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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】超伝導体相互接続のための堆積方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/06 20060101AFI20220310BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20220310BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
C23C14/06 S
C23C14/34 K
H01L21/90 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019558767
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2018033299
(87)【国際公開番号】W WO2019036081
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2019-10-28
(31)【優先権主張番号】15/612,326
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カービー、クリストファー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ビビアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】レニー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン、ショーン アール.
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09653398(US,B1)
【文献】特開平02-141569(JP,A)
【文献】特開2000-174026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0061918(US,A1)
【文献】特表2002-527888(JP,A)
【文献】特表2004-535065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119252(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0183984(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0179918(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1076110(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/06
C23C 14/34
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ上に超伝導体相互接続構造を形成する方法であって、
基板上に誘電体層を形成すること、
前記誘電体層に相互接続開口部を形成すること、
前記基板を堆積チャンバに移動させること、
AC/DCコイルを前記基板の周囲に配置し、DC電力を超伝導ターゲット材料のスラブに印加し、ACバイアスを前記ウェハに印加し、約1500ワットのRF電力および約500ワットのDC電力を有するように前記AC/DCコイルを設定してイオン化された金属を45°よりも大きく90°よりも小さい範囲の角度で前記基板に投射することによって、且つ超伝導金属が所望の厚さを有するまでチャンバ温度を所定の温度以下に維持するために、一連の超伝導体の堆積および冷却プロセスを実行することによって、前記超伝導金属を前記相互接続開口部に堆積させ、前記超伝導体相互接続構造内に超伝導素子を形成すること、を備える方法。
【請求項2】
前記所定の温度は150°C以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記超伝導金属は、前記堆積チャンバ内に存在するターゲットスラブ超伝導材料から堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記超伝導金属を堆積させることは、
前記堆積チャンバにアルゴン(AR)ガスを注入すること、
前記誘電体層および前記相互接続開口部にターゲット材料をスパッタリングするのに十分なほど高くなるように、前記超伝導ターゲット材料のスラブに印加されるDC電力を約5000ワット~約30000ワットに設定すること、
