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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】工作機械上で被加工物をロックする装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
B23Q3/06 304B
B23Q3/06 302C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018530889
(86)(22)【出願日】2017-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 IB2017050920
(87)【国際公開番号】W WO2017141210
(87)【国際公開日】2017-08-24
【審査請求日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】UA2016A001290
(32)【優先日】2016-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518204969
【氏名又は名称】ハイドロブロック エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ザンニ,ダヴィデ
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04508327(US,A)
【文献】特表2007-529330(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0234478(US,A1)
【文献】特表2018-525236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械上で被加工物をロックする装置(1)であって、
工作機械(M)に固定可能で、加圧されている油圧流体を収容している油圧シリンダ(3、4、5)を備えている少なくとも1個のベース胴体(2)と、
主軸線(A)に沿って延びており、前記加圧されている油圧流体によって押された時に前記主軸線(A)に沿って摺動するように前記油圧シリンダ(3、4、5)に部分的に挿入されており、前記油圧シリンダ(3、4、5)の内側の少なくとも1個の内側の部分(8)と、前記油圧シリンダ(3、4、5)の外側の1個の外側の部分(9)とを有している少なくとも1個のロッド(8、9)と、
前記油圧シリンダ(3、4、5)と前記ロッド(8、9)との間に介在しており、前記ロッド(8、9)の動きを、
前記ロッド(8、9)が前記主軸線(A)に沿って摺動し、前記主軸線(A)を中心に回転する回転/並進の少なくとも1個の第1の伸長(12)と、
前記ロッド(8、9)が回転せずに前記主軸線(A)に沿って摺動する並進の少なくとも1個の第2の伸長(13)と、
に分割するように構成されている回転/並進手段(14、15、16)と、
前記工作機械(M)上で機械加工される被加工物Pをロックする前記ロッド(8、9)の前記外側の部分(9)に取り付けられている少なくとも1個のクランプ要素(19、20)であって、
該クランプ要素(19、20)が前記ベース胴体(2)から離れているホーム構成と、
該クランプ要素(19、20)を回転させて、前記第1の伸長(12)に沿ったロッド(8、9)の動きに従って前記ホーム構成に比べて前記ベース胴体(2)により近づける中間構成と、
前記被加工物(P)をロックするように、該クランプ要素(19、20)を前記第2の伸長(13)に沿った前記ロッド(8、9)の動きに従って前記中間構成に比べて前記ベース胴体(2)にさらに近づける動作構成との間で移動可能な少なくとも1個のクランプ要素(19、20)と、
を有し、
前記ベース胴体(2)に取り付けられており、前記ロッド(8、9)の前記第2の伸長(13)に沿ったシフト中に前記クランプ要素(19、20)が前記主軸線(A)に沿って摺動可能な状態で結合可能な少なくとも1個の角柱状の案内胴体(21)を有し、
前記クランプ要素(19、20)は、
ロッド(8、9)の前記外側の部分(9)に固定されている近傍部分(19)と、
前記主軸線(A)に直交する動作線(B)に沿って前記近傍部分(19)から突き出すように延びており、前記被加工物(P)に接触するように構成されている遠方部分(20)と、を有し、
前記角柱状の案内胴体(21)は、前記主軸線(A)に平行で、前記クランプ要素(19、20)上に作られている第1の接触表面(23)に接触するように構成されており、前記クランプ要素(19、20)が前記中間構成及び前記動作構成にあるときに、前記動作線(B)に直交する第1の案内平面(G1)内を延びている少なくとも1個の第1の案内表面(22)有しており、
