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特許7038127パッケージ用マスク、パッケージング方法及び表示パネル。
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  • 特許-パッケージ用マスク、パッケージング方法及び表示パネル。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】パッケージ用マスク、パッケージング方法及び表示パネル。
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220310BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20220310BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
G09F9/00 302
G02F1/1339 505
G02F1/13 101
G09F9/00 338
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019541221
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2018089083
(87)【国際公開番号】W WO2019056792
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】201710874960.4
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516189213
【氏名又は名称】クンシャン ゴー-ビシオノクス オプト-エレクトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kunshan Go-Visionox Opto-Electronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone, Kunshan, Jiangsu 215300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ ミン
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-313917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0273360(US,A1)
【文献】特開2001-236891(JP,A)
【文献】特開平11-064864(JP,A)
【文献】米国特許第06239855(US,B1)
【文献】特開2007-025516(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0029295(KR,A)
【文献】特開2011-118352(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0128493(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0061286(KR,A)
【文献】特開2017-090528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/1339
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ用マスクであって、
本体と、
本体に形成されたパッケージ用スリットと、を含み、
前記パッケージ用スリットは、第1の方向に沿って延び少なくとも2本の第1のスリットを含む第1のスリット群と、第2の方向に沿って延び少なくとも2本の第2のスリットを含む第2のスリット群とを含み、
前記第1のスリットの前記第2の方向の幅は、前記第2のスリットの前記第1の方向の幅より広く、
前記第1の方向は、スクレーパーによりパッケージング材料を前記第1のスリット及び前記第2のスリットに押し込んでそれぞれ第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインを形成するように前記パッケージ用マスクに印刷する印刷方向と同一であり、前記第2の方向は、前記印刷方向と直交する方向である、
ことを特徴とするパッケージ用マスクである。
【請求項2】
前記第1のスリット群と前記第2のスリット群とは互いに連通している、ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ用マスク。
【請求項3】
