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特許7038080電気刺激の時間パターンに基づいて脊髄刺激を施すシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】電気刺激の時間パターンに基づいて脊髄刺激を施すシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
A61N1/36
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019106026
(22)【出願日】2019-06-06
(62)【分割の表示】P 2016501841の分割
【原出願日】2014-03-13
(65)【公開番号】P2019162508
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2019-06-07
(31)【優先権主張番号】61/779,554
(32)【優先日】2013-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/779,632
(32)【優先日】2013-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】グリル,ワレン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ティアン
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊髄刺激(SCS)の最適化された時間パターンを識別するシステムであって、
所定の性能基準に基づく最適化アルゴリズムを使用して、SCSの複数の非定期的時間パターンを生成し、前記非定期的時間パターンは、連続したパルス間隔であり、前記所定の性能基準は、前記刺激の有効性及び前記刺激の効率の少なくとも一方から決定され、
脊髄ニューロンのネットワークを表す計算モデル内の少なくとも1つのモデルニューロンの発射率または発射パターンと、前記脊髄ニューロンに対するSCSの効果とを使用して、有効性最適化のためのSCSの前記複数の非定期的時間パターンを評価し、
平均刺激周波数を使用して、効率最適化のためのSCSの前記複数の非定期的時間パターンを評価し、前記平均刺激周波数は、前記刺激パルス反復周波数の平均値であり、
有効性最適化のためのモデルニューロン活動の最適化された発射率または発射パターンと、効率最適化のための最適化された刺激周波数とをもたらす、SCSの少なくとも1つの候補の非定期的時間パターンを識別する、
ように構成された少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを備える、
システム。
【請求項2】
識別されたSCSの前記少なくとも1つの候補の非定期的時間パターンを適用するために、標的神経組織領域と電気的に連通している少なくとも1つの電極を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、
有効性最適化のためのモデルニューロン活動の発射率または発射パターンと、効率最適化のために最適化された刺激周波数とを最適化するための費用関数を生成し、
刺激の有効性及び効率の異なる重み付けされた組み合わせとして前記費用関数を調整し、前記刺激の有効性はモデルニューロン活動の前記パターン及び速度から決定され、前記刺激の効率は前記平均刺激パルス反復周波数から決定され、
前記費用関数に基づいて、SCSの前記少なくとも1つの候補の非定期的時間パターンを選択する、ように構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、
適用される前記非定期的時間パターンを変更し、
適用される前記非定期的時間パターンを変更しながら、前記費用関数の閾値が得られるときを判断し、
前記閾値が得られたときに適用される前記非定期的時間パターンが、有効性最適化のためのモデルニューロン活動の最適化された発射率または発射パターンおよび効率最適化のための最適化された刺激周波数をもたらす1つまたは複数の前記非定期的時間パターンであると判定する、ように構成された、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、
有効性最適化のためのモデルニューロン活動の発射率または発射パターンの尺度として、広ダイナミックレンジ(WDR)ニューロンの前記計算モデルの出力を使用する、ように構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、
効率最適化のための前記刺激周波数の代わりとして、前記計算モデルにおいて脊髄刺激(SCS)刺激周波数を使用する、ように構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、
識別されたSCSの前記少なくとも1つの候補の非定期的時間パターンを選択するための費用関数を生成する、ように構成された、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、
検索ヒューリスティックを使用して、有効性最適化のためのモデルニューロン活動の前記最適化された発射率または発射パターンと、効率最適化のための最適化された刺激周波数とをもたらす、SCSの前記少なくとも1つの候補の非定期的時間パターンを決定する、ように構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記検索ヒューリスティックは、遺伝的アルゴリズム法、勾配降下法、及びシミュレーテッドアニーリング法のうちの1つを含む、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、
SCSの識別された前記少なくとも1つの候補の非定期的時間パターンに基づいて、対象者に脊髄刺激を与えるように、パルス生成器および1つまたは複数の電極を制御する、ように構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
SCSの前記少なくとも1つの候補の非定期的時間パターンを対象者の標的神経組織領域に適用するように、前記パルス生成器および前記1つまたは複数の電極を制御するように構成された、脊髄刺激(SCS)装置、を備える、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記SCS装置は、
