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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
   B41F 17/22 20060101AFI20220310BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B41F17/22
F16B7/04 302A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019517885
(86)(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017078034
(87)【国際公開番号】W WO2018083162
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】16196965.4
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16196961.3
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16196962.1
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16196963.9
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518031790
【氏名又は名称】トーンジェット リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,ジョン ロートン
(72)【発明者】
【氏名】インガム,イアン フィリップ バトラー
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ,ジェフリー マーク
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2929434(CN,Y)
【文献】英国特許出願公告第01014187(GB,A)
【文献】特開2014-058142(JP,A)
【文献】特表2012-511429(JP,A)
【文献】中国実用新案第204249539(CN,U)
【文献】特開2001-074013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 16/00-19/08
F16B 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
首のある管状物体を保持するための保持具であって、
環状の基部と前記環状の基部から軸方向に延びる複数のフィンガとを有する略環状のグリッパリングを備え、
前記複数のフィンガの各々は、前記グリッパリングの基部から境界領域まで軸方向に延びる第1の部分と、前記第1の部分から軸方向に延び前記境界領域で前記第1の部分と接続された第2の部分と、を備えており、休止位置においては、各フィンガの最大外側半径は前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記境界領域に存在し、したがって、首のある管状物体の開口が前記グリッパリング上で軸方向に押されると、前記首のある管状物体の前記開口が前記境界領域を通過するまでは前記首のある管状物体の前記開口によって各フィンガの前記第2の部分に及ぼされる力が各フィンガを前記グリッパリングの軸に向かって内側に次第に曲げ、その後各フィンガが半径方向外側に弾性的にはねることによって前記第1の部分の外面が前記首のある管状物体の内面に接触し、それによって前記グリッパリング上に前記物体を保持するための保持力を提供する、保持具。
【請求項2】
休止位置においては、前記グリッパリングの前部はテーパ状になっており、それによって各フィンガの前記第2の部分の外側半径は、軸方向で、前記境界領域での最大外側半径から端部での最小外側半径へと縮小する、請求項の保持具。
【請求項3】
前記グリッパリングには首があり、それによって、休止位置においては、各フィンガの前記第1の部分の前記外側半径は、軸方向で、前記基部に隣接した最小外側半径から前記境界領域での最大外側半径へと変化する、請求項1又は2の保持具。
【請求項4】
前記複数のフィンガの各々の前記第1の部分の前記外面は、前記首のある管状物体の内面との係合が前記首のある管状物体を前記グリッパリングの前記基部の方へ付勢する軸方向の成分を有する力を生成するように成形されている、請求項1から3のいずれか一項の保持具。
【請求項5】
各フィンガの前記第1及び第2の部分は、一体的に形成されている、請求項1から4のいずれか一項の保持具。
【請求項6】
前記グリッパリングは、回転可能なマンドレルに取り付けられており、
前記グリッパリングは、前記マンドレルの回転軸と同軸の状態である、請求項1から5の保持具。
【請求項7】
前記回転可能なマンドレルはさらに、調整可能な端止めを備えており、
前記首のある管状物体のリムは、前記首のある管状物体を前記グリッパリングの前記基部の方へ付勢する前記力の前記軸方向の成分によって前記端止めに押し当てられる、請求項の保持具。
【請求項8】
前記回転可能なマンドレルはさらに、
前記グリッパリングの前記環状の基部の開口と流体連通する内部軸方向チャネルと、
前記内部軸方向チャネルを前記マンドレルの外部に接続するガスインレットチャネルと、を備えており、それによって、圧縮ガスが前記ガスインレットチャネルを介して前記マンドレル内に提供されて、前記首のある管状物体の基部で変位圧力を生成し、前記物体を前記グリッパリングから取り出すことを可能にする、請求項6又は7の保持具。
【請求項9】