イオン化された金属に直線的な方向性を付与するのに十分なほど低くなるように、前記ウェハに印加されるACバイアスを約100ワット~約500ワットに設定すること、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
堆積中に裏面のウェハ圧力を4Torrよりも大きくなるように設定することをさらに備える請求項4に記載の方法。
【請求項6】
堆積前に、前記チャンバ内に前記アルゴンガスを約5~約6標準立方センチメートル(sccm)に逆充填すること、堆積中に、前記チャンバ内に前記アルゴンガスを約5sccm~約90sccmに充填を進行させること、をさらに備える請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記誘電体層は、第1の導電線を有する第1の誘電体層に積層された第2の誘電体層であり、前記相互接続開口部は、デュアルダマシン構造であり、前記超伝導体相互接続構造内の前記超伝導素子は、第2の導電線と、前記第2の誘電体層において前記第1の導電線を前記第2の導電線に接続するコンタクトとの両方である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記超伝導体相互接続構造は、前記超伝導金属の堆積中に温度制御チャック上に存在する前記ウェハの一部分であり、前記温度制御チャックは、前記所定の温度以下の温度に設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
堆積前に、前記誘電体層の上面上および前記相互接続開口部内にスパッタエッチングクリーニングプロセスを実行することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
化学機械研磨(CMP)を実施して、前記超伝導体相互接続構造内の前記超伝導素子の上面を前記誘電体層の上面と合わせることをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記デュアルダマシン構造は、前記堆積チャンバに結合されたターゲットスラブ材料として存在するニオブから形成される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の温度は約90℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
堆積前に、前記第2の誘電体層の上面上および前記デュアルダマシン構造の前記相互接続開口部内にスパッタエッチングクリーニングプロセスを実行することをさらに備える請求項7に記載の方法。
【請求項14】
化学機械研磨(CMP)を実施して、前記デュアルダマシン構造の上面を前記第2の誘電体層の上面と合わせることをさらに備える請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して超伝導体に関し、より詳細には超伝導体相互接続のための堆積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導回路は、通信信号のインテグリティまたは計算能力が必要とされる国家安全アプリケーションに著しい向上をもたらすことが期待される、量子計算および暗号化アプリケーションのために提案された主要技術のうちの1つである。それらは100ケルビンよりも低い温度で操作される。超伝導デバイスの製造における努力は、ほとんどが大学または政府の研究室に限られており、超伝導デバイスの大量生産に関してはほとんど発表されていない。従って、これらの研究室で超伝導デバイスを製造するために使用される方法の多くは、迅速で一貫した製造が不可能なプロセスまたはデバイスを利用する。最近、従来の半導体プロセスで利用されているものと同様の技術を利用して超伝導回路を大量生産する動きがある。
【0003】
1つの周知の半導体プロセスは、集積回路の異なる層を介してデバイスを互いに結合するための多層配線スタック内のコンタクトおよび導電線の形成である。導電性コンタクトおよび導電線の形成のためのそのような製造プロセスの1つは、デュアルダマシンプロセス(dual damascene process)として知られている。現在のデュアルダマシンプロセスでは、サブ130ナノメートル(nm)の集積回路(IC)に対して銅(Cu)相互接続が中心となっている。現在、半導体堆積プロセスを使用してデュアルダマシン構造を超伝導金属で充填するプロセスは知られていない。
【発明の概要】
【0004】
一例では、超伝導体相互接続構造を形成する方法が提供される。本方法は、基板に積層された誘電体層を形成すること、誘電体層内に相互接続開口部を形成すること、基板を堆積チャンバに移動させること、を備える。本方法は、超伝導金属が所望の厚さを有するまでチャンバ温度を所定の温度以下に維持するために、一連の超伝導体の堆積および冷却プロセスを実行することによって、超伝導金属を相互接続開口部に堆積させ、超伝導体相互接続構造内に超伝導素子を形成すること、をさらに備える。
