(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】トランスデューサ及びそれを用いた振動提示装置
(51)【国際特許分類】
B06B 1/06 20060101AFI20220310BHJP
H02N 1/00 20060101ALI20220310BHJP
H02N 2/04 20060101ALI20220310BHJP
H01L 41/053 20060101ALI20220310BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20220310BHJP
H01L 41/113 20060101ALI20220310BHJP
H01L 41/047 20060101ALI20220310BHJP
H01L 41/083 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
H02N1/00
H02N2/04
H01L41/053
H01L41/09
H01L41/113
H01L41/047
H01L41/083
(21)【出願番号】P 2019510086
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2018013080
(87)【国際公開番号】W WO2018181641
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2017067921
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017191451
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】中野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 渉
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-261071(JP,A)
【文献】実公昭47-11163(JP,Y2)
【文献】特開2014-72339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/00- 3/04
H02N 1/00- 1/12
H02N 2/00- 2/18
H01L 27/20
H01L 41/00- 41/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第一貫通孔を備える第一電極シートと、
複数の第二貫通孔を備え、前記第一電極シートに対向して配置される第二電極シートと、
少なくとも前記第一電極シートの第一内面と前記第二電極シートの第二内面との間に配置された圧電体シート又は誘電体シートと、
前記第一電極シートの第一外面側を被覆する第一保護シートと、
前記第二電極シートの第二外面側を被覆する第二保護シートと、
を備え、
前記第一保護シートが、前記第一電極シートの前記第一貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着する、
若しくは、
前記第二保護シートが、前記第二電極シートの前記第二貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着する、トランスデューサ。
【請求項2】
前記圧電体シート又は前記誘電体シートは、前記第一電極シート及び前記第二電極シートに非接着で、前記第一電極シートの前記第一内面と前記第二電極シートの前記第二内面との間に配置され、
前記第一保護シートは、前記第一電極シートの前記第一貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着し、且つ、前記第一電極シートの前記第一外面に接着し、
前記第二保護シートは、前記第二電極シートの前記第二貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着し、且つ、前記第二電極シートの前記第二外面に接着する、請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項3】
前記圧電体シート又は前記誘電体シートは、
前記第一電極シートの前記第一内面側に一体的に形成された第一圧電体シート又は第一誘電体シートと、
前記第二電極シートの前記第二内面側に一体的に形成され、前記第一圧電体シート又は前記誘電体シートに接触して配置された第二圧電体シート又は第二誘電体シートと、
を備え、
前記第一保護シートは、前記第一電極シートの前記第一貫通孔を介して前記第二圧電体シート又は前記第二誘電体シートに接着し、且つ、前記第一電極シートの前記第一外面に接着し、
前記第二保護シートは、前記第二電極シートの前記第二貫通孔を介して前記第一圧電体シート又は前記第一誘電体シートに接着し、且つ、前記第二電極シートの前記第二外面に接着する、請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項4】
前記圧電体シート又は前記誘電体シートは、
前記第一電極シートの前記第一内面側及び前記第一外面側に一体的に形成された第一圧電体シート又は第一誘電体シートと、
前記第二電極シートの前記第二内面側及び前記第二外面側に一体的に形成され、前記第一圧電体シート又は前記誘電体シートに接触して配置された第二圧電体シート又は第二誘電体シートと、
を備え、
前記第一保護シートは、前記第一電極シートの前記第一貫通孔を介して前記第二圧電体シート又は前記第二誘電体シートに接着し、且つ、前記第一圧電体シート又は前記第一誘電体シートに接着し、
前記第二保護シートは、前記第二電極シートの前記第二貫通孔を介して前記第一圧電体シート又は前記第一誘電体シートに接着し、且つ、前記第二圧電体シート又は前記第二誘電体シートに接着する、請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項5】
前記圧電体シート又は前記誘電体シートは、前記第一電極シートの前記第一内面側に一体的に形成され、
前記第一保護シートは、前記第一電極シートの前記第一外面に接着し、
前記第二保護シートは、前記第二電極シートの前記第二貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着し、且つ、前記第二電極シートの前記第二外面に接着する、請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項6】
前記圧電体シート又は前記誘電体シートは、前記第一電極シートの前記第一内面側及び前記第一外面側に一体的に形成され、
前記第一保護シートは、前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着し、
前記第二保護シートは、前記第二電極シートの前記第二貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着し、且つ、前記第二電極シートの前記第二外面に接着する、請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項7】
前記第一電極シート及び前記第二電極シートは、導電性布である、請求項1-6の何れか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項8】
前記圧電体シート又は前記誘電体シートの弾性係数は、前記第一電極シート及び前記第二電極シートの弾性係数より大きく、
前記圧電体シート又は前記誘電体シートの弾性係数は、前記第一保護シート及び前記第二保護シートの弾性係数より大きい、請求項1-7の何れか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項9】
前記第一保護シートは、熱溶着可能な材料により形成され、熱が加えられることにより前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着する、
若しくは、
前記第二保護シートは、熱溶着可能な材料により形成され、熱が加えられることにより前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着する、請求項1-8の何れか一項に記載のトランスデューサ。