前記第1のスリット群と前記第2のスリット群は、閉じた四角形を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載のパッケージ用マスク。
【請求項4】
前記第1のスリットの前記第2の方向の幅と前記第2のスリットの前記第1の方向の幅との比は、1.15:1~1.25:1の範囲になる、ことを特徴とする請求項3に記載のパッケージ用マスク。
【請求項5】
前記第1のスリットの前記第2の方向の幅は、300μmから700μmまでの範囲になり、前記第2のスリットの前記第1の方向の幅は、240μmから609μmまでの範囲になる、ことを特徴とする請求項4に記載のパッケージ用マスク。
【請求項6】
パッケージング方法であって、請求項1~5のいずれか1項に記載のパッケージ用マスクを用いてパッケージ領域を形成し、前記パッケージング材料を前記第1のスリット群及び前記第2のスリット群にコーティングし、前記スクレーパーを前記パッケージ用マスクの表面に前記第1の方向に沿って移動させ、前記パッケージング材料を前記第1のスリット群及び前記第2のスリット群に押し込むことで、前記第1のスリット群に対応する前記第1のパッケージ用接着剤ラインを形成し、前記第2のスリット群に対応する前記第2のパッケージ用接着剤ラインを形成する、ことを特徴とするパッケージング方法である
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示デバイス技術に関し、特にパッケージ用マスク、パッケージング方法及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、表示パネルがシリコン系シーラントでパッケージされる。シリコン系シーラントが設計された幅に従って一つの基板の縁部にコーティング/印刷されてパッケージ用接着剤ラインを形成した後、そのパッケージ用接着剤ラインが利用されて当該基板と他の基板とがパッケージされることによって、2つの基板の間に配置された電子部品が保護される。
【0003】
実際の生産において、形成されたパッケージ用接着剤ラインの高さは、設計高さからずれる可能性があり、基板の4つの縁部のパッケージ用接着剤ラインの高さにバラツキが生じるから、4つの縁部のパッケージ用接着剤ラインの高さが不一致になる。このように、パッケージされた2つの基板の間の各所の間隔が異なっているため、表示パネルにニュートンリングの現象が発生し、製品の品質に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、シリコン系シーラントでパッケージする際に、パッケージ用接着剤ラインの高さと設計高さとの間に誤差が生じ、誤差にバラツキが生じることによって表示パネルにニュートンリング現象が発生するという問題を解決できる、パッケージ用マスク、パッケージング方法及び表示パネルを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願が提供するパッケージ用マスクは、本体と、本体に形成されたパッケージ用スリットとを含み、前記パッケージ用スリットは、第1の方向に沿って延び少なくとも2本の第1のスリットを含む第1のスリット群と、第2の方向に沿って延び少なくとも2本の第2のスリットを含む第2のスリット群とを含み、前記第1のスリットの第2の方向の幅は、前記第2のスリットの第1の方向の幅より広い。
【0006】
実施例において、前記第1のスリット群と前記第2のスリット群とは互いに連通している。
【0007】
一実施例において、前記第1のスリット群と前記第2のスリット群は、閉じた四角形を形成する。
【0008】
一実施例において、前記第1のスリットの第2の方向の幅と前記第2のスリットの第1の方向の幅との比は、1.15:1~1.25:1の範囲になる。
【0009】
一実施例において、前記第1のスリットの第2の方向の幅は、300μmから700μmまでの範囲になり、前記第2のスリットの第1の方向の幅は、240μmから609μmまでの範囲になる。
【0010】
本願は、さらに上述したマスクを用いてパッケージ領域を形成するパッケージング方法を提供する。
【0011】
一実施例において、使用されたパッケージング材料は、シリコン系シーラントである。
【0012】
本願は、さらに、上述したパッケージング方法で製作された表示パネルを提供する。
【0013】
一実施例において、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さの均一性は5%未満の範囲に収める。
【0014】
一実施例において、前記第1のパッケージ用接着剤ラインの高さ及び前記第2のパッケージ用接着剤ラインの高さは、5.2μmから5.7μmまでの範囲になる。
【0015】