識別された前記少なくとも1つの候補の非定期的時間パターンを、前記対象者の脊柱神経線維、後根、後根神経節、又は末梢神経のうちの少なくとも1つの部分母集団に適用するように構成された、
請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年3月13日に出願された「脊髄刺激を最適化するシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR OPTIMIZING SPINAL CORD STIMULATION)」という名称の米国仮特許出願第61/779,554号明細書の利益を主張するものであり、この仮特許出願の開示内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本明細書で開示される主題は、脊髄刺激に関し、より詳細には、電気刺激の時間パターンに基づいて脊髄刺激(SCS:spinal cord stimulation)を施すことに関する。
【背景技術】
【0003】
SCSは、運動(例えば、身体リハビリテーション)療法、薬物療法、及び外科療法が効果的ではなかった場合、慢性的な痛みを管理する実行可能な手段として登場した。しかし、1974年から1991年の間、研究によれば、SCSの臨床的成功は大きなばらつきがあり、平均54.2%、標準偏差20%であり、続く研究によって示された改善は極僅かであった。SCSの臨床有効性を改善する努力は、より空間的に選択的な電極の開発に焦点が合わせられてきたが、後角痛処理回路内のニューロンの活動へのSCSの時間パターニング又はSCSの効果については最小限しか注目されてこなかった。SCSに進展はあったが、SCSを最適化する改善された技法及びシステムに対する必要性が引き続き存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電気刺激の時間パターンに基づいて脊髄刺激(SCS)を施すシステム及び方法が開示される。一態様によれば、方法は、ワイドダイナミックレンジ(WDR)ニューロンの計算モデルを使用して、有効性最適化及び効率最適化のうちの一方に関して、所定のWDRニューロン出力及び刺激活動を生じさせる1つ又は複数の非定期的時間パターンを決定することを含む。本方法は、非定期的時間パターンのうちの決定される1つ又は複数に基づいて、対象者に脊髄刺激を施すことも含む。
【0005】
本主題の上記態様及び他の特徴は、添付図面に関連して行われる以下の説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の実施形態による、人間対象者の標的神経組織を刺激するシステムの解剖学的図である。
図2】本開示の実施形態による、SCSの方法の一例のフローチャートである。
図3】本開示の実施形態による、SCSの最適時間パターンのモデルベース設計の方法の一例のフローチャートである。
図4】本開示の実施形態による、SCSの最適時間パターンのモデルベース設計及び評価についての計算モデルの一例の概略図である。
図5A】乃至
図5B】末梢一次求心性線維での活動のパターンを示すグラフを示す。
図6】本開示の実施形態による、実験的実行の一例の時系列である。
図7】均一な1Hz末梢入力と、神経腫からの入力に類似するランダム入力とに応答して、遺伝的アルゴリズムベースのSCS最適化に使用される刺激パターンの初期及び最終的母集団を示すプロットである。
図8】1Hz末梢入力及びランダム入力から生成されるグラフを示す。
図9】1Hz末梢入力及びランダム末梢入力中、SCSを使用して、最良、中間、及び最悪ランクの刺激パターン並びに同等の周波数での固定周波数制御刺激が適用された場合のWDRニューロン発射周波数を示すグラフを示す。
図10】1Hz末梢入力及びランダム末梢入力中、遺伝的アルゴリズムの全世代での最良、中間、及び最悪刺激パターンの平均刺激周波数を示すグラフを示す。
図11】1Hz末梢入力及びランダム末梢入力中の遺伝的アルゴリズムの全世代での最良、中間、及び最悪刺激パターンと、同等の固定周波数刺激との性能比較を示すグラフを示す。
図12】パルス間隔が時間的に一定である定期的な一定周波数刺激列と、パルス間隔が時間的に変動する非定期的時間刺激パターンの例との図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の原理の理解を促進する為に、これより、様々な実施形態を参照し、特定の用語を使用して様々な実施形態を説明する。それにも関わらず、本開示の範囲の限定がそれにより意図されず、本明細書に示されるような本開示のそのような変更形態及び更なる変形形態が、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するものとして考えられることが理解されよう。
【0008】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語のうちの1つ又は2つ以上(即ち、少なくとも1つ)を指す為に使用される。例として、「1つの要素(an element)」は、少なくとも1つの要素を意味し、2つ以上の要素を含むことができる。
【0009】
本明細書で使用される場合、「対象者」及び「患者」という用語は、本明細書において同義で使用され、人間及び人間以外の動物の両方を指す。本開示の「人間以外の動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、人間以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、は虫類等のほ乳類及び非ほ乳類を含む。本明細書に提供される例では、対象者は、脊髄刺激を必要としている人間の患者である。
【0010】