【請求項10】
複数の第一貫通孔を備える第一電極シートと、
少なくとも前記第一電極シートの第一内面側に配置された圧電体シート又は誘電体シートと、
前記第一電極シートの第一外面側を被覆する第一保護シートと、
を備え、
前記第一保護シートが、前記第一電極シートの前記第一貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着する、トランスデューサ。
【請求項11】
圧電型又は静電型のアクチュエータと、
前記アクチュエータに積層される第一弾性体と、
前記アクチュエータの前記第一弾性体と反対側に積層される第二弾性体と、
前記アクチュエータの周囲に配置される圧電型又は誘電型のセンサと、
前記アクチュエータ、前記第一弾性体、前記第二弾性体により形成されるアクチュエータ積層体を積層方向に圧縮した状態で、且つ、前記第一弾性体及び前記第二弾性体を前記アクチュエータより大きく圧縮させた状態で保持するカバーであり、外部から前記カバーに前記積層方向の押込力が付与された場合に前記押込力を前記センサに伝達すると共に、前記アクチュエータが発生した振動により振動する前記カバーと、
を備え、
前記アクチュエータ及び前記センサの何れか一方は、請求項1-10の何れか一項に記載のトランスデューサである、振動提示装置。
【請求項12】
前記センサは、前記アクチュエータ積層体に積層され、
前記振動提示装置は、前記アクチュエータ積層体及び前記センサに積層され、前記センサにおける前記アクチュエータ積層体と反対側に配置される第三弾性体をさらに備え、
前記カバーは、前記第三弾性体を前記センサより大きく圧縮させた状態で保持する、請求項11に記載の振動提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスデューサ及びそれを用いた振動提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平5-172839号公報には、圧電フィルムと、当該圧電フィルムの両面に配置されるメッシュ状の2枚の電極と、各電極の両外側に板状の剛体からなる2枚の支持板とを備える圧電型振動センサが開示されている。特許第4922482号公報には、紐状の圧電性材料と当該圧電性材料の表面に形成した電極膜とを備える紐状の圧電ファイバを縦糸及び横糸として用いて、織物に形成された圧電性織物デバイスが開示されている。特許第6025854号公報には、2本の導電性繊維及び1本の圧電性繊維が互いに接点を有しつつ、3本の繊維により織物状に形成された圧電素子が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
圧電型又は静電型のトランスデューサは、一対の電極を有する。電極が、貫通孔の存在しないシート状としつつ、柔軟性を有する材料により形成する場合には、電極のコストが高くなるという問題がある。特開平5-172839号公報に記載のように電極シートをメッシュ状に形成することで、電極材料の低コスト化を図ることが可能となる。
【0004】
ところで、トランスデューサは、圧電体シート又は誘電体シートと、その両面に配置された電極シートと、さらにその両外面を被覆する絶縁材からなる保護シートとを備えるものがある。圧電体シート又は誘電体シートと、電極シートとが、接着されるか、若しくは、一体成形され、さらに、電極シートと保護シートとが、接着されるか、若しくは、一体成形される。このように、接着又は一体成形が、圧電体シート又は誘電体シートの片面側に、複数存在する。そこで、接着層を少なくすることにより、製造工数を低減することが求められる。
【0005】
本発明は、電極材料を減少させつつ、接着層を少なくすることができるトランスデューサ及びそれを用いた振動提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1.第一のトランスデューサ)
本発明に係る第一のトランスデューサは、複数の第一貫通孔を備える第一電極シートと、複数の第二貫通孔を備え、前記第一電極シートに対向して配置される第二電極シートと、少なくとも前記第一電極シートの第一内面と前記第二電極シートの第二内面との間に配置された圧電体シート又は誘電体シートと、前記第一電極シートの第一外面側を被覆する第一保護シートと、前記第二電極シートの第二外面側を被覆する第二保護シートとを備える。
【0007】
上記のとおり、第一電極シートが、第一貫通孔を備え、第二電極シートが、第二貫通孔を備える。つまり、第一電極シート及び第二電極シートが、全面に電極材料を有する構成ではなく、一部に電極材料を有しない構成となる。そのため、第一電極シート及び第二電極シートが、電極材料を減少させることにより、低コスト化を図ることができる。
【0008】
さらに、前記第一保護シートが、前記第一電極シートの前記第一貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着する、若しくは、前記第二保護シートが、前記第二電極シートの前記第二貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着する。
【0009】
第一保護シートを圧電体シート又は誘電体シートに接着させることは、第一電極シートが第一貫通孔を有することを利用することにより為し得ている。この場合、第一保護シートが圧電体シート又は誘電体シートに接着することで、第一保護シートと圧電体シート又は誘電体シートとの間に介在する第一電極シートは、第一保護シートに一体となると共に、圧電体シート又は誘電体シートに一体となる。従って、接着層が、圧電体シート又は誘電体シートと第一電極シートとの間、及び、第一電極シートと第一保護シートとの間の両方ともに必要な場合に比べると、上記構成を適用することで接着層の数を低減できる。その結果、製造工数を低減できることで、低コスト化を図ることができる。
【0010】
また、第二保護シートを圧電体シート又は誘電体シートに接着させることは、第二電極シートが第二貫通孔を有することを利用することにより為し得ている。この場合、第二保護シートが圧電体シート又は誘電体シートに接着することで、第二保護シートと圧電体シート又は誘電体シートとの間に介在する第二電極シートは、第二保護シートに一体となると共に、圧電体シート又は誘電体シートに一体となる。従って、接着層が、圧電体シート又は誘電体シートと第二電極シートとの間、及び、第二電極シートと第二保護シートとの間の両方ともに必要な場合に比べると、上記構成を適用することで接着層の数を低減できる。その結果、製造工数を低減できることで、低コスト化を図ることができる。
【0011】
(2.第二のトランスデューサ)
本発明に係る第二のトランスデューサは、複数の第一貫通孔を備える第一電極シートと、少なくとも前記第一電極シートの第一内面側に配置された圧電体シート又は誘電体シートと、前記第一電極シートの第一外面側を被覆する第一保護シートと、を備え、前記第一保護シートが、前記第一電極シートの前記第一貫通孔を介して前記圧電体シート又は前記誘電体シートに接着する。これにより、上述した第一のトランスデューサにおける第一電極シート及び第一保護シートによる効果を奏する。
【0012】
(3.振動提示装置)
本発明に係る振動提示装置は、圧電型又は静電型のアクチュエータと、前記アクチュエータに積層される第一弾性体と、前記アクチュエータの前記第一弾性体と反対側に積層される第二弾性体と、前記アクチュエータの周囲に配置される圧電型又は誘電型のセンサと、前記アクチュエータ、前記第一弾性体、前記第二弾性体により形成されるアクチュエータ積層体を積層方向に圧縮した状態で、且つ、前記第一弾性体及び前記第二弾性体を前記アクチュエータより大きく圧縮させた状態で保持するカバーであり、外部から前記カバーに前記積層方向の押込力が付与された場合に前記押込力を前記センサに伝達すると共に、前記アクチュエータが発生した振動により振動する前記カバーと、を備える。そして、前記アクチュエータ及び前記センサの何れか一方は、上述したトランスデューサである。これにより、振動提示装置において、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第一実施形態のトランスデューサ1の平面図である。
【
図4】
図2に示すトランスデューサ1の構成部材の分解図である。
【
図5】
図3に示すトランスデューサ1の構成部材の分解図である。