上記のパッケージ用マスクは、本体と、本体を貫通して形成されたパッケージ用スリットとを含み、パッケージ用スリットは、第1の方向に沿って延び少なくとも2本の第1のスリットを含む第1のスリット群と、第2の方向に沿って延び少なくとも2本の第2のスリットを含む第2のスリット群とを含み、前記第1のスリットの第2の方向の幅は、前記第2のスリットの第1の方向の幅より広くするによって、スクレーパーでパッケージング材料を第1の方向に沿って基板に印刷する際に、第2のスリットが第1のスリットに比べるとインクの浸透量が少なく、少ない浸透量でスクレーパーとの接触面積を減少することができるから、スクレーパーの圧力を低減することができ、これにより、第2のスリットで形成された第2のパッケージ用接着剤ラインの高さと第1のスリットで形成された第1のパッケージ用接着剤ラインの高さとの均一性を高め、パッケージされた表示パネルの2つの基板の間隔が各所で統一され、ニュートンリングの発生を回避し、表示パネルの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本願の実施例または従来技術による技術案をより明らかに説明するために、実施例に必要な図面を簡単に説明する。後述する図面は本願の実施例に過ぎず、当業者として、これらの図面に基づいて他の図面を導き出せることが明らかである。
図1】本願の一実施例に係るパッケージ用マスク及びスクレーパーの移動方向を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、以下、実施例及び添付図面を参照して本願のパッケージ用マスク、パッケージング方法、及び表示パネルをさらに詳しく説明する。なお、本稿で説明する実施形態は、本願を説明するためのものであり、本願発明を限定するものではない。
【0018】
従来技術では、表示パネルにニュートンリング現象が発生する傾向がある。例えば、インプレーンスイッチングパネル(In-plane switching panel、IPS panel)がシリコン系シーラントでパッケージされる際に、シリコン系シーラントを設計幅に従って第1の基板の4つの縁部に印刷してパッケージ用接着剤ラインを形成し、設計幅はマスクのスリットの幅で決まる。上記によって第1の基板の4つの縁部にそれぞれ4本のパッケージ用接着剤ラインを形成し、4本のガラス接着ラインにより第1の基板と第2の基板とをパッケージする。しかしながら、第1の基板と第2の基板との間には、ニュートンリングの現象がよく発生するため、表示パネルのパッケージング効果に影響する。本願の発明者らが研究することによって、上記の方法で製作された表示パネルにおいて、4本のパッケージ用接着剤ラインの高さが一致しないため、パッケージされた後第1の基板と第2の基板との間の各所の間隔が異なって、その結果ニュートンリングの現象が発生することを見出した。
【0019】
また、発明者らは、4本のパッケージ用接着剤ラインの幅と設計幅との間に誤差があり、さらに誤差にバラツキが生じることも見出した。4本のパッケージ用接着剤ラインの設計幅が同一であっても、マスクで印刷された後、4本のパッケージ用接着剤ラインの幅の誤差にもバラツキが生じる。この知見に基づいて、発明者らは、さらなる研究して本願を提案した。
【0020】
図1を参照すると、本願は、本体と、本体に形成されたパッケージ用スリットとを含み、パッケージ用スリットは、第1の方向に沿って延び少なくとも2本の第1のスリットを含む第1のスリット群と、第2の方向に沿って延び少なくとも2本の第2のスリットを含む第2のスリット群とを含み、第1のスリットの第2の方向の幅は、第2のスリットの第1の方向の幅より広い、パッケージ用マスクを提供する。このパッケージ用マスクを用いてパッケージする際に、第1のスリットに対応する第1のパッケージ用接着剤ラインを形成し、第2のスリットに対応する第2のパッケージ用接着剤ラインを形成する。前記本体は、板状であってもよい。
【0021】
第1のスリットの第2の方向の幅を、第2のスリットの第1の方向の幅より広くすることで、スクレーパーでパッケージング材料を第1の方向に沿って基板に印刷する際に、第2のスリットが第1のスリットに比べるとインクの浸透量が少なく、少ない浸透量でスクレーパーとの接触面積を減少することができるから、スクレーパーの圧力を低減することができ、これにより、第2のスリットで形成された第2のパッケージ用接着剤ラインの高さと第1のスリットで形成された第1のパッケージ用接着剤ラインの高さとの均一性を高め、パッケージされた表示パネルの2つの基板の間隔が各所で統一され、ニュートンリングの発生を回避し、表示パネルの品質を向上させることができる。
【0022】
その他の実施形態では、第1のスリット群と第2のスリット群とは互いに連通している。第1のスリット群に含まれる複数の第1のスリットと第2のスリット群に含まれる複数の第2のスリットとは交差して連通し、マスクにメッシュ構造を形成する。メッシュ構造の形状は、パッケージの要求に応じて、マスクを用いてメッシュで接続されるパッケージ用接着剤ラインを形成するように構成される。