前記グリッパリング内に同軸に配設された基部サポート要素をさらに備え、
前記基部サポート要素は、前記首のある管状物体の基部で円形のチャネルに嵌るように構成された円形のリムを備える、請求項1から8のいずれか一項の保持具。
【請求項10】
前記基部サポートは、回転可能なマンドレルに取り付けられ、
前記基部サポート要素の前記円形のリムは、前記マンドレルの回転軸と同軸の状態であり、
前記回転可能なマンドレルはさらに、
前記基部サポート要素の第1の開口と流体連通する内部軸方向チャネルと、
前記内部軸方向チャネルを前記マンドレルの外部に接続するガスインレットチャネルと、を備えており、それによって、圧縮ガスが前記ガスインレットチャネルを介して前記マンドレル内に提供されて、前記基部サポート要素の第2の開口で変位圧力を生成し、前記首のある管状物体を変位させることを可能にする、請求項の保持具。
【請求項11】
前記基部サポートは、回転可能なマンドレルに取り付けられ、
前記基部サポート要素の前記円形のリムは、前記マンドレルの回転軸と同軸の状態である、請求項の保持具。
【請求項12】
前記基部サポート要素は、第1端に第1の開口及び第2端に第2の開口を有する中空の円筒形の本体を備えており、
前記第2の開口は、前記円形のリムによって定義される、請求項9又は11の保持具。
【請求項13】
前記首のある管状物体は、首のある金属のモノブロック容器である、請求項1から10のいずれか一項の保持具。
【請求項14】
前記首のある管状物体は、首があり複数部分を有する容器である、請求項1から10のいずれか一項の保持具。
【請求項15】
前記首のある管状物体は、一体化された首部と閉じた基部とを備えるプラスチック容器である、請求項1から10のいずれか一項の保持具。
【請求項16】
前記保持具は、印刷システムの印刷ステーション間で物体を移動させるように構成された搬送具の一部を形成する、請求項1から10のいずれか一項の保持具。
【請求項17】
前記保持具は、各々が複数の搬送具のうちの1つの一部を形成する複数の保持具のうちの1つであり、
前記複数の搬送具の各々は、印刷装置の印刷ステーション間で独立して移動されるように構成されている、請求項16の保持具。
【請求項18】
首のある管状物体を請求項1から17のいずれか一項の保持具にロードする方法であって、
前記首のある管状物体がグリッパリングと軸方向で整列されて保持された状態で前記首のある管状物体を前記保持具の前記グリッパリング上へと軸方向に押すことを備える、方法。
【請求項19】
首のある管状物体を請求項1から17のいずれか一項の保持具からアンロードする方法であって、
圧縮ガスを前記首のある管状物体の内側に提供することを備え、それによって、前記グリッパリングによってもたらされる維持力を超えるのに十分な、前記首のある管状物体の基部に対する増大された圧力を生じさせる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状物体に印刷するための印刷システムと、首のある管状物体を保持するための器具と、を提供する。また、首のある管状物体を保持具にロードする方法、及び、首のある管状物体を保持具からアンロードする方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
飲料缶並びに他の円筒状物体、例えばエアゾール缶、チューブ、瓶、及び他のそのような容器に印刷するための、既存の装置が存在する。既知の印刷手順に際して、容器は多数の処理ステーションを通して搬送及び回転され、そこで印刷、乾燥、コーティング、硬化など、様々な処理が行われる。
【0003】
これらの処理の際に容器を保持及び操作するために用いられる器具は、一般に、インクが印刷されるべき容器表面のいずれの部分をも覆い隠すことなく容器が保持され支持されることを可能にする保持具を備えている。
【0004】
既知のタイプの保持具の一例は、内部サポートを備える真空マンドレルであり、容器はその内部サポート上に吸引によって保持される。容器の基部の内部表面をマンドレルの端部に保持するためには真空が用いられ、真空は容器がマンドレルによって保持されることを要する全時間にわたって維持されなければならない。そのようなマンドレルは、首のある缶(米国特許出願公開第2016/0023471号明細書)又は首のない缶(特開2014-058142号公報)と共に用いられるように適応させることができる。
【0005】
欧州特許出願公開第1782951号明細書には別の既知のタイプの保持具が記載されており、これは、真空作動式機構によって半径方向外側に移動してマンドレルの直径を缶の内部表面に押し付けるように増大させる可動セグメントを用いて首のない円筒状の缶を内部で支持するように設計された拡径マンドレルを備えている。真空はやはり、缶がマンドレルによって保持されることを要する全時間にわたって維持されなければならない。
【0006】
独国特許出願公開第202004019382号明細書には平行平面を有するチューブを保持する拡張マンドレルが記載されており、この拡張マンドレルには圧縮空気が導入され、これが内部空気圧下で弾性スリーブを拡張してチューブを保持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既知の保持具はいずれも、処理の全体を通じてサポート上に容器を維持するために、一般的には真空又は圧縮空気という形の少なくとも1つの動力源を含む設備を必要とする。これらの設備を可動の保持具に設けることは、特に、一般的に多数の保持具を使用する印刷装置においては、複雑な接続を必要とする。保持具への永久的な供給接続には、回転式継手、接合管などの使用が必要であり、また、印刷機の可能な設計はマンドレルホイール、往復直線軌道などの単純なジオメトリに限定される。