【
図6】第二実施形態のトランスデューサ100の平面図である。
【
図8】第三実施形態のトランスデューサ200の断面図である。
【
図9】
図8に示すトランスデューサ200の構成部材の分解図である。
【
図10】第四実施形態のトランスデューサ300の断面図である。
【
図11】
図10に示すトランスデューサ300の構成部材の分解図である。
【
図12】第五実施形態のトランスデューサ400の断面図である。
【
図13】
図12に示すトランスデューサ400の構成部材の分解図である。
【
図14】第六実施形態のトランスデューサ500の断面図である。
【
図15】
図14に示すトランスデューサ500の構成部材の分解図である。
【
図16】第七実施形態の振動提示装置600の断面図である。
【
図18】3つのアクチュエータユニット610a,610b,610cの分解斜視図である。
【
図19】個々のアクチュエータユニット610a,610b,610cの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1.第一実施形態)
(1-1.トランスデューサ1の概要)
トランスデューサ1は、圧電型のトランスデューサ又は誘電型のトランスデューサである。トランスデューサ1は、圧電型の場合には、圧電体の圧電効果を利用して、振動や音などを発生させるアクチュエータ、又は、外部からの押込力などを検出するセンサである。トランスデューサ1が圧電型のアクチュエータとして機能する場合には、電極に電圧が印加されることにより、圧電体が変形し、圧電体の変形に伴って振動が発生する。トランスデューサ1が圧電型のセンサとして機能する場合には、外部からの押込力などの入力に起因して圧電体が変形することにより、電極間に電圧が発生し、当該電圧を検出することで、外部からの押込力などを検出する。
【0015】
トランスデューサ1は、静電型の場合には、電極間の静電容量の変化を利用して、振動や音などを発生させるアクチュエータ、又は、外部からの押込力などを検出するセンサである。トランスデューサ1が静電型のアクチュエータとして機能する場合には、電極に電圧が印加されることにより、電極間の電位に応じて誘電体が変形し、誘電体の変形に伴って振動が発生する。トランスデューサ1が静電型のセンサとして機能する場合には、外部からの押込力や振動や音などの入力に起因して誘電体が変形することにより、電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、外部からの押込力などを検出する。
【0016】
(1-2.トランスデューサ1の構成)
トランスデューサ1について、
図1-
図5を参照して説明する。トランスデューサ1は、圧電型の場合には、第一電極シート11、第二電極シート12、圧電体シート13、第一保護シート14、及び、第二保護シート15を備える。また、トランスデューサ1は、静電型の場合には、第一電極シート11、第二電極シート12、誘電体シート13、第一保護シート14、及び、第二保護シート15を備える。
【0017】
第一電極シート11及び第二電極シート12は、導電性の布である。第一電極シート11及び第二電極シート12は、導電性を有しつつ、柔軟性及び伸縮性を有する。第一電極シート11及び第二電極シート12は、導電性繊維により形成された織物又は不織布である。ここで、導電性繊維は、柔軟性を有する繊維の表面を導電材料により被覆することにより形成される。導電性繊維は、例えば、ポリエチレン等の樹脂繊維の表面に、銅やニッケルなどをメッキすることにより形成される。
【0018】
第一電極シート11は、繊維により布を形成されることで、複数の第一貫通孔11a(
図1、
図3及び
図5に示す)を備える。同様に、第二電極シート12は、複数の第二貫通孔12a(
図2及び
図4に示す)を備える。
【0019】
以下には、第一電極シート11及び第二電極シート12は、導電性織物である場合を例に挙げるが、導電性不織布を適用することもできる。第一電極シート11は、例えば、
図1に示すように、導電性織物の場合には、導電性繊維を縦糸と横糸として織ることにより形成されている。縦糸と横糸により囲まれる領域が、第一貫通孔11aとなる。第二貫通孔12aも同様である。
【0020】
第一電極シート11と第二電極シート12は、同程度の大きさに形成されており、対向して配置されている。ここで、第一電極シート11において、第二電極シート12に対向する側の面を第一内面と称し、第二電極シート12と反対側の面を第一外面と称する。また、第二電極シート12において、第一電極シート11に対向する側の面を第二内面と称し、第一電極シート11と反対側の面を第二外面と称する。
【0021】
圧電体シート13又は誘電体シート13は、弾性変形可能な圧電材料又は誘電材料により形成される。圧電体シート13又は誘電体シート13は、シート状で、第一電極シート11の外形と同様の外形に形成されている。圧電体シート13又は誘電体シート13は、厚み方向に伸縮すると共に、厚み方向の伸縮に伴って面方向に伸縮する構造を有する。圧電体シート13又は誘電体シート13は、第一電極シート11の第一内面と第二電極シート12の第二内面との間に配置されている。圧電体シート13及び誘電体シート13は、第一電極シート11及び第二電極シート12に対して非接着であるが、接触している。
【0022】
第一保護シート14及び第二保護シート15は、絶縁性を有する材料が適用される。本実施形態においては、第一保護シート14及び第二保護シート15は、誘電体シート13と同様の材料により形成されている。つまり、第一保護シート14及び第二保護シート15は、エラストマーにより形成されている。
【0023】
第一保護シート14は、第一電極シート11の第一外面側を被覆する。第一保護シート14において、第一電極シート11側の面は、接着可能な面である。例えば、第一保護シート14の面に接着剤が塗布されるようにしてもよい。接着剤には、第一保護シート14に直接塗布する接着剤、第一保護シート14の当該面側に配置した熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)を含む。
【0024】
また、第一保護シート14の少なくとも当該面が熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)により形成されるようにしてもよい。もちろん、第一保護シート14そのものが、熱溶着可能な材料により形成されるようにしてもよい。そして、第一保護シート14は、
図2に示すように、第一電極シート11の第一外面に接着する。
【0025】
さらに、第一保護シート14は、
図3に示すように、第一電極シート11の第一貫通孔11aを介して圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。つまり、第一保護シート14は、第一貫通孔11aに挿通された状態で、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。そして、第一保護シート14が圧電体シート13又は誘電体シート13に接着することで、第一電極シート11は、第一保護シート14に係止された状態で、第一保護シート14と圧電体シート13又は誘電体シート13との間に挟まれる。
【0026】
第一保護シート14に接着剤が塗布されている場合には、第一保護シート14を加圧することにより、第一保護シート14が圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。第一保護シート14の当該面側に接着剤として熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)を配置する場合には、熱溶着可能な材料を加熱且つ加圧することにより、熱溶着可能な材料が溶融して固化することにより、第一保護シート14と圧電体シート13又は誘電体シート13とを接着する。
【0027】
第一保護シート14が熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)により形成されている場合には、第一保護シート14を加熱しながら加圧することで、第一保護シート14が溶融して、第一貫通孔11aに入り込む。その後、第一保護シート14が固化することで、第一保護シート14は、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。