【0005】
別の例では、超伝導デュアルダマシン構造を形成する方法が提供される。本方法は、第1の超電導素子を有する第1の誘電体層上に第2の誘電体層を形成すること、第1の誘電体層内の第1の超電導素子まで延びて露出させる第2の誘電体層内のコンタクト開口部をエッチングすること、コンタクト開口部上にある第2の誘電体層内の導電線開口部をエッチングしてデュアルダマシン開口を有するデュアルダマシン構造を形成すること、堆積チャンバ内の温度制御チャック上に存在するようにデュアルダマシン構造を移動させること、を備える。本方法は、温度制御チャックの温度を所定の温度以下に設定すること、デュアルダマシン開口部内に超伝導金属を堆積させ、堆積チャンバにおいてコンタクトと、該コンタクトに積層されて該コンタクトに結合された第2の導電線とを含むデュアルダマシン構造を形成して、コンタクトによって第1の導電線を第2の誘電体層を通って第2の導電線に接続すること、を備える。超伝導金属を堆積することは、超伝導金属が所望の厚さを有するまでチャンバ温度を所定の温度以下に維持するために、一連の超伝導体の堆積および冷却プロセスを実行することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】超伝導配線構造の概略断面図を示す。
図2】製造の初期段階における超伝導構造の一例の概略断面図を示す。
図3】エッチングプロセスを行ったデュアルダマシンプロセスの第1の部分の初期形成の概略断面図を示す。
図4】エッチングプロセス後およびフォトレジスト材料層が剥離された後の図3の構造の概略断面図である。
図5】エッチングプロセスを受けた後のデュアルダマシンプロセスの第2の部分の初期形成の概略断面図を示す。
図6】エッチングプロセス後およびフォトレジスト材料層が剥離された後の図5の構造の概略断面図である。
図7】プレクリーンプロセスを受けた後の図6の構造の概略断面図である。
図8-9】図8は、超伝導構造の表面上へのニオブイオンの堆積を示す堆積プロセス中の堆積チャンバの断面図を示し、図9は、ビアおよびトレンチ開口部の拡大断面図、および超伝導構造の表面上へのニオブイオンの堆積を示す堆積プロセスを示す。
図10】堆積チャンバ内の超伝導ライナの堆積を受けた後の図7の構造の概略断面図を示す。
図11】コンタクト材料を充填して堆積チャンバ内に後続の多数の中間超電導材料層を堆積した後の図10の構造の概略断面図を示す。
図12】コンタクト材料を充填して堆積チャンバ内に最後の多数の中間超電導材料層を堆積した後の図11の構造の概略断面図を示す。
図13】化学機械研磨を受けた後の図12の構造の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、相互接続構造を超伝導金属で充填する方法を説明する。相互接続構造のビアおよびトレンチは、一連の堆積および冷却ステップシーケンスを用いて温度を150°C以下に維持する堆積プロセスで充填される。一例では、温度は90°C以下に維持される。これは、金属膜を堆積し、堆積チャンバなどの堆積パワー(deposition power)をオフにし、次の堆積サイクルが起こる前にウェハを冷却することによって達成される。これは、コンタクトおよび/または導電線を形成するための適切な厚さに金属膜が堆積されるまで繰り返される。
【0008】
一例では、物理蒸着(physical vapor deposition : PVD)堆積プロセスを用いて、デュアルダマシン構造を超伝導金属で充填する方法が提供される。デュアルダマシン誘電体構造は、PVDチャンバを用いて上述した一連の堆積および冷却ステップシーケンスを実行することによって、ほとんどまたは全くボイドがなく首尾よく充填することができることが実証されている。
【0009】
別の例では、この方法は、約5kW(5000W)~約30kW(30000W)の超電導材料スラブ(superconducting material slab)に、約100W~約500Wの範囲においてウェハへのACバイアス支援を用いて電力を供給し、ダマシン構造で超電導膜をスパッタリングすることができるPVDツールを利用する。膜特性は、ダマシン構造内で30K以下の超伝導特性を可能にする。
【0010】
さらに別の例では、超伝導材料は、超伝導ターゲットと衝突してターゲット表面から金属原子を弾き出すアルゴンのようなガス分子のイオン化に起因してスパッタリングされる。スパッタリングプロセスは、上述したプロセス変数によって制御される。このプロセスは、バイアスされた基板に引き付けることによって、スパッタリングされたイオン化金属原子の方向を基板に変更し、約0~約1500Wの間のAC電力および約0~約500Wの間のDC電力を印加することによって調節可能な堆積速度を有するコイルを有する。調整可能なコイルは、イオン化された金属原子の角度分布がコイル電力によって制御されるように、例えば、45°~90°の角度で基板に対して加速される金属のイオン化速度に影響を与える
