して、別の組み付けステップでは、シートパン28の底面82に形成された凹状の細長い取付ブラケット固定ウェル92(図3)内に後ろ側シート取付ブラケット50が受容され、ブラケット50は、シートパン28の外面又は上面98に形成される平らな固定プレート平面部96と当接する概ね菱型のシート取付ブラケット固定プレート52に固定部94によって固定される。後ろ側シート取付ブラケット50の取り付けが終了すると、シートパン28がブラケット50とプレート52との間に挟まれた状態で、ブラケット50はシートパン28の一方側82に配置され、固定プレート52はシートパン28の反対側98に配置される。
【0041】
図5図9を追加で参照して、さらに別の組み付けステップでは、シート懸架体取付支持ブラケット36は、シートパン28の外面又は上面98で支えられる細長く平らなプレート34で構成される。ブラケット36は、シートパン28のサドル部の下に位置するシートパン28のライダー又は乗員部の方へと後方に延びる凹状の部分の三次元輪郭と相補的に合致するように三次元に形成されている。図5に最も分かり易く示すように、ブラケット36は、ブラケット36及びブラケット36によって提供されるパン補強バックボーン30の長さに沿って長手方向に離間された複数のバックボーン固定留め具100を用いてシートパン28に取り付けられている。一部の構成では、少なくとも3つ、例えば図示のように4つの留め具100が設けられる。一部の構成では、バックボーン固定留め具100の全てはリベットであるが、所望により別の種類の留め具、例えば、ネジ、ボルト等の螺合留め具であってもよい。以下でより詳細に説明するように、ブラケット36をシートパン28に取り付けるのに用いられる各留め具100はシートパン28を通って延びてブラケット36の一部と係合する。所望により、留め具100の1つ以上はシートパン28を通り、ブラケット36を通って延びて、ブラケット36の外側に配置されたナット、例えばネジ付ナット、ワッシャー、固定プレート等のリテーナと螺合してブラケット36をシートパン28に取り付けることができる。図5を参照して、各留め具100はシートパン28のボアを通って延び、(a)ブラケット36の全体を貫通するブラケット36に形成された対応ボア102と直接係合するか又は(b)ボア102を通って延びてナット等の別のリテーナ、例えばネジ付ナット、ワッシャー、固定プレート等と係合してブラケット36をシートパン28に取り付ける。
【0042】
図5を続けて参照して、バックボーン固定留め具100のうちの1つは、パン28を貫通するボアを通って延びて、背もたれ取付プラットフォーム38の後方に位置するバックボーン30の後端に隣接するブラケット36のバックボーン30のボア102に入るか又は通ることによって、バックボーン30の一端をシートパン28に固定する。留め具100の第2のものはシートパン28を貫通する別のボア及び/又は背もたれ取付プラットフォーム38とブラケット36のバックボーン30を形成する懸架体支持部35との間のバックボーン30のボア102を通って延在することにより、背もたれ取付プラットフォーム38と懸架体支持部35との間に位置するバックボーン30(及びブラケット36)の中間部をシートパン28に固定する。複数の留め具100は、シートパン28に形成された一対の長手方向に離間されたボア及び/又はバックボーン30(及びブラケット36)の前端に隣接するバックボーン30(及びブラケット36)のボア102をそれぞれ通ってバックボーン30(及びブラケット36)の前部をシートパン28に固定するだけでなく、前側シート取付舌部48も取り付ける。図5に示すように、バックボーン30(及びブラケット36)の前側に配置されるとともにシートパン28の一方側から、シートパン28に形成されたボア104を通って延びて、シートパン28の反対側に配置されるリテーナ106(ナット、ワッシャー、固定プレート等であり得るか又は含む)と係合する前側シート取付舌部48もパン28に直接固定される。
【0043】