【0028】
第二保護シート15は、第二電極シート12の第二外面側を被覆する。第二保護シート15において、第二電極シート12側の面は、接着可能な面である。例えば、第二保護シート15の面に接着剤が塗布されるようにしてもよい。接着剤には、第二保護シート15に直接塗布する接着剤、第二保護シート15の当該面側に配置した熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)を含む。
【0029】
また、第二保護シート15の少なくとも当該面が熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)により形成されるようにしてもよい。もちろん、第二保護シート15そのものが、熱溶着可能な材料により形成されるようにしてもよい。そして、第二保護シート15は、
図3に示すように、第二電極シート12の第二外面に接着する。
【0030】
さらに、第二保護シート15は、
図2に示すように、第二電極シート12の第二貫通孔12aを介して圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。つまり、第二保護シート15は、第二貫通孔12aに挿通された状態で、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。そして、第二保護シート15が圧電体シート13又は誘電体シート13に接着することで、第二電極シート12は、第二保護シート15に係止された状態で、第二保護シート15と圧電体シート13又は誘電体シート13との間に挟まれる。
【0031】
第二保護シート15に接着剤が塗布されている場合には、第二保護シート15を加圧することにより、第二保護シート15が圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。第二保護シート15の当該面側に接着剤として熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)を配置する場合には、熱溶着可能な材料を加熱且つ加圧することにより、熱溶着可能な材料が溶融して固化することにより、第二保護シート15と圧電体シート13又は誘電体シート13とを接着する。
【0032】
第二保護シート15が熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)により形成されている場合には、第二保護シート15を加熱しながら加圧することで、第二保護シート15が溶融して、第二貫通孔12aに入り込む。その後、第二保護シート15が固化することで、第二保護シート15は、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。
【0033】
(1-3.弾性係数)
第一電極シート11、第二電極シート12、圧電体シート13又は誘電体シート13、第一保護シート14、及び、第二保護シート15は、弾性変形可能であって、柔軟性及び伸縮性を有する。各部材の厚み方向の弾性係数の関係について説明する。
【0034】
圧電体シート13又は誘電体シート13の弾性係数は、第一電極シート11及び第二電極シート12の弾性係数より大きい。さらに、圧電体シート13又は誘電体シート13の弾性係数は、第一保護シート14及び第二保護シート15の弾性係数より大きい。第一電極シート11と第二電極シート12とは、同一の弾性係数を有する。第一保護シート14と第二保護シート15とは、同一の弾性係数を有する。ここで、第一電極シート11と第一保護シート14とにおいて、弾性係数の大小は問わない。同様に、第二電極シート12と第二保護シート15とにおいて、弾性係数の大小は問わない。
【0035】
上述したように、第一保護シート14は、第一電極シート11の第一貫通孔11aを介して圧電体シート13又は誘電体シート13に接着される。このとき、第一保護シート14の弾性係数は、圧電体シート13又は誘電体シート13の弾性係数より小さい。そのため、両者が接着するために、第一保護シート14が大きく変形するのに対して、圧電体シート13又は誘電体シート13が大きく変形することが抑制される。
【0036】
また、第一電極シート11の弾性係数は、圧電体シート13又は誘電体シート13の弾性係数より小さい。そのため、第一電極シート11が圧電体シート13又は誘電体シート13に押し付けられる状態において、第一電極シート11が相対的に変形しやすく、圧電体シート13又は誘電体シート13は相対的に変形しにくい。
【0037】
また、第二保護シート15は、第二電極シート12の第二貫通孔12aを介して圧電体シート13又は誘電体シート13に接着される。このとき、第二保護シート15の弾性係数は、圧電体シート13又は誘電体シート13の弾性係数より小さい。そのため、両者が接着するために、第二保護シート15が大きく変形するのに対して、圧電体シート13又は誘電体シート13が大きく変形することが抑制される。
【0038】
また、第二電極シート12の弾性係数は、圧電体シート13又は誘電体シート13の弾性係数より小さい。そのため、第二電極シート12が圧電体シート13又は誘電体シート13に押し付けられる状態において、第二電極シート12が相対的に変形しやすく、圧電体シート13又は誘電体シート13は相対的に変形しにくい。
【0039】
従って、第一保護シート14及び第二保護シート15が、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着した状態において、圧電体シート13又は誘電体シート13は、厚み方向に大きく変形することはない。従って、初期状態において、圧電体シート13又は誘電体シート13は、位置によって厚みが大きく異ならないようにすることができる。トランスデューサ1は、安定した特性を有することができる。
【0040】
(1-4.トランスデューサ1の製造方法)
トランスデューサ1の製造方法について説明する。
図4及び
図5に示すように、トランスデューサ1を構成する各部材、すなわち、第一電極シート11、第二電極シート12、圧電体シート13又は誘電体シート13、第一保護シート14、及び、第二保護シート15をそれぞれ準備する。
【0041】
続いて、圧電体シート13又は誘電体シート13の一方の面に、第一電極シート11及び第一保護シート14を、第一電極シート11、第一保護シート14の順で積層する。一方、圧電体シート13又は誘電体シート13の他方の面に、第二電極シート12及び第二保護シート15を、第二電極シート12、第二保護シート15の順で積層する。
【0042】
続いて、ホットプレスにより、積層体を圧縮する。そうすると、第一保護シート14を圧電体シート13又は誘電体シート13に向かって押し付けることで、第一保護シート14が変形して、第一電極シート11の第一貫通孔11aに入り込む。そして、第一保護シート14の表面が、熱溶着により、第一電極シート11に接着すると共に、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。同時に、第二保護シート15を圧電体シート13又は誘電体シート13に向かって押し付けることで、第二保護シート15が変形して、第二電極シート12の第二貫通孔12aに入り込む。そして、第二保護シート15の表面が、熱溶着により、第二電極シート12に接着すると共に、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着する。最後に、トランスデューサ1が圧電型の場合には、ポーリング処理を行う。
【0043】
(1-5.トランスデューサの動作)
トランスデューサ1が圧電型のアクチュエータとして機能する場合に、第一電極シート11及び第二電極シート12に周期的な電圧を印加することで、圧電体シート13が、電圧に応じて厚み方向及び面方向に伸縮する。圧電体シート13の伸縮変形による振動が、アクチュエータとして出力される振動となる。
【0044】
また、トランスデューサ1が静電型のアクチュエータとして機能する場合には、第一電極シート11及び第二電極シート12に周期的な電圧を印加することで、誘電体シート13が厚み方向及に伸縮する。第一電極シート11と第二電極シート12に蓄積される電荷が増加すると、誘電体シート13が圧縮変形する。誘電体シート13の厚みが小さくなり、誘電体シート13の面方向の大きさが大きくなる。反対に、第一電極シート11と第二電極シート12に蓄積される電荷が減少すると、誘電体シート13が元の厚みに戻る。つまり、誘電体シート13の厚みが大きくなり、誘電体シート13の面方向の大きさが小さくなる。