本明細書で使用される場合、「神経疾患」という用語は、脳神経系及び/又は神経系に関連する任意の病態を指す。例としては、慢性及び急性神経障害痛、片頭痛、外傷等を含む痛みが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「痛み」という用語は、身体的不快さ(例えば、チクチク感、ズキズキ感、うずき等)を特徴とし、通常、個人による回避行動に繋がる、むき出しの神経終末が受け取る、侵害刺激によって誘導される基本的な肉体感覚を指す。本明細書で使用される場合、痛みという用語は、慢性及び急性神経障害痛も含む。「慢性痛」及び「慢性神経障害痛」という用語は、同義で使用され、神経線維自体がダメージを受けるか、機能不全であるか、又は損傷し得る、通常は組織損傷が付随する複雑で慢性的な痛みの状態を指す。これらのダメージを受けた神経線維は、不正確な信号を他の痛みの中枢に送る。神経線維損傷の影響は、損傷部位及び損傷周囲部位の両方での神経機能の変更を含む。慢性神経障害痛は多くの場合、明白な原因を有さないように思われるが、幾つかの一般的な原因として、アルコール依存症、切断、背中、脚、及び臀部の問題、化学療法、糖尿病、顔面神経の問題、HIV感染又はAIDS、多発性硬化症、帯状疱疹、脊髄損傷等を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、神経障害痛は幻肢症候群を含み得、この症候群は、腕又は脚が病気又は損傷によって取り除かれたが、脳がなお、欠損した四肢からのインパルスを元々伝達していた神経から痛みのメッセージを受け取る場合に生じる。
【0011】
本明細書で言及される場合、「施す」という用語は、電気インパルス/信号/周波数を対象者に送達し、それにより、神経、神経線維、又は神経線維群に刺激を生じさせることを指す。例えば、電気インパルス/信号/周波数は、例えば、脊柱神経線維の部分母集団等の標的神経組織領域と電気的に連通する1つ又は複数の電極の使用によって適用し得る。他の例では、標的神経組織領域は、後根、後根神経節、末梢神経等を含み得る。
【0012】
別段のことが定義される場合を除き、本明細書で使用される全ての技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0013】
本開示の実施形態によれば、SCSを最適化するシステム及び方法が開示される。システムは、ヒューリスティック(遺伝的アルゴリズム)を使用して、脊髄からの侵害情報の伝送を抑制するようにSCSの時間パターニングを最適化することにより、SCSを最適化し得る。一例では、システムはパルス生成器を備え得、パルス生成器は、対象者の標的神経組織に送達される電気信号を生成するように構成される。システムは、パルス生成器の出力と電気的に連通する1つ又は複数のSCS電極を含むこともできる。接点は、標的神経組織に接触して配置し得る。例えば、接点は、脊柱神経線維の1つ又は複数の部分母集団と電気的に連通するように配置し得る。システムのコントローラは、標的神経組織が刺激されるよう複数の周波数のSCSを電極に与えるように、パルス生成器を制御し得る。システムは、刺激パターン及び費用関数を生成するように構成し得る。システムは、刺激パターンを生成するステップと、費用関数を生成するステップとを繰り返し得る。一例として、費用関数は、一定であってもよく、又はSCS装置の移植前に臨床医によって決定してもよい。更に、システムは、低ワイドダイナミックレンジ(WDR)ニューロン出力と、低刺激周波数との組み合わせを優先する費用関数を有するパターンを選択し得る。パターン選択に続き、コントローラは、選択されたパターンに基づいて最適なSCSを生成して施し、それにより、WDRニューロンの活動を抑制し得る。幾つかの実施形態では、ステップは、生成されたパターンを使用して繰り返し、それにより、最適化されたパターンを提供する。他の実施形態では、ステップは、指定数の世代又は最良(最適)解の費用関数(適合度)についての閾値に達するまで、反復して継続し得る。
【0014】
図1は、本開示の実施形態による、人間対象者の標的神経組織を刺激するシステムの解剖学的図である。対象者は、慢性痛等の神経疾患を有し得る。図1を参照すると、システムは、SCS装置100と、電気コード102と、全体的に104として示される電極アレイとを含む。システムは、対象者に移植されているものとして示される。特に、電極アレイ104は、対象者の脊柱108の硬膜上腔106内に動作可能に位置決めされる。電極アレイ104は、例えば、脊柱110に沿った刺激の標的である神経の部位に位置決めされる。代替的には、電極アレイ104は、標的神経組織の所望の電気刺激の為の任意の他のロケーションに適宜位置決めし得る。コード102は、異なる又は同じ電気信号を電極アレイ104の接点に提供することができるような複数の線又は線維を含み得る。SCS装置100は、腹部又は臀部内への移植等であるが、これらに限定されない対象者内に適宜移植し得る。電気コード102は、SCS装置100の出力を電極アレイ104に動作可能に接続し得る。
【0015】
SCS装置100は、コントローラ112と、パルス生成器114とを含み得る。コントローラ112は、本明細書に記載される機能を実装するハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、コントローラ112は、1つ又は複数のプロセッサ及びメモリによって実装し得る。コントローラ112は、パルス生成器114に動作可能に接続して、パルス生成器114を制御して、標的神経組織に電気刺激のパターンを適用する為の電気信号を生成し得る。出力信号は、電気コード102によって受信し、電極アレイ104に伝えられ、標的神経組織を電気的に刺激し得る。SCS装置100は、コントローラ112及びパルス生成器114に電力を供給する、電池等の電源116を含み得る。
【0016】
本システムは、対象者内に移植されていない外部計算装置118を含むこともできる。計算装置は、任意の適する通信リンク(例えば、有線、無線、又は光学通信リンク)を介してSCS装置100と通信し得る。通信リンクは、電池の再充電に役立つこともできる。計算装置118は、本明細書に記載される機能を実装するハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、計算装置118は、1つ又は複数のプロセッサ及びメモリを含み得る。臨床医は、計算装置のユーザインタフェースと対話して、各電極接点を介して各部分母集団に適用されるアクティブな電極、刺激パルス振幅、刺激パルス持続時間、刺激パターン(パルス反復周波数を含む)等を含め、移植されたパルス生成器114の出力をプログラミングし得る。
【0017】
更に、本開示の実施形態によれば、計算装置118は、所定のWDRニューロン出力及び刺激活動を生じさせる1つ又は複数の非定期的時間パターンを決定し得る。計算装置118は、SCS装置100に時間パターンを与える情報を通信し得、次に、SCS装置100は、電気刺激の非定期的時間パターンを対象者の標的神経組織に適用し得る。