【0011】
図1は、超伝導体相互接続構造10の断面図である。超伝導体相互接続構造10は、基板12に積層された第1の誘電体層14と、第1の誘電体層14に積層された第2の誘電体層18と、を含む。基板12は、シリコン、ガラス、または他の基板材料から形成され得る。第1および第2の誘電体層14,18の両方は、超伝導デバイスの形成に典型的に利用される低温(例えば、150℃以下)で使用することができる低温誘電材料から形成され得る。第1の誘電体層14には第1の導電線16が埋め込まれている。第1の導電性コンタクト20は、第1の端部における第1の導電線16から第2の誘電体層18の第2の導電線24まで延び、第2の導電性コンタクト26は、第1の導電線16の一部分の上にある第2の誘電体層18内に配置される。コンタクトおよび導電線のそれぞれは、ニオブ(niobium)などの超伝導材料で形成される。導電線および導電性コンタクトの各々は、一連の堆積および冷却ステップシーケンスを用いて温度を150°C以下に(例えば、90°C以下に)維持する堆積プロセスで形成される。これは、金属膜を堆積し、電力をオフにし、次の堆積サイクルが起こる前にウェハを冷却することによって達成される。これは、適切な厚さに金属膜が堆積されるまで繰り返される。
【0012】
ここで、図2図13を参照して、図1の超伝導デバイスの相互接続の形成に関連する製造が説明される。本実施例は、絶縁誘電体中の超伝導金属のシングルまたはデュアルダマシン層のいずれかの形成から始まるプロセスフローに関して説明されることを理解されたい。本実施例は、誘電体薄膜にエッチングされて下部導電線を形成するシングルダマシントレンチ、その後に行われる上部導電線を形成するデュアルダマシンプロセスに関して説明される。
【0013】
図2は、製造の初期段階における超伝導構造50の断面図を示す。超伝導構造50は、下地基板52に積層された第1の誘電体層54を含む。下地基板52は、例えば、第1の誘電体層54およびそれに続く積層された層を機械的に支持するシリコンまたはガラスウェハとすることができる。第1の導電線56は、第1の誘電体層54内にあり、第1の誘電体層54の上面と同一平面である上面を有する。第1の導電線56は、超伝導材料から形成され、金属膜が適切な厚さに堆積されるまで150℃以下の温度を維持するために一連の堆積および冷却ステップシーケンスにより形成され得る。別の例では、一連の堆積および冷却ステップシーケンスが実行されて、金属膜が適切な厚さに堆積されるまで温度を90°C以下に維持する。
【0014】
第2の誘電体層58は、第1の誘電体層54上に形成される。低圧化学気相成長法(Low Pressure Chemical Vapor Deposition : LPCVD)、プラズマ化学気相成長法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition : PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長法(High Density Plasma Chemical Vapor Deposition : HDPCVD)、スパッタリング、またはスピンオン技術などの、第1および第2の誘電体層を、配線層を提供するのに適した厚さへ形成するための任意の適切な技術が用いられ得る。
【0015】
図3は、デュアルダマシンプロセスの第1の部分の初期形成を示している。図3に示すように、フォトレジスト材料層62が、構造を覆うように塗布され、ビアパターンに従ってフォトレジスト材料層62にビア開口部64を露出させるようにパターニングされ現像されている。フォトレジスト材料層62は、フォトレジスト材料層62をパターニングするのに使用される放射の波長に対応して変化する厚さを有し得る。フォトレジスト材料層62は、スピンコーティングまたはスピンキャスティング堆積技術を利用して第2の誘電体層58上に形成され、選択的に(例えば深紫外線(DUV)照射で)照射され、ビア開口部64を形成するために現像される。
【0016】
図3は、第2の誘電体層58にエッチング200(例えば、異方性の反応性イオンエッチング(reactive ion etching : RIE))を行って、フォトレジスト材料層62のビアパターンに基づいて第2の誘電体層58に延在するビア開口部66(図4)を形成することも示す。エッチングプロセス200は、ドライエッチングであってよく、下にある導電線56および積層されたフォトレジスト材料層62よりも速い速度で下にある第2の誘電体層58を選択的にエッチングするエッチャント(etchant)を使用することができる。例えば、第2の誘電体層58は、平行平板型RIE装置または電子サイクロトロン共鳴(electron cyclotron resonance : ECR)プラズマリアクタなどの市販のエッチャーにおいて、プラズマガス、ここではフッ素イオンを含む四フッ化炭素(CF)で異方性エッチングすることができ、フォトレジスト材料層62上にマスクパターンを複製し、それによって拡張されたビア開口部66を形成することができる。その後、フォトレジスト材料層62が剥離され(例えば、Oプラズマ中でアッシングされ)、それにより、図4に示される構造が得られる。