これらの印刷機ジオメトリは、概して、全体的なスループット(単位時間当たり印刷される容器の数)又は装置の全体的な寸法の点で、考えられる最も効率的なジオメトリではない。スループット及び寸法効率が改善された印刷機システムを提供するためには、動力源、真空源、圧縮空気源、又は任意の他のそのような設備への複雑な接続を必要とすることなく容器又は他の管状物体を支持及び操作することのできる移動保持具を有するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、管状物体の外面に印刷するための印刷システムが提供される。印刷システムは、管状物体の外面上に印刷をするための少なくとも1つの印刷ステーションと、印刷工程の間その管状物体を保持するための少なくとも1つの保持具と、を備えており、保持具は、管状物体内に部分的に挿入されるように適合された略環状のグリッパリングを備え、グリッパリングは管状物体の内面としっかりと係合するように構成された半径方向に圧縮可能な部分を備え、その半径方向に圧縮可能な部分は圧縮されると半径方向外側への機械的復元力を及ぼす。
【0009】
機械的復元力によって管状物体を固定する半径方向に圧縮可能なグリッパリングを有する保持具を備えた印刷システムを提供することは、印刷工程の際に永久的な電気接続、真空供給、又は空気供給を必要とすることなく物体が支持及び搬送され得る印刷工程を可能にする。これは、保持具への永久的な接続を必要とすることにより課せられる設計の制約なしに効率的な印刷装置が提供されることを可能にする。
【0010】
さらに、保持機構の受動的な機械的性質は、保持具の製造及び運転コストが既知の保持具に比べて低いことを意味する。
【0011】
好適には、グリッパリングは環状の基部を備え、グリッパリングの半径方向に圧縮可能な部分はその環状の基部から軸方向に延びる複数のフィンガを備え、それによってその複数のフィンガの半径方向の圧縮が各フィンガを環状のグリッパリングの中心軸の方へ曲げる。
【0012】
好適には、複数のフィンガの各々は、境界領域での最大半径から端部での最小半径へとテーパ状になった外側半径を有する先端部を備えるとともに、管状物体の開口がそのテーパ状の先端部上で押されると管状物体の開口によってテーパ状の先端に及ぼされる力が半径方向に圧縮可能な部分を次第に圧縮させるように成形されている。
【0013】
本発明の第2の態様においては、首のある管状物体を保持するための保持具が提供される。保持具は略環状のグリッパリングを備え、グリッパリングは環状の基部とその環状の基部から軸方向に延びる複数のフィンガとを備え、複数のフィンガの各々は、グリッパリングの基部から境界領域まで軸方向に延びる第1の部分と、第1の部分から軸方向に延び境界領域で第1の部分と接続された第2の部分と、を備えていて、休止位置においては、各フィンガの最大外側半径は第1の部分と第2の部分との間の境界領域に存在し、したがって、首のある管状物体の開口がグリッパリング上で軸方向に押されると、首のある管状物体の開口が境界領域を通過するまでは首のある管状物体の開口によって各フィンガの第2の部分に及ぼされる力が各フィンガをグリッパリングの軸に向かって内側に次第に曲げ、その後各フィンガが半径方向外側に弾性的にはねることによって第2の部分の外面が首のある管状物体の内面に接触する。
【0014】
境界で最大の外側半径を有する第1及び第2の部分を有する軸方向に延びるフィンガを備えたグリッパリングを提供することは、首のある管状物体の開口に挿入されたときに当初は次第に圧縮されその後続いて外側へ広がり首のある管状物体の内面に係合するグリッパリングをもたらす。これは、そのような管状物体がグリッパリング上に容易にロードされるとともに何ら電気的接続、真空供給、又は空気供給を必要とせずに固定されることを可能にする。
【0015】
好適には、休止位置においては、グリッパリングの前部はテーパ状になっており、それによって各フィンガの第2の部分の外側半径は、軸方向で、境界領域での最大外側半径から端部での最小外側半径へと縮小する。
【0016】
好適には、グリッパリングには首があり、それによって、休止位置においては、各フィンガの第1の部分の外側半径は、軸方向で、基部に隣接した最小外側半径から境界領域での最大外側半径へと変化する。
【0017】
好適には、複数のフィンガの各々の第1の部分の外面は、首のある管状物体の内面との係合が首のある管状物体をグリッパリングの基部の方へ付勢する軸方向の成分を有する力を生成するように成形されている。
【0018】
好適には、各フィンガの第1及び第2の部分は一体的に形成されている。
【0019】
好適には、グリッパリングは回転可能なマンドレルに取り付けられており、このグリッパリングはマンドレルの回転軸と同軸の状態である。
【0020】
好適には、回転可能なマンドレルはさらに、調整可能な端止めを備えており、首のある管状物体のリムは、首のある管状物体をグリッパリングの基部の方へ付勢する力の軸方向の成分によって、この端止めに押し当てられる。
【0021】
好適には、回転可能なマンドレルはさらに、グリッパリングの環状の基部の開口と流体連通する内部軸方向チャネルと、内部軸方向チャネルをマンドレルの外部に接続するガスインレットチャネルと、を備えており、それによって、圧縮ガスがガスインレットチャネルを介してマンドレル内に提供されて、首のある管状物体の基部で変位圧力を生成し、物体をグリッパリングから取り出すことを可能にしている。
【0022】
好適には、保持具はさらに、グリッパリング内に同軸に配設された基部サポート要素を備えており、基部サポート要素は、首のある管状物体の基部で円形のチャネルに嵌るように構成された円形のリムを備えている。
【0023】