【0018】
患者は、計算装置118のユーザインタフェースと対話することもできる。この実施形態では、患者は、1組の予めプログラムされる刺激パラメータセットの中から選択する為のユーザインタフェースと対話し得る。これらのセットは、臨床医によってプログラム又は他に設定し、コントローラ112に記憶し得る。
【0019】
図2は、本開示の実施形態によるSCSの方法の一例のフローチャートを示す。方法例は、図1に示されるシステム及び構成によって実施されるものとして説明されるが、本方法を、代替として任意の他の適する構成で任意の他の適するシステムによって実施してもよいことを理解されたい。
【0020】
図2を参照すると、方法は、所定のWDRニューロン出力及び刺激活動を生じさせる非定期的時間パターンの1つ又は複数を決定すること(204)を含む。所定のWDRニューロン出力は、生物学的WDRニューロンをモデリングする為の入力を有する計算モデルで実施されるシミュレーションでのモデルWDRニューロンの出力を含み得るが、これに限定されない。この意味では、モデルWDRニューロンの出力は、患者の痛み(即ち、有効性)の代理として使用することができる。一例では、計算装置118は、WDRニューロン出力及び刺激活動を最適化する費用関数を生成し利用し得る。更に、計算装置118は、費用関数に基づいて非定期的時間パターンの1つ又は複数を選択し得る。更に、一例では、計算装置118は、時間パターンを変更し、時間パターンを変更しながら費用関数の閾値が得られるときを特定し得る。この例を続けると、計算装置118は、閾値が得られるときに適用される時間パターンが、所定のWDRニューロン出力及び刺激活動を生じさせる非定期的時間パターンであると判断し得る。この時間パターンは、全ての他の適用される時間パターンの中から、最低のWDRニューロン出力及び最低刺激活動を提供する時間パターンであると判断し得る。本明細書で参照される場合、「有効性」という用語は、モデルWDR活動の最小化(即ち、痛み低減の代理)を指す。本明細書で参照される場合、「効率」という用語は、低い又は可能な限り低い装置刺激周波数(即ち、節電)を指す。
【0021】
時間パターンを決定する一例では、時間パターンは、検索ヒューリスティックを使用して、所望のWDR神経及び刺激活動を生じさせるパターンを決定することによって決定し得る。検索ヒューリスティックは、遺伝的アルゴリズム法、勾配降下法、シミュレーテッドアニーリング法等を利用し得る。
【0022】
図2の方法は、非定期的時間パターンのうちの決定される1つ又は複数に基づいて、対象者に脊髄刺激を施すこと(202)を含む。上記例を続けると、計算装置118は、SCS装置100に時間パターンを通信し得る。コントローラ112は、所定のWDRニューロン出力及び刺激活動を生じさせた時間パターンを使用するように、パルス生成器114を制御し得る。これは、全ての他の適用される時間パターンの中の最低WDRニューロン出力及び最低刺激活動を生じさせた時間パターンであり得る。
【0023】
実施形態によれば、コントローラ112は、脊柱神経線維への電気刺激の非定期的時間パターンを生成する電気信号を生成するよう、パルス生成器114を制御するように構成し得る。これらは、計算装置118によって提供される時間パターンであり得る。電極アレイ104の1つ又は複数の接点は、脊柱神経線維の1つ又は複数の部分母集団に電気刺激を適用するように、電気的に連通して所定の位置に配置し得る。電気刺激のパターンは、複数の異なる周波数を異なるタイミングで適用し得る。更に、例えば、パターンは、互いの倍数である異なる周波数で適用し得る。電気刺激のパターンは、刺激の定期的時間パターン(即ち、一定パルス間隔)又は刺激の非定期的時間パターン(即ち、時間変化するパルス間隔)を含み得る。
【0024】
図2の方法は、非定期的時間パターンのうちの決定される1つ又は複数に基づいて、対象者に脊髄刺激を施すこと(206)を含む。上記例を続けると、コントローラ112は、所定のWDRニューロン出力及び刺激活動を生じさせた時間パターンを使用するようにパルス生成器114を制御し得る。これは、全ての他の適用される時間パターンの中の最低WDRニューロン出力及び最低刺激活動を生じさせた時間パターンであり得る。
【0025】
実施形態によれば、本明細書に開示されるシステムは、異なる出力チャネルを通したSCS電極の異なる接点への複数の周波数のSCSの送達を制御するアルゴリズムを実装し得る。アルゴリズムは、脳への侵害情報の伝送を担当するモデル後角WDR投射ニューロンの出力を使用して、刺激がこれらのWDRニューロンの活動を可能な限り大きく、且つ可能な限り低い周波数に抑制するように、SCS中に送達される刺激の時間パターンを最適化し得る。例えば、図4に示される計算モデルを利用し得る。更に、WDR活動(有効性)の低減と刺激周波数(効率)の低減との相対的重要性は、式(1)(C=10F+S)中のF及びSの重みを変更して、最適化された刺激パターンの群を生成することによって制御することができる。最適化は、最適な刺激パターンが、幾つかの反復又は「世代」にわたって生成されて評価される遺伝的アルゴリズム等の検索ヒューリスティックを使用して行われる。
【0026】
図3は、本開示の実施形態によるSCSの最適時間パターンのモデルベース設計の方法の一例のフローチャートを示す。方法例は、例えば、図1に示される計算装置118によって実施し得るが、代替的に、方法が任意の他の計算装置又はシステムで実施し得ることを理解されたい。テストすべき各刺激パターンは、刺激が各ビットで表される時間間隔にわたってオンであるか、それともオフであるかを表す一連のビットを含む「遺伝子」として表し得る。図3を参照すると、方法は、一連のビット(0及び1)を使用して1組のランダム時間パターンを生成すること(300)を含む。
【0027】
図3の方法は、パターンセットを使用して刺激を患者に送達すること(302)も含む。更に、方法は、WDRニューロン活動(有効性)及びSCS平均周波数(効率)を使用して、パターンの「適合度」を特定すること(304)を含む。刺激は、前に確立された時間期間中の可能なパターンセット内の各パターンによって表されるビットストリームに従って発生させることができ、その後、パターンの「適合度」を評価することができる。
【0028】