前記ロッド(8、9)を中心に位置しており、前記ベース胴体(2)と、前記ベース胴体(2)に取り外し可能に取り付けられた前記角柱状の案内胴体(21)の支持ベース(28)との間に挟まれて保持されている少なくとも1個の掻き取りリング(31)を有し、前記掻き取りリング(31)は、前記ベース胴体(2)と前記支持ベース(28)との間に作られている環状コンパートメント内に、前記ロッド(8、9)の曲げに適合する半径方向の隙間(32)をあけて配置されていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記第1の案内表面(22)は、前記第1の接触表面(23)との結合を促進するように構成されている少なくとも1個の第1の案内角度付き縁(24)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記角柱状の案内胴体(21)は、前記主軸線(A)に平行で、前記クランプ要素(19、20)上に作られている第2の接触表面(26)に接触するように構成されており、前記クランプ要素(19、20)が前記中間構成及び前記動作構成にあるときに、前記動作線(B)に平行な第2の案内平面(G2)内を延びている少なくとも1個の第2の案内表面(25)を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記第2の案内表面(25)は、前記第2の接触表面(26)との結合を促進するように構成されている少なくとも1個の第2の案内角度付き縁(27)を有していることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記ロッド(8、9)の対向している側に位置している少なくとも2個の前記角柱状の案内胴体(21)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記角柱状の案内胴体(21)の両方が上に延びており、前記ロッド(8、9)用の通過開口(29)を備えており、前記ロッド(8、9)が前記通過開口(29)を通過している取り付け構成において前記ベース胴体(2)に取り外し可能な接続手段(30)によって取り付け可能な少なくとも1個の前記支持ベース(28)を有することを特徴とする、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記回転/並進手段(14、15、16)は、
前記ロッド(8、9)または前記油圧シリンダ(3、4、5)の少なくともいずれか一方に作られており、螺旋状の第1の部分(17)と、まっすぐな第2の部分(18)とを有する少なくとも1個の溝(14)と、
前記ロッド(8、9)または前記油圧シリンダ(3、4、5)のいずれかの他方に取り付けられており、前記溝(14)に摺動可能に挿入されている少なくとも1個の係合要素(15)と、
を有し、
前記係合要素(15)の前記第1の部分(17)に沿った摺動によって、前記ロッド(8、9)が前記第1の伸長(12)に沿って移動し、前記係合要素(15)の前記第2の部分(18)に沿った摺動によって、前記ロッド(8、9)が前記第2の伸長(13)に沿って移動することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記回転/並進手段(14、15、16)は、前記係合要素(15)を前記溝(14)内に押し込むように構成されている弾性補償手段(16)を有することを特徴とする、請求項7に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械上で被加工物をロックする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
適切な固定システムが、工作機械上で機械加工される被加工物のロックに通常使用される。
【0003】
特定の型式の固定システムは、油圧駆動によって、回転の軸線を中心に回転する態様と同じ回転の軸線に沿って摺動する態様の両方で移動可能なクランプからなる。
【0004】
クランプは、油圧シリンダ内に部分的に挿入されている油圧アクチュエータのロッド上に張り出すように取り付けられている。
【0005】
ロッドと油圧シリンダとの間には、回転/並進変換手段、つまりロッド及びそのためそれに取り付けられているクランプの回転/並進を可能にする特別な拘束手段がある。
【0006】
そのような固定システムは、大きなロック力を機械加工される被加工物に作用させることができなければならない。