好適には、基部サポートは回転可能なマンドレルに取り付けられており、基部サポート要素の円形のリムはマンドレルの回転軸と同軸の状態であり、ここで、回転可能なマンドレルはさらに、基部サポート要素の第1の開口と流体連通する内部軸方向チャネルと、内部軸方向チャネルをマンドレルの外部に接続するガスインレットチャネルと、を備えており、それによって、圧縮ガスがガスインレットチャネルを介してマンドレル内に提供されて、基部サポート要素の第2の開口で変位圧力を生成し、首のある管状物体を変位させることを可能にしている。
【0024】
好適には、基部サポートは回転可能なマンドレルに取り付けられており、基部サポート要素の円形のリムはマンドレルの回転軸と同軸の状態である。
【0025】
好適には、基部サポート要素は、第1端に第1の開口及び第2端に第2の開口を有する中空の円筒形の本体を備えており、第2の開口は円形のリムによって定義される。
【0026】
好適には、首のある管状物体は、首のある金属のモノブロック容器である。
【0027】
好適には、首のある管状物体は、首があり複数部分を有する容器である。
【0028】
好適には、首のある管状物体は、一体化された首部と閉じた基部とを備えるプラスチック容器である。
【0029】
好適には、保持具は、印刷システムの印刷ステーション間で物体を移動させるように構成された搬送具の一部を形成する。
【0030】
好適には、保持具は、各々が複数の搬送具のうちの1つの一部を形成する複数の保持具のうちの1つであり、複数の搬送具の各々は印刷装置の印刷ステーション間で独立して移動されるように構成されている。
【0031】
本発明の第3の態様においては、首のある管状物体を第1の態様の保持具にロードする方法が提供される。この方法は、首のある管状物体がグリッパリングと軸方向で整列されて保持された状態で首のある管状物体を保持具のグリッパリング上へと軸方向に押すことを備える。
【0032】
本発明の第4の態様においては、首のある管状物体を第1の態様の保持具からアンロードする方法が提供され、この方法は、圧縮ガスを首のある管状物体の内側に提供することを備え、それによって、グリッパリングによってもたらされる維持力を超えるのに十分な、管状物体の基部に対する増大された圧力を生じさせる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態と共に使用するのに適した首のあるモノブロック缶の一例の概略図の断面図を示す。
図2】本発明の第1の実施形態によるグリッパリングを示す。
図3図2のグリッパリングの軸方向に伸びるフィンガの断面図を示す。
図4A図1のグリッパリングを備える保持具をアンロード状態で示す。
図4B図4Bの保持具をロード状態で示す。
図5】本発明の第2の実施形態で使用される基部サポート要素を示す。
図6A図1のグリッパリング及び図5の基部サポート要素を備える保持具をアンロード状態で示す。
図6B図6Aの保持具をロード状態で示す。
図7図6A及び図6Bの保持具を備える搬送具を示す。
図8図7の搬送具の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、印刷装置において使用される、首のある管状物体を保持及び支持するための器具を提供する。管状物体を定位置に保持する維持力は、電源又は他のそのような設備への外部接続なしに、保持具によって生成される。
【0035】
本発明は、飲料缶のような首のあるモノブロック容器との使用に最適化されているが、当業者には、本明細書に開示された理念が、瓶、チューブ、及び他のそのような物体を含め、首のあるモノブロック容器に十分に類似した構造的特徴を有する他の首のある管状物体に適用可能であることがわかるであろう。首のある管状物体とは、略円筒形の外面を有するとともに物体の開口の近辺の首領域にテーパ状の内面を備える物体である。適当な容器は、エアゾール缶のように首があり複数部分を有する容器であって別個に形成された基部を有するもの、及び、一体化された首部と閉じた基部とを備えるプラスチック容器を含む。本明細書において容器、缶、首のある容器、又は首のある缶という用語が用いられている場合、当業者は、類似の構造的特徴を有する他の物体が代わりに用いられ得ることを理解しなければならない。
【0036】
本発明を詳細に説明する前に、背景として、本発明との使用に適した標準的な首のあるモノブロック容器の構造を説明する。
【0037】
図1は、首のある円筒形の金属モノブロック容器100の一例を示す。容器100は、充填及び密封される前の印刷工程の際の形で示されている。
【0038】
容器100は略円筒形であり、回転軸107を中心として連続的に対称である。容器100は、容器の長さの大半を形成する中央部108に沿って略一定の内側半径rを有する本体101を備えている。
【0039】
容器100の第1の開放端では、本体101の半径は、中央部108のものよりも小さい内側半径tを有する、より狭い首部102に向かってテーパ状になっている。首部102は、首部102から略半径方向に延び略環状のジオメトリを有する首フランジ103で終端する。首フランジ103は、容器のボディ108の軸107に垂直な平面上にある。充填後の容器100を密封するには、首フランジ103が連結蓋部(図示しない)と圧接される。密封されていない状態では、首部102及び首フランジ103は、容器100の封入容積への開口106を定義する。
【0040】
容器100の第2の閉塞端では、本体101は、中央部108の内側半径rよりも小さく且つ首部102の内側半径tよりも小さい半径bを有する突出した基部リング104に向かってテーパ状になっている。基部リング104は、第2端で容器100を閉鎖する凹ドーム状部105を囲んでいる。基部リング104は、内周が容器100の凹ドーム状部105によって及び外周が容器100の本体101の第2端の先細部によって定義された、円形チャネルを形成する。
【0041】