図5を続けて参照して、横方向に延びる懸架体クリアランススロット108がシートパン28の前端に隣接してシートパン28に形成されている。スロット108は、懸架体固定部42及び懸架体支持部35の双方の一部を形成するブラケット36の前側に配置された概ね平面状の懸架体固定取付舌部115の概ね真っ直ぐで細長く横方向に配置された前側懸架体固定取付リテーナ110の下に位置する。図5図8に最も分かり易く示すように、前側懸架体リテーナ110は、懸架体アセンブリ118の組み付け及び固定の間にシート懸架体アセンブリ118の前部によって係合される、例えば引っ掛けられる懸架体リテーナ110の部分である前側懸架体固定部112を定義する舌部115の横方向に延びる細長い外端又は前端によって形成される。懸架体取付舌部115は上方に傾斜するとともに、ブラケット36の懸架体取付アレンジメント55及び懸架体支持部35の一部を形成するブラケット36の中間懸架体支持区画117(例えば、概ね平面状で概ね水平方向に延びる区画)から外側に延びる。中間ブラケット区画117が懸架体支持部35のベース及び取付アレンジメント55を形成することに加えて、中間ブラケット区画117は、シート32の組み付けが完了したときにシート32のサドル46の部分の下に配置される及び/又は該部分を形成するシートパン28の概ね凹状な懸架体支持及び/又はオペレータ下部区画44の最底部の少なくとも一部に沿って延びるバックボーン30の一部を形成する。図7図8に最も分かり易く示すように、前側に配置された懸架体取付舌部115は中間ブラケット区画117から1つの方向に外側に向かって延び、舌部115と共に鈍角を含む角度を形成する中間ブラケット区画117に対して上方に傾斜する。後ろ側懸架体固定取付ブラケット区画119は中間ブラケット区画117から舌部115と反対の方向に外側へと延びる。後ろ側懸架体固定取付ブラケット区画119も、区画119と共に鈍角を含む角度を形成する中間ブラケット区画117に対して上方に傾斜する。図7図8に最も分かり易く示すように、舌部115、中間ブラケット区画117及び後方ブラケット区画119は共に概ねU字状の懸架体支持部35を形成し、懸架体支持部35へのシート懸架体アセンブリ118の組み付け及び取り付けが完了したときに懸架体22を支持する。図7図8に示すように、ブラケット36の懸架体支持部35を形成するブラケット区画115、117及び119もパン28の概ねU字で凹状の懸架体支持及び/又はオペレータ下部区画44と相補的に合致する。
【0044】
図5図8を参照して、後ろ側懸架体固定取付ブラケット区画119は、懸架体固定部42の一部であり、後ろ側ブラケット区画119の残りの部分から立ち上げられて懸架体固定ポケット116を定義する後ろ側懸架体リテーナタブ114を有する。懸架体固定ポケット116は、懸架体アセンブリ118の組み付け及び固定の間に懸架体アセンブリ118の後ろ側の部分、例えば懸架体アセンブリ118の後ろ側懸架体取付梁132をポケット116内で解除可能に保持する。図7に最も分かり易く示すように、懸架体リテーナタブ114も、固定部42への懸架体アセンブリ118の組み付けの間にポケット116内への懸架体取付梁132の挿入をガイドして支援する懸架体アセンブリガイドを提供する。組み付けの後、取付梁132はポケット116内で解除可能に保持され、固定部42のタブ114によって固定される。そのため、梁132が懸架体取付アレンジメント55の後ろ側部分から所望の相対位置及び間隔を維持することにより、後続の後ろ側懸架体アセンブリ固定又は取り付けステップにおいて梁132を固定取り付け又は動かないように取り付けするのが容易になる。
【0045】
以下でより詳細に開示するように、梁132がポケット116内に挿入され、後ろ側懸架体固定パッド45及びパッド45の間に配置される後ろ側懸架体固定取付ブラケット区画119の隣接部分によって形成される懸架体取付アレンジメント55の後ろ側部分から所望の間隔及び場所に固定されている場合、ウェビング120の張力は初期のより少ない固定量の張力(initial lesser fixture amount of tension)である。後続の固定又は取り付けステップの間、梁132はタブ114によってポケット116内で固定されながら、パッド45及び/又はパッド45の間で延在する後ろ側ブラケット区画119の部分の方に及び/又は隣接するように手動で促されることにより、ウェビング120の張力が初期固定量よりも大きい張力に高められ、ウェビング120に対して予め荷重を又は予め張力がかけられる。その後、梁132が固定パッド45(例えば複数の固定パッド45)の少なくとも1つ及び/又はパッド45の間に配置される後ろ側ブラケット区画119の部分に固定又は取り付けられることにより、ウェビング120に対して予めかけられる負荷又は張力の最終張力が初期固定量の張力よりも大きい量の張力になるように設定される。そのため、ウェビング120に対して予め与えられる張力又は荷重は懸架体動作最小張力(minimum suspension operation tension)よりも大きい及び/又は所望の懸架体動作張力の範囲内のものになる。