【0045】
また、トランスデューサ1が圧電型のセンサとして機能する場合には、外力の付与により圧電体シート13が厚み方向に伸縮変形することに伴って、第一電極シート11と第二電極シート12の間に電圧が発生する。当該電圧により、圧電体シート13が厚み方向に変形したことを検出し、外力が付与されたことを検出できる。
【0046】
また、トランスデューサ1が静電型のセンサとして機能する場合には、外力の付与により誘電体シート13が厚み方向に伸縮変形することに伴って、第一電極シート11と第二電極シート12との間の静電容量が変化する。第一電極シート11と第二電極シート12との間に所定の周期的な電圧を印加することで、電極間の静電容量に応じた出力電圧を検出できる。当該出力電圧により、誘電体シート13が厚み方向に変形したことを検出し、外力が付与されたことを検出できる。
【0047】
(1-6.効果)
上記のとおり、第一電極シート11が、第一貫通孔11aを備え、第二電極シート12が、第二貫通孔12aを備える。つまり、第一電極シート11及び第二電極シート12が、全面に電極材料を有する構成ではなく、一部に電極材料を有しない構成となる。そのため、第一電極シート11及び第二電極シート12が、電極材料を減少させることにより、低コスト化を図ることができる。
【0048】
さらに、トランスデューサ1によれば、第一保護シート14を圧電体シート13又は誘電体シート13に接着させることは、第一電極シート11が第一貫通孔11aを有することを利用することにより為し得ている。この場合、第一保護シート14が圧電体シート13又は誘電体シート13に接着することで、第一保護シート14と圧電体シート13又は誘電体シート13との間に介在する第一電極シート11は、第一保護シート14に一体となると共に、圧電体シート13又は誘電体シート13に一体となる。従って、接着層が、圧電体シート13又は誘電体シート13と第一電極シート11との間、及び、第一電極シート11と第一保護シート14との間の両方ともに必要な場合に比べると、上記構成を適用することで接着層の数を低減できる。その結果、製造工数を低減できることで、低コスト化を図ることができる。
【0049】
また、第二保護シート15を圧電体シート13又は誘電体シート13に接着させることは、第二電極シート12が第二貫通孔12aを有することを利用することにより為し得ている。この場合、第二保護シート15が圧電体シート13又は誘電体シート13に接着することで、第二保護シート15と圧電体シート13又は誘電体シート13との間に介在する第二電極シート12は、第二保護シート15に一体となると共に、圧電体シート13又は誘電体シート13に一体となる。従って、接着層が、圧電体シート13又は誘電体シート13と第二電極シート12との間、及び、第二電極シート12と第二保護シート15との間の両方ともに必要な場合に比べると、上記構成を適用することで接着層の数を低減できる。その結果、製造工数を低減できることで、低コスト化を図ることができる。
【0050】
第一保護シート14は、熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)により形成され、熱が加えられることにより圧電体シート13又は誘電体シート13に接着されるようにしてもよい。同様に、第二保護シート15は、熱溶着可能な材料(熱可塑性材料)により形成され、熱が加えられることにより圧電体シート13又は誘電体シート13に接着されるようにしてもよい。
【0051】
接着剤は、揮発性有機化合物(VOC)を含むものが存在する。そして、近年、環境対策として、VOCの排出の抑制が求められている。そのため、VOCを含む接着剤や溶剤などを用いないことが求められている。上記のように、熱溶着可能な材料を用いて接着することにより、VOCを含む接着剤や溶剤を用いることなく、接着が可能となる。従って、VOCの排出の抑制を図ることができる。さらに、保護シート14,15そのものが熱溶着可能な材料とすることで、接着剤等の専用材料を用いないことにより、製造コストを低減することもできる。
【0052】
(2.第二実施形態)
第二実施形態のトランスデューサ100は、
図6及び
図7に示すように、第一電極シート111、第二電極シート112、圧電体シート13又は誘電体シート13、第一保護シート14、及び、第二保護シート15を備える。第一電極シート111及び第二電極シート112は、導電性布ではなく、柔軟性及び伸縮性を有する薄膜のパンチングメタルである。第一電極シート111は、複数の第一貫通孔111aを備え、第二電極シート112は、複数の第二貫通孔112aを備える。第一貫通孔111a及び第二貫通孔112aは、矩形としているが、矩形に限られず円形や他の形状でもよい。
【0053】
この場合も、第一保護シート14が、第一電極シート111の第一貫通孔111aを介して、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着される。また、第二保護シート15が、第二電極シート112の第二貫通孔112aを介して、圧電体シート13又は誘電体シート13に接着される。
【0054】
(3.第三実施形態)
第三実施形態のトランスデューサ200は、
図8及び
図9に示すように、第一電極シート11、第二電極シート12、第一圧電体シート213a又は第一誘電体シート213a、第二圧電体シート213b又は第二誘電体シート213b、第一保護シート14、及び、第二保護シート15を備える。
【0055】
第一圧電体シート213a又は第一誘電体シート213aは、第一電極シート11の第一内面側に一体的に形成されている。第一圧電体シート213a又は第一誘電体シート213aは、第一電極シート11の第一外面側には存在しない。第一圧電体シート213a又は第一誘電体シート213aは、ディップ、スプレー、コーティングなどにより、第一電極シート11の第一内面側に位置する導電性繊維の表面に付着することにより形成される。そして、第一圧電体シート213a又は第一誘電体シート213aは、第一電極シート11と同様に貫通孔を有する。
【0056】
第二圧電体シート213b又は第二誘電体シート213bは、第二電極シート12の第二内面側に一体的に形成されている。なお、第二圧電体シート213b又は第二誘電体シート213bは、第二電極シート12の第二外面側には存在しない。第二圧電体シート213b又は第二誘電体シート213bは、同様に、ディップ、スプレー、コーティングなどにより、第二電極シート12の第二内面側に位置する導電性繊維の表面に付着することにより形成される。そして、第二圧電体シート213b又は第二誘電体シート213bは、第二電極シート12と同様に貫通孔を有する。
【0057】
第一保護シート14は、第一電極シート11の第一外面に接着する。さらに、第一保護シート14は、第一電極シート11の第一貫通孔11a、並びに、第一圧電体シート213a又は第一誘電体シート213aの貫通孔を介して、第二圧電体シート213b又は第二誘電体シート213bに接着する。
【0058】
また、第二保護シート15は、第二電極シート12の第二外面に接着する。さらに、第二保護シート15は、第二電極シート12の第二貫通孔12a、並びに、第二圧電体シート213b又は第二誘電体シート213bの貫通孔を介して、第一圧電体シート213a又は第一誘電体シート213aに接着する。
【0059】
この場合、トランスデューサ200が圧電型の場合、第一電極シート11と第二電極シート12との間には、第一圧電体シート213a及び第二圧電体シート213bが存在し、第一圧電体シート213a及び第二圧電体シート213bの両方によって圧電効果が発揮される。トランスデューサ200が静電型の場合、第一電極シート11と第二電極シート12との間には、第一誘電体シート213a及び第二誘電体シート213bが存在し、第一誘電体シート213a及び第二誘電体シート213bの両方によって静電容量が変化する。
【0060】
第三実施形態においては、第一圧電体シート213a又は第一誘電体シート213aは、第一電極シート11と一体部材となり、第二圧電体シート213b又は第二誘電体シート213bは、第二電極シート12と一体部材となる。従って、圧電体シート又は誘電体シート単体として存在しないため、部品点数が少なくなる。