【0023】
第1のスリット群及び第2のスリット群は、閉じた四角形を形成し、基板に閉じた四角形の接着剤ラインを形成してもよい。
【0024】
図1を参照すると、一つの印刷構造ユニットが備えられる閉じた四角形とされるマスクが示されている。図1で、矢印の方向は、スクレーパー3の印刷方向を示しており、印刷方向は第1の方向と同一である。
【0025】
基板にシリコン系シーラントを印刷するプロセスは、マスクを基板に配置し、パッケージ用接着剤を第1のスリット群及び第2のスリット群にコーティングし、次いでスクレーパー3をマスクの表面に第1の方向に沿って移動させ、パッケージ用接着剤を第1のスリット群の第1のスリット10及び第2のスリット群の第2のスリット20に押し込みながら、余分のパッケージ用接着剤を掻き落とすことである。これにより、1つのパッケージ構造ユニットのマスクの第1のスリット群及び第2のスリット群に、端と端がつながっているパッケージ用接着剤ラインが形成される。ここで、第1のパッケージ用接着剤ラインは、第1のスリット10に基づいて形成され、第2のパッケージ用接着剤ラインは、第2のスリット20に基づいて形成される。
【0026】
以下、第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの印刷プロセスを比較する。スクレーパー3が第1の方向に沿って移動する際に、スクレーパー3と第1のスリット10との接触面積は、スクレーパー3と第2のスリット20との接触面積より小さく、第1のスリット10でパッケージ用接着剤にかかるスクレーパー3の圧力は比較的に小さいため、第1のパッケージ用接着剤ラインの幅が第1のスリット10の第2の方向の幅からずれる程度は、第2のパッケージ用接着剤ラインの幅が第2のスリット20の第1の方向の幅からずれる程度より小さく、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さは、第2のパッケージ用接着剤ラインの高さより高い。本願では、第1のスリット群の単位長さ当たりの面積を第2のスリット群の単位長さ当たりの面積より大きくすることで、第1のスリット10がスクレーパー3と接触する面積を増加することができ、第1のスリット10が第1の方向に沿って延びてスクレーパー3と接触する面積と、第2のスリット20が第2の方向に沿って延びてスクレーパー3と接触する面積との間の差を補償し、これにより、第1のスリット10のインクの浸透量、すなわち第1のスリット10に入り込むパッケージ用接着剤の量を増加することができ、第1のスリット10に入り込んだパッケージ用接着剤にかかるスクレーパーの圧力を増大し、第1のスリット10中のパッケージ用接着剤によって形成された第1のパッケージ用接着剤ラインの高さを低下させ、最終的に、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さとの均一性を向上させることができる。
【0027】
その他の実施形態では、第1のスリット10の第2の方向の幅と第2のスリット20の第1の方向の幅との比は、1.15:1~1.25:1の範囲になる。
【0028】
本願は、同一の幅のスリットでは、得られる幅と高さには一定の関係があることを研究により見出した。パッケージ用接着剤ラインの幅が大きいほど、高さは低くなる。逆に、パッケージ用接着剤ラインの幅が小さいほど、高さは高くなる。さらに、第1のスリット群及び第2のスリット群に基づいて形成されたパッケージ用接着剤ラインに対する印刷方向(スクレーパー3の移動方向)の異なる影響に応じて、第1のスリット10の第2の方向の幅と第2のスリット20の第1の方向の幅との比を、1.15:1~1.25:1の範囲に調整し、最終的に第1のスリット群及び第2のスリット群に基づいて形成されたパッケージ用接着剤ラインに対する印刷方向の異なる影響を相殺することにより、形成された第1のパッケージ用接着剤ラインの幅と第2のパッケージ用接着剤ラインの幅とを均一にして、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さとを均一にし、第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインに基づいてパッケージされた後、2つの基板の間の各所の間隔が異なるためにニュートンリングの現象が発生することを回避することができる。
【0029】
その他の実施形態では、さらに、第1のスリット10の第2の方向の幅は、300μmから700μmまでの範囲になり、第2のスリット20の第1の方向の幅は、240μmから609μmまでの範囲になる。
【0030】