そのような容器100は、概して、33cl及び50cl、12oz及び16ozを含むいくつかの規格寸法で生産される。これらの規格寸法の多くは略同一の半径を有しており、主としてボディ108の高さが異なる。
【0042】
以下で詳細に説明する保持具は、容器100を印刷に適した位置で維持するための軸方向及び半径方向の固定力を提供するグリッパリング部を備える。容器100の開口106に挿入されるとき、グリッパリングは、容器100の開口に嵌るように半径方向に圧縮され、それによって容器100の首領域102の内面に対して作用する復元力が生み出される。圧縮されたグリッパリングの復元力は、印刷対象の容器ボディ101の円筒形状を歪ませることなく、容器100を印刷に適した位置に維持する。いくつかの実施形態においては、保持具はさらに、グリッパリングによって保持されたときに容器100の基部を係合するように適合された基部サポート要素を備えており、それによって容器100にさらなる支持を提供するとともに、容器100とグリッパリングの軸との間の軸合わせを向上させる。
【0043】
いくつかの実施形態においては、保持具は回転マンドレルに接続されるか又はその一部を形成し、容器への印刷のためのシステムの一部としてのマンドレルに容器100を結合するように作用する。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態によるグリッパリング200を示す。
【0045】
グリッパリング200は、長手軸210を備えた略円筒状のジオメトリを有する。グリッパリング200は環状の断面を有する基部202を備えており、その基部からは複数の軸方向に延びるフィンガ201が延伸している。
【0046】
複数の軸方向に延びるフィンガ201は、半径方向に圧縮されて、軸方向に延びるフィンガ201の各々をグリッパリング200の軸210の方に曲げ得る。軸方向に延びるフィンガ201は、特定の変形状態において元の形状への復元力を働かせる材料で形成されている。軸方向に延びるフィンガ201がグリッパリング200の軸210の方に曲げられると、復元力がフィンガ201を軸210から遠ざかるように元の配向の方へ付勢する。
【0047】
基部202は基部を貫通する複数の穴209を備えており、これらの穴は、その穴209を通り抜けるねじ又は他の同様の維持要素を用いて、グリッパリング200が回転マンドレルなどの処理具に固定されることを可能にする。
【0048】
図示する実施形態においては、グリッパリング200は12本の軸方向に延びるフィンガ201を備えており、これらのフィンガは、隣り合うフィンガ201からフィンガ201の幅と概ね同じ幅の距離を置いて、周方向に離隔している。隣り合うフィンガ201の間の距離は、フィンガ201のすべてについて同一である。他の実施形態は、異なる数の軸方向に延びるフィンガ201を備えていてもよく、軸方向に延びるフィンガ201はその幅よりも大きい距離又は小さい距離だけ離隔していてもよい。
【0049】
軸方向に延びる各フィンガ201は、グリッパリング200の基部202から軸方向に延び、断面が略長方形であるが外面ではグリッパリングの基部202と同じ曲率半径を有する、平坦部203を備えている。平坦部203から軸方向に延びているのは成形部204であり、その上面207,208は、グリッパリング200が容器100の開口106に軸方向に挿入されたときに容器100と係合するように構成されている。フィンガ201の各々のうち少なくとも一部の外側半径は容器100の開口の半径よりも大きく、グリッパリング200が容器100の開口106に挿入される際には、フィンガ201は内側に圧縮されることが必要である。
【0050】
図3では、軸方向に延びるフィンガ201の上面207,208の変化する半径をより明瞭に見ることができる。同図は、1本の軸方向に延びるフィンガ201の側面図(又は正接断面図)を示す。
【0051】
各フィンガの成形部204の軸方向断面は、略一定の幅を有しているが、その半径方向厚さaはフィンガ201の長さに沿って変化する。容器100が保持具にロードされる際、容器100はグリッパリング200に、その外面に沿って接触する。したがって、使用時の容器100とグリッパリング200との相互作用を定義するのは、各フィンガ201の外側プロファイルである。各フィンガの底面は、グリッパリングが半径方向に圧縮されたときにフィンガ201に所望の可撓性及び弾性を提供するために、くり抜き部211を備えていてもよい。
【0052】
各フィンガの成形部204は、第1の(後ろ向きの)外面207を有する第1の部分209と、第2の(前向きの)外面208を有する第2の部分210と、を備えている。この2つの部分は境界205で出合い、この点でフィンガ201の外側半径は最大となる。
【0053】
第1の部分209の外側半径は、第1の部分と第2の部分との間の境界205で最大半径に達するまで、フィンガ201の軸方向長さに沿って増大する。第1の部分209の外面207は、ある程度グリッパリング200の基部202の方に、且つ容器100がグリッパリング200にロードされて来るであろう方向とは反対に向いている。容器100がグリッパリング200にロードされると、第1の部分209の外面207は容器100の内面に接触する。好適には、グリッパリング200の軸に対する後ろ向きの外面207の角度は、容器100の首部の内面の角度と概ね一致する。
【0054】
第2の部分210は、境界205で第1の部分209から軸方向に延びている。第2の部分208の外側半径は、第1の部分と第2の部分との間の境界205での最大半径から狭端部206へと縮小する。第2の部分210の外面208は、ある程度各フィンガ201の平坦部203とは反対に、且つ容器100がグリッパリング200にロードされて来るであろう方向に向いている。
【0055】