【0017】
図5に示すように、フォトレジスト材料層68が、図4の構造を覆うように塗布され、その後、トレンチパターンに従ってフォトレジスト材料層68に複数の開口トレンチ領域70を露出させるようにパターニングされ現像されている。図5は、第2の誘電体層58にエッチング210(例えば、異方性の反応性イオンエッチング(reactive ion etching : RIE))を行って、フォトレジスト材料層68のトレンチパターンに基づいて部分的に延在する複数の開口部72(図6)を形成することも示す。エッチング210は、様々なプロセス中に形成され且つフォトレジスト材料層68によって覆われていない酸化ニオブの複数の層および誘電体酸化物の複数の部分も除去する。その後、フォトレジスト材料層68が剥離され、それにより、図6に示される構造が得られる。拡張された開口部72は、ビア開口部66と共整列されて(co-aligned)、デュアルダマシン開口部を形成する。
【0018】
フォトレジスト材料層68の剥離中、および一つ以上のトランスファー/バッファチャンバを介した構造の移動中に、酸化物が超電導金属上および第2の誘電体層58上に蓄積する。この結果、導電線56の上面に酸化ニオブなどの金属酸化物74が形成され、性能が劣化する。この金属酸化物層74は、第1の導電線56の超電導特性に悪影響を及ぼす。したがって、この構造は、堆積前に超伝導金属から酸化物を除去するために、プレクリーンチャンバ(preclean chamber)に移動される。これらの酸化物は、スパッタエッチングを行うことによって除去され得る。この構造は、エッチングプロセス210を経て、金属酸化物74と、第2の誘電体層58上に形成された誘電体酸化物の一部分(図示せず)とを除去する。
【0019】
図8に示すように、構造は、堆積チャンバ110に移動される。堆積チャンバ(superconductor liner)110は、チャンバ110の上面に配置されたニオブ(Nb)などのターゲット材料のスラブと、温度制御されたチャック(chuck)上に配置されたウェハとによってセットアップされる。ウェハ温度を制御するために、約15°C~約150°C(例えば90°C以下)の間で制御されるウェハとの間で熱を伝達するためにコンダクタンス(conductance)を使用する静電チャック(electrostatic chuck : ESC)が、再現可能な結果を提供し、膜特性のより厳しい仕様を提供する。DCバイアス(5~30KW)が超電導材料のスラブに印加され、ACバイアス(100~500W)がチャック上のウェハに印加される。AC/DCコイルは基板の周囲に配置され、コイル電力(DC電力(0~500W)およびACバイアス電力(0~1500W))によって、45°~90°の角度で基板に投射される金属中性粒子(metal neutrals)をイオン化する角度イオン化の量が変更される。
【0020】
アルゴンがチャンバ内に注入され、これがスラブに衝突させて、Nbイオンが構造50に向けられ、これにより、ビアおよびトレンチ開口部内にNbが堆積される。RFコイル/DCコイルは、所望の角度イオン化に基づいてNbイオンの方向性を提供する。図9は、ビアおよびトレンチを充填し、積層された第2の誘電体層を覆う超伝導Nb材料層を堆積させるために、Nbイオンで充填されているビアおよびトレンチ開口部を拡大して示す。
【0021】
前述したように、複数の超伝導線および複数のビアの形成では、一連の堆積および冷却プロセスを経て、150°Cを超える構造50の過熱が許容されない。これは、金属膜を堆積し、電力をオフにし、次の堆積サイクルが起こる前にウェハを冷却することによって達成される。これは、適切な厚さに金属膜が堆積されるまで繰り返される。超伝導特性に影響するより良いダマシン充填を促進するために,種々のパラメータを変更できることが発見された。これらには、ターゲット材料に印加されるDC電力(5~30KW)、ウェハに印加されるバイアス電力(100~500W)、堆積方向性を補助するためのコイルに印加されるDC電力(0~500W)およびRF電力(0~1500W)、ならびに堆積中のベース真空および圧力の選択が含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