さらに、第1のスリット10の第2の方向の幅を、300μmから700μmまでの範囲にし、第2のスリット20の第1の方向の幅を、240μmから609μmまでの範囲にすることで、印刷後、第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインの幅を適切な範囲内にすることができ、表示パネルのパッケージ要求を満たし、パッケージング効果をさらに向上させることができる。
【0031】
なお、第1のスリット10の第2の方向の幅及び第2のスリット20の第1の方向の幅は、製品サイズ及び製品フレームのサイズに応じて設計され、または、パッケージング効果に応じて設計される。 一般的には、スリットの幅が大きいほど、対応するシーラントラインの幅が大きくなり、密閉効果が良くなる。
【0032】
本願の第2態様は、上記のマスクを用いてパッケージ領域を形成し、第1のスリット群に対応する第1のパッケージ用接着剤ラインを形成し、第2のスリット群に対応する第2のパッケージ用接着剤ラインを形成するパッケージング方法を提供する。上記のマスクは上記の技術的効果があるので、上記のマスクを用いてパッケージするパッケージング方法も同様の技術的効果があるため、詳細な説明を省略する。
【0033】
パッケージング方法は、
第1の基板を提供するステップと、
第1の基板に前記マスクを配置するステップと、
パッケージ用接着剤をマスクの第1のスリット群及び第2のスリット群にコーティングするステップと、
スクレーパー3をマスクの表面上の第1の方向に沿って移動させ、パッケージ用接着剤を第1のスリット群及び第2のスリット群に押し込み、余分のパッケージ用接着剤を掻き落とすステップと、を含んでもよい。
【0034】
その他の実施形態では、使用されたパッケージング材料は、シリコン系シーラントである。シリコン系シーラントの粘度は、40,000cpsから200,000cpsまでの範囲になってもよい。シリコン系シーラントの粘度を制御することで、パッケージ用接着剤ラインの高さが必要な範囲内であることを確保するように、シリコン系シーラントの流動性を一定の範囲内に制御する。
【0035】
本願の第3態様は、さらに、上述したパッケージング方法により製作された表示パネルを提供する。上記のパッケージング方法は上述した技術的効果があるので、上記のパッケージング方法を用いて製作された表示パネルも同様の技術的効果があるため、詳細な説明を省略する。
【0036】
その他の実施形態では、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さの均一性は5%未満の範囲に収める。上記のパッケージング方法を用いて表示パネルを製作することにより、第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さの均一性を大幅に向上させ、第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さの均一性を5%までに低下させ、パッケージングによって得られる表示パネルの2つの基板の間隔が各所で統一され、間隔の不均一によるニュートンリングの発生を回避し、表示パネルの品質を向上させることができる。
【0037】
その他の実施形態では、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さ及び第2のパッケージ用接着剤ラインの高さは、5.2μmから5.7μmまでの範囲になる。これにより、表示パネルのパッケージング要求を満たし、パッケージング効果をさらに向上させることができる。
【0038】
比較例1
第1のスリット10の第2の方向の幅が450μmであり、第2のスリット20の第1の方向の幅が450μmであるマスクを用いてバッチパッケージングを行うことによって得られた統計データは表1に示されている。
【0039】
実施例2
第1のスリット10の第2の方向の幅が550μmであり、第2のスリット20の第1の方向の幅が450μmであるマスクを用いてバッチパッケージングを行うことによって得られた統計データは表2に示されている。
【表1】
【表2】
【0040】
なお、表1及び表2において、スリットは、第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインにそれぞれ対応する第1のスリット10及び第2のスリット20である。最終値は、そのバッチ製品の幅又は高さの平均値である。偏差値は、最終値から予め設定された値を引いた差である。
【0041】
本願において、均一性=(最大値 - 最小値)/(最大値+最小値)であり、最大値は、バッチ製品の幅又は高さの最大値であり、最小値は、バッチ製品の幅又は高さの最小値であり、均一性を計算することによって、パッケージ用接着剤ラインの幅又は高さが予め設定された幅又は高さからずれる偏差が得られる。予め設定された幅は、対応するスリットの幅であり、予め設定された高さは、対応するスリットの深さである。