【0007】
この必要性は、たとえば、製造サイクルの最適化が継続して必要なことが、非常に高速に動作し固定システムによって補償しなければならない強い力及び振動を被加工物上で発生する工具の使用につながっている自動車産業界では特に感じられる。
【0008】
また、自動車産業界では、工作機械上での機械加工時に、鋳鉄や鋼などの材料のように同じ抵抗を保証することができないアルミニウムなどの特に軽量の材料の使用がより頻繁になっている。
【0009】
そのため、非常に強い力を作用させる他にも、被加工物のロッククランプが所定の点で被加工物上に、非常に正確にそして機械加工される新規の被加工物が工作機械上に取り付けられるたびに反復可能な態様で置かれることが必要であるが;反対に、実際にクランプによって作用する大きな力は、被加工物を変形させるかもしれず、それは、機械加工の品質と公差外の被加工物ができあがる危険性との妥協点である。
【0010】
この点について、クランプが被加工物に及ぼす強い力は、ロッドが曲がること及び/またはねじられることにつながり、油圧シリンダを損傷させる危険性があるだけでなく、クランプと被加工物との間の接触面積を変化させ、したがって、誤った機械加工作業が行われる危険性を増加させることも強調しなければならない。
【0011】
そのため、回転/並進クランプによる各固定システムは、油圧シリンダ内の油圧をクランプによって作用する実際のロック力及びクランプの最大長さ、つまり最大許容張り出しと関連付けるクランプ自体の動作曲線を特徴とする。
【0012】
圧力/力曲線は、増加するパターンを有するのに対して、圧力/長さ曲線は減少するパターンを有し、既知の型式の固定システムは、常に完全には満足できない妥協の状況で動作しなければならないことは明らかである。
【0013】
説明したことに照らして、回転/並進クランプによる固定システムは改良できることを理解するのは容易である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の主な目的は、張力の観点から負荷を作用させず、変形させずに工作機械上で機械加工される被加工物を安定してロックできるようにする被加工物を工作機械上でロックする装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、張り出しが同じならば、より大きなロック力を機械加工される被加工物に作用させ、ロック力が同じならば、より大きな張り出しで動作可能な、被加工物を工作機械上でロックする装置を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、簡素で、合理的で、容易で、使用が効果的で、手頃な解決策において、従来技術の前述の欠点を克服可能な工作機械上で被加工物をロックする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述の目的は、請求項1の特徴を有している工作機械上で被加工物をロックする本装置によって達成される。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面において例示的ではあるが非限定的な例として示している工作機械上で被加工物をロックする装置の好適なしかし排他的ではない実施形態の説明から、より明らかになることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の装置の不等角投影図である。
図2図2は、本発明の装置の分解図である。
図3図3は、ホーム構成にある本発明の装置の側部部分断面図である。
図4図4は、中間構成にある本発明の装置の側部部分断面図である。
図5図5は、動作構成にある本発明の装置の側部部分断面図である。
図6図6は、本発明の装置の図3の平面VI-VIに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
そのような図を特に参照して、工作機械上で被加工物をロックする装置は全体を通して1で示されている。
【0021】
装置1は、特に、工作機械Mの作業平面L上に配置された後、そして機械加工作業が開始される前に、被加工物Pをロックすることを意図している。
【0022】
装置1は、工作機械Mに、たとえばその作業平面L、そのベッドプレート、またはその任意の他の部分に固定可能なベース胴体2を少なくとも有している。
【0023】
ベース胴体2には、加圧されている油圧流体を収容している油圧シリンダ3、4、5が備わっている。
【0024】