【0061】
(4.第四実施形態)
第四実施形態のトランスデューサ300は、
図10及び
図11に示すように、第一電極シート11、第二電極シート12、第一圧電体シート313a又は第一誘電体シート313a、第二圧電体シート313b又は第二誘電体シート313b、第一保護シート14、及び、第二保護シート15を備える。
【0062】
第一圧電体シート313a又は第一誘電体シート313aは、第一電極シート11の第一内面側及び第一外面側に一体的に形成されている。つまり、第一圧電体シート313a又は第一誘電体シート313aは、第一内側シート部313a1と第一外側シート部313a2とを備える。第一圧電体シート313a又は第一誘電体シート313aは、ディップ、スプレー、コーティングなどにより、第一電極シート11の導電性繊維の全ての表面に付着することにより形成される。そして、第一圧電体シート313a又は第一誘電体シート313aは、第一電極シート11と同様に貫通孔を有する。
【0063】
第二圧電体シート313b又は第二誘電体シート313bは、第二電極シート12の第二内面側及び第二外面側に一体的に形成されている。つまり、第二圧電体シート313b又は第二誘電体シート313bは、第二内側シート部313b1と第二外側シート部313b2とを備える。第二圧電体シート313b又は第二誘電体シート313bは、同様に、ディップ、スプレー、コーティングなどにより、第二電極シート12の導電性繊維の全ての表面に付着することにより形成される。そして、第二圧電体シート313b又は第二誘電体シート313bは、第二電極シート12と同様に貫通孔を有する。
【0064】
第一保護シート14は、第一圧電体シート313a又は第一誘電体シート313aにおける第一外側シート部313a2に接着する。さらに、第一保護シート14は、第一電極シート11の第一貫通孔11a(第一圧電体シート313a又は第一誘電体シート313aの貫通孔に対応)を介して、第二圧電体シート313b又は第二誘電体シート313bの第二内側シート部313b1に接着する。
【0065】
また、第二保護シート15は、第二圧電体シート313b又は第二誘電体シート313bにおける第二外側シート部313b2に接着する。さらに、第二保護シート15は、第二電極シート12の第二貫通孔12a(第二圧電体シート313b又は第二誘電体シート313bの貫通孔に対応)を介して、第一圧電体シート313a又は第一誘電体シート313aの第一内側シート部313a1に接着する。
【0066】
この場合、第一電極シート11と第二電極シート12との間には、第一内側シート部313a1及び第二内側シート部313b1が存在し、第一内側シート部313a1及び第二内側シート部313b1によって圧電効果が発揮される、又は、静電容量が変化する。
【0067】
(5.第五実施形態)
第五実施形態のトランスデューサ400は、
図12及び
図13に示すように、第一電極シート11、第二電極シート12、圧電体シート413又は誘電体シート413、第一保護シート14、及び、第二保護シート15を備える。
【0068】
圧電体シート413又は誘電体シート413は、第一電極シート11の第一内面側に一体的に形成されている。圧電体シート413又は誘電体シート413は、第一電極シート11の第一外面側には存在しない。圧電体シート413又は誘電体シート413は、ディップ、スプレー、コーティングなどにより、第一電極シート11の第一内面側に位置する導電性繊維の表面に付着することにより形成される。そして、圧電体シート413又は誘電体シート413は、第一電極シート11と同様に貫通孔を有する。
【0069】
第一保護シート14は、第一電極シート11の第一外面に接着する。さらに、第一保護シート14は、圧電体シート413又は誘電体シート413に接着する。第二保護シート15は、第二電極シート12の第二外面に接着する。さらに、第二保護シート15は、第二電極シート12の第二貫通孔12aを介して、圧電体シート413又は誘電体シート413に接着する。
【0070】
この場合、第二電極シート12には、圧電体材料又は誘電体材料が付着されていない。そのため、圧電体材料又は誘電体材料の付着は、第一電極シート11のみとなる。従って、製造コストの低減を図ることができる。
【0071】
(6.第六実施形態)
第六実施形態のトランスデューサ500は、
図14及び
図15に示すように、第一電極シート11、第二電極シート12、圧電体シート513又は誘電体シート513、第一保護シート14、及び、第二保護シート15を備える。
【0072】
圧電体シート513又は誘電体シート513は、第一電極シート11の第一内面側及び第一外面側に一体的に形成されている。つまり、圧電体シート513又は誘電体シート513は、内側シート部513aと外側シート部513bとを備える。圧電体シート513又は誘電体シート513は、ディップ、スプレー、コーティングなどにより、第一電極シート11の導電性繊維の全ての表面に付着することにより形成される。そして、圧電体シート513又は誘電体シート513は、第一電極シート11と同様に貫通孔を有する。
【0073】
第一保護シート14は、圧電体シート513又は誘電体シート513の外側シート部513bに接着する。第二保護シート15は、第二電極シート12の第二外面に接着する。さらに、第二保護シート15は、第二電極シート12の第二貫通孔12aを介して、圧電体シート513又は誘電体シート513の内側シート部513aに接着する。
【0074】
(7.変形形態)
上述したトランスデューサ1は、第一電極シート11、第二電極シート12、圧電体シート13又は誘電体シート13、第一保護シート14、及び、第二保護シート15を備えるものとした。この構成に限られず、トランスデューサ1は、第一電極シート11、圧電体シート13又は誘電体シート13、第一保護シート14を備える構成とし、上述した第二電極シート12及び第二保護シート15を備えない構成とすることもできる。この場合、トランスデューサ1は、第二電極シート12を、貫通孔を有しない導電性材料に置換することもできる。例えば、当該導電性材料は、金属又は金属以外の導電性材料により形成された板材、シャフト、パイプ等に置換することもできる。この場合においても、第一電極シート11と第一保護シート14による効果を奏する。また、他の実施形態のトランスデューサ100,200,300,400,500にも同様に適用できる。
【0075】
(8.第七実施形態)
上述したトランスデューサ1、100,200,300,400,500(以下、「トランスデューサ1など」と称する)を用いた振動提示装置600について、
図16-
図19を参照して説明する。ここで、
図16-
図19は、分かりやすくするために、各部材の厚みを誇張して図示している。そのため、実際には、振動提示装置600の
図16及び
図17の上下方向の厚みは、非常に薄く形成されている。
【0076】
振動提示装置600は、外部からの押込力を検出するセンサとしての機能を有すると共に、振動を提示するアクチュエータとしての機能を有する。振動提示装置600は、例えば、人間の指などによって押込力が付与された場合に当該押込力を検出し、その後に指に対して触覚振動を提示する。
【0077】
振動提示装置600は、
図16及び
図17に示すように、アクチュエータ610、第一導通部620、第二導通部630、第一弾性体640、第二弾性体650、センサ660、第三弾性体601、カバー670、導線680、及び、制御装置690を備える。
【0078】
アクチュエータ610及びセンサ660の少なくとも何れか一方が、上述したトランスデューサ1などを適用する。つまり、アクチュエータ610のみ、センサ660のみ、又は、アクチュエータ610とセンサ660の両者が、トランスデューサ1などを適用する。本実施形態においては、アクチュエータ610とセンサ660の両者が、トランスデューサ1などを適用する。
【0079】
アクチュエータ610は、複数のアクチュエータユニット610a,610b,610cを備える。本実施形態においては、アクチュエータ610は、
図18に示すように、3つのアクチュエータユニット610a,610b,610cを備えており、3つのアクチュエータユニット610a,610b,610cを積層してなる。ただし、アクチュエータ610は、1つのアクチュエータユニット610aのみを備えるようにしてもよい。