【0042】
表1及び表2で測定されたデータの解析から分かるように、マスクの第1のスリット10の第2の方向の幅が、第2のスリット20の第1の方向の幅と同一である場合、形成された第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインの幅は異なり、幅の偏差傾向も異なっている。さらに、第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインの高さは異なり、高さの偏差傾向も異なっている。さらに、第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインの幅は、それらの高さと固定的な関係有し、パッケージ用接着剤ラインの幅が大きいほど、高さは低くなり、逆に、パッケージ用接着剤ラインの幅が小さいほど、高さは高くなる。
【0043】
さらに、本願は、第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの幅及び高さに対する分析に基づいて、第1のスリット10の第2の方向の幅及び第2のスリット20の第1の方向の幅に対する推算を行う。
【表3】
【0044】
なお、表3において、スリットの幅はそれぞれ、第1のパッケージ用接着剤ラインに対応する第1のスリット10の第2の方向の幅、及び第2のパッケージ用接着剤ラインに対応する第2のスリット20の第1の方向の幅である。接着剤ラインの断面積は、第1のパッケージ用接着剤ラインの第2の方向の縦断面積または第2のパッケージ用接着剤ラインの第1の方向の縦断面積である。
【0045】
表3に示されているバッチ製品のパッケージ用接着剤ラインの縦断面積の計算データを参照すると、比較例1の第1のパッケージ用接着剤ライン、比較例1の第2のパッケージ用接着剤ライン、実施例1の第1のパッケージ用接着剤ライン及び実施例1の第2のパッケージ用接着剤ラインの実際の縦断面積を、それぞれV、V、V、Vとし、それらの幅を、それぞれL、L、L、Lとし、それらの高さを、それぞれH、H、H、Hとすると、V=L×H、V=L×H、V=L×H、V=L×Hとなる。
【0046】
上式で、V=V、L=Lとすると、H=Hとなる。
【0047】
比較例1の第2のパッケージ用接着剤ライン及び実施例1の第2のパッケージ用接着剤ラインは、いずれも印刷方向と直交し第2の方向に沿って延びるパッケージ用接着剤ラインであり、第2のスリット20の第1の方向の幅に対するそれらの幅の逸脱の程度は一様であり、得られる幅も互いに近い。
【0048】
上式で、V=V、L=Lとすると、H=Hとなる。
【0049】
比較例1の第1のパッケージ用接着剤ライン及び実施例1の第1のパッケージ用接着剤ラインは、いずれも印刷方向と平行且つ第1の方向に沿って延びるパッケージ用接着剤ラインであり、スリットの幅に対するそれらの幅の逸脱の程度は一様であるべきであり、得られる幅も互いに近い。
【0050】
これにより、互いに平行であるパッケージ用接着剤ラインに対応するスリットの幅を同じにすることができ、互いに平行である2本のパッケージ用接着剤ラインの幅と高さを同じにすることができる。
【0051】
上式で、V=Vとすると、L/L=H/H=0.917となり、すなわち、L≠L、H≠Hとなる。
【0052】
比較例1の第1のパッケージ用接着剤ラインは、印刷方向と平行であり且つ第1の方向に沿って延びるパッケージ用接着剤ラインであり、第2のパッケージ用接着剤ラインは、印刷方向と直交し第2の方向に沿って延びるパッケージ用接着剤ラインである。第1のパッケージ用接着剤ラインに対応する第1のスリット10の第2の方向の幅と第2のパッケージ用接着剤ラインに対応する第2のスリット20の第1の方向の幅とは同一であるが、得られる第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの幅も高さも異なっており、第1のパッケージ用接着剤ラインの幅は、第2のパッケージ用接着剤ラインの幅より狭く、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さは、第2のパッケージ用接着剤ラインの高さより高い。
【0053】
したがって、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さとを同じにしようとすると、本願の趣旨によれば、第1のパッケージ用接着剤ラインの幅を大きくする必要があり、すなわち、第1のパッケージ用接着剤ラインに対応する第1のスリット10の第2の方向の幅を相対的に大きくする必要がある。
【0054】
上式で、H=Hとすると、V=(H×L)/(H×L)=V/V=L/L=564.0/504.3=1.19となる。
【0055】