図3の方法は、次世代に残す最良のパターンを選択すること(306)を含む。更に、方法は、適合度に基づいて前世代での「親」パターンを交叉させて、「子」パターンを生成すること(308)と、「移住個体」ランダムパターン及び点突然変異を「子」に追加して、新世代を生成すること(310)とを含む。特に、例えば、低WDRニューロン出力及び低刺激周波数の組み合わせを優先する費用関数によって決定される最良パターンを保持することができ、異なる生き残りパターンの遺伝子を交叉させて、将来の試行への「子孫」パターンを生成し得る。更に、最適解への収束促進を目的として、変動性を刺激パターンに導入する為に、点突然変異は、パルス列を定義する「子孫」内の要素に断続的に適用し得、ランダム生成されるビットシーケンス(パターン)を有する「移住個体」は、次世代を表す母集団内に散りばめられる。方法は、指定数の世代に達するか、又は最適(最良)解の費用関数(適合度)の閾値に達するまで、ステップ302~310のループ内で反復して継続し得る。最適化が完了した後、アルゴリズムによって最適であると考えられる刺激パターンのみが患者に送達される。最適化アルゴリズムは、オン及びオフをトグルで切り換えてもよく(例えば、調査中の医師による更新)、又は不定の終点に伴って継続するように設定されてもよい。方法は、将来、患者に使用する為に、最適なパターンを保存すること(312)を含み得る。
【0029】
図4は、SCSの最適時間パターンのモデルベースの設計及び評価の計算モデルの一例の概略図を示す。図4を参照すると、計算モデルは、接続されて、後角痛処理ネットワークを表す生物物理学的ニューロンネットワークを含み得る。モデルへの入力は、末梢からの情報を伝達する30A及び30C一次求心性線維を含み、SCSは、A線維を介してネットワークに送達されて、脊柱線維活性化を刺激し得る。複数のA/C線維及び興奮性介在ニューロンを使用して、ニューロン活動への時間的合算の効果を説明すると共に、変動性を入力に追加し得る。更に、末梢又は脊柱神経線維からの現実的な信号伝搬をシミュレートする為に、A線維及びC線維の伝導速度に基づく伝搬遅延を全てのシミュレーションの全ての入力に組み込み得る。SCS電極は、末梢源としての脊柱ネットワークからの距離の20%であると仮定し得る。図4では、「IN」ノードは抑制介在ニューロンを表し、「EX」ノードは興奮性介在ニューロンを表し、「WDR」ノードはWDR発射ニューロンを表す。シナプス400は興奮接続部を示す。シナプス402は抑制接続部を示す。最適化アルゴリズムを使用するSCSは、A線維入力を介して送達し得る。
【0030】
計算実験が図6に示されるように行われ、図6は、実験的実行例の時系列を示す。図6を参照すると、SCSは、短いモデル初期化期間と、一定の1Hz又は生きた標本の神経腫から記録されたものと同様のランダム入力のいずれかを使用する15秒の調整刺激とに続き、送達し得る。出力を追跡し得、遺伝的アルゴリズムを図3に示されるように進め得る。より詳細には、1秒のシミュレーション時間を経過させ、それにより、モデルを初期化することができ、全ての線維にわたって同期された一定の1Hzパルス列又は特徴が末梢神経腫の発射挙動からとられるものに一致するポアソンプロセスに基づくランダムスパイク列のいずれかを含む末梢感覚入力(図5A及び図5B参照)が次に、15秒間、送達された。図5A及び図5Bは、末梢一次求心性線維での活動のパターンを示すグラフを示す。代表的な均一1Hz入力は図5Aに示され、神経腫を表すランダム入力は図5Bに示される。図5A及び図5Bでは、全ての線維入力(y軸、A線維及びC線維で分けられる)で、5秒間隔(x軸)がそれぞれ示されている。グラフ上の各黒点は、スパイクが、モデルへの対応する入力によって示される時点を表す。図5Bでは、A線維入力の30%がバースト挙動を示す。所与の世代内でテストされる各時間刺激パターン(生物)の1秒反復を使用したSCSを、次の5秒間、送達し、その間、モデルWDRニューロンの出力を記録した。現在のSCSプロトコルは固定周波数刺激を使用する為、1Hz~200Hzの一定周波数SCSに応答してのWDRニューロンの出力及び費用関数を決定する1組の固定周波数コントロール(FFC)も、比較の為に実行した。
【0031】
50世代にわたり、遺伝的アルゴリズムを繰り返し、第一世代は25のランダムに生成された生物を含み、各生物は、SCSパルスを所与の1秒間隔にわたって送達し得る間の1ミリ秒ビンを表す1000「ビット」を含み、5秒刺激期間中の全体的なSCSパルス列を、所与のパターンの5つの連続繰り返しから構築した。式(1)C=10F+Sに示されるように、5秒SCS間隔中のWDRニューロンの平均周波数(F)と生物を使用したSCSの平均周波数(S)との加重和を使用して、各刺激パターンの費用関数Cを各刺激実行後に特定した。
【0032】
理想的な刺激列は、最小WDRニューロン応答を生じさせながら、低平均周波数を有し得、従ってより低い費用をもたらす(即ち、Cを最小化する)刺激パターンがより適合すると見なされた。初期適合度評価に続き、前世代からの5つの最も良く適合する(最も低い費用関数の)「生き残り」と、5つのランダムに生成される「移住個体」と、前世代での2つの生物(パターン)からの遺伝子交叉から生成される15の「子」とを使用して、続く各世代を構築した。前世代での全てのパターンはこれらの子孫で表すことができるが、適合度の高いパターンほど、適合度の低い生物よりも、これらの交叉で表される確率が高かった。これらの原理を示す世代1~50の全母集団は図7に示され、図7は、均一な1Hz末梢入力(図7の左側)及び神経腫からのものに類似するランダム入力(図7の右側)に応答したSCSの遺伝子アルゴリズムベースの最適化に使用される刺激パターンの初期母集団及び最終的母集団を示すプロットを示す。図7を参照すると、各行は刺激パターンであり、各黒線は、刺激パルスを刺激器によって送達し得る時点を表す。世代50の母集団では、700で全体的に示される線は、前世代からの最も適合度の高い生き残り(即ち、最も低い費用関数を有するパターン)を示す。全体的に702で示される線は、ランダム生成された移住個体を示す。更に、全体的に704で示される線は、前世代からのパターンの交叉からの子孫を示す。
【0033】
本開示の実施形態による最適化方法を使用して、痛みの計算モデルを使用するプロトタイプアルゴリズムのテストを通す同等の定期的周波数刺激と比較して、モデルWDRニューロン挙動の抑制においてより効果的なSCSの独自の時間パターンを設計し得る。
【0034】