一般に、使用時には、容器100が静止したグリッパリング200上に軸方向に差し込まれる。各フィンガの先端の第2の部分210の外面208と容器100の開口106との接触によって、フィンガ201は内側に曲げられる。容器100の開口106が境界領域205を通過すると、フィンガは弾性的に外側にはねることができ、第1の部分209の外面207を容器の内面に係合させて容器100をグリッパリング200に固定する。
【0056】
基部202及び軸方向に延びるフィンガ201の平坦部203の外側半径は、容器100の首のある部分102の内半径tと同様であるがそれよりもわずかに小さい。
【0057】
軸方向に延びる各フィンガ201の(第1の後ろ向きの外面と第2の前向きの外面との間の境界における)成形された第2の部分204の最大外側半径は、容器100の首部の内半径tよりも大きい。成形された第2の部分204の狭端部206における外側半径は、容器100の首部の内半径tよりも小さい。
【0058】
図4A及び図4Bは、使用時のグリッパリング200の一例を、容器100との係合前(図4A)及び容器100との係合時(図4B)との両方で示している。この実施形態において、グリッパリング200は、回転軸407を有しシャフト部402及びヘッド部403を備えた回転可能なマンドレル401に取り付けられている。グリッパリング200の基部202は、マンドレル401のヘッド403内に同軸で配設され固定される。
【0059】
マンドレル401のヘッド403は、グリッパリング基部202の半径及び容器100の少なくともフランジ部103の内半径のいずれよりも大きな半径を有する。このマンドレルヘッド403のより大きな半径は、グリッパリング201の半径方向外側に位置する肩部404を提供し、容器100がグリッパリング201上に保持されるときには容器100のフランジ部103がこの肩部に当接し得る。
【0060】
容器100をグリッパリング200上にロードするためには、容器100は、グリッパリング200と同軸に整列され、軸方向に延びるフィンガ201の各々の少なくとも一部が容器100の開口106に進入するように、軸方向でグリッパリング200上に押し付けられる。
【0061】
容器100が軸方向でグリッパリング200上に押し付けられるにつれて、軸方向に延びる各フィンガ201の前向きの外面208は容器100の首部102又はフランジ部103に接触し、前向きの外面208に対する半径方向の圧縮力が生じる。容器100がさらにグリッパリング200上に押し付けられると、半径方向の圧縮力は軸方向に延びるフィンガ201を半径方向内側に曲げ、容器100とグリッパリング200との接点は、各フィンガ201の狭端部206から遠ざかって、各フィンガ201の第1の部分と第2の部分との間の境界205にある最大外側半径の点に向かって移動する。
【0062】
容器100がグリッパリング200上に軸方向でさらに押し付けられるにつれ、グリッパリング200と容器100との接点は、各フィンガ201の最大外側半径の点を超えて移動する(すなわち、容器の首の最も細くなった部分がグリッパリングの最も太い部分を通過する)。これは、各フィンガ201の成形部204の後ろ向きの面207が容器100の首部102の内面に接触するように、容器100の半径方向に圧縮されたフィンガ201が半径方向外側に移動することを可能にする。軸方向に延びるフィンガ201は依然として半径方向に圧縮されているので、圧縮された各フィンガ201の復元傾向は、容器100の首になった領域の内面に、各フィンガ207の後ろ向きの外面207に対して略法線方向の力を及ぼす。この力の軸方向の成分は、容器100をグリッパリング200上にさらに牽引するように作用する。容器100は、そのフランジ103がマンドレル401のヘッド403の肩404に当接すると、止まる。この時点で、グリッパリング200の圧縮されたフィンガ201の復元力は、容器100をグリッパリング200上の定位置に保持するとともにグリッピングリング200と容器100との軸方向の整列を維持する効果を有する。
【0063】
容器100のフランジ103が容器100の軸107に対して垂直に、且つこの軸と同心に形成されていれば、容器軸107は、マンドレル401の及びグリッパリング200回転軸407と同軸で整列して保持されるであろう。
【0064】
この実施形態においては、グリッパリング200は、ナイロン、アセチル樹脂(例えばデュポン社が製造するデルリン)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子材料から形成される。他の実施形態は、本発明の目的に関して適当な復元ばね力を提供するための可撓性、密度、及び硬度を含む、十分な弾性を有する別の材料で形成されてもよい。好適には、使用される材料は、軽量であるとともに容器の内側面と相性が良く、したがって容器の内側面を摩耗させるリスクが低くなる。
【0065】
グリッパリング200は、3D印刷などの付加的な製造工程を用いて便利に製造されてもよいし、射出成形などの成形工程によって製造されてもよいし、あるいは代替的には固体から機械加工されてもよい。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態は、グリッパリング200に加え、容器100を支持するように及びマンドレル401の軸407と容器100の軸107との整列をさらに向上させるように作用する基部サポートインサート500(図5図6A及び図6Bに図示)を備えた基部サポート要素も備えている。基部サポートインサート500を使用することは、容器軸107とマンドレル軸402との間で、容器フランジ103とマンドレルの肩404との当接によってもたらされるよりも精密な整列が必要である場合(例えば、フランジ部103が容器製造工程において変形してしまったとき)には、特に有利である。