【0046】
図6図8を参照して、ウェビング120は、シートパン28の長手方向に対して横方向に延びるとともに懸架ウェビング120の両端に位置する離間された一対の懸架体マウント122及び124の間で概ね平面状又は平らなハンモックのように懸架される。平行で且つ横方向に置かれるか又は横方向に延びる部材である懸架体マウント122及び124は、組み付けが終わった場合にオートバイシート32を形成するオートバイシートアセンブリ20のシートベースアセンブリ26に懸架ウェビング120を取り付けるのに用いられる。マウントの1つは、ウェビング120の後端に取り付けられる細長く概ね横方向に配置される懸架体取付梁132であるか又は梁132を含む後ろ側マウント124である。マウントの他方は、ブラケット36の前側に配置される懸架体固定取付舌部115の懸架体リテーナ110を受けるJ字状又はU字状の溝又はフックを有する細長く概ね横方向に配置されるJフック130であるか又はJフック130を含む前側懸架体マウント122である。
【0047】
図6を具体的に参照して、懸架ウェビング120は、ポリエーテルエステル、ポリエステルエステル又は他の好適な熱可塑性エラストマー(デュポン社製のHYTREL(登録商標)、エンジニアリングプラスチック社製のARNITEL(登録商標)等)又は他の好適な耐荷重性のエラストマー系懸架ファブリック又はメッシュ材料(コポリマーエラストマー、コポリマー熱可塑性エラストマー、コポリエステルエラストマー又はコポリエステル熱可塑性エラストマー等)でできた耐荷重性の糸、フィラメント及び/又はより糸を含む耐荷重性の柔軟且つ弾性力を有する材料の1つ以上で構成される耐荷重性エラストマー系メッシュ又はファブリック等の柔軟なエラストマー系の懸架ファブリック又はメッシュ126で構成される。一部の構成では、懸架ウェビング120は、エラストマー系のファブリック構成であるアクミミルズ社(ミシガン州、デトロイト)製のDYMETROL(登録商標)ファブリック等のポリエステル織物で構成される。
【0048】
再び図6図8を参照して、前で示したように、伸縮性のファブリック又はメッシュの懸架体アセンブリ118の懸架体マウント122のうちの1つ、例えば前側懸架体マウント122は、Jフック130等の懸架体取付フック128であるか又はフック128を含む。フック128は、オートバイシートの組み立ての間にシート懸架体アセンブリ118が固定又は取り付けられる懸架体取付支持ブラケット36の最も前又は前側に位置する区画を形成する懸架取付舌部115の横方向に延び且つ細長い前端又は先端の周りに引っ掛けられる。前で示したように、懸架体アセンブリ118の懸架ウェビング120の懸架ファブリック又はメッシュ126の先端は、ウェビング120のメッシュ又はファブリック126の前端の大半(例えば、50%強、75%強又は90%強)又は長さ全体に沿ってJフック130に取り付けられる。メッシュ又はファブリック126及びそれ故にウェビング120は、メッシュ又はファブリック126の前端がJフック130に固定されることにより、ウェビング120の前端がJフック130に取り付けられるようにJフック130に接着剤で取り付けられるか、ステープル留めされるか、縫い付けられるか又は取り付けられる。
【0049】
図6図8に示すように、シート懸架体アセンブリ118の後ろ側懸架体マウント124は細長い懸架体取付梁132であるか又は梁132を含む。梁132は、ウェビング120のエラストマー系の耐荷重性懸架メッシュ又はファブリック126の後端に、ウェビング120のメッシュ又はファブリック126の後端の大半(例えば50%強、75%強又は90%強)又は長さ全体に沿って取り付けられる懸架体アセンブリ118の後ろ側懸架体マウントであるか又は後ろ側懸架体マウントの役割を果たす。梁132は剛性部材であり且つ矩形であり得る。一部の構成では、梁132はポリプロピレン、炭素繊維複合体又は他の好適な材料等の軽量で耐久性のある材料で構成される。