実施形態によれば、モデルベースの最適化アルゴリズムの過程にわたり、各世代の最良パターンの全体的な「適合度」は、非ランダム及びランダム末梢入力の両方が計算モデルに適用された場合、単調改善を示した。例えば、図8は、1Hz末梢入力及びランダム入力から生じるグラフを示す。特に、グラフは、1Hz中(左側のグラフ)及びランダム末梢入力中(右側のグラフ)の遺伝子アルゴリズムにわたる各世代内の刺激の最良、中間、及び最悪時間パターンの未処理費用関数スコアを示す。1Hz末梢入力の場合、式(1)を使用して計算された最良パターンの適合度を表す費用は、309から165に低減した。ランダム末梢入力の場合、式(1)を使用して計算された最良パターンの適合度を表す費用は、431から285に低減した。費用のこの低減は、最初の世代及び最後の世代のそれぞれからの最良パターンを使用した刺激中(図9参照)、1Hz入力の場合における30.0Hzから15.0Hzへの、及びランダム入力の場合での40.8Hzから25.4Hzへの、モデルでのWDR発射ニューロンの発射周波数低減を浮き彫りにした。更に、最良パターンを使用した刺激中のWDR活動は、1Hz末梢入力送達時及びランダム末梢入力送達時の両方で、SCSが計算モデルに送達されなかったコントロール刺激と比較して、一貫して抑制された。この結果は、モデルベースの最適化アルゴリズムが、ランダム生成される初期母集団と比較して、漸次的により効率的なSCS時間パターンを生成することが可能であることを示す。
【0035】
図9は、1Hz末梢入力(左)及びランダム末梢入力(右)中、SCSを使用して最良、中間、及び最悪ランクの刺激パターン(上)及び同等の周波数での固定周波数コントロール(FFC)刺激(下)が適用された場合のWDRニューロン発射周波数を示すグラフを示す。点線は、SCSが適用されない場合のWDRニューロンの平均発射周波数を表す。
【0036】
最良生物で表される平均SCS周波数は比較的一定のままであり、最良生物の同等のSCS周波数のみが、1Hz末梢刺激中には9Hzから15Hzに、ランダム末梢刺激中は23Hzから31Hzに変化した。例えば、図10は、1Hz末梢入力(左)及びランダム末梢入力(右)中の遺伝的アルゴリズムの全世代での最良、中間、及び最悪刺激パターンの平均刺激周波数を示すグラフを示す。遺伝的アルゴリズムによって生成されるパルス列が、同等の固定周波数SCSよりも良好な性能であったか否かを評価する為に、最良に設計された(非定期的)刺激パターンの同等周波数での一定周波数刺激を使用したSCSの適合度を、設計されたパターンそれ自体の適合度と比較した。50世代後、定期的末梢刺激の場合及びランダム末梢刺激の場合の両方の最良設計パターンは、式(1)により、同等の固定周波数コントロールよりも良好な性能(より低い費用)をもたらした(ΔC=-184、1Hz;ΔC=-66、ランダム;図11)。刺激周波数は同じである為、性能のこの改善(費用の低減)は、設計されたパターンによるWDRニューロン活動の抑制がより大きい(18.4Hz、1Hz;6.6Hz、ランダム)ことのみに起因する。従って、最適化アルゴリズムの終わりでの設計パターンは、現在のSCSで使用されるような一定周波数刺激よりも、侵害情報の伝送を抑制することにおいてより効果的であることが示される(図9B及び図10)。
【0037】
図11は、1Hz末梢入力(左)及びランダム末梢入力(右)中の遺伝的アルゴリズムの全世代での最良、中間、及び最悪刺激パターンと、同等の固定周波数刺激との性能比較を示すグラフを示す。正のΔ費用は、固定周波数刺激が刺激パターンよりも良好な性能であったことを示し、一方、負のΔ費用は、刺激パターンが固定周波数刺激よりも良好な性能であったことを示す。
【0038】
図12は、パルス間隔が時間的に一定である定期的な一定周波数刺激列と、パルス間隔が時間的に変動する非定期的時間刺激パターンの例とを示す。
【0039】
本主題は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であり得る。コンピュータプログラム製品は、本主題の1つの態様をプロセッサに実行させるコンピュータ可読プログラム命令を有する1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0040】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置による使用の為に命令を保持し記憶することができる有形装置であることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、又は上記の任意の適する組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非排他的なリストは、以下を含む:ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピー(登録商標)ディスク、命令が記録されたパンチカード又は溝内の隆起構造体等の機械的符号化装置、及び上記の任意の適する組み合わせ。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用される場合、電波又は他の自由伝搬電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通る光パルス)、又はワイヤを通って伝送する電気信号等のそれ自体が一過性の信号であるものとして解釈されるべきではない。
【0041】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から各計算/処理装置に、又はネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して外部コンピュータ若しくは外部記憶装置にダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光学伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、交換機、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含み得る。各計算/処理装置内のネットワークアダプタカード又はネットワークインタフェースは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、コンピュータ可読プログラム命令を各計算/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶する為に転送する。