実証されたプロセスにおいて、最初の堆積はライナ(liner)としてNb等の金属を堆積し、この金属は図10に示されるようにダマシン構造に対して極めて共形(conformal)を有する。ライナを堆積させることにより、連続的な金属堆積を可能にする薄いコーティング(10~25nm)の共形金属膜が、該金属膜がダマシン構造を充填することを可能にする優先結晶粒構造(preferential grain structure)を形成することができる。
【0023】
超伝導材料の第1の層またはライナを堆積するための一例は、以下の通りである。まず、チャックを約75°C~約100°C(例えば、90°C)の温度に設定して維持する。次に、ウェハがチャンバに入り、ESCチャック上に固定されると、アルゴンガスが、コンダクタンスを介した熱伝達を可能にするために、約5~約6標準立方センチメートル(standard cubic centimeters : sccm)のESC中のガスラインを介してウェハの裏面に流される。ウェハとの間の熱伝達は、処理中のウェハの温度を制御するのに役立つ。次いで、チャンバは、約5sccm~約90sccm(例えば、83sccm)のアルゴン、処理ガスで充填を進行される(front-filled)。次に、DC電力を約2秒間、約500ワットでスラブに印加して、プラズマプロセスを開始する。DC電力は、約20000ワットに増加され、ウェハのACバイアス電力は、約100~約500ワットに設定され、一方、RFコイル電力は、約1100ワットに増加されて、超伝導材料が、約20~40秒間、ビアおよびトレンチ開口内に堆積される。次に、ウェハが初期設定温度まで冷却するのに要する時間に応じて、DC電力、ACバイアス電力、およびコイル電力を約40~200秒間オフにすることによって、冷却ステップが実行される。
【0024】
次に、後に続くいくつかの中間超伝導材料層78が超伝導ライナ76上に堆積されて、図11に示される結果としての構造を提供する。さらに、後に続く最後のいくつかの超伝導層80が中間超伝導材料層78上に堆積されて、図12の結果としての構造を形成する。
【0025】
追加の超伝導層が堆積されるたびに、DC電力を約500ワットでスラブに約2秒間印加してプラズマプロセスを開始し、DC電力を約20000ワットに増加させ、ACバイアス電力を約100から約500ワットに増加させ、一方、RFコイル電力を約1100ワットに増加させて、超電導材料をビアおよびトレンチ開口に約20~40秒間堆積させ、DC電力、ACバイアス電力、およびコイル電力を約40から200秒間除去することによって冷却ステップを繰り返すというシーケンスが繰り返される。最後の層が堆積された後、最後の冷却プロセスが約10~60秒間実行され、ポンピングプロセス(pumping process)が実行され、堆積チャンバからアルゴンが取り除かれ、チャンバから圧力が約5秒間解除される。
【0026】
コンタクト材料充填の最後の層の堆積に続いて、構造は堆積チャンバ110から移動され、化学機械研磨(CMP)によって誘電体層58の表面レベルまで研磨され、第1のコンタクト82、第2の導電線84、及び第3の導電線86を形成して、図13の得られた構造を提供する。
【0027】
上記の説明は本発明の例である。当然のことながら、本発明を説明する目的のために構成要素または方法の考え得るすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本発明の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に含まれるすべてのそのような変更、修正、および変形を包含することを意図している。
以下に、上記各実施形態から把握できる技術思想を記載する。
(付記1)
超伝導体相互接続構造を形成する方法であって、
基板上に誘電体層を形成すること、
前記誘電体層に相互接続開口部を形成すること、
前記基板を堆積チャンバに移動させること、
超伝導金属が所望の厚さを有するまでチャンバ温度を所定の温度以下に維持するために、一連の超伝導体の堆積および冷却プロセスを実行することによって、前記超伝導金属を前記相互接続開口部に堆積させ、前記超伝導体相互接続構造内に超伝導素子を形成すること、を備える方法。
(付記2)
前記所定の温度は150°C以下である、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記所定の温度は90℃以下である、付記2に記載の方法。
(付記4)
前記超伝導金属は、前記堆積チャンバ内に存在するターゲットスラブ超伝導材料から堆積される、付記1に記載の方法。
(付記5)
前記超伝導金属を堆積させることは、
前記堆積チャンバにアルゴン(AR)を注入すること、
前記誘電体層および前記相互接続開口部にターゲット材料をスパッタリングするのに十分なほど高くなるように、前記超伝導ターゲット材料のスラブに印加されるDC電力を約5000ワット~約30000ワットに設定すること、