梁132は、懸架体アセンブリ118の後ろ側をシートベースアセンブリ26に取り付けるのを促進する懸架体取付梁132としての役割を果たすことに加えて、ライダー又はオペレータの荷重、凹凸、揺れ等に起因する横方向及び/又は長手方向の加速及び/又はウェビング120を通じて梁132に伝達される道及び/又はシャーシの振動に起因するオートバイの運転の間に懸架ウェビング120が直面する力に加えて及び/又はシート32及び懸架体22、例えば取り付けられた懸架体アセンブリ118が直面する力の一部を吸収、伝達又は調節するのを助けるバネ、例えば板バネとしても機能することもできる。ウェビング120のメッシュ又はファブリック126は、懸架メッシュ又はファブリック126の後端が梁132に固定されることにより、ウェビング120の後端が梁132に取り付けられるように梁132に接着剤で取り付けられるか、ステープル留めされるか、縫い付けられるか又は取り付けられる。
【0050】
オートバイシートアセンブリ20の例示の一組み立て方法において、シート懸架体アセンブリ118のJフック130は、懸架取付梁132が設置者によって操作されてウェビング120を後ろ側懸架体マウント125の方へと外側に延ばし、梁132を懸架体固定ポケット116内に挿入する前に先ずブラケット36の懸架体固定部42の懸架体取付舌部115の懸架体リテーナ110の外端、前端又は先端に取り付けられる。梁132をポケット116内に挿入する際、梁132の外端又はリップは図7に示すようにタブ114の内側上端又はリップに対して手動で活用され(levered)タブ114がレバーとして用いられる。係るレバーに対しては、梁132がタブ114をクリアー(clear)できるのに十分な程ウェビング120を延ばすために梁132を保持する設置者によって力を手動で加えることができる。そのため、梁132がタブ114によってポケット116内にガイド、例えば摺動可能にガイドされる。
【0051】
シート懸架体アセンブリ118を固定部42に組み付ける間に梁132がポケット116内で受容された場合、懸架体アセンブリ118の前端も固定部42の懸架体取付舌部115の前側懸架体リテーナ110と係合し、それ故に固定されることによって固定部42に組み付けられる。梁132がポケット116内に挿入された場合、ウェビング120は梁132と固定部42に組み付けられたJフック130との間で懸架され、予めかけられる懸架体動作張力の所望の最小張力又は張力範囲よりも少ない量の張力がウェビング120に先ず適用される。梁132が解除可能にポケット116内で保持され且つ固定されると、梁132は後ろ側懸架体マウント125に重なり且つ後ろ側懸架体マウント125から離間されるような形で位置するため、梁132をマウント125に固定又は取り付けるのが容易になる。
【0052】
梁132をマウント125に固定又は取り付けるために、固定パッド45及び/又は後ろ側マウント125を形成するパッド45の間に配置されるブラケット36の懸架体支持部35の隣接部分の方に及び/又は対して梁132を手動で促す(urge)ことによりマウント125の方に及び任意でマウント125に対して梁132を手動で促すことができる。梁132が後ろ側懸架体マウント125の方に及び任意でこれらに対して促されると、梁120はウェビング120における張力を高めるため、ウェビング120に対して予め荷重又は張力がかけられる。梁132が後ろ側懸架体マウント125の方に及び任意で後ろ側懸架体マウント125に対して促されてウェビング120に予め荷重又は張力がかけられた後、複数の懸架体取付留め具144のそれぞれは、パッド45の複数のボア138及び梁132を通じて各ボア134と整合したパッド45の間のブラケット36の部分のボア140の対応する1つを通って挿入され梁132がシートベースアセンブリ26に固定又は取り付けられる。留め具144及び対応するボア134の数は一部の構成では少なくとも3つ、例えば図示のように4つであり、ボア138、140はそれぞれ対として提供することができる。梁132のボア134は梁132の全体に沿って等間隔で離間でき、梁132の各端部に隣接する1つのボア134を含む。整合した対応する対のボア134、138及び/又は134、140の1つを通って延び得る各留め具144の一部は、ワッシャー、ナット等、例えばネジ付ネット、固定プレート等の形態の留め具固定リテーナ142により係合されて、梁132をパッド45及びパッド45の間に配置されるブラケット36の部分に対して固定して、梁132を後ろ側懸架体マウント125に固定するか又は取り付ける。