【0067】
基部サポートインサート500は、容器の基部リング104によってインサート500の一部が容器100の本体101と容器100の凹ドーム状の基部105との間に配設されるように位置決めすることにより、容器100に追加的な支持を提供する。通常、基部リング104は、容器形成工程において容器100の円筒状ボディに対して厳密に同軸上に配置され、サポートインサート500を容器の基部で位置決めするための信頼性のあるフィーチャを提供する。
【0068】
基部サポートインサート500は、形状が略円筒形であり、長手軸507及び環状の断面を有している。インサート500は、略円筒形の外面506を有する第1の部分503と、円筒形、テーパ状、又はその両方を組み合わせた外面508を有するより細い第2の部分504とを含む本体501を備えている。第1の部分503の外面506は、容器100の基部リング104の半径bと略同一の半径sを有する。本体501の第1の部分503は第1の開口510で終端し、本体501の第2の部分504は第2の開口511で終端する。本体501は略中空であり、その内部を通じて本体501の内面512によって定義された、第1の開口510から第2の開口511へと続く連続的経路を有する。基部サポートインサート500の内部を通る連続的な経路は、本体501の範囲全体にわたってガスが押し込まれ又は引き込まれる(driven or drawn)ことを可能にする。
【0069】
第1の開口510において、本体501は環状リム502を備えている。環状リム502は、本体501の第1の部分503の外側半径と同じ外側半径sを有するが、本体501の第1の部分503の内面512よりも半径の大きい内面514を有している。したがって、環状リム502は、本体501の第1の部分503よりも薄い厚さを有する。環状リム502の外側半径及び厚さは、容器100の基部リング104の外側半径及び厚さと一致するように選択されるので、容器100が完全にインサート500上へ押されると、容器100の基部リング104はインサート500の環状リム502上に位置し、それによって環状リム502は容器100の本体101と容器100の凹ドーム状基部105との間の基部リング104に嵌るであろう。
【0070】
マンドレルヘッド403の肩404からリム502の端部までの基部サポートインサート500の長さは、容器100の内部高さ(つまり、基部リング104からフランジ103までの距離)よりもわずかに(典型的にはおよそ0.5mmから1mm)大きくなるように選択される。
【0071】
使用時には、基部サポートインサート500は図4A及び図4Bの回転可能なマンドレル401に取り付けられ、グリッパリング200内にグリッパリングと同軸に配設される。基部サポートインサート500の第2の部分504の外面508はグリッパリング200の内半径よりも小さい半径を有しており、それによって、グリッパリング200が、基部サポートインサート500の第2の部分504の周りに、インサートの外面508に接触せずに配設されることを可能にしている。また、基部サポートの第2の部分504の小さい半径も空洞を提供し、容器100が保持具に押し付けられると、グリッパリング200はその空洞内に圧入され得る。
【0072】
容器100がマンドレル401上にロードされるにつれて、まず基部サポートインサート500が容器100の開口106に進入し、グリッパリング200がそれに続く。図4A及び図4Bを参照して説明されるように、グリッパリング200は、容器100をさらにグリッパリング200上へと牽引するように作用する軸方向の力を容器100に対して及ぼす。図4A及び図4Bの実施形態とは対照的に、グリッパリング200上への容器100の軸方向の動きは、容器100のフランジ103がマンドレル401の肩404に当接することではなく、基部サポートインサート500の環状リム502が容器100の基部リング104に接触することによって止められる。これは、上述したように、容器100の高さと比較した基部サポートインサート500の相対的な長さによって起こる。
【0073】
図4A及び図4B並びに図6A及び図6Bの実施形態において、容器100は、任意の便利な方法によって保持具上にロードされ得る。好適には、容器100は重力又は搬送ベルトによってロードステーション(図示しない)へと運搬され、そのロードステーションには、容器の基部に押し付けることによって容器100に軸方向の力を提供するための空気圧作動式プランジャが配置されている。空気圧作動式プランジャは、容器100を、端止めに達するまで保持具に押し付ける。プランジャは引っ込められ、容器100はグリッパリング200の作用によって保持具上に維持される。
【0074】
図7及び図8は、グリッパリング200及び基部サポートインサート500を有する保持具を備えた容器搬送具700の一例を示す。容器搬送具700は、印刷装置の一部を形成する一連の処理ステーション間で容器100を運搬するように適合されている。容器搬送具700は、圧縮ガスを用いて容器をアンロードするようにも適合されている。
【0075】
図示する実施形態においては、グリッパリング200は、グリッパリングの穴209を通過してマンドレルヘッド403に挿通するねじ(図示しない)を用いて、マンドレル401のマンドレルヘッド403に固定されている。基部サポートインサート500はマンドレルヘッド403の開口中心に挿入することによってマンドレルヘッド403に固定され、このマンドレルヘッドの開口中心にはインサート500のより細い第2の部分504が押し嵌められる。
【0076】
マンドレルヘッド403は、容器搬送具700の上部体701の開口704を通って延びる中空のマンドレルシャフト402と一体に形成されている。マンドレル401は上部体701の反対側の従動ディスク709で終端し、この従動ディスクは、様々な処理ステーションでマンドレル401を回転させるように構成された対応する駆動ディスク(図示しない)と連結するように構成されている。