油圧シリンダ3、4、5は、たとえば、通過穴6を備えている主ブロック3、主ブロック3から延びている中空スリーブ4、及び主ブロック3とは反対側の中空スリーブ4の先端を閉じる下部部材5によって定められている。
【0025】
中空スリーブ4は、たとえば、ベース胴体3と単一の一体の胴体として作られているのに対して、下部部材5は、ねじ35または他の固定手段によって中空のスリーブ4に関連付けられている1個または2個以上の別個の胴体として作られている。
【0026】
下部部材5は、中空のスリーブ4内を主ブロック3に向けて延びているピン7を備えている。
【0027】
装置1は、主軸線Aに沿って延びており、加圧されている油圧流体によって押されたときに主軸線Aに沿って摺動するように油圧シリンダ3、4、5内に部分的に挿入されているロッド8、9を少なくとも有している。
【0028】
ロッド8、9は、油圧シリンダ3、4、5の内部の内側の部分8及び通過穴6を通して延びている油圧シリンダ3、4、5の外部の外側の部分9を少なくとも有している。
【0029】
内側の部分8は、作動ピストン10、つまり油圧シリンダ3、4、5の内側の壁上を寸法に合わせて摺動し、それを2個の対向しているチャンバに分割する厚い断面部分を定めるように形作られる;加圧されている油圧流体の2個のチャンバへの交互の供給によって、ロッド8、9を主軸線Aに沿って一方向または反対の方向に摺動させることができる。
【0030】
内側の部分8の内側には、ピン7に結合するキャビティ11が作られている。
【0031】
ピン7及びキャビティ11の両方が、主軸線Aに沿って延びており、ロッド8、9の主軸線Aに沿った移動中に、ピン7は、キャビティ11に少なくとも部分的に常に挿入されたままに維持される。
【0032】
回転/並進手段14、15、16が、油圧シリンダ3、4、5とロッド8、9との間に介在しており、ロッド8、9の動きを、
ロッド8、9が主軸線Aに沿って摺動し、主軸線Aを中心に回転する回転/並進の少なくとも第1の伸長12と、
ロッド8、9が回転せずに主軸線Aに沿って摺動する少なくとも第2の伸長13と、
に分割するように構成されている。
【0033】
回転/並進手段14、15、16は、
油圧シリンダ3、4、5及びロッド8、9の少なくとも一方に作られており、実質的に螺旋状の第1の部分17と、主軸線Aに並行して延びている実質的にまっすぐな第2の部分18とを有する少なくとも1個の溝14と、
油圧シリンダ3、4、5及びロッド8、9の他方に取り付けられており、溝14に摺動可能に挿入されている少なくとも1個の係合要素15と、
を有している。
【0034】
係合要素15の第1の部分17に沿った摺動によって、ロッド8、9が第1の伸長12に沿って移動し、係合要素15の第2の部分18に沿った摺動によって、ロッド8、9が第2の伸長13に沿って移動する。
【0035】
図に示している本発明の特定の実施形態において、溝14は、ピン7の外側表面上に作られているのに対して、係合要素15は、キャビティ11の内側に突き出すようにロッド8、9に取り付けられているのが有利である。
【0036】
さらに詳細には、図に示している本発明の特定の実施形態において、回転/並進手段14、15、16は、ロッド8、9の運動の設定時に、より高い安定性及び精度を保証するように、ピン7の対向している表面上に作られている2個の溝14及びキャビティ11の対向している表面上に取り付けられている2個の係合要素15を有している。
【0037】
ロッド8、9の移動における高い精度は、回転/並進手段14、15、16が係合要素15を溝14に押し込むように構成されている弾性補償手段16を有することによっても得られる。
【0038】
弾性補償手段16は、実際には、接触表面が摩耗し始めたときでも、係合要素15の対応する溝14内への摺動が、最高の精度で常に行われることを確実にしており;言い換えれば、弾性補償手段16は、溝14と係合要素15との間の隙間及び摩耗を補償できるようにしている。
【0039】
弾性補償手段16は、たとえば、ロッド8、9内に収容されており、係合要素15に主軸線Aに直交している方向に沿った向きの力を作用させるように配置されている1個または2個以上のコップ状の(さら)ばねからなる。
この点について、コップ状の(さら)ばね16の横方向の保持用の保持リング33及び保持リング33とコップ状の(さら)ばね16との間に半径方向に介在している一連のパッド34がロッド8、9上に取り付けられていることがわかる。
【0040】
パッド34は、コップ状の(さら)ばね16の予荷重を校正する機能及び、更に、コップ状の(さら)ばね16を無傷で保護するように係合要素15のストローク止めの機能を果たす。
【0041】