【0080】
各アクチュエータユニット610a,610b,610cは、複数のトランスデューサ1などを積層している。また、
図19に示すように、各アクチュエータユニット610a,610b,610cにおいて、第一電極シート11と第二電極シート12とが、左右方向(長手方向)にオフセットされている。詳細には、第一電極シート11の一部と第二電極シート12の一部とが、対向するように配置されている。第一電極シート11と第二電極シート12において、相互に対向しない残りの一部は、対向する部分を基準として反対側に位置する。
【0081】
つまり、
図19において、左右方向の中央部分では、第一電極シート11と第二電極シート12が対向しており、左側部分では、第一電極シート11が存在するのに対して第二電極シート12は存在せず、右側部分では、第二電極シート12が存在するのに対して第一電極シート11は存在しない。
【0082】
圧電体シート13又は誘電体シート13の長手方向の長さ(
図19の左右方向の幅)は、第一電極シート11と第二電極シート12とが対向する範囲、第一電極シート11のみが存在する範囲、及び、第二電極シート12のみが存在する範囲の全てに対向する長さに形成されている。
【0083】
第一保護シート14は、第一電極シート11と、圧電体シート13又は誘電体シート13の露出部分を、全面に亘って被覆する。第二保護シート15は、複数の第二電極シート12と、圧電体シート13又は誘電体シート13の露出部分を、全面に亘って被覆する。
【0084】
続いて、
図18を参照して、各アクチュエータユニット610a,610b,610cについて説明する。各アクチュエータユニット610a,610b,610cは、
図18の左右方向の中央部分に位置するアクチュエータ本体616と、
図18の左側に位置する第一端子617と、
図18の右側に位置する第二端子618とを備える。第一端子617は、アクチュエータ本体616における正極電位の端子であり、第二端子618は、アクチュエータ本体616におけるグランド電位の端子である。ここで、第一端子617と第二端子618とは、アクチュエータ本体616を基準として反対側に延在する。
【0085】
ここで、第一電極シート11は、左右方向の中央部分に位置する第一対向電極部611aと、第一対向電極部611aから延在する第一端子電極部611bとを備える。第二電極シート12は、左右方向の中央部分に位置する第二対向電極部612aと、第二対向電極部612aから延在する第二端子電極部612cとを備える。第一対向電極部611aと第二対向電極部612aとが、対向している。第一端子電極部611bが第一対向電極部611aから延在する方向と、第二端子電極部612cが第二対向電極部612aから延在する方向とは、反対方向である。
【0086】
圧電体シート13及び誘電体シート13は、圧電体本体613a又は誘電体本体613aと、第一延在部613bと、第二延在部613cとを備える。圧電体本体613a又は誘電体本体613aは、第一対向電極部611aと第二対向電極部612aとの間に介在される。第一延在部613bは、圧電体本体613a又は誘電体本体613aから延在すると共に、複数の第一端子電極部611bの間に介在される。第二延在部613cは、圧電体本体613a又は誘電体本体613aから延在すると共に、複数の第二端子電極部612cの間に介在される。
【0087】
このように、第一端子電極部611bのみをアクチュエータ本体616の外部に存在させるのではなく、圧電体シート13及び誘電体シート13の一部である第一延在部613bをアクチュエータ本体616の外部に存在させることとし、第一端子電極部611bと第一延在部613bとを積層している。従って、第一端子電極部611bと第一延在部613bとの合計厚みは、アクチュエータ本体616に比べて第二電極シート12の厚み分が薄くなるだけである。そのため、第一端子電極部611bと第一対向電極部611aとの境界付近に大きな変形力が生じることを抑制できる。その結果、第一対向電極部611aに接続される導電経路の構成部位が高い耐久性を有することができる。第二端子電極部612cについても同様である。
【0088】
さらに、第一保護シート14は、第一保護本体614aと、第一保護_第一端子保護部614bと、第一保護_第二端子保護部614cとを備える。第一保護本体614aは、第一対向電極部611aを被覆する。第一保護_第一端子保護部614bは、第一端子電極部611bを被覆する。第一保護_第二端子保護部614cは、第二端子電極部612cを被覆する。
【0089】
第二保護シート15は、第二保護本体615aと、第二保護_第一端子保護部615bと、第二保護_第二端子保護部615cとを備える。第二保護本体615aは、第一対向電極部611aを被覆する。第二保護_第一端子保護部615bは、第一端子電極部611bを被覆する。第二保護_第二端子保護部615cは、第二端子電極部612cを被覆する。
【0090】
図16及び
図17に示すように、第一導通部620は、弾性変形可能な材料(例えば、エラストマー)によりシート状に形成され、L字型に屈曲形成されている。第一導通部620は、エラストマー中に導電性フィラーを配合させることにより成形されてもよいし、第一電極シート11と同様に導電性布としてもよい。
【0091】
第一導通部620のL字の一方の辺は、アクチュエータ本体616の平面状の面に交差する(例えば直交する)方向に形成されている。そして、第一導通部620のL字の一方の辺は、第一端子617の端面に接触している。詳細には、第一導通部620のL字の一方の辺は、第一端子電極部611bの端及び第一延在部613bの端に接触している。従って、第一導通部620は、複数の第一端子電極部611bの端に電気的に接続されている。
【0092】
第一導通部620のL字の他方の辺は、アクチュエータ本体616から遠ざかる方向へ延在し、且つ、アクチュエータ本体616の平面状の面方向に平行に形成される。第一導通部620のL字の他方の辺は、導線680に電気的に接続される。
【0093】
第二導通部630は、第一導通部620と同様に、弾性変形可能な材料(例えば、エラストマー)によりシート状に形成され、L字型に屈曲形成されている。第二導通部630は、エラストマー中に導電性フィラーを配合させることにより成形されている。
【0094】
第二導通部630のL字の一方の辺は、アクチュエータ本体616の平面状の面に交差する(直交する)方向に形成されている。そして、第二導通部630のL字の一方の辺は、第二端子618の端面に接触している。詳細には、第二導通部630のL字の一方の辺は、第二端子電極部612cの端及び第二延在部613cの端に接触している。従って、第二導通部630は、複数の第二端子電極部612cの端に電気的に接続されている。
【0095】
第二導通部630のL字の他方の辺は、アクチュエータ本体616から遠ざかる方向へ延在し、且つ、アクチュエータ本体616の平面状の面方向に平行に形成される。第二導通部630のL字の他方の辺は、導線680に電気的に接続される。
【0096】
第一導通部620により、複数の第一端子電極部611bとの間で導電経路を容易に形成できる。同様に、第二導通部630により、複数の第二端子電極部612cとの間で導電経路を容易に形成できる。また、第一導通部620及び第二導通部630は、弾性変形可能であるため、第一端子617及び第二端子618の変形に追従することができる。従って、第一端子617及び第二端子618が変形したとしても、第一端子電極部611b及び第二端子電極部612cとの間で導電経路を容易に形成できる。
【0097】
第一弾性体640は、アクチュエータ本体616の平面状の一方面(
図16の上面)に接触して配置される。第二弾性体650は、アクチュエータ本体616の平面状の他方面(
図16の下面)、すなわちアクチュエータ本体616の第一弾性体640とは反対側に接触して配置される。つまり、第一弾性体640及び第二弾性体650が、アクチュエータ本体616の平面状の面直交方向に背向する両端面(
図16の上下面)にそれぞれ配置される。
【0098】
さらに、
図17に示すように、第一弾性体640は、アクチュエータ本体616の平面状の面方向に背向する両端面(第一端子617及び第二端子618が存在しない面(
図17の左右面))に接触して配置される。さらに、