イオン化された金属に直線的な方向性を付与するのに十分なほど低くなるように、前記ウェハに印加されるACバイアスを約100ワット~約500ワットに設定すること、を含む、付記3に記載の方法。
(付記6)
約0ワット~約1500ワットのRF電力、および約0ワット~約500ワットのDC電力を有するように前記コイルを設定することをさらに備える付記4に記載の方法。
(付記7)
堆積中に裏面のウェハ圧力を4Torrよりも大きくなるように設定することをさらに備える付記5に記載の方法。
(付記8)
堆積前に、前記チャンバ内に前記アルゴンガスを約5~約6標準立方センチメートル(sccm)に逆充填すること、堆積中に、前記チャンバ内に前記アルゴンガスを約5sccm~約90sccmに充填を進行させること、をさらに備える付記4に記載の方法。
(付記9)
前記誘電体層は、前記第1の導電線を有する第1の誘電体層に積層された第2の誘電体層であり、前記相互接続開口部は、デュアルダマシン構造であり、前記超伝導体相互接続素子は、前記第2の導電線と、前記第2の誘電体層において前記第1の導電線を前記第2の導電線に接続するコンタクトとの両方である、付記1に記載の方法。
(付記10)
前記超伝導体相互接続構造は、前記超伝導金属の堆積中に温度制御チャック上に存在するウェハの一部分であり、前記温度制御チャックは、前記所定の温度以下の温度に設定される、付記1に記載の方法。
(付記11)
堆積前に、前記誘電体層の上面上および前記相互接続開口部内にスパッタエッチングクリーニングプロセスを実行することをさらに備える付記1に記載の方法。
(付記12)
化学機械研磨(CMP)を実施して、前記超伝導体相互接続素子の上面を前記第1の誘電体層の上面と合わせることをさらに備える付記1に記載の方法。
(付記13)
超伝導デュアルダマシン構造を形成する方法であって、
第1の超伝導素子を有する第1の誘電体層上に第2の誘電体層を形成すること、
前記第1の誘電体層の第1の超伝導素子まで延びて露出させる前記第2の誘電体層のコンタクト開口部をエッチングすること、
前記コンタクト開口部上にある前記第2の誘電体層内の導電線開口部をエッチングしてデュアルダマシン開口部を有するデュアルダマシン構造を形成すること、
堆積チャンバ内の温度制御チャック上に存在するように前記デュアルダマシン構造を移動させること、
前記温度制御チャックの温度を所定の温度以下に設定すること、
前記デュアルダマシン開口部内に超伝導金属を堆積させ、前記堆積チャンバにおいてコンタクトと、該コンタクトに積層されて結合された第2の導電線と、を含むデュアルダマシン構造を形成することであって、前記コンタクトによって、前記第1の導電線は、前記第2の誘電体層を通って前記第2の導電線に接続し、前記超伝導金属の堆積することは、前記超伝導金属が所望の厚さを有するまでチャンバ温度を前記所定の温度以下に維持するために、一連の超伝導体堆積および冷却プロセスを実行することを含む、前記デュアルダマシン構造を形成すること、を備える方法。
(付記14)
前記デュアルダマシン構造は、前記堆積チャンバに結合されたターゲットスラブ材料として存在するニオブから形成される、付記13に記載の方法。
(付記15)
前記所定の温度は約90℃以下である、付記13に記載の方法。
(付記16)
前記超伝導金属を堆積させることは、
前記堆積チャンバにアルゴン(AR)を注入すること、
前記第2の誘電体層上および前記デュアルダマシン開口部内にターゲット材料をスパッタリングするのに十分なほど高くなるように、前記超伝導ターゲット材料のスラブに印加されるDC電力を約5000ワット~約30000ワットに設定すること、
イオン化された金属に直線的な方向性を付与するのに十分なほど低くなるように、前記デュアルダマシン構造に印加されるACバイアスを約100ワット~約500ワットに設定すること、を含む、付記13に記載の方法。
(付記17)
約0ワット~約1500ワットのRF電力、および約0ワット~約500ワットのDC電力を有するように前記コイルを設定することをさらに備える付記16に記載の方法。
(付記18)
堆積中に前記裏面のウェハ圧力を4Torrよりも大きくなるように設定することをさらに備える付記17に記載の方法。
(付記19)
堆積前に、前記ウェハの裏面上に前記アルゴンガスを約5~約6標準立方センチメートル(sccm)まで流すこと、堆積中に、前記チャンバ内に前記アルゴンガスを約5sccm~約90sccmに充填を進行させること、をさらに備える付記18に記載の方法。
(付記20)
堆積前に、前記第2の誘電体層の上面上および前記デュアルダマシン開口部内にスパッタエッチングクリーニングプロセスを実行することをさらに備える付記13に記載の方法。
(付記21)
化学機械研磨(CMP)を実施して、前記デュアルダマシン構造の上面を前記第2の誘電体層の上面と合わせることをさらに備える付記13に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図12
図13