実施例1の第1のパッケージ用接着剤ラインは、印刷方向と平行であり且つ第1の方向に沿って延びるパッケージ用接着剤ラインであり、実施例1の第2のパッケージ用接着剤ラインは、印刷方向と直交し第2の方向に沿って延びるパッケージ用接着剤ラインである。第1のパッケージ用接着剤ラインに対応する第1のスリット10の第2の方向の幅と第2のパッケージ用接着剤ラインに対応する第2のスリット20の第1の方向の幅とは異なっているが、得られる第1のパッケージ用接着剤ラインの高さは第2のパッケージ用接着剤ラインの高さに近くなる。したがって、第1のパッケージ用接着剤ラインの高さと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さとを同じにしようとすると、それぞれ第1のスリット10の第2の方向の幅と第2のスリット20の第1の方向の幅を適切に調整する必要があることが証明される。
【0056】
さらに、本願は、大量のデータ統計によれば、第1のスリット10の第2の方向の幅と第2のスリット20の第1の方向の幅との比を、1.15:1から1.25:1までの範囲になるように設定することで、第1のスリット10中のパッケージング材料及び第2のスリット20中のパッケージング材料にかかるスクレーパー3の異なる程度の圧力作用を相殺することができ、これにより、形成された第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さの均一性を向上させ、ニュートンリングの発生を防止することができる。また、第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さを一致させることは、パッケージング効果、密閉効果、耐水性及び耐酸性の向上にも役立つ。また、第1のスリット10の第2の方向の幅と第2のスリット20の第1の方向の幅との比を、1.15:1~1.25:1の範囲になるように設定することで、第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインの高さを5.2 μmから5.7 μmまでの範囲になるようにし、密閉要求を満たすことができる。
【0057】
さらに、第1のスリット10の第2の方向の幅と第2のスリット20の第1の方向の幅との比を1.2:1に設定することで、第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの高さの均一性をさらに向上させ、第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインの高さを5.3μmから5.6μmまでの範囲に制御することができる。
【0058】
以下、実施例2により、本願のマスクによって形成された第1のパッケージ用接着剤ラインと第2のパッケージ用接着剤ラインの実際の高さの均一性がより優れる技術的効果をさらに実証する。
【0059】
実施例2
第1のスリット群と第2のスリット群が閉じた四角形を形成し、第1のスリット10の第2の方向の幅が550μmであり、第2のスリット20の第1の方向の幅が450μmであるマスクを用いてバッチパッケージングを行うことによって得られた統計データは表4に示されている。
【表4】
【0060】
なお、表4において、スリットは、第1のパッケージ用接着剤ライン及び第2のパッケージ用接着剤ラインにそれぞれ対応する第1のスリット10及び第2のスリット20である。最終値は、該バッチ製品の幅又は高さの平均値である。偏差値は、最終値から予め設定された値を引いた差である。
【0061】
表4の統計結果は、本願のマスクによって形成されたパッケージ用接着剤ラインの高さの均一性が向上され、パッケージされた後、表示パネルの2つの基板の間隔を等しくし、ニュートンリングの発生を回避し、表示パネルの品質を向上させることができたことをさらに実証している。
【0062】
本願の説明において、「第1」及び「第2」という用語は、本願を説明するためのものであり、相対的な重要性を示すまたは暗示するものと解釈されるべきではない。
【0063】
また、本明細書に記載の「上」、「下」、「左」、「右」、「間」、「一」などの用語も、説明の便宜のためのものであり、本願の実施可能な範囲を限定するものではない。なお、技術的内容を実質的に変更しないかぎり、それらの相対的関係に対する変更又は調整も、本願の範囲内であると見なすべきである。
【0064】
上述した実施例は、本願発明のいくつかの実施形態を示したものにすぎず、その記述が具体的且つ詳細であるが、本願発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本願発明の趣旨から逸脱しないかぎり、若干の変形及び改良を行うことができ、これらもすべて本願発明の保護範囲内である。したがって、本願発明の保護範囲は、特許請求の範囲に従属するものである。
図1