【0053】
図8に示すように、シート懸架体アセンブリ118をシートベースアセンブリ26に取り付ける間に、梁132が操作されるか又は動かされてリテーナタブ114と後ろ側ブラケット区画119の下に位置する部分との間のポケット116内に梁132が挿入されると、梁132はリテーナタブ114によって解除可能に及び/又は可動に定位置で保持されるため、ポケット内で固定された梁132の位置の再配置及び/又は調節を例えば横方向又は左右方向に手動で行うことができる。梁132がポケット116内で受容されている場合、懸架体取付留め具144は(図6に示す)パン28の懸架体取付ボア138及び/又は(図6に示す)ブラケット36の懸架体取付ボア140を通じて挿入されて、梁132及び懸架体アセンブリ118の後端及び/又は懸架メッシュ又はファブリック126及び/又は懸架ウェビング120の後端がバックボーン30及びパン28に固定され動かないようにしっかり固定される。図8に示すように、各留め具144は、梁132をパン28に固定する間に整合した組のボア134、138又は134、140を通ってシートパン28の一方側から挿入され、シートパン28の反対側に位置するワッシャー、ナット、例えばネジ付のナット、固定プレート等の形態の留め具固定リテーナ142と協働するように配置される。一部の構成では、各留め具144は、シートパン28及び/又はバックボーン30の一方側に配置される頭部146、例えばマンドレルヘッドを一端に有し、頭部148から細長いシャンク又は本体部148、例えばマンドレル又はピンが外側に延びる。懸架体アセンブリ118の後端及び懸架メッシュ又はファブリック126をパン28及びバックボーン30に固定する際に、本体部148は整合した対応する組のボア134、138又は134、140のそれぞれを通って延びてシートパン28及び/又はバックボーン30の反対側に配置されるワッシャー、例えば環状のワッシャー等の留め具固定リテーナ142と係合する。
【0054】
予め荷重又は張力をかけるステップおいて、パッド45及び/又はブラケット36のパッド45の間で延びる部分と梁132が重なり且つそれらに対して配置されるように梁132がポケット116内のその固定位置から変位される場合、変位の量は、ウェビング120を伸ばしその張力を高める。初期の小さい固定量の張力から、懸架体に予めかけられる非荷重最小張力閾値(minimum unloaded suspension pre-tension threshold)よりも大きいか又は許容可能な懸架体に予めかけられる非荷重張力範囲内の最終的な量の張力に上げられる。一部の構成では、変位の量は少なくとも1/8インチ(例えば少なくとも1/4インチ又は少なくとも1/2インチ)である。
【0055】
1つ以上の好ましい実施形態及び方法の点で本発明を上記で説明したことが分かる。これらの実施形態及び方法には、本発明の範囲内である様々な変更が加えられ得ること及び様々な変形例が存在し得ることが認識される。本発明のクレームの範囲内になる様々な変形例が考えられる。上記の説明及び図面では本発明の1つ以上の好ましい実施形態を詳細に図示説明したが、当業者であれば本開示は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの変更及び構成に加えて大きく異なる実施形態及び用途を示唆することが分かる。
【符号の説明】
【0056】
20 オートバイアセンブリ
22 シート懸架体
24 背もたれアセンブリ
26 シートベースアセンブリ
28 シートパン
30 パン補強バックボーン
32 オートバイシート
34 プレート
36 ブラケット
38 背もたれ取付プラットフォーム
40 荷重支持ブラケット
42 固定部
44 オペレータ支持区画
46 シートサドル
48 前側シート取付舌部
50 後ろ側のシート取付ブラケット
52 シート取付ブラケット固定プレート
56 振動絶縁体
58 背もたれレセプタクル
60 細長いポスト
62 背もたれ調節ブラケット
64 アジャスターブラケット
66 背もたれ角度調節制御部
68 背もたれ高さ調節ブラケット
70 背もたれ高さ調節位置リテーナアレンジメント
72 プレート
74 背もたれ高さ位置ロック制御部
76 スロット
78 背もたれ高さ位置ロッククランプナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9