図16に示すように、第一弾性体640は、第一端子617の平面状の一方面(
図16の上面)、及び、第二端子618の平面状の一方面(
図16の上面)に接触して配置される。第二弾性体650は、第一端子617の平面状の他方面(
図16の下面)、及び、第二端子618の平面状の他方面(
図16の下面)に接触して配置される。さらに、第一弾性体640は、第一導通部620のL字状の外面全て、及び、第二導通部630のL字状の外面全てに接触して配置される。
【0099】
第一弾性体640及び第二弾性体650には、小さな弾性率E(640),E(650)を有すると共に、小さな損失係数tanδ(640),tanδ(650)を有する材料が用いられる。言い換えると、第一弾性体640及び第二弾性体650は、柔らかく、且つ、減衰特性が低い材料が好適である。特に、第一弾性体640及び第二弾性体650は、アクチュエータ本体616の積層方向(平面状の面直交方向)の弾性率E1(616)より小さな弾性率E(640),E(650)を有する。さらに、第一弾性体640の弾性率E(640)は、アクチュエータ本体616の面方向の弾性率E2(616)より小さい。
【0100】
センサ660は、トランスデューサ1などを適用する。センサ660は、アクチュエータ610の周囲に配置される。本実施形態においては、センサ660は、アクチュエータ610、第一弾性体640及び第二弾性体650により形成されるアクチュエータ積層体(610,640,650)に積層される。特に、センサ660は、第二弾性体650のアクチュエータ610とは反対側に積層される。上記の他に、センサ660は、アクチュエータ610の積層方向に直交する方向に、アクチュエータ610と並列配置されるようにしてもよい。
【0101】
第三弾性体601は、アクチュエータ積層体(610,640,650)及びセンサ660に積層され、センサ660におけるアクチュエータ積層体(610,640,650)と反対側に配置される。第三弾性体601は、第一弾性体640及び第二弾性体650と同一材料により形成される。従って、第三弾性体601の弾性率E(601)及び損失係数tanδ(601)は、第一弾性体640の弾性率E(640)及び損失係数tanδ(640)、第二弾性体650の弾性率E(650)及び損失係数tanδ(650)と同一である。
【0102】
ここで、センサ660は、
図17に示すように、アクチュエータ積層体(610,640,650)と第三弾性体601の間に配置されるセンサ本体部660aと、センサ本体部660aから延在し、第三弾性体601におけるセンサ本体部660aの反対側に回り込むように折り曲げ形成されているセンサ端子部660bとを備える。センサ本体部660aが、トランスデューサ1などに相当し、センサ端子部660bは、センサ本体部660aにおける第一電極シート11及び第二電極シート12に電気的に接続される。センサ端子部660bは、第三弾性体601と導線680との間に位置する。
【0103】
カバー670は、アクチュエータ610、第一導通部620、第二導通部630、第一弾性体640、第二弾性体650、センサ660及び第三弾性体601を囲む。カバー670には、例えば、金属、樹脂など、種々の材料が適用される。カバー670は、外部からアクチュエータ積層体(610,640,650)の積層方向への押込力が付与された場合に、当該押込力をセンサ660に伝達する。さらに、カバー670は、アクチュエータ610が発生した振動により振動し、カバー670に押込力を付与した人間の指に対して振動を付与する。
【0104】
カバー670は、台座としての第一カバー671と、第一カバー671に取り付けられ押込力が付与される部材としての第二カバー672とを備える。第一カバー671及び第二カバー672は、アクチュエータ本体616、第一弾性体640、第二弾性体650、センサ660及び第三弾性体601を、アクチュエータ積層体(610,640,650)の積層方向(
図16の上下方向)に圧縮した状態で保持する。この状態において、各部材の弾性率Eの関係から、アクチュエータ積層体(610,640,650)の積層方向において、第一弾性体640、第二弾性体650及び第三弾性体601が、アクチュエータ本体616及びセンサ660より大きく圧縮された状態となる。ここで、
図17においては、センサ端子部660bの存在により、第三弾性体601と第一カバー671とが非接触として図示しているが、実際には、センサ端子部660bは薄いため、第三弾性体601と第一カバー671とは押圧された状態で接触している。
【0105】
さらには、第一カバー671は、アクチュエータ本体616及び第一弾性体640を、アクチュエータ本体616の面方向(
図17の左右方向)に圧縮した状態で保持する。この状態において、各部材の弾性率Eの関係から、アクチュエータ本体616の面方向において、第一弾性体640は、アクチュエータ本体616より大きく圧縮された状態となる。
【0106】
導線680は、カバー670の内側面に位置する第一カバー671の同一平面上に配置されている。本実施形態においては、導線680は、第一カバー671に印刷により形成されているが、ケーブル線などを用いることもできる。制御装置690は、センサ660がカバー670に付与された押込力を検出した場合に、アクチュエータ610を駆動して振動を発生させる。なお、制御装置690は、カバー670の外部に配置されているが、カバー670の内部に配置するようにしてもよい。
【0107】
振動提示装置600は、トランスデューサ1などにより構成されるため、低コスト化を図ることができる。また、振動提示装置600は、センサ660及びアクチュエータ610を備える。従って、振動提示装置600は、押込力の検出から振動の提示までの応答性が非常に良好となる。そして、振動提示装置600は、押込力を検出するセンサ660とアクチュエータ610とを備えつつ、大型化することなく大きな振動を提示することができる。
【0108】
さらに、アクチュエータ610とセンサ660とが、押込力が付与される方向に積層されている。従って、押込力の検出位置と振動の付与位置とが、同一位置となる。従って、人間の指がカバー670に押込力を付与した場合に、当該指そのものに直接的に振動を付与することができる。
【0109】
また、センサ660が第二弾性体650と第三弾性体601により挟まれることで、センサ660は、伸縮動作を規制されない。そのため、カバー670に付与された押込力に対するセンサ660の感度が増幅する。従って、付与される押込力が小さい場合であっても、センサ660が押込力を検出することができる。ただし、振動提示装置600は、第三弾性体601を備えない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0110】
1,100,200,300,400,500:トランスデューサ、 11,111:第一電極シート、 11a,111a:第一貫通孔、 12,112:第二電極シート、 12a,112a:第二貫通孔、 13,413,513:圧電体シート,誘電体シート、 14:第一保護シート、 15:第二保護シート、 213a,313a:第一圧電体シート,第一誘電体シート、 213b,313b:第二圧電体シート,第二誘電体シート、 313a1:第一内側シート部、 313a2:第一外側シート部、 313b1:第二内側シート部、 313b2:第二外側シート部、 513a:内側シート部、
513b:外側シート部、 600:振動提示装置、 601:第三弾性体、 610:アクチュエータ、 610a,610b,610c:アクチュエータユニット、 611a:第一対向電極部、 611b:第一端子電極部、 612a:第二対向電極部、 612c:第二端子電極部、 613a:圧電体本体,誘電体本体、 613b:第一延在部、 613c:第二延在部、 614a:第一保護本体、 614b:第一保護_第一端子保護部、 614c:第一保護_第二端子保護部、 615a:第二保護本体、 615b:第二保護_第一端子保護部、 615c:第二保護_第二端子保護部、 616:アクチュエータ本体、 617:第一端子、 618:第二端子、 620:第一導通部、 630:第二導通部、 640:第一弾性体、 650:第二弾性体、 660:センサ、 660a:センサ本体部、 660b:センサ端子部、 670:カバー、
671:第一カバー、 672:第二カバー、 680:導線、 690:制御装置