装置1は、工作機械M上で機械加工される被加工物Pをロックするロッド8、9の外側の部分9に関連付けられている少なくとも1個のクランプ要素19、20をさらに有している。
【0042】
クランプ要素19、20は、
ロッド8、9の外側の部分9に固定されている近傍部分19と、
主軸線Aに実質的に直交する動作線Bに沿って近傍部分19から突き出すように延びており、被加工物Pに接触するように構成されている遠方部分20と、
を有している。
【0043】
クランプ要素19、20は、
クランプ要素19、20がベース胴体2から、そのため、作業平面Lから離れているホーム構成と、
クランプ要素19、20を回転させて、第1の伸長12に沿ったロッド8、9の動きに従ってホーム構成に比べてベース胴体2により近づける中間構成と、
クランプ要素19、20を、被加工物Pをロックするように、第2の伸長13に沿ったロッド8、9の動きに従って中間構成に比べてベース胴体2にさらに近づける動作構成と、の間を移動可能である。
【0044】
装置1はベース胴体2に関連付けられており、ロッド8、9の第2の伸長13に沿ったシフト中にクランプ要素19、20に角柱状に結合可能な少なくとも1個の角柱状の案内胴体21を有している。
【0045】
この点について、本説明において、2個の構成要素が「角柱状に結合する」という記述は、2個の構成要素の一方が、他方に対して、剛性のある並進型式の相対的な運動によって内部を移動可能であって、したがって1自由度の運動学系を構成する角柱状の型の運動学的対を構成していることを意味していることがわかる。
【0046】
角柱状案内胴体21は、主軸線Aに実質的に平行で、クランプ要素19、20上に作られている第1の接触表面23に角柱状に接触するように構成されている少なくとも第1の案内表面22を有している。
【0047】
第1の案内表面22は、クランプ要素19、20が中間構成及び動作構成にあるときに、主軸線Aに平行なだけではなく、動作線Bに実質的に直交する第1の案内平面G1(図6に示す)内を延びている。
【0048】
実際に、ホーム構成から出発して、クランプ要素19、20が中間構成に到達し、それからクランプ要素19、20上に作られている第1の接触表面23が角柱状胴体21の第1の案内表面22に完全に揃い、第1の接触表面23が第1の案内表面22上を摺動しながら中間構成から動作構成へのシフトが行われる。
【0049】
第1の案内表面22の第1の接触表面23への角柱状の結合を促進するように、第1の接触表面23は、少なくとも第1の案内角度付き縁24を有している。
【0050】
第1の案内角度付き縁24は、たとえば、主軸線Aに対して小さい角度付き表面からなる。
【0051】
前述のように、クランプ要素19、20が中間構成及び動作構成にあるときに、動作線Bに実質的に直交している第1の案内表面22の向きによって、クランプ要素19、20が被加工物Pに接触した時にロッド8、9に作用する曲げ加重C1及びねじり加重C2の一部を角柱状案内胴体21が、吸収し、そのため減少させることできる。
【0052】
この点について、本説明において、曲げ加重C1は、ロッド8、9を主軸線Aに直交している軸線を中心に曲げようとする力を意味しているのに対して、ねじり加重C2は、ロッド8、9を主軸線Aを中心にねじろうとする力を意味していることがわかる。
【0053】
角柱状案内胴体21は、主軸線Aに実質的に平行で、クランプ要素19、20上に作られている第2の接触表面26に角柱状に接触するように構成されている少なくとも第2の案内表面25も有している。
【0054】
第2案の案内表面25は、クランプ要素19、20が中間構成及び動作構成にあるときに、主軸線Aに平行なだけではなく、動作線Bに実質的に直交する第2の案内平面G2(図6に示す)内を延びている。
【0055】
実際に、ホーム構成から出発して、クランプ要素19、20が中間構成に到達し、それからクランプ要素19、20上に作られている第2の接触表面26が角柱状胴体21の第2の案内表面25に完全に揃い、第2の接触表面26が第2の案内表面25上を摺動しながら中間構成から動作構成へのシフトが行われる。
【0056】
第2の案内表面25の第2の接触表面26への角柱状の結合を促進するように、第2の接触表面26は、少なくとも第2の案内角度付き縁27を有している。
【0057】
第2の案内角度付き縁27は、たとえば、主軸線Aに対して小さい角度付き表面からなる。
【0058】
前述のように、クランプ要素19、20が中間構成及び動作構成にあるときに、動作線Bに実質的に平行な第2の案内表面25の向きによって、クランプ要素19、20が被加工物Pに接触した時にロッド8、9に作用するねじり加重C2の一部を角柱状案内胴体21が、吸収し、そのため減少させることできる。