【0042】
本主題の動作を実行するコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はジャバ(Java)(登録商標)、スモールトーク(Smalltalk)、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ若しくは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード若しくはオブジェクトコードのいずれかであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、全体的にユーザのコンピュータで、部分的にユーザのコンピュータで、独立したソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ及び部分的にリモートコンピュータで、又は全体的にリモートコンピュータ若しくはサーバで実行し得る。全体的にリモートコンピュータ又はサーバで実行される状況では、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含め、任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続し得、又は接続は、外部コンピュータに対して行い得る(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通して)。幾つかの実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行して、電子回路を個人化し、本主題の態様を実行し得る。
【0043】
本主題の態様は、本主題の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して本明細書で説明されている。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック及びフローチャート図及び/又はブロック図内のブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラム命令によって実施可能であることが理解されよう。
【0044】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供して、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックに指定される機能/動作を実施する手段を生成するような機械を生成し得る。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックに指定される機能/動作の態様を実施する命令を含む製品を備えるよう特定の方法で機能するように、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他の装置に指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶することもできる。
【0045】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他の装置にロードして、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他の装置で実行させて、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他の装置で実行される命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックに指定される機能/動作を実施するようなコンピュータ実施プロセスを生成することもできる。
【0046】
図中のフローチャート及びブロック図は、本主題の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能を実装する1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又は命令の部分を表し得る。幾つかの代替の実装形態では、ブロックに記される機能は、図に記される順序以外の順序で行われ得る。例えば、関わる機能に応じて、連続して示される2つのブロックは、実際には、略同時に実行されてもよく、又はそれらのブロックが逆の順序で実行されてもよいことがある。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック及びブロック図及び/又はフローチャート図内のブロックの組み合わせが、指定された機能若しくは動作を実行するか、又は専用ハードウェア命令及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実施可能なことにも留意されたい。
【0047】
本明細書で言及される任意の特許又は刊行物は、本主題が関連する技術分野の当業者のレベルを示す。これらの特許及び刊行物は、あたかも個々の各刊行物が特に且つ個々に参照により援用されることが示されるのと同じ程度で、参照により本明細書に援用される。
【0048】
本主題が、目的を遂行し、上述した結果及び利点並びにそれらに固有の結果及び利点を得るように上手く適合されることを当業者は容易に理解されよう。本例は、本明細書に記載される方法と共に、様々な実施形態の現在の代表であり、例示的なものであり、本主題の範囲に対する限定として意図されていない。本例での変更形態及び他の使用は当業者に想到され、それらの変更形態及び他の使用は、特許請求の範囲によって規定される本主題の趣旨内に包含される。
【0049】
〔付記1〕
計算モデルを使用して有効性最適化及び効率最適化のうちの一方に関して、所定のニューロン出力及び刺激活動を生じさせる1つ又は複数の非定期的時間パターンを決定することと、
前記非定期的時間パターンのうちの前記決定される1つ又は複数に基づいて、対象者に脊髄刺激を施すことと、
を含む、方法。
〔付記2〕
電気刺激の前記非定期的時間パターンを対象者の標的神経組織領域に適用することを更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記3〕
前記決定される1つ又は複数の非定期的時間パターンを適用する為に、少なくとも1つの電極を前記標的神経組織領域と電気的に連通させることを更に含む、付記2に記載の方法。