【0077】
この実施形態には、グリッパリングに対する肩404の軸方向位置を調整することを可能にするために、調整可能な肩リング710が含まれている。肩リング710はマンドレルヘッド403に螺合されており、その位置は、やはりマンドレルヘッド403に螺合されたロックリング711によって固定されている。肩404の位置は、それによって、インサート500が使用されない場合には容器フランジの端止めとして作用するように設定されてもよいし、あるいはインサート500が容器100の基部を支持するために使用される場合には容器フランジ103を避けて移動されてもよい。
【0078】
図7及び図8には1つ以上のアース接点712も図示されている。各アース接点712は2つのねじ713によって肩リング710に取り付けられており、保持具にロードされた容器の方へ軸方向で延びている。アース接点712は、容器がホルダ上に挿入されたときに容器フランジ103の外側と接触するように配列されており、金属の容器が搬送具700に取り付けられている間は接地電位のままであること、及び、行われる処理のいずれによっても帯電しないこと、を保証する。
【0079】
容器搬送具700の上部体701は、圧縮ガスが上部体701の開口704内に供給されるように、オリフィス706を備えている。中空のマンドレルシャフト402は少なくとも1つのガスチャネル707を備えており、このガスチャネルは、オリフィス706を通じてもたらされた圧縮ガスを中空のマンドレルシャフト402の内部708内へと通過させる。中空のマンドレルシャフト402はマンドレル401の先端で開口しており、基部サポート要素500の第2の部分504の開口511に接続されている。それによって、オリフィス706と基部サポート要素500の環状リム502の開口510との間に連続的な経路が提供される。
【0080】
マンドレルシャフト402は軸受705上の搬送具700の上部体701に取り付けられ、この軸受はマンドレル401が搬送具700の上部体に対して自由に回転することを可能にする。
【0081】
搬送具700は直動軸受(図示しない)を介して固定トラック(図示しない)を取り付けた基部702を備えており、搬送具700はその固定トラックに沿って移動することができる。これは、搬送具700が、ロード/アンロードステーション、検査ステーション、印刷ステーション、コーティングステーション、及び乾燥ステーションなど、容器100に対して様々な処理が行われる処理ステーションの間で移動されることを可能にする。好適には、固定トラックには複数の搬送具700が配設され、各搬送具700はトラックに対して及び互いに対して独立して移動可能である。
【0082】
容器100は、オリフィス706を通じて圧縮ガス源(図示しない)から供給される圧縮ガスを用いて保持具からアンロードされてもよい。
【0083】
容器100が搬送具700から取り外されるときには、搬送具700が圧縮ガス源に近づけられ、停止される。圧縮ガス源は搬送具700のオリフィス706に連結され、その後で圧縮ガスのバーストがオリフィス706内に提供される。圧縮ガスは、マンドレル401及び基部サポートインサート500の内部によって形成された相互接続された容積内の圧力を高める。オリフィス706内に供給される圧縮ガスの体積及び圧力は、高まった圧力が容器100のドーム状基部105に対して作用して、グリッパリング200によってもたらされる軸方向の維持力を超えるのに十分な軸方向の変位力をもたらし、ひいては容器100をグリッパリング200から分離するように、選択される。容器の内容積内にオリフィス706を介して圧縮ガスを連続供給することによって、容器を押してサポート要素500から引き離すさらなる軸方向の力が生み出されるであろう。
【0084】
図7及び図8の例は基部サポート要素500を備えているが、容器搬送具700の動作は、基部サポート要素500が使用されない場合と略同じである。その場合、容器が搬送具700から取り外されるときには、同じ圧縮ガスのバーストがオリフィス706に提供され、容器内のガス圧を高めて、容器をグリッパリング200から分離するように容器100と肩404との間で軸方向に作用する力を発生させる。圧縮ガスの圧力、体積、及び供給レートは、容器100のフランジ103と肩404との接触は気密シールを形成しないが容器をグリッパリング200から完全に分離させるのに十分な運動量が容器に与えられ得るように、選択される。
【0085】
圧縮ガス源への接続は、一般的には、印刷装置において容器100がアンロードされることを要する位置、例えば、検査に落ちた容器100が排出される検査ステーション、あるいは印刷が実施された後に容器100が装置から取り外されるアンロードステーションでのみ、必要とされる。圧縮ガス源への接続は、関連する処理ステーションに配置された連結具を介して行うことができる。
【0086】
好適な連結具(図示しない)は空気圧シリンダに取り付けられたノズルを備えており、空気圧シリンダは、ノズルを短い距離(数ミリメートル)にわたって軸方向に移動させて、容器搬送具700の上部体701のオリフィス706と対合接触させることができる。ノズルの対合面には、結合時のノズルとオリフィス706との間での気密シールを保証するべく、Oリングシールが設けられる。ノズルの圧縮ガスはコントローラから操作される電磁弁によって制御可能である。
【0087】
容器は、一般的には、関連のある処理ステーションで、容器100の基部の外面に作用する吸引を用いて容器100を捕捉及び維持するコンベヤ又は維持具上へとアンロードされる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8