【0059】
図に示している本発明の特定の実施形態において、装置1は、ロッド8、9の対向する側に配置されている少なくとも2個の角柱状案内胴体21を有しており;そのため、2個の第1の案内表面22、2個の第1の接触表面23、2個の第2の案内表面25、及び2個の第2の接触表面26が存在する。
【0060】
より詳細には、装置1は、両方の角柱状案内胴体21がそれから上に延びており、ロッド8、9用の通過開口29を備えている支持ベース28を少なくとも有している。
【0061】
支持ベース28は、ロッド8、9が通過開口29を通過している取り付け構成において、取り外し可能な接続手段30によってベース胴体2に取り付け可能である。
【0062】
支持ベース28は、通過穴6の位置で主ブロック3に関連付けられ、通過穴6から突き出しているロッド8、9の第2の部分18を中心に嵌められるように構成されている。
【0063】
しかし、角柱状案内胴体21がベース胴体2に一体の態様で関連付けられている、つまり、角柱状案内胴体21及びベース胴体2が1一体的に作られている代替の実施形態を除外することはできない。
【0064】
装置1は、ロッド8、9の周囲に位置し、ベース胴体2と取り付け構成に位置している支持ベース28との間に挟まれて保持されている少なくとも1個の掻き取りリング31を最後に有している。
【0065】
掻き取りリング31は、破片、ほこり、及びごみの通過穴6への進入を防止する機能を実行し、ベース胴体2と支持ベース28との間に作られている環状コンパートメント内に収容されている。
【0066】
環状コンパートメント内に、半径方向のシフトを可能にし、ロッド8、9のあらゆる曲げに適合する半径方向の隙間32をあけて掻き取りリング31が収容されている。
【0067】
本発明の動作は、以下のようである。
【0068】
被加工物Pは、クランプ要素19、20がホーム構成に配置されている状態で、作業平面L上に位置している。
【0069】
ホーム構成において、実際に、クランプ要素19、20は、工作機械M上に被加工物Pを配置できるように、作業平面Lの表面上に何も無い状態にしている(図3)。
【0070】
加圧されている油圧流体の油圧流体のシリンダ3、4、5内への供給に続いて、ロッド8、9が、第1の伸長12に沿ってベース胴体2内で摺動し、クランプ要素19、20がホーム構成から中間構成にシフトする。
【0071】
中間構成において、クランプ要素19、20は、ホーム構成に対して回転しており、遠方部分20が被加工物Pの上に張り出した状態に位置している(図4)。
【0072】
弾性補償手段16のおかげで溝14及び係合要素15の摩耗を補償することが可能な回転/並進手段14、15、16の最大動作精度によって、クランプ要素19、20が動作構成に移行するときの関連付けの問題を回避するように、中間構成において第1の案内表面22及び第1の接触表面23が完全に揃うようにすることができる。
【0073】
中間構成にいったん到達すると、油圧シリンダ3、4、5の内部の加圧された油圧流体の供給が継続し、ロッド8、9は第2の伸長13に沿ってベース胴体2の内側を摺動する。
【0074】
第2の伸長13に沿ったロッド8、9の運動中に、クランプ要素19、20は、中間構成から、遠方部分20が被加工物Pに置かれ、被加工物Pを工作機械Mにロックする動作構成にシフトする(図5)。
【0075】
説明した発明が意図した目的を達成することが実際に判明した。
【0076】
この点について、本発明のような角柱状案内胴体を提供する具体的な解決策によって、本発明の装置が工作機械上で機械加工される被加工物を一切変形させずに安定してロックするのに使用されることが強調される。
【0077】
動作構成において、実際に、曲げ荷重が作用する第1の案内表面のおかげで、クランプ要素/ロッド組み立て品の曲がる程度が非常に減少する。
【0078】
したがって、機械加工中の被加工物に伝達される応力は、劇的に減少し、クランプ要素の曲がりによる応力を受けない被加工物を非常に小さい公差で機械加工することができる。
【0079】
さらに、動作構成中でも、ねじり荷重が作用する可能性のある第1の案内表面及び第2の案内表面の両方のおかげでクランプ要素はトルクをロッドに伝達しない。
【0080】
このように、回転/並進手段が保護されており、それらの正しい動作が長期間保証される;これは、回転/並進手段が損傷した場合には、クランプ要素の安定性、クランプ要素が移動する精度、及び被加工物のロックが損なわれ、機械加工中の振動の原因が増すので非常に重要である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6