〔付記4〕
電気刺激の非定期的時間パターンを適用することは、電気刺激の前記非定期的時間パターンを、前記対象者の脊柱神経線維、後根、後根神経節、又は末梢神経のうちの少なくとも1つの部分母集団に適用することを含む、付記2に記載の方法。
〔付記5〕
前記非定期的時間パターンのうちの1つ又は複数を決定することは、
ニューロン出力及び刺激出力周波数を最適化する費用関数を生成することと、
ニューロン出力と刺激器出力周波数との所定又は患者固有のバランスに関して前記費用関数を調整することと、
前記費用関数に基づいて、前記非定期的時間パターンのうちの1つ又は複数を選択することと、
を含む、付記2に記載の方法。
〔付記6〕
前記適用される時間パターンを変更することと、
前記適用される時間パターンを変更しながら、前記費用関数の閾値が得られるときを判断することと、
前記閾値が得られるときに適用される前記時間パターンが、所定のニューロン出力及び刺激活動を生じさせる前記非定期的時間パターンのうちの前記1つ又は複数であると判断することと、
を更に含む、付記5に記載の方法。
〔付記7〕
1つ又は複数の非定期的時間パターンを決定することは、ニューロン発射抑制の最大化及び平均刺激周波数の最小化のうちの一方に関して、他のパターンの中から前記1つ又は複数の非定期的時間パターンを選択することを含む、付記1に記載の方法。
〔付記8〕
最適化有効性の測定値として、WDRニューロンの計算モデルの出力を使用することを含む、付記1に記載の方法。
〔付記9〕
最適化有効性の代わりとして、前記計算モデルにおいて脊髄刺激(SCS)刺激周波数を使用することを含む、付記1に記載の方法。
〔付記10〕
前記1つ又は複数の非定期的時間パターンを選択する為の費用関数を生成することを更に含む、付記9に記載の方法。
〔付記11〕
1つ又は複数の非定期的時間パターンを決定することは、検索ヒューリスティックを使用して、前記所定のニューロン出力及び刺激器出力周波数を生じさせる前記1つ又は複数の非定期的時間パターンを決定することを含む、付記1に記載の方法。
〔付記12〕
前記検索ヒューリスティックを使用することは、遺伝的アルゴリズム法、勾配降下法、及びシミュレーテッドアニーリング法のうちの1つを使用することを含む、付記11に記載の方法。
〔付記13〕
少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを備え、前記少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、
少なくとも1つのニューロンの計算モデルを使用して、有効性最適化及び効率最適化のうちの一方に関して、所定のニューロン出力及び刺激活動を生じさせる1つ又は複数の非定期的時間パターンを決定することと、
前記非定期的時間パターンのうちの前記決定される1つ又は複数に基づいて、対象者に脊髄刺激を施すパルス生成器及び1つ又は複数の電極を制御することと、
を実行するように構成される、システム。
〔付記14〕
電気刺激の前記非定期的時間パターンを対象者の標的神経組織領域に適用するよう前記パルス生成器及び前記1つ又は複数の電極を制御するように構成される脊髄刺激(SCS)装置を更に備える、付記13に記載のシステム。
〔付記15〕
前記標的神経組織領域と電気的に連通して、前記決定される1つ又は複数の非定期的時間パターンを適用する少なくとも1つの電極を更に備える、付記13に記載のシステム。
〔付記16〕
前記SCS装置は、電気刺激の前記非定期的時間パターンを、前記対象者の脊柱神経線維、後根、後根神経節、又は末梢神経のうちの少なくとも1つの部分母集団に適用するように構成される、付記13に記載のシステム。
〔付記17〕
前記少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、
前記ニューロン出力及び刺激出力周波数を最適化する費用関数を生成することと、
ニューロン出力と刺激器出力周波数との所定又は患者固有のバランスに関して前記費用関数を調整することと、
前記費用関数に基づいて、前記非定期的時間パターンのうちの前記1つ又は複数を選択することと、
を実行するように構成される、付記13に記載のシステム。
〔付記18〕
前記少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、
前記適用される時間パターンを変更することと、
前記適用される時間パターンを変更しながら、前記費用関数の閾値が得られるときを判断することと、
前記閾値が得られるときに適用される前記時間パターンが、所定のニューロン出力及び刺激活動を生じさせる前記非定期的時間パターンのうちの前記1つ又は複数であると判断することと、
を実行するように構成される、付記17に記載のシステム。
〔付記19〕
前記少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、最適化有効性の測定値として、WDRニューロンの計算モデルの出力を使用するように構成される、付記13に記載のシステム。
〔付記20〕
前記少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、最適化有効性の代わりとして、前記計算モデルにおいて脊髄刺激(SCS)刺激周波数を使用するように構成される、付記13に記載のシステム。
〔付記21〕
前記少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、前記1つ又は複数の非定期的時間パターンを選択する為の費用関数を生成するように構成される、付記20に記載のシステム。
〔付記22〕
前記少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、検索ヒューリスティックを使用して、前記所定のWDRニューロン出力及び刺激器出力周波数を生じさせる前記1つ又は複数の非定期的時間パターンを決定するように構成される、付記13に記載のシステム。
〔付記23〕
前記少なくとも1つのプロセッサ及びメモリは、遺伝的アルゴリズム法、勾配降下法、及びシミュレーテッドアニーリング法のうちの1つを使用するように構成される、付記22に記載のシステム。


図1
図2
図3
図4
図5